1 新たな未来と来年度予算編成について 2 ウイズコロナ社会の形成について 3 人口減少・少子化への対応について 4 雇用創出に向けた企業誘致の推進について 5 中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用について 6 安心・安全社会の実現について
───────────── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───────────── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第六十一号まで 副議長(二木健治君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第六十一号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 井上剛君。 〔井上剛君登壇〕(拍手) 井上剛君 皆さん、こんにちは。民政会の井上剛です。 早速ですが、会派を代表し、県政の諸課題に対し質問させていただきます。 まず初めに、新たな未来と来年度予算編成についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の広がりで、二○二○年からの三年間は、感染症との闘い、そして感染症で低迷する社会経済を持ちこたえさせる対応が主でした。 それに加えて、パンデミックが始まり、世界的にリモートライフへの移行が進んでいったことからの半導体不足、そして昨年には、ロシアのウクライナ侵攻による世界的なエネルギー価格の上昇、さらに一時は三十二年ぶりとなる円安基調が追い打ちをかけ、原材料、食料、生活用品などあらゆる物の価格が高騰し、県内の事業者をはじめ県民生活にも大きな影響を及ぼし、目の前に降りかかる問題の対応に追われる日々が続いています。 知事は、昨年十月に発表された予算編成方針で、現時点で約九十六億円の財源不足額が見込まれており、新たな未来を見据えた県づくりを積極的に進めるため、選択と集中の観点から、真に必要な施策に限られた財源を集中投資する必要があると表明されました。 そして、昨年末に発表された二○二六年までの五か年を計画期間とする、やまぐち未来維新プランの中でも、コロナ禍による人々の意識や価値観の変化への対応や、社会経済全体の構造変革の必要性に対し、三つの維新をさらに進化させ、新たな未来に向けた県づくりを進めていくと言われています。 私ども民政会は、直面する新型コロナウイルス感染症や物価高に対し、県民の命と暮らしを守り、県内経済を下支えしていくことはもちろんのこと、限られた財源ではありますが、長期的な視点に立ち、少子化対策、若者世代にとって魅力ある山口県づくりをしっかり行っていただくよう、十一分野九十五項目からなる改善・取組を要望させていただきました。 政府は、この五月八日から、新型コロナウイルス感染症に対する感染症法上の分類も二類相当から五類に変更することとしており、我が会派としては、これまでの感染症との闘いから軸足を新たな県づくりに移すべき時期だと考えているからです。 世界がデジタル化や脱炭素化、そして、この三年間で経験した外部環境変化へ柔軟に対応できる体制づくりであるレジリエンス強化が進む中、本県が活力にあふれる県として発展し、新たな未来を切り開いていくために、どう対応していくのかをしっかりと考えなければなりません。 以前にも御紹介しましたが、企業の今日の収益は十年から十五年前の経営陣の成果と言われています。トップ陣が十年、二十年後をしっかりと見据えて計画し、行動しなければ、将来にはつながらないのです。 県は、中期的な観点から実効ある施策を進めていく必要性から、総合計画と実行計画の性格を併せ持つ計画期間を五年間とした、やまぐち未来維新プランを発表されました。 その中で、三つの維新に沿って、おおむね十年後の目指すべき将来像が示されていますが、まだまだ漠然としたものです。 私は、大きく変化しようとする時代だからこそ、将来を見据えた山口県の長期ビジョン、目標が必要だと考えています。 それに向かう中で、その時々の情勢によって実施すべき施策の優先順位決めや、選択と集中や目標修正をすべきで、そうしたものが中期計画として反映されていくべきだと考えています。 そこでお尋ねします。知事は、新たな未来における本県の姿を具体的にどのように描いていらっしゃるのか。そして、やまぐち未来維新を進める中で、来年度はどういったものに選択と集中させるべく予算編成を行ったのか、お伺いいたします。 次に、ウイズコロナ社会の形成についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の昨年からの第八波では、一月六日には、一日の感染者数では過去六番目に多い二十四万六千七百二十七人となり、一日の死者数では一月十四日に過去最高の五百三人にもなりました。 