1 農林業の振興について 2 地域脱炭素に向けた再生可能エネルギーの導入促進について 3 建設産業におけるDXの更なる推進について 4 保育環境の整備について 5 新たな観光プロモーションの展開について 6 犯罪捜査における捜査のデジタル化の推進について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第六十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 皆様、おはようございます。自由民主党の山手康弘です。早速、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 最初に、農林業の振興について二点お尋ねいたします。 まず、持続可能な農畜産業の推進についてです。 ロシアによるウクライナへの侵略から、はや一年以上が経過しました。 ウクライナは、チェルノーゼムと呼ばれる黒土による恵まれた土壌を生かし、穀物栽培が盛んであり、小麦やトウモロコシなどの輸出額は、世界でも有数の規模を誇っています。 しかしながら、オデーサ港の封鎖などは、世界の穀物市場に大きな影響を与え、農林水産業にも大きな打撃を与えています。 とりわけ畜産業は、多くが輸入のトウモロコシ、小麦等を使用した配合飼料を給餌しているため、円安基調とのダブルパンチにより大きな打撃を受けています。 現在、円安基調は、以前よりは緩やかになってはいるものの、まだまだウクライナをはじめとする世界情勢は予断を許すことができず、その先の見通しが立たない状況にあります。 こうした中、国においては目下の状況を鑑み、輸入依存度が高い海外産の家畜飼料の依存度を下げる動きが出始めました。 私も農林水産委員会の委員として、複数の畜産農家をヒアリングしたところ、輸入飼料の使用割合が高い畜産農家ほど影響が大きい現状を目の当たりにしました。 一方で、早くから飼料米やトウモロコシなどの生産を耕種農家と契約し、輸入飼料の依存度を低減していた畜産農家は、今回の配合飼料高騰の影響は最低限に抑えられ、その差は大きいものだと感じました。 県におかれましては、畜産農家の窮状を考慮され、補正予算により緊急支援を措置されたところでありますが、これはあくまで一時的なものであり、中長期的な対策が不可欠です。 九月議会の我が会派の代表質問で訴えたように、緊急支援だけではなく、中長期的な視点による県産飼料の生産・利用拡大や転換促進など、飼料の安定供給に向けたさらなる対策が必要です。 不透明な世界情勢の影響の打撃を回避するために、県内の畜産農家が、国産、そして、県内産の飼料へとシフトしていくこと、そのためには、県内における畜産農家と耕種農家の耕畜連携をより強化し、県内での好循環を生み出し、促進していくことが必要であると考えております。 そこでお尋ねいたします。県産飼料の生産・利用拡大や転換促進をはじめ、持続可能な農畜産業の推進に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農林業の知と技の拠点を核とした農林業の振興について、お尋ねいたします。 農業試験場、農業大学校、林業指導センターを統合し、即戦力人材の育成と先端技術の開発に一体的に取り組む農林業の知と技の拠点が、四月一日に供用開始となります。 平成三十年に拠点形成の構想が示されてから、およそ四年余りの月日を経て、いよいよ本格スタートの時を迎えようとしているわけですが、本県農林業を取り巻く環境は、全国を上回る担い手の減少・高齢化や産地間競争の激化、急速に進化する先端技術への対応、また、近年の新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等による影響など、大変厳しい状況に置かれています。 このような中、県におかれましては、先般公表されました、やまぐち未来維新プランの中で、拠点を核に強い農林業の育成に取り組むとされており、また拠点における重点取組方針に示されている人材育成、新技術開発、連携・交流という三つの視点から、本県農林業の将来を担う人材育成や生産性向上につながる新技術開発・実装等に一体的に取り組むとされています。 人材育成では、農業大学校において、新たに土地利用学科を設置し、教育内容の充実強化を図るなど、即戦力人材の育成に向け、供用開始に合わせて新たな取組がスタートします。 