1 戦略的な海外展開の推進等について 2 認知症にやさしい地域づくりについて 3 野犬対策について 4 本県の特性を生かしたスマート農業の推進について 5 周南地域の道路整備について 6 交通安全施設の計画的整備について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第六十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 おはようございます。自由民主党の坂本心次でございます。通告に従いまして一般質問を行います。 まず、最初に、戦略的な海外展開の推進等についてお尋ねいたします。 我が会派の代表質問で触れましたように、本県の将来を切り開く上で海外展開を力強く再起動させることは大変重要であります。また、昨今の国際情勢を見ると、経済安全保障や食料安全保障の面から自由、基本的人権、法の支配といった価値観を共有できる国や地域と、自治体間で交流を進める意義もかつてないほど高まっています。 昨年十一月、私も県議会訪問団の一員としてシンガポール、ベトナム、フィリピンを訪問いたしました。渡航前三か国の経済、社会情勢などを頭に叩き込み、その急速な成長ぶりなどは把握しておりましたが、実際に現地に立ってみますと予想をはるかに超えたその圧倒的なエネルギーに、私は大きな衝撃を受けたのであります。 インバウンドの促進策、県産品の販路拡大、人材交流など、そうした活気や熱量から次々と生み出される提案はどれも大変魅力的であり、実現への期待感や本県が持つ可能性を強く感じたところであります。これらのうち、ベトナムへのフグの輸出については先月十日、村岡知事と柳居議長、県議会ASEAN議連のメンバーが具体的な輸出障壁の撤廃を直接国に求められ、実現に向けて早速に動き出されています。 一方で、各国の水際対策緩和や円安基調などにより海外をめぐる自治体間の競争も日に日に激化しており、フグ以外の提案についてもこうしたスピード感ある取組によって前へと進めなくてはなりません。待てば海路の日和ありでは急激な時代の流れに取り残されてしまいかねず、県自らが積極的にアプローチする、まさに戦略的に取り組むことでチャンスをしっかりとものにしていただきたいものであります。 また、私の地元でもシンガポールや台湾の展示会に出展され、半導体製造装置の関連部品や冷凍食品の輸出拡大に力を入れる事業者の方々がおられます。コロナ禍の様々な制限が緩和された今、こうした意欲ある方々への後押しを効果的に進めるには、シンポールの県ビジネスサポートデスクや現地支援機関に派遣している県職員の力などもしっかりと発揮させる必要があります。 来年度の県当初予算案では、海外をターゲットにした新規事業などに計約八億七千万円を計上され、海外展開を推進する新体制も打ち出されました。新年度から、より多くの成果を生み出せるよう、先般の訪問によって得られた可能性の具現化に向けて今からしっかりと取り組むことが必要なのです。そうして我々訪問団が感じ取ってきた大きなエネルギーをぜひとも県政振興へとつなげていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。知事は、経済交流をはじめとする戦略的な海外展開の推進に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、認知症に優しい地域づくりについてお尋ねいたします。 高齢化の進展とともに認知症の方の増加が見込まれており、令和七年には全国で約七百万人、本県では約九万人、六十五歳以上の方の約五人に一人にもなると推計されています。人生百年時代と言われる中、認知症は自身や家族、身近な人など誰もがなり得るものとして向き合っていかなければならず、認知症になっても本人や家族が安心して暮らしていけるような地域づくりを進めることが重要です。 県では、これまでサポーターの養成やオレンジドクター制度の運用など、やまぐち高齢者プランの下で総合的に施策を進められておられますが、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには地域の方が認知症を知り、また、本人が地域から理解されていると感じられるような認知症に優しい地域づくりが一層重要になってくると考えます。 私の地元、周南市では、認知症に優しい図書館という取組を進めており、広く一般の方が利用する市内の図書館を認知症に優しい地域を支える一員として位置づけ、展示や講演会、相談会等のイベントなど、本人の視点に立った啓発活動を中心として様々な取組を行っています。 先月には、地元の鹿野図書館においても、認知症を正しく理解できる本の紹介やそれを読んだ方の感想の紹介などの展示がされており、地域の中でも話題を呼んだところです。 認知症の方からは、この世界がどう見えているか、御本人やその家族の方がどういう思いで過ごしているか、そういった本人の視点、家族視点を多くの人に理解してもらうことは非常に重要です。 県におかれては周南市のような地域づくりを今後さらに推進していただきたいというふうに思います。 そこでお尋ねいたします。これから高齢化がますます進行する中で、認知症になっても本人や家族が安心して暮らしていける認知症に優しい地域づくりについて、県では今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、野犬対策についてお尋ねをいたします。 私の住んでいる周南市には周南緑地という大きな公園があります。車でのアクセスもよく、たくさんの緑もありますので、市民の憩う公園として親しまれており、週末になると広い公園で遊ぼうと市内外から多くの家族連れがやってきます。 一方で、この公園は野犬が多く生息する公園としても大変有名であります。車で乗りつけやすいので犬を捨てたり餌をあげたりしやすい環境にあることも原因の一つであろうかと思います。また、たくさんの緑は一旦住み着いたら隠れやすく、快適な寝床も確保しやすいのだろうと思います。そのため鳴き声やふんなど周辺住民からの苦情も多く、最近はかなり減少していますが、過去には野犬による咬傷事故も発生しており、地域一帯では長年の問題となっています。 もちろん、県がこうした状況を放置してきたわけではなく、市や県警とも連携して連絡協議会を立ち上げ、無責任な餌やりを防止するパトロールや捕獲に取り組み、効果を上げてこられたことは十分承知しておりますが、令和三年度に県内で捕獲されました千百十三頭の犬のうち、その半数近くに当たる五百十二頭が周南市で捕獲されている現在の異常な状況を一刻も早く解消させる必要があります。 また、捕獲された犬は希望者があれば譲渡されますが、引き取り手のない場合は処分されることとなります。そのため、捕獲された犬の多くは熱心な動物愛護団体などが引き受けているという実態もあります。動物愛護団体では譲渡が進むよう引き取った多くの犬に寄生虫の駆除やワクチン接種を受けさせ、一頭ずつ里親を探す取組を日々行われており、こうした動物愛護団体の皆様の並々ならぬ取組に頭が下がる思いですが、団体の負担は年々増しており、譲渡が進まなければこうした取組もいずれ破綻してしまいます。 犬は猫と違い、狂犬病予防法などにより、県の責務として対応が求められています。