ウイルスも弱毒化していると言われていますが、基礎疾患のあった方が感染をきっかけとして持病が悪化し、お亡くなりになるケースが増えています。 オミクロン株が主流となった二○二二年一年間で三万八千八百八十一人の方が亡くなられており、致死率は約○・一四%です。よく比較される季節性インフルエンザの致死率が約○・○六%と言われていますので、まだまだ恐ろしい感染症だと言えます。 特に心配するのが、二十歳未満の若年者が亡くなる症例が増えていることと、七十歳以上の高齢者の方の致死率が高いことです。 オミクロン株が流行する前までは、十歳未満の感染者で死亡した例は確認されず、十歳から二十歳未満でも三人でした。しかし、オミクロン株が流行した昨年に入ってから、二十歳未満の方の死亡する報告例が相次いでいます。 今年の一月十二日には、神奈川県で基礎疾患のなかった五歳以下の未就学の女の子が新型コロナウイルスによる急性脳症で死亡しました。十日に発熱の症状があり、翌日に小児科の外来を受診して新型コロナウイルスの感染が確認されたということです。このときは発熱以外の症状はなかったために帰宅しましたが、十二日の未明にけいれんを起こし救急搬送されましたが、助けることはできませんでした。発症からたった二日で死に至ったのです。 国立感染症研究センターによりますと、二○二二年一月から九月三十日の間で、新型コロナウイルス感染後に亡くなられた二十歳未満の方の死亡例の報告は六十一例あります。その中で、実地疫学調査ができた中で、内因性死亡と考えられる五十例を見ますと、基礎疾患がなかった方が二十九例になっています。多くが、急性脳症などの中枢神経系の異常、急性心筋炎や不整脈などの循環器系の異常によって急激な経過をたどり、発症から一週間未満に死亡した方が七五%にも及んでいます。 また、ワクチン接種対象年齢となる五歳以上の二十六例では、未接種が二十三例、二回接種が三例でした。二回接種を受けた三例とも十二歳以上であり、発症日は最終接種日から三か月を経過していました。こうしたことを考えると、若年者へのワクチン接種の有効性が言えます。 また、全国網羅的な医療データベースであるレセプト情報・特定健診等情報データベースで、季節性インフルエンザとオミクロン株による七十歳以上の方の致死率を見てみますと、オミクロン株が一・二%で季節性インフルエンザの約一・三倍であります。 そうした中、いよいよ五月八日から感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同等の五類へ変更する計画です。コロナと共存し、経済を活性していくためには必要な判断だと認識しています。 ワクチン接種費用の助成など、当面の対応については協議中であります。マスク着用などは個人が判断しての対応となりますが、課題の一つが医療体制です。 今までは院内で感染対策を取った発熱外来を中心に受け入れていましたが、五類へ変更となると全ての医療機関で対応が可能となります。しかし、今まで受け入れていなかった医療機関では、新型コロナウイルス感染症の対応経験がないことから、先ほど御紹介したような急激な症状の悪化の予見や対応に不安を持っています。したがって、安心して引下げに対応するには、今まで受け入れていた医療機関との情報共有や連携も必要となってきます。 また、感染者や濃厚接触者に求められていた待機などの行動制限はなくなりますので、感染が判明したときには、季節性インフルエンザと同様に周囲に広げない行動が必要です。 しかし、入院や検査の費用に自己負担が生じることになれば、受診控えから感染発覚や治療が遅れ、それが感染拡大や重篤化を招くことにもなりかねません。 また、季節性インフルエンザは高熱や関節痛、全身の倦怠感など特有の症状が出ますが、新型コロナウイルス感染症は、無症状もしくは比較的風邪の症状に近い方もおられ、感染に気づかず、感染を拡大させてしまうことも十分に考えられます。 そのために、五類に変更した当初は、気軽に自分自身で検査キットを使って判定ができる環境をつくっておく必要があると考えます。 特に高齢の方は致死率が高いので、高齢者施設には検査キットを常備させるような支援も必要と考えます。 また、二十歳未満の方が亡くなった事例からも、若年者にワクチンを積極的に接種していただくために、県として財政支援することや接種促進の方策も考える必要があると思います。 そこでお尋ねします。一日も早く日常を取り戻して経済活動をしっかりと回していける社会を形成していくため、新型コロナウイルス感染症の分類の五類への変更を見据え、どのように県民が安心できる医療体制と感染拡大防止措置を取るのか、お伺いいたします。 次に、人口減少・少子化への対応についてお伺いいたします。 私は、この問題を議員になった当初から取り上げ、今回で九回目になります。