1 一億人国家シナリオと県政について 2 その他
議長(柳居俊学君)合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志でございます。通告に従いまして一般質問を行います。 先般、結婚願望はあるけれど結婚に至っていない四十代後半の男性A君の話を聞く機会がありました。彼が言うには、三十代のときは結婚して養っていけるかなとの経済面での不安がありました。四十代になって養っていけると思えるようになりましたが、女性との出会いの機会はあるものの、なかなか結婚に至りませんと語っていました。 A君のような人たちが、二十代・三十代で結婚できる県に本県がなることを願い、一億人国家シナリオと県政ということで一般質問を行います。 二○一四年、当時の安倍政権は、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針二○一四で、五十年後(二○六○年代)に一億人程度の人口を保持するとの国家目標を初めて打ち出しました。 そして、令和元年の改訂版、まち・ひと・しごと創生長期ビジョンにおいて、人口の長期的展望を示し、二○四○年に出生率が人口置換水準──人口が増えも減りもしない出生率の水準のことでありますが、それと同程度の値である二・○七まで回復するならば、二○六○年に総人口一億人程度を確保し、その後二一○○年前後には人口が定常状態になることが見込まれるとの一億人国家シナリオを提示いたしました。 ところが、二○一四年以降の出生率の推移を見ますと、二○一四年一・四二であったのが、二○一九年には一・三六に減少し、昨年二○二二年は一・二六と過去最低の二○○五年(平成十七年)の水準にまで下落しまして、出生率の低下がここ七年連続しています。 先般、六月十三日に岸田政権が閣議決定した次元の異なる少子化対策と銘打った、こども未来戦略方針は、まずは近年の出生率低下の傾向を上昇に転じさせて、一億人国家シナリオを実現可能性のあるストーリーにしていくための施策方針だと見ることもできます。 国立社会保障・人口問題研究所が公表した令和五年推計の日本の将来推計人口によれば、我が国の人口は、出生率中位──出生率一・二三から一・三六の場合、二○六○年は九千六百万人で、二一○○年は六千三百万人、出生率高位──出生率一・三七から一・六四の場合は、二○六○年一億二百万人で、二一○○年七千九百万人、出生率低位──出生率一・一一から一・一三の場合は、二○六○年は九千百万人で二一○○年五千百万人と推計されています。 ここで注目すべきは、二○六○年における人口一億人の維持は、出生率が高位で推移すれば実現可能であるとの見通しが示されていることであります。 この推計における出生率の中位・高位・低位は、データに基づいて実現の可能性がある出生率の水準の幅を示したものとみなすことができます。 したがって、出生率高位の推計も決して希望的期待値ではなく、実現可能性のある範囲内での見通しでありますので、一億人国家シナリオの実現は、まず出生率を上昇に転じて高位推計での推移を確実にしていくことがその第一歩になると考えられます。 二○四○年に出生率を人口置換水準の二・○七まで回復するとのこれまでの一億人国家シナリオは、実現の可能性が疑問視される高いハードルでありましたが、出生率高位推移による一億人国家シナリオは、十分達成可能な見通しを持ち得るシナリオであります。 こども未来戦略方針は、少子化は、我が国が直面する最大の危機であるとの認識を示し、二○三○年までが日本が少子化・人口減少に歯止めをかけることができるかどうかのラストチャンスであり、それまでに少子化トレンドを反転させるために我が国の持てる力を総動員し、不退転の決意で取り組まなければならないと訴えています。 こうした国の総力戦としての少子化・人口減少対策は、国と地方が課題を共有し、国と地方が一体となり、双方向で意見を戦わし、議論を深め、おのおのが役割を果たしながら課題解決を図っていくことが求められます。 そうした考えから、このたびは少子化・人口減少対策の国家目標である、一億人国家シナリオの実現に向けて、県が国に対して言うべきこと、求めるべきこと、また県自身が取り組むべきこと等につきまして質問を行います。 その一は、二十代・三十代の若い世代の所得向上についてであります。 我が国の出生率の急速な低下の背景には、晩婚化の進行があります。晩婚化は二つの面で出生率の低下をもたらしています。 一つは、結婚が遅れるという晩婚化が、結婚しないという非婚化に結びつき、生涯未婚率──五十歳の時点で一度も結婚したことがない人の割合でありますが、この生涯未婚率の大幅な増加につながっている面からであります。 生涯未婚率は、男性の場合、一九九○年は五・六%であったのが、二○二○年には二八・三%と五倍も上昇しており、女性は、一九九○年四・三%であったのが、二○二○年には一七・八%と四倍になっていまして、こうした非婚化の動きが出生率に重大な影響を与えています。 