1 補正予算に係る物価高騰対策について 2 人口減少対策について 3 カーボンニュートラル対策について 4 カスタマーハラスメント対策について 5 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 大内一也君。 〔大内一也君登壇〕(拍手) 大内一也君 やまぐち県政会の大内一也です。この四月の選挙で当選しました一期生でありますが、県民のためになる建設的な質問を心がけてまいります。よろしくお願いします。 それでは、通告に従いまして一般質問いたします。 初めに、補正予算に係る物価高騰対策について、二点お尋ねします。 物価高騰が止まりません。総務省の発表によりますと、生鮮食品を除いた消費者物価指数は、二○二○年の平均の物価を百とすると、二○二二年からじわりと上がり始め、その年の四月には二・一%まで上昇しました。本年二○二三年一月には四・二%、四月には四・八%まで上昇し、四十年ぶりの高い数値となり、暮らしにも、企業経営にも大きな負担となっています。 物価高騰は消費する側も大変ですが、供給する側も大変です。原料・燃料の高騰を受け、電気、ガスなどのライフライン事業などは、企業の存続、安定供給の維持のため、料金をやむを得ず上げている状況だと聞いています。 このような状況を受け、国は小売事業者などに補助金を交付し、それを原資に一般家庭、企業の電気代、ガス代を値引きする電気・ガス価格激変緩和対策事業を実施することで負担を軽減しています。 電気代は、一般家庭向けの低圧契約で一キロワットアワー当たり七円、企業向けの高圧契約では一キロワットアワー当たり三・五円の値下げを行い、標準世帯で月二千八百円の値下げの効果があるとのことです。 都市ガス代においても、一般家庭、企業とも一立方メートル当たり三十円の値下げの対策が行われ、こちらも標準世帯で月九百円の値下げの効果があるとのことです。 特に昨年末は強烈な寒波で暖房費がかさみ、どの御家庭も電気代、ガス代に驚いたことと思います。我が家も大変な出費となり、頭を抱えておりましたが、この国の対策で大変助かりました。 ですが、この対策の対象外となり、困っている人・お店・会社があります。一つは、LPガスの利用者、もう一つは特別高圧電力の利用者です。 LPガスについては、小売業者や利用者の方から値下げの要望をたくさん頂いてきました。昨年十一月に、ある小売業者の方から、都市ガスには値下げ補助があるのにLPガスにないのは不公平ではないかとの声を頂きました。また、ただでさえ都市ガスより高いのに、なぜ値下げが行われないのか。都市ガスを使いたくても使えないエリアのためLPガスを利用している、好きで利用しているわけではないとLPガスを利用されている方からお声を頂きました。 山口県のLPガス利用世帯は約三十三万世帯であり、全世帯約六十万世帯の半数以上の方が値下げを受けられず負担を強いられていました。 皆さんの声を受け、私は昨年末からSNSをはじめ様々なところで都市ガス同様の値下げを訴えてきました。今回の補正予算でようやくLPガスの値引きが行われ、一般消費者については、利用料と消費税分も勘案し、三千三百円の値引き効果があるとのことで、大変安心しております。 ただし、この値引きの実施に当たり、二点ほど懸念をしております。 一点は、事業者が申請を漏らし、値引きをしない・できない事象が発生するのではないかという懸念です。 山口県内には三百を超えるLPガス事業者等があります。恐らく全ての事業者が値引きの申請を行うと考えますが、今回の補正予算の措置では、申請をしてもしなくても事業者の収益に影響がないため、申請の手間、分からない等の理由から申請せず放置する事業者が出てくるのではと懸念しております。事業者への周知の徹底、全ての事業者に確認を取るなど、漏れのない対応が必要と考えます。 もう一点は、物価高騰が続いた場合に、一月以降の値引き延長の措置が切れ目なく行えるのかという懸念です。 電気や都市ガスの値下げは国が行うため、延長の場合の対応は切れ目なく実施できると考えられますが、LPガスの値引きは国の予算を県に交付し、県が行います。そのため、物価高騰が続き支援の延長が必要となった場合、LPガスの値引きの支援も切れ目なく実施できるのかと懸念いたします。 そこで、物価高騰対策の一つ目の質問としまして、漏れなく、切れ目なく、LPガスの値引きを実施するために、どのように支援を進めていくのか、御所見をお尋ねします。 もう一点、特別高圧電力についてです。 こちらも今回の補正予算で支援が行われますが、遡って一月からの電気料金を対象に、利用者に直接補助をするということで、特別高圧電力の利用者にとって大変ありがたい支援事業となっています。