我が国は、人口減少・少子化に歯止めがかからないどころか、加速化しています。その上、二○二四年から年間百五十万人以上が亡くなる多死時代に突入することから、この少子化の進展は国の存亡にも関わりかねない問題です。 そうした状況を危機的と判断し、岸田総理も今年の年頭記者会見で、異次元の少子化対策に挑戦することを表明しました。今後、具体的な政策が期待されるところです。 人口減少・少子化を食い止めるためには、思い切った政策が必要です。 県では、来年度の予算で社会保障施策への経費として千二百三十六億円を計上し、そのうち子ども・子育て支援の充実として約八十九億円を充てられていますが、消費税が引き上げられた令和二年度当初予算からほぼ横ばいです。県の少子化対策の本気度を示すには、少し残念な気がしています。 本県では、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができるよう、社会全体で子供と子育て家庭を支える県づくりを進め、みんなで子育て応援山口県を推進しています。しかしながら、少子化は止まることなく、二○二一年の出生数は七千九百七十八人と前年から二・七%減少し、この十年間で約三割も減りました。 日本では、子育て給付金や北欧などのネウボラなどを参考とした子育て支援策など、女性が働きながら子育てする少子化対策を進めてきました。 国勢調査による女性労働力率と合計特殊出生率数を見てみますと、鍵っ子という言葉が生まれた頃の一九六○年の女性労働力率は約五○%で、一九九○年と変わりませんが、合計特殊出生率は二・○から一・五四と大きく減少しました。 そして、二○二○年の女性労働力率は約五三%ですが、合計特殊出生率はさらに一・三三まで低下しています。この間での未婚率を見てみますと、三十歳から三十四歳までの男性の未婚率は、一九六○年に約一○%が二○二○年には約五二%へ、女性も二十五歳から二十九歳まででは約二二%が約六六%になり、三十歳から三十四歳まででは約九%が約三九%にまで上昇しているのです。 つまり日本においては、未婚率の上昇が少子化を加速していると言えます。 そういったことから考えますと、子育て支援も必要ですが、少子化対策で今最も必要なことは、若い方が結婚に希望を持ち、結婚を希望する方々が安心して結婚できる社会をつくっていくことだと言えます。 本県の県民意識調査結果を見ますと、未婚者の結婚に対する考えについては、いずれ結婚したいが五○%を超え、一生結婚しないという結婚に否定的な考えは七・四%にとどまっています。 では、なぜ結婚に踏み切れないのか。内閣府の調査によりますと、二十代、三十代の方では、適当な相手にまだ巡り会わないから、経済的に余裕がないからが上位となっています。 そして、どんな対策が結婚を希望する未婚者のために重要だと考えているかで見ますと、雇用対策をもって安定した雇用機会を提供する、賃金を上げて安定した家計を営めるように支援する、夫婦が共に働き続けられるような職場環境の充実が上位となっています。 こうしたことを踏まえた、官民が一体となった結婚支援策をもっと充実していかなくてはならないと考えます。 本県の結婚に対する取組を見てみますと、結婚支援センターの開設・運営や婚活イベントなど出会いの場をつくることを主として六分野の事業を行っていますが、企業や団体と連携した事業は少ないようにうかがえます。 他県を見てみますと、福井県では、企業・団体との連携も含め十二分野の事業を行っています。 やまぐち未来維新プランの目標に、やまぐち結婚応縁センターの引き合わせ実施件数を取り上げていますが、全体の婚姻数も取り上げたほうがよいと考えます。 県として、少子化を食い止めるために結婚支援をどのように考え、結婚を希望する方々が安心して結婚できる社会をつくっていかれるのか、お伺いいたします。 次に、雇用創出に向けた企業誘致の推進についてお伺いいたします。 人口減少社会にあり、かつ急速に高齢化が進行する中で、県の活力を上げていくには、雇用を生み出す積極的な企業誘致を進めていくことが必要です。 本県では、成長分野である医療関連分野の産業集積の推進をはじめ、積極的な企業誘致の展開により、二○一四年から二○二一年で二百十二件の企業誘致と五千二百四十一人以上の雇用を生み出しました。二○二二年も四十社の誘致実績であり、関係する方々の御尽力に敬意を表します。 帝国データバンクによる本社移転に関する動向調査によりますと、二○一二年から二○二一年の十年間で山口県へ転入した企業は百六社、山口県から転出した企業は百十三社であり、七社の転出超過でした。しかし、二○二一年は転入が十五社、転出が十一社で四社の転入超過になっています。 新型コロナウイルス感染拡大により、企業に対して従業員の働き方やオフィスの在り方の再考を促すきっかけとなり、本社機能の地方移転が進んでいます。 二○二二年一月から六月の首都圏への本社移転動向は、四十四社の転出超過であり、同年同時期の十四社から大幅に増加し、企業本体の首都圏外への動きが加速しています。