1 水田農業の維持・発展について 2 公共土木施設の維持管理等の高度化・効率化について 3 中小企業のイノベーション創出について 4 家畜伝染病の防疫対策の強化について 5 地域公共交通の担い手確保について 6 その他
議長(柳居俊学君)国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。 今年四月の山口県議会議員選挙におきまして、私は、二期目の当選を果たすことができました。 私の選挙区であります上関町、田布施町、平生町選挙区では、平成十一年以来、二十四年ぶりの無投票となりました。 私は、平成三十一年の初当選から四年間、現場感覚と行動力をフル稼働させ、がむしゃらに、真っすぐに、実直に、地元熊毛郡、そして山口県の皆様のお役に立てるよう、県議会議員としての仕事に全力投球をしてまいりました。 それだけに、この間の県議会議員としての働きを直接有権者の皆様から評価していただく選挙という節目を、ぜひとも戦い抜きたいと考えておりました。 しかし、無投票となったことで、私の名前を書いていただくことができなかったことに、少々戸惑いも感じましたが、今は再び、県議会議員の仕事をさせていただけることに安堵するとともに、これまで以上に意欲的に、積極的に県議会議員としての役割を果たしていきたいと考えております。 また、私は、五月の臨時会におきまして、これまで副委員長を務めさせていただきました総務企画委員会の委員長に御選任をいただきました。県の予算や組織、総合計画などを所管する委員会を担う責任の重さを痛感しておりますが、柳居議長をはじめ先輩議員の皆様の御指導をいただきながら、この大役を全力で務めていく覚悟であることを申し上げまして、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 まず初めに、水田農業の維持・発展についてお尋ねをいたします。 農林水産省が毎年公表しております作物統計調査によりますと、令和四年の山口県の水田率は約八四%で、全国で七番目に高く、中国・四国・九州地域に限れば、最も高い割合となっています。 山口県に生まれ育った者にとっては、水田がある風景は当たり前のように感じますが、他県からお越しになった方は、本県の道路網や整備状況とともに、中山間地域まで広がる、棚田などのすばらしい田園風景に感激をされるという話をよく耳にします。 この風景は、農家の皆さんをはじめ、農家に携わっておられる多くの方々の日々の作業や努力によって維持されていることを忘れてはなりません。 しかしながら、農家の高齢化が進む中において、農地の管理や維持が困難となる地域が増え、耕作放棄地も散見されるようになってまいりました。 特に、条件が整っている基盤整備された水田でさえも、後継者の不在などを理由に、数年後には耕作する人がいなくなってしまうという、切実な声をお聞きしております。 県では、これまで、地域単位で農地を守りながら、農業が成長産業となるよう、積極的な圃場整備に併せ、集落営農法人の育成や連合体の設立を推進されてきました。 こうした取組は、全国からも注目されているところでありますが、農村地域の高齢化が進む中で、水田農業を維持・発展させていくためには、担い手の概念を広く捉える必要があるのではないかと感じております。 私は、これまで、農業への企業参入を積極的に進めていくことの重要性を訴えてまいりましたが、県がこのたび策定をされましたやまぐち農林水産業振興計画において、企業等の新規参入の促進を施策体系に位置づけられておることを、心強く感じるとともに、今後の展開に大きな期待をしているところであります。 一方、農業分野への企業参入の事例を分析してみますと、その多くは、収益性の高い園芸品目であり、米を主体とした水田農業は、それほど多くないのが実態であります。 園芸品目に比べて、草刈りなどの作業に要する労力や一定規模の農地を確保することの難しさなどが要因と考えられますが、このままでは、本県の特徴である水田農業が衰退し、景観も維持できなくなってしまいます。 こうした状況の中、私の地元では、自ら農地を借りてお米の生産を行いたいという意向を示す企業が出てまいりました。 この企業は、お米の流通・販売を主とした業態であり、このままでは、取り扱うお米が入手できなくなってしまうという危機感が契機になっておられるとのことであります。 私は、食料安全保障の重要性が叫ばれている今だからこそ、自らお米づくりに取り組んでみたいという企業が増えてくる可能性も十分あると感じており、こうした企業が円滑に水田農業に参画できるよう、既存の農業法人との調整や経営継承などに、県が積極的に関わっていくことが重要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。