1 スクールソーシャルワーカーの充実について 2 地域の救急医療体制の充実について 3 自動車関連産業の成長促進について 4 企業局の経営について 5 スタートアップの創出について 6 県民一人ひとりが主体となって取り組む地球温暖化対策について 7 その他
議長(柳居俊学君)高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 皆様、おはようございます。自民党会派の高井智子です。通告に従い、質問をさせていただきます。 最初に、スクールソーシャルワーカーの充実についてお伺いいたします。 昨年十月、文部科学省は、令和三年度における児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表しました。 それによると、全国の小中学校における不登校児童生徒数は二十四万四千九百四十人で、過去最多を記録しました。 本県でも、小中学校で二千六百三人、高校で三百四十八人と、いずれも昨年度より増加しており、特に小中学校では全国と同様に、過去最多となっています。 こうした状況について、本年一月、永岡桂子文部科学大臣は、多くの子供たちが学校の学びから置き去りにされているということは教育の根幹を揺るがす憂慮すべき課題であるとして、新たな不登校対策を本年度中にも取りまとめをする考えを明らかにされています。 このように現状では、残念ながら不登校やいじめなどの問題が後を絶たない現状ですが、こうしたことが起きる背景には、その児童生徒の家庭環境や生活環境も大きく影響しているケースが多いと言われています。 様々な事象が複雑に絡み合っている課題の解決に、学校のみで取り組むのは簡単ではないように思います。学校や家庭、地域など、子供たちを取り巻く環境面から解決を図っていく存在が必要であり、それを担うのがスクールソーシャルワーカーです。 本県でも、二〇〇八年度から福祉や心理の専門家であるスクールソーシャルワーカーを、やまぐち総合教育支援センターに配置するとともに、二〇一三年度からは、市町へも配置を進めておられ、現在、県市町合わせて五十名のスクールソーシャルワーカーが活動されていると聞いております。 しかしながら、現状ではその体制が十分であるとは言えない状況であるようです。 私の地元の、ある中学校の先生にお話をお聞きしましたが、その学校では、コロナ禍の影響もあって、いじめや不登校の生徒が増えており、スクールソーシャルワーカーさんの力をもっとお借りしたいと話されており、さらなる配置が求められていると感じたところです。 また、本県では、児童生徒のカウンセリングなどの心のケアを行うスクールカウンセラーを全ての公立の小中学校、高等学校等に派遣できる体制を整えておられます。 こうした心のケアのプロであるスクールカウンセラーと福祉のプロであるスクールソーシャルワーカーがより連携を深めることができる機会や資質向上を図る機会を設けるなど、スクールソーシャルワーカーがこれまで以上に活躍できる環境を整えることで、つらさを感じている子供たちにとって少しでも不安が解消し、安心できる教育環境をつくることに結びついていくのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。不登校やいじめが増加し、子供たちをめぐる環境が複雑化していると言われる中、子供たちが安心して学校生活を送るためには、スクールソーシャルワーカーのさらなる配置や、その活動を促進する取組を充実させていただくことが必要であると考えますが、県教委として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域の救急医療体制の充実についてお尋ねいたします。 全ての県民が住み慣れた地域で健康に安心して暮らしていくために、救急医療は欠かすことのできない重要な役割を担っています。 各自治体の救急医療体制は、国の基準に沿い、比較的軽症な方を対象とした一次救急と緊急な治療や入院の必要な重症患者を対象とした二次救急、そして救命救急センターとしての三次救急に役割を分担して対応しています。 患者の症状の度合いで振り分けることにより、よりスムーズな搬送が可能となりますが、宇部市では以前から、二次救急医療機関においては医師の高齢化等によって当直可能な医師が不足しているため、担当する医師が限定され、負荷がかかっており、救急医療体制の維持が危機的状況にあると伺っております。 救急車が患者を乗せた後も受入れをしてくれる病院が決まらず、なかなか出発できないという話もよく耳にしますし、実際にそういった場面にも遭遇しています。 