ただし、中小企業支援のため、大企業が経営する工場などは対象になりません。 先般五月十七日に、日本最大百八十六万人の労働組合組織であるUAゼンセンより知事、議長宛てに、この特別高圧電力の利用者への格別の御配慮をお願いしたい旨の要請文書を提出させていただきました。 全国一の工業県である山口県において、工場の収益圧迫は大きな問題と考えますし、賃金を上げるための原資の確保としても、中小企業に限らず、広く特別高圧電力の利用者に対し支援策が必要と考えます。 また、ショッピングモールにおいては、テナントで出店しているお店は中小、小規模事業、個人事業のお店もあり、電気の契約は大企業だが、利用は中小企業等の場合、本対策は対象となるのか懸念いたします。 そこで、物価高騰対策の二つ目の質問としまして、特別高圧電力の利用者にどのような支援を進めていくのか、御所見をお尋ねします。 次に、人口減少対策について、二点お尋ねします。 県の人口は、一九八五年には百六十万二千人いましたが、二○二三年五月一日現在、百三十万二千四百四十人となり、年内にも百二十万人台に突入することが予想されます。 人口減少の要因として、やまぐち未来維新プランにも詳述されていますとおり、自然減と社会減の二つが大きく影響していると考えられます。 自然減については、死亡者数が高止まりしている中で出生数の減少が大きく響き、一九八五年には約一万七千七百人だった出生数が、二○二一年には約八千人と半分以下となり、合計特殊出生率も一・八二から一・四九と大きく減少したことが要因です。まずはこの出生数を回復させることが何より重要と考えます。 国においては、岸田総理が異次元の少子化対策を一月に表明し、六月十三日にはこども未来戦略方針案を閣議決定し、会見をされました。二○三〇年代に入るまでのこれからの六から七年が、少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスとして、若い世代の所得を増やす、社会全体の構造・意識を変える、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する、この三つをこども未来戦略方針の基本理念としています。 また、取組内容として、児童手当の高校生年代までの延長、手取り額の拡充など子育てに係る経済的支援の強化、男性の育児休業の取得率向上、育児休業給付金の給付率を上げるなど、共働き・共育ての推進、児童手当の所得制限の撤廃や就労要件を問わない通園制度を行うことで、全ての子育て世帯を切れ目なく支援する、こういった取組が案として上げられています。 県においても、結婚、妊娠・出産、子育て応援プロジェクトを展開し、やまぐち結婚応縁センターにおいては、開設以来二百七組の結婚が成立、やまぐち子ども・子育て応援ファンドを立ち上げ、社会全体で子育てを応援、全ての市町で子育て世代包括支援センターと地域子育て支援拠点の連携による身近な地域での相談体制、いわゆるやまぐち版ネウボラの展開など、きめ細やかで顔の見える施策を展開しています。こういった政策を国と連携して進めることで、着実な成果が期待できるものと考えます。 ここで、私ごとで恐縮ですが、私には一歳七か月の子供がいます。子宝とはよく言ったもので、本当に私にとって子供は宝物ですが、当事者として、子育て政策に抜けている視点があると感じています。それは支払いのタイミングです。大変ありがたい様々な支援金、手当が後払いだということです。 児童手当は、年三回、六月、十月、二月に支給されますが、生まれた翌月分からまとめて後払いされます。例えば我が家の場合、十一月に生まれましたので、最初の児童手当は十二月分、一月分を二月に支給されました。 チャイルドシートにベビーカー、衣服などの準備に出産前からお金がかかります。出産後は、おむつやミルク代など、日々の出費がどんどんかさみます。その費用を補助する重要な役割の児童手当が三か月後の後払いでは、貯蓄の少ない御家庭は大変です。 加えて、共働き世帯が増えている中で、出産・育児となれば、主に女性が産休・育休を取得することになると思いますが、その期間、給与の補償となる出産手当金、育児休業給付金、いずれも後払いです。出産手当金は申請後二か月程度、育児休業給付金は、産後五十六日間は出産手当金で賄うとはいえ、出産から四か月程度遅れての支給になります。 共働きで生活が成り立っている御家庭においては、支給金額が給与より少ないことは大変な問題ですが、二か月遅れの支給も大変な問題です。当事者として、子宝に恵まれた喜びとともに、生まれてからの二か月間は切実な思いをしました。 この話だけでは私個人の話になってしまいますので、山口県に住む十八歳以上の方々にセンキョマッチというサービスを活用して、LINEでアンケートを実施しました。 