もう一つは、晩婚化は必然的に晩産化──この産は出産の産ですね、晩婚化は必然的に晩産化となり、晩産化は少産化・非産化に向かうという面からであります。 母親の第一子出生時の平均年齢の推移を見ますと、一九七五年は二十五・七歳だったのが、二○二一年は三十・九歳と五歳も高齢化しており、一九七○年代半ば以降、我が国では晩婚化が急速に進行していることが分かります。 殊に三十代後半以降になると、女性の妊娠確率の低下と高齢出産を忌避する傾向によって、少産化・非産化の可能性が高まります。この結果、我が国では一九九○年代から、第二子や第三子を持たない少産化や子供を持たない非産化が進み、出生率が低下していきました。 こうしたことから明らかになってくるのは、出生率の向上のためには二十代・三十代の若い世代が、結婚や出産を選択する社会にしていかなければならないということであります。 そして、そのためには若い世代の所得の向上と経済的安定を図るとともに、結婚・出産への支援を充実して、若い世代が結婚・出産のライフプランを描けるようにしていかなければなりません。 では、国はそのことに向けてどういう政策課題に取り組むべきなのでしょうか。はっきりしていることは、非正規雇用の若年労働者の所得向上と収入安定を図っていくことが重要であるということであります。 我が国において、晩婚化・非婚化が増加していることの社会的背景として指摘されているのは、一九九○年代後半以降、不安定雇用の若者が増えたことであります。 なぜそうなったのかと言えば、一九八五年に制定された労働者派遣法が、一九九○年の改正で原則自由化され、派遣の対象業務の制限をなくしたことが大きく影響していることは明らかであります。このことにより、若い世代において非正規雇用の労働者が増加していきました。 総務省の平成二十九年就業構造基本調査を基に作成された資料によれば、三十歳から三十四歳の間の男性で結婚している割合は、正規雇用の場合は五九%ですが、非正規雇用の場合は二二%となっていまして、正規と非正規を比べて結婚に関してもその格差の大きいことに愕然といたします。 我が国では、非正規雇用の若年労働者の多くは、結婚・出産のライフプランが描けない経済的状況の中に置かれているわけで、この状況を改めることなくして出生率の向上は望むべくもありません。 そこでお尋ねであります。我が国の出生率を上げていくためには、非正規雇用で働いている二十代・三十代の若者たちの所得向上と収入安定を図り、彼らが結婚・出産のライフプランを描けるようにしていくことが重要であります。ついては、そのことに向けて労働政策に取り組むよう国に対して求めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の二は、普遍性のある育児休業制度についてであります。 二○○○年代後半以降、我が国では共働き世帯が急速に増大し、二○二○年には全体の七割近くの千二百四十万世帯に達し、今や我が国では、共働き世帯が主流になっています。 共働きの増大は、我が国のみならず、スウェーデンなど欧米諸国において共通して見られる動きですが、こうした共働きの増大は、各国の出生率にどういう影響を及ぼしてきたのでしょうか。 私たちは、共働き世帯は経済基盤が安定するので、産む子供が増えて出生率が向上するのではないかと期待しますが、共働き世帯に関する実証研究によると、女性の就業によって出産が抑制されるという分析結果がこれまで多く示されています。 確かに、就業している人にとって出産・育児は、離職期間の収入減や就業中断によるキャリアアップ機会の喪失、また出産、育児、再就職という環境変化への対応に伴う身体的・精神的負担の増大があり、そうしたマイナスを解消する支援策が講じられない限り、女性の就業の増大は、出生率を低下させる方向に働くと考えられます。 このことに関して、主要国──スウェーデン、フランス、ドイツ、イギリス、アメリカ、そして日本における女性労働参加率と合計特殊出生率の推移を示した資料を見ますと、一九七○年頃はおおむね二の近辺の水準にあった出生率──日本は一九七○年の出生率は二・一三でありますが、その二の近辺にあった出生率が、女性労働参加率が高まるにつれて、そのマイナスの効果によるものと思われますが、一旦下がっていきます。 ただ、その後二○一七年時点では、日本以外の各国は一・八辺りまで合計特殊出生率が回復しています。共働きが主流のこれらの主要国の中で、なぜ日本だけが出生率の回復をなし得ず、今日に至っているのでしょうか。 指摘されているのは、仕事と育児の両立支援策の柱である育児休業制度──以下育休制度において、日本の場合は普遍性がないことであります。 