本県の水田農業を維持・発展させていくため、企業による参入の促進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、土木施設の維持管理等の高度化・効率化についてお尋ねをいたします。 令和二年十一月に発生いたしました上関大橋損傷事故から約三年が経過いたしました。 当時、私は、橋の完全復旧や上関町民の皆様が、一日でも早く事故前の生活を取り戻すことができるよう、地元議員として奔走したことを今も鮮明に記憶しております。 県をはじめ関係者の皆様の迅速で根気強い対応のおかげで、橋の復旧工事が無事完了したところでありますが、このような事故を二度と起こさないためにも、これまで以上に、点検や維持管理等を高度化・効率化していく必要があると考えており、そうした思いから、令和三年十一月議会の一般質問におきまして、デジタル技術の活用等による維持管理の重要性を強く訴えたところであります。 その結果、県では、異状箇所の早期発見や早期対応を図るため、橋梁等の点検において、画像計測技術やAI、ドローン等のデジタル技術をいち早く導入するなど、全国に先駆けて、先進的な取組を展開されています。 しかしながら、公共土木施設の老朽化が急速に進む状況を踏まえれば、維持管理や点検に必要な技術者・技能者の育成、現場の生産性向上、新技術の導入など、解決すべき課題はまだまだ山積しており、これまで以上に高度化・効率化の取組を加速していく必要があると考えております。 高度成長期に集中的に整備された公共土木施設は、橋梁だけでなく、河川や砂防、港湾など、あらゆる施設にわたっており、それらの老朽化が急速に進む中にあって、その対策は待ったなしの状況であります。 これら全ての施設において、デジタル技術等を積極的に活用するとともに、より効果的・効率的な維持管理や運営等が行えるよう、点検データや建設時のデータ等を一元管理し、利活用していくシステムを早急に構築するなどにより、補修・修繕等を計画的に進めていく必要があると考えております。 また、こうして保有したデータを、誰もがインターネット等を通じて容易に利用できるよう、オープンデータとして積極的に公開し、二次利用を可能とすることにより、大学等の研究機関や民間企業等が行う、新技術や新工法等の技術開発を促進していくべきだと考えております。 また、私は、土木建築事務所や農林水産事務所、町役場等に伺う機会が多くあり、その際、あらゆるスペースにファイルが置かれ、机の上には紙の書類や図面、写真等が山積みになっている光景を目にし、ペーパーレス化への対応が進んでいないことを危惧しております。 ペーパーレス化は、働き方改革や職場環境改善の観点から、民間企業を中心に、かなり定着してきていると思いますが、行政においても、今後、維持管理等のデータがさらに増えていくことが想定されることや、災害や事故等の初動対応の迅速化にもつながることなども踏まえれば、公共土木施設のデータ一元化と併せて、ペーパーレス化や電子化を速やかに推進していく必要があると考えております。 そこでお尋ねをいたします。急速に進む公共土木施設の老朽化への対応は待ったなしの課題であり、老朽化の進行を上回るスピード感で、公共土木施設の維持管理等の高度化・効率化を推し進めていく必要があると考えますが、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業のイノベーション創出についてお尋ねをいたします。 人口減少に端を発する中長期的な社会構造の変動に加え、原材料費やエネルギーコストの高騰によるコストアップ、人材の確保・定着のための持続的な賃上げの必要性の高まり、さらには、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに取り組む取引先からの脱炭素化の要請など、中小企業がこれまでの事業を安定して継続していくことが、年々、難しくなってきています。 こうした中、中小企業の稼ぐ力を強化し、成長につなげていく上で、イノベーションの創出は大幅な成長をもたらす有力な手法であり、DX、GXなどと同様に、積極的に支援していく必要があると思います。 県では、平成二十六年に産業技術センターに設置されたイノベーション推進センターを中心として、これまでも研究開発テーマの発掘や、企業・大学等とのマッチング、競争的資金の獲得支援、研究開発プロジェクトの進行管理に取り組まれてきました。 昨年度は、私の地元田布施町で、CADシステムや光学応用ソフトの開発を行う中小企業が、産業技術センターの支援によりまして、国の競争的資金の一つである成長型中小企業等研究開発支援事業、いわゆるGo─Tech事業に採択をされました。 このGo─Tech事業は、中小企業が、ものづくり基盤技術やサービスの高度化に向けて、大学や公設試など研究機関と連携して行う研究開発等を対象に、最大三年間にわたり、約一億円の助成が受けられる国の支援制度であります。 