1 若者の地域定着を目指した大学等の連携について 2 「選ばれる高校」としての特色ある学びの推進について 3 脱炭素社会(カーボンニュートラル)の実現について 4 防災の取り組みについて 5 広域的な交通インフラ(山陰道・下関北九州道路)の整備促進について 6 その他
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 皆さん、おはようございます。公明党の前東直樹でございます。 このたびの県議会議員選挙におきまして、長年、県政に大変御尽力をされました先城憲尚大先輩より大きなバトンを受け継ぎまして、下関市選挙区より初当選をさせていただきました。まだまだ若輩ではございますけれども、県民の皆様の負託に応えるため、そして、さらなる県勢発展のために力を尽くしていく所存でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。 私は、山口県の出身ではございませんけれども、妻の地元のこの山口に十六年前に参りまして、以来、仕事、子育てを通して、そして下関の市議会議員として八年間、地域に関わってまいりました。 その中で、地域には、高校等を卒業して地元に残って頑張っているという方だけではなく、案外、私のように配偶者が山口の出身で、縁がありまして山口に来ましたという方も結構多いように感じます。 また子育て世代でも、確かに子供全体の数は減っているんですけれども、割と一人っ子よりも、二人、三人とお子さんがいらっしゃる御家庭も多く、時には四人、五人といらっしゃる家庭もございます。 人口減少の課題の中で、子育て世代の多くが県外に出てしまう、定年退職後にようやく地元に戻るという流れもあるようですけれども、今まで仕事や学習環境など都心部の方が有利とされておりました件についても、デジタルの活用によって地方のメリットも見直されるようになってまいりました。 うまく条件がマッチすれば、きっかけができれば、本来、自然が豊かで歴史と文化が息づくこの山口県、もっと子育てしやすいまちにしていくことができるのではないかと改めて実感をしております。 公明党は、子育て・教育こそ希望との思いで、結党以来、半世紀以上にわたって子育てと教育を一貫して政策の柱に掲げ、幾多の実績を積み重ねてきました。 今また、子供の幸せを最優先にする社会の実現と、少子化、人口減少を乗り越えるための具体策として、子育て応援トータルプランを取りまとめたところであります。 私たちも、県が国、そして市町ともしっかり連携し、大きく政策課題が前に進むよう取り組んでまいります。 こうした観点も踏まえまして、通告に従いまして質問をいたします。 最初に、人口減少対策として、若者の地域定着を目指した大学等の連携について伺います。 山口県が令和二年に策定をいたしました人口ビジョン改訂版によりますと、本県は、一九五四年(昭和二十九年)の統計開始以降、常に転出数が転入数を上回る社会減の状況であり、自然減の状況と併せて、今後もこの趨勢が続くと仮定をすると、二○四五年(令和二十七年)には約百四万人、二○一五年比で二五・三%減に減少すると推計されています。 既に皆様御存じのとおり、この社会減は、本県においては男女とも十代及び二十代前半にかけてが大幅な転出超過、これらは大学等への進学や就職に伴う転出が大きく影響していると考えられています。 実際に、データが公表されております、令和四年三月の公立高校等の全日制・定時制卒業者の進路状況調査によりますと、大学進学者が三千七十一人、そのうち県内の大学進学は二八・九%で約三割。 そのため、この世代の社会減を食い止めるためには、県内就職先の確保はもちろんのこと、魅力ある県内進学先をつくっていくことが重要でありまして、県内の各大学は少子化の中、選ばれる大学を目指して努力されていることと思います。 例えば、山口大、山口県立大、山口学芸大による国・公・私立の枠を超えた大学等連携推進法人の設置や、山陽小野田市、周南市による大学の公立大学法人化、また、下関市においても、下関市立大学が来年度開設予定のデータサイエンス学部、さらには二○二五年度の看護学部の設置を目指しているのは、その大きな流れの一つであります。 選ばれる大学への工夫は、まずはそれぞれの大学、設置者に委ねられるところではありますけれども、短大・専修学校等も含めて、今後も魅力ある県内進学先をつくっていくため、県としてもさらに支援をしていただきたいと思います。 今後の取組について、まずお伺いをいたします。 