日本の育休制度では、その対象は、雇用保険制度の対象者であって、出産時も就業が継続していることが必要であり、自営業者や無職の専業主婦はもちろんのこと、出産のため退職した出産退職の女性は正規・不正規を問わず含まれていません。 このため、二○二一年の出生動向基本調査によれば、女性の五割程度が育休制度対象外になっていまして、日本の育休制度は普遍性がないと言われるゆえんであります。 これに対し、スウェーデン、フランス、ドイツなど出生率が回復している国の育休制度は、全ての親を対象にしていて、企業の正規雇用者のみならず、非正規雇用や自営業者、無職、学生なども対象にしており、養子縁組の親の場合も含まれていて、普遍性のある制度となっています。 共働きが主流の我が国において、女性の五割が両立支援の柱である育休制度の対象外であるという現状を放置したまま、出生率向上を図っていくことは困難であります。 財源確保の課題があるとはいえ、育休制度を普遍性のある制度にしていくことは、一億人国家シナリオを実現していくために避けて通れない道であると考えます。 そこでお尋ねです。岸田政権がこれから進めようとする少子化対策である、こども未来戦略方針を真に実効性のある異次元の少子化対策にしていくためには、育休制度を普遍性のある制度にすることが取り組むべき施策として盛り込まれる必要があります。つきましては、このことを国に提言すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の三は、地方創生についてであります。 地方創生は、少子高齢化が進行する中で、東京圏への人口の過度な集中を是正し、地方において活力ある地域社会を実現していくための政策として、安倍政権の下、二○一四年から国の重要政策として位置づけられ、担当大臣を置いてその取組が進められてきました。 私は、二○一四年十月、当時自民党幹事長だった石破茂さんが、初代の地方創生担当大臣に就任されてから一か月余り経過した頃ですが、地方創生の事務局になっている内閣官房の、まち・ひと・しごと創生本部事務局を訪ねたことがあります。 そのとき対応してくれた事務局の方は、地方創生の取組方針をペーパーにまとめたものを示して説明してくれたのですが、意外だったのは、その中に地方分権に関することがなかったことでした。 そこで、そのことを指摘して理由を聞いたら、地方分権を担当するところは別にあって、そちらでやりますとのことでした。また、地方創生に向けての取組も、これまで言われてきたことの延長線上のように思われ、やや期待外れの感を持ちました。 そこで思ったことは、安倍政権の地方創生への取組は、地方創生担当の大臣を置いて、地方創生を国の重要政策として位置づけたことに意義があり、地方創生の旗印は掲げられ、意気込みはあるものの、地方の力が発揮されるようになるための骨太の政策は伴っていないということでありました。 その後の地方創生の事業推進を見ますと、それはそれなりに効果があった面もあると思いますが、基本的に補助金行政の域を脱していません。 二○一四年夏の骨太方針で、一億人の人口維持の国家目標が示され、その年の秋に地方創生が国の重要政策の柱として位置づけられたことから察するに、地方創生は一億人国家シナリオを実現するための国家戦略、殊に東京圏への人口の一極集中を是正する役割を担う戦略として構想されたものと思われます。 出生率が低い東京圏への人口の集中は、どうしても国全体の出生率を下げていくほうに働くことから、これの是正は、一億人国家シナリオにおいて重要な課題であります。 そうした位置づけ、役割を担って地方創生の取組が開始された年の翌年二○一五年以降も、七年連続して出生率の低下が続いていて、地方創生の推進が必ずしも出生率の向上に結びついていない現状があります。その理由は、地方創生が、個々の補助政策メニューの提供の域にとどまっていることにあるのではないでしょうか。 これからの地方創生は、これまでの取組に加えて、地方が力をつけて自律的に──この自律は自ら律するという意味ですが、自律的に魅力と活力に満ちた地域社会を実現していくための基盤となる国の仕組みの構築という方向に向かなければなりません。 私は、その基盤となる国の仕組みは、明治以来の中央集権型統治の国家社会から転換して、自律分散型統治の国家社会にしていくことで築かれるではないかと考えています。 そこでお尋ねです。本当の意味での地方創生を実現していくためには、財源と権限において国と地方との関係をどうしていくのが最も望ましいのかという地方分権に係る課題にも併せて取り組んでいく必要があると考えます。ついては、このことを国に求めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、明治以来の中央集権型統治を改めて、自律分散型統治の国家社会にしていくことが、地方創生の上からも望ましいこれからの国づくりの方向であると考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 質問の四は、不妊治療についてであります。 