私事ではありますが、二年ほど前に息子が大きなけがをしたときも、夜間に対応してくれる病院を探し、休日・夜間救急診療所を含めて、何軒もの病院に電話をしましたが、救急対応をしていない、当直医が専門外だから対応できないなどと断られ、非常に困ったこともありました。医療提供力減弱に拍車がかかり、通常の救急医療対応が逼迫していると実感した次第です。 また、私の地元を含む宇部・山陽小野田医療圏においては、この三月をもって休日・夜間救急診療所が二か所から一か所へと減少することも決まっているなど、医療圏内の救急医療体制への影響が目に見える形で出てきています。 国の公表資料によりますと、令和二年十二月末時点の本県の医師の平均年齢は五十三・三歳と、全国平均五十・一歳を上回り、全国一位です。 さらには、本県では、医師数そのものは全国平均を上回るものの、平成十年から令和二年の間の三十五歳未満の医師の増加率は、全国がプラス一〇・三%に対し、本県がマイナス二五・八%となるなど、若手医師の不足が課題となっていることは明らかです。 救急医療は、県民の命と健康を守るための欠かすことのできないセーフティーネットの機能を果たしますが、拘束時間の長さや生死の境目に直面する責任の重さなどから、対応する医師の精神的・肉体的負担が大きく、医師の高齢化、若手医師不足は、今後、急速に救急現場へ影響が広がることが懸念されます。 また、看護師の不足に関して、コロナ禍の中で頑張ってきた看護師の方たちがコロナ感染者の受入れ急増や看護職員自身の感染による現場離脱等から、過密なシフトに疲れ果て、離職するというお声も頂いています。 このような状況から抜け出すには、医療機関の連携による体制整備はもとより、二次救急医療体制の安定的運営のために、医師をはじめとした医療従事者の確保に向けた取組を県全体で一層進めていく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。本県の地域の救急医療体制の充実に向けて、県では、今後どのように取り組まれるか、御所見をお伺いいたします。 次に、自動車関連産業の成長促進についてお伺いいたします。 本県は、北部九州・広島地域とともに、自動車生産基地を形成しており、域内では、毎年約二百四十万台を生み出すという国内有数の自動車生産拠点です。 県内においては、約八千九百人の方々が従事され、年間約七千六百億円の出荷額を計上しており、自動車関連産業は県経済や雇用を支える大変重要な基幹産業の一つであります。 このため、県では、平成三十一年二月に自動車産業イノベーション推進会議を設立し、産学公金が連携を図りながら、オープンイノベーションによる新技術・新製品やサプライチェーンの創出に向けた取組を進めてこられました。現在、百を超える企業・団体が参画されており、これを母体に知識・技能の深化や販売促進などをはじめ、研究開発、実証試験への補助事業など、幅広い支援が行われています。 私の地元にある山口県産業技術センターにおいても、令和二年九月から自動車専門のコーディネーターが配置され、企業間のマッチングや共同研究開発の立ち上げに取り組まれており、こうした県の施策を大変心強く思っております。 しかしながら、国が二〇五〇年、カーボンニュートラルを宣言し、この達成に向けて、二〇三五年までに新車販売において電動車一〇〇%を実現するとの方針が表明されたことによって、ガソリン車、ディーゼル車など、従来車を主として生産する本県は、電動化シフトという大変厳しい状況に直面しています。 さらには、グローバル市場においても、欧州を中心とした世界各国でカーボンニュートラルの実現のため、従来車の新車販売を禁止する動きも現れており、生産の八割が海外向けとなる本県においては、サプライチェーン全体に大きな影響が生じています。 この深刻な課題の克服に向けては、自動車関連産業をしっかりと支援することが求められます。もとより、自動車の製造は一社単体で完結できるものではなく、川上から川下に至るまで多くの企業、そしてその関係者の方々の御尽力によってサプライチェーンが築かれています。この変革が及ぼす影響は非常に広範囲であり、今後は、製造工程や企業実態に即したきめ細やかな技術的・経済的支援が必要なのではないかと思います。 このたび県では、やまぐち産業脱炭素化戦略の最終案が示され、脱炭素化と産業競争力の維持・強化の両立が図られるよう、様々な取組が具体化されました。電動化等に対応した自動車関連産業の持続的な発展も、この戦略の柱に位置づけられており、具体的な数値目標も示されています。今後は、県が実施してきたこれまでの取組の成果も十分に活用しながら、電動化シフトへの支援によって、県経済、雇用を下支えする自動車関連産業の持続的成長をしっかりと促していただきたいと考えております。 そこでお尋ねいたします。