1 LPガスの料金高騰対策について 2 脱炭素社会の実現と徳山下松港の整備促進について 3 高齢者のデジタルデバイド解消について 4 ヤングケアラー支援について 5 公立夜間中学について 6 その他
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦でございます。それでは、一般質問させていただきます。 初めに、LPガスの料金高騰対策についてお尋ねいたします。 コロナ禍によって停滞していた世界各国の経済活動が、ウイズコロナの下で再び動き始めた途端に、世界的にエネルギー需要が高まり価格の上昇を招きました。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻が原油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源や、小麦をはじめ食料、油脂、飼料穀物などの価格高騰にも拍車をかけています。さらに、円安も影響し、物流コストの増大も追い打ちをかけており、エネルギー資源も食料資源も輸入に頼っている日本にとっては、とてつもない大きな打撃となっております。 政府による価格高騰対策としては、例えば小麦の売渡価格について言えば、通常は四月、十月の年二回、直前半年間の輸入小麦の円建て価格を基に算定されることになっていますが、昨年十月の価格改定は実施せずに、今年四月の価格改定において過去一年間の価格を基準とすることとして改定が見送られ、消費者を守るための施策が実施されました。 また、昨年十二月に成立した令和四年度の第二次補正予算においては、公明党も強く主張した電気、ガスの利用料金について負担軽減措置が施され、電気料金対策にはおよそ二兆五千億円、都市ガスの利用料金対策には約六千二百億円が措置されたところであります。 問題はここからです。地元のある方から、都市ガス利用料金への負担軽減とは言われるが、プロパンガス、つまりLPガスを使っている家庭には支援は何もないのかという質問でした。調べたところ、私も愕然といたしました。 昨年十二月に成立した国の第二次補正予算の中には、LPガス事業者向けに百三十八億円の支援があるのみで、消費者向け価格抑制のための支援は盛り込まれておりませんでした。しかも、電力、ガス、食料品などの価格高騰対策として、九月に配分済みの地方創生臨時交付金において、LPガス利用者への支援措置を追加で検討するよう、地方に対して国から事務連絡があったとのことでした。 確かに国は、電力、ガス料金等の高騰の負担軽減対策を目的に、地方創生臨時交付金を配分しており、実際の施策は地方自治体が決定する形になっております。ところが、本県も含め複数の自治体では、既にコロナ禍での医療・介護や中小企業対策、低所得者向けの対策などで地方創生臨時交付金の使い道は決定しており、余剰金はないのが実態であります。 さきに述べました国の補正予算におけるLPガス事業者向けの、小売価格低減に資する石油ガス配送合理化補助金、百三十八億円も大切であると十分に理解しておりますが、今ほど生活者や事業者が物価高に苦しんでいるときはないと思います。 LPガスのほうが都市ガスに比べもともと料金が割高な上、都市ガス同様に価格は上昇しているにもかかわらず、家計や事業所に係る負担は不公平と言わざるを得ません。まして、地方においてLPガス利用世帯や事業所は都市部に比べて多いはずです。電気や都市ガス料金は一月使用分から負担軽減が適用されていますが、多くのLPガス利用者が負担軽減対策から取り残されているという現実があり、一刻も早い対応を願いたいと思います。 そこでお尋ねします。現下の物価高騰対策については、まずは国において責任を持って対応されるべきと考えますが、県としても、LPガス利用者だけが支援から取り残されて不公平な扱いを受けることがないように強く国に求めていただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素社会の実現と徳山下松港の整備促進について伺います。 現在、徳山下松港は、平成二十八年に徳山下松港国際物流ターミナル整備事業が採択され、西日本地域へ石炭を安価で安定的に、しかも大量の輸送を可能にするため、大型の石炭運搬船の入港に対応した国際物流ターミナルの整備途中であります。さらに、平成三十年には、石炭の特定貨物輸入拠点港湾に指定されたことから、効率的かつ安定的な輸送ネットワークの形成と海上輸送コスト削減による生産性の向上を図るための港湾整備も進められております。 