我が国では、不妊を心配し治療を受ける夫婦が増えています。実際に不妊の検査や治療を受けた夫婦は全体で一八・二%、つまり五・五組に一組の割合になっています。 不妊治療の実施件数も年々増加していまして、日本産科婦人科学会の調査によると、二○一八年の体外受精による出生児数は五万六千九百七十九人に上り、年間出生数としては十六人に一人に相当しています。 不妊治療には、妊娠しやすい性行為の時期を指導するタイミング療法、妊娠しやすい時期に精子を直接子宮内に注入する人工授精、卵子を採って体外で受精させた受精卵を着床しやすい時期に子宮に戻す体外受精の三通りがあります。 一般的に不妊治療は、タイミング療法に始まり、人工授精に進み、それでも妊娠しない場合は体外受精へとステップアップしていくケースが多いようです。 ただ、一年以上自然妊娠しなかったカップルが、タイミング療法により妊娠する確率は約五%、人工授精の場合も約一○%までと言われています。三通りの不妊治療の中で最も妊娠確率が高いのは体外受精であります。 ちなみに、二○一八年に全国五百九十二施設で行われた体外受精の妊娠確率は三一・九%でした。このように体外受精は妊娠確率が高い不妊治療法なのですが、問題は、その治療費が高額なことであります。 公表されている調査結果によれば、一回当たりの治療費は、タイミング療法は数千円から二万円程度、人工授精は平均で約三万円ほどですが、体外受精は平均約五十万円であります。 そこで有効な少子化対策の施策の一つとして、体外受精に対する助成を手厚くすることが考えられます。 令和四年度からタイミング療法だけではなく、人工授精も体外受精も保険適用になったことは歓迎すべきことでありますが、本県の不妊治療に対する助成の在り方は、形だけで心が籠もっていない感があります。 その内容を見ますと、まずタイミング療法は、もともと保険適用があり、夫婦一組に年間三万円を上限に助成がありましたが、それが現在も継続されています。 人工授精は、夫婦一組につき年間三万円を上限に助成がありましたが、令和四年度以降は保険適用になり、治療費負担が三割になったことを受けて、助成の上限は年間九千円に減額されました。妊娠確率が低くて治療費負担も少ないタイミング療法への助成が、人工授精の場合よりも多額なのはどうしてなのでしょうか。 さらに、私が疑問に思うのは、高額で最も助成を必要としている体外受精の不妊治療に対しては、何の助成措置もないことであります。 県としては、体外受精に対して保険適用以前は、その高額な治療費の負担を軽減するために国と県で助成していたが、保険適用になり治療費の自己負担が三割に軽減されたので助成の必要はなくなったと考えているのではないかと察していますが、不妊治療の実情についての認識を欠いた措置と断ぜざるを得ません。 私は、体外受精の不妊治療をしている方の話を聞きましたが、体外受精が保険適用になったとはいえ、体外受精の一連の治療に要する費用の自己負担額は一回につき二十万円ほどになり、六回までは保険適用が認められるが、経済的に余裕がない人たちは途中で断念せざるを得なくなると語っていました。こうした現状に手を差し伸べていくことこそ、本当の少子化対策ではないでしょうか。 そこでお尋ねであります。体外受精と比べて妊娠確率が低くて、大幅に治療費も安いタイミング療法や人工授精に対しては、保険適用後も助成措置があるのに、妊娠確率が高い体外受精に対しては、保険適用後もなお治療費に高額を要するにもかかわらず、助成がない現状は改めなければなりません。 やまぐち未来維新プランには、タイミング療法等の一般不妊治療、人工授精、体外受精等の特定不妊治療まで、不妊治療の流れの全てをカバーする治療費助成を実施すると記されています。つきましては、速やかに体外受精の不妊治療に対してもしっかりした助成措置を講ずるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、人工授精に対する助成の上限も見直す必要があると考えますが、併せ御所見をお伺いいたします。 以上で、今回の質問は終わりますが、今回の質問は「人口戦略法案」という本がありまして、これを読みましてこれをベースに今回は質問させていただきました。(掲示) この本の著者の山崎史郎氏は、内閣参与で社会保障・人口問題を担当している方で、宇部高(正しくは下関西高)出身だから高校は知事と同窓だと思いますが、その方が書かれた本であります。少子化対策、人口問題を考えるにおいては必読の書であると思いますので紹介いたしまして、今回の質問を終わります。 御清聴どうもありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは地方創生についての二点のお尋ねにまとめてお答えします。 