本県の自動車関連産業が低炭素化という課題に直面する中でも、これを乗り越え、持続的な成長をしっかりと果たしていけるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、企業局の経営についてお尋ねいたします。 県企業局は、地方公営企業として公共性と経済性を最大限に発揮しながら、産業の血液とも言われる工業用水とクリーンエネルギーである水力発電の安定供給を通じて、本県の産業振興や地域経済の発展、地球環境の保全などに大きな役割を果たしていただいています。 今後もその役割を果たすための取組はしっかりと継続していただけるものと思いますが、工業用水道事業及び電気事業を取り巻く環境が大きく変化しているさなかにあって、このかじ取りは、今後を見通して繊細に、そして大胆に行っていただきたいと考えるところです。 工業用水道事業におきましては、長期化するコロナ禍の影響や不安定な国際情勢を背景として、国内のサプライチェーンの強靱化に向けた取組が進められています。 本県の屋台骨でもある宇部・山陽小野田地域や周南地域などのコンビナートも国内のサプライチェーンそのものであり、これらの企業の生産活動を支えるのが産業の血液である工業用水であることから、これまで以上に工業用水の安定供給の重要性が高まってきているものと考えます。 しかし、工業用水道施設の多くは、建設から長期間が経過しており、本格的な更新時期を迎える中で、施設・設備の老朽化対策が喫緊の課題となっております。近年の自然災害の頻発化・激甚化に伴い、災害の発生時等に給水がストップするリスクも増大していることから、被害を最小限に抑えるための施設の強靱化やバックアップ機能の確保など、安定した供給体制を確保・強化していただくための取組を進めていただかなければなりません。 また、産業構造の変化や節水型社会システムの進展等に伴う工業用水の需要量の変動も考えられるのではないでしょうか。 電気事業におきましては、カーボンニュートラルに向けた動きが本格化し、再生可能エネルギーである水力発電の役割が重要性を増してきています。その中で一層の供給力の向上やクリーンエネルギーとしての地域への貢献にしっかりと取り組んでいただきたいところであり、電力システム改革の進展の下、適切な料金収入を確保しながら、発電所の出力の増強や老朽化対策などの課題に的確に対応していただくことが重要と考えます。 以上、申し上げましたように社会経済情勢が大きく変化する中、一層重要度が増してきている工業用水及び水力発電の安定供給を維持・継続するとともに、経営の効率化や収益性の向上なども通じて、将来にわたって安定した経営基盤を確保することが今まで以上に求められていると考えます。 そこでお尋ねいたします。工業用水道事業及び電気事業を取り巻く環境が大きく変化する中、今後、企業局の経営にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、スタートアップの創出についてお尋ねいたします。 岸田首相は、新しい資本主義の実現に向け様々な取組を進めておられますが、その一つであるスタートアップは、社会的課題を成長のエンジンに転換し、持続可能な経済社会を実現する、まさに新しい資本主義の考え方を体現するものであるとして、徹底した支援を行うとされています。 そのため、昨年八月には支援の司令塔となるスタートアップ担当大臣を新設されたほか、十一月には支援方針となる五か年計画が発表されました。 同計画では、スタートアップへの投資額を二〇二七年度に十兆円規模に引き上げることやスタートアップを十万社創出し、その中からユニコーン企業を百社創出することが目標として上げられており、米国や欧州に比べ低い水準で推移する開業率や起業意識の向上、資金供給の強化に向けた様々な取組を進めていくとされています。 こうした国の動きがある中、本県においてもスタートアップ、ベンチャーの芽吹きが感じられつつあります。 その一つが私の地元宇部市で衛星データを使ったサービスを提供するベンチャー企業です。同社では、複数の人工衛星を活用して、鉄道やダムなど、インフラ周辺での地形の変化を解析することで、災害のリスクなどを提供する衛星データパイプラインと称したサービスを構築し、それを国際的に展開していこうとされています。 公共インフラの管理や監視の分野に新たな価値をもたらす技術を持つ同社に対し、県は、ピッチコンテストを通じた資金獲得を支援してこられたほか、宇部市も、新たに創設したスタートアップ支援補助金の最初の支援対象とされたところであり、今後は、県、市のほかに金融機関や産業技術センターなども加わり、産学公金連携の下、支援が進められると伺っています。