1 医療提供体制の充実強化について 2 地域医療を支える薬剤師の確保について 3 地方ローカル線の利用促進について 4 医療的ケア児やその家族への支援について 5 各港の特性に応じた港湾整備について 6 ICT教育のさらなる推進について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第六十一号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 江本郁夫君。 〔江本郁夫君登壇〕(拍手) 江本郁夫君 皆さん、おはようございます。大変いい天気になりました。令和五年の二月議会一般質問第一番、担当いたします。どうぞよろしくお願い申し上げます。 それでは、通告に従いまして一般質問に入ります。 まず、医療提供体制の充実強化についてお尋ねいたします。 本県で新型コロナウイルス感染症の感染が確認されてから約三年が経過し、年明けには、一日の感染者数が過去最大となる五千人を超える厳しい状況となり、その後、感染者数は減少傾向にあるものの、第八波による感染は依然として続いています。 この間、感染防止対策の現場で御尽力いただいております医師や看護師などエッセンシャルワーカーの方々をはじめ、保健所の職員、県及び市町の行政の方々など、全ての皆様方に感謝を申し上げます。 コロナとの闘いは、徐々にウイズコロナへと意識が移り変わる中で、岸田総理は、この春からいよいよ五類感染症への変更を表明し、医療提供体制や公費支援をはじめ、平時の日本を取り戻すべく具体的な施策の検討が進められており、社会経済活動の正常化に向けて新たな一歩をしっかりと踏み出していけるものと期待をしております。 一方で、この三年間のコロナとの闘いを経験し、私たちは、改めて県民の命と健康を守ることの重要性を理解したところであります。 中でも、県立総合医療センターは、県内唯一の第一種感染症指定医療機関として全県からコロナ重症患者等の受入れを行うなど、県民の命と健康を守る医療を最前線で提供するとともに、高度専門医療や僻地医療など県全体の医療を支える中核的な役割を担っており、我々自民党としても、センターの機能強化に軸足を置いた本県の医療提供体制の強化の必要性を訴えてきました。 これに対し、知事は、昨年二月定例会において、将来にわたって本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点としての中核的役割を一層果たせるよう、今後、スピード感を持って抜本的な機能強化を進めると力強く答弁され、近隣への全面的な建て替えを基本とする機能強化に向けてかじが切られました。 また、県では、今年度、関係者や専門家等から成る検討委員会を立ち上げ、機能強化に向けた検討を進めており、先日開催された第三回の検討委員会では、感染症医療や僻地医療の拡充、移転候補地の要件など、センターが担うべき医療機能の取りまとめがなされたところであります。 来年度の当初予算では基本計画の策定経費が計上されておりますが、県民の安心・安全を確保するためには、センターが将来にわたって本県医療の中核的な役割を果たせるよう、今後、移転候補地を含め、センターが担うべき機能強化の道筋を取りまとめるとともに、引き続き関係者等の意見を踏まえながら、実効性ある基本計画を策定していただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。県では、医療提供体制の充実強化に向けて、今後どのように県立総合医療センターの機能強化を進めていくのか、御所見をお伺いします。 次に、地域医療を支える薬剤師の確保についてお尋ねいたします。 二○一八年、西日本の公立大学では初となる薬学部が、私の地元山陽小野田市の公立大学、山口東京理科大学に設置されました。 それまで薬学部のなかった本県では、薬剤師を目指す方は、県外に進学して資格取得をし、そのまま県外で就職することが多かったこともあり、県内の薬剤師が不足し、薬学部の設置はその課題の解消、そして地域発展の起爆剤として、市や関係団体の長年の悲願のものでした。 こうした期待のまなざしで成長を見守られておりました金の卵たる第一期生が、いよいよ来年二○二四年に卒業、就職を迎えようとしているところです。 