1 豊かな海の再生について 2 デジタル技術を活用したインフラメンテナンスについて 3 アフターコロナにおける移住促進について 4 児童虐待防止対策について 5 教員の確保について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 髙瀬利也君。 〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) 髙瀬利也君 皆さん、おはようございます。自由民主党の髙瀬利也でございます。 昨年の六月に脳出血を患いました。そして、昨年の六月の議会は全く出席できない状況でございました。その節には、皆様には大変御心配と、また御迷惑をおかけいたしました。 あれから一年たちました。当時は、全く左側の手足が動かない。そして、言葉も上手に発せられない状況ではございましたが、一年たちまして、どうにかこのように登壇ができて、質問ができるようになりました。 また、その間、柳居議長さん、そして、村岡知事さんはじめ、県議会の全ての皆様の温かいお心遣いを頂きまして、この議場のバリアフリー化も随分進めていただきました。改めまして重ねてお礼を申し上げます。 まだまだ回復のほうは、回復途上でございまして、しっかりリハビリをしなきゃいけないところではございますけれども、県議会議員の一人として、皆さんの御迷惑にならないように、少しでもお役に立てるように、しっかりこれからもリハビリをやっていきまして、復活をしていきたいと思いますので、引き続きまして温かい心でお見守りいただきますようにお願い申し上げます。(拍手) それでは、早速ですが、通告に従いまして一般質問を始めます。 まず、豊かな海の再生についてお尋ねいたします。 昨年十一月の県議会一般質問で、私は漁業者の所得向上対策について質問を行いましたが、今回は本県漁業の活性化に向け、漁場環境の視点から、豊かな海の再生に向けた取組についてお尋ねしたいと思います。 本州の最西端に位置する本県は、三方が日本海、響灘及び瀬戸内海に開かれており、海岸線の総延長は、全国第六位の千五百四キロに達し、屈曲に富んだ形状で自然条件にも恵まれていることから、古くから漁業が盛んに行われています。 私の地元である豊浦・豊北地区は、響灘海域に面し、多くの島々や岩礁域も多く、関門海峡の潮流の影響を受けることから、古くから優良な漁場として、一本釣り漁業のほか、定置網漁業などが盛んに営まれています。 しかしながら、近年、地球温暖化の影響による海水温の上昇やムラサキウニをはじめとした食害生物による藻場の減少等により漁業生産量が減少しております。 加えて、汚水処理技術の向上等に伴う海水中の全窒素及び全リンなどの栄養塩類の不足が、ノリをはじめとする養殖藻類の色落ち、二枚貝や小型魚類等の水産資源の減少に大きく影響していると言われております。 かつて、瀕死の海と呼ばれた瀬戸内海は、厳しい排水規制の下、大きく水質が改善しましたが、一方で栄養塩類の不足等により、豊かな生態系を持つ海ではなくなってしまっており、きれいな海から豊かな海へ考え方をシフトする時期に来ているのではないでしょうか。 こうした中、国においては、令和三年六月に、瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、地域ごとのニーズに応じて特定の海域に栄養塩類の供給を可能とする栄養塩類管理制度を創設されたところであり、本県では、響灘から広島湾までがその対象となっております。 今後、関係県では、多様な水産資源の確保の観点から、海域ごと、季節ごとの栄養塩類管理に取り組んでいかれることを期待しております。 兵庫県では、昨年十月、全国に先駆けて兵庫県栄養塩類管理計画を策定しており、計画的な栄養塩類の増加措置に取り組まれていると伺っております。 私は、豊かな海を再生していくためには、新たな制度に基づいた海域ごとのきめ細やかな栄養塩類管理や、藻場の再生に向けた環境整備・保全活動など、県や地元が一体となって取組を加速していかなければならないと考えております。 そこでお尋ねいたします。長期的な水産資源確保に向け、豊かな海の再生に県として今後どのように取り組んでいかれるのかをお伺いいたします。 次に、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスについてお尋ねいたします。 我々の日常生活や社会経済活動は、道路・港湾等の産業基盤や県営住宅・公園等の生活に関する基盤、砂防・河川等の県土保全のための基盤など、様々な社会インフラに支えられています。 