その上で県内の進学先には、県内出身者のみならず、県外からも学生が集まっております。この県内外の若い世代がどれだけ県内に残ってくれるか。そのためには進学期間中にどれだけ山口を、地域の魅力を知ってもらうことができたかが重要であると考えます。 あわせて、学生が就業前に企業などで就業体験をするインターンシップについても、就業意欲が高くなる、またマッチング効果が高いので離職率も低いという研究結果も出ておりまして、山口県でも、インターンシップの支援に取り組んでいただいております。 このインターンシップに県内の企業さんがさらに取り組んでいただいて、事前に企業の様子、それから地域のことも含めて知っていただくことができれば、さらに県内への定着率は高くなるのではないかと感じております。 また、インターンシップと併せて、同様の効果があるのではないかと思われるのが、大学での実務実習であります。 公明党でも毎年、県の業界等各種団体と政策懇談会を行っております。 その中で昨年、県の薬剤師会さんからお話しいただいたのが、今後、県内でも薬剤師が不足することが見込まれる中、非常に期待しているのが山口東京理科大学の薬学部の卒業生である、そのために薬剤師会として、大学と連携協定を結んで、何とか山口に残ってもらいたいということで取り組んでいるということでありました。 その山口東京理科大学のカリキュラムの中では、五年生になると、薬局ですとか病院で実務実習をするのですけれども、わざわざ県外から大学に来てくれたにもかかわらず、実習はそれぞれの出身地の地元に戻って実務実習をしてしまう。結果として、卒業したら結局はその地元に戻ってしまって、県外に流出をしてしまう可能性が高くなるというお話でありました。 以上、地域での関わり、インターンシップ、実務実習について取り上げましたけれども、県内の各大学の取組は、ある意味魅力ある進学先として選んでもらえるかどうかでありまして、そこから先の、県内に就職してもらえるかどうかについては、大学側の努力だけでは非常に難しいのではないかと感じております。 地域・行政による連携という点では、まずは現場の市町ということになるのかもしれませんけれども、先ほどの例にもありますように、県という広域の枠組みで、県全体でつなぎ止められるようにうまく連携することができれば、山口県に一人でも多くの若者が残ってくれるのではと感じております。 山口県には若者の地域定着を促進する仕組みとして、県内全大学が参画する大学リーグやまぐちがあります。県では社会増減を二○三○年(令和十二年)に均衡させることを目標に掲げているということでございますので、この仕組みをベースとしながら、できることは何でもやってみるという視点で取り組むべきだと思います。 そこで、若者の県内定着促進に向けた大学と地域との連携の推進について、今後どのように取り組まれるのか、見解をお伺いをいたします。 続いて、高大連携の推進についてお伺いをいたします。 現在、県では、山口県立大学の附属高校設置の検討が進められ、さきの第二回協議会では、附属化として検討を進める高校が県立高校十校程度に絞られたとする報道がなされたところであります。 県立大学の附属高校の設置は、まずは高大連携の七年間の教育カリキュラムにより人材の育成を図るとともに、さきの魅力ある県内進学先の確保、進学世代の社会減を食い止めるという点でも精力的な取組であると考えております。 一点御配慮いただきたいのは、現在の県内高校から県立大学への学校推薦型選抜であります。 附属高校の具体的な形については、これからさらに協議が進められることと思いますけれども、県内非常に広いですので、希望される生徒が全て附属高校に通うことが難しい場合も考えられます。 県内全域からの県立大学入学の流れも確保しながらの検討をお願いをいたします。 この高大連携の考え方・発想は、魅力ある学びの環境、魅力ある進学先の確保という点で、非常に有為な取組であると考えます。 確かに、設置主体が異なることによってできることの差はあるかもしれませんけれども、県内各大学の専門性や特性を生かしながら、県内各地の高校との連携についてもぜひ進めていただきたいと思います。 そこで、高大連携の取組について、今後どのように推進をされるのか、お伺いをいたします。 次に、選ばれる高校としての特色ある学びの推進についてお伺いをいたします。 