討論
議長(柳居俊学君)高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 自由民主党会派を代表いたしまして、提出された全ての議案及び意見書案に賛成するとともに、請願第一号、二号ともに不採択とする立場から意見を述べさせていただきます。 まず、六月三十日から県北部、西部、中部を中心に激しく降り続いた大雨による災害により、お亡くなりになられた方に対し御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました方々に心よりお見舞いを申し上げます。 また、県におかれましては、翌朝には災害対策本部を立ち上げ、全庁を挙げて被災の状況把握や行方不明者の捜索に当たられるとともに、JR美祢線及び山陰線の復旧に向け、地元市と共に要望活動を行われるなど、迅速な対応を進めておられることに心から敬意を表します。 今後、必要な事業費の確保も含め、一日も早い復旧・復興、さらには被災地域の活力の回復に向け、引き続きしっかりと取り組んでいただくとともに、改めて防災への備えに万全を期し、県民の安心・安全の確保に最大限努めていただきますよう、よろしくお願いいたします。 議案第一号 令和五年度一般会計補正予算について申し述べます。 新型コロナが五類へと移行し、経済活動は回復基調にありますが、エネルギー・物価高騰は、依然としてその出口が見えておりません。 このたびの統一地方選挙期間におきましても、家計や企業経営の窮状を訴える切実な声を数多く伺っているところであり、こうした実情に迅速に対応していく必要があることは、かねて申し上げてきたとおりです。 今回の補正予算は、国における物価高騰の追加策に呼応し、市町が実施する低所得世帯向けの一律三万円給付や、子育て支援のための五万円給付と併せて、県として追加的な支援を行うものです。 県においては、我が会派からの訴えに応じ、既に措置されている当初予算を合わせ、約百十九億円となる大規模な物価高騰対策を機動的に講じることとなります。 その内容としましても、中小企業を対象とした蓄電池導入支援や、これまで対象外であったLPガス利用者や特別高圧電力を利用する企業等への負担軽減、さらには、肥料や飼料価格高騰の影響が続く農業者や畜産業者等への支援、加えて、賃上げ環境の整備に取り組む事業者支援など、県下の現状に的確に対応されたものとなっています。 また、コロナ禍で経済が停滞した時期に中小事業者を支えたゼロゼロ融資の返済が本格化するのを前にした、借換え資金の融資枠拡大も確実な実施が求められます。 これらはいずれも県民、事業者が待ち望んでいる対策であり、補正予算成立の後は、対策の効果が速やかに県下全域に行き渡るよう、迅速な執行をぜひともお願いいたします。 同時に代表質問でも指摘いたしましたように、地域経済の好循環の実現、ひいては我が国の長年の課題であるデフレマインドからの脱却は、今が正念場であり、このたびの補正予算も活用しながら、次の成長に向けた投資へとつながる効果がしっかりと発現するように、また、支援策の制度設計や執行に当たっての事業者へのサポートなどに、きめ細かな配慮をお願いいたします。 次に、意見書案第一号 地方財政の充実・強化を求める意見書案についてです。 地方においては、今後も引き続き感染症に対する備えが必要であり、また、コロナ禍や物価高騰によって傷んだ地域経済の再生と好循環の実現に向けた対策が求められていることに加え、デジタル化、脱炭素化などの社会変革や、国が強力に推進する少子化対策への対応、今回の大雨災害など激甚化する自然災害からの復旧・復興や、さらなる防災・減災対策など、自治体の財政需要は今後もいや応なく増加することが見込まれます。 また本県では、第三期となる、まち・ひと・しごと創生総合戦略の素案を策定され、とりわけ少子化に対しては、知事も全庁を挙げて施策を構築していくとの強い決意を示されたところです。 私どもも、議会としても議論を深め、力強い対策を打ち出していかねばならないと考えていますが、そのためにも、強固な財政基盤が不可欠であることは申し上げるまでもありません。 こうした実情を踏まえ、地方財政の充実強化を国に求めていくことが重要であり、本意見書の必要性を強く申し上げるものです。 次に、インボイス制度に係る請願第一号についてです。 本制度は、消費税の適正な課税を行う上で必要な制度であるとともに、これまでも十分な準備期間が設けられ、円滑な移行に向けた経過措置や支援措置等が講じられていることから、国に対して実施延期を求める必要はないものと考えます。 また、第二号 最低賃金の引上げ等に関する決議を行うことにつきましては、現在、政府において、全国の加重平均が千円となることを目指した取組が進められています。 私どもも、成長と分配の好循環の実現のため、最低賃金の引上げそれ自体は不可欠なことと考えていますが、請願にある全国一律の引上げについては、地域経済や雇用への影響について多角的な視点からの検討が必要であり、また最低賃金審議会の委員の任命につきましても、国において適任の委員を任命されるべきものと考えます。 以上のことから、二つの請願については、いずれも不採択とすることが妥当です。 このたび補正予算で措置される物価高騰対策は、かねて申し上げているとおりロシアによるウクライナ侵略という暴挙に起因するものです。一日も早く事態が収束し、ウクライナ国民に穏やかな日常が戻るために、我が国としてもできる限りの支援を行わなければなりません。 同時に、我が国の平和と安全を維持するために、いかにして備えるかということを真剣に考えなければなりません。 緊張の増す国際情勢に対応するために、総合的な国力を高め、外交と防衛の双方を車の両輪としてしっかりと機能させることで、我が国の国益を守り、平和と安定を維持していく。このことは国家運営のまさに根幹です。 この国づくりに対して、誰よりも強い信念を持たれ、経済を再生し、外交力・防衛力の双方を高めることで、我が国を文字どおり命がけで守り抜こうと取り組まれたのが、故安倍晋三元総理です。 国民の生命と財産、我が国の領土、そして先人が育んできた日本の歴史や文化を守ることを第一に考え、国のあるべき姿を見据えながら、戦う政治家としてひるまずに政治活動に挑み続けられた安倍先生が、突如凶弾に倒れられてから、明日七月八日ではや一年がたちます。青天のへきれきというべきあの日の衝撃と悲しみは、今でも忘れ得るものではありません。 地域の活力と経済を再生し、強い日本を取り戻す。そして国の根幹である憲法を国民の手により時代に即したものに改正する。その御意思は私どもがしっかりと引き継いでいかねばなりません。(「そうだ」と呼ぶ者あり) 明日の安倍晋三先生の一周忌を迎えるに当たり、改めて御冥福をお祈りするとともに、私ども自由民主党会派は、その御遺徳を忘れることなく、先生から頂戴した数々の御教示と国づくりにかける信念をいま一度胸に刻み直し、強い日本の再生と山口県の発展のために、ひるまずに邁進する決意を改めてお誓い申し上げ、討論とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。