我が国では、高度経済成長期に、こうした社会インフラが集中的に整備されてきたところでありますが、それから半世紀以上が経過し、多くの社会インフラが老朽化問題に直面しております。 豊北町にも粟野川に架かる粟野橋という橋がありますが、築年数が六十年以上経過し、老朽化が進行し、耐震化も必要となっております。 粟野橋については、現在、県による架け替え工事が行われておりますが、山口県の現状は粟野橋同様、築年数が半世紀を超えている橋梁が約五割、トンネルでは約三割を占め、ほかのインフラも含め、今後もその割合は増加する見込みとなっていることから、インフラ老朽化への対応は喫緊の課題となっております。 このため、県では、山口県公共施設等マネジメント基本方針や、施設ごとの長寿命化計画を策定して、費用の縮減や平準化を図る効率的な維持管理を推進してこられました。 一方で、本県の産業力の強化や県民の安心・安全確保のためには、新たなインフラの整備は必要不可欠であることから、今後も管理する施設数は増加することが予想され、また建設産業における人手不足も進行していることから、従来の管理手法では、インフラに求められる機能の維持が難しくなることが見込まれます。 こうした課題を解決する強力な一手が、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの実施であり、取組を加速化していかなくてはなりません。 私が、土木建築委員長を拝命していた当時、県ではAIを活用した小規模橋梁の点検診断等の取組を始められるなど、インフラメンテナンス分野におけるデジタル技術の活用が緒に就いたばかりであったと記憶しております。 あれから数年たちますが、これまでの取組成果を基に、実装が可能な技術は速やかに実装を図りつつ、様々なインフラ施設にも活用範囲を広げていただきたいと思います。 加えて、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの取組は、県だけにとどまらず、実際にメンテナンスに携わる建設業者の方々や、同じく社会インフラを管理する市町と共に進めていただきたいと考えます。 インフラメンテナンスに関わる者が共に取り組むことが、ひいては、やまぐち未来維新プランに掲げる日本一の安心インフラやまぐちの実現にもつながっていくものだと考えるからです。 そこでお尋ねします。急速に老朽化が進む社会インフラの適正な機能維持を図り、日本一の安心インフラやまぐちを実現するため、デジタル技術の活用によるインフラメンテナンスに今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、アフターコロナにおける移住促進についてお尋ねします。 我が会派の代表質問で触れたように、人口減少は予測を上回るスピードで進行しています。今後、地域の維持や発展を図るには、都市部からの人流を促し、移住・定住へとつなげる取組が一層重要となります。 県では、これまでも移住施策の推進に取り組まれ、平成二十九年度は千七百四十五人であった年間の移住者は、昨年度に三千六百五十五人にまで伸びました。コロナで取組が制限される中でも、意識の変化や社会変革をいち早く捉え、目先を変えたテレワーク移住やワーケーションの推進によって着実な成果を上げておられます。 私の地元にも、普段は川棚でリモートワークをし、月に一回程度は首都圏のオフィスに出社するテレワーク移住者がいらっしゃいます。風情ある温泉街、山々や海の美しい眺めに魅せられコロナ禍に転居し、子育てや地域づくりに励んでおられます。 地域活性化に向けた活躍は大変頼もしく、同様の事例が県内各地域へ広がることを期待しています。 しかしながら、都市部の方々を地域で受け入れるには、まだまだ課題が多いと感じています。若い世代の来県者からは、山間部などではWi─Fiなどの通信環境が十分でなく、滞在に不安を感じるとの声を耳にします。 また、地域には入居可能な空き家や事業が再開できる空き店舗などが点在する一方、そうした物件を都市部の関心のある若者に手軽に紹介できる仕組みも十分とは言えません。 移住によって新たな活力をもたらすには、こうした若者のニーズにきめ細やかに対応していくことが重要です。 また、コロナが出口を迎え、減少傾向にあった東京圏への人口流入が再び加速の兆しを見せる中では、新たに生じる価値観も的確に捉えていく必要があります。 若者が地方暮らしに、どのような憧れや期待を抱くのかをしっかりと見極めながら、その希望がかなえられるよう取組を進めていただきたいと思います。 