そして移転先も三十七都道県となり、より遠方・広範囲へと広がりを見せています。 さきにも申しましたが、世界でデジタル化や脱炭素化、そしてレジリエンス強化が進んでおり、国内だけではなく、海外からの投資誘致も活発化してきています。 熊本県菊陽町には、台湾の半導体世界最大手TSMCさんが工場進出を決め、それにより、同町と周辺自治体への進出を希望する企業が相次いでいます。熊本県の地下水の豊富さと交通アクセスのよさが進出の決め手と言われています。 本県も良好な交通アクセスや風水害や地震の少なさから、リスク分散の適地、東アジアのゲートウエーとしての港湾など、十のセールスポイントを上げています。県は、さきに申し上げた産業界の変化に対応すべく、産業戦略部と商工労働部を統合し、新たに産業労働部を設けることとしています。 そこでお尋ねします。国内外で起きている環境変化をチャンスとし、雇用創出に向けた企業誘致の推進について、新たな部でどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用についてお伺いいたします。 コロナ禍や為替、エネルギー問題など不安定な状況が続く中で事業再構築をするなら、売り方の改革をするのが一番手っ取り早い方法と言われています。コロナ禍で売上げを伸ばしている企業は、新しい商品やサービスをつくっているのではなく、売り方を変えているケースが多いのです。今ある商品の売り方や営業の仕方などの演出を変えることで、生産性のアップを図っています。そうした中の代表的なものが、ふるさと納税の返礼品でもあるのです。 私は、六年前の二月議会や十一月議会などで、選んでもらえる自治体になることが厳しい財政を支えることになるだけではなく、来県のきっかけや県の特産品の販路拡大にもつなげることができると訴えてきました。 それに対する当時の県の答弁は、市町と競合を避けるために特産品などを返礼品にしないということでした。私自身は、市町と競合になるのではなく、相乗効果が生まれると考えていました。 そして令和二年八月から意見が取り入れられ、山口県の魅力発信コースとして、外部のふるさと納税サイトを活用し、特産品や旅行クーポンの提供をはじめ、現在では特産品五十六品目、旅行クーポン三十三品目をそろえています。 その効果もあって、令和元年度、七十件約七百八十三万円の寄附だったものが、令和三年度には、三千四百五十八件約一億五千二百二十九万円の寄附受付となりました。 全国のふるさと納税の受入額は、コロナ禍による巣籠もりによる需要増加により、令和元年度実績が、二千三百三十四万件で約四千八百七十五億円だったものが、令和三年度には、四千四百四十七万件で約八千三百二億円とほぼ倍増しています。 ふるさと納税の返礼品には、食品を中心に自宅で楽しめるものが豊富にそろっているため、コロナ禍でこうした返礼品に再度注目が集まったのです。 さらに近年では、冷凍技術の進化は著しく、CAS冷凍やプロトン凍結といった技術で瞬時に凍らせることで、お店の味をそのままお届けするといった商品まで出ています。 外食自粛などで売上げを大きく落とす地域事業者・生産者が多い中、地域で事業を継続するため大きな助けになると、今後もふるさと納税は大変有効だと考えています。 市町と連携し、苦しんでいる事業者さんが参加しやすい支援を実施することで、新しい販路開拓への支援をしていくことは、事業再構築の手助けにもなると考えます。中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用に対する県の御所見をお伺いいたします。 最後に、安心・安全社会の実現についてお伺いいたします。 警察庁の発表によりますと、刑法犯認知件数は二○○二年をピークに減少をし続け、過去最少を更新してきましたが、昨年は、警察が把握した刑法犯認知件数は、前年より五・九%増えた約六十万一千三百件と二十年ぶりに増加となりました。 新型コロナウイルス感染症による行動制限が解除されたことから、自転車の窃盗や傷害、暴行など街頭犯罪が二十万件を超え、前年から一四・四%増加につながったとしています。 また、サイバー犯罪では、ランサムウェアによる被害件数が前の年から五七・五%増えたほか、インターネットバンキングの不正送金の被害が十五億円を超え、三年ぶりに前の年を上回りました。 特殊詐欺事件についても、認知件数、被害額ともに前の年より増加しています。手口としては還付金詐欺が全体の二六%を超える一方で、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺も増加傾向にあります。 そして、岩国市でも被害が確認されましたが、去年から相次いでいます一連の広域強盗等事件では、SNSでお金が欲しい若者を闇バイトへ誘い、身分を把握することで抜け出せないようにする凶悪な犯罪も出てきています。 