1 出産・子育て家庭への支援について 2 障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくりについて 3 外国人との共生社会に向けた取組について 4 男女共同参画社会の推進・女性の活躍について 5 その他
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん おはようございます。公明党の石丸典子でございます。通告に従い、一般質問をいたします。 まず初めに、出産・子育て家庭への支援について、お伺いいたします。 令和四年の全国の出生数は、初めて八十万人を割り込むことが見込まれ、本県においても出生数は、六年連続で一万人を下回り、令和三年には八千人を初めて下回るなど大変厳しい状況にあります。 公明党は、昨年十一月に子育て応援トータルプランを発表し、結婚、妊娠・出産から社会に巣立つまでの支援策として、出産育児一時金四十二万円から五十万円への拡充や、国の経済支援三本柱として、一、児童手当の拡充と所得制限の撤廃、二、高校三年生までの医療費助成の拡大、三、ゼロから二歳児の保育無償化の対象拡大などを示したところで、児童手当の生みの親、育ての親でもある我が党としては、これらを実現していかなければならないと考えております。 こうした中、一月に東京都の小池知事は、国の子育て支援策の遅れを批判するかのように、十八歳未満の子供一人当たり五千円の給付や、ゼロから二歳児の第二子の保育料の無償化を、いずれも所得制限なしにする方針など、二○二三年度の東京都の子育て支援策を発表いたしました。 現在、東京で十一か月の子供を育ている長女からは、これまで共働きで所得制限により児童手当も何ももらったことがなかったので、月五千円でももらえるのがうれしいし、二人目から保育料が無償化になるので本当に助かると率直な喜びの声が届いています。 財政規模も違う東京都の取組をそのまま本県で実施することは難しいと理解しておりますが、今後、国が示す異次元の少子化対策と歩調を合わせ、山口県らしい対策を力強く進めてほしいと切に願っております。 国は、令和四年度第二次補正予算において、伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施を打ち出しており、こうした子育て世帯に寄り添った支援は大変重要です。 山口県では、これまでも、やまぐち版ネウボラの推進により、子育て世代包括支援センターを中心とした切れ目のない地域の相談支援体制づくりに取り組んでおり、国の伴走型相談支援の実施に合わせ、さらに充実を図る必要があると考えます。 さらに、長引くコロナ禍の影響により、人と人とのつながりも希薄化してきており、こうした状況の中で、初めての出産や子育てをするお母さんは、子供の医療・健康や子育てについて大きな不安を抱えており、県におかれては、こうした不安を解消し、安心して出産・子育てができるよう支援の一層の充実を図っていただきたいと思います。 そこで県では出産・子育て家庭への寄り添った支援について今後どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 なお、私が令和三年十一月議会において質問いたしました、低出生体重児向け母子手帳が、このたび県や関係者の方々の御尽力により作成されました。千五百グラム以下で生まれた我が子の成長の記録が記載できないことにつらい思いをされていた母親の声に寄り添っていただいたことに感謝申し上げるとともに、一日も早くお母様たちの手元に届き、活用されますことを心から願っております。 次に、障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくりについて、三点お伺いいたします。 昨年十月に、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例が制定され、四か月余りが経過し、本年四月一日より事業者に対し合理的配慮の提供義務がスタートいたします。 また、同日より、事業者による障害者に対する不当な差別的取扱いや、合理的配慮の提供がなされていないと認められる場合、知事に対して山口県障害者差別解消調整委員会によるあっせんを求めることができ、事業者が正当な理由なく、あっせん案に従わなかった場合などには、知事は事業者に勧告や公表ができるようになります。 この条例により、事業者には厳しい対応が求められますが、障害の有無によって分け隔てられることのない共生社会の実現のために、県、市町、事業者、県民が一体で取り組む必要があることは言うまでもありません。 県条例第十条では、障害者本人やその保護者があっせんを求める前には、県への相談を経なければならないこととなっており、第九条において県が行うこととされている相談に関する業務の重要性が問われるとともに、相談へとつながるためには、県民への周知、何よりも障害者及び保護者への周知が必須です。 