子育てはふるさとでとの言葉をよく耳にしますが、就職や進学の機会によって巣立っていった若者たちを、今度は子育て世代として本県に受け入れる視点も重要です。 これまでの手法にとらわれない柔軟な発想によって、本県の様々な魅力を積極的にPRし、都市部の人々の潜在的な意識にも働きかけ、移住の裾野を広げていくことも必要と考えます。 また、移住者の受入れが特定の地域に偏らないよう、優良事例などの成果を県内に波及させる取組も求められます。 私は、人口減少の克服に向けて、コロナから得られた地方移住への追い風を失わぬように、こうした課題にもしっかりと意識を向けながら、取組を進めていただきたいのです。 そこでお尋ねします。アフターコロナにおける本県への移住促進に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待防止対策についてお尋ねいたします。 全国の合計特殊出生率が低迷し、少子化に歯止めがかからない一方で、児童虐待相談対応件数が増加の一途をたどっています。 令和三年度の全国の児童相談所における相談対応件数は二十万件を超え、二十年以上にわたって過去最高を更新しており、また本県においても、令和四年度の児童相談所の相談対応件数は六百八十八件となるなど深刻な状況が続いています。 子供は、我が国の宝であり、全ての子供は適切な養育を受け、健やかな成長・発達や自立が図られることなどを保障される権利があり、子供の健やかな成長に影響を及ぼす児童虐待の防止は社会全体で取り組まなければなりません。 そこで、児童虐待防止対策について、三点お伺いいたします。 まず、今年四月、こども基本法が施行されました。同法は、子供の包括的な権利や国の基本方針を定めた初めての国内法であり、子供の権利を守るために児童虐待防止に取り組む児童相談所をはじめ、対応機関の果たすべき役割は今後ますます重要となります。 県では、虐待を未然に防止し、早期発見・早期対応するために児童相談所を中心とした体制を着実に整備しておられます。 しかしながら、虐待相談対応件数の増加に加え、個々の案件の多様化・複雑化が進んでおり、対応いかんによっては、子供の命にも影響を及ぼすようなプレッシャーの中、全力で向き合う現場の児童福祉司や心理司の方々の負担はますます高まっています。 そこでまずお尋ねいたします。子供や関係者からのSOSに対し、一件一件、丁寧・確実に、かつ、ちゅうちょなくスピーディーに対応するためには、児童福祉司・心理司の確保・資質向上はもちろんのこと、業務の効率化や合理化なども含め、児童相談所の一層の体制強化が必要と考えますが、県では、児童相談所の体制強化について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、虐待等により心に傷を負った子供に対しては、心身の健康を回復し、健全な社会生活が送れるよう寄り添った支援が必要です。 県のみほり学園では、県内唯一の児童心理治療施設として、心理的に不安定な状態にある子供に対し、生活指導、心理療法、学校教育を中心とした様々な支援を行っておられます。 一方で、築五十年経過し、施設・設備の老朽化が著しく進んでおり、また、居室が四人部屋で個室がなく、子供のプライバシーの確保が課題となっております。 特に、定員五十人に対し、現在は半数程度の受入れとなっていますが、これは個室がないことも要因の一つではないかと考えられます。 県内の虐待相談対応件数のうち、虐待の種類としては心理的虐待が最も多く、全体の五○%を超えている状況です。虐待件数が増加傾向にある中で、今の施設では今後子供への支援に支障が生じるのではないかと懸念しております。 そこでお尋ねいたします。子供たちに寄り添い、健全な発達を支援するためには、ぜひとも、みほり学園の建て替えについて検討を進めていただきたいと考えますが、県では今後どのように対応されるのか、お伺いいたします。 最後に、重大な虐待事案が全国的に頻発する中、虐待から子供の生命・身体を守るために、警察が果たす役割は極めて重要となります。 令和四年中、警察から児童相談所に通告した被害児童数は七百九十五人であり、前年に比べて百十九人も増加したということです。 これは、世間の子供を守ろうとする機運が高まったことで、子供の泣き声通報等が増加したことも大きな要因と思われます。 県警察では、関係機関とのさらなる連携強化を図るために、中央児童相談所へ複数の警察官を出向させ、児童の安全確保のための対策を進めており、児童相談所の職員と共に、児童の安全確認や保護者の面接等、様々な場面で協力体制が確保されるなど効果が目に見えて上がっていると聞いております。 