ところが、二○五○年カーボンニュートラルに向けた企業の取組により、エネルギー資源の取扱いについては、今後は石炭のほかにも水素やバイオマス燃料等の取扱いが増大すると見込まれております。 しかし、今後の変化に対応するためには、岸壁の整備による貨物船の滞船解消、船の渋滞の解消や、コンテナヤード等の確保が必要となってきており、国際競争力の強化につなげるためにも、国際物流ターミナルとしての機能強化は喫緊の課題となっております。 そのような中、令和二年に国土交通省が、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化を通じてカーボンニュートラル実現に寄与しようと全国六地域の港湾を選定しました。徳山下松港もその港湾のうちの一つであり、本県の未来にとって一層重要な位置づけとなる港湾になりました。 本年度、カーボンニュートラルポート形成検討のための予算として二千百万円、令和五年度も港湾脱炭素化推進計画策定に向けた二千百万円の予算が計上されているところであります。また、このたび、徳山下松港カーボンニュートラルポート検討会において議論を重ねてきた、今後の徳山下松港の目指すべき姿や取組の方向性について、その検討結果が取りまとめられたところであります。 本県の強みが発揮できる水素や、あるいは燃料アンモニアやバイオマス燃料等を軸とした脱炭素社会を推進するため、徳山下松港を次世代エネルギーの供給拠点、いわゆるカーボンニュートラルポートへの整備促進が急ぎ求められております。 そこでお伺いいたします。山口県の国際競争力強化に資する戦略港湾として早期の機能強化とともに、次世代エネルギー供給拠点としての徳山下松港カーボンニュートラルポート形成に向けた取組について、今後どのように進めていかれるのかお伺いいたします。 次に、高齢者のデジタルディバイド解消についてお尋ねいたします。 デジタルディバイドは、対象により三つに大別されます。 一つ目は、国際間で起きるデジタルディバイドです。情報通信インフラの整備が進む先進国と発展途上国の間には大きな情報格差が生まれます。 二つ目は、地域間で起こるデジタルディバイドです。国内の都市部と地方部の間に生じる情報格差のことで、各地域によって情報通信インフラの整備状況も異なりますし、ICTを使いこなす人たちが都市部に集中してしまうことも、地域間デジタルディバイド、格差を広げる要因の一つだと言われています。 三つ目には、個人・集団間で起きるデジタルディバイドがあります。これは個人や集団の年齢、学歴、所得などによって生じる情報格差のことであります。 これらの分類のうち、三つ目の個人間・集団間で起きるデジタルディバイドにおける年齢の相違による情報格差、要するに高齢者のデジタルディバイド問題が、超高齢化社会を背景に特に問題視されていることは改めて言うまでもありません。 総務省などは、デジタル活用に不安のある高齢者などを対象に、全国で講習会を開催しています。二○二一年度は約二千か所、二○二二年度も約四千五百か所、二○二三年度は約六千か所で開催が予定されているようであります。携帯ショップを中心に開催されており、高齢者などがより身近な場所で参加できるようにと、公民館等でも講習会を行うことが検討されています。 政府は、二○二一年度から二○二五年度の五年間で、延べ一千万人の参加を目指し、こうした取組により、誰一人取り残されないデジタル社会の実現に向け、高齢者等がより豊かで便利な生活を実現できるようにとデジタルディバイドを解消しようと取り組んでいます。 あわせて、デジタルと聞いただけでちゅうちょする高齢者等が取り残されないよう、デジタル機器・サービスの基本的な利用方法をサポートしてくれるデジタル推進委員やデジタル推進よびかけ員の募集も段階的に始まっており、現在全国で二万人を超えるデジタル推進委員がデジタル大臣より任命されています。 こうした取組との連携や市町における国事業の活用についても、本県でさらに進めていく必要があると思います。 県においても、独自の支援制度を設け、市町による取組を積極的に支援されており、これにより、それぞれの市町が工夫を凝らした取組が様々な形で行われています。 例えば、私の地元周南市では、県の支援を使い、高齢者がスマホを使い、簡単に様々な情報にアクセスできるQRコードパンフレットの作成に取り組んでいると伺っています。その他の市町においても、様々な形でこの事業が活用されており、各地域で開催されるスマホ教室も非常に好評で、役所が主催するとの安心感や公民館などの身近な場所で行われることもあり、多くの方が利用されていると伺っております。 