ここで、現在の本県の薬剤師の状況に目を向けてみますと、県内の三十五歳未満の若手薬剤師数は減少傾向にあり、高齢化の進行も相まって、今後さらなる不足が危惧されています。 県の調査によれば、二○三五年には、高齢化や医療の高度化に伴い薬剤師需要は増大し、病院や僻地薬局を中心に二百五十から四百人の薬剤師が不足すると推計されており、医療提供体制を維持・充実させるために薬剤師の確保は重要な課題となっています。 こうした状況を踏まえますと、山口東京理科大学薬学部の設置により、薬学生が県内若手薬剤師として巣立っていく展望が大いに期待されるところではありますが、昨年度、薬学生三、四年生に対して行われたアンケートによれば、卒業後の県内就職希望者は約一四・五%にとどまるとのことです。 もともと県外からの入学者が約七割ということですので、この結果はある程度は仕方のない部分もあるかもしれませんが、私は、一人でも多くの学生にこの魅力ある山口県で就職し、本県の地域医療を担っていただきたいと思うのです。 これまで、県では、山口東京理科大学薬学生に対し、就職説明会や、現役の薬剤師との交流を行う薬学的サイエンスカフェの開催、加えて、大学と県製薬工業協会の産学公連携による専門的な研修の実施など、大学や団体、企業と連携し、学生の県内就職に向けた様々な取組を行っておられます。 今後はこういった取組に加え、いよいよとなる薬学生の卒業に合わせて、学生に対してさらに強力にアプローチをかけていく必要がありますし、そのためには、大学や関係団体等との連携をさらに強化し、学生の就職ニーズをしっかりと捉えた取組を展開することが必要になると思います。 そこでお尋ねします。これから卒業を迎える山口東京理科大学の薬学生が、本県の地域医療を支える薬剤師として就職し、活躍していくために、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、地方ローカル線の利用促進についてお尋ねします。 昨年四月のJR西日本の赤字路線の公表は、全国各地に大きな緊張と危機感を与えています。 隣県の広島県と岡山県にある芸備線をめぐっては、利用促進により維持を図りたい沿線自治体とバスなどの代替案の検討を進めたいJR側が対立するなどの事態も生じています。 残念ながら、私の地元の小野田線も、県内の赤字路線五路線六区間の一つとなっています。小野田線は、明治時代に日本初の民間セメント会社がこの土地に誕生し、その成長とともに資材の運搬や働く人の移動手段として発展してきました。まさに、地元にとっては、まちづくりや地域づくりを支えてきた欠かすことのできない社会基盤であるとともに、かけがえのない生活基盤でもあるのであります。 市では、少しでも関心を持ってもらい、何とか利用につなげていこうと、昨年十月からタレントを活用した特別列車の運行なども行っています。 しかし、道路整備と自家用車の普及が進み、小野田線に限らず地方ローカル線の利用者は減少し続けており、沿線自治体の講じる利用促進策も、この大きな流れを止めることができていません。 鉄道の利用者数の多い都市部と地方の大きな違いは、やはり通勤での利用が少ないことにあります。地方では、多くの方が通勤に車を利用しており、ローカル線の利用増加の鍵は、この車を利用して通勤する人をどれだけローカル線の利用へと促すことができるかです。 もちろん、増便などにより利便性向上を図ることも大切なことではありますが、ただ、それだけではローカル線を利用させる流れをつくり出すことは難しく、私は脱炭素やSDGsといった社会の大きな変化の中で、個人や企業に生じている意識や行動の変化を捉え、利用を促していく必要があるのではないかと思うのです。 私たちの身の回りにも、こうした個人の意識や行動の変化を捉え、商品の開発や販売に生かしている取組が多く存在しています。 例えば、環境問題や社会貢献に関心のある消費者に対して、商品の原料をサステーナブルな原料へ変更したり、パッケージをプラスチックから紙へ変更する、また購入した商品の売上げの一部を社会貢献事業へ寄附するなどにより、購買へのインセンティブを高める取組が私たちの日常生活にも浸透しています。こうした習慣的な行動に対するアプローチは、ぜひ参考にしていただきたいと思います。 また、通勤を車から鉄道へという転換を進めていくためには雇用者としての立場を持つ企業の理解や協力は必要不可欠であります。