そこで一点目、お伺いいたします。県は、県条例の周知と理解をどのように進め、事業者による差別の禁止にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 二点目、次に、身体障害者補助犬の普及についてお伺いいたします。 私は、身体が不自由な人をサポートする盲導犬、介助犬、聴導犬といった補助犬について、これまで二○○二年成立の身体障害者補助犬法に基づいて、レストランやホテルにおける補助犬受入れ義務の周知や普及啓発の取組を要望してまいりました。 この補助犬の問題は、単に犬の問題ではなく、補助犬を必要とする障害者の人権に関わる問題であることもこれまで強く訴えてまいりました。 しかし、本県の補助犬の受給者募集要項では、令和三年から募集人数がそれまでの二人から一人へと減少し、障害者のニーズにすら応えられていないのが現状です。 選に漏れた人は、また来年まで譲渡の機会を待たなければなりません。まして、盲導犬に比べ、介助犬や聴導犬の受給はさらに難しいと言わざるを得ません。 補助犬の利用者の拡大こそが、補助犬の普及により地域や社会で障害者への認識を変えることになります。 また、受給手続の簡素化や障害者に対する補助犬の周知啓発も大切であり、共生社会の実現につながるのではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。補助犬の普及について、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 三点目、インクルーシブパークの整備についてお伺いいたします。 二○二一年六月議会で、誰もが一緒に遊べる公園整備について質問し、山口きらら博記念公園に、西日本一のインクルーシブパークの整備を要望させていただきました。 県内でも、この春には、防府市や宇部市で、また岩国市や下松市でもインクルーシブパーク整備の動きが進んでいます。 県は、昨年十月、山口きらら博記念公園において、インクルーシブパークに係るニーズや課題を抽出するため社会実験を開催されました。 私も現場に行き、県外から来られていた専門業者から障害のある子とない子が、一緒に遊べるインクルーシブに配慮された遊具の特徴を聞かせていただき、大変勉強になりました。 例えば、数人で座る回転椅子は、回し過ぎると座位が不安定な子供は落ちてしまいますが、インクルーシブ遊具はスピードがあまり出ないように工夫されていました。車椅子のまま遊べる高さの砂場や、ゆったり二人で座れるブランコなど、兄弟や親子、友達と一緒に遊べるインクルーシブパークは、県内外からの交流拠点として期待される、きらら博記念公園をはじめ多くの公園に早期整備が求められます。 そこでお伺いいたします。インクルーシブパークについて、今後どのように整備されるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、外国人との共生社会に向けた取組についてお伺いいたします。最初に、地域における多文化共生についてお伺いいたします。 政府は、危機的状況にある我が国の少子高齢化、人口減における社会の担い手、地域コミュニティーの構成員として外国人の受入れに期待し、日本語教育をはじめ多文化共生における地域づくりの推進を図ろうとしていますが、国籍の違いを乗り越え、互いの文化を受け入れ認め合うことは、そう簡単なことではないように思います。 本県在住の外国人の数は、昨年一万六千七百三十四人と増加傾向にあり、ベトナム、中国、フィリピンなど、県内それぞれの地域で外国人の在住人数や状況も違い、岩国のように米軍基地があるなど特殊な環境は別として、私の地元防府市には約千人の外国人の方が暮らしておられますが、たまにスーパーなどで見かける程度の地域も多いのではないでしょうか。 職場以外での地域との関わりが少ないことは、地域コミュニケーションの場が少なく、かえってトラブルの要因になりかねないように思います。 外国人の方に地域住民の意識を持ってもらうためには、まずは私たちが外国人を地域構成員として受け入れる覚悟を持たなければならないと思います。 単に、お祭りや体育祭、防災訓練などに参加してもらうことが目的ではなく、外国人の方が抱える問題に一緒に取り組む姿勢を示すことが重要であり、そのためには行政や企業との連携をはじめ、意思疎通を図るための外国人が日本語を習得する機会の確保に向けた支援体制が求められます。 県は、文化庁の地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業に応募され、また山陽小野田市においても、同庁の地域日本語教育スタートアッププログラムを活用し、日本語教育の推進に取り組まれています。 地域の多文化共生には、このような市町の取組は重要であり、大いに期待するところです。 そこでお伺いいたします。