子育て支援に求めるものは何ですかという選択式のアンケートに、百十七人の方に御回答いただきました。二三・八%の方が子育て関係の手当の事前給付と回答し、一番多い回答でした。次に、県独自の出産に関する支援金二一・七%、一時預かりも含めた休日保育の充実一八・六%、おむつの無料配布一三・一%、産前産後の鬱やメンタルサポート一〇・一%、現状で十分満足一%と続きました。 回答者には未婚の方、結婚はされているがお子さんがいない方も含まれていると思いますが、手当の事前給付の回答が一番多いことは、私同様苦労された方、もしくは苦労すると感じている方が多いからだと想定されます。 児童手当は国が定める法律で決定するものであり、出産手当金は健康保険、育児休業給付金は雇用保険と、県で進める事業ではないかもしれません。ですが、全ての都道府県において最重要課題である少子化について、当事者が切実に求めるものであれば、県から国にしっかり提言いただくことが重要だと考えます。 そこで、人口減少対策の一つ目の質問としまして、子育てに関する手当の事前給付についての御見解と少子化対策についての国への要望の御所見をお尋ねします。 もう一点、産業の発展による雇用の創出についてです。 二〇二一年の山口県における年齢別人口の社会増減の状況では、全体で転入より転出が多く、三千六十七人の転出超過となっています。特に十五歳から二十九歳までの層の転出が多く、三千四百六十七人の転出超過となっており、若者の転出超過が顕著となっています。 いかに進学、就職のタイミングで山口県にとどまってもらうか、もしくは山口県に転入、移住してもらうかが重要と考えますが、そのためには、若者たちが働きたいと思う仕事や働きがいのある仕事につながる産業を山口県でしっかりつくり、雇用の受皿をつくっていくことが必要です。この産業をつくるポテンシャルが山口県にはあると私は考えます。 カーボンニュートラルに向けた新たな産業もその一つです。カーボンニュートラルを目指すため、再生可能エネルギーをはじめ、安全基準を満たした原子力発電など多様なエネルギー源の確保はもちろんのこと、水素、アンモニア、合成メタンなど化石燃料に代わる新しいエネルギー源の創出に注目が集まっています。 その点において、例えば周南市はコンビナート企業が連携し、こういった新しいエネルギー、原料のサプライチェーン構築の検討を開始しています。水素、アンモニアの製造技術や処理取扱技術、合成燃料等の精製・供給に生かせるインフラなど、我が県のコンビナートはカーボンニュートラルをリードする日本の拠点となり得る大きなポテンシャルを持っていると考えます。このような最先端の将来性ある産業であれば、需要の高い産業になることも期待でき、高い給与につながると考えます。 工業県という山口県の強みを生かし、将来性があり、かつ高い給与も期待できるとなれば、若者にとっても大変魅力のある仕事になるのではないでしょうか。この産業分野の発展を推進し、雇用を生み出すことで、若者が山口県にとどまる、転入することが大いに期待できます。 そこで、人口減少対策の二つ目の質問としまして、若者の転出を抑え、転入を増やす社会減の対策について、特に産業の発展による雇用創出の可能性についての御所見をお尋ねします。 次に、カーボンニュートラル対策についてお尋ねします。 県は、昨年末、二〇五〇年までに温室効果ガス排出量の実質ゼロを目指すカーボンニュートラル宣言をしました。さきの質問でも触れましたが、カーボンニュートラルは山口県にとって新しい産業・雇用を生み出すすばらしいポテンシャルがある一方、工業県である我が県にとって、特にコンビナート企業にとって大きな負担になることも事実です。 我が県は一事業所当たりの製造品出荷額が全国一位の工業県であり、CO2排出量が多い製造業が集積しています。製造業の中でもCO2排出量は、鉄鋼業、化学工業、機械製造業の順に多いと言われており、県の主要コンビナート企業にも、この三つの産業がたくさん存在しています。 実際、CO2の排出状況の比較では、産業部門及び工業プロセス部門の排出割合が県全体の約六九%を占め、全国と比べ約二倍と高い状況です。このコンビナート企業のCO2排出の削減が、県の二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を達成する大きな鍵になると考えます。 CO2排出の要因は、使用電力の要因、石炭や天然ガスを燃料とした火力発電が大きく関係しますが、製造工程の要因も産業によっては大きく関係します。鉄鋼業は製造工程において炭素を用いた化学反応によりCO2が発生します。また、セメントの製造工程においては、石灰石に含まれるCO2が加熱により分離するため、多くのCO2を排出することになります。 