企業が取組を進める働き方改革やワーク・ライフ・バランスなどの視点も取り入れて、鉄道への利用転換に理解・協力を求めていくことも一つの手ではないでしょうか。 私は、地方ローカル線を維持・存続させていくためには、今がまさに正念場であると思っています。この難しい社会課題に対し、知事の強いリーダーシップの下で山口県の本気度を示し、行政、住民、企業など一丸となって取り組んでいただきたいと思うのです。 また、地元と一緒に効果的な利用促進策を考えることはもちろん、その取組を財政的な面でもしっかりと後押ししていただきたいと思うのです。 もちろん、土日や祝日などの観光面での利用促進についても、ローカル線の維持・確保のためには重要な取組であり、しっかりと取り組んでいただくようお願いします。 そこでお尋ねいたします。地方ローカル線の維持・確保に向けて、県は今後、どのように利用促進に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、医療的ケア児やその家族への支援についてお尋ねいたします。 目覚ましい医学の進歩を背景に、以前では助けられなかった多くの命が救えるようになったことは大変喜ばしいことです。 その一方で、日常生活や社会生活を営むために人工呼吸器による呼吸管理、喀たん吸引、その他医療行為、いわゆる医療的ケアを恒常的に受けることが不可欠である児童は増えており、全国では推計約二万人、本県では県全体で約百九十人、私の地元山陽小野田市でも七人おられることが明らかになっています。 このような状況において、令和三年九月に医療的ケア児の成長とその家族の負担を軽減することを目的とした法律、いわゆる医療的ケア児支援法が施行され、国、地方自治体の支援は、それまでの努力義務から責務に変わり、各自治体が取組を進めることとされました。 この法施行を皮切りに、相談対応や情報提供等の支援拠点として医療的ケア児支援センターの設置が全国的に進められ、本県では昨年四月、県内に二か所設置されましたが、センターを複数箇所設置している県は全国でも少なく、医療的ケア児やその家族への支援にきめ細かに取り組もうとする県の姿勢に、私としても大変心強く感じています。 センター開設から間もなく一年が経過するところですが、引き続き寄り添った支援をお願いしたいと思います。 一方で、まだまだ大きな課題を抱えているのが、医療的ケア児を支える家族の介護疲れについてです。医療的ケア児の多くは、生後一か月から数か月を病院の新生児集中治療室(NICU)で過ごし、在宅医療に移行します。そこからは、本来医師や看護師が行う医療的ケアを指導を受けた家族の方々が行うのですが、二十四時間三百六十五日、付きっきりの対応が必要となります。 ケアの内容や頻度は個人差がありますが、呼吸の管理や夜中の寝返りの対応など、対処が遅れると命の危険もあります。介護に当たる御家族の方は落ち着いて寝ることもできず、疲労こんぱいの日々が続いている方もおられるとのことです。 このような家族の方の負担を軽減するのが短期入所サービス、いわゆるレスパイト施設の利用となります。レスパイト施設は医療的ケア児が一日から数週間にわたって利用できる施設であり、常日頃介護に当たる家族の方のレスパイトのみならず、子供本人の発達や成長の支援、家族同士の交流など、医療的ケア児やその家族にとって非常に重要な役割を果たします。 しかしながら、こうしたレスパイト施設のうち、医療的ケア児に対応可能な施設は現在県内で七か所しかなく、宇部・小野田圏域においては一か所のみであり、御家族の方からは、利用したいが近くにない、定員に空きがないというような声を多く伺っています。 施設への移動負担も踏まえると、できるだけ身近な地域で送迎等の移動支援も含めた短期入所サービスが受けられるよう、県におかれましては、早急な環境の整備を進めていただきますようお願いします。 そこでお尋ねします。県では、医療的ケア児やその家族が安心して暮らしていけるよう、今後どのように支援に取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、各港の特性に応じた港湾整備についてお尋ねいたします。 