そこで、今後どのように関係機関との連携強化を含めた児童虐待防止対策に取り組んでいかれるのか、県警本部長にお伺いいたします。 最後に、教員の確保についてお尋ねいたします。 世の中には、様々な職業がありますが、その中でも教員は他の職業では決して持ち得ない魅力を持つ職業であります。 私もかつて教員として教壇に立たせていただいた一人ですが、そこでは子供たちの変化や成長を間近で感じることができ、同時に自分自身も生徒と共に成長させてもらいました。振り返ると、自分の人生において最も充実した期間の一つであったと感じております。 しかしながら近年、その教員の不足が大きな課題となっており、現実的な影響も生じております。 本県では、今年度、中学校二、三年生については、これまで実施してきた、いわゆる三十五人学級化を一時凍結し、三十八人を基準として学級を編成するとともに、その他加配の一部を臨時的に見送ることとされました。 全国的にも教員不足が叫ばれる中、県教委にとっても苦渋の決断であったと理解しますが、一方で、これまで全国に先んじて公立小中学校での三十五人学級化を実現し、子供一人一人に応じた、きめ細やかな学習指導を進めてきた本県であるだけに、このたびの対応は残念に思うところです。 こうした危機的とも言える状況の背景には、教員の勤務環境が苛酷であると報道等で頻繁に指摘され、また一昨年にはSNS上で「#教師のバトン」が大きな話題となったことも重なり、現在の教育現場は、いわゆるブラック職場というイメージが先行してしまっていることがあります。 実際、私の身近でも、教員に憧れを持っているものの、そのイメージから教員という職業の選択に今一歩踏み出せず、別の職業を目指しているという方の話も耳にしております。 我々が子供の頃には、学校の先生は子供が将来なりたい職業のトップを争うほど人気があっただけに、寂しくも感じております。 県教委は、教員志望者の増加に向け、現場の先生方が働きやすい環境を着実に整えていくことはもちろんですが、いま一度、教職が本来持つ魅力をしっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか。 また昨年には、教員の免許更新制が解消されたところです。現在、教壇に立たれていない免許保有者の方をはじめとして、質の高い学びの提供に向けて多様な人材を確保する視点から、教員志望の学生のみならず、これまで以上に幅広い方々へのアプローチをしていくことも求められます。 国においては、先日、閣議決定された骨太の方針に、世界に冠たる令和型の質の高い公教育の再生をうたい、教員の給与の在り方等について議論を行うとともに、先月には全国の自治体に対し、教員採用試験の複数回の実施を働きかけるなど、様々な観点から教員不足対策の検討を進められています。 県教委には、こうした国の動きにも呼応しながら、来年度には従来どおりの基準で学級編成ができるよう、あらゆる手法により、教員確保に向けた取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。教員不足が顕著となる中、本県の未来を担う子供たちを育む教員の確保に、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。ちょっと早いですが、終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)髙瀬議員の御質問にお答えしたいと思いますが、まず髙瀬先生、議会のたびに大変回復をされて、そして、今回は車椅子もなしで登壇されて、本当にすごいことだなというふうに驚いております。 その裏には、日夜大変な御努力がおありのことと思います。まずもって心から敬意を表したいと思います。さらに回復されることを確信をしておりますし、さらなる御回復をこの議場にいらっしゃる皆さんと共にお祈りをしたいと思います。ぜひ頑張ってください。 それでは、御質問にお答えをしたいと思います。 まず、アフターコロナにおける移住促進についてです。 少子化と県外への人口流出により人口減少が進む中、地域の活力維持・向上を図る上からも、都市部からの移住の促進は非常に重要です。 このため、県・市町や関係団体等で構成する「住んでみぃね!ぶちええ山口」県民会議を核に、全県一体となった取組を進めており、本県への移住者は五年間で倍増し、国内最大規模の移住情報サイトの人気ランキングで上位に選ばれるなどの成果が現れています。 