言葉や文化の違いを知り、認め合う多文化共生社会の実現にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教育長に、学校における外国人児童生徒への教育についてお伺いいたします。 私は、二○一七年二月議会、ちょうど六年前、防府市で働く中国人親子の例を紹介し、語学のハンディを抱えた外国人児童生徒に対する教育支援について、県教委の取組を伺いました。 浅原前教育長は、一人一人の能力の伸長や進路希望の実現に向け、やまぐち型地域連携教育の仕組みを活用し、きめ細やかな学習支援の取組を推進すると答弁され、その中国人の男の子は、公立の中学校へ編入し、日本語指導も受けながら勉学に取り組んでいましたが、高校進学に際しては、英語と数学以外の日本語での受験が大きな壁となり、最終的には私立の高校へ進まれました。 また、昨年六月議会一般質問で、同僚の曽田県議が、増加を続ける外国にルーツを持つ児童生徒の日本語教育への取組についての質問で、日本語教育の指導員の増員や、ボランティアなどで組織されている子供のための日本語教室を持続可能とするために、早急な国語授業実施の必要性を訴えました。 文科省は、ここ約十年で、小学校、中学校、高等学校等における日本語指導が必要な児童生徒は増加しており、教育・就労・生活の場で円滑にコミュニケーションを図り、日本人とともに学び、生活できる環境整備として重点的に日本語教育・外国人児童生徒の教育の充実を図るとしています。 そこで、外国人児童生徒への教育が、未来の山口を支える人材への投資と捉え、教育長に二点お伺いいたします。 一点目、外国人児童生徒の進路希望の実現に向けた取組についてお伺いいたします。 先ほど、防府市に住む中国人生徒の高校受験の一例を御紹介させていただきましたが、本県は令和四年度入試から来日六年以内の外国籍の生徒に、必要に応じて、各教科十分を限度とした検査時間の延長と、学力検査の問題文の漢字に振り仮名をつけるという特別措置を新たに設け、一名の受験があったとお聞きしています。この方の健闘をたたえるとともに、受験の公平性についての取組の難しさを感じています。 令和四年度入試から特別措置を設けたことについては、まずは一歩前進として評価したいと思いますが、十分の時間加算や漢字の振り仮名をつけること以外にも、まだ検討の余地はあると思います。 他県では、特別枠を設けたり、一部科目を面接や小論文で代替したりするところもあります。これまで選抜の公平性を重視してきた本県公立高校においても、これからは多様な生徒の受皿としての取組がさらに必要と思います。 まずは、外国人の進路希望の実現に向けた取組について、県教委の御所見をお聞かせください。 二点目、最も大切な外国人児童生徒等の日本語教育についてお伺いいたします。 本県では、昨年度、日本語教育が必要な児童生徒百五十八人に対し、教員免許を持つ常勤日本語担当教師八人と非常勤講師四人により日本語教育が学校で行われています。 このような中、県は散在型の本県の特性に対し、新年度からきめ細やかな対応に向けてNPO法人の方々との遠隔・オンラインでの日本語指導の実施をスタートいたします。 これは、どこに住んでいても一人一台端末で学ぶことができ、大変期待されますが、実施に当たっては、まずは真に支援を必要としている児童生徒に対して確実に指導を行っていくことが重要となります。 この点に関して、日本語教育に知見を有するNPO法人の団体の方々は、対象者の判定にDLA、これは外国人児童生徒のためのJSL対話型アセスメントのことですが、DLAの実施を求めておられ、今後そうした知見を活用していくことも有効なのではないかと思います。 また、本県には、現在外国人へ日本語指導を行う方々がボランティアを含め県内各地で活動されていますが、一定の報酬を得ながら活動できる場が少なく、多くの人材が県外へ流れているとのことです。 これから、ますます外国人材が山口県で活躍していただくためには、こうした日本語教育を行っている方々と積極的に連携し、指導員などとして活躍していただくことが必要であると考えます。 加えて、保護者とともに就学前初期集中指導により、親子で学校生活や環境に慣れることは、特に就学前の様々な不安を払拭し、就学後の学校側にも大変プラスになると思われます。 またそれは、年度初めとは限らず、年度の途中でも同じ効果が期待されるところであり、そうした取組も検討していただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。今後ますます本県に外国人児童生徒等が増えることが見込まれる中、そうした子供たちへの日本語教育支援をより一層充実していく必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、男女共同参画社会の推進、女性の活躍について、二点お伺いいたします。 