人口減少の問題は、子供世代の減少でもあり、さきの人口ビジョンにおいても、児童生徒数についても、二○六○年(令和四十二年)には現在の約半数まで減少すると推計され、児童生徒数の減少により、活力ある教育活動を展開することができなくなることが懸念されているところであります。 こうした中、県立高校では、将来構想に基づき学校・学科の再編整備が進められております。 再編整備に際しては、高校教育の質の確保・向上をしっかり図っていただきながらも、地域バランスや御家庭の経済的負担への配慮も含めた、学びの環境を確保していく観点が重要であります。 あわせて、これからも高校を存続させていくためには、特色ある学び、選ばれる高校として、より工夫をしていく必要を改めて感じております。 山口県においても、従来から地域連携教育を推進しておりますけれども、公立の小学校・中学校については、子供たちの顔も保護者も地域に見えるために非常に連携しやすい。 他方で、県立高校は通ってくる地域も全県ですし、当然、生徒も保護者も地域というわけにはまいりません。設置者も県・市町と異なるということもありますから、そのまま小中学校型の地域連携を当てはめても、なかなか難しいところがあると思います。 この点、県教委は、高校については、やまぐち型社会連携教育と位置づけ、取組を進められると聞いております。 そこで、県立高校の再編整備を進めるに当たり、学びの環境をどう確保していくのか。 また、特色ある学校づくりのために、地元の市町、大学、企業等との連携について、どのように取り組まれようとしているのか、お伺いをいたします。 続いて、脱炭素社会、カーボンニュートラルの実現についてお伺いをいたします。 山口県の現状については、本年三月に策定されました、やまぐち産業脱炭素化戦略に詳しく掲載をされておりますが、瀬戸内海沿岸に三つのコンビナートが形成されており、これを中心に基礎素材型産業が集積していること、自動車など輸送用機械器具製造業など製造業を中心とした産業構造となっていること、また製造業の九割は、従業員数九十九人以下の中小規模な事業所であること、そして県内の温室効果ガスの部門別の排出量については、産業部門と工業プロセス部門だけで県全体の六九・三%と、全国に比べて約二倍と高い状況にあることが上げられております。 正直なところ、市のレベルでのカーボンニュートラルとは、地域にもよるとは思いますけれども、内容も規模も対策も大きく異なる部分もありまして、県としてしっかり取り組まないといけない課題として改めて認識したところであります。 県としましては、さきの現状を踏まえまして、二○五○年カーボンニュートラルを原動力とした本県産業の成長・発展を基本目標に掲げ、五つの先行プロジェクトと共通施策について積極的に取り組むとされました。 中でも、脱炭素社会の産業拠点となるカーボンニュートラルコンビナートの実現プロジェクトは、コンビナートを構成する産業がCO2排出の多くを占めている現実を踏まえ、コンビナート全体で燃料転換等によるCO2排出削減に取り組むとともに、水素、アンモニア等の次世代燃料・素材の供給基地化、カーボンニュートラルポートの形成推進を図り、各コンビナートの特性に応じた炭素循環フロー構築により、地域経済を牽引し続けるコンビナートを目指すとされております。 県としては、七年後の二○三○年度を目標にKPI指標も出されているところでありますけれども、コンビナートを一体とした取組には、実証事業や設備投資等に対する規制、経済的な問題、カーボンリサイクル技術の開発や導入、港湾施設の機能高度化など、多くの課題もあると思われます。 これらを踏まえて、具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 続いて、防災の取組についてお伺いをいたします。 これから梅雨、そして台風等の時期を迎えます。 近年の九州・山口地域の大きな災害は、令和二年の七月豪雨、平成三十年の七月豪雨、平成二十九年七月九州北部豪雨、それから防府市で多くの方が亡くなられた平成二十一年七月の中国・九州北部豪雨など、この時期からの警戒が重要となります。 この六月は土砂災害防止月間でもあります。 令和三年七月に発生をしました静岡県熱海市での大雨に伴う大規模な土石流災害等を教訓として、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を包括的に規制するため、盛土規制法が令和五年五月の二十六日に施行をされました。 