また、周南緑地に限らず周南市内やお隣の下松市、防府市の一部の地域でも同様の悩みを抱えているというふうに伺っております。まず何よりも野犬によりけがをされる方をなくし、日々、野犬に恐怖を感じて暮らしておられる方の安心を確保するため、野犬問題の解決に向けて県のさらなる取組が必要だと思います。 そこでお尋ねいたします。県は現在の野犬の状況をどう受け止め、今後、野犬対策にどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の特性を生かしたスマート農業の推進についてお尋ねいたします。 本県の農業は、中山間地域が県土の七割を占めており、他県と比較して農業生産における条件不利地が多く、また、農業従事者の高齢化に伴う労働力の不足や担い手の減少、耕作放棄地の増加等、様々な課題を抱えております。とりわけ、高齢化、労働力不足は深刻であり、生産年齢人口が減少の一途をたどる日本においては、農業だけでなく全ての業種において人材の安定的な確保は喫緊の課題となっております。 また、近年のウクライナ情勢等による燃油、飼料、肥料価格の高騰に伴う生産資材価格の急上昇はコスト上昇分を農産物価格に転嫁しづらい構造とも相まって、農業経営をさらに厳しいものにしています。 私の地元である周南市の農家の方々からも労働力不足や厳しい農業経営に対する悲痛な声が私の元にも届いております。 こうした中、農業の現場においては、これまでも省力化、コスト削減に取り組んでおられることは承知しておりますが、昨今の深刻な労働力不足の解消に向けては中長期的な視点で、さらに踏み込んだ対策が求められています。 そして、その有効な手段の一つとなるのがスマート農業による、さらなる省力化や効率化ではないでしょうか。県におかれては農業経営者や関係団体が一体となってスマート農業の導入の加速を目指す、山口県スマート農業導入加速協議会を設立するなど、スマート農業の円滑な推進に取り組んで来られました。 また、熟練者が持つ技術や知見等の、たくみの技をデジタル技術により見える化し、再現、創出することで本県の地域特性に応じました山口型スマート技術の確立に向けても積極的に取り組んでおられます。 このたびの示されました当初予算案を見ますと、スマート農機や営農管理システム等の農業DX技術の導入支援やデジタル人材の育成に関する予算も計上されており、スマート農業の推進に向けた取組が加速化していくものと期待をしているところであります。 そこでお尋ねいたします。農業従事者の高齢化や労働力不足、生産資材価格の高騰など本県農業が抱える様々な課題の解消に向け、本県の特性を生かしたスマート農業の推進に今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、周南地域の道路整備についてお尋ねいたします。 道路は産業活動の活性化や地域の振興はもとより、県民の安心・安全を支える重要な社会基盤であり、地域ごとの多様な課題やニーズを踏まえ、県内の各地域で整備が進められています。 私の地元である周南市は、海岸線に沿って大規模工場群が立地し、それに接して東西に細長く市街地が形成されています。また、内陸部については緑豊かな自然が広がる中山間地域となっています。こうした特徴を踏まえ、周南市内の道路の整備について二点お伺いをいたします。 まず、一点目は市街地を東西に貫く県道下松新南陽線の整備についてです。県道下松新南陽線は、旧徳山市、旧新南陽市内中心部を通る幹線道路であり、大規模工場群の産業活動や市民の通勤・通学を支える重要な路線です。市街地を通る路線の性格上、慢性的な渋滞に悩まされており、県では渋滞緩和等の観点から市内西松原から西千代田町、おおむね富田川橋の東側まで道路拡幅工事を実施され、令和元年に工事が完了しました。 しかしながら、富田川橋から西側について片側一車線の道路となっており、完全な渋滞解消までには至っていないのが現状であります。地元からもさらなる渋滞緩和を図るため、富田川橋から西側についても早期に四車線化してほしいという声を頂いております。 そこでお尋ねをいたします。周南市街地の道路交通の円滑化を図る観点から、富田川橋から西側の区間について早期に四車線化に取り組むべきと思いますが、県の御所見をお伺いをいたします。 二点目は、内陸の中山間地域における道路の防災対策についてであります。周南市では市街地や中山間地域の各拠点を結ぶように国道三百十五号や国道三百七十六号、国道四百三十四号等の道路が整備されており、自然災害時でも確実に機能するよう国道三百十五号の橋梁耐震化や国道四百三十四号の水越拡幅事業、各所でののり面対策事業等が実施されてきました。 県がこうした道路防災対策に取り組んでこられたことについて評価するものでありますが、先般、周南市高瀬の国道三百七十六号で起こった地滑りによる長期間の通行止めの状況を見ますと、主要な道路であっても防災対策が必要な箇所が依然として存在することや、その重要性について改めて認識をしたところです。 中山間地域では自然災害により孤立する恐れのある集落が数多く存在しており、そこに居住されている住民の方々は災害に強い道路の整備を切実に望んでおられます。 そこでお尋ねいたします。中山間地域における道路防災対策について、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、交通安全施設の計画的整備についてお尋ねします。 昨年中の山口県内における交通事故死者数は、三十件三十一人であり、統計を取り始めた昭和二十六年以降最少となりました。これは昨年の議会でも質問させていただいた高齢者を対象とした交通事故防止対策だけでなく、子供や自転車利用者等の被害に遭いやすい方を対象として重点的な対策を講じてきた山口県警の職員の皆様の努力が実を結んだものと敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。 山口県警では、令和三年三月、山口県警察交通安全施設長寿命化計画を策定して、信号機や横断歩道といったいわゆる交通安全施設を将来にわたってその機能を発揮し続けるための取組を推進していくとしています。その中で、交通安全施設は交通事故抑止に大きく寄与している反面、更新基準を超過したものが多数ある状況であり、老朽化を原因とする信号柱や道路標識の倒壊、傾斜事案等の発生が懸念されることにも言及をしています。 二〇一六年八月には、滋賀県内で老朽化した信号機の誤作動が原因となった衝突事故が発生し、広島県では二〇二一年に信号柱が折れた事故を受けて実施した点検で設置から四十年以上たった信号柱の二五%以上で腐食があったとしています。 これらに関して警察庁は、老朽化を原因とする信号柱や道路標識の倒壊、傾斜事案等が毎年のように発生しているとのコメントを出しており、山口県においても設置後、長期間が経過した信号柱は存在しているという前提の下、対策を取らなくてはなりません。 現在、山口県警察ではさらなる交通死亡事故抑止のため、横断歩道ハンドサイン運動を展開しており、信号機のない横断歩道における歩行者保護を強力に推進していると承知しています。山口県内での信号機のない横断歩道での車両の一時停止率は、全国的に低水準であったものの、県警をはじめとした関係各所の方々によるひたむきな取組の結果、ここ数年で飛躍的に向上しています。