近時、ロシアのウクライナへの侵攻等による原材料価格の上昇により、物価高への懸念が高まっており、国においては、資源等の安定的な確保のため、国際的なサプライチェーンの強化を図ることが喫緊の課題とされています。 私は、コロナ禍から経済社会活動を回復させ、経済の好循環を実現するためにも、物流の安定化や物流コストの削減を図ることが必要と考えます。 一方で、我が国は四方を海に囲まれており、エネルギーや食料等をはじめとする物資の貿易量の九九%は海上輸送に依存しています。 こうしたことから、国際物流の結節点である港湾の重要性は高まってきており、現在、県が進めている国際バルク戦略港湾施策についても、石炭等の一括大量輸送によるコスト削減効果はもとより、こうしたエネルギーの安定供給の観点から、経済安全保障に資するものとしても評価されるべきであると考えます。 さて、県内においては、港湾の背後に臨海工業地帯が発展し、港湾と一体となって産業基盤を構築しており、その国際的な競争力を確保し、県内産業を支えていけるよう、港ごとの状況やニーズに即した港湾整備を着実に進めていくことが重要です。 県では、先般策定された、やまぐち未来維新プランに、重点施策として、強みを伸ばす産業基盤の整備を掲げられ、企業の国際競争力強化に資する港湾の機能強化に向け、国際バルク戦略港湾施策の推進や将来のカーボンニュートラルポート形成に向けた取組とともに、コンテナターミナルや臨港道路の整備など、各港の特性に応じた港湾の機能強化に取り組まれることとされています。 私の地元の小野田港においても、有帆川の河口部に近いためか、東沖地区で土砂が堆積するなどし、船舶の航行に支障が生じる可能性があることから、泊地等のしゅんせつについて市や関係企業等から要望が上がっております。 船舶の安全な航行は、地元経済の活性化につながるものでもあることから、小野田港の特性を踏まえた港湾機能の確保に早期に取り組んでいく必要があると考えます。 また、今後の港湾整備に当たっては、カーボンニュートラルへの配慮など、時代の変化に対応していく必要もあります。 県では、令和二年からカーボンニュートラルポート形成に向けた検討に取り組まれており、港湾法の改正を受け、来年度から港湾脱炭素化推進計画の策定の検討を行うこととされています。まずは、カーボンニュートラルポート形成の検討を行われた徳山下松港から着手され、県内重要港湾において順次検討されると伺っておりますが、地元の期待も大きいことから、宇部港や小野田港におきましても、なるべく早期の検討を始められますよう要望しておきます。 そこでお尋ねいたします。今後、小野田港をはじめ、各港の特性に応じた港湾の整備にどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 最後に、ICT教育のさらなる推進についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の流行を契機として、我が国では、世界的に遅れを取っていた教育分野へのICTの導入が飛躍的に進みました。 本県においても、国のGIGAスクール構想の前倒し等に呼応し、全ての公立学校に一人一台端末等の整備を進め、令和三年度からは、やまぐちスマートスクール構想の推進の名の下に、ICTを活用した教育を展開されています。 先月には、県教委により、高校生が日頃の学習活動などでICTを効果的に活用した実践事例や、専門的なICT技術を活用して製作した作品等を競うコンテストが開催されました。 私もインターネットを通して拝見しておりましたが、参加していた高校生たちのスキルの高さに驚くとともに、審査員を務められていた村岡知事や中井CIO補佐官などを前に、皆それぞれが創意工夫されたアイデアや作品等について堂々とプレゼンテーションする姿に大変心強さを感じたところであります。 こうした取組は、ICT技術の向上のみならず、高い志を持った子供たちが刺激を与え合いながら、新たな価値を創造する力や自らを高め学び続けていく力も伸ばしていくものであると受け止めており、県教委には、引き続きしっかりと取り組み、さらに深めていただきたいと思っています。 一方で、このような先端的な取組が行われている反面、学校間や市町間等で活用に温度差が生じているともお聞きしています。 