一点目、男女共同参画の拠点、カリエンテ山口の整備と機能充実についてお伺いいたします。 私は、女性議員として二十年、常に女性の視点で女性の活躍を議会で訴えてまいりましたが、知事も御存じのように、本県には一県民の立場で女性の活躍を支え、活動されている方々や団体の方々がたくさんおられます。 去る一月三十日、それら山口県女性団体連絡協議会、通称女団連の八団体の代表の方々による柳居県議会議長と村岡県知事への要望活動に、私ども超党派の女性県議七人全員で同席させていただきました。 これまで女団連の皆様からは、新たな時代に即した男女共同参画の推進やエンパワーメントの取組について多くの御示唆を頂くとともに、女性議員の活躍に大きな期待を頂いてまいりました。 今回の女団連の皆様が要望された男女共同参画社会推進のための四項目については、私ども女性県議七人も賛同するものであり、改めて取り上げさせていただきます。 一、山口県婦人教育文化会館カリエンテ山口の活動拠点としての環境整備、二、子育て、就労、離婚、貧困など、女性の総合相談窓口の整備、三、ジェンダー平等・男女共同参画について、県民の学ぶ機会・交流の場の創出、四、次の世代を担う若いリーダーの養成、人材育成です。どれも現場からの大事な視点であり、声であり、県の施策と重なるものであります。 知事は、二○一四年六月議会の女性の活躍促進のための交流拠点についての私の代表質問に、カリエンテ山口を本県の男女共同参画センターとして位置づけ、交流・人材育成等の機能強化を検討すると答弁されました。 カリエンテ山口の正面玄関には、山口県男女共同参画相談センター、配偶者暴力相談支援センターの看板が建てられており、知事に命名していただいた、やまぐち性暴力相談ダイヤルあさがおが入り、対面でのDV被害者や性暴力被害者からの相談にも対応しております。 現在、多くの県民が、相談・交流・研修の場として利用されていますが、ジェンダー平等など、次の時代を担う若い方々や、子供連れでの交流・研修の場として様々な整備が求められます。 そこでお伺いいたします。本県の男女共同参画の拠点として、カリエンテ山口の整備・機能充実を求めますが、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目、女性デジタル人材の育成について、お尋ねいたします。 昨年六月の代表質問では、デジタル人材が不足する中、女性デジタル人材の育成には、官民連携による伴走型の取組が必要であり、そうした取組により成果を上げている長野県塩尻市の事例も紹介させていただきました。 こうした中、来年度、本県においても女性デジタル人材育成を県内企業や大学、県が一体となって力強く進められるとされたことを高く評価いたします。 コロナ禍は女性の就業に大きな影響を与えており、とりわけ非正規労働者や独り親家庭への厳しい状況が続いています。この取組を着実に進め、一人でも多くの女性の待遇改善や就業、男女間の賃金格差是正につなげていただきたいと思います。 また、デジタルスキルを身につけた女性が、県内企業において持てる力を余すことなく発揮し、生き生きと活躍されることを大いに期待しております。 そこでお伺いいたします。県内企業のデジタル人材不足の解消や女性の柔軟な働き方、賃金格差の是正等につながる女性デジタル人材の育成に、どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の御質問のうち、私からは、出産・子育て家庭への支援についてのお尋ねにお答えします。 少子化の流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが重要です。 このため、私は、これまでも身近な場所で妊娠・出産・育児の相談に対応する、まちかどネウボラの設置などによる、やまぐち版ネウボラの推進や、子育ての相談に二十四時間三百六十五日対応する子育てAIコンシェルジュの構築に取り組んできたところです。 こうした中、昨年、国において、伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施する出産・子育て応援交付金が創設されたところであり、県としても引き続き実施主体である市町が行う伴走型相談支援の実効性が高まるよう、新たな取組を進めることとしています。 具体的には、子育て家庭の育児の悩みや不安感の軽減を図るため、まちかどネウボラに新たに助産師を派遣し、妊産婦への産前産後の体調管理や、新生児の沐浴や授乳に係る相談等に対して、身近な場所で専門的知見に基づいた指導や助言が受けられるよう、相談体制の強化に取り組みます。 また、全国でも先駆的な取組として、妊産婦や小児の医療面での悩みや不安に対応できるよう、子育て世代が使い慣れているSNSの機能を活用し、時間や場所の制約なく、気軽に産婦人科や小児科の専門医へオンラインで相談できる支援体制を整備することとしています。 