また、新技術開発では、これまで培ってきた研究シーズを生かし、ICT等の先端技術を活用したスマート技術の開発・現地実装などに取り組み、連携・交流では、新たに整備する連携・交流館を活用して、多様な連携・交流事業を展開するとされています。 私としても、農林水産委員会の委員として、これまでも委員会で取り上げさせていただくなど、拠点を核とした今後の取組に期待をしているところです。 ぜひとも、統合によるメリットを十分生かしながら、スピード感を持って本県が抱える諸課題の解決に向けた取組を加速していただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。農林業の振興に向け、農林業の知と技の拠点を核として、今後どのような取組を展開していかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素に向けた再生可能エネルギーの導入促進についてお尋ねいたします。 昨年十二月、本県は二○五○年カーボンニュートラル宣言を表明しました。この宣言を現実のものとするためには、温室効果ガスの排出量が多い石炭や石油などの化石燃料を減らし、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを最大限導入して、必要なエネルギーを賄っていくことが大変重要となります。 利用しているエネルギーの大半を輸入した化石燃料に依存している中、特に地方においては、地域で消費するエネルギーを地域内で自らが生み出せるよう転換していくことは、地球温暖化対策や非常時のエネルギー源の確保のみならず、雇用の創出や地域経済への貢献にもつながることが期待されています。 しかしながら、太陽光や風力による発電は、天候によってその発電量が不安定である点や、大規模な発電設備の設置をめぐって、高額なコストや適地の確保、環境への影響など様々な問題を乗り越える必要があり、稼働までに多くの時間や労力を費やすことがあります。 このため、大規模な発電設備だけに頼るのではなく、地方自治体や地元企業が連携して、公共施設や事業所などの業務ビルや個人住宅に太陽光発電設備を導入するなど、あらゆるポテンシャルを活用して、再生可能エネルギーの追加的な導入を加速していくことが求められています。 また、昨年の六月県議会において、私は地域に分散する小規模な再生可能エネルギーを点と捉え、その点と点を線で結び、蓄電池と組み合わせてシステム化し、使用電力を制御して活用すれば、より多くの省エネ効果が得られることを指摘しました。 こうした分散型エネルギー活用の考え方も取り入れれば、一層の脱炭素効果が得られるものと考えます。 FIT等による再生可能エネルギー電力の買取り価格が、年々低下傾向にある一方で、原油価格高騰に加え、ウクライナ情勢などの影響により、石油や天然ガスなどの価格も上昇しており、電気料金は値上がりが続いています。 今後においては、自分が消費する電気は自分でつくるという自家消費の視点の下、県としても率先して再生可能エネルギーの導入に努めることが必要です。 また、資金的に導入が困難な県民や、費用を価格に転嫁しにくい中小企業への配慮も忘れてはいけません。 そこでお尋ねいたします。地球温暖化という世界共通の危機に対し、地方においても最大限の対策が求められる中で、県は今後、地域脱炭素に向けて、再生可能エネルギーの導入促進にどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、建設産業におけるDXのさらなる推進について、お尋ねいたします。 私は、二○二一年の二月議会におきまして、建設産業のDXについて質問をさせていただきました。その当時は、建設業界においてのDXはまだまだ黎明期とも言え、人手不足や人材不足の解消に寄与する、作業員一人で測量が可能な測量機器や、ドローンを用いてレーザー測量を行い、河川の堆積土砂量を測る等の事例について、質問の中で紹介を行いました。 それから、月日は経過し、私は昨年五月に、島田川で行われたドローンを活用した三次元測量等の現場見学会を視察する機会を頂きました。 モニターには、レーザーで測量した河川内の様子が立体的に映し出され、素人の私でも河川の形状が見てとれました。 