討論
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 公明党の曽田聡です。会派を代表して、全ての議案及び意見書案に賛成の立場から討論を行います。 まず、提出された議案は、いずれも知事の提唱される新たな県づくりが本格的にスタートするために必要不可欠なものであり、私どももしっかりお支えしていく所存でございます。 その上で、議案第一号 令和五年度一般会計予算案について、建設的な視点で意見を述べさせていただきます。 最初に、コロナで落ち込んだ地域経済の反転攻勢に係る関係予算についてです。 本県経済の好循環を実現するためには、全企業の九九・七%を占め、従業者の約七割を雇用する中小企業の再生・強化が欠かせません。 来年度、県は、新商品開発の支援をはじめ、省エネに資する設備導入の補助、カーボンニュートラルの理解促進など、中小企業の付加価値や生産性向上に係る様々な支援策を設けることとされています。 必ずや中小企業の賃上げに向けた環境整備を図られるものと大いに期待していますが、同時に、中小企業には一定のDX改革を達成しなければ乗り越えられない課題も待ち受けています。言い換えれば、DX改革が一気に進めば、本県の中小企業の活性化が達成される可能性は高まるのです。 多くの中小企業が県の支援を受け、DX改革に乗り出すことができるよう、「Y─BASE」を拠点とし、地域の商工会や商工会議所等とも連携した上で、県は、企業に寄り添った取組を集中的に進めていただくよう、お願いをいたします。 また、県経済の起爆剤となるのは、やはりどう考えてもインバウンドです。予算案に計上されているプロモーションや旅行商品造成は、宿泊事業者など関係者の声をよく聞き、時間を置くことなく、速やかに実施する必要があります。 県内の宿泊施設は、コロナ禍、県の手厚い支援策によって一定の経営体力を温存することができ、しかも将来に向けた施設整備も着実に進みました。その強みをフルに生かさない手はありません。コロナ前、残念ながら隣県に遠く及ばなかったインバウンド宿泊者数の大幅なアップを目指していただきたいと思います。そのポテンシャルが本県には十分にあると考えます。 外国人に選ばれる県であるためには、多文化共生の推進も欠かせません。多文化共生が進めば、インバウンドにも少なからずよい影響を及ぼすことと思われますが、何より県経済の回復の面で、これは大変重要な要素であります。 人手不足に悩む我が国の経済は、外国人労働者なしには回らないところまで来ています。外国人やその子弟が十分な日本語教育を受けられる環境を整備していくことは、他人ごとではありません。 ただでさえ、このまま円安基調が続けば、母国への仕送り額が目減りするため、外国人労働者の日本離れが加速すると言われています。そうなると、ますます人手不足に陥り、地域経済の再生にブレーキがかかってしまいます。 外国人労働者が住みよい地域をつくることは、一方で、公平性の観点から多くの課題を伴いますが、一つ一つ県民の理解を得た上で、前に進まなければ本県の未来は切り開けません。 予算案に計上されている事業は、多文化共生という単体での取組ですが、今述べましたように、この問題は産業政策から切り離すことができません。産業政策のパッケージの一つとして、今後の積極的な事業展開に期待をしております。 次に、人づくりや安心・安全の確保に関する予算についてです。 まず、多くの新規事業が並ぶ出産、子育て支援については、今後も機動的に山口県らしい対策を図っていただきたいと思います。 県の最重要課題は、人口減少でありますので、それを少しでも食い止めるためには、今後も短期と中長期の両方の対策が必要です。 ヤングケアラー支援についても、来年度、相談窓口設置やボランティア人材の育成に取り組まれることは、大きな前進です。 子供は社会の宝です。今後は、教育と福祉が緊密に連携し、また県と市町が一体となって、この問題に鋭意取り組んでいただきたいと思います。 また、県が所有する子供関係の施設の中には、著しい老朽化によって入所している小中学生が非常に不便な生活を強いられている施設もあります。一般質問で取り上げたカリエンテ山口への支援と同様に、まずは隗より始めよで、こうした身近なところにも目を向けながら、新たな県づくりを始めていただきますよう、お願いいたします。 また、障害者福祉については、補助犬の普及と同様に、昨年十月に制定された障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例の理解促進も急がねばなりません。 依然として、障害者に対する差別的取扱いは後を絶たず、人づくりを掲げる本県は、あらかじめこうした状況に至る芽を摘み取らなければなりません。 予算案の最後は、デジタル改革についてです。 公明党は、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指して、これまでも様々な提言を行ってまいりました。 その一つが、高齢者のデジタルディバイドの解消であり、確定申告もスマホからできるようになったように、今後は、高齢者の生活に自然とデジタルツールが入り込んでいく、いわゆるユーザーインターフェースが重要となっています。 使いにくいサービスは使われず、かえって不便すらあります。ユーザーインターフェースの質こそが、デジタル改革の成否を決めると言っても過言ではありません。誰一人取り残されないという視点で進めるデジタル改革が、デジタル実装を実現する近道でもあるのです。 このたびデジタル改革に向けた新たな基金がつくられることには、私どもも大きな期待を寄せています。基金を財源にして、繰り返しますが、誰もが使いやすい質の高いデジタル改革をしっかりと進めていただきますようお願いする次第でございます。 続きまして、二件の意見書案については、いずれも賛成をいたします。 まずは、第一号 宇部拘置支所の収容業務の継続を求める意見書についてです。 拘置支所に収容される方は、身柄は拘束されていますが、いまだ刑事裁判の判決が確定せず、あくまでも被疑者及び被告の段階であり、意見書案にあるように、十分な配慮がなされる必要があります。 また、本来、被疑者等の勾留をするのは拘置所及び拘置支所となりますが、我が国では、拘置所等に移送されず、警察の留置場に留め置かれる代用監獄制度が残っており、この制度については、国連の規約人権委員会等から廃止の勧告を受けているところです。 代用監獄制度が残っている理由の一つが拘置所等の不足であることを踏まえれば、今回の宇部拘置支所の収容業務の停止はあってはならないことであり、その継続を求める意見書には賛成をいたします。 次に、第二号の国民皆歯科健診の実現を求める意見書についてです。 現在、歯科健診が義務づけられているのは、一歳半と三歳、小中高生の学校健診、それに塩酸などの化学物質を扱う労働者に限られています。 また、自治体で四十歳から七十歳までの十歳ごとに実施している歯周病検診も受診率一割未満と極めて低く、特に就労世代では、歯周病を有する割合が高い状況となっています。 歯周病は、心臓血管疾患、糖尿病などの発病リスクを高めることはよく知られており、また口腔粘膜の異常が口腔がんを引き起こすことも周知のごとくであります。 現在、口腔の健康をシームレスに維持することの重要性が広く認識されているにもかかわらず、成人期以降の歯科健診の受診率が低調となっているのは、すなわち職場等での歯科健診が義務化されていないからです。 健やかな生涯を送ることは、国民誰しも願いであり、そのために必要な国民皆健診の早期実現を求める本意見書案には賛成をいたします。 以上で、議案第一号及び意見書案について意見を述べさせていただきました。 このたびの予算案は、私ども公明党が要望した内容が随所に反映されており、高く評価をしております。ぜひ知事には、アクセル全開で新たな県づくりのスタートを切っていただきますよう、お願いと御期待を申し上げまして、公明党を代表いたしまして討論とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。