使用電力の要因においては、CO2を排出しない発電の電力に置き換えることで削減することが可能ですが、太陽光、風力などのエネルギーは蓄電池技術が飛躍的に進歩を遂げない限り安定供給が難しく、水素、アンモニアを燃料とした発電も、大量の消費電力をカバーするには、まだまだ時間と投資がかかります。 また、製造工程の要因においてはCCUS、CO2の回収・貯蔵技術やCO2を原料・燃料に使用するメタネーションなどの技術革新により削減できる可能性があります。 山口県のコンビナート企業が、水素、アンモニアの燃料の供給網の構築、またCCUSなどの技術開発を行っていますが、こちらもまだまだ時間と投資がかかります。 このような中、県はやまぐち産業脱炭素化戦略を策定し、コンビナート企業とも連携を図り、着実にカーボンニュートラルを進めていくためのプランを掲げています。 一方、政府も二〇二三年度から十年間で百五十兆円の官民挙げた投資を行うべくロードマップを作成し、カーボンニュートラルへの動きを加速しています。 このカーボンニュートラルに向けたプロセスにおいて、コスト負担の仕組みとしてカーボンプライシング、企業などの排出するCO2に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させる政策手法も検討されています。 カーボンプライシングの大きな二つの柱は、排出量取引と炭素に対する賦課金、いわゆる炭素税です。 排出量取引は、今年からGX─ETSと呼ばれる自主的な取引が試験的に始まっています。これは経済産業省が創設したグリーントランスフォーメーションを目指す企業が参加するGXリーグ、これにおいてCO2削減量・吸収量を取引できる仕組みのことです。 また、炭素税については、二〇二八年度の導入が検討されています。このうち、炭素税が導入されますと、コンビナート企業にとっては大きなコスト負担になることが懸念されます。これまで企業努力を重ね、上げてきた利益がカーボンニュートラル達成の取組である炭素税により全て吹っ飛び、赤字になるという話も聞きます。 こういった状況の中、企業の収益を維持し、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を着実に進めるためにも、企業のCO2削減に向けた支援のみならず、CO2排出のコスト負担を軽減する対策も重要と考えます。 そこでお尋ねします。カーボンニュートラルに向けた県内企業への支援策、負担軽減の具体策について御所見をお尋ねします。 次に、カスタマーハラスメント対策についてお尋ねします。 ハラスメント、この言葉は三十数年前、性的嫌がらせに関する訴訟が起き、一九八九年には新語・流行語大賞を受賞するなどクローズアップされたことで、セクシュアルハラスメント、いわゆるセクハラがハラスメントとして広まっていきました。私も職場研修などを受け、啓蒙活動が積極的に行われたことを記憶しております。 その後、職場の地位などを利用した嫌がらせであるパワーハラスメント、妊娠中・産前産後の女性に対しての嫌がらせであるマタニティーハラスメントなど、様々なハラスメントが定義されるようになりました。 このハラスメントの一つにカスタマーハラスメントがあります。まだ聞き慣れない方も多いかもしれませんが、このカスタマーハラスメントによって、今多くの働く方が苦しんでおります。 厚生労働省が出しているカスタマーハラスメント対策企業マニュアルによれば、カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当のものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものと定義されています。簡潔に言いますと、顧客等からの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求等の著しい迷惑行為のことであり、従業員、職員に精神的・身体的な苦痛を与えるような行為のことを指します。 具体的には、一時間を超える長時間の拘束、居座り、長時間の電話、店内で大きな声を上げて秩序を乱す、大声・暴言で執拗に責める、脅迫的な言動、反社会的な言動、言いがかりによる金銭の要求などが挙げられます。 こういった行為は、傷害罪や暴行罪、脅迫罪、恐喝罪など犯罪行為に該当する場合もありますが、犯罪行為までには至らずとも、従業員、職員に精神的・身体的な苦痛を与え、仕事に対する意欲の減退、会社を休む、場合によっては通院・入院するなど働くことに大きな影響を与える行為です。 