しかしながら、摩耗により視認性の低下した横断歩道では運転者から横断歩道であるということが認識されず、効果的な運動が展開できない危険性もあります。信号設備老朽化対策、横断歩道の塗り替え推進ともにさらなる交通事故抑止を推進していくためには必要不可欠なものであると考えます。 そこでお尋ねをいたします。県内における信号柱の現状と、今後の整備計画及び歩行者の安全確保ための横断歩道の塗り替え促進など交通安全施設の計画的整備についてどのように取り組んでいかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。マハロ。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員の御質問のうち、私からは戦略的な海外展開の推進等についてのお尋ねにお答えします。 昨年のシンガポール、ベトナム訪問においては、私は現地の大きな成長エネルギーを肌で実感し、コロナ禍で傷んだ県経済を再生させ、さらに成長させるためには旺盛な海外の需要を積極的に取り込むことが極めて重要であると再認識いたしました。このため、帰国後、直ちに関係部局に対し現地で得た情報や提案等に係る対応を指示したところであり、県議会訪問団の皆様からも県産品の輸出やインバウンドの拡大など、本県の今後の海外展開の推進に向けた要請を頂きました。 このうち、お示しのとおり、先月にはベトナムへのフグ輸出の早期実現に向けた二国間協議の促進について、県議会と連携し農林水産大臣に対して要望を行ったところです。 コロナ対策が緩和されてきた今、私はこの機を逸することなく海外展開の取組を再始動させる必要があるとの認識に立ち、来年度関連予算を大幅に増額し、重点的かつ具体的な施策を強力に推進してまいります。 まず、中小企業の海外展開については、シンガポールに設置したサポートデスクによる現地ニーズの把握や展示会の出展支援等に加え、新たに県人会と連携し、さらなる商談機会の創出に取り組むなど企業への支援を強化します。 また農林水産物等の輸出拡大については、輸出事業者や関係団体等で構成する新たな輸出プラットフォームを創設することにより、商社機能を有する事業体の育成や輸送コストの低減を進め、輸出力の強化に取り組みます。 さらに、インバウンドの拡大に向けては、海外に配置した観光プロモーターと連携し機を逃さず戦略的なプロモーションや本県の魅力を発信する新たなキャンペーンを展開するとともに、韓国や台湾、ベトナム等との国際チャーター便の早期就航に向けて取り組んでまいります。 加えて、海外人材の受入れについても介護分野において関係機関等との協議を進めるなど、円滑な受入れに向けて取り組んでいるところです。 また、こうした取組をさらに戦略的かつ迅速に推進するため、各部局で実施する取組を総括的にマネジメントする部署として、新設の産業労働部に、海外展開推進室を新たに設置し、体制の強化を図ることとしています。 私は、今後とも県議会の要請等を踏まえ、新たな推進体制の下、県人会等とのネットワークも活用しながら、成長著しい海外の需要を取り込み、本県経済の発展的再生へと導く戦略的な海外展開の取組を全力で推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)認知症に優しい地域づくりについてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進展に伴い、認知症の人の一層の増加が見込まれる中、認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられることが重要です。 このため県では、認知症の人やその家族が希望を持って暮らせるよう、認知症に関する社会の理解を深め、本人や家族の視点を重視した地域づくりを推進することとしています。 まず、認知症に関する理解の促進に向けては、市町等と連携して認知症に関する正しい知識や理解を持つ認知症サポーターの養成や、世界アルツハイマーデーを含む九月を中心としたパネル展示やイベント等による普及啓発に取り組んでいます。 また、本人や家族の視点を重視した地域づくりに向けては、地域の中で認知症の人や家族への相談支援を行う地域支援推進員などの関係者を対象として、認知症の人本人の声を生かした取組等を実践的に学ぶセミナーを開催し、その活動の促進を図っているところです。 こうした取組をさらに進めるためには、お示しのように認知症の人自身が本人だからこそ気づける視点や、できることを生かしながら自分らしく暮らす姿をより一層発信する機会を広げ、地域とのつながりの大切さや認知症の人に対する理解を深めていくことが重要です。 このため県では、来年度、新たに共に地域づくりに参画していただける認知症の方を、やまぐち希望大使として任命し、その方の生きがいを持って暮らす姿や思いなどをメッセージ動画や市町の啓発事業への協力等を通じて、広く県民に発信していくこととしています。 こうした希望大使の活動を通じて、認知症の人本人の視点に立った普及啓発を展開し、地域全体で認知症の理解促進を図ることにより、認知症があってもなくても同じ社会の一員として共に暮らせる地域づくりにつなげてまいります。 県としましては、今後とも市町や関係団体等と連携しながら認知症になっても安心して希望を持って暮らし続けられる地域づくりに向け、認知症施策の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)野犬対策についてのお尋ねにお答えします。 野犬は飼い犬の遺棄や無責任な餌やりなどにより特定の地域に住み着き、人に危害を及ぼす恐れがあることから、地域住民に大きな不安を与えています。 このため県では、市町や警察、自治会等と連携して野犬の捕獲等の対策に取り組み、とりわけ県内の捕獲頭数の約半数を占める周南市については協議会を設置して取組を強化してきたところです。 その結果、令和三年度の野犬の捕獲頭数や通報件数は、近年のピークである平成二十九年度の七割にまで減少しており、一定の成果が上がっているものと考えています。 しかしながら、周南市などお示しの地域では、依然として多くの野犬が定着していることから、県ではこうした状況を改善し、住民が安心して暮らせるよう捕獲の強化に一層取り組むこととしています。 具体的には、まず、市町や関係機関等と緊密に連携し、パトロールや現地調査を適時適切に実施するとともに、DX推進拠点「Y─BASE」がデータ利用の技術支援を行った、しゅうなん通報アプリの活用等による野犬の集中捕獲や無責任な餌やりの監視指導を迅速かつ確実に行ってまいります。 また、周南環境保健所が、今年度、大型捕獲おりにIPカメラとインターネットを介した遠隔操作システムを独自に製作し、大きな成果を上げていることから、他の地域でも状況に応じて導入するなど、今後ともより実効性が上がる捕獲を実施してまいります。 こうした取組に加え、新たに野犬を生み出さないよう、飼い主に対する終生飼養やマイクロチップ等の所有者明示、不妊・去勢等の繁殖制限措置などの普及啓発を充実していきたいと考えています。 また、捕獲した犬の譲渡が円滑に進むよう、従来から実施してきたマイクロチップ装着や寄生虫駆除に加え、来年度からは新たに感染症予防のワクチン接種を実施することとしています。 