篠﨑市長が力を入れておられる成長産業創出、育成の一環でもあるこの取組が着実に進み、大きく花開くことを私も大いに期待しているところです。 しかしながら、一方で、本県では、こうしたスタートアップの芽の数がまだまだ少なく、身近にないことから、地場の企業や教育機関、支援機関などの多くはスタートアップを遠い存在と感じているのも実情ではないかと思っています。 そのため、有望な起業家への支援とともに、それに続く者がより多く、また持続的に輩出されるようスタートアップへの機運をより高めていくことが必要だと考えられます。 県においては、国の動きも踏まえつつ、支援機関や教育機関等とも連携しながら、将来の職業の選択肢として起業を検討する若い人材の増加や本県経済において大きな存在感を示すスタートアップ企業の創出に向け、取組を強化していただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。本県産業の起爆剤となるスタートアップの創出に向け、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 最後に、県民一人一人が主体となって取り組む地球温暖化対策についてお尋ねいたします。 近年、地球温暖化が要因と考えられる極端な気象現象が世界各地で発生しています。日本においても、毎年のように深刻な台風や豪雨災害に見舞われるなど、私たちの身近な生活でも地球温暖化による気候変動の影響を感じることが多く、最近はテレビや新聞で地球温暖化防止対策として有効となり得るであろうと言われている脱炭素やカーボンニュートラルという言葉を目にしない日はありません。 令和二年度、内閣府が行った気候変動に関する世論調査によりますと、地球温暖化などの気候変動による影響について、約九割の方が環境に様々な影響が出ることを知っており、このことに関心があると回答しています。 しかしながら、一方では脱炭素社会の実現に向け、二酸化炭素などの排出を減らす取組についてどのように考えるかという問いに対して、積極的に取り組みたいが二四・八%、ある程度取り組みたいが六七・一%、取り組みたくないと回答するが者が七・一%と、積極的に取り組んでいこうと考える方の割合はまだまだ低い状況でした。 中でも、取り組みたくないと回答した理由では、どれだけ効果があるか分からないとか、どのように取り組めばよいか分からないといった回答が多く、特に若い世代でこのような回答をする傾向が高いようです。 脱炭素化社会の実現は、グローバルな視点や産業界だけの取組で解決できるものではなく、私たちの毎日の衣食住における取組にも深く関わるものなので、省エネ活動や環境へ配慮した行動など、その有益性について多くの人が理解して、行動に移していくことが大変重要です。 私の地元では、地球温暖化対策をテーマとするショートムービーコンテストの開催による日常生活での取組の啓発やごみ焼却に伴う温室効果ガス排出量の削減に資するフードバンク活動、市民の皆さんから集めた不要になったおもちゃなどの譲渡会、ダンボールコンポストの設置等の実践活動の推進など、市や民間団体が連携し、幅広い世代を対象とした様々な活動に取り組んでいます。 日常生活のあらゆるシーンで県民が脱炭素を意識した取組が取れるよう、市や民間団体等とも連携をしながら、様々なきっかけをつくり、県民一人一人の関心度を上げ、行動へつなげ、大きな流れをつくって、県民の側から県全体の脱炭素社会を実現していく、そして牽引していくことも必要ではないかと思います。 そこでお尋ねいたします。県民一人一人が主体となって取り組める地球温暖化対策の推進に、県は、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 私の質問は以上ですが、少しだけお話をさせていただきたいと思います。 本日胸元につけておりますコサージュは、宇部市小野の和紙を使って作られたハナカンザシの花です。赤間石、竹など、県内の素材を生かしてまちの活性化を願う方たちがたくさんおられます。ハナカンザシの花言葉は、変わらぬ思い、終わりのない友情、伝わる気持ちです。皆さんの思いをしっかり受け止め、力を合わせ、宇部市、そして山口県のお役に立てるよう、これからも頑張っていきたいと思っております。 以上で私の質問を終えさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)高井議員の御質問のうち、私からは、スタートアップの創出についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進展等により、経済の縮小が懸念される中、本県経済の活性化と雇用の拡大を図っていくためには、斬新な発想や技術等により地域を力強く牽引するスタートアップの創出が重要であると考えています。 