1 水道事業の基盤強化について 2 子育て支援の強化について 3 歴史的建造物の有効活用について 4 持続可能な本県農業の実現について 5 県立高校の再編整備について 6 柳井地域の道路整備の推進について 7 その他
副議長(島田教明君)有近眞知子さん。 〔有近眞知子さん登壇〕(拍手) 有近眞知子さん 自由民主党会派の有近眞知子です。おかげさまで、山口県議会議員として二期目の当選を果たすことができました。これからも地域のため、山口県のため、常に大きい視点と県民の皆様に寄り添う姿勢で、県議としての仕事に邁進していく覚悟です。 それでは、通告に従い質問させていただきます。 まず、水道事業の基盤強化についてお尋ねします。 日本では、ペットボトルの水よりも厳しい基準をクリアした水道水を、全国どこでも飲むことができ、その普及率や水質の良さに加え、漏水率の低さなどから、日本の水道事業は世界的に完成度の高いシステムとして評価されています。 一方で、高度成長期に整備した水道施設が更新の時期を迎えており、その老朽化対策に加え、地震等の災害への対策や、不足する専門人材の確保など、大変困難な課題を多く抱えています。 加えて、水道事業は、主に市町が経営しているため、小規模で経営基盤が脆弱な事業が多く、人口減少や節水等により水道水の使用量は減少傾向にあるなど、水道事業の経営状況はますます厳しくなっています。 特に、私の地元、柳井地域は、安定的な水源の確保に苦労した経緯もあり、水道料金が県内他地域に比べて高水準で推移する中、柳井市では今年十二月検針分から料金引上げも予定されています。 県におかれましては、こうした柳井地域の実情も踏まえ、本年度も水道料金安定化対策事業を継続し、関係市町に対し御支援を頂いているところに感謝申し上げます。 もちろん、柳井地域の各水道事業者も経営改善に向けて努力しており、平成二十九年に柳井地域水道事業広域化検討委員会を設置し、将来的な事業統合を目指した検討を行うとともに、機器の共同購入や委託業務の共同発注などの経営の効率化にも取り組んでいます。 こうした状況を踏まえ、私は、これまでに二度、県議会の一般質問において、水道事業の広域化も含めた基盤強化の必要性について質問し、県の積極的な取組をお願いしました。 この間、県では、持続可能な水道事業の確立を目指して、令和二年に山口県水道ビジョンを策定されるとともに、各水道事業者の広域連携に向けて、広域連携シミュレーションを実施し、その結果を、将来にわたり持続可能な水道事業を確保するための選択肢の一つとして、今年三月に公表されました。 このシミュレーションでは、令和四年度からの四十年間における費用削減の効果額が試算されており、具体的には、物資購入や業務委託、会計処理システムの共同化などによる事務の広域的処理を行うと、全県で二十六億九千万円、事務の広域的な処理や職員の効率的な配置等を行う経営の一体化を行うと、全県で七十四億七千万円の費用削減が想定され、加えて、浄水場などの施設の共同設置や共同利用が進めば、さらなる費用削減が見込まれるとされています。 水道は暮らしに必要不可欠なものであり、安心で安全な水を合理的な料金で今後も県民が利用できるよう、水道事業を運営していく必要があります。 今回の広域連携シミュレーションを契機に、県には、広域連携の推進に向け、各水道事業者間の議論を加速化させるとともに、比較的取り組みやすい事務の広域的処理を進めるなど、具体的な成果につなげていただきたいと考えています。 そこでお尋ねします。県内水道事業の基盤強化に向け、県は、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、子育て支援の強化についてお尋ねします。 六月に厚生労働省が発表した人口動態統計によると、昨年の出生数は、一八九九年の統計開始以来、初めて八十万人を割り込み、過去最少を更新しました。 また、合計特殊出生率も一・二六で過去最低となっており、我が国の少子化対策は待ったなしの瀬戸際にあります。 先日、政府が発表したこども未来戦略方針では、二〇三〇年が少子化対策の分水嶺であるとして、これからの六、七年で少子化傾向を反転させるよう、不退転の決意で取り組む政府の姿勢が表明されています。 私は、中でも保育士等の配置基準の改善が打ち出されたことは、非常に大きいと評価しています。 特に、四・五歳児の職員配置基準の改善は、これまで七十五年間、手をつけられたことがなく、まさに歴史的な前進です。 そこで提案ですが、今回の国の対策をさらに加速化させる観点から、国の配置基準を上回る職員配置を推進する市町に対し、本県独自の支援を上乗せすることはできないでしょうか。 他県においては、既に国よりも厳しい基準を設定し、高いレベルの保育を給付している自治体もあります。 