さらに、今年度から動物愛護センターの来場者と動物愛護団体をオンラインでつなぎ、団体の活動を支援する譲渡会を試行的に開始しており、来年度からの定期的な実施に向けて検討してまいります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、今後とも市町や関係機関等と緊密に連携し、野犬対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)本県の特性を生かしたスマート農業の推進についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む本県において、スマート農業は飛躍的な生産性の向上が期待できることから、県ではこれまでAI等を活用したデジタル技術の確立や、中核経営体へのスマート農機の導入等に取り組んできたところです。 この結果、かんきつ栽培における自動管理システムをはじめ、地域特性に応じた六つの山口型スマート技術の確立に向けた産学公連携の取組が加速化するとともに、ドローンや直進機能付トラクターなどのスマート農機が二百四十二の中核経営体に導入されています。 こうした中、お示しのように深刻な労働力不足に加え、生産資材価格の急騰などの影響により農業経営は厳しさを増していることから、スマート農機の取組を一層進めることにより、さらなる省力化や効率化を図る必要があります。 このため県では、今後も中核経営体が力強く経営継続できるよう、来年度予算において農業DX技術の導入を加速するとともに、データやデジタル技術を駆使できる即戦力人材の育成を進めることとしています。 まず、農業DX技術の導入については、新たに県内各地域のモデル経営体において人工衛星やスマート農機を通じて得られたデータを営農管理システムで集約・分析し、活用することで労働生産性や農産物の品質向上等につなげます。 また、この取組が円滑に進むよう、ITサービス事業者等で構成する支援チームを経営体に派遣するとともに、モデル実証による成果を広く普及するため、地域の指導者等を対象とした農業DXセミナーの開催や、データ活用の手引を作成します。 さらに、人材育成については、農業大学校においてデータ活用により作業の改善を図るカリキュラムを確立するほか、仮想空間で農業機械の操作を体験できるVR動画等のデジタルコンテンツを導入するなど、実践的で最先端の学修体制を整備します。 県としては、本県農業が生産性と持続性を両立した強い産業となるよう、いよいよ四月に供用開始する農林業の知と技の拠点を核に関係団体等と緊密に連携しながら、本県の特性を生かしたスマート農業の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)周南地域の道路整備についてのお尋ねにお答えします。 まず、県道下松新南陽線の整備についてです。県道下松新南陽線は、旧徳山市や旧新南陽市の中心市街地を通る幹線道路であり、また、近隣の小中学校の通学路に指定されていることから円滑な交通や安心・安全な歩行空間の確保を図ることが重要です。 このため県では、順次道路を拡幅し、併せて歩道の設置を進めているところであり、お示しの周南市西松原から富田川橋東側まで一・一キロメートルの区間等について整備を完了したところです。 お尋ねの富田川橋から西側、川手交差点までの〇・七キロメートルの区間については、昨年末から地域の方々への四車線化に向けた説明会の開催や、現地の測量等を進めており、来年度から新たに富田川橋の架け替えのための地質調査や詳細設計にも着手することとしています。 県としては、地域の皆様の御協力も頂きながら、今後とも当該区間の早期工事着手に向け積極的に取り組んでまいります。 次に、中山間地域における道路の防災対策についてです。 近年、記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化する中、県民の安心・安全を確保するためには道路の防災対策を進めていくことが重要です。 このため県では、災害時の救助・救援活動などに大きな役割を果たす緊急輸送道路等において土砂崩れを防止するためののり面対策や、橋梁の耐震化などを緊急性の高い箇所から、順次、実施しています。 また、災害により集落が孤立する恐れがある中山間地域や島嶼部の道路においても災害時に機能するよう防災対策を進めているところです。 具体的には、周南市内においても地形上、迂回路を設けることが困難な国道四百三十四号の金峰地区におけるのり面対策や、粭島につながる小瀬戸橋の耐震化などに取り組んでおり、引き続き、国の五か年加速化対策の予算も活用しながら実施していくこととしています。 県としては、今後とも災害に強い県づくりを推進するため、中山間地域における道路の防災対策を着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)交通安全施設の計画的な整備のお尋ねについてお答えいたします。 昨年の山口県内における交通事故死者数は、議員お示しのとおり三十一名で、統計を取り始めて以降、過去最少を更新しました。 中でも下松市、岩国市、光市、山陽小野田市の四市に加え、五つの町では交通死亡事故の発生がありませんでした。こうした結果は、ひとえに議員の皆様方をはじめ、平素から交通安全活動に携わる方々の御尽力の賜物であると、この場を借りて改めて感謝申し上げます。 他方で、本年二月下旬以降、高齢者が関係する死亡事故が連続して発生したことから、本日、山口県が県内全域に高齢者交通死亡事故多発警報を発令する見込みです。 県警察におきましても、こうした情勢を重く受け止め、関係機関・団体と連携しながら、御高齢の運転者や歩行者に対する街頭指導などの取組を強化してまいります。 お尋ねの信号機や横断歩道をはじめとした交通安全施設は、交通の安全と円滑を確保する上で高い効果を発揮するものでありますが、現状では、耐用年数を超えたものや摩耗により視認性が低下したものが認められ、議員御指摘のとおり老朽化に起因する信号柱の倒壊や摩耗した横断歩道の安全性の低下などが懸念されております。 具体的には、昨年末現在、信号柱については県内で約一万一千本ありますが、そのうち耐用年数を超過したものが約二割、横断歩道については県内約八千か所ありますが、そのうち補修が必要と認められる箇所については約一割を把握しております。 これらの交通安全施設の更新や補修については、将来にわたってその効果を継続的に発揮させていくためのメンテナンスサイクルの構築、長寿命化構造の採用などに取り組んでいるところです。 また、国の補助金を有効活用するなど限られた予算の効率的な執行に努め、信号柱の更新スピードを加速化しているほか、横断歩道については摩耗状況を勘案して部分的な補修を行うなど、より多くの補修が行われるよう努めているところです さらに、更新や補修以外にもストック数の適切な管理についても重要と考えており、交通安全施設の新設については交通量、交通事故の発生状況などを調査・分析した上で、真に必要性の高い場所を選定して整備しております。 一方で、学校の統廃合や道路の新設などによる交通流の変化により、必要性の低下した信号機や横断歩道については、地元住民の方などに丁寧に説明した上で撤去を行うなど、交通安全施設の見直しにも取り組んでおります。 