こうした取組に加え、特に子育ての負担が大きい第三子以降の出生世帯に対し、これまでのお祝い品、県産米六十キロに加えて、家事負担の軽減につながるよう、家事代行サービスの利用券五万円分を新たに贈呈することとしています。 私は、全ての妊婦・子育て家庭が、安心して子供を産み育てていけるよう、市町と連携し、出産・子育て家庭に寄り添った支援の充実に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくりについての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県条例の周知についてです。 県では、昨年、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例を制定し、障害のある方が不当な差別的取扱いを受けた場合には、相談に適切に対応し、障害を理由とする差別の解消に取り組むこととしています。 このため県では、まずは広く県民に条例の趣旨等を周知し、相談へとつなげるため県ホームページ上で条例の内容を分かりやすく説明する動画等を配信しているほか、ポスターやリーフレットを作成し、公共施設や学校など県民の目に触れやすい場所に配布しているところです。 とりわけ障害のある方には、不当な差別的取扱いを受けた場合などの相談機関や事業者との紛争事案が起こった際の解決の仕組みについて理解していただくことが重要です。 このため当事者団体等と連携し、説明会を開催して、障害のある方に身近な相談窓口の紹介や、あっせん等の手続など分かりやすく丁寧に説明を行い、理解を深めていただいているところです。 あわせて、事業者に対しても、不当な差別的取扱いの禁止や、合理的配慮の提供義務についての理解が進むよう、事業者向けの説明会を開催しています。 県としましては、引き続きこうした取組を通じ、関係団体等と連携し、条例の周知と理解の促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、補助犬の普及についてです。 身体障害者補助犬は、身体に障害のある方が自立した生活を送る上で、また社会参加をする上で重要な存在であると考えています。 このため県では、補助犬を希望される方に無償で給付する事業に取り組んでいるところであり、これまで延べ四十四頭の補助犬が、障害のある方の日常生活や社会生活を支えてきたところです。 補助犬のさらなる普及に当たっては、お示しのとおり補助犬の利用拡大が重要であり、そのためには、障害のある方が補助犬を自立や社会参加への選択肢の一つとして考えていただけることが必要です。 このため県では、補助犬の活動を紹介するリーフレット等を障害者団体を通じて配布するとともに、今後は補助犬の育成団体等と連携して、障害のある方が参加するイベント等において、補助犬の活動を実際に体験していただくなど、一層の周知を図ってまいります。 また県民の方々にも、補助犬についての理解を深めていただけるようリーフレットの配布や、県政テレビ放送等の活用を通じて、広く周知に努めているところです。 なお、お示しの受給手続については、提出を求める書類の簡略化を図るなど、申請者の負担軽減を図ってまいります。 県としましては、こうした取組を通じて、今後とも障害のある方が補助犬とともに自立した生活が送ることができるよう、補助犬の一層の普及に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)障害のある人もない人も共に暮らしやすい県づくりについてのお尋ねのうち、インクルーシブパークの整備についてお答えします。 インクルーシブパークは、多種多様な人々が交流し、一緒に遊ぶことで、子供が人の多様性を自然に理解でき、共に生きる心が育つことが期待される場所であり、今後の公園づくりを進める上で必要な視点と考えています。 このため、県では、やまぐち未来維新プランに、子供から高齢者まで、障害の有無等にかかわらず、誰もが集い語らい、新たなつながりをつくり出す「みんなの公園」として位置づけるなど、その整備に向けた取組を進めています。 具体的には、インクルーシブパークのニーズや課題を把握するため、昨年十月、山口きらら博記念公園において、民間事業者や教育機関等の協力も得ながら、社会実験を実施したところです。 これには、十六日間で一万人を超える参加があり、実施したアンケートでは約九割の方から、インクルーシブパークができたらぜひ来たいとの回答を頂くなど、ニーズの高さを確認することができました。 また、遊具の種類を増やしてほしい、見守るスタッフがいると安心、近くにトイレが必要など、インクルーシブパークの内容や運営、周辺整備に関する意見も頂いたところです。 今回の社会実験で得られた課題を基に、障害等に応じた遊具の選定や、見守り等の運営体制の確保、トイレ等の周辺施設の整備の必要性などについて検討を進め、山口きらら博記念公園で策定する基本構想と合わせて、早期整備に向けた具体的な方針を令和五年度中を目途に策定してまいります。 