県においても、危険な盛土を規制するため、現在準備を進めておられることと思いますが、隣県の広島県では、政令市等を除く県内全域を規制区域に指定をしまして、本年令和五年の九月二十八日から法の運用を開始するとしております。 これは、平成二十六年八月豪雨等による広島市の土砂災害等を踏まえて、いち早く調査が進んでいたことによるものと思われます。 他方、福岡県では、令和五年から基礎調査を行い、令和七年度末までに規制区域を指定する予定となっております。 もちろん、規制区域指定前に盛土等を行う場合には、内容によって土地利用規制法令等の許可の手続が必要になっておりますから、一概に危険が放置されるわけではありませんけれども、隣県で規制が先行する形になりますと、住民の皆さんからは、県内で危険な盛土が駆け込みで行われるのではないかという不安も出てくるかもしれません。 そこで、盛土規制法制定に伴う県の取組の現状と体制、今後の対応についてお伺いをいたします。 次に、災害ボランティアの支援についてお伺いをいたします。 一九九五年(平成七年)に発生をしました阪神・淡路大震災では、延べ百万人以上のボランティアが全国から駆けつけ、ボランティア元年とも呼ばれました。その後の災害においても、多くのボランティアや支援団体が被災地に駆けつけ復旧の支援をし、被災者の生活再建に大きな力となっております。 しかしながら、事前の連携体制が十分に構築されていないと、支援の全体像が把握できず、調整が困難となります。過去にはボランティア団体同士の間でトラブルが発生するなどの混乱もあったようであります。 また、豪雨災害のときと地震のときでは、この支援の開始のタイミングも異なりますけれども、ボランティアセンターの立ち上げが遅くなってしまったり、運営体制が不十分でありますと、効果的な支援ができないという場合もあります。 その意味で、行政も関わりながら、いざというときの対策・組織づくりを事前に行っていくことが重要であると思います。 一部の県では、行政が社会福祉協議会だけではなく、地元の団体・NPOなどと平時から連携して、災害時には協働して災害ボランティアセンターを構築する動きもあります。 例えば福井県では、県災害ボランティア活動推進条例を制定、県災害ボランティアセンター連絡会を組織し、県だけでなく社協、青年会議所、看護協会、生協、NPO法人など十八団体で活動されております。 千葉県でも同様に、県災害ボランティアセンター連絡会を組織し、社協や日赤支部を事務局に、必要なときに必要な支援を様々な機関と連携して行う体制をつくっているところであります。 一般的なイメージとして、ボランティアセンターは社会福祉協議会が設置・運営するものであるとの認識が強いですけれども、社協さんは社協さんで通常業務があり、支援が長期化するような大規模災害が発生してしまいますと、社協さんに業務が集中するような体制であれば、その他に必要な業務の停滞も含めてマンパワーが不足することも考えられます。 こうした意味では、山口県としても社協を中心としながら、関係団体と連携することで負担が一か所に集中しない形で運営できる体制づくりを検討していただきたいと思います。 また、災害時の円滑で効率的な運営に関しては、例えば、茨城県と茨城県社会福祉協議会では、協働して令和三年に、災害ボランティアセンターの運営を効率化する、いばらき型災害ボランティアセンター運営支援システムを共同開発、ICTの活用も行っております。 災害発生時には、まずは基礎自治体のボランティアセンターが支援に当たることになるとは思いますけれども、市町の経験値・財政規模・連携体制によって、県内の被災者支援に差が出てしまうことは避けなければなりません。 県としても、できる限りの事前の準備をお願いをいたします。 さて現在、県では、やまぐち防災学習館などで、家庭や地域で、防災や災害について知り、備え、行動するために必要な資料を紹介するとともに、市町を通じて地域での防災組織づくりに力を入れていただいております。 ただ、地域によっては、防災に対するイメージが難しく、活動がうまくいっていないところ、形式的な活動になってしまっているところもあるようであります。 その意味で、実際に災害ボランティアに参加することが、地域の防災活動への参画について大きなきっかけになりますし、活動経験を積んでいただいて、いざ地域で大規模災害が発生したときには還元してもらえればというふうに思っております。 山口県では幸い、広域にわたる大規模災害は少ない状況ではありますけれども、必ず来ると言われております南海トラフ地震、また激甚化する豪雨災害等への備えとして、県として災害ボランティアの支援にどう取り組まれるのか、見解をお伺いをいたします。 