そして同時に、今後は、保育士のさらなる確保も重要であり、市町の保育体制に格差が生じることがないよう、県が広域自治体の立場からリーダーシップを取り、保育士の労働環境や処遇のさらなる改善を促していく必要があります。 県では、これまでも、多様性に配慮した遊具の導入支援なども含めた、幼児教育・保育への支援に取り組んでこられました。 県議会においても、少子化対策に関連する新たな特別委員会の立ち上げに向けて調整が進められており、また、我が自民党会派では、地域と保育を考える議員連盟の活動を再始動させることとしたところです。 少子化傾向を反転させることができるかどうか、今がまさにラストチャンスです。 未来に生きる子供たちに、このすばらしい山口県を引き継ぐため、我々、今を生きる世代の責任で、今こそ子育て支援の抜本的な強化に取り組むときと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、歴史的建造物の有効活用についてお尋ねします。 日本には、その地域の生活や文化を今に伝え、歴史的価値のある古民家や商家などの歴史的建造物が数多く存在し、国宝、重要文化財、登録文化財だけでも全国に一万六千件以上あります。 これらの歴史的建造物を保存し、後世に継承していくには、継続的な修理や維持管理に多額の費用が必要ですが、過疎化や少子高齢化等が進む中、保存に必要な費用を、寄附金や入館料などで賄うには限界があるのが実情で、地域に息づく建造物を、自治体や個人任せでなく、社会全体でいかに維持していくかが課題となっています。 こうした中、近年、旅館業法や建築基準法、文化財保護法の改正などが行われ、住居であった古民家を宿泊施設や飲食施設に活用することが容易になるとともに、地域に点在する空き家などを客室として改修し、地域の商店なども含めて、エリア一帯で宿泊施設に見立てる、いわゆる分散型ホテルも実施できるようになりました。 そのため、企業や地域の方々と地元の自治体が協力しながら、歴史的建造物を宿泊施設や飲食店として利用し、維持管理費を捻出するとともに、まちづくりにつなげていく動きが全国で広がっています。 観光庁の調査では、古民家等の歴史的資源を活用した観光まちづくりとして、全国二百を超える地域で取組が展開されているところです。 実際、歴史的建造物の価値を伝えるには、当時と同じ空間で寝泊まりし、食事をして当時の暮らしに思いをはせてもらうことが一番ですし、古い趣のある建物や町並みを活用して、歴史や文化を伝えながら、地域に人を呼び込めるまちづくりができれば面白いと思います。 私の地元柳井市でも、古市金屋地区、いわゆる白壁の町並みが重要伝統的建造物群保存地区となっていますが、正式な指定や登録を受けていないものも含め、県内には、古民家や商家などの歴史的建造物が多く存在します。 こうした歴史的資源を生かし、単なる観光客だけでなく、地域のファンを生み出す。そして、観光消費による経済効果に加え、長期滞在や定住につなげていく。そのポテンシャルが山口県にはありますので、文化財の保存と地域活性化に寄与する、歴史的建造物を活用したまちづくりを、県でも積極的に支援していくべきと考えます。 そこでお尋ねします。文化財の保存に加え、地域のにぎわい創出や経済効果も期待される、歴史的建造物の有効活用に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、持続可能な本県農業の実現についてお尋ねします。 八月二十二日、柳井市において、株式会社トクヤマの子会社である農業法人トクヤマゆうゆうファームが運営する大規模園芸施設の竣工式が行われます。 この事例は、本県を代表するコンビナート企業による農業分野への進出であることに加え、全国でも僅かしか導入事例がない、最新鋭設備によるリーフレタスの栽培や、JAによる企業へのリース形態の導入、さらには、障害のある方々の雇用など、これからの農業の新たなモデルの一つにもなるものであると考えており、園芸品目分野での、全国にとどろく事例として成功されることを心から期待しています。 また、この取組には、もう一つ大きな特徴があります。それは、バラ栽培が行われていた温室や関連施設を再活用していることです。 限りある資源を有効に活用するという点はもちろんのこと、ロシアによるウクライナ侵略の影響で様々な資材の価格が高騰している中、低コストで農業経営に不可欠な施設や資機材等を確保できれば、経営面で大きなメリットがあります。 一方で、再活用に当たっては、農地や倉庫のように移動が困難で、その場所で再活用せざるを得ないものや、トラクターや草刈り機などのように簡単に移動できるもの、パイプハウスのように移動が可能であるものの、ある程度の労力やコストを要するものなど様々なケースがあり、実現には多くのハードルも存在します。 こうした中、先日、規模拡大を志向する若手の農業者の方から、施設・資機材等の再活用の実情を具体的にお聞きする機会がありました。 