例えば、通常の授業での活用はもちろんのこと、毎日のように一人一台端末の持ち帰り学習を行うなど積極的に活用している学校もあれば、そこまで踏み出せず基本的に限られた範囲でのみ使用している学校もあるとのことです。 昨年十二月に国が策定した学校教育の情報化に関わる計画でも指摘されているところですが、今やICTの活用は令和の日本型学校教育の前提とされ、これからの教育には必要不可欠であります。 県教委には、県内外の好事例や知見を集約・横展開の上、現場により一層寄り添いながら活用を促進し、県全体の教育の質の向上を図ることがその役割として求められるのではないでしょうか。 また同計画では、デジタルを活用した学校の働き方改革も求めています。 子供たちに豊かな学びを提供するためには、教員が子供たちにしっかりと向き合い、きめ細かに対応できる環境づくりが重要です。 これまでICTの導入に際しては、教員の負担の増加が懸念されていましたが、県教委にはその発想を転換し、子供たちの学びの向上とともに、デジタル化による教員の業務改善も進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。本県が進める、やまぐちスマートスクール構想が三年目を迎える中、ICTの活用をより一層推進し、教育の充実を図ることが必要と考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いします。 以上で私の一般質問は終わりますが、若干時間がございます。 統一地方選が近くなってまいりました。議員の皆様方におかれましても、御支援者のところに御挨拶に行かれておると思いますけれども、私もその一人です。 そこでいろいろ気づく点がございます。一つは、御高齢の方の、特に独居の御高齢の方が非常に多くなっておられるわけですが、その方とお話ししますと、足が悪くて、膝、腰が悪くて道路の向こうにある学校の投票所に行きたくても行けない状況がありますと、そういった声を上げられる御高齢者の方が非常に多いということであります。 これは、やはり選挙の制度については民主主義の根底に関わる問題で、投票に選挙に行きたいのだけれども行けないという状況があるということを、このように放置していいのかということをいろいろと感じる昨今でございます。 この点についての改善につきましては、ぜひ県選挙管理委員会、そして市町選挙管理委員会と協議をしていただいて、早急に改善を図っていただきたいということを声を高く要望いたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)江本議員の御質問にお答えします。 まず、医療提供体制の充実強化についてです。 発生から丸三年が経過した新型コロナウイルスとの闘いを通じ、私たちは、命と健康を守ることが何より重要であることを、改めて強く認識をいたしました。 とりわけ、県民の命と健康に直結する医療提供体制の確保は極めて重要であり、より高いレベルの安心を将来に向けて確保し、本県の医療提供体制を万全なものにする必要があると考えています。 このため、私は、県立総合医療センターが高度専門医療や僻地医療、感染症医療等の拠点として、将来にわたって本県医療の中核的役割を担えるよう、今年度、抜本的な機能強化に向けた基本構想の策定に取り組んでおり、先般、センターが担うべき医療機能について取りまとめたところです。 具体的には、まず、高度専門医療については、高度化・多様化する県民の医療ニーズに応えるため、最先端の低侵襲治療や、がんゲノム医療等を導入するとともに、回復期病床を急性期病床に転換するなど、高度急性期・急性期医療への対応力を強化します。 また、子供の健やかな成長を支援する小児医療センターの開設など、複数診療科、多職種が連携する各種診療センターの設置や、身体合併症を有する精神科患者を受け入れる精神病床の新設に加え、県内大学や関係団体等と連携して高度専門医療人材の育成などに取り組みます。 次に、僻地医療については、県内どこでも質の高い医療が受けられるよう、5G等のデジタル技術を活用して専門医による遠隔医療を提供するとともに、地域において幅広い疾患に対応できる総合診療専門医を育成します。 次に、感染症医療については、新型コロナの経験も踏まえ、本県唯一の第一種感染症指定医療機関として、専門病床に加え、即時に感染症対応へ移行可能な一般病棟を整備するなど、十分な受入れ体制を確保します。 