県警察といたしましては、引き続き、安全・安心な道路交通環境の構築のため、交通安全施設の計画的な更新や補修及び不断の見直しに努めてまいります ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第六十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 おはようございます。自由民主党の坂本心次でございます。通告に従いまして一般質問を行います。 まず、最初に、戦略的な海外展開の推進等についてお尋ねいたします。 我が会派の代表質問で触れましたように、本県の将来を切り開く上で海外展開を力強く再起動させることは大変重要であります。また、昨今の国際情勢を見ると、経済安全保障や食料安全保障の面から自由、基本的人権、法の支配といった価値観を共有できる国や地域と、自治体間で交流を進める意義もかつてないほど高まっています。 昨年十一月、私も県議会訪問団の一員としてシンガポール、ベトナム、フィリピンを訪問いたしました。渡航前三か国の経済、社会情勢などを頭に叩き込み、その急速な成長ぶりなどは把握しておりましたが、実際に現地に立ってみますと予想をはるかに超えたその圧倒的なエネルギーに、私は大きな衝撃を受けたのであります。 インバウンドの促進策、県産品の販路拡大、人材交流など、そうした活気や熱量から次々と生み出される提案はどれも大変魅力的であり、実現への期待感や本県が持つ可能性を強く感じたところであります。これらのうち、ベトナムへのフグの輸出については先月十日、村岡知事と柳居議長、県議会ASEAN議連のメンバーが具体的な輸出障壁の撤廃を直接国に求められ、実現に向けて早速に動き出されています。 一方で、各国の水際対策緩和や円安基調などにより海外をめぐる自治体間の競争も日に日に激化しており、フグ以外の提案についてもこうしたスピード感ある取組によって前へと進めなくてはなりません。待てば海路の日和ありでは急激な時代の流れに取り残されてしまいかねず、県自らが積極的にアプローチする、まさに戦略的に取り組むことでチャンスをしっかりとものにしていただきたいものであります。 また、私の地元でもシンガポールや台湾の展示会に出展され、半導体製造装置の関連部品や冷凍食品の輸出拡大に力を入れる事業者の方々がおられます。コロナ禍の様々な制限が緩和された今、こうした意欲ある方々への後押しを効果的に進めるには、シンポールの県ビジネスサポートデスクや現地支援機関に派遣している県職員の力などもしっかりと発揮させる必要があります。 来年度の県当初予算案では、海外をターゲットにした新規事業などに計約八億七千万円を計上され、海外展開を推進する新体制も打ち出されました。新年度から、より多くの成果を生み出せるよう、先般の訪問によって得られた可能性の具現化に向けて今からしっかりと取り組むことが必要なのです。そうして我々訪問団が感じ取ってきた大きなエネルギーをぜひとも県政振興へとつなげていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。知事は、経済交流をはじめとする戦略的な海外展開の推進に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、認知症に優しい地域づくりについてお尋ねいたします。 高齢化の進展とともに認知症の方の増加が見込まれており、令和七年には全国で約七百万人、本県では約九万人、六十五歳以上の方の約五人に一人にもなると推計されています。人生百年時代と言われる中、認知症は自身や家族、身近な人など誰もがなり得るものとして向き合っていかなければならず、認知症になっても本人や家族が安心して暮らしていけるような地域づくりを進めることが重要です。 県では、これまでサポーターの養成やオレンジドクター制度の運用など、やまぐち高齢者プランの下で総合的に施策を進められておられますが、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには地域の方が認知症を知り、また、本人が地域から理解されていると感じられるような認知症に優しい地域づくりが一層重要になってくると考えます。 私の地元、周南市では、認知症に優しい図書館という取組を進めており、広く一般の方が利用する市内の図書館を認知症に優しい地域を支える一員として位置づけ、展示や講演会、相談会等のイベントなど、本人の視点に立った啓発活動を中心として様々な取組を行っています。 先月には、地元の鹿野図書館においても、認知症を正しく理解できる本の紹介やそれを読んだ方の感想の紹介などの展示がされており、地域の中でも話題を呼んだところです。 認知症の方からは、この世界がどう見えているか、御本人やその家族の方がどういう思いで過ごしているか、そういった本人の視点、家族視点を多くの人に理解してもらうことは非常に重要です。 県におかれては周南市のような地域づくりを今後さらに推進していただきたいというふうに思います。 そこでお尋ねいたします。これから高齢化がますます進行する中で、認知症になっても本人や家族が安心して暮らしていける認知症に優しい地域づくりについて、県では今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、野犬対策についてお尋ねをいたします。 私の住んでいる周南市には周南緑地という大きな公園があります。車でのアクセスもよく、たくさんの緑もありますので、市民の憩う公園として親しまれており、週末になると広い公園で遊ぼうと市内外から多くの家族連れがやってきます。 一方で、この公園は野犬が多く生息する公園としても大変有名であります。車で乗りつけやすいので犬を捨てたり餌をあげたりしやすい環境にあることも原因の一つであろうかと思います。また、たくさんの緑は一旦住み着いたら隠れやすく、快適な寝床も確保しやすいのだろうと思います。そのため鳴き声やふんなど周辺住民からの苦情も多く、最近はかなり減少していますが、過去には野犬による咬傷事故も発生しており、地域一帯では長年の問題となっています。 もちろん、県がこうした状況を放置してきたわけではなく、市や県警とも連携して連絡協議会を立ち上げ、無責任な餌やりを防止するパトロールや捕獲に取り組み、効果を上げてこられたことは十分承知しておりますが、令和三年度に県内で捕獲されました千百十三頭の犬のうち、その半数近くに当たる五百十二頭が周南市で捕獲されている現在の異常な状況を一刻も早く解消させる必要があります。 また、捕獲された犬は希望者があれば譲渡されますが、引き取り手のない場合は処分されることとなります。そのため、捕獲された犬の多くは熱心な動物愛護団体などが引き受けているという実態もあります。動物愛護団体では譲渡が進むよう引き取った多くの犬に寄生虫の駆除やワクチン接種を受けさせ、一頭ずつ里親を探す取組を日々行われており、こうした動物愛護団体の皆様の並々ならぬ取組に頭が下がる思いですが、団体の負担は年々増しており、譲渡が進まなければこうした取組もいずれ破綻してしまいます。 犬は猫と違い、狂犬病予防法などにより、県の責務として対応が求められています。また、周南緑地に限らず周南市内やお隣の下松市、防府市の一部の地域でも同様の悩みを抱えているというふうに伺っております。