これに加えて、携帯事業者との取組もニュースで取り上げられておりましたが、初めてのキャッシュレス決済やSNS体験など、参加者が非常に楽しんでおられる様子が紹介され、とても印象的でありました。 こうした高齢者の皆さんに寄り添った取組こそが求められており、さらに取組が進むよう、事業の継続的な実施と、さらなる充実も図っていただきたいと思っております。 話は変わりますが、先日、コンビニで買物の支払いのためレジに並んでおりました。先頭にいた初老の女性が、スマホを取り出しキャッシュレスで買物しておられました。何と先進的な方だなと感心しておりました。続いて、私と同年代の女性もカード払いでキャッシュレス、スマートな支払いの次に並んでいた私は、もちろん現金で支払いをしました。ちょっと劣等感を覚えてしまいました。ひょっとしてデジタルディバイドという壁をつくっているのは、高齢者ではなく現役世代の我々ではないのかと感じました。 高齢者もその機会があれば積極的に講習会にも参加するし、スマホを使いこなしている方もたくさんいらっしゃいます。決して必要に迫られることもないのだけれども、スマホやICT機器の操作を教えてさえくれれば、あるいは使いこなせば、より便利に豊かに暮らせることを知るチャンスがもっとあれば、少しは山口県の高齢者のデジタルディバイド解消が進むのではないでしょうか。 県には、さらなる取組の強化をお願いをしたいと思っております。 そこで、今後、市町等と連携を図りながら、どのようにデジタルディバイド対策を進めていかれるのか、お尋ねをいたします。 次に、ヤングケアラー支援についてお尋ねします。 昨年七月四日から三十一日まで、山口県が独自に行ったヤングケアラー実態調査については、厚生労働省こども家庭局発信の、ヤングケアラー支援体制強化事業の実施についての通達にのっとり、ヤングケアラーの人数、ケアの頻度や時間を含めた家族のケアの状況やその影響等のヤングケアラーの実態を把握することに加え、子供の気持ちに寄り添い、支援が必要なのか、そしてどのような支援が欲しいのか等についての調査を実施したと承知しております。 また、その調査結果を踏まえた上で、新年度予算においてヤングケアラー相談支援体制整備事業として予算措置がなされたところであります。 結果が報告された直後の昨年十一月議会でも、我が党の猶野議員が、実態調査の結果を基に家事や家族の世話を日常的に行っているヤングケアラーの早期発見、把握のための仕組みづくりや、そうした子供たちが相談しやすい体制の構築、さらには適切な支援につなげるために、社会全体で支える環境づくりをどのように進めるのか、質問をさせていただいております。新年度予算では、具体的にどのようなメニューとして反映されているのかを伺いたいと思います。 一点目に、ヤングケアラー相談窓口について伺います。 ヤングケアラー専門の相談窓口を設置した上で、そこに専門のコーディネーターを配置するとしています。県内のコーディネーターの配置については、県と市町や福祉サービス事業者などとの文字どおりコーディネート役であり、重要な役目を担うことになります。その意味で一定の要件を満たした者がふさわしいと考えますが、一体どのような機関、事業所がヤングケアラーコーディネーターを引き受け、市町に対する相談窓口設置の働きかけ、あるいはまた福祉サービスへのつなぎ役など、関係機関との専門的な連携や調整をするのか、まずお尋ねいたします。 続いて二点目に、かつて自ら家族の世話を経験した元ケアラーや学生ボランティア等によるピアサポート活動及びSNSを活用したオンラインサロンの運営など、ヤングケアラー支援に関わるボランティア人材の育成についてお伺いいたします。 ヤングケアラーがより気軽に悩みや経験などを共有できる新たな場所として、SNSやICT機器等を活用したオンラインサロンが設置・運営されることになります。利用者の利便性を考えた場合、やはりオンラインで様々な相談等が行えることが望ましいと思います。地域の実情に応じて対面でのサロンの実施を妨げないとされていますが、いずれのケースにしても、ここで留意しなければならないのは、ヤングケアラーのみならず、その家族や支援者側のプライバシーにも配慮した個人情報や家庭状況の取扱いです。 個人情報保護の遵守は当然のこととはいえ、SNSやオンラインサロンの運用上で、知られたくない情報、状況が無造作に映し出されたり、漏えいしたりすることがないよう、ICT機器の活用にある程度習熟した方、もしくは操作上のサポートが受けられる環境下でピアサポート活動が展開されなければなりません。 相談の性格上、当事者本人の家庭の事情にまで踏み込まなければヤングケアラーの根本的な解決に至らないことが多いはずです。