地方創生は、自立発展できる住みよい地域をつくり、東京圏から地方に人を呼び込むことで持続可能な地方分散型の社会を実現し、そのことを通じて、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことを目指す政策です。 私は、こうした国の政策に呼応し、地域の経済の活性化や魅力の向上を図る取組を通じて、本県の活力を高めていくことが重要と考え、県としての、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、国の地方創生推進交付金なども活用しながら、総合的な取組を進めてきたところです。 この結果、企業誘致による新たな雇用の場が生まれ、移住者等が大きく増加し、中山間地域において持続可能性を高める地域づくりが進むなどの成果が上がっています。 こうした中、今般のコロナ禍を経て、国民の意識や価値観が大きく変化するとともに、デジタル化、脱炭素化などにより社会経済の構造変革が急速に進んでおり、国においては、こうした動きに対応したデジタル田園都市国家構想が新たに策定されています。 それぞれの地域が、デジタル技術の活用により、個性を生かしながら自主的・主体的な取組を進め、東京一極集中の是正と多極化を図ることで、地方から国へのボトムアップの成長につなげる、地方創生の新たな展開が始まっており、県としても取組をさらに強化していかなければなりません。 このため、私は、新たな総合戦略を策定することとし、産業競争力の強化や人材の定着、移住の一層の促進など、持続可能な地域の構築に向けた取組をさらに進め、確かな成果につなげていくこととしており、このことはお尋ねの自律分散型統治にも通じることになると考えています。 また、地方創生の取組を進める上で、地方の権限を高め、財政基盤を強化していくことが必要不可欠であることは、改めて申し上げるまでもありません。 とりわけ、地方の税源については、その偏在が大きな課題となっており、自治体間の財政力に大きな格差が生じていることから、国に対して、その是正に向けた積極的な取組を求めていく必要があります。 権限の面においても、提案募集方式の導入等により一定の成果は出ているものの、まだ十分とは言えない状況です。 このため、私は、先般実施した政府要望においても、地方の安定的な財源の確保と国から地方への権限移譲を求めたところであり、今後も、全国知事会等とも連携しながら取組を進めていきます。 私は、今後とも、国としっかり連携し、また、地方が主体的に施策を実施していく上で必要な提案も国に行いながら、本県の実情や特性に応じた地方創生の取組を積極的に推進し、持続可能で活力に満ちた山口県の実現に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)一億人国家シナリオと県政についてのお尋ねのうち、二十代・三十代の若い世代の所得向上についてお答えします。 非正規雇用については、価値観やライフスタイルに応じて多様で柔軟な働き方を選択できる一方で、正規雇用と比べ、雇用が不安定、賃金が安い、能力開発の機会が少ないなどの課題があります。 こうした課題の解決に向けては、正社員を希望する方の正社員転換を支援し、非正規雇用で働く若者の所得向上と収入安定を図ることが重要と考えています。 このため、県では、山口しごとセンターにおいて、非正規労働者の正規雇用化に向けたスキルアップ研修の実施や、雇用転換支援員によるマッチングを行うとともに、正規雇用した企業に対し支給される国のキャリアアップ助成金の活用促進を図っています。 こうした取組に併せ、非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正規雇用への転換や、待遇改善施策の充実を図るよう、全国知事会を通じて国に要望してきたところです。 こうした中、現在、国においては、次元の異なる少子化対策の実現のための、こども未来戦略方針を策定し、若い世代の所得向上を図るための政策として、非正規雇用の方々の正規化を促進することとしています。 具体的には、生活費等の不安なく、主体的にリスキリングに取り組むことができるよう、生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などについて検討されています。 県では、こうした国の検討状況を見守りながら、引き続き、若者が安心して働くことができるよう、非正規雇用で働く若者の所得向上と収入安定に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)一億人国家シナリオと県政についてのお尋ねのうち、まず、普遍性のある育児休業制度についてお答えします。 