二年前に登壇した当時は、建設産業のDXというのは、こうなるだろうと想像していたものが、最近では、ドローンにカメラを搭載し、橋梁の点検をする様子や、車両に高性能カメラとレーザー測量器を搭載し、トンネルや道路の状況を分析する様子など、実際にニュース映像等で目にする機会が多くなってきました。 今までは、橋梁やトンネルの点検の際には、長時間にわたり片側交互通行の規制を実施し、目視と打音検査を行うなどしていましたが、今ではデジタル技術の活用により、時間や労力の大幅な削減と作業の効率化が図られていると感じているところです。 県では、こうしたデジタル化が急速に進む中で、建設産業が抱える様々な課題をデジタル技術の活用により解決するため、このたび山口県建設DX推進計画を策定されました。 この計画には、四つの柱と二十九の具体的な取組が示されており、二十九の取組ごとに、その効果やロードマップが記載されています。 産学官で協働して取組を進めていくということで、誰もが計画を理解できるよう分かりやすい記述に努められています。 今回、このように推進計画を策定されましたが、計画に実効性を持たせるためには、建設現場で働いておられる建設業者の方々にDXの重要性を理解していただき、実際に取り組んでいただくことが大切だと考えます。 建設産業のDXの取組が進めば、この業界が抱える人手不足をはじめとした様々な課題が解決できるものと私は信じています。建設産業の未来は、DXにかかっていると言っても過言ではないと考えます。 そこでお尋ねいたします。労力の削減や作業時間の効率化、そして、若者人材の確保にもつながる、業界の明るい未来につながる、建設産業におけるDXのさらなる推進に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、保育環境の整備についてお尋ねいたします。 少子化の波はとどまることを知らず、昨年の全国の出生数は過去最低の八十万人を割り込むことが見込まれる中、岸田総理は年頭記者会見において、これまでとは異次元の少子化対策に挑戦することを表明されました。 また、施政方針演説においても、こども政策担当大臣に指示した三つの基本的方向性に沿って、こども・子育て政策の強化に向けた具体策の検討を進めていくこととされ、現在、その検討が行われているところです。 総理の示した三つの方向性の一つには、学童保育や幼児保育も含め、幼児教育や保育サービスの量、質両面からの強化を進めるとともに、伴走型支援、一時預かりなど、全ての子育て家庭を対象としたサービスの拡充が掲げられています。 みんなで子育て応援山口県を掲げる本県では、量、質の両面から幼児教育や保育サービスの強化に取り組んでおられますが、女性の就労が今後も増加することを踏まえると、仕事と子育ての両立ができるためには、こうした国の動きと連動しながら、安心して子供を預けられるような保育環境を整備していくことが重要となります。 一方で、昨年十月、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例が公布され、共生社会の実現に向け、県、市町、事業者、県民が一体となって取り組むことが明記されました。 現在、県内の保育所では、障害児の受入れが進んできており、また、一昨年の医療的ケア児支援法の施行から、医療的ケア児を保育所で受け入れる場合における研修や看護師配置の支援が始まったことにより、医療的ケア児についても受入れを行う保育所が広がるなど、さらに充実が進んでいるところです。 しかしながら、障害のある子とない子が共に活動できる場の整備や、多様性に配慮した総合的な育ち・学びを育むような、いわゆるインクルーシブ遊具等の整備はまだまだ進んでいないように感じます。 私は、子供たちが育ち、学び、遊びながら、大切な時間を過ごす幼児教育・保育の中に、こうした条例の考えを落とし込んでいくことが重要であり、障害のある子もない子も安心して育っていける、そういう視点も含めた多様なニーズに対応できる環境づくりが具体化できてこそ、山口県らしい幼児教育・保育の充実につながっていくと思うのです。 そこでお尋ねいたします。幼児教育・保育の充実に向けては、障害のある子もない子も安心して利用できる保育環境の整備を進めることが重要だと考えますが、県では、今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新たな観光プロモーションの展開についてお尋ねいたします。 