また、今後起こり得る新興感染症に備え、重症患者等への集中治療に対応するHCU病床を拡充するとともに、親子の入院等にも配慮したゆとりある療養環境を整備します。 さらに、感染爆発時はもとより、大規模災害時において多数の患者を収容して、集中的な治療が可能となる臨時的医療施設等の設置スペースを確保してまいります。 こうした機能強化を図るためには、現病院は老朽化が著しく、また、狭隘化で療養環境の向上や十分な駐車場の確保が困難であることから、患者の受療動向等を考慮し、近隣への建て替えが必要です。 移転候補地としては、基本構想検討委員会において、全県からのアクセス性がよく、有事の際、防府市が整備を進めている広域防災広場と緊密に連携できることが望ましいとの御意見を踏まえ、県としては、この広域防災広場の隣接地が適地と考えています。 今後、国から示される感染症対策の基本方針等を踏まえ、基本構想の取りまとめを行うとともに、早期に建て替えによる機能強化が実現できるよう、来年度、施設整備等に係る基本計画の策定に着手することとし、所要の経費を予算計上したところです。 私は、県立総合医療センターが、将来にわたって本県医療の中核的役割を一層果たせるよう機能強化を進め、県民の安心・安全の確保に全力で取り組んでまいります。 次に、地方ローカル線の利用促進についてのお尋ねにお答えします。 地方ローカル線は、通勤や通学など沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興などに大変重要な役割を果たしていますが、沿線人口の減少やマイカーへの転換等に加え、長引くコロナ禍の影響により利用が大きく減少し、極めて厳しい環境に置かれています。 こうした中、県ではこれまで、各路線の沿線市町等による利用促進協議会と緊密に連携し、利用者の増加に向けた様々な取組を進めるとともに、JRに対し、ダイヤ改善など一層の利便性向上に向けた働きかけを行ってきたところです。 私は、厳しい状況に置かれている地方ローカル線を維持・確保していくことが極めて重要であるとの認識の下、各路線の実情や住民の意識も踏まえながら、沿線市町や住民等と一体となって、さらなる利用促進による路線の活性化を図っていかなければならないと考えています。 このため、これまでの取組に加え、各路線における日常利用や観光利用の促進に向けた効果的な取組を強力に後押しするとともに、鉄道利用に向けた全県的な機運醸成を図ることにより、地方ローカル線の活性化に積極的に取り組んでまいります。 具体的には、まず、各路線の利用促進に向けた取組が一層進むよう、沿線住民の意識や利用実態等に関する詳細な調査に基づく効果的な利用促進策の検討や、それを踏まえた路線の活性化に向けた具体的な取組を支援することとしています。 また、鉄道ネットワークを活用し、広く県内外からの観光利用の促進を図るため、複数路線が連携して行う企画列車の運行や旅行プランの開発、駅のにぎわいを創出するイベントの開催など、広域での誘客促進に向けた取組を支援してまいります。 こうした取組に加え、将来に向けた持続的な鉄道利用につながる全県的な機運醸成を図っていくことが重要であることから、県内ローカル線への興味や関心を高め、イメージアップにつながる情報をSNSやデジタルサイネージ等様々な手法により、積極的に発信することとしています。 さらに、利用促進の取組に賛同する企業や店舗、団体等をローカル線応援団として登録する仕組みを創設し、通勤や出張など日常生活での積極的な鉄道利用やローカル線利用者への割引サービスの提供などの取組に協力いただくことにより、全県的な機運醸成につなげてまいります。 私は、今後とも、地域住民の日常生活や交流人口の拡大に不可欠な地方ローカル線の維持・確保に向けて、沿線市町や住民、企業等と一丸となって、その利用促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)地域医療を支える薬剤師の確保についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行し、医療ニーズが多様化・高度化する中、薬剤師は身近な地域での薬に関する相談対応や県民の健康管理への助言を行うなど、その役割がますます重要となっています。 