現在、国においては、次元の異なる少子化対策の実現のための、こども未来戦略方針を策定し、年末までに方針の具体化を進め、戦略を策定することとされています。 この方針においては、多様な働き方と子育ての両立支援を図るため、雇用保険が適用されていない週所定労働時間二十時間未満の労働者についても、育児休業給付等を受給できるよう、雇用保険の適用拡大に向け検討を進めることが示されています。 また、自営業、フリーランス等の育児期間中の経済的な給付に相当する支援措置として、国民年金の第一号被保険者について、育児期間に係る保険料免除措置を創設することとされています。 こうした中、お尋ねの育休制度を普遍性のある制度とすることについては、社会保障制度として、給付と負担の在り方も含め、国において検討されるべきものであり、県として国に提言することは考えていませんが、子育て世帯への経済的負担の軽減等については、引き続き、国に要望を行ってまいります。 次に、不妊治療についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、体外受精に対する助成措置についてです。 体外受精については、令和四年四月から保険適用とされるとともに、国の助成制度が廃止され、これに伴い、治療の内容によっては、保険適用前と比べ自己負担額が増加するケースも生じたところです。 このため、国において、保険適用範囲の拡大や自己負担額の軽減を図る制度が創設されるよう、現在、政府要望や全国知事会等を通じ、国へ要望を行っているところです。 次に、人工授精に対する助成額の上限についてです。 一般不妊治療に係る助成は、初診から検査、タイミング法や排卵誘発法などの一連の治療を対象にしており、そのトータルの医療費を考慮して助成額の上限を設定しています。 一方で、人工授精への助成については、一般不妊治療の助成に加え、さらに必要な費用に対し助成しているものです。 現行の人工授精に対する助成額については、保険適用前は三万円であったものを三割の自己負担額を考慮して九千円とし、保険適用前後で同程度の助成となるよう制度設計したものであり、上限額の見直しは考えておりません。 議長(柳居俊学君)合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 一回で終わるつもりでしたけど、育休制度とそれから不妊治療に対する答弁があまりにもゼロ回答みたいな感じで、二回目の質問に頼らざるを得なくなりました。 育休制度を普遍性のあるものにするように国に対して提言したらどうかと、提言する考えはありませんということだったけれども、提言したらいいじゃないですか、それが一つですね。 それから、不妊治療につきまして、国に要望するということであります。県としては何もしないんですか。県としてどうするかを私は問うたわけであって、一番妊娠確率も高くて、負担が大きい体外受精に対して助成措置を講ずるということは、それをしないということであれば、やまぐち未来維新プランに書いていることはうそなんですか。 あらゆる過程において助成措置を講ずると書いてあるでしょう。当然やるべきではないですか、改めて答弁を求めます。 それから、私は、山口県の不妊治療への助成措置は、形だけで心が籠もっていないと言いましたけど、先ほどの部長の答弁は、まさしくそのとおりですね。 タイミング療法に対しては三万円の上限、もっと費用負担が高い、そして妊娠確率も少し高い人工授精に対しては三万円だったのを九千円に減額した。なぜですか。私は、改めて本県の不妊治療に対する助成措置を見直すように強く要望いたします。 もう今さら、今の時点での答弁を変えることはできないでしょうから、このことは強く要望しておきます。 それから……要望にとどめておきます。 議長(柳居俊学君)合志栄一君に申し上げます。時間が参りました。御注意申し上げます。 合志栄一君(続)そして、普遍性のある分、提言することについては答弁ください。 議長(柳居俊学君)時間が参りましたので、御注意をいたします。 合志栄一君(続)以上で終わります。(拍手) 議長(柳居俊学君)要望ということでよろしゅうございますね。(「いやいや、最初のほうの質問」と呼ぶ者あり)最初のほうの質問。 國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)合志議員の再質問にお答えをいたします。 お尋ねの育休制度を普遍性のある制度とするよう国に提言したらどうかということでございました。 繰り返しになりますけども、この件につきましては、国においても未来戦略方針において検討する方針が出されておりますことでございまして、社会保障制度として給付と負担の在り方も含めて、国において検討されるべきものと考えておりますので、提言することは考えておりません。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。