大企業と異なり、資金力に乏しく、研究開発に従事できる人材も不足しがちな中小企業にとって、国のこうした競争的資金の獲得は、イノベーションに取り組んでいく上で、自社の研究開発が国から認められたという意味で、大いにモチベーションが高まるものであると考えております。 一方で、このGo─Tech事業について、県内の中小企業は、コンビナート企業からの安定した発注に加え、充実した県の助成制度もあってか、中国五県の中でも申請件数が低調に推移しているとの声もお聞きしております。 今年二月の定例会の議案説明にもありましたが、厳しい財政状況が続く中にあって、意欲ある中小企業のイノベーション創出を後押しするためにも、国の競争的資金の獲得に向けた支援体制を、改めて強化していく必要があると考えております。 また、中小企業がイノベーションに取り組むためには、こうした国の助成制度もさることながら、マーケティングの視点に立った人材による支援が重要であります。 今月、国の中小企業のイノベーションの在り方に関する有識者検討会で示された中間報告では、やまぐち産業振興財団の職員が事例として取り上げられていましたが、こうした人材を最大限生かして、成長を志向する中小企業をしっかりと支援していくためにも、国の競争的資金を積極的に活用しながら、支援機関同士が十分に連携し、市場ニーズと技術を結びつけ、イノベーション活動に発展させていただきたいと考えております。 そこでお尋ねをいたします。急速な人口減少、デジタル化の進展をはじめとする産業構造の転換期において、本県の地域経済を支える意欲ある中小企業のイノベーション創出に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、家畜伝染病の防疫対策の強化についてお尋ねをいたします。 昨年度から今年度にかけて、全国各地で高病原性鳥インフルエンザが過去にないペースで発生し、処分された鶏などの数は、過去最多であった令和二年度の九百八十七万羽を大きく上回る、約一千七百七十一万羽となりました。 特に昨シーズンは、お隣の広島県で六事例、福岡県で四事例が昨年末から立て続けに発生するなど、本県にとって緊張感を強いられる状況が続きましたが、畜産農家の皆さんによる防疫対策の徹底や、県、市町、関係団体等の連携した対応により、発生を防ぐことができ、私自身も安堵したところであります。改めて、県の関係の皆様方の日頃の対応に敬意を表するところであります。 この鳥インフルエンザは、渡り鳥などの野鳥のふん便を介して、野生動物等がウイルスを鶏舎内に持ち込むことで発生することから、鶏舎周辺の消毒やネズミ等の侵入防止策を徹底することなどが有効な対策だとされています。 しかしながら、他県では、衛生管理が徹底された最新鋭設備の鶏舎で発生した事例もあり、生産者の皆さんがどれだけ注意を払ったとしても、完全に防ぐことができない可能性も指摘されています。 さらに、こうした家畜伝染病は感染力が非常に強く、一旦発生してしまうと周辺農場への感染リスクが大きくなることから、万が一発生した場合には、その被害を最小限に食い止める対応が何よりも重要となります。 そのため、感染拡大防止対策として最も大切なのは、ウイルスなどの病原体の封じ込めとなります。 本県では、過去に、平成十六年、二十三年、二十六年と、三回の鳥インフルエンザの発生が確認されましたが、いずれも県職員の皆さんを中心とした、迅速かつ確実な作業により、封じ込めに成功しています。 特に、平成十六年の事例は、国内で七十九年ぶりの発生ということもあり、この封じ込め作業を実施するに当たっては、大変な苦労や調整があったとも聞いております。 一方で、他県の事例になりますが、昨シーズン、同一地域内で断続的に発生したケースでは、資機材の不足や作業に当たる県職員等の疲弊に加えて、殺処分埋却地からの悪臭に伴う地域住民の不安など、多くの課題が明らかになっています。 さらに、家畜伝染病は、野生イノシシへの感染が確認されている豚熱や、牛が感染するBSE、牛や豚、羊などの感染症である口蹄疫など様々であり、こうした大型の家畜に発生した場合には、その対応がさらに困難を増すとも言われております。 私は、家畜伝染病の防疫対策を確実に進めるためには、予防対策はもちろんのこと、最悪の事態を想定した資機材や人員を確保した上で、どのような発生ケースにでも対応できる体制を整えておくことが、畜産農家だけではなく、地域住民の皆さんの安心にもつながると考えております。 そこでお尋ねをいたします。畜産農家が今後も安心して経営に取り組むことができるよう、県では、家畜伝染病の防疫対策の強化、特に発生後の封じ込め対策にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、公共交通の担い手確保についてお尋ねをいたします。 