討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河合喜代さん。 〔河合喜代さん登壇〕(拍手) 河合喜代さん 日本共産党を代表して討論を行います。 本議会に付託されました七議案のうち、議案第三号については反対し、議案第一号、一般会計補正予算案を含む六議案には賛成をいたします。 反対する議案第三号は、一般職の職員の特殊勤務手当に関する条例の一部を改正する条例です。 同条例案は、新型コロナウイルス感染症の感染法上の位置づけが、二類相当の感染症から五類感染症に変更されたことに伴い、新型コロナから県民の命や健康を守るために緊急に実施される業務に従事した場合、一日につき三千円支給していた特例を廃止し、特定新型インフルエンザ等に係る同様の業務に従事した場合、一日につき千五百円を支給することなどを内容としています。 新型コロナは、五類感染症に移行したことで、五月八日以降、行動制限や入院勧告、感染者の全数把握や医療機関や感染者への公的支援の法的根拠がなくなりました。五類移行に当たり、日本医師会常任理事の釜萢敏氏や東京大学名誉教授の山田章雄氏は、危険な変異株が出た場合の対応の難しさなどに触れ、本来は新型コロナに特化した類型をつくるべきだと主張されました。 新型コロナウイルス感染症による高齢者の重症化率は、ワクチン接種などにより低下しているとはいえ、決して低くはない上、七十五歳以上の一定所得の人は、昨年十月から患者負担割合が一割から二割に、倍に引き上げられたばかりです。また、その感染力はインフルエンザの三から四倍強いことは変わりません。 WHOも五月五日、緊急事態の終了を宣言しましたが、流行が終わったわけではなく、警戒を怠らぬよう呼びかけました。 今後の変異株の出現も考えれば、国は二類感染症に相当する位置づけを変えるべきではなかったと我々は考えますが、せめて五類感染症に移行後も特例措置は維持し、職員の労苦に応えるべきと考え、本議案には反対をいたします。 次に、請願についてです。 請願第一号 インボイス制度の実施延期を求める意見書を政府に送付することについてを不採択とした委員長報告に反対いたします。 同請願は、十月から導入予定の消費税のインボイス(適格請求書)制度の導入の延期を求めるもので、県内の中小零細業者、自営業者の団体から提出されました。 インボイス制度は、地獄の二者択一と言われる制度です。 これまで免税業者として扱われていた小さな業者が、インボイスに登録して課税業者になれば増税が待ち受け、免税業者のままでいようとすれば、取引排除や大幅な値下げをされます。 例えば、年収三百万円程度のフリーランスなどの事業者は十四から十五万円、一か月分の収入を失うと試算されています。 こうした免税業者の場合、消費税を商品に転嫁できないため、消費税を預かっているのではないということは裁判で決着がついています。それなのに、こうした業者に強制的に消費税名目で納税させるインボイス制度は、弱い者いじめの政策にほかなりません。 請願は、せめて物価高と不況の続く今はやめてほしい、延期をしてほしいと訴えておられます。 とりわけ私たち地方にとって、年収一千万円未満の小規模事業者は、地域経済とまちのにぎわいに欠かせない存在です。この間のコロナ禍の影響に加え、急激な物価高騰が家計と経営を圧迫していることは間違いありません。 政府は、インボイス制度の導入で新たに百六十一万者が増税の対象となり、二千四百八十億円の増収になると試算しています。単純に計算しますと、山口県では一万者が十二億円程度の負担増になるということです。 最初の三年間は仕入れ税額相当額の八○%、後半の三年間は五○%を控除する特例措置はありますけれども、零細事業者やフリーターなどが廃業などに追い込まれれば、長い目で見たときに、私たちは地域の大切な価値と財産を失うことになるのではないでしょうか。 こうした理由から、共産党議員団は採択すべきと考え、同僚議員の皆さんに採択することを心から呼びかけるものです。 次に、請願第二号 最低賃金の引上げ等に関する決議を行うことについてを不採択とした委員長報告に反対します。 この間、毎年のように労働組合から最低賃金の引上げを求める請願が出されていましたが、今回は山口県弁護士会から出されたものです。当事者以外の公益代表からの請願という点で、これまで以上に私たちは重く受け止めるべき課題であると考えます。 五つの請願項目は、どれも現在の日本社会に緊急に求められているものばかりです。 第一に、政府目標、全国加重平均額千円に少しでも近づけるため、最低賃金の引上げに向けた答申をするよう、中央最低賃金審議会と山口地方最低賃金審議会に求めています。 これは、非正規労働者が家計の補助として位置づけられていた時代と違い、非正規労働者が全労働者の四割近くを占め、家計を担う非正規労働者が増える中、正規労働者と非正規労働者の賃金格差の開きがワーキングプアを生み、最低賃金制度が生活を保障する機能を果たしていないことを示しています。 中央と山口最低賃金審議会は、せめて直ちに最低賃金を政府目標の千円に近づけるための最低賃金引上げに向けた答申をすべきとの請願は、国民生活を守る点で当然と考えます。 第二点は、国会に、全国一律の最低賃金制度の法整備の実現を求めています。 現在の最賃制度は各都道府県をランクごとに分けて目安を示し、各地の地方最賃審議会が最賃額を決定しています。 近年、都市と地方で最低生計費に大きな差がないことは様々な生計費調査から明らかになっているのに、現在、最低賃金には二百十九円もの格差があります。中央最賃審議会は今年四月、ランク区分を四段階から三段階にする報告書をまとめましたが、地域間格差の迅速な解消は望めません。請願は採択されるべきです。 第三点は、最低賃金の引上げを求めると同時に、賃金を支払う中小企業への支援を求めています。これも当然の請願です。 第四点は、山口地方最低賃金審議会が、引き続き審議会の議事録を公開することを求めていますが、当然です。 第五点は、厚生労働大臣と山口労働局長は、最低賃金審議会の委員に、非正規労働者を数多く組織する関係労働組合からも労働者代表委員を任命し、また、生活困窮者の就労支援等を行っている団体の出身者及び社会保障法を専門とする学者から公益代表委員を任命することを求めています。 最低賃金制度を社会全体の底上げにつなげるためにも、こうした委員の任命は社会的要請であり、採択されるべき重要な事項と考えます。 御承知のとおり、最低賃金の引上げは、国民の生活を向上させるだけでなく、経済の底上げにも大きく貢献します。 労働運動総合研究所、いわゆる労働総研が今年二月、時給千五百円未満で働く全国の労働者二千八百二十三万人の時給を千五百円に引き上げた場合の経済に与える効果を推計したところ、国内生産額は約十八兆円増え、新たに約百七万人もの雇用が生まれ、国内総生産が一・九%上昇するとしています。 中小企業の側でも最低賃金の引上げを望む声が広がっています。三月に公表された東京商工会議所の調査によると、二○二三年度の最低賃金額の改定について、最低賃金を引き上げるべきと回答した企業は四二・四%にも達しています。 こうしたデータからも、本請願を採択することは、国民の生活向上と日本経済の発展への要請であると考えます。議員の皆さんの賢明なる判断に期待をし、討論といたします。(拍手)