SNS、ICTの活用方法には利便性や手軽さも大切ですが、安心して相談できるピアサポーターの育成が必要だと考えます。 そこでお尋ねいたしますが、ピアサポート活動に参加するボランティア等に対する研修等、ボランティア人材の育成については、どのように実施される計画なのか、お伺いいたします。 最後に、公立夜間中学についてお尋ねいたします。 県教委は、昨年十月中旬から十二月中旬にかけて、中学校夜間学級、いわゆる夜間中学に係るニーズ調査を実施され、先般、その調査結果が発表されたところであります。 この調査は、令和二年に実施された最新の国勢調査の結果も踏まえた上で、夜間中学に入学を希望する方々の潜在的な需要の有無を、山口県全体として把握する目的で実施されたものであります。したがって、当事者には当然ながら、保護者や支援者にも幅広く調査が届くようにと、市町教委や関係団体にも協力を得ながら進められたと伺っております。また、回答は質問を記載した用紙のみならず、ウェブでの回答方法なども取り入れ、様々な工夫を凝らしてたくさんの情報収集しようとの姿勢が見受けられます。 振り返りますと、平成二十六年十一月議会で、私は当時の下村文部科学大臣が、教育再生実行会議の提言に夜間中学の設置を促進する重要性が明記されたことを踏まえて、少なくとも各都道府県に一つは設置されるよう促進したいと答弁されたことを紹介しながら、夜間中学の必要性について訴えました。 教育長の答弁は、学齢期に様々な事情により義務教育を修了できなかった方々に、社会生活に必要な基礎的な知識や教養を身につけるための学習機会を提供することは大切なことだとの受け止めを述べられましたが、本県においては公立の夜間中学校を設置している市町はなく、今までのところ、住民の方から設置の要望を受けた市町教委もないとの答弁でありました。 あれから足かけ九年の歳月が過ぎましたが、その後、平成二十七年六月議会、令和四年六月の議会や文教警察委員会でも公明党として取り上げてまいりましたので、今回の夜間中学のニーズ調査については、ようやく第一歩を踏み出したという感慨深い思いでもあります。 今回の調査では、様々な地域や年齢層からのニーズが想定される中、様々な事情により、小中学校へ通えなかった義務教育が未了である方をはじめ、日本に滞在しているものの、母国等で日本の中学校に当たる教育を十分に受けていない外国籍の方、また中学校は卒業したが、事情によりほとんど学校に通えなかった方、そして現在、何らかの事情で中学校に通えない学齢期の方、いわゆる現在不登校の生徒さん等からの回答を想定して実施されています。 つまり調査結果から、潜在的な夜間中学に対する期待や具体的なニーズを細かく読み取ろうとしたものだと考えておりますが、さきにも述べましたように、国においては各都道府県や指定都市に一校以上の夜間中学の設置を目指すと方針を打ち出している中にあって、本県としても、こうした方々からのニーズがあるのであれば、それを正確に把握し、学びたいという意欲に応えていく必要があると改めて申し上げておきたい。 そこでお尋ねいたします。今回の夜間中学のニーズ調査結果をどのように分析しておられ、その結果を踏まえ、今後どのようにニーズに対応していくおつもりなのか、お尋ねをいたします。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の御質問のうち、私からは脱炭素社会の実現と徳山下松港の整備促進についてのお尋ねにお答えします。 本県経済の屋台骨である瀬戸内沿岸の基礎素材型産業をはじめとする基幹産業が、国際競争を勝ち抜くためには、物流の効率化を実現し、コストの削減に寄与する港湾の機能強化を図ることが極めて重要です。 このため、私は、これまで、徳山下松港及び宇部港において、大型船舶を利用した一括大量輸送により、石炭の安価かつ安定的な供給の実現に向け、国際バルク戦略港湾施策の推進に取り組んできました。 こうした中、地球温暖化対策の流れを受け、石炭を扱う多くの企業は、当面の措置としてバイオマス混焼による二酸化炭素の排出削減を進めてきたことから、現在、徳山下松港において、バイオマスの輸入拡大も踏まえ、大水深桟橋の整備や岸壁の延伸などを鋭意進めているところです。 さらに、各企業においては、水素、燃料アンモニア等の次世代エネルギーへの転換など、脱炭素社会の実現を目指したさらなる取組が進められています。 このため、こうした脱炭素化への動向を踏まえ、令和二年度から、徳山下松港について、カーボンニュートラルポートの形成に向けた検討会を開催し、国や関係企業等との緊密な連携の下、様々な視点から検討してまいりました。 