そうしたことから、警察庁が行ったアンケートでは、この十年間で治安が悪化したとの回答が六割を超えたそうです。 昨年の本県の刑法犯認知件数は、三千八百四十五件と前の年より○・七%減少しました。本県では、二○○二年の二万五千六百七十五件をピークに二十年連続で減少し、戦後最少の記録を更新中です。検挙率は、二○○二年四三・一%から昨年は約六二%と上昇し、特に強盗や放火・殺人といった重要犯罪の検挙率は九六・三%、重要窃盗犯の検挙率も全国一位の一一八・八%であり、県警察皆様方の御尽力に感謝します。 検挙率は上昇してきていますが、ここ数年は同レベルであり、件数が大幅減少したことを考えると、事件が巧妙化・複雑化してきていることがうかがえます。 犯罪を抑止するには、犯罪を起こしにくい雰囲気づくりがとても大切です。刑法犯認知件数が多かった二○○二年頃の警察の役割は、犯人を捕まえる検挙が主体となっていました。しかし現在は、被害者を生まないための犯罪抑止の活動がとても重要です。 赤色灯を常時点灯させたパトロールは、街頭犯罪抑止などにとても有効であると考えています。それに加えて、地域のパトロールなどを担う住民らによる防犯ボランティアの方の活動や防犯カメラの設置が寄与していると考えます。 防犯ボランティアの方は、令和四年で二万三千二十四人いらっしゃいますが、高齢化から平成二十七年の三万五千四百六十一人をピークに年々減少しています。若い世代の方にどうやってこの活動を広め、参画していただくかが鍵です。 また、近年の犯罪の検挙には、町なかに設置されていた防犯カメラやドライブレコーダーの映像が犯人逮捕の決め手となっています。 さきにも御紹介した広域強盗等事件により、とても凶悪な犯罪が身近に迫っているとの恐怖心から、自宅に防犯カメラを設置する家庭が急増しているそうです。 山口県内には、昨年までに各地商店街や民間企業などを中心として、約七千四百か所で防犯カメラが設置されています。警察設置のものは、犯罪が多く発生する繁華街や歓楽街を中心に設置し、報道によりますと二○一八年度末で、三十都道府県で設置台数は千九百十二台あります。しかし、山口県警の設置は現在ありません。 これまで設置のなかった熊本県警では、二○二一年度から安心・安全を高めることで地域の魅力向上につなげようと、県内の小学校区や商店街に防犯カメラの設置・運営を始めました。カメラの近くの路面には、防犯カメラ設置区域熊本県警察の文字を入れたカラフルな表示を施し、警察の目が光っていることを知らせています。 防犯カメラの有効性から、官民が一体となって設置を促進し、ネットワーク化していくことで、犯罪の検挙率アップと犯罪抑止を推進することが今後重要だと考えます。 こうしたことを踏まえ、地域全体で防犯意識を高め、犯罪抑止された安全・安心社会の実現に向け、県警察としてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 以上で代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)井上議員の代表質問にお答えします。 まず、新たな未来と来年度予算編成についてのお尋ねです。 人口減少の進行をはじめ、新型コロナウイルスへの対応やデジタル化、脱炭素化等の社会変革など、今、県政を取り巻く環境は大きく、急速に変化しています。 こうした中、私は、様々な社会変革の先にある新たな未来を見据え、県づくりの取組を力強く前へ進めていくため、昨年十二月、新たな総合計画、やまぐち未来維新プランを策定しました。 このプランには、県づくりを進めるに当たり、単にコロナ前に戻すのではなく、安心・安全や経済のレベルをより高めていく、また、地域や人と人とのつながりをより強固にすることなどに未来志向で取り組むという、私の考えを盛り込んでいます。 こうした県づくりを県民の皆様と共に進めていくに当たっては、その前提として、変化のスピードが速く、長期にわたる将来を明確に見通すことが難しい中にあっても、目指すべき県の将来像を描き、共有していくことが重要となります。 そのため、例えば、産業維新における社会変革への対応については、産業のあらゆる分野でデジタル技術が普及し、生産性が向上するとともに、新たなビジネスモデルやサービスが生まれている等、三つの維新の先に見据えるおおむね十年後の将来像を二十六の分野にわたって描いたところです。 私は、こうした将来像を念頭に、本県の強みを生かし、潜在力を引き出して大きく伸ばしながら、三つの維新をさらに進化させることにより、山口ならではの豊かな未来を実現していく考えです。 こうした考えの下、新たな県づくりを本格的に始動する来年度の予算においては、選択と集中の観点から、プランに掲げた四つの視点に沿って、より高いレベルの安心と成長につなげることに重点を置いて編成を行いました。 