最後に、広域的な交通インフラの整備についてお伺いをいたします。 まず、山陰道の整備促進についてですが、山陰道については、俵山・豊田道路が平成二十八年度に事業着手、四月一日の時点で用地取得率が七九%、事業進捗率が二五%。 三隅・長門道路については、本年三月に待望の新規事業化が決定をされました。これにより、県北西部の下関、長門、萩の三市が切れ目なくつながることになります。 ただ、下関については北部での接続にとどまっておりまして、さらなる観光振興、産業の活性化、そして、特に長門を含む第三次救急医療圏としての救急活動の迅速化という側面からも、この豊田─下関間の事業化が期待されるところであります。 また、下関北九州道路については、本州と九州の広域的な人流・物流を支える大動脈である関門トンネル・関門橋の代替機能の確保を担う道路であり、産業、物流、観光のみならず、災害対応の点からも重要な道路であります。 加えて下関北九州道路は、下関─北九州間の通勤・通学が一日当たり約一万人となるなど、海峡を挟んで百二十万人を超える都市圏を形成する関門都市圏の生活・経済発展のために極めて重要な産業基盤であり、新たな国土軸を形成するための他の海峡横断プロジェクトとは明確に性格が異なる都市間連絡道路であり、不要不急の道路ではありません。 この観点から、県としても当時の山本繁太郎知事の下、平成二十五年度予算において調査費を五年ぶりに計上し、県が先頭に立って、一時は中断された整備計画を実現に向けて進めていただいているところであります。 現在、令和三年四月から都市計画・環境アセスメントを進めるための調査が進められており二年となりますけれども、早期実現のためには都市間連絡道路の視点から、周辺道路との接続環境や、渋滞対策、利便性の確保といった整備も含めた取組が不可欠であります。 そこで、観光振興や産業の活性化、災害対応等にも資する山陰道や、この下関北九州道路の整備促進に、県として今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたしまして、私の一般質問といたします。 御清聴大変にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の御質問のうち、私からは、脱炭素社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 本県の経済と雇用を牽引するコンビナート企業は、多くのCO2を排出する石炭火力を主要なエネルギー源としており、脱炭素化への対応と国際競争力の維持・強化の両立という、極めて大きな課題に直面しています。 私は、本県産業がカーボンニュートラルを原動力とし、さらなる成長と発展を遂げるためには、コンビナートの脱炭素化が極めて重要と考え、関係企業等との協議を重ねて策定したコンビナートの低炭素化構想を核とした、やまぐち産業脱炭素化戦略を本年三月に策定したところです。 この戦略では、カーボンニュートラルコンビナートの実現を第一のプロジェクトに掲げ、お示しのように、CO2排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化を支援するとともに、カーボンニュートラルポートの形成を柱として着実に進めることとしています。 まず、CO2排出削減や次世代燃料等の供給基地化に向けては、山口県コンビナート連携会議等を活用し、県内に三か所あるコンビナートの地域ごとの連携体制の構築・活性化を進め、燃料転換やカーボンリサイクル技術の開発・導入など、地域で連携可能な事業の創出をコーディネートします。 また、こうして創出された連携事業には、脱炭素社会実現基金を活用した県独自の補助制度により、設備投資や研究開発、実証試験を対象に複数年にわたる支援を行うこととしており、先日、補助金の公募を開始したところです。 さらに、これらの取組の成果を大規模で先進的な国補助事業の獲得にもつなげていくとともに、企業ニーズを踏まえた規制の見直し等を国に要望するなど、実効性のある取組を進めていきます。 次に、カーボンニュートラルポートの形成に向けては、まず、国や関係企業等とともに先行して検討を進めてきた徳山下松港について、本年三月に設置した徳山下松港港湾脱炭素化推進協議会においてさらに検討を深め、今年度中を目途に港湾脱炭素化推進計画を策定したいと考えています。 