県では、これまでも意欲ある起業家と投資家をマッチングする取組等により、お示しの宇部市の企業がベンチャーキャピタルから投資を受けるなど成果も現れてきていますが、こうした事例の継続的な輩出には一層の取組が必要です。 こうした中、国においては、スタートアップ育成五か年計画を策定し、起業意識の向上から投資の拡大にわたる様々な施策を導入し、その創出の拡大を目指すとしています。 県としては、こうした国の動向等を踏まえ、やまぐち未来維新プランに、急成長が期待されるスタートアップ企業の支援を掲げ、起業に向けた体制整備や様々な支援等により、スタートアップの創出に向けて取組を強化してまいります。 具体的には、来年度、新たに産学公金によるスタートアップ支援協議会を立ち上げ、この体制の下で、持続的に起業を創出するための取組を進めていきます。 まず、スタートアップの創出には、新たな価値を生み出す様々なアイデア等を創出する環境整備が必要であることから、ビジネスの知見を有する先輩起業家等からアドバイスを受けながら、企画と実践を行うプログラム等を実施します。 次に、アイデア等の事業化には、資金供給が重要であるため、専門家によるビジネスモデルの磨き上げ等の集中的な支援により、ベンチャーキャピタル等からの投資を喚起するとともに、制度融資に経営者保証を免除するスタートアップ創出促進資金を新設するなど、資金調達手段を強化します。 また、将来に向けたスタートアップを継続的に輩出していくため、教育機関との連携により、高等学校等において起業家教育を実施し、職業の選択肢として起業を志す若い人材の増加を目指します。 私は、厳しい経済情勢の中にあっても、多様な人材が新たな取組に積極果敢に挑戦することができるよう、本県産業の起爆剤となるスタートアップの創出に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)地域の救急医療体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 全ての県民が生涯を通じて健康で安心して暮らしていけるよう、地域において迅速かつ適切な救急医療を提供できる体制を確保することは大変重要です。 このため、県では、山口県保健医療計画に基づき、休日夜間急患センター等による初期救急医療体制や重症患者を受け入れる二次救急医療体制、重篤な救急患者を受け入れる三次救急医療体制の整備に努めているところです。 こうした中、医師の高齢化などにより、救急医療を担う医師等の負担が大きくなっており、安定的な救急医療体制を確保するためには、お示しのとおり、若手医師の確保や看護職員等の離職防止が重要であると考えています。 このため、若手医師の確保については、医師修学資金に県内で勤務することを償還免除要件とする貸付枠を設け、救急医療等を担う人材の養成・確保に取り組んでおり、これまで百二十一名が勤務を開始し、平成二十八年度以降、三十五歳未満の若手医師数は、減少傾向から増加に転じています。 加えて、山口大学と連携して、若手医師のさらなる確保に向け、今年度、国に対し、臨時定員増を要望した結果、来年度の医学部の入学定員を二名増の百十九名としたところです。 さらに、臨床研修から専門医取得まで、県内で一貫したキャリアアップができる研修体制を整備するとともに、広く県外医学生等も含め、説明会を開催するなど、県内医療機関において臨床研修等を受ける医師の増加に努め、県内への定着を促してまいります。 次に、看護師については、看護学生の県内就職に向けた修学資金の貸付けに加え、県看護協会と連携して、即戦力となる潜在看護師の復職支援や離職防止・定着促進に取り組んでいるところです。 また、県に設置している医療勤務環境改善支援センターにおいて、医療機関に対し、アドバイザーの派遣等を行い、健康的に働ける環境づくりに向けた対処方法や好事例を紹介するなど、労働環境改善の取組を後押ししてまいります。 県としましては、今後とも、関係機関や市町等と緊密に連携を図りながら、地域の救急医療体制のさらなる充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)前田産業戦略部長。 〔産業戦略部長 前田安典君登壇〕 産業戦略部長(前田安典君)自動車関連産業の成長促進についてのお尋ねにお答えします。 本県の活力を生み出す産業力を強化するためには、基幹産業の一つである自動車関連産業の振興が重要であることから、県では、産学公金連携組織、自動車産業イノベーション推進会議を核として、企業の研究開発や事業化の支援に取り組んできたところです。 