こうした中、一旦減少した東京圏への人口流入が再び拡大する一方で、都市部の若い世代の地方移住への関心は依然高い水準にあることから、そうした方々に本県を選んでいただけるよう、お示しのとおり、ニーズに即した環境づくりをしっかりと進めていく必要があると考えています。 まず、生活の利便性を高めるWi─Fi等の通信環境については、市町と連携して、光ファイバーの整備を着実に進めるとともに、条件の厳しい山間部等については、地域の状況も踏まえた実効性のある改善策を検討していきます。 また、情報提供については、県民会議のポータルサイトに掲載している空き家情報の充実や空き店舗等の登録促進を図るとともに、やまぐち暮らし支援センターにおける相談対応においても、移住希望者のライフスタイルに適した物件の紹介など、きめ細やかな支援を行ってまいります。 こうした取組に加え、故郷での子育てを望む本県出身者も含め、地方の自然豊かな子育て環境などを求める方々への働きかけも強化していきます。 具体的には、山口ならではの暮らし・子育て環境の魅力を伝える動画などを作成するほか、デジタルメディアを活用し、地方移住に関心を持つ潜在層に本県の情報を届けるターゲティング広告を行うなど、戦略的な取組を進めていきます。 また、県内各地での移住促進に向け、県民会議で、移住につながった施策や効果的な手法等を共有する場を設けることなどにより、県内全域での取組の底上げも図ってまいります。 さらに、東京二十三区以外の東京圏や、中京圏・近畿圏の一部を対象としたテレワーク移住補助金の創設や、大阪における新たな相談窓口の開設などにより、移住拡大に向けた取組をさらに強力に進めていきます。 私は、今後も移住を本県の人口減少を食い止める重要な施策と位置づけ、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、コロナ禍を契機に加速した本県への人の流れをさらに拡大していけるよう、移住の促進に全力で取り組んでまいります。 次に、児童虐待防止対策についてのお尋ねのうち、まず児童相談所の体制強化についてお答えします。 全国的に児童虐待による重篤な事案が後を絶たず、本県においても、昨年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数が六百八十八件となるなど、依然として深刻な状況が続いています。 児童虐待は、子供の人権や生命に関わる重大な問題であることから、私は、虐待を未然に防止し、早期発見・早期対応につなげるためには、その中心的な役割を担う児童相談所の体制の強化を図ることが重要と考えています。 このため、県では専門的な相談体制の充実を図るため、児童福祉司や児童心理司を計画的に増員してきたところであり、今後とも子供の気持ちに寄り添いながら、児童虐待に適切に対応できる、質の高い人材の確保に取り組んでまいります。 また、多様化・複雑化する虐待事案に適切に対応するため、警察や教育、医療等の関係機関と連携した実践的な研修を実施するとともに、今後予定されている一時保護開始時の司法審査の導入等の制度改正にも対応できるよう、研修内容のさらなる充実を図ってまいります。 さらに、虐待を受けた子供の一時保護を迅速かつ適正に実施するため、今年度、各児童相談所にAIを活用して、瞬時に過去の事例を参照するシステムを導入することとしており、業務の効率化を図ることにより、職員が個々の事案にきめ細かく対応できる体制の強化に取り組んでまいります。 次に、みほり学園の建て替えについてお答えします。 みほり学園は、虐待等により社会生活への適応が困難となった子供を受け入れ、学校教育と連携を図りながら、生活指導や心理療法等を行う県内唯一の児童心理治療施設として重要な役割を担っています。 県では、計画的に修繕を実施するなど、施設の適切な維持管理に努めてきたところですが、建設後五十年が経過しており、個室として整備された居室がないなど、プライバシー確保の面が課題となっています。 また、お示しのとおり、近年、心理的虐待が増加しており、その治療に有効な家族療法の実施など、新たなニーズも高まっていることから、こうした課題等に適切に対応できるよう、施設機能のさらなる充実を図ることが必要と考えています。 このため、私は、みほり学園が、将来にわたり、求められる役割をしっかりと果たすことができるよう、建て替えも含め、施設の機能強化について、具体的な検討に着手してまいります。 