昨今、サービス業など、お客様と接する機会の多い仕事に携わる方が増えていますし、行政においても各種の窓口業務などで市民、県民と接する機会が多いと思われます。言葉がまだまだ聞き慣れないだけで、カスタマーハラスメントはレジや窓口などあらゆる職場で起きる可能性があり、実際起きています。 厚生労働省が調査したパワハラ、セクハラ等について、過去三年間に相談があったと回答した企業の割合では、パワハラ四八・二%、セクハラ二九・八%に次いで、カスタマーハラスメントが一九・五%となっています。また、カスタマーハラスメントのみ件数が増加していると答えた割合が減少していると答えた割合より多くなっています。 また、労働者調査では、過去三年間に勤務先でカスタマーハラスメントを一度以上経験した者の割合は一五%であり、パワハラ三一・三%に次ぎ、セクハラ一〇・二%よりも高い結果となっています。 そして、心身への影響ですが、怒りや不満、不安などを感じた六七・六%、仕事に対する意欲が減退した四六・二%となっており、特に何度も繰り返してカスタマーハラスメントを経験した方は、眠れなくなった二一・二%、通院したり服薬した八・八%など、深刻な影響を受けています。 また、この問題は行政の現場でも起きており、公務員の労働組合である自治労が調査したところでは、自治体の職場でカスタマーハラスメントを受けたと回答した方は四六%、受けているところを見たというケースを含めると七六%、約四分の三の職場でカスタマーハラスメントが発生しています。 市民、県民への奉仕者として業務に励んでいる公務員の方々においても、著しい迷惑行為により苦痛を受ける事象が発生しています。こういったことに対し組織としてルールや仕組みづくりに取り組んでいかなければ、精神的・身体的な苦痛により体調を崩し、仕事ができなくなる事態にもつながりかねません。 物、サービスを提供するありとあらゆる状況で、カスタマーハラスメントの問題が多くなっており、県としても企業や顧客となる人たちに働きかけ、改善を促していくべきだと考えます。 事実、長野県や福岡県など取組を始めている都道府県もあります。 長野県については、長野県議会の二〇二〇年二月定例会において、顧客等のハラスメントを防止するための抜本的な対策を求める意見書が採択されています。法整備を含めた一層の取組の実施や対策に関する実態調査・研究を実施、また啓発や教育の活動を推進するといった内容です。 お隣の福岡県でも同様の内容の意見書が二〇一九年二月定例会で採択されています。また、今年の五月には福岡県警がカスタマーハラスメントに該当するような悪質なクレームについて対応を打ち切ったり、警察署からの退去を警告したりするなど、組織的な対応の指針を定めています。 山口県においても、県内で働く皆さんに対する対策、調査・研究や啓発の推進をはじめ、県の職員に対するカスタマーハラスメント対策をぜひとも進めていくべきと考えます。 そこでお尋ねします。カスタマーハラスメントに対する認識はどのようなものなのか。また、顧客、従業員、県職員それぞれの立場への対策・支援についての御所見をお尋ねします。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)大内議員の御質問のうち、私からは、人口減少対策に関する、産業の発展による雇用創出についてのお尋ねにお答えします。 本県では、若年層を中心に、進学や就職による県外流出が一貫して続いており、人口減少の大きな要因となっています。 若者の県外流出を食い止め、社会減の流れを断ち切るためには、私は、本県の持続的な産業基盤を確固たるものとし、若者にとって魅力ある雇用の場を創出することが重要であり、本県はそのポテンシャルを有していると考えています。 このため、このたび策定した、まち・ひと・しごと創生総合戦略の素案において、引き続き、基本目標の一つに産業振興による雇用の創出を掲げ、確かな成果へとつながる取組を進めてまいります。 取組の推進に当たっては、世界的な脱炭素化の潮流や急速なデジタル化の進展などの社会変革を、産業振興のチャンスと捉え、デジタルやグリーンなどの新しい視点を踏まえながら、雇用創出効果の高い成長産業の育成・集積に向けた取組を積極的に展開します。 特に、本県産業の屋台骨であるコンビナート企業においては、脱炭素化に向けて、本年三月に策定した産業脱炭素化戦略に基づき、CO2の排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化に向けた取組を促進する県独自の補助制度等により、各地域での連携した取組を支援してまいります。 また、脱炭素化に対応した産業振興を図るため、電動化等に対応した自動車関連分野の新事業展開の促進なども取り組みます。 