バスやタクシーなどの地域公共交通は、通勤や通学、通院、買物など、自由にマイカーを利用できない方々にとって、日常生活全般を支える、欠かすことのできない公共インフラであります。 とりわけ、県土の約七割を中山間地域が占め、全国と比較して約十年早く高齢化が進展していると言われる本県においては、その維持は切迫した課題であります。 これまで、地域公共交通は、人口減少・少子高齢化、モータリゼーションの進展により、厳しい経営環境に置かれてきました。 例えば、バスの輸送人員は、二〇〇〇年代初めと比較して、コロナ禍前の段階で約八割にまで減少し、全国の約七割のバス事業者が赤字という状況にありました。 これにコロナ禍や燃料費の高騰等が追い打ちをかけ、今はさらに先行きの不透明さが増しています。 昨今のJRローカル線問題にも象徴されるように、地域公共交通は、もはや民間事業者単独で維持することが困難な状況であります。 そして、その担い手たる運転士は、全産業に比べて労働時間が長く、年間所得額も低いことから、若年者が就業を敬遠する傾向にあり、高齢化と人手不足が大きな課題となっております。 令和五年四月の本県の自動車運転従事者の有効求人倍率は二・九三倍であり、このところ、全職業平均の二倍を超える水準で推移しております。 本年三月、私の地元熊毛郡では、二十年以上の長きにわたり地域住民の足として愛されてきました都市間高速バス、田布施・平生・柳井~広島線が、慢性的な運転士不足を理由として廃線となり、地元に動揺が広がりました。 また、昨年十月には、下関市~山陽小野田市、宇部市の三市を結ぶ長大路線のうち、小野田~宇部間が廃止となっており、これも運転士不足が一因とされています。 こうした中、国は、働き方改革の一環として、運転士の長時間労働を改善するため、労働時間等の改善基準告示を見直し、来年四月から適用することとしております。 これにより、バスやタクシーの運転士の労働環境の改善が期待されることから、地方自治体としても、運転士の賃金引上げ等の処遇改善やさらなる確保に積極的に取り組み、持続可能な地域公共交通の構築に道筋をつけなければなりません。 地域公共交通は、単一の市町の枠組みにとらわれず、バスやタクシー、鉄道等がネットワークを形成し、地域に住まう住民の皆様の日々の移動を支えており、広域自治体たる県に対する市町の期待は非常に大きいものがあります。 そこでお尋ねをいたします。県は、地域公共交通の担い手確保に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に一言申し上げます。 私たちを苦しめてきたコロナ禍は、五月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが見直しをされたことにより、大きな転機を迎え、本格的なウイズコロナの時代に入りました。 一方で、コロナ禍の影響を今も受け続けていらっしゃる方、激動する国際情勢や経済環境によって厳しい経営や生活を強いられている方など、我々を取り巻く環境は全く楽観できる状況にはありません。 とりわけ、コロナ禍でさらに進んだ少子化は、山口県のみならず、我が国の未来を左右する極めて重要な問題であり、それが今、かつてないほどに深刻なレベルに達しています。 過去二回の一般質問で、私は、地元の田布施農工高校を念頭に、高校の再編整備について質問をいたしましたが、こうした問題も、その根幹は少子化問題にあります。 これから親になる世代がその親の世代よりも少ないことが確定している中で、国全体として少子化に歯止めをかけていくことは容易ではありません。 しかし、今を生きる私たち大人が未来を諦めるわけにはいきません。二〇三〇年までがラストチャンスであります。 政府は、今月十三日、次元の異なる少子化対策を具体化する、こども未来戦略方針を決定いたしました。今後は、三兆円台半ばとされる予算の継続的な確保に向け、具体的な道筋を示していく必要がありますが、政府として、若者・子育て世代の所得向上に全力で取り組むと明記されたことは、抜本的な少子化対策に向けた第一歩として評価できるものであり、国としての並々ならぬ覚悟が示されたものと考えております。 こうした国の動きを踏まえ、今後、本県においても、具体的な少子化対策の検討が本格化していくと思いますが、執行部の皆様には、覚悟を決めた国の取組に遅れることなく、その上を、その先を行く意気込みで、実効性のある少子化対策を強力に推し進めていただきますよう、今回は質問ではなく、あえて要望という形で、今後の取組に期待して、私の一般質問を終わります。 御清聴、ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員からの御質問のうち、私からは、水田農業の維持・発展についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進行する中、将来にわたって本県農業を持続的に発展させていくためには、新規就業者の確保や中核経営体の育成等に加え、企業など他業種からの農業参入を促進していくことが重要です。 