また、今月二十七日には、インクルーシブ社会の実現に向けた都市公園の役割について講演会を開催し、市町や教育機関等の担当者をはじめ、県民の皆様にも理解を深めていただき、他の公園での整備促進にも努めていく考えです。 県としては、関係機関と連携しながら、今後とも障害の有無等にかかわらず、公園を訪れる誰もが、共に遊び、学ぶことができるインクルーシブパークの整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)外国人との共生社会に向けた取組についての御質問のうち、地域における多文化共生のお尋ねにお答えします。 県内の外国人住民が増加傾向にある中、県では、これまで外国人が地域で安心して生活できる環境づくりや、県民の異文化に対する理解の増進を図るなど、多文化共生による地域づくりを積極的に推進してきたところです。 こうした中、県としては、市町や関係機関等と連携・協働して、外国人住民のニーズや課題等を把握する実態調査を実施し、新たに、やまぐち多文化共生推進指針を策定することとしており、今後、多文化共生社会の実現に向けた取組を計画的かつ総合的に推進していくこととしています。 具体的には、まず相談体制の充実に向け、やまぐち外国人総合相談センターにおいて、専門の相談員による多言語での情報提供や、医療、教育など幅広い相談にきめ細かく対応していくこととしています。 また、外国人住民と地域や国際交流団体、行政機関等との橋渡し役を担う、やまぐち多文化共生推進パートナーを新設し、意見交換会などを通じて、外国人住民のニーズ等を把握するとともに、暮らしに必要な様々な情報を円滑に提供してまいります。 さらに、県国際交流協会と連携し、広く県民の異文化に対する理解を深める研修やフォーラムなどを開催するとともに、国際交流員や外国人住民、海外在住経験者等から、外国の文化や習慣等について幅広く学ぶ講座等も開催してまいります。 こうした取組に加え、市町による地域日本語教室の運営に対する支援や、日本語教育に携わる人材の養成・確保を進めるとともに、日本語教室に通うことが困難な外国人住民向けのオンライン教室を新たに開設するなど、日本語を習得する機会の確保に努めることとしています。 県としては、今後とも、市町や関係機関等と連携しながら、外国人住民が地域で安心して生活し、社会の一員として活躍できるよう、多文化共生による地域づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)男女共同参画社会の推進・女性の活躍に関する御質問のうち、カリエンテ山口の整備と機能充実についてのお尋ねにお答えします。 山口県婦人教育文化会館カリエンテ山口は、男女共同参画の拠点として重要な役割を果たしており、県では、相談や交流・人材育成など、会館の機能充実に取り組んでいるところです。 具体的には、まず相談については、会館内に男女共同参画相談センターを設置し、女性の総合相談はもとより、DVや性暴力相談の中核として、専門家を活用した面接相談など、被害者に寄り添った支援を行っています。 また、これらの相談対応を一層充実させ、コロナ禍により顕在化した生活困窮や家庭関係破綻など様々な困難を抱える女性への支援にも適切に対応するため、来年度からは、相談員を増員し、体制強化を図ることとしています。 次に、交流・人材育成については、女性団体等に対し会館使用料を補助することにより、団体活動の活性化を図るとともに、シンポジウムの開催等を通じて、学ぶ機会や交流の場を創出しています。 さらに、地域において女性がリーダーとして活躍できるよう、山口きらめき財団と連携し、研修や意見交換会を実施するなど、資質向上やネットワークづくりに一層努めていくこととしています。 こうした中、お示しのように、山口県女性団体連絡協議会から、会館が多くの県民にとって、より利用しやすいものとなるよう、活動拠点としての環境整備などが要望されたところです。 このため県では、所有者である一般財団法人山口県婦人教育文化会館や地元山口市との役割分担等を踏まえ、引き続き団体の意見もお聞きしながら、会館の機能充実に向けて、今後どのような取組や支援ができるか検討してまいります。 県としては、カリエンテ山口のさらなる機能充実に努めることにより、県民をはじめ、市町や関係団体とも連携しながら、男女共同参画社会の実現に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)男女共同参画社会の推進・女性の活躍についてのお尋ねのうち、女性デジタル人材の育成についてお答えします。 コロナ禍により非正規雇用の割合が高い女性に大きな影響が及ぶ中、女性の活躍を促進するためには、企業が求めるデジタルスキルの習得を支援し、好条件での就業につなげることが重要です。 