いよいよこの五月からは、コロナも季節性インフルエンザ相当へと見直され、制限のない日常が戻り始めます。人々の動きも活発になり、全国各地の観光地へと足を運ぶ機会もこれまで以上に増え、当然、観光関連分野では、厳しい競争が始まることになります。 これまで県は、コロナ禍で最も深刻な影響を受けた観光関連産業を国の施策と呼応した需要喚起策などで力強く下支えされ、宿泊客数などは他県よりもいち早くコロナ禍前の水準に戻すなどの結果へとつなげてこられました。 今後は、この観光関連産業の回復が確実なものとなるよう、積極的な観光プロモーションの展開により、本県に観光客を呼び込むことが県に求められる大きな役割だと私は思います。 これまでも積極的なプロモーションに取り組んでこられたと思いますが、残念ながら、本県の認知度が低いという調査結果が多いというのが現状です。 こうした状況も謙虚に受け止め、本県の認知度向上を図るとともに、特に、コロナ禍で生じたニーズ変化を捉えたプロモーションを戦略的に展開することが重要だと思うのです。 このたび、県は、新たな観光県やまぐちの創造に向け、これまでの「YAMAGUCHI MAGIC!」に代わるキャッチフレーズの制作などの新たな観光プロモーションを展開することとされています。 私は、新たなプロモーションの展開に当たっては、コロナ禍で生じたニーズ変化を踏まえた、新たな観光素材の掘り起こしにも取り組んでいただきたいと思うのです。 私の地元の二鹿の七つの滝や美川町の大水車でかまるくんと、国の天然記念物岩屋観音などは、地元では有名でも、他の方にその魅力を知ってもらえていない場所でした。それが、他県のテレビ局や米軍のフリーペーパーなどで取り上げられたことをきっかけに、突如多くの観光客が押し寄せてきた場所です。 県内各地のこうした魅力を持つ場所がまだあると思うのです。こうした場所を掘り起こし、その魅力にスポットを当てていくことが、本県誘客の起爆剤になるとともに、県内各地の様々な観光地域の周遊につながると思うのです。 また、新たなキャッチフレーズもプロモーションにとって重要な要素です。私は、ストーリー性や響きなども大切ではあると思いますが、ぜひ県民の方々と共感できるものにもしていただきたいと思っています。 SNSなどの口コミで本県の魅力が広がっていくことも重要ですが、私は県民の皆様一人一人にも本県の広告マンとなっていただき、本県の魅力をこれまで以上に発信していただけるようにも取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。これからの観光産業を支えていくためには、県は新たな観光プロモーションの展開にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、犯罪捜査における捜査のデジタル化の推進についてお尋ねいたします。 近年の犯罪が急速なデジタル化の推進と情報化社会の進展に伴って、より複雑・高度化しているのは御案内のとおりであります。 犯行グループは、今までのオレオレ詐欺に加えて、警察官や公的立場の公務員や団体職員をかたり、社会的信用のある立場の地位を装い、犯罪に手を染めてきました。 そこに加えて、最近ではインターネット上で匿名を使い、スマートフォンを駆使することで、国内どこにいても、また海外からでも、比較的若年層の人間を短期間で高収入が見込めることを期待させる、いわゆる闇バイトで人を募り、そのゲーム感覚や簡単な気持ちで集めた人物たちに指令を下すことで犯罪をさせる。しかも、闇バイトに応募した人間から運転免許証などの身分証明書を提示させ、家族構成を把握するなどして、最終的にはその闇バイトから抜け出せなくなるような脅し等で犯罪組織網を拡大させて犯罪を繰り返しています。 記憶に新しいのは、防府市における高齢男性への高額被害の強盗事件や、岩国での家屋の強盗事件があります。これらの事件は、現在、捜査が継続していますが、報道などによるとフィリピンの刑務所で拘束されていた指示役の日本人、ルフィやキムなどの偽名で指令を出していた犯罪者との関連も指摘されています。 