こうした中、僻地等では薬剤師が不足するなど、地域間で偏在があることや、これまで薬学部新卒者の県内就職が少なく、若手薬剤師の数も減少傾向にあることから、地域医療を支える薬剤師の確保が課題となっています。 このため、お示しのとおり、来年度には、山口東京理科大学薬学部の第一期生が卒業を迎えることから、県では、この機を捉え、県内就職から就職後のスキルアップまで一貫した支援の取組を一層強化していくこととしています。 具体的には、まず、県内の病院・薬局の求人情報や就職イベントなどを紹介するマッチング・交流プラットフォームを、来年度、インターネット上に開設するとともに、県薬剤師会に専門相談員を新たに配置するなど、薬学生の県内就職に向けたサポート体制を整備してまいります。 また、薬学生と薬剤師が直接交流する薬学的サイエンスカフェを実施しているところですが、来年度、新たに地域版カフェを開催し、薬学生に対して地域ごとに病院や薬局の様々な職場の魅力を伝え、イメージの向上につなげてまいります。 さらに、県内就職をより促進するため、慢性的に薬剤師が不足している急性期等の病院や僻地の薬局に就職する薬学生を対象に、来年度、奨学金の返還補助制度を創設します。 加えて、就職後も仕事にやりがいを持って成長できるよう、現場での実践力の育成に向けた県共通の研修プログラムを作成し、県内の病院や薬局への導入を図るなど、若手薬剤師のスキルアップを支援していきます。 こうした若手薬剤師の確保・育成に当たっては、薬学生等のニーズを十分に踏まえる必要があることから、山口東京理科大学や県薬剤師会等で構成する薬剤師確保検討チームを設置し、関係者の意見を伺いながら進めてまいります。 県としましては、今後とも、関係団体等と一層連携しながら、地域医療を支える薬剤師の確保に積極的に取り組んでまいります。 次に、医療的ケア児やその家族への支援についてのお尋ねにお答えします。 医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活していくためには、市町や関係機関との連携の下、医療的ケア児の心身の状況等に応じた切れ目のない適切な支援が重要です。 このため、県では、やまぐち障害者いきいきプランに基づき、関係機関の連携促進など、医療的ケア児やその家族に対する支援体制の整備に取り組んでおり、昨年四月には支援の拠点として、医療的ケア児支援センターを県内二か所に設置したところです。 このセンターでは、利用可能な福祉サービス等に関する家族からの相談に応じるとともに、病院から退院する医療的ケア児の在宅生活に必要な支援について、関係機関による調整などを行っているところであり、今後もセンターを中心として身近な地域における支援の充実に努めてまいります。 また、医療的ケアの必要な子供を常時介護する家族には、身体的・精神的に大きな負担が生じており、子供の健やかな成長を図る上では、家族の心身の疲労を軽減することが必要と考えています。 お示しのレスパイト施設は、家族の心身の負担軽減につながるものですが、医療的ケア児に対応するためには、新たに医療機器や特殊な送迎車両等の整備が必要であり、その拡大を図る上で課題となっています。 このため、県では、来年度、レスパイト施設を開設・拡充する事業者に対して、医療機器等の導入経費に係る助成制度を創設し、医療的ケア児とその家族が身近な地域で安心して生活できるレスパイト環境の整備充実に取り組むこととしています。 さらに、医療的ケア児の養育に関する不安や悩みを解消し、家族の孤立感が軽減されるよう、引き続き、当事者家族による相談や交流の機会の提供を通じて、家族同士が支え合う活動を支援してまいります。 県としましては、医療的ケア児とその家族の日常生活や社会生活を社会全体で支えるため、引き続き、市町や関係機関等と緊密に連携し、一層の支援の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)各港の特性に応じた港湾整備についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍から経済社会活動を回復させ、経済の好循環を実現するためには、県内の産業を支える港湾の整備が極めて重要であると考えています。 