まず、安心・安全の確保に向けては、コロナの経験を踏まえ、将来にわたって県民の命と健康を守る取組の充実強化として、県立総合医療センターの抜本的な機能強化に向けた取組などを進めます。 デジタル実装の加速化については、DX推進拠点「Y─BASE」を核に、様々な主体へのDX支援のさらなる強化や広域展開に加え、県民の皆様にデジタル化の効果を実感していただけるよう、県政の各分野・各地域でのデジタル実装の取組を重点的・集中的に推進します。 脱炭素社会の実現については、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向け、コンビナート企業などの二酸化炭素排出削減や、産業関連の設備投資・研究開発を支援するほか、県有施設における脱炭素の推進などに取り組みます。 人づくり、新たな人の流れの創出については、結婚から妊娠・出産、子育てまでの切れ目のない支援や本県の未来を担う人づくりの取組の充実強化、コロナ禍で希薄化した人と人とのつながりや交流を再生し、地域の活力を創出する取組などを進めていきます。 私は、今後、こうした取組を着実に推進することにより、安心で希望と活力に満ちた山口県をつくり上げてまいります。 次に、ウイズコロナ社会の形成についてのお尋ねにお答えします。 私は、新型コロナの感染が本県で初めて確認されてから三年間、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係機関との緊密な連携の下、社会経済活動との両立を図りながら、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいりました。 こうした中、今般、国は、五月八日から新型コロナの感染症法上の位置づけを二類相当から五類に変更することを決定し、現在、具体的な取扱いの検討が進められているところです。 五類への変更により、自主的な感染症対策がベースとなることから、今後は、お示しのように、幅広い医療機関で診察を受けることができる医療体制の確保と、検査やワクチン接種などの感染拡大防止対策が重要であると考えています。 まず、医療体制については、これまで医療関係団体とともに積み上げてきたノウハウや連携体制を生かし、他の疾病と同様に、身近なかかりつけ医等、広く一般的な医療機関で安心して受診できる医療提供体制を確保してまいります。 具体的には、コロナ診療の経験がない医療機関においても、感染対策を講じながら適切に対応できるよう、ゾーニングに必要なパーティションの設置や防護具の配備など、必要な院内感染対策について支援するとともに、圏域会議等を通じてコロナ診療のノウハウを共有していきます。 次に、感染拡大防止対策については、県民の皆さんが必要に応じて自己検査が実施できるよう、検査キットの安定供給や市場価格の引下げ等を全国知事会を通じて、引き続き国に要望してまいります。 なお、重症化リスクの高い高齢者等に対しては、感染を早期に発見し、適切な診療につなげることが重要であることから、高齢者施設等の従事者を対象とした検査を継続して実施していきます。 また、ワクチンについては、重症化予防等の効果が期待できることから、若年者等も含め、希望する全ての方が接種を受けられるよう、引き続き、市町や医療関係団体と一体となって接種体制を確保するとともに、ワクチンの効果や接種時期等について情報発信してまいります。 さらに、五類変更後の医療費やワクチン接種の自己負担については、受診控えや接種控えにつながらないよう、負担能力に配慮した医療費等の公費負担の継続について、全国知事会を通じて国に要望しているところです。 私は、日常を取り戻す新たな段階へと歩みを着実に進めていくため、今後とも、市町や関係機関としっかりと連携し、新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでまいります。 次に、人口減少・少子化への対応についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、その主な要因としては、未婚化・晩婚化が上げられており、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち結婚応縁センターを核として、出会いから成婚までの一貫した支援に取り組んでおり、これまでもAIによるお相手の提案やオンラインによるお見合いの機能を追加するなど、会員の利便性の向上を図り、八千件を超える引き合わせを実現してきたところです。 また、社会全体で結婚を応援していくことが重要であることから、結婚を希望する従業員の縁結びをサポートする、やまぐち結婚応縁企業や、新婚世帯等が優待サービスを受けられる結婚応援パスポートの協賛事業所の登録を促進するなど、官民が一体となった結婚支援に取り組んでまいります。 