このため、これまで、企業の農業参入に向けた手引の作成や企業への雇用給付金の支給など、様々な支援を行ってきたところであり、この結果、百六十社を超える企業が本県農業の新たな担い手として参入されたところです。 私は、持続可能で力強い農業の推進に向けては、こうした多様な担い手の確保が重要であり、とりわけ水田を活用した農業が大宗を占める本県においては、その分野への企業参入をより一層促進していく必要があると認識しています。 このため、まず、水田農業への企業の参入が円滑に進められるよう、生産者と参入する企業が、地域の営農方針等について直接話し合う場を設定し、企業参入に伴う将来の農地利用や担い手の役割を明確化した計画の策定を支援することとしています。 また、参入企業に新たに経営を譲渡する場合においては、農業経営・就農支援センターの専門家を派遣することにより、新たな担い手となる参入企業に対する農地や機械等の経営資産の円滑な継承を促進します。 さらに、参入企業の人材が即戦力として活躍できるよう、農業大学校において、社会人を対象にした研修を実施することにより、基本的な作物栽培技術やスマート農機の操作技術の習得に加え、大型トラクターの資格取得の促進を図ります。 こうした取組に加え、参入企業が、経営の低コスト化や効率化を図ることができるよう、デジタル技術を活用したドローンなどのスマート農業機械や圃場管理システムの導入を支援することとしています。 私は、今後とも、市町やJA等の関係団体と緊密に連携しながら、本県の水田農業が将来にわたって維持・発展できるよう、農業経営に意欲のある企業の参入に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)公共土木施設の維持管理等の高度化・効率化についてのお尋ねにお答えします。 高度経済成長期に集中的に整備した道路や河川等の公共土木施設は、老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、デジタル技術を積極的に活用し、より効率的に維持管理を実施していく必要があります。 このため、県では、AIやドローンを活用した点検・診断システムについて、既に導入している小規模橋梁に加え、今年度から、標識等の道路附属物をはじめとした、その他の施設にも対象を広げていくこととしています。 また、維持管理のさらなる効率化を図るため、施設の構造や位置情報、過去の点検や補修の内容等を一元的に管理するシステムを構築することとしており、現在、紙媒体の施設台帳等の電子化と併せて、システムの基本設計を進めているところです。 このシステムを活用することにより、現場でリアルタイムに補修履歴を確認しながら点検を行うことができ、異状箇所の早期発見・早期対応が可能となるほか、蓄積されたデータを活用し、点検・診断精度の向上を図ることで、維持管理の高度化にもつなげてまいります。 あわせて、こうした取組を行うことにより、行政等におけるペーパーレス化にもつなげていく考えです。 さらに、既に公開している地質等のデータに加え、今後、蓄積されていく橋梁の補修履歴等のデータを可能な限りオープン化することで、大学等の研究機関や民間企業が行う維持管理等に係る新技術・新工法の開発などの取組を促進していきます。 県としては、今後とも、将来にわたり公共土木施設の機能を維持し、県民の安心・安全を確保するため、デジタル技術を積極的に活用し、維持管理等の高度化・効率化に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)中小企業のイノベーション創出についてのお尋ねにお答えします。 原材料価格の高騰や脱炭素化への対応など、中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県経済の持続的な発展を図るためには、産学公連携によるイノベーション創出の取組を強化し、県内中小企業の稼ぐ力を伸ばすことが必要です。 このため、産業技術センターに設置したイノベーション推進センターを核に、企業ニーズと大学の研究シーズとのマッチング等のコーディネート活動を展開し、優れた研究開発テーマの発掘に取り組んでいます。 また、研究開発の実施に当たっては、研究開発のステージに応じ柔軟に対応可能な本県の補助制度や、国の競争的資金を活用しながら、企業の主体的な取組を支援しています。 こうした取組を通じ、高品質な乾燥食品を生産する高性能乾燥機の研究開発や、お示しのGo─Tech事業に採択された優れた光学技術を基盤としたプロジェクト等が着実に進められています。 