さらに、新たな成長分野の産業集積に向けては、今後の市場拡大が見込まれる半導体や蓄電池等の設備投資に対する支援制度の創設や、産学公連携による協議会の設置等により、企業誘致や投資・取引の拡大を進めてまいります。 これらの取組に加え、山口しごとセンターを中心とする県内就職の促進や、県外からのキャリア人材の採用に向けた企業の取組を支援するなどにより、若者の県内定着や転入を促進します。 私は、脱炭素化やデジタル化等の社会変革の方向性を見据えながら、若者の県内定着に向けて、本県の力強い産業基盤の構築により魅力ある雇用の場を創出してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)まず、補正予算に係る物価高騰対策に関する御質問のうち、LPガスについてのお尋ねにお答えします。 県では、LPガス料金上昇の影響を受け、厳しい状況にある生活者や事業者の負担軽減を図るため、このたび、販売事業者や販売所を通じて、利用料金の値引き支援を行うこととしています。 この支援は、利用者による手続を必要とせず、販売事業者等によって値引き後の利用料金を請求する仕組みを考えていることから、申請漏れ等のない円滑な事業執行に向けては、販売事業者等の理解と協力が不可欠です。 このため県では、県LPガス協会と連携の上、販売事業者等を対象とした説明会を県下六会場で開催し、事業への協力の依頼や具体的な値引き方法、申請手続などを丁寧に説明するとともに、協会内に相談窓口を設置するなど、必要な体制を整備します。 また、説明会を欠席した販売事業者等には、県及び協会担当者が個別に説明を行うなど、全ての販売事業者等への周知を徹底するとともに、申請手続の手間を少しでも減らすため、提出書類の簡素化にも取り組みます。 県としては、値引き支援に漏れがなく、的確に行われるよう、県LPガス協会と緊密に連携しながら、事業周知等に取り組んでまいります。 なお、お尋ねの切れ目ない値引き支援については、今後の物価の動きやそれに伴う生活者等に与える影響、さらには、LPガスや都市ガスなどエネルギー価格高騰に対する国の動向等も踏まえながら、必要に応じ適切に対応してまいります。 次に、カスタマーハラスメント対策のうち、県職員への対策等についてです。 県においても、長時間に及ぶ苦情相談や威圧的な言動、不当な要求等の著しい迷惑行為により、業務の遂行に支障が生じている事例が見られることから、このような行為に対しては、職員の対応はもちろんのこと、組織として適正に対処していくことが重要です。 このため、県では、新規採用職員研修をはじめとした各種研修の中で、迷惑行為に対する心構えや具体的な技法、困難な事案への対処法など、公務員として適切に対応できる能力の向上を図っています。 また、県の業務の範囲や程度を明らかに超える要求等に対し、組織的かつ統一的に対応するため、庁内組織として不当要求行為対策会議を設置し、警察等と連携の上、対応マニュアルの周知徹底や講習会の開催等を通じて、業務の適正かつ円滑な遂行及び職員の安全確保に努めることとしています。 さらに、迷惑行為を受けた職員の心のケアなどを目的に、各部局及び県内八地域にハラスメント相談を担当する職員を配置し、相談体制を整備しているところです。 県としては、引き続き、こうした取組を通じて、カスタマーハラスメントに対する職員の対応力の向上を図るとともに、著しい迷惑行為に対し、組織として厳正かつ毅然とした対応を行ってまいります。 副議長(島田教明君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)補正予算に係る物価高騰対策についての御質問のうち、特別高圧電力についてのお尋ねにお答えします。 国が先般措置した地方創生臨時交付金に係る推奨メニューにおいて、特別高圧電力を受電している中小企業等に対する支援が位置づけられています。 このことを踏まえ、県では、今回の補正予算において、国交付金を活用した、特別高圧電力の利用者への負担軽減策を計上したところであり、対象は中小企業者等とし、大企業は対象外としています。 なお、特別高圧電力を利用する大型商業施設等に入居する中小企業も支援の対象とすることとしています。 また、支援の対象期間や単価については、国の高圧電力利用者への負担軽減策と同じ内容としています。 県としては、今後とも、エネルギー価格高騰の状況等を踏まえながら、中小企業支援に適切に取り組んでまいります。 次に、カーボンニュートラル対策についてのお尋ねにお答えします。 産業部門・工業プロセス部門の温室効果ガス排出割合が全体の約七割を占め、全国の二倍と高い本県にとって、産業分野での脱炭素化の取組は極めて重要です。 とりわけ、本県排出量の大宗を占めるコンビナートにおける対応は、カーボンニュートラルの実現を左右します。 