その結果、当面は、バイオマスの混焼により二酸化炭素排出量の削減に努めつつ、将来は、西日本エリアの次世代エネルギー供給拠点港への進化を目指すという取組の方向性を、このたび、取りまとめたところです。 今後は、この方向性も踏まえ、新たに協議会を設置し、昨年の港湾法改正により法定化された港湾脱炭素化推進計画を、令和五年度を目途に策定する考えです。 この計画の策定に当たっては、脱炭素化に向けた目標や事業等を定めることとしており、将来を見据えた燃料アンモニアのサプライチェーン構築や、港湾における副生水素の利用拡大に係る事業などについても検討を深めていくこととしています。 さらに、計画策定後は、徳山下松港におけるカーボンニュートラルポートの形成に向け、官民が連携し、関連技術の進展等も踏まえながら、計画に沿った取組を進め、港湾機能の高度化等を図ってまいります。 私は、脱炭素社会においても、本県産業が国際競争を勝ち抜くための産業基盤となる港湾の機能強化に、今後とも積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)LPガスの料金高騰対策についてのお尋ねにお答えします。 我が国の経済は、ウイズコロナの下で正常化に向かいつつある一方で、エネルギー価格が上昇し、国民の生活や事業活動に大きな影響を及ぼしています。 そのため、県では、こうした影響を緩和するため、昨年、全国知事会を通じて、全国一律の強力な対策を講じるよう、国に要請を行いました。 これを受け、国は新たに、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策を策定しましたが、LPガスについては、価格の大幅な上昇が見込まれないことに加え、約一万七千社ある事業者を通じた直接的な料金軽減対策は困難との理由から、消費者への支援措置は盛り込まれませんでした。 その結果、都市ガスの利用者とLPガス利用者との間で、家計における負担の差が拡大していることから、県では、先般、問題意識を共有する三十八の都府県と連携し、LPガス料金についても、国が消費者の負担軽減策を講じるよう、緊急要望を行ったところです。 県としては、生活に不可欠な電気、ガス等の価格高騰対策は、地域によって支援に差が出るべきではなく、国において一律に対応されることが適当と考えており、今後とも、エネルギー価格の動向を注視しながら、国に必要な働きかけを行ってまいります。 次に、高齢者のデジタルディバイド解消についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が急速に進む中、コロナ禍を契機に、社会のデジタル化が大きく進展していることから、人にやさしいデジタル社会の実現を目指す上からも、高齢者のデジタルディバイドの解消は重要な課題です。 このため、県では、市町や携帯電話事業者等との連携体制を構築して、県独自の支援事業に取り組み、デジタルディバイド対策を積極的に推進しているところです。 具体的には、市町との連携により、高齢者のニーズを踏まえ、身近で訪れやすい公民館等でのスマホ教室や高齢者の活用リーダー養成講座等を延べ約百五十回開催し、約千六百人の参加を得ました。 また、お示しの周南市によるスマホで生活に役立つホームページに簡単にアクセスできるパンフレット作成など、高齢者のデジタル活用につながるモデル事例も生まれており、こうした事例の横展開にも取り組んでいます。 次に、携帯電話事業者との連携では、キャッシュレス体験やeスポーツ体験などの取組が非常に好評で、事業者からは、県主導の他県にない取組であり、本県の事例を他県のモデルにしたいと言われています。 こうした取組により、様々な成果が上がっていますが、依然として高齢者のニーズは非常に高いことから、今後もこれにしっかりと応えていく必要があります。 このため、来年度は、市長会・町村会の協力も得て、市町への支援を強化するとともに、事業者によるキャッシュレス体験の広域展開など、取組のさらなる充実を図ることとしており、引き続き、市町等と連携し、各地域で高齢者に寄り添った、きめ細やかな取組を進めていきます。 加えて、国の取組との連携も重要であるため、市町に対し、講習会の開催等、国の支援事業の積極的な活用を促しており、本県での活用事例を増やしていきたいと考えています。 また、デジタル推進委員については、全国知事会等を通じて、国に情報提供や地方での活用への支援等を要請しており、各地域の取組に生かしていきたいと思います。 