また、最近では、防犯カメラの解像度が高まったことで、岩国の名勝である錦帯橋を損傷させた人物が、ニュースの映像を見て自ら名乗り出るなど、デジタル技術の発展は犯罪利用の反面と、犯罪の捜査力の向上など、利用者次第で立場が変わるものになってきました。 しかしながら、これらのデジタルツールは、不可逆的に進歩し、我々の生活の中に溶け込んでいくのは明らかです。 今議会での我が党の代表質問に対する本部長の答弁で、来年度から捜査の高度化に対応する捜査支援分析課、警察部内のデジタル化を促進していくための情報技術推進課を新たに立ち上げるとの力強い御答弁を頂いたところでありますが、犯罪捜査や事件・事故の分析、解析などについては、今までよりもデジタルツールを使った捜査のデジタル化、高度化を進めていかなければならないと考えております。 例えば、コンビニの防犯カメラや、最近では多くの車両に取り付けられているドライブレコーダーなど、民間の防犯カメラを利用し、追跡捜査をより途切れることなく行っていくことなどで、犯人を今まで以上に追跡し、検挙することで、犯罪者に対し、逃げ得はできないことを示すことで、犯罪に対しての抑止の効果も生まれるのではないかと期待をするところです。 そこでお尋ねいたします。県民の安心・安全な生活の実現のため、犯罪捜査のデジタル化の推進について、どのように取り組まれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問のうち、私からは、農林業の知と技の拠点を核とした農林業の振興についてのお尋ねにお答えします。 農林業を取り巻く環境は、担い手の減少・高齢化や、急速に進展するデジタル技術への対応、ウクライナ情勢等に伴う物価高騰など、一層厳しさを増しています。 このため、私は、やまぐち未来維新プランにおいて、農林業の知と技の拠点を核とした強い農林業の育成を位置づけ、人材育成、新技術開発、連携・交流の三つの視点から、拠点の統合メリットを生かした施策を展開することとしています。 まず、人材育成では教育と研究の連携により、AIを活用した害虫防除技術の講義や、施設園芸の低コスト環境制御システムの実践教育を研究員が行うなど、学生や研修生が最新技術を体験・実践できる新たなカリキュラムを開始します。 また、農業と林業の連携により、中山間地域の法人で活躍できる人材の育成に向けて、伐採・植林技術や、シイタケ等の特用林産物の生産技術に関する実習を強化するなど、統合メリットを生かした取組を進めてまいります。 次に、新技術開発では、民間企業や大学等、外部の力を積極的に取り入れて課題解決力を強化する農林業産学公連携プラットフォームを構築し、本県の課題に応じた山口型スマート技術の開発・実装を加速化します。 来月には、外部の専門アドバイザー等で構成するプラットフォームのキックオフ会議を開催し、産学公連携強化の機運を醸成するとともに、共同研究パートナーとなる外部連携会員の参画を促進します。 連携・交流では、来年度組織を拡充し、拠点に移転する六次産業化・農商工連携サポートセンターと一体となって、新たに整備する食品加工オープンラボを活用した、新商品開発から販路開拓までの一貫した支援を実施します。 加えて、農林業や食への県民理解を促進するため、体験イベントや公開講座の実施など、消費者を含めた多様な連携・交流事業に取り組みます。 私は、市町や関係団体等と連携しながら、農林業の知と技の拠点を本県農林業の新たな未来を切り開く核として、強い農林業の育成に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)農林業の振興についての御質問のうち、持続可能な農畜産業の推進についてのお尋ねにお答えします。 畜産業においては、輸入飼料価格の大幅な上昇や、その後の高止まりにより、経営に大きな影響を受けたことから、国においてセーフティーネットの発動や補正予算による基金の積み増しなどが実施されたところです。 県としては、このような状況を踏まえ、畜産農家の負担軽減を図るため、飼料価格高騰分の一部を支援するなど、今年度の補正予算により、必要な緊急対策を講じてきました。 さらに、国に対して、配合飼料価格安定制度の発動基準や、補?金の支払い時期について、抜本的な見直しを要望しているところです。 