このため、県では、関係企業等との協議を重ね、本県コンビナートの将来像や目標を示す、やまぐちコンビナート低炭素化構想を策定するとともに、これを核として、やまぐち産業脱炭素化戦略を本年三月に策定し、コンビナート企業の取組をしっかりと後押しすることとしています。 具体的には、まず、山口県コンビナート連携会議等を活用し、三か所あるコンビナートの地域ごとの連携体制の構築・活性化を進めるとともに、カーボンニュートラルに向けた企業間の連携事業の創出をコーディネートします。 また、本年度創設した、設備投資や研究開発等を対象とする県独自の補助制度により、企業のCO2排出削減や次世代燃料・素材の供給基地化等の取組を複数年にわたり支援することとしており、先日、補助金の公募を開始したところです。 さらに、こうした取組の成果を、大規模で先進的な国補助事業の獲得にもつなげていくとともに、企業ニーズを踏まえた規制の見直しに向けて、国に要望してまいります。 一方、お示しの炭素に対する賦課金は、国が脱炭素化に向けた民間の先行投資を支援するために発行するGX経済移行債の償還財源の一部として、令和十年度からの導入を検討されているものです。 現時点では制度の詳細が不明であることから、国の検討状況を見守ってまいりたいと考えています。 県としては、今後とも、国の動向等も踏まえながら、産学公金の緊密な連携の下、カーボンニュートラルの実現に向けて取り組んでまいります。 次に、カスタマーハラスメント対策についてのお尋ねのうち、従業員への対策等についてお答えします。 カスタマーハラスメントについては、パワハラ防止のために雇用管理上講ずべき措置等を示した国の指針において、事業主は適切な取組を行うことが望ましいとされ、令和四年二月には、カスタマーハラスメント防止に向けた対策企業マニュアルが作成されたところです。 そのマニュアルでは、カスタマーハラスメントは、従業員の尊厳や心身を傷つけ、貴重な人材の損失につながるおそれがあり、企業にとっても職場全体の生産性に影響を及ぼす可能性があるなど、見過ごすことのできないものとされ、企業の適切な対応が求められています。 県としても、労働者がその有する能力を有効に発揮して、職業生活が充実できるよう、企業がカスタマーハラスメント対策の必要性を理解し、自主的な取組を行うことが重要だと考えています。 このため、各県民局の中小企業労働相談員による事業所訪問や、山口県労働協会等との共催による労働セミナーの実施等を通じて、周知啓発に取り組んでいます。 また、各種労働問題に電話等でお答えする労働ほっとラインにおいて相談対応を行っており、今後とも、相談内容に応じて適切に対応してまいります。 県としては、労働者が安心して働くことができる環境づくりに向けて、企業の自主的な取組が進むよう、国と連携して、カスタマーハラスメント対策に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)人口減少対策についてのお尋ねのうち、少子化対策についてお答えします。 子育てに関する手当の給付については、法に基づき、国の責任において、十分な議論の下、制度設計されるべきものであり、県として、事前に支給するよう国に要望することは考えておりません。 なお、出産等の経済的負担の軽減を図るため、令和四年四月以降に出産した世帯に対しては、妊娠届を提出した後に五万円、出生届を提出した後に五万円を支給する出産・子育て応援交付金が創設されたところです。 副議長(島田教明君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)カスタマーハラスメント対策についてのお尋ねのうち、顧客への対策等についてお答えします。 顧客である消費者の役割としては、事業者に商品開発や業務改善につながる意見・要望を伝えることを期待されていますが、一方で、行き過ぎた言動は、カスタマーハラスメントにつながるおそれがあると認識しています。 このため、県では、国が作成したチラシやポスターなどを県ホームページに掲載し、意見を伝える際には、一呼吸置くこと、言いたい・要求したいことを明確にし理由を丁寧に伝えること、事業者の説明も聞くことの三つのポイントを示しながら啓発を行っています。 また、出前講座等により、正しい知識と判断力を身につけ、自立した消費者となるよう消費者教育を推進しており、こうした取組を通じて、事業者に対して冷静かつ的確に意見を伝えられる消費者の育成に努めています。 県としては、今後とも、国をはじめ、市町や関係機関と連携しながら、啓発活動や消費者教育を推進し、カスタマーハラスメントの防止に取り組んでまいります。