こうした中、若い世代の結婚や家族を持つことに対する意識と価値観の多様化や結婚意欲の低下、加えて長引くコロナ禍の影響による出会いの機会の減少など、結婚を取り巻く環境も変化してきています。 こうした状況に的確に対応するため、やまぐち未来維新プランにおいて、重点的に施策を進めるプロジェクトの一つに、結婚、妊娠・出産、子育て応援を掲げ、社会全体で結婚の希望をかなえる取組をさらに充実させていくこととしています。 具体的には、まず、新たにボランティアによるやまぐち婚活応縁隊を結成し、地域のつながりを生かし、結婚を希望する方に結婚応縁センターの取組の紹介や入会促進など、結婚を後押しする取組を進めてまいります。 また、結婚に対する前向きな意識や、社会全体で結婚を応援する機運の醸成を図るため、山口きらら博記念公園において、学生によるウエディングドレスのファッションショーやVRによる模擬結婚式の体験など、ブライダル業界と連携したキャンペーンイベントを開催することとしています。 一方で、若い世代の結婚の希望をかなえるためには、お示しのとおり、安定した雇用機会の提供や結婚後も働き続けることのできる職場環境の充実も重要です。 このため、私は、企業誘致の推進などにより、新規雇用の創出を進めるとともに、若者と企業の出会いの場となる就職フェアを開催するなど、雇用機会の提供に取り組んでいます。 また、結婚後も安心して働き続けることができるよう、やまぐち働き方改革支援センターのアドバイザーの助言等による多様で柔軟な働き方の導入支援や、男性従業員の育児休業取得を促進するための奨励金の支給など、働きやすい職場環境づくりに向けた企業の取組を支援してまいります。 私は、結婚を希望する若い世代がその希望をかなえることができるよう、今後とも企業や関係団体等と連携し、出会いの機会の提供など、結婚支援の一層の充実に取り組んでまいります。 次に、雇用創出に向けた企業誘致の推進についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、雇用機会の創出や地域経済の活性化など、将来にわたり多面的な効果をもたらし、本県の活力の源となる産業力を大きく伸ばすことから、知事就任以来、自ら先頭に立ってその取組を強力に推進しています。 具体的には、トップセールスとして本県への立地を経営者層に直接働きかけるほか、大都市圏でのフォーラムの開催や効果的な情報発信の取組により、これまでに約二百五十社の企業誘致と五千五百人以上の雇用を創出したところです。 こうした中、コロナ禍を契機とした地方への拠点の分散化やサプライチェーンの強靭化、カーボンニュートラル実現に向けた脱炭素化への対応などを中心に、企業の設備投資は堅調に推移すると見込まれています。 私は、こうした企業の投資意欲を取り込み、産業力を一層強化することが県政の最重要課題である人口減少対策に資すると考え、やまぐち未来維新プランに戦略的な企業誘致の推進を掲げ、本県の立地優位性を最大限に生かしながら、誘致活動を展開することとしています。 まず、女性や若者に魅力ある雇用の場となる本社機能の移転に向けては、国や県独自の支援制度を活用した誘致活動により、大都市圏からの研究所の移転が実現するなど着実な成果を上げており、今後もその取組を加速してまいります。 また、DX、GXの進展に伴い投資が活発化している半導体や蓄電池等の成長分野の企業誘致に向けては、地域間競争に勝ち抜き、本県への誘致を実現するため、最大補助額五十億円となる、これまでにない強力な支援制度を創設します。 半導体、蓄電池分野は、部材や製造装置など裾野が広く、関連企業の進出も期待できるほか、コンビナート企業や高度技術を有する県内企業とも親和性が高く、脱炭素に取り組む県内企業との取引拡大などの相乗効果も期待できます。 このため、新たに、やまぐち半導体・蓄電池産業ネットワーク協議会を設置し、産学公が一体となって新規立地や企業間の取引拡大、人材育成などに取り組み、両分野の産業集積を進めてまいります。 また、誘致企業の円滑な操業に向け、新たに設置する産業労働部の機能を最大限に活用し、脱炭素化に向けた地域連携体制の構築や産業人材の育成・確保など、ワンストップで誘致企業の成長を促進してまいります。 私は、DXやGX等の変革の波を好機と捉え、県経済を牽引する優良企業の誘致により、雇用の創出や経済の活性化が図られるよう、自ら先頭に立って戦略的な誘致活動を展開し、成長産業の集積地やまぐちの実現を図ってまいります。 次に、中小企業支援・事業再構築に資するふるさと納税の活用についてのお尋ねにお答えします。 ふるさと納税は、生まれ育ったふるさとへの貢献や自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度として平成二十年度に創設され、全国の多くの自治体で返礼品を活用した寄附の募集が行われています。 