まず何よりも野犬によりけがをされる方をなくし、日々、野犬に恐怖を感じて暮らしておられる方の安心を確保するため、野犬問題の解決に向けて県のさらなる取組が必要だと思います。 そこでお尋ねいたします。県は現在の野犬の状況をどう受け止め、今後、野犬対策にどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の特性を生かしたスマート農業の推進についてお尋ねいたします。 本県の農業は、中山間地域が県土の七割を占めており、他県と比較して農業生産における条件不利地が多く、また、農業従事者の高齢化に伴う労働力の不足や担い手の減少、耕作放棄地の増加等、様々な課題を抱えております。とりわけ、高齢化、労働力不足は深刻であり、生産年齢人口が減少の一途をたどる日本においては、農業だけでなく全ての業種において人材の安定的な確保は喫緊の課題となっております。 また、近年のウクライナ情勢等による燃油、飼料、肥料価格の高騰に伴う生産資材価格の急上昇はコスト上昇分を農産物価格に転嫁しづらい構造とも相まって、農業経営をさらに厳しいものにしています。 私の地元である周南市の農家の方々からも労働力不足や厳しい農業経営に対する悲痛な声が私の元にも届いております。 こうした中、農業の現場においては、これまでも省力化、コスト削減に取り組んでおられることは承知しておりますが、昨今の深刻な労働力不足の解消に向けては中長期的な視点で、さらに踏み込んだ対策が求められています。 そして、その有効な手段の一つとなるのがスマート農業による、さらなる省力化や効率化ではないでしょうか。県におかれては農業経営者や関係団体が一体となってスマート農業の導入の加速を目指す、山口県スマート農業導入加速協議会を設立するなど、スマート農業の円滑な推進に取り組んで来られました。 また、熟練者が持つ技術や知見等の、たくみの技をデジタル技術により見える化し、再現、創出することで本県の地域特性に応じました山口型スマート技術の確立に向けても積極的に取り組んでおられます。 このたびの示されました当初予算案を見ますと、スマート農機や営農管理システム等の農業DX技術の導入支援やデジタル人材の育成に関する予算も計上されており、スマート農業の推進に向けた取組が加速化していくものと期待をしているところであります。 そこでお尋ねいたします。農業従事者の高齢化や労働力不足、生産資材価格の高騰など本県農業が抱える様々な課題の解消に向け、本県の特性を生かしたスマート農業の推進に今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、周南地域の道路整備についてお尋ねいたします。 道路は産業活動の活性化や地域の振興はもとより、県民の安心・安全を支える重要な社会基盤であり、地域ごとの多様な課題やニーズを踏まえ、県内の各地域で整備が進められています。 私の地元である周南市は、海岸線に沿って大規模工場群が立地し、それに接して東西に細長く市街地が形成されています。また、内陸部については緑豊かな自然が広がる中山間地域となっています。こうした特徴を踏まえ、周南市内の道路の整備について二点お伺いをいたします。 まず、一点目は市街地を東西に貫く県道下松新南陽線の整備についてです。県道下松新南陽線は、旧徳山市、旧新南陽市内中心部を通る幹線道路であり、大規模工場群の産業活動や市民の通勤・通学を支える重要な路線です。市街地を通る路線の性格上、慢性的な渋滞に悩まされており、県では渋滞緩和等の観点から市内西松原から西千代田町、おおむね富田川橋の東側まで道路拡幅工事を実施され、令和元年に工事が完了しました。 しかしながら、富田川橋から西側について片側一車線の道路となっており、完全な渋滞解消までには至っていないのが現状であります。地元からもさらなる渋滞緩和を図るため、富田川橋から西側についても早期に四車線化してほしいという声を頂いております。 そこでお尋ねをいたします。周南市街地の道路交通の円滑化を図る観点から、富田川橋から西側の区間について早期に四車線化に取り組むべきと思いますが、県の御所見をお伺いをいたします。 二点目は、内陸の中山間地域における道路の防災対策についてであります。周南市では市街地や中山間地域の各拠点を結ぶように国道三百十五号や国道三百七十六号、国道四百三十四号等の道路が整備されており、自然災害時でも確実に機能するよう国道三百十五号の橋梁耐震化や国道四百三十四号の水越拡幅事業、各所でののり面対策事業等が実施されてきました。 県がこうした道路防災対策に取り組んでこられたことについて評価するものでありますが、先般、周南市高瀬の国道三百七十六号で起こった地滑りによる長期間の通行止めの状況を見ますと、主要な道路であっても防災対策が必要な箇所が依然として存在することや、その重要性について改めて認識をしたところです。 中山間地域では自然災害により孤立する恐れのある集落が数多く存在しており、そこに居住されている住民の方々は災害に強い道路の整備を切実に望んでおられます。 そこでお尋ねいたします。中山間地域における道路防災対策について、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、交通安全施設の計画的整備についてお尋ねします。 昨年中の山口県内における交通事故死者数は、三十件三十一人であり、統計を取り始めた昭和二十六年以降最少となりました。これは昨年の議会でも質問させていただいた高齢者を対象とした交通事故防止対策だけでなく、子供や自転車利用者等の被害に遭いやすい方を対象として重点的な対策を講じてきた山口県警の職員の皆様の努力が実を結んだものと敬意を表しますとともに感謝を申し上げます。 山口県警では、令和三年三月、山口県警察交通安全施設長寿命化計画を策定して、信号機や横断歩道といったいわゆる交通安全施設を将来にわたってその機能を発揮し続けるための取組を推進していくとしています。その中で、交通安全施設は交通事故抑止に大きく寄与している反面、更新基準を超過したものが多数ある状況であり、老朽化を原因とする信号柱や道路標識の倒壊、傾斜事案等の発生が懸念されることにも言及をしています。 二〇一六年八月には、滋賀県内で老朽化した信号機の誤作動が原因となった衝突事故が発生し、広島県では二〇二一年に信号柱が折れた事故を受けて実施した点検で設置から四十年以上たった信号柱の二五%以上で腐食があったとしています。 これらに関して警察庁は、老朽化を原因とする信号柱や道路標識の倒壊、傾斜事案等が毎年のように発生しているとのコメントを出しており、山口県においても設置後、長期間が経過した信号柱は存在しているという前提の下、対策を取らなくてはなりません。 現在、山口県警察ではさらなる交通死亡事故抑止のため、横断歩道ハンドサイン運動を展開しており、信号機のない横断歩道における歩行者保護を強力に推進していると承知しています。山口県内での信号機のない横断歩道での車両の一時停止率は、全国的に低水準であったものの、県警をはじめとした関係各所の方々によるひたむきな取組の結果、ここ数年で飛躍的に向上しています。しかしながら、摩耗により視認性の低下した横断歩道では運転者から横断歩道であるということが認識されず、効果的な運動が展開できない危険性もあります。