また、県内の重要港湾についても、順次計画の策定を進めるとともに、計画策定後は、官民が連携し、関連技術の進展等も踏まえながら計画に沿った取組を進め、港湾機能の高度化等を図ることとしています。 県としては、やまぐち産業脱炭素化戦略に基づく、こうした取組を産学公金の連携の下で総合的に進めることで、CO2の排出削減や利活用などによる炭素循環フローを構築し、地域経済を牽引し続けるカーボンニュートラルコンビナートの実現を目指していきます。 私は、今後とも、脱炭素社会の実現という困難な課題に果敢に取り組み、本県産業の持続的成長につなげるよう全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)若者の地域定着を目指した大学等の連携に関する三点のお尋ねにお答えします。 まず、魅力ある県内進学先への支援についてです。 本県では、大学に進学する高校生の約七割が県外に進学するなど、進学時における若者の県外流出が大きな課題となっています。 このため、県内の全高等教育機関、支援機関等三十八の機関・団体で構成される、大学リーグやまぐちを中心に、各大学等の魅力向上や県内進学の促進に向けた取組を進めています。 具体的には、県内大学や短期大学、専門学校等の魅力を紹介する県内進学ガイドブックやオープンキャンパスマップの全高校への配付・配信、県内進学・仕事魅力発信フェアの開催など、高校生への県内進学情報の発信等に取り組んでいるところです。 一方で、これらの取組に対する高校生の認知度が低いという課題があることから、ガイドブック等の内容の充実を図るとともに、こうした情報にアクセスするQRコードを印刷したリーフレットを全生徒に配付するなど、高校生への積極的な働きかけにより、効果的な情報発信を行っていきます。 また、県内企業におけるデジタル人材のニーズの高まりに応え、大学等の魅力を高めるため、今年度新たに、データサイエンス共通教材を作成し、全ての県内高等教育機関での活用を促進していきます。 さらに、大学等が大学生に向けて行っている県内企業等と連携したキャリア教育への補助について、今年度から、中学・高校生向けに行う場合も対象に加えたところです。 県としては、今後とも県内大学等の魅力向上や情報発信などを進め、高校生の県内進学の促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、地域連携の推進についてです。 若者の県内定着を目指した地域との連携推進は、本県の課題である若者の県外流出を防ぐ上で重要であると考えています。 このため、大学リーグやまぐちにおいては、産官学金の地域連携プラットフォームとして、地域の産業界と連携した県内就職促進の取組を進めています。 具体的には、各大学や企業と連携しながらインターンシップの促進に取り組むとともに、山口きらめき企業の魅力発見フェアの開催や、地域や企業と協働して取り組む課題解決型学習を推進しているところです。 今年度からは、新たに学生に県内企業の魅力や実態をより深く知ってもらうため、学生等が県内の複数の企業を巡るバスツアーや、特定の産業分野の企業等の若手社員と学生による交流会を開催することとしています。 また、こうした地域や企業との連携の取組を支援するため、新たに大学に地域活性化人材育成アドバイザーを四名配置し、関係機関に対する指導・助言やイベントの企画運営等を行う体制を整備したところです。 このアドバイザー支援によるデータサイエンスのスキルの活用や、複数大学の連携などの先進的な課題解決型学習の取組を通じて、地域・企業等との教育連携を推進することとしています。 さらに、若者等の県内就職を促進するため、先般、市町や関係機関との連携会議を開催し、県内企業の魅力情報発信やインターンシップの促進等に関する施策の情報共有を図ったところであり、今後、市町と一層連携を深め、取組を進めていきます。 県としては、大学リーグやまぐちを中心に、大学や地域等との緊密な連携の下、学生と県内企業等との交流機会を創出する取組などを通じて、県内定着促進に向けた支援を強化してまいります。 次に、高大連携の推進についてです。 県立大学では、昨年三月に策定した山口県立大学将来構想に沿って、高大連携の推進に取り組むこととしています。 お示しの附属高校の設置は、本県が必要とする人材の育成や若者の県内定着をより強力に進める観点から、有効な取組の一つと考えており、現在、外部有識者を含む協議会を設置し、検討が進められているところです。 