私は、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、今後とも児童虐待防止対策の一層の充実強化に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)豊かな海の再生についてのお尋ねにお答えします。 本県の瀬戸内海においては、工場排水の規制や下水道の整備等により、汚濁物質の流入量が大幅に減少し、その水質は大きく改善してきたところです。 一方で、近年、窒素、リンなどの栄養塩類の不足や、気候変動の影響による海水温の上昇など、生息環境の変化による水産資源への影響が課題となってきており、生物多様性・生物生産性が確保された豊かな海を再生することは極めて重要です。 このため、これまでも県では、藻場・干潟の再生に資する森・川・海を通じた豊かな流域づくり活動や、海域の特性に応じた種苗放流と、その生息環境に必要な漁場整備に加え、藻場の回復に向けた藻場造成など、水産資源の確保に向けた取組を進めてきたところです。 こうした中、お示しのとおり、国は瀬戸内海環境保全特別措置法を改正し、栄養塩類の供給が必要と認められる海域において、関係府県が定める栄養塩類管理計画に基づき、栄養塩類をコントロールする制度を新たに創設しました。 県では、こうした国の動きに呼応し、まずは、昨年十月に瀬戸内海に排出される窒素・リンの総量を規制する総量削減計画を改定し、下水処理場の窒素の基準値を緩和したところです。 また、宇部市においては、漁業関係者の要望を踏まえ、ノリ養殖期に併せて、下水処理場の季節別運転管理を試行的に行っています。 しかしながら、現状においては、養殖ノリの色落ちやアサリ等の減少が継続していることから、これまでの取組を一層強化していく必要があります。 このため、効果的な栄養塩類の供給に向け、今年度、関係団体や漁業関係者、市町等と連携し、様々な栄養塩類の増加措置を検討するとともに、これに伴う周辺環境への影響等のシミュレーションに取り組んでまいります。 この結果を踏まえ、本県の栄養塩類管理計画の策定を検討していきたいと考えています。 また、水産資源の維持・増大に向け、資源が減少しているメバルやナマコの種苗生産技術の開発を進めるとともに、生育に適した漁場整備や防波堤などの漁港施設を有効活用した藻場造成を展開してまいります。 加えて、今年度からJブルークレジットを申請するための手引となる活用指針を策定するなど、漁業関係者等が行う継続的かつ効果的な藻場保全活動の取組を支援することとしています。 県としては、今後とも、関係団体や漁業関係者、市町等と一体となって、栄養塩類の管理等を通じて長期的に水産資源が確保できるよう、豊かな海の再生に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)デジタル技術を活用したインフラメンテナンスについてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の社会インフラは、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤ですが、お示しのとおり、本県においても全国と同様に、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 一方、建設産業は、就業者数の減少や高齢化の進行等の課題に直面しており、こうした中においても、インフラに求められる機能を維持していくためには、より効率的に維持管理を行っていく必要があります。 このため県では、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化に積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、昨年度、ドローン等を活用した河川の変状監視を、本年4月には、AIを活用した小規模橋梁の点検・診断システムを導入したところであり、トンネルについても、現在、システムの構築を進めています。 また、今年度から標識等の道路附属物をはじめとした、その他の施設についても、AIやドローンによる点検・診断システムの構築に着手するなど、引き続き、デジタル技術の活用範囲を広げていくこととしています。 さらに、今後は、現場で施設の補修履歴の確認や点検記録の更新などが行えるよう、道路や河川等の各施設のデータを一元的に管理するシステムの構築を進めてまいります。 