このため、県では、やまぐち未来維新プランの重点施策の中で、企業の国際競争力強化に資する港湾の機能強化に取り組むこととしており、国際バルク戦略港湾施策の推進など、各港の特性に応じた整備を進めているところです。 具体的には、まず、国際バルク戦略港湾である徳山下松港及び宇部港については、石炭やバイオマスの一括大量輸送による物流コストの削減はもとより、エネルギーの安定供給にも寄与することから、国や関係企業と連携し、港湾施設の整備に取り組んでいます。 このうち、宇部港については、昨年十一月に本港地区における航路しゅんせつが完了したところであり、徳山下松港については、下松地区における大水深桟橋の整備や、徳山地区及び新南陽地区における岸壁の延伸などを鋭意進めています。 また、三田尻中関港におけるコンテナ貨物の増大に対応するためのターミナル再編整備や、岩国港における物流の効率化を図るための臨港道路整備を進めるとともに、各港における老朽化の状況に応じた計画的な改修など、港ごとの状況やニーズを踏まえた施設整備を着実に進めているところです。 お示しの小野田港については、土砂が堆積しやすいという地形、地質的な特性を有することから、港湾としての機能を確保するため、企業ニーズや船舶利用の実態を踏まえ、来年度から東沖地区の泊地しゅんせつに事業着手することとし、そのために必要な予算を計上しているところです。 また、今後のカーボンニュートラルに向けた取組として、来年度を目途に徳山下松港について、港湾における脱炭素化に向けた目標や事業等を定める港湾脱炭素化推進計画を策定し、引き続き、宇部港や小野田港をはじめとする県内の重要港湾にも順次展開することとしています。 県としては、国や地元自治体、関係企業との連携を図りながら、各港の特性に応じた施設整備やカーボンニュートラルポート形成に向けた取組など、産業の基盤となる港湾の機能強化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)ICT教育のさらなる推進についてのお尋ねにお答えします。 教育におけるICTの活用は、教育の質の向上や情報活用能力をはじめとした児童生徒の資質・能力を育成する上で不可欠です。 このため、県教委では、県立学校のICT環境を効果的に活用し教育活動の充実を図る、やまぐちスマートスクール構想の実現に向けた様々な取組を進めているところです。 具体的には、研修等により教員のICT活用指導力の向上を図り、一人一台タブレット端末等を活用した児童生徒の主体的な学びの支援につなげるとともに、高校生等を対象としたICT活用コンテスト等の開催を通じて、ICTスキルの向上やトップレベルのデジタル人材を目指す意識の醸成に努めています。 また、県立学校と県外の学校をつないだ遠隔授業等を実施し、英語のコミュニケーション能力の向上や異文化への理解促進等を図るほか、離れた場所から授業に参加することができる分身ロボットを活用し、障害や病気等で通学が困難な児童生徒の学びの機会を保障する取組も進めています。 こうした取組が三年目を迎える中、今後は、これまでの取組に加え、ICT環境をさらに効果的に活用し、児童生徒の学びの質を高めるとともに、教員の業務改善に向けた取組も進めていくことが必要です。 このため、まず、児童生徒一人一人に合った学びの支援に向け、タブレット端末の利用により蓄積された教育データを学習指導等に生かすことができるシステムや体制の構築に取り組んでまいります。 また、小・中・高等学校を通じたプログラミング教育の充実が求められていることを踏まえ、より早い時期からデジタル分野への興味・関心を喚起するため、ICT活用コンテストに小中学生のプログラミング部門を創設することとしています。 さらに、デジタル機器を活用した採点システムの導入により、定期テスト等の採点の効率化など教員の業務改善や、子供たちに向き合う時間の確保につなげるとともに、県立学校に導入している統合型校務支援システムの改良によりさらなる活用を進めることで、多様な校務処理の効率化も図ってまいります。 県教委といたしましては、ICTの効果的な活用により、教育の質の向上や児童生徒の資質・能力の育成を図るため、やまぐちスマートスクール構想のさらなる推進に積極的に取り組んでまいります。