県としては、誰もがデジタルの恩恵を受けることのできる、人にやさしいデジタル社会の実現に向け、国や市町等と緊密に連携しながら、高齢者のデジタルディバイド対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)ヤングケアラー支援に関する二点のお尋ねにお答えします。 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の生活や教育に影響があることから、学校や福祉サービス提供事業者、行政機関等が緊密に連携を図りながら、早期に把握し、適切な支援につなげることが重要です。 このため、県では、昨年七月に実施した本県独自の実態調査の結果を踏まえ、ヤングケアラーを社会全体で支援する体制の整備に向け、来年度、新たに、専門相談窓口の設置や支援に関わる人材の育成などに取り組むこととしています。 まず、専門相談窓口の設置についてです。 子供が置かれている状況は様々であることから、その状況に応じて、福祉、介護、医療、教育など多岐にわたる相談に的確に対応し、関係機関と連携を図りながら、適切な福祉サービスにつなげていくことが必要です。 このため、県では、地域における子供や家庭に関する相談対応に十分な実績があり、市町や学校等の関係機関との連携に強みを持つ団体を公募により選定し、子供等からの様々な相談にワンストップで対応する、専門相談窓口を設置することとしています。 また、この相談窓口には、豊富な知識と経験を有するコーディネーターを配置し、市町において多機関連携による適切な支援が行えるよう、必要な助言を行うとともに、学校や福祉サービス提供事業者等の職員に対し、実践的な研修を実施してまいります。 次に、支援に関わるボランティア人材の育成についてです。 子供が抱える悩みや不安を軽減するためには、同じような境遇にある人同士が交流し、支え合うピアサポートによる居場所づくりを進めることが重要です。 このため、県では、来年度、若者に身近なSNSを活用し、子供たちと年齢が近く、家族介護の経験がある大学生等のボランティアがサポートを行うオンラインサロンを開設することとしています。 サロンの運営に当たっては、お示しのとおり、個人情報保護に留意する必要があることから、ボランティアに対し、個人情報の取扱いを含め、相談支援の基礎知識等に係る研修を事前に実施するなど、子供が安心して相談できるボランティア人材の育成に取り組んでまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、市町や関係機関等と連携しながら、今後とも、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)公立夜間中学についてのお尋ねにお答えします。 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられなかった方、外国籍の方などが再び学ぶ場として、重要な役割を果たすものと認識しています。 このため、県教委では、最新の国勢調査の結果等を踏まえ、夜間中学への入学を希望する方の潜在的な需要の有無を全県的に把握することを目的として、昨年十月から十二月にかけてニーズ調査を実施し、当事者や支援者から百七十三件の回答が寄せられたところです。 その結果、今回の調査では、夜間中学に対するニーズや関心は、現在不登校となっている学齢期の生徒の中に多く見られ、当初想定していた義務教育未修了者や外国籍の方の回答はほとんど確認されなかったところです。 さらに、夜間中学があれば通ってみたいと回答した方は、幾つかの市町に集中しており、その大半が三十分以内の通学時間を望まれていることも分かりました。 こうした結果を踏まえ、県教委では、今後各市町教委と協議の場を設け、今回のニーズ調査の市町ごとの分析結果や、各地域の実情なども勘案の上、夜間中学設置の必要性について、共に検討していくこととしています。 また、市町教委と検討していく中で、さらに詳細な調査が必要となった場合には、今回のニーズ調査の実施手法の提供や、近隣の市町が合同で実施する調査への協力なども行ってまいります。 さらに、設置に向けた具体的な検討を行う市町には、教職員の配置や教育課程の編成、施設改修等に係る補助制度の情報提供など、設置・運営に必要な支援に取り組んでまいります。 県教委といたしましては、義務教育を受ける機会を保障する観点から、引き続き市町教委とともにニーズの把握に努め、公立夜間中学の設置の必要性について検討してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十五分休憩