こうした中、カーボンニュートラルの実現に向け、国内外で生産車両の電動化の流れが加速していることから、自動車関連産業においては、経営環境の急激な変化に的確に対応していくことが喫緊の課題となっています。 一方で、基礎素材型産業の集積を強みとする本県において、電動化の進展による車両構成部品の変化や車体の軽量化、放熱等に資する高機能素材の需要増加は、新規参入や事業拡大を図るチャンスでもあります。 このため、県では、やまぐち産業脱炭素化戦略の先行プロジェクトの一つに、電動化等に対応した自動車関連産業の持続的な発展を掲げ、県内産業の電動化等に向けた取組を強力に支援していくこととしています。 まず、電動化に対応した業態転換や新技術等の創出に向けて、最新EVの部品を解説する展示説明会を開催し、参加企業が自社でも調査分析できるよう部品の貸出しを行うほか、新たにEV研究の第一人者をアドバイザーとする研究会を開催し、プロジェクトの組成やその伴走支援に取り組みます。 併せて、新たな技術や素材の創出をはじめ、生産現場の高度化等に向けた研究開発を資金面からも長期的に支援するため、六十億円の脱炭素社会実現基金を財源とした電動化イノベーション等促進補助金を創設します。 また、輸出比率の高い本県自動車産業が海外の環境規制に対応し、引き続き国際競争力を維持・強化していくためには、自動車のライフサイクル全体で低炭素化を進める必要があることから、サプライヤーの省エネや再生可能エネルギー導入促進等に向けた普及啓発、支援にも取り組みます。 さらに、電動車に不可欠な蓄電池や半導体関連産業等は、今後の成長が見込まれることから、新たに最大五十億円の補助金を創設し、戦略的な企業誘致を進めることとしています。 県としては、今後とも、電動化シフトという困難な課題に直面する県内企業を技術・資金の両面から強力に支援し、本県の雇用と経済を支える自動車関連産業の持続的な成長を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)県民一人一人が主体となって取り組む地球温暖化対策についてのお尋ねにお答えします。 地球温暖化を引き起こす要因である二酸化炭素等の温室効果ガスは、社会経済活動だけでなく、日常生活からも排出されることから、県民自らが気候変動の影響を正しく認識し、排出削減に向けた実践活動に取り組んでいくことが重要です。 このため、県では、これまで、ぶちエコやまぐちを合言葉に、日々の暮らしの中で省エネや節電等を実践するCO2削減県民運動を展開してきたところです。 このたび改定する地球温暖化対策実行計画では、新たに、二〇五〇ゼロカーボン・チャレンジと銘打った県民運動に発展させ、来年度は、知る、気づく、実践・継続の三つの視点で、県民の脱炭素型ライフスタイルへの変容と定着を促進したいと考えています。 まず、知る取組では、カーボンニュートラル宣言を契機に開催するキックオフセレモニーにおいて、ゼロカーボン・チャレンジを広くPRするアンバサダーを任命するほか、これを皮切りとした県内各地でのキャンペーンの展開により、県民一人一人の関心度を高めていくこととしています。 また、脱炭素社会の実現には長期的な視点に立った取組が必要であることから、小中学生等を対象にデジタル教材を活用した環境学習のオンラインイベントを開催するなど、環境について学ぶ機会を提供し、次世代の人材育成にも取り組みたいと考えています。 次に、気づく取組として、県民自らが投稿する開花時期の早まりなど、日常生活で感じている環境の変化の情報に専門家等の解説を加えて、分かりやすく発信する県民参加型のウェブサイトを新たに開設し、気候変動を正しく理解し、身近な問題であることの認識を促すこととしています。 また、昨年、連携協定を締結した東京大学先端科学技術研究センター等と連携し、今後、気候変動が及ぼす生態系や日常生活への影響及びその対策などを具体的に学び、意見交換するワークショップ等を開催することで、環境に配慮した行動の有益性の理解促進を図るとともに、実践への動機づけにつなげてまいります。 さらに、実践・継続の取組として、昨年配信を開始した、ぶちエコアプリにノーマイカー通勤などの実践行動を記録、ポイント化する新たな機能を追加し、年間を通じて取組を継続する意欲を高め、商品券等のインセンティブを提供することで、実践行動の定着を後押ししたいと考えています。 また、山口県地球温暖化防止活動推進センターと連携した家庭向け省エネ診断の実施により、各家庭の実情に応じた簡単で効果的な取組を助言することで、省エネ・節電対策を促進してまいります。 県としては、こうした段階に応じた継続的な取組を通じて、県民一人一人が主体となる暮らしに密着した地球温暖化対策を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)スクールソーシャルワーカーの充実についてのお尋ねにお答えします。 