こうした中、お示しのとおり、緊急的な支援に加え、中長期的な視点での対策も重要であることから、このたびの来年度予算において、県産飼料への転換を促進するとともに、さらなる畜産経営の基盤強化に取り組むこととしています。 まず、県産飼料の転換については、本県の耕地面積の約八割を占める水田を有効に活用し、畜産農家と耕種農家の連携を図りながら、生産と利用の拡大を一体的に進めます。 具体的には、増大する需要に対応するため、飼料生産に必要な機械導入や施設整備への支援を行うとともに、新たに飼料作付面積拡大に対する経費の一部助成を行うことで、飛躍的な生産拡大を図ります。 加えて、生産された県産飼料が確実に畜産農家に届くよう、地域に派遣した専門家により、畜産農家と耕種農家のマッチングを進めるとともに、地域間の需給調整による広域流通体制を構築し、県産飼料の利用拡大につなげます。 次に、畜産経営基盤の強化については、国事業等を活用し、畜舎の整備による規模拡大や優良な家畜の導入などを進め、生産性の向上を図ります。 さらに、畜舎内の温度や湿度を自動制御する機器や、家畜の健康状態を遠隔地から監視するシステムなど、スマート技術の普及による省力化を進めます。 今後も関係団体と連携し、輸入飼料から県産への転換に向けた畜産農家と耕種農家の耕畜連携や、畜産の経営基盤を一層強化するなど、持続可能な農畜産業の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)地域脱炭素に向けた再生可能エネルギーの導入促進についてのお尋ねにお答えします。 太陽光発電等の再生可能エネルギーは、本県の豊かな自然特性を活用できる重要なエネルギー資源であり、地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上はもとより、地域経済の活性化も期待できることから、その導入促進は極めて重要です。 このため、県では、地球温暖化対策実行計画に基づき、多様な再生可能エネルギーの導入を促進し、その発電出力が二○一三年度以降三倍以上に増加しており、このたびの計画改定においても、二○三○年度の導入目標を従来の二百四十万キロワットから三百万キロワットに上積みすることとしています。 この実現に向けて、来年度からは、新たに創設する脱炭素社会実現基金や国の交付金を活用しながら、家庭や事業所への設備導入や、県有施設の率先導入をさらに加速化したいと考えています。 まず、家庭向けには、県産品の太陽光発電設備等を設置する新築のネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、いわゆるZEHの導入支援策として、補助件数を大幅に拡充するとともに、その要件としてZEHを効果的に啓発できる内覧会を実施することにより、一層の普及を図っていく考えです。 また、既存住宅については、太陽光発電設備や蓄電池の購入希望者を募り、一括して調達する共同購入によるスケールメリットを生かして、通常よりも安い費用で導入できる支援を開始することとしています。 次に、事業所向けには、自家消費型の太陽光発電設備等の導入補助を創設し、設置の負担軽減を図るとともに、県産品として登録された設備を導入する場合は、県独自に上乗せ補助を行うことで、本県のエネルギー産業の振興にも取り組むこととしています。 さらに、県有施設については、今年度実施した導入ポテンシャル調査の結果を踏まえ、二○三○年度までに設置可能な県有施設の五○%以上に太陽光発電設備を設置、という新たな目標を掲げ、順次設置を進めていきます。 加えて、昨年度から実施してきた岩国市での分散型エネルギー活用実証の成果も踏まえ、県有施設を太陽光発電と電気自動車を組み合わせて活用するゼロカーボンドライブの普及啓発拠点として整備し、導入効果を発信することで、市町や民間企業の施設への導入につなげていきます。 県としては、今後とも、こうした取組を通じて、県民や事業者、市町等と緊密に連携し、地域脱炭素に資する再生可能エネルギーの導入促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)建設産業におけるDXのさらなる推進についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設産業は、就業者数の減少や高齢化の進行といった課題に直面しており、このままでは近い将来、社会資本の整備や維持管理、災害対応に支障を来すおそれがあります。 