私は、このふるさと納税を単なる財源確保の手段ではなく、県と寄附者とのつながりをしっかりと構築し、山口県への応援や貢献をしてもらえる方の増加や、県内経済の活性化につなげていくことが重要であると考えています。 このため、「つながる。やまぐち応援寄附金」として、寄附者の共感が得られやすいよう、寄附金の使途を子育て支援や県立学校への応援などに絞って寄附の募集を行ってきたところです。 また、新型コロナウイルス感染症の拡大により打撃を受けた農林水産業、飲食業、観光業等の県内事業者を支援するため、令和二年八月から、寄附者に本県の特産品等を返礼品として提供する取組を開始しました。 返礼品については、県内市町の取組との競合を避ける観点から、県の施策や県内経済の活性化に資するものとして、県が開発や販売促進に関わっている日本酒や牛肉等の特産品や、来県を促す効果のある旅行クーポン等の体験・交流型のサービスを対象としています。 こうした取組により、寄附件数や寄附金額が大幅に増加するとともに、県外の方に向けて県産品や豊かな自然、美しい景観など、本県の魅力を広く発信することができているものと考えています。 また、返礼品を提供していただいた事業者からは、魅力ある地元産品を広く全国に向けて紹介することができる格好の機会となったとの声を頂いているところです。 私は、こうした成果を踏まえ、新たに策定したやまぐち未来維新プランにおいて、新たな人の流れの創出・拡大プロジェクトを掲げ、ふるさと納税を活用した関係人口の拡大に取り組むこととしました。 具体的には、本県の特産品や自然、文化を感じられる魅力的な返礼品を一層充実させることにより、ふるさと納税をきっかけとした本県への新たな人の流れの創出・拡大を図ってまいります。 また、企業においては、新たな事業展開に向け、商品開発や販路開拓は欠かせないものであり、全国に企業や商品をPRできる返礼品は、魅力ある販路の一つと考えられます。 このため、県の各種補助金や制度融資等により商品開発や販路開拓等を支援するとともに、市町とも連携しながら、県内の中小企業等が生産・開発する本県ならではの特産品等を返礼品として活用することを通じ、事業再構築に向けた取組を支援してまいります。 私は、今後とも制度本来の趣旨を踏まえ、ふるさと納税制度をしっかりと活用することにより、関係人口の拡大や県内経済の活性化を図ってまいります。 副議長(二木健治君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)安全・安心な社会の実現に向けた県警の取組についてのお尋ねにお答えします。 県警察では、関係機関・団体と連携して様々な犯罪抑止対策に取り組んでおり、その結果、昨年中の刑法犯認知件数が二十年連続で減少するなど、一定の成果を上げることができたと認識しております。 その一方で、全国と同様に、自転車盗や粗暴犯等の街頭犯罪が増加し、うそ電話詐欺被害についても依然高水準で推移していることから、犯罪の抑止と検挙対策を一層強化する必要があると考えております。 その中で、議員お示しのとおり、防犯ボランティア等の活動や防犯カメラの設置については、犯罪の抑止に有用であり、この種活動の活性化や防犯カメラ設置の促進が重要になります。 防犯ボランティア活動に関しては、若い世代に参画していただくため、広報の強化によるボランティア活動を周知するとともに、大学生ボランティアなど、若い世代のボランティア活動への勧奨や世代間交流に配意し、ボランティア団体の支援と活動の活性化を図ってまいります。 また、防犯ボランティア同様、うそ電話詐欺の水際対策に御協力を頂いている金融機関職員やコンビニエンスストア従業員などの県民の皆様が、昨年中、百六十六件のうそ電話詐欺を未然に防止されていることから、引き続き、協力者の功労を積極的に表彰させていただくなど、社会全体で被害を防止していく機運を高めてまいります。 防犯カメラに関しては、事件解決や犯罪抑止に大きな効果があることから、必要に応じて、事件・事故の発生場所付近の防犯カメラの映像を確認しており、その際は、管理者等への協力要請や法令に基づく措置など、適切に対応しております。 また、こうした防犯カメラと同様の効果のあるドライブレコーダーについて、県下のトラック、タクシー、バス、自動車学校等の関係団体と協定を結び、この利活用について連携を図っているところです。 引き続き、防犯カメラの設置場所の把握に努めるとともに、駅、商店街等の犯罪の発生が懸念される場所を中心に、自治体や事業者等に対して設置の働きかけを行い、官民一体となって防犯カメラの設置を推進してまいります。 県警察としては、地域の防犯意識を高め、今後も安全・安心な社会の実現を目指してまいります。 副議長(二木健治君)これをもって代表質問を終わります。 ───────────── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十四分散会