いじめや不登校、ヤングケアラー問題など、児童生徒の抱える課題が複雑化・多様化する中、児童生徒を取り巻く環境に働きかけ、課題の解決を図るスクールソーシャルワーカーは、重要な役割を担っています。 このため、県教委では、国の事業を活用し、お示しのように、やまぐち総合教育支援センターにスクールソーシャルワーカーを配置するとともに、市町への配置についても、段階的に拡充を進めてまいりました。 また、各市町教委から要請があった場合は、県のスクールソーシャルワーカーがスーパーバイザーとして出向き、学校が抱える困難な事案の解決に向けて市町のスクールソーシャルワーカーに指導・助言を行うなど、各市町の取組を支援する体制を構築してきたところです。 こうした中、コロナ禍の影響などにより、子供たちをめぐる環境が以前にも増して深刻化し、教職員だけでは解決できない事案も多く発生していることから、高い専門性を持ったスクールソーシャルワーカーのさらなる配置や活動の促進が必要であると考えています。 このため、県教委では、本年度から県のスクールソーシャルワーカーの一名を全国に先駆けて常勤の正規職員として採用し、雇用の安定を図るとともに、緊急時の迅速な対応や関係機関との連携強化に努めているところです。 また、スクールソーシャルワーカーの配置に係る来年度の予算を拡充し、市町教委のニーズを踏まえて配置時間数を増やすことで、問題の解決に向けた支援体制の充実を図ることとしています。 さらに、スクールカウンセラーや弁護士、民生委員、児童委員等との連絡会議において、今後は、情報共有にとどまらず、様々な職種の専門家が協働して事案に対応する具体的な方策等について検討するなど、専門家間のより一層の連携強化に努めてまいります。 県教委といたしましては、今後も国に対してスクールソーシャルワーカーの配置に係る補助金の拡充を働きかけるとともに、スクールソーシャルワーカーがこれまで以上に活躍できる環境の整備に努め、学校や家庭に対する支援の充実を一層図ってまいります。 議長(柳居俊学君)正司公営企業管理者。 〔公営企業管理者 正司尚義君登壇〕 公営企業管理者(正司尚義君)企業局の経営についてのお尋ねにお答えします。 企業局は、産業の血液である工業用水と水力発電によるクリーンエネルギーの供給を通じ、県内産業の発展と地域の振興に寄与しており、来年度予算においても、施設の老朽化や頻発する自然災害への対応などの当面する課題に安定供給と安定経営の両面から、的確に対応していくこととしています。 安定供給の面では、まず工業用水道事業において施設の強靱化等に取り組むこととしており、お示しの宇部・山陽小野田地区や周南地区では、耐震性能を備えたバイパス管の整備を計画的に進めていきます。 電気事業では、令和六年度の運転開始に向けた平瀬発電所の建設や老朽化した佐波川発電所のリニューアル等を着実に推進していきます。 また、工業用水に関する全国紙での情報発信や大都市圏での営業活動により、さらなる契約水量の確保に取り組むなど、経営面の課題にも対応するとともに、やまぐち維新でんきの利用拡大により、県内企業のCO2削減の取組の後押しと再生可能エネルギーの利用意識の向上を図っていきます。 現在、企業局を取り巻く環境は、自然災害の激甚化、エネルギー価格の高騰等に直面するユーザー企業の事業の動向、また水使用の合理化の進展による需要の変動など、大きく変化しています。 こうした中で、経営の確実性を高めるには、これまで以上に中長期的な観点からの対応が必要であり、来年度は、折しも十年間の第四次経営計画の中間年に当たるため、計画の検証と見直しを行うこととしています。 見直しに当たっては、供給面では、現在策定中の事業継続計画、いわゆるBCPを踏まえた施設の一層の強靱化やバックアップ機能の強化、またデジタル技術の活用による効率的・効果的な事業運営などの視点から取組を進めていきます。 経営面では、ユーザー企業との緊密なコミュニケーションの下での適切な水準の収入の確保や、企業立地担当部局とも連携した用水型企業の誘致による需要開拓などの視点から取り組んでいきます。 また、脱炭素社会の実現に向け、水力発電への期待感が高まる中、このクリーンエネルギーが地域で、より有効に、かつ長期にわたって活用される方策の検討も進めていきます。 企業局としては、こうした取組により、直面する環境の変化に的確に対応しながら、職員一丸となって、将来にわたって持続可能な経営に取り組み、本県の産業力の強化に引き続き貢献してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時三十五分休憩