また、これらの成果を事業化し、企業の稼ぐ力を強化するため、マーケティングの専門的な知見等を有する産業振興財団と連携し、県外企業とのマッチングや首都圏の展示会等への出展など、販路開拓に取り組んでいます。 こうした中、脱炭素化やデジタル化の進展など、産業構造の転換期においても企業の持続的な成長を図るためには、産業支援機能の強化が必要であることから、本年三月、県の立会いの下、産業技術センター、産業振興財団及び山口大学との間で連携協定が締結されたところです。 これを契機に、関係機関が緊密に連携し、研究開発テーマの発掘から研究開発、事業化までの企業の取組を一体的に支援することにより、県内中小企業のイノベーション創出を加速し、稼ぐ力の強化につなげてまいります。 県としては、産学公連携をさらに強化し、地域経済を支える県内中小企業によるイノベーションの創出に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)家畜伝染病の防疫対策の強化についてのお尋ねにお答えします。 昨年来の全国的な高病原性鳥インフルエンザの発生は、過去最多の件数を記録するとともに、豚熱についても、野生イノシシの感染確認地域が拡大し、本県での発生リスクも高まったところです。 このため、県では、他県での発生後、直ちに庁内連絡会議を開催し、養鶏場への消石灰の緊急配付や消毒の指示、さらに、飼養豚へのワクチン接種などを行ったところであり、その結果、現時点で、農場における家畜伝染病の発生を防止できているところです。 家畜伝染病は、一旦発生すると、畜産経営に甚大な影響を及ぼすことから、県としては、確実な防疫措置に向け、予防対策はもとより、発生後の封じ込め対策に徹底して取り組むことが重要と考えています。 このため、まず、予防対策として、農場の衛生管理の改善に向けた巡回指導を徹底するとともに、定期的な家畜のウイルス検査等を通じたモニタリングを行い、日常的な衛生管理レベルの向上を図ります。 また、国内で家畜伝染病が発生した場合は、県内各農場に対し、速やかにその詳細な情報を提供し、注意喚起するとともに、特に隣県で発生した場合には、緊急消毒の指示や立入検査など、適切な予防対策を行ってまいります。 次に、封じ込め対策に向けては、あらかじめ、殺処分時の防疫作業に係る関係者の役割分担を確認・徹底するとともに、より実践的な埋却作業のシミュレーションを実施し、発生後の迅速な防疫対策につなげてまいります。 また、本県での十分な量の防疫資材の備蓄や人員体制を確保するとともに、複数農場での同時発生や防疫作業の長期化が生じた場合には、国や中国各県と連携した協力体制を構築することとしています。 さらに、国に対しては、政府要望や全国知事会等、あらゆる機会を通じて、防疫対策に必要な財政措置や、国における防疫資材のさらなる備蓄、国からの人員派遣など一層の防疫体制の強化について要望することとしています。 県としては、今後とも、国や市町、関係団体等と緊密に連携し、畜産農家が安心して経営が継続できるよう、家畜伝染病の防疫対策の強化にしっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)地域公共交通の担い手確保についてのお尋ねにお答えします。 バスやタクシーなど、地域住民の日常生活に欠かせない重要な基盤である地域公共交通を将来にわたって維持していくためには、お示しのように、その担い手となる運転士の確保が重要であり、県では、関係団体と連携しながら、その確保対策に取り組んでいるところです。 具体的には、山口県バス協会と連携し、大型二種免許の取得費用の助成を行うとともに、交通事業者と求職者との出会いの場を提供する就職相談会や運転士体験会を開催するなど、公共交通で働くことの魅力ややりがいを感じてもらう取組を実施しているところです。 こうした中、運転士の長時間労働等の改善を図るため、労働時間等の基準が見直され、来年四月から適用されることから、県としても、これを契機に、運転士の労務環境の改善が進むよう、取り組んでいく必要があると考えています。 このため、労働時間の短縮にもつながる取組として、市町が交通事業者等と連携して行う、AIデマンド交通などの新たなモビリティーサービスの導入を支援し、デジタル技術の活用による業務の効率化や生産性の向上を図っていきます。 さらに、交通事業者に対して、このたびの補正予算に盛り込まれた、賃金引上げと柔軟な働き方を同時に導入する中小企業者等への支援制度を活用し、運転士の労務環境の改善に取り組むよう、働きかけてまいります。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携しながら、こうした取組を着実に推進することにより、地域住民の日常生活に不可欠な地域公共交通の担い手確保に積極的に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時十三分休憩