信号設備老朽化対策、横断歩道の塗り替え推進ともにさらなる交通事故抑止を推進していくためには必要不可欠なものであると考えます。 そこでお尋ねをいたします。県内における信号柱の現状と、今後の整備計画及び歩行者の安全確保ための横断歩道の塗り替え促進など交通安全施設の計画的整備についてどのように取り組んでいかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございます。マハロ。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員の御質問のうち、私からは戦略的な海外展開の推進等についてのお尋ねにお答えします。 昨年のシンガポール、ベトナム訪問においては、私は現地の大きな成長エネルギーを肌で実感し、コロナ禍で傷んだ県経済を再生させ、さらに成長させるためには旺盛な海外の需要を積極的に取り込むことが極めて重要であると再認識いたしました。このため、帰国後、直ちに関係部局に対し現地で得た情報や提案等に係る対応を指示したところであり、県議会訪問団の皆様からも県産品の輸出やインバウンドの拡大など、本県の今後の海外展開の推進に向けた要請を頂きました。 このうち、お示しのとおり、先月にはベトナムへのフグ輸出の早期実現に向けた二国間協議の促進について、県議会と連携し農林水産大臣に対して要望を行ったところです。 コロナ対策が緩和されてきた今、私はこの機を逸することなく海外展開の取組を再始動させる必要があるとの認識に立ち、来年度関連予算を大幅に増額し、重点的かつ具体的な施策を強力に推進してまいります。 まず、中小企業の海外展開については、シンガポールに設置したサポートデスクによる現地ニーズの把握や展示会の出展支援等に加え、新たに県人会と連携し、さらなる商談機会の創出に取り組むなど企業への支援を強化します。 また農林水産物等の輸出拡大については、輸出事業者や関係団体等で構成する新たな輸出プラットフォームを創設することにより、商社機能を有する事業体の育成や輸送コストの低減を進め、輸出力の強化に取り組みます。 さらに、インバウンドの拡大に向けては、海外に配置した観光プロモーターと連携し機を逃さず戦略的なプロモーションや本県の魅力を発信する新たなキャンペーンを展開するとともに、韓国や台湾、ベトナム等との国際チャーター便の早期就航に向けて取り組んでまいります。 加えて、海外人材の受入れについても介護分野において関係機関等との協議を進めるなど、円滑な受入れに向けて取り組んでいるところです。 また、こうした取組をさらに戦略的かつ迅速に推進するため、各部局で実施する取組を総括的にマネジメントする部署として、新設の産業労働部に、海外展開推進室を新たに設置し、体制の強化を図ることとしています。 私は、今後とも県議会の要請等を踏まえ、新たな推進体制の下、県人会等とのネットワークも活用しながら、成長著しい海外の需要を取り込み、本県経済の発展的再生へと導く戦略的な海外展開の取組を全力で推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)認知症に優しい地域づくりについてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進展に伴い、認知症の人の一層の増加が見込まれる中、認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けられることが重要です。 このため県では、認知症の人やその家族が希望を持って暮らせるよう、認知症に関する社会の理解を深め、本人や家族の視点を重視した地域づくりを推進することとしています。 まず、認知症に関する理解の促進に向けては、市町等と連携して認知症に関する正しい知識や理解を持つ認知症サポーターの養成や、世界アルツハイマーデーを含む九月を中心としたパネル展示やイベント等による普及啓発に取り組んでいます。 また、本人や家族の視点を重視した地域づくりに向けては、地域の中で認知症の人や家族への相談支援を行う地域支援推進員などの関係者を対象として、認知症の人本人の声を生かした取組等を実践的に学ぶセミナーを開催し、その活動の促進を図っているところです。 こうした取組をさらに進めるためには、お示しのように認知症の人自身が本人だからこそ気づける視点や、できることを生かしながら自分らしく暮らす姿をより一層発信する機会を広げ、地域とのつながりの大切さや認知症の人に対する理解を深めていくことが重要です。 このため県では、来年度、新たに共に地域づくりに参画していただける認知症の方を、やまぐち希望大使として任命し、その方の生きがいを持って暮らす姿や思いなどをメッセージ動画や市町の啓発事業への協力等を通じて、広く県民に発信していくこととしています。 こうした希望大使の活動を通じて、認知症の人本人の視点に立った普及啓発を展開し、地域全体で認知症の理解促進を図ることにより、認知症があってもなくても同じ社会の一員として共に暮らせる地域づくりにつなげてまいります。 県としましては、今後とも市町や関係団体等と連携しながら認知症になっても安心して希望を持って暮らし続けられる地域づくりに向け、認知症施策の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)野犬対策についてのお尋ねにお答えします。 野犬は飼い犬の遺棄や無責任な餌やりなどにより特定の地域に住み着き、人に危害を及ぼす恐れがあることから、地域住民に大きな不安を与えています。 このため県では、市町や警察、自治会等と連携して野犬の捕獲等の対策に取り組み、とりわけ県内の捕獲頭数の約半数を占める周南市については協議会を設置して取組を強化してきたところです。 その結果、令和三年度の野犬の捕獲頭数や通報件数は、近年のピークである平成二十九年度の七割にまで減少しており、一定の成果が上がっているものと考えています。 しかしながら、周南市などお示しの地域では、依然として多くの野犬が定着していることから、県ではこうした状況を改善し、住民が安心して暮らせるよう捕獲の強化に一層取り組むこととしています。 具体的には、まず、市町や関係機関等と緊密に連携し、パトロールや現地調査を適時適切に実施するとともに、DX推進拠点「Y─BASE」がデータ利用の技術支援を行った、しゅうなん通報アプリの活用等による野犬の集中捕獲や無責任な餌やりの監視指導を迅速かつ確実に行ってまいります。 また、周南環境保健所が、今年度、大型捕獲おりにIPカメラとインターネットを介した遠隔操作システムを独自に製作し、大きな成果を上げていることから、他の地域でも状況に応じて導入するなど、今後ともより実効性が上がる捕獲を実施してまいります。 こうした取組に加え、新たに野犬を生み出さないよう、飼い主に対する終生飼養やマイクロチップ等の所有者明示、不妊・去勢等の繁殖制限措置などの普及啓発を充実していきたいと考えています。 また、捕獲した犬の譲渡が円滑に進むよう、従来から実施してきたマイクロチップ装着や寄生虫駆除に加え、来年度からは新たに感染症予防のワクチン接種を実施することとしています。 