このため、県では、やまぐち未来維新プランに建設DXの推進を位置づけ、デジタル技術を活用した建設現場の生産性向上や、インフラメンテナンスの高度化・効率化などに、より一層取り組むこととしています。 具体的には、まず建設現場の生産性向上の観点から、県内の建設業者が容易にICT活用工事に取り組めるよう、これまでの比較的規模の大きい現場に加え、新たに、小規模な現場向けのセミナーや現場見学会を開催してまいります。 また、インフラメンテナンスの高度化・効率化の観点から、橋梁やトンネル等に加え、来年度から標識などの道路附属物をはじめ、その他の施設にもデジタル技術の活用範囲を広げるとともに、各施設の点検結果や補修履歴等のデータを一元的に管理するシステムを構築してまいります。 加えて、小規模橋梁に関する点検・診断システムについては、診断精度の向上や業務の効率化に有効であることが確認できたことから、本年四月に本格導入するとともに、市町にも、このシステムを提供していく考えです。 また、こうした取組に実効性を持たせるため、産学官が協働して策定した山口県建設DX推進計画に基づき、現場作業の効率化、省力化の効果や、取り組む際の技術的な支援内容などについて、あらゆる関係者に周知の上、理解を促し、動機づけを行ってまいります。 さらに、若者人材を確保するため、県内建設業の求人情報はもとより、ICTを活用した工事や、AIやドローンを活用した点検・診断等のDXの取組など、様々な情報を集約したポータルサイトを新たに構築し、SNSも活用しながら、建設産業の魅力を戦略的に発信していく考えです。 県としては、本県の基幹産業であり、地域の守り手である建設業が、将来にわたって、その社会的役割を担っていけるよう、また、業界の明るい未来につながるよう、建設産業におけるDXを積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)保育環境の整備についてのお尋ねにお答えします。 仕事と子育ての両立を支援する施設である保育所等は、乳幼児が生活時間の大半を過ごす場であり、子育て家庭が安心して利用できるよう、保育環境の整備を進めていくことが重要であり、県では、保育人材の確保や、保育の質の向上に努めているところです。 具体的には、保育人材を確保するため、保育士養成施設の学生の県内就職の促進や、潜在保育士の再就職支援のほか、保育士の補助業務を担う子育てサポーターの配置への支援等に取り組んでいるところです。 また、保育の質の向上を図るため、リーダー的職員の専門性の向上を図るキャリアアップ研修や、施設における事故防止強化に向けた研修の実施に取り組んでいます。 こうした取組に加え、来年度は、登園時やプール活動時など、手厚い見守りが必要な時間帯にスポット的に支援員を配置することで、子供の安心・安全を確保し、保育環境の向上につなげてまいります。 一方で、昨年公布した、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例では、幼児期から障害についての理解と認識を深めるための取組を進めることとしています。 このため、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要な役割を果たす保育所等において、障害のある子もない子も、生活を共にし、学びや遊びを通じて成長できる環境づくりに取り組みます。 具体的には、保育所等を対象に、障害のある子もない子も、誰もが等しく育ち・学び・遊べる環境を整備するため、障害のある子供の受入れに必要な施設改修を支援するとともに、来年度からは、多様性に配慮したインクルーシブ遊具の整備等を進めることとしています。 また、たんの吸引や経管栄養など、日常的な医療が必要な医療的ケア児の受入れが可能となるよう、看護師の配置など、受入れ体制の確保についても、引き続き支援してまいます。 県としましては、今後とも市町等と連携し、多様なニーズに対応した保育環境の整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)新たな観光プロモーションの展開についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍により観光客が大幅に減少し、観光産業が深刻な影響を受ける中、県としては、これまで本県観光の一刻も早い回復に向けて、観光需要の喚起や効果的なプロモーションの展開などに積極的に取り組んでまいりました。 