加えて、高大連携の強化に向けた方策として、高校生が修得した大学の単位が大学入学後に卒業に必要な単位として算入される修業年限の通算制度や、県立大学と連携した活動実績が推薦入試で評価される仕組みなどについても検討することとされています。 また、県内の各大学では、それぞれの専門性や特性を生かしながら、大学生等が高校を訪れ、模擬授業や教育実習、ディスカッションを行ったり、高校生が大学を訪問し、オープンキャンパスや体験授業、高校単位での大学見学に参加するなど、様々な高大連携の取組が行われています。 とりわけ、県内大学等の教員による出前講義については、大学リーグやまぐちにおいて講義の一覧を作成の上、高校へ周知しており、昨年度は二百三十五件実施されたところです。 また、大学等連携推進法人においては、文部科学省の地域活性化人材育成事業の採択を受け、三大学共同での高大接続教育プログラムとして、高校生のための探究活動の発表の場であるジュニアリサーチセッションを開催することとしています。 さらに、こうした各大学等における特色ある取組や成果を大学リーグやまぐちで共有し、他大学への横展開を図っていきます。 県としては、今後とも大学リーグやまぐちを中心に、本県が必要とする人材育成や、若者の県内定着に資する県内大学の高大連携の推進に、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)防災の取組についてのお尋ねのうち、盛土対策についてお答えします。 近年、記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化しており、県民の生命・財産を守るためには、土砂災害対策などの防災・減災対策は極めて重要であることから、県では、ハード・ソフトの両面から様々な対策を講じてきたところです。 こうした中、令和三年七月に静岡県熱海市において発生した土石流災害を受けて、県では、国や市町との連携の下、同年十一月までに二百一か所の盛土の点検を行い、全ての盛土について安全性が確保されていることを確認し、公表しました。 その後、盛土規制法が制定されたことから、県では、早期の運用開始に向けて準備を進めているところです。 具体的には、盛土等に伴う災害の防止は、宅地・林地の開発や廃棄物規制など多くの行政分野に関わることから、各種法令等を所管する関係十五課から成る庁内連絡会議を本年五月の法施行に先駆けて設置し、連携体制の強化を図ったところです。 また、盛土等の規制区域の指定に向けた調査に既に着手しており、現在、規制する土地の範囲などについて検討を進めています。 さらに、県のホームページにおいて、法に関する情報を提供しており、その中で、規制区域内では、土地所有者等が過去の盛土等も含めて、土地を常に安全な状態に維持する必要があることなどを周知しています。 今後は、庁内連絡会議を中心として、規制する区域案を取りまとめ、その後、市町への意見聴取等の法定手続や県民への周知等を行った上で、令和六年度中には規制区域の指定を完了させ、法の運用を開始する考えです。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、盛土規制法の運用開始に向けた取組を着実に推進してまいります。 次に、広域的な交通インフラの整備促進についてのお尋ねにお答えします。 産業力・観光力の強化や県民の安心・安全を実現するためには、迅速かつ円滑な物流の確保や交流人口の拡大に資するとともに、大規模災害時にも機能する山陰道や下関北九州道路をはじめとした幹線道路網の整備が重要と考えています。 このため、政府要望等あらゆる機会を通じて、これらの道路の早期整備に向け、精力的に取り組んできたところです。 こうした中、まず、山陰道については、国が選定した五つの優先整備区間のうち、唯一未着手であった三隅・長門道路が、お示しのとおり、今年度新規事業化されるなど、全線整備に向け着実に前進しているところです。 県としては、引き続き、地元期成同盟会等と連携しながら、俵山・豊田道路など、事業中区間の早期完成はもとより、中国道との接続により九州からのアクセスが向上し、観光・交流人口の拡大等が期待できる豊田─下関間をはじめ、未着手区間の早期事業化を国に強く要望してまいります。 加えて、国や市町とも連携し、沿線地域で進められている活性化への取組との整合を図りつつ、インターチェンジと各地域の拠点とのアクセス性の向上に資する道路の整備などを進めていく考えです。 