こうしたデジタル技術を活用した維持管理については、メンテナンスに携わる建設企業や、多くの社会インフラを管理する市町などと連携して取り組んでいくことが重要です。 このため、県が開発した橋梁の点検・診断システムの活用に関する説明会を今月開催したところであり、今後もあらゆる機会を通じて、こうした取組を建設企業や市町等へ広げていきます。 県としては、県内の様々な関係者と連携しながら、日本一の安心インフラやまぐちの実現に向け、デジタル技術を積極的に活用し、計画的かつ効率的に点検や補修等を実施することにより、インフラの老朽化対策を着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)児童虐待防止対策における警察の果たす役割についてのお尋ねにお答えいたします。 児童の健やかな成長に悪影響を及ぼす児童虐待事案については、長期化・潜在化の危険性がある中で、県内の取扱状況は議員御指摘のとおり、警察からの通告児童数が年々増加し、昨年は過去最多を記録しているほか、全国では幼い命が犠牲となる悲惨な虐待事件が発生するなど、予断を許さない状況にあります。 こうした中、県警察では、関係機関との連携を密にしながら、この種事案に対し、迅速かつ適切な対応に努めております。 具体的な取組ですが、児童相談所との円滑な情報共有を図るため、平成二十九年以降、知事部局と協定を締結するなど、それぞれの取扱状況や対応状況について、緊密に情報を共有しながら、連携の強化に努めているところです。 さらに現在、中央児童相談所に警察官二名を出向させ、関係機関と連携して事案対応に当たらせるなど、出向警察官の活動を通じ、対応力の向上を図っています。 また、児童相談所をはじめ、市町や学校など関係機関との連絡会議を定期的に開催しているほか、泣き声通報などにより虐待容疑事案を認知した際には、自治体や児童相談所に対し、過去の取扱状況を照会するなど、各機関が保有している情報を適宜共有しながら、慎重かつ適切な現場対応に努めています。 加えて、支援を要する家庭に対しては、警察も参画する要保護児童対策地域協議会において支援策を検討するなど、関係機関と連携して所要の措置を講じています。 このほか、児童相談所の職員と協働して、虐待容疑事案を想定した対処訓練や、法医学の専門家による虐待によるあざの見分け方について講習会を開催するなど、実践的な研修を通じ、対処能力の向上を図っています。 県警察では、引き続き、これらの関係機関と連携した取組を継続して行い、良好な関係を維持しながら、相互の対処能力の向上を図り、児童虐待事案への迅速かつ適切な対応に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員の確保についてのお尋ねにお答えします。 近年、教員不足が全国的に大きな問題となっている中、本県においても、教員採用試験の志願倍率の低下や、臨時的任用教員の確保が困難な状況が見られるなど、教員の確保は喫緊の課題であり、特に本年度は、教員の配置に係る緊急対策として、中学校二・三年生の三十五人学級化やその他加配の一部を臨時的に見送ったところです。 このような状況を踏まえ、県教委では本年三月以降、県内外の約九十の大学等を訪問し、担当者や学生と面談するとともに、教員志望者や、いわゆるペーパーティーチャーに向けたオンラインでの説明会や相談会を例年よりも拡充して実施するなど、教員確保に向けた取組を進めています。 また、山口県で教員として働くことに関心のある大学生等を対象に、年間を通じて様々な教員採用情報をダイレクトにお届けするLINE公式アカウントを開設したところです。 さらに、将来にわたり安定的に教員を確保していくためには、こうした取組に加え、お示しのとおり教職の魅力を発信し、幅広い分野からの多様な人材の確保に取り組んでいくことが重要です。 このため、全国の幅広い方々に、本県の教員を志すきっかけとしていただく新たな取組として、教員の働きがいなど教職本来の魅力と、コミュニティ・スクールやスマートスクール構想など、山口県教育の魅力を発信するためのPR動画の作成や、教員免許を持っていない方が受験することができる教職チャレンジサポート特別選考などを行うこととしています。 県教委といたしましては、国において進められている教員確保に向けた議論を踏まえ、現在策定中の次期教育振興基本計画に、学校における働き方改革の推進や教員確保に関する施策を明確に位置づけ、教職本来の魅力の積極的な発信や教員採用試験のさらなる改善などを通して、本県の未来を担う子供たちを育む教員の確保に全力で取り組んでまいります。