このため、職業訓練の実施によるIT資格の取得や、山口しごとセンターに配置した女性専門のアドバイザーによるキャリアカウンセリングなど、女性に寄り添った就業支援を進めてきたところです。 来年度は、こうした取組に加え、未就業の女性や子育てが一段落し正規雇用を望む女性等の就業や待遇改善を促進するため、産学公が一体となって女性デジタル人材を育成する新たな事業を展開することとしています。 具体的には、企業や大学等と連携し、やまぐち女性デジタル人材育成コンソーシアムを新たに設置し、企業ニーズを踏まえた人材育成や、女性を受け入れる就業環境の整備に取り組みます。 まず、人材育成に向けては、民間事業者のノウハウを活用しながら、プログラミング等の専門スキルを習得する実践的な講座を開催します。 また、山口しごとセンターと連携し、スキルを習得した女性が働きやすい環境整備に取り組む県内企業を増加させるとともに、これらの企業でのインターンシップ等を実施し、円滑な就職を支援します。 こうした取組を通じて、女性のスキルアップから就業までをトータルでサポートすることにより、能力や希望に応じた好条件による就業を促進し、県内で働く女性の待遇改善を図ります。 県としては、県内企業等と連携し、女性デジタル人材の育成に積極的に取り組むことにより、デジタル人材不足の解消を図るとともに、女性の柔軟な働き方の実現や賃金格差の是正につなげてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)学校における外国人児童生徒への教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、外国人の進路希望の実現に向けた取組についてお答えします。 グローバル化の進展に伴い、今後も我が国に居住する外国人の増加が見込まれる中、外国人の子供たちが社会で自立していくために、高校において適切な教育を受けることは重要であると考えています。 このため、お示しのとおり、令和四年度の公立高等学校入学者選抜から、これまで帰国生徒等に対して可能としてきた検査時間の延長や、学力検査の問題文の漢字に振り仮名をつけるなどの特別な配慮を外国人生徒に対しても可能としたところです。 また、外国人生徒について、帰国生徒と同様に、定員枠を超えて入学を許可することも可能とし、公立高校への進学促進を図っているところです。 こうした中、県内の小中学校において、日本語教育が必要な児童生徒が、ここ数年百人を超えて一定数在籍しているという状況があり、外国人児童生徒の進路希望の実現に向けた取組のより一層の充実が求められています。 県教委としましては、県内に在住する外国人生徒の高校への入学ニーズについて、市町教委と連携しながら把握に努めるとともに、入学者選抜における特別な配慮の在り方について、他県の状況も参考にしながら、引き続き検討してまいります。 次に、日本語教育支援についてお答えします。 外国人児童生徒等が、授業の内容や互いを理解しながら共に学べるよう、個に応じた日本語指導を行うことは重要であると考えています。 このため、県教委では、対象児童生徒が多い地域に、日本語指導担当教員を配置するとともに、少ない地域には、本年度より山口県立大学と連携し、オンラインによる日本語指導を実施しているところです。 指導を受けた児童生徒からは、丁寧な指導により、日常生活で必要な内容や言葉などを身につけることができたといった肯定的な感想が多く聞かれた一方で、基本的な日常会話の習得が必要な来日直後の児童生徒のニーズには、十分応えることができなかったという課題が見られました。 こうしたことから、今後は、お示しの日本語能力を測定するDLAなどを活用して、一人一人のレベルに応じたきめ細かな支援を進めてまいります。 具体的には、日常会話の習得が必要な児童生徒に対しては、NPO法人による日本語指導を集中的に実施することにより、日常生活に必要な語学力等を身につけることができるよう支援してまいります。 また、日常会話はできても、授業内容の理解が困難な児童生徒については、山口県立大学と連携したオンライン日本語指導につなぎ、授業に必要な語学力の修得を後押しします。 さらに、授業に参加できるようになった児童生徒にも切れ目のない支援を行っていくため、授業での学習をサポートする支援員等を雇用する市町に対して、新たに補助を行ってまいります。 こうした取組に加えて、子供の就学に不安を抱える保護者に対しても、市町教委と連携し、相談・サポートを行い、安心して子供を学校に通わせることができるよう支援してまいります。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関と連携しながら、引き続き、外国人児童生徒等の日本語教育への支援をより一層進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十一分休憩