さらに、今年度から動物愛護センターの来場者と動物愛護団体をオンラインでつなぎ、団体の活動を支援する譲渡会を試行的に開始しており、来年度からの定期的な実施に向けて検討してまいります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、今後とも市町や関係機関等と緊密に連携し、野犬対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)本県の特性を生かしたスマート農業の推進についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む本県において、スマート農業は飛躍的な生産性の向上が期待できることから、県ではこれまでAI等を活用したデジタル技術の確立や、中核経営体へのスマート農機の導入等に取り組んできたところです。 この結果、かんきつ栽培における自動管理システムをはじめ、地域特性に応じた六つの山口型スマート技術の確立に向けた産学公連携の取組が加速化するとともに、ドローンや直進機能付トラクターなどのスマート農機が二百四十二の中核経営体に導入されています。 こうした中、お示しのように深刻な労働力不足に加え、生産資材価格の急騰などの影響により農業経営は厳しさを増していることから、スマート農機の取組を一層進めることにより、さらなる省力化や効率化を図る必要があります。 このため県では、今後も中核経営体が力強く経営継続できるよう、来年度予算において農業DX技術の導入を加速するとともに、データやデジタル技術を駆使できる即戦力人材の育成を進めることとしています。 まず、農業DX技術の導入については、新たに県内各地域のモデル経営体において人工衛星やスマート農機を通じて得られたデータを営農管理システムで集約・分析し、活用することで労働生産性や農産物の品質向上等につなげます。 また、この取組が円滑に進むよう、ITサービス事業者等で構成する支援チームを経営体に派遣するとともに、モデル実証による成果を広く普及するため、地域の指導者等を対象とした農業DXセミナーの開催や、データ活用の手引を作成します。 さらに、人材育成については、農業大学校においてデータ活用により作業の改善を図るカリキュラムを確立するほか、仮想空間で農業機械の操作を体験できるVR動画等のデジタルコンテンツを導入するなど、実践的で最先端の学修体制を整備します。 県としては、本県農業が生産性と持続性を両立した強い産業となるよう、いよいよ四月に供用開始する農林業の知と技の拠点を核に関係団体等と緊密に連携しながら、本県の特性を生かしたスマート農業の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)周南地域の道路整備についてのお尋ねにお答えします。 まず、県道下松新南陽線の整備についてです。県道下松新南陽線は、旧徳山市や旧新南陽市の中心市街地を通る幹線道路であり、また、近隣の小中学校の通学路に指定されていることから円滑な交通や安心・安全な歩行空間の確保を図ることが重要です。 このため県では、順次道路を拡幅し、併せて歩道の設置を進めているところであり、お示しの周南市西松原から富田川橋東側まで一・一キロメートルの区間等について整備を完了したところです。 お尋ねの富田川橋から西側、川手交差点までの〇・七キロメートルの区間については、昨年末から地域の方々への四車線化に向けた説明会の開催や、現地の測量等を進めており、来年度から新たに富田川橋の架け替えのための地質調査や詳細設計にも着手することとしています。 県としては、地域の皆様の御協力も頂きながら、今後とも当該区間の早期工事着手に向け積極的に取り組んでまいります。 次に、中山間地域における道路の防災対策についてです。 近年、記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化する中、県民の安心・安全を確保するためには道路の防災対策を進めていくことが重要です。 このため県では、災害時の救助・救援活動などに大きな役割を果たす緊急輸送道路等において土砂崩れを防止するためののり面対策や、橋梁の耐震化などを緊急性の高い箇所から、順次、実施しています。 また、災害により集落が孤立する恐れがある中山間地域や島嶼部の道路においても災害時に機能するよう防災対策を進めているところです。 具体的には、周南市内においても地形上、迂回路を設けることが困難な国道四百三十四号の金峰地区におけるのり面対策や、粭島につながる小瀬戸橋の耐震化などに取り組んでおり、引き続き、国の五か年加速化対策の予算も活用しながら実施していくこととしています。 県としては、今後とも災害に強い県づくりを推進するため、中山間地域における道路の防災対策を着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)交通安全施設の計画的な整備のお尋ねについてお答えいたします。 昨年の山口県内における交通事故死者数は、議員お示しのとおり三十一名で、統計を取り始めて以降、過去最少を更新しました。 中でも下松市、岩国市、光市、山陽小野田市の四市に加え、五つの町では交通死亡事故の発生がありませんでした。こうした結果は、ひとえに議員の皆様方をはじめ、平素から交通安全活動に携わる方々の御尽力の賜物であると、この場を借りて改めて感謝申し上げます。 他方で、本年二月下旬以降、高齢者が関係する死亡事故が連続して発生したことから、本日、山口県が県内全域に高齢者交通死亡事故多発警報を発令する見込みです。 県警察におきましても、こうした情勢を重く受け止め、関係機関・団体と連携しながら、御高齢の運転者や歩行者に対する街頭指導などの取組を強化してまいります。 お尋ねの信号機や横断歩道をはじめとした交通安全施設は、交通の安全と円滑を確保する上で高い効果を発揮するものでありますが、現状では、耐用年数を超えたものや摩耗により視認性が低下したものが認められ、議員御指摘のとおり老朽化に起因する信号柱の倒壊や摩耗した横断歩道の安全性の低下などが懸念されております。 具体的には、昨年末現在、信号柱については県内で約一万一千本ありますが、そのうち耐用年数を超過したものが約二割、横断歩道については県内約八千か所ありますが、そのうち補修が必要と認められる箇所については約一割を把握しております。 これらの交通安全施設の更新や補修については、将来にわたってその効果を継続的に発揮させていくためのメンテナンスサイクルの構築、長寿命化構造の採用などに取り組んでいるところです。 また、国の補助金を有効活用するなど限られた予算の効率的な執行に努め、信号柱の更新スピードを加速化しているほか、横断歩道については摩耗状況を勘案して部分的な補修を行うなど、より多くの補修が行われるよう努めているところです。 さらに、更新や補修以外にもストック数の適切な管理についても重要と考えており、交通安全施設の新設については交通量、交通事故の発生状況などを調査・分析した上で、真に必要性の高い場所を選定して整備しております。 一方で、学校の統廃合や道路の新設などによる交通流の変化により、必要性の低下した信号機や横断歩道については、地元住民の方などに丁寧に説明した上で撤去を行うなど、交通安全施設の見直しにも取り組んでおります。 県警察といたしましては、引き続き、安全・安心な道路交通環境の構築のため、交通安全施設の計画的な更新や補修及び不断の見直しに努めてまいります。