この結果、本県の宿泊者数は、コロナ禍前の水準にまで回復してきており、今後、この回復を確かなものとするため、歴史や自然、グルメなどの優れた観光資源を最大限活用し、本県観光のさらなる飛躍に向けて、戦略的なプロモーションを強力に展開していく必要があると考えています。 このため、まず、本県の観光地としての認知度を一層高めていくため、幅広い層の観光客に親しまれ、インパクトのある新たな観光キャッチフレーズを設定するとともに、様々な媒体を活用して、本県観光の魅力とともに、広く県内外にPRし、その浸透を図ってまいります。 また、これに合わせ、本県観光の新たな魅力を創出するため、絶景をテーマにしたフォトコンテストを実施し、隠れた絶景スポットの発掘を進めるとともに、本県の優れた食材を生かした訴求力の高い新たなグルメを開発し、広く情報発信することにより、さらなる認知度向上につなげてまいります。 さらに、自然体験へのニーズの高まりを踏まえ、アウトドアの魅力が体感できる大型イベントをきらら博記念公園において開催するとともに、県内各地の体験型コンテンツの利用促進キャンペーンを実施するなど、アウトドアをテーマとした効果的なプロモーションを展開することとしています。 こうした取組に加え、首都圏や関西圏等の重点誘客エリアを対象に、観光関連事業者等と連携した情報発信会の開催や、新たな旅行商品の開発を進めるとともに、SNS等による観光客のニーズに即したターゲット広告を効果的に配信し、本県へのさらなる誘客拡大を図ってまいります。 また、誘客効果が高く、本県の多彩な魅力を全国に発信する絶好の機会であるJRのデスティネーションキャンペーンの誘致にも取り組んでいくこととしています。 県としては、市町や観光関係団体等と緊密に連携し、本県の観光地としての認知度の向上を図り、一層の誘客拡大につながる戦略的な観光プロモーションに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)犯罪捜査のデジタル化の推進についてのお尋ねにお答えいたします。 県警においては、平成二十二年に警察本部内に犯罪捜査支援室を設置し、これまでに捜査支援システムを駆使した情報・犯罪手口等の分析、防犯カメラ映像の解析、ドローンによる上空からの現場捜査や行方不明者の捜索、遠隔で捜査用の似顔絵作成を可能とするシステムの導入などを推し進め、従来からの捜査活動と新たなデジタル手法との融合を図り、事件・事故の早期検挙・解決に取り組んできたところであります。 こうした中、情報通信技術の発展などに伴い、デジタル技術を悪用した、うそ電話詐欺など、広域的で非対面の犯罪が増加傾向にあるほか、全国で殺人にまで至った一般民家などを対象とした連続強盗事件が発生し、当県でも同一犯グループによるものと見られる事件が昨年十一月に発生していることは御承知のとおりであります。 これら昨今の事件の捜査においては、防犯カメラ映像やスマートフォンデータの解析をはじめとした各種デジタル技術の活用なくして、被疑者の検挙並びに事案の全容解明は困難であると考えております。 議員お示しのとおり、社会情勢の変化に伴い、新たなデジタル技術が犯罪手段として悪用され、犯罪のスピード化・広域化が進む中、捜査上の諸課題に的確に対処するため、社会に普及するデジタル技術のさらなる捜査への活用や、最新の捜査ツールの導入等による捜査の一層のデジタル化・高度化は、警察にとって喫緊の課題となっております。 このため、県警察においては、これらに対応する捜査支援分析課を本年四月、新たに立ち上げ、現場警察署への捜査支援体制の強化を図るとともに、遠隔での捜査指揮などに活用するための閉域ネットワークの拡充、捜査支援システムや防犯カメラ画像解析ツールなど捜査のデジタル化・高度化に資するシステムや資機材の整備、デジタル化に対応した捜査官の育成、AIなどを活用した新たな情報分析技術の研究など、社会の変化に対応した捜査のデジタル化を着実に推し進め、日々発生する犯罪の早期検挙・解決を図り、県民の生活の安全と安心の確保に取り組んでまいります。