次に、下関北九州道路については、現在、国や関係県市と協力し、都市計画や環境アセスメントを進めるための調査を実施しています。 あわせて、その整備効果を最大限発揮させるため、国や下関市等と連携し、地域の利便性向上に資するアクセス道路の強化や、周辺道路の渋滞対策等について検討を進めているところです。 県としては、これらの調査検討を迅速かつ着実に進めるとともに、関係県市や経済界等と一体となって、下関北九州道路の早期実現を国に訴えていく考えです。 また、当該道路の必要性や重要性を広くアピールするため、整備促進大会を開催するなど、機運の醸成や広範にわたるコンセンサスの形成に努めていきます。 県としては、引き続き、これらの道路の整備促進に向け、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)防災の取組についてのお尋ねのうち、災害ボランティアについてお答えします。 災害時に、被災者が一日も早く日常生活を取り戻すためには、行政による対応に加え、自発的に被災者支援に取り組まれるボランティアの力が大変重要です。 このため、県では、ボランティアが効果的に活動できるよう、県社協と一体となって、機動的な受入れのための体制づくりやボランティアの活動促進に取り組んでいます。 まず、体制づくりについては、被災地のボランティアセンターに対し、人員の派遣等を通じた支援を迅速に行うため、日赤をはじめとする関係二十四団体で県災害ボランティア活動支援ネットワーク協議会を構成し、団体の専門分野に応じた役割分担の下、支援を行う体制を整備しています。 また、各市町いずれのセンターにおいても、円滑で効率的な運営が行われるよう、中核的な役割を担うスタッフの養成や、お示しのICTを活用するための研修を実施するとともに、ボランティアの事前登録や被災者からのニーズの受付をオンラインで行うシステムの構築に取り組んでいるところです。 次に、災害ボランティアの活動促進については、多くの方々に活動していただくため、ボランティアの心構えや活動内容等を記載したハンドブックを作成・配布しているところであり、今後とも、社協や日赤等と連携して県内各地で研修を開催し、災害ボランティアを養成してまいります。 また、他県等において、大規模な災害が発生した際には、ボランティア活動に参加しやすいよう、ボランティアバスを運行する等の支援を行っているところです。 県といたしましては、災害時のボランティア活動が円滑に進むよう、今後とも、市町や社協等の関係団体と連携しながら、災害ボランティアへの支援に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)選ばれる高校としての特色ある学びの推進についてのお尋ねにお答えします。 子供たちが新しい時代に対応し、他者と協働して主体的に未来を切り開いていく力を育成するため、県教委では、県立高校将来構想の方向性に沿って、学校・学科の再編整備を進めるとともに、地域や社会と連携・協働した特色ある学校づくりを推進し、より質の高い高校教育の提供に努めてきたところです。 こうした中、今後も少子化の進行に伴う学校のさらなる小規模化が見込まれており、多様な他者との対話的な活動や協働的な学びを推進するためにも、充実した教育環境を整えることが必要となっています。 このため、引き続き、望ましい学校規模の確保を目指した再編整備を進めることとしており、その実施に当たっては、地域バランスや地理的条件、交通事情による生徒の教育への影響等を総合的に勘案しながら検討します。 また、再編整備に伴い、遠距離通学が必要となる生徒に対応するため、今年度、再編整備に係る遠距離通学支援事業を立ち上げたところであり、今後、こうした事業により保護者の経済的な負担の軽減に努めてまいります。 一方、特色ある学校づくりに向けては、大学や企業等、地域の枠を超えて広く社会と連携する、やまぐち型社会連携教育を推進していく中で、総合的な探究の時間に地元企業と共同研究を行い、将来の進路選択の幅を広げるなど、学校・学科の特色や専門性に応じた高校ならではの取組のさらなる充実を図ってまいります。 県教委といたしましては、中学生が主体的に高校を選択できるよう、地域の教育力も活用しながら、活力と魅力ある学校づくりを一層推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。