まず、パイプハウスについては、撤去、移動、再設置に労力や運送コストがかかるため、国や県事業を活用して新品を購入・設置するのと導入コストが変わらず、再活用が進んでいない状況にあるようです。 また、トラクターなどの中古農機具についても、再活用するための国の事業等は整備されているものの、そのための計画作成から申請、決定までにかなりの時間を要するため、必要なときに入手できず、新品を購入せざるを得ないというジレンマを抱えておられました。 こうしたお話を聞くたびに、また、まだ使えそうなパイプハウスが放置されているのを目にするたびに、二〇〇四年に環境分野で初のノーベル平和賞を受賞したケニア人女性、ワンガリ・マータイさんによって世界に広まった日本語「もったいない」を思い起こすとともに、資源を有効に再活用する仕組みや制度がまだまだ十分ではないと、改めて感じたところです。 私は、世界情勢が不安定で、物価の高騰が続くこの時代だからこそ、農業分野においても、施設や資機材等を、できるだけ敷地内で、就農や規模拡大のタイミングに合わせて無駄なく再活用してもらい、低コストで安定的に収益が確保できる経営を実現していく、そういった環境面でも経営面でも持続可能な仕組みを構築していくことが大切だと考えています。 そこでお尋ねします。持続可能な本県農業の実現に向け、県では、農業施設や農機具等の有効活用や継承に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、県立高校の再編整備についてお尋ねします。 県教育委員会では、中学校卒業見込み者数の継続的な減少や教育を取り巻く環境の変化に対応し、中長期的な視点から山口県の高校教育の質の確保・向上を図るため、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を主な内容とする第三期県立高校将来構想を、昨年三月に策定されました。 また、学校・学科の再編整備については、本構想に基づき、年次的・計画的に進めるため、五年間単位の実施計画を策定することとされ、昨年十二月には、令和四年度から八年度までを計画期間とする前期実施計画が取りまとめられたところです。 この実施計画では、望ましい学校規模の確保を目指した再編統合による新高校の設置や募集停止が示され、対象校の地域からは、様々な意見が県教育委員会に寄せられたものと承知しています。 私としては、将来を担う子供たちのための特色・魅力ある学校づくりは、何よりも重要であると考えており、そのために必要な再編整備については、理解をしているところであり、繁吉教育長をはじめ、県教委の皆さんが、不退転の覚悟を持って取組を進められていることに敬意を表します。 その上で、それぞれの学校がこれまで築き上げてきた伝統や魅力、また、学科、地域の特性を生かした教育活動や、全国レベルの部活動などの特色を、再編統合や募集停止による学校の廃止により、消滅させてしまうことのないよう、将来へと確実に継承されるとともに、それをさらに進化・発展させていくことが、学校の再編整備の本質であると考えています。 そのためには、実施計画に示された対象校において、その特色の継承を含め、再編整備によってどのような特色ある学校づくりが進められていくのか、具体的なビジョンや教育活動内容、それに向けたロードマップ等について、早期に、子供たちや地域に示し、理解を得ながら丁寧に進めていく必要があると考えています。 一方で、再編整備を進める中で懸念されるのが、募集停止となる学校の在校生に対する教育の質や活力の維持・確保についてです。 募集停止となった学校では、言うまでもなく、新入生の入学がなくなり、閉校前の最終年度には、在校生は三年生の一学年のみとなり、卒業までの間、少人数での学習活動、学校生活となってしまいます。 こうした再編整備の対象校においても、質の高い活力ある教育活動により、貴重な高校生活が充実したものとなるよう、例えば、再編統合の場合、在校生が新高校となる校地に移動し、合同で学習や部活動を行えるようにするなど、在校生への教育活動に十分配慮しながら、再編整備に取り組んでいく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。県教育委員会において、現在、再編整備の前期実施計画の実施に向けて、対象校の追加等の検討を含め、新しい学校づくりの具体化に取り組まれているところですが、対象校の特色ある教育活動の維持・継承等の観点も踏まえ、今後どのように県立高校の再編整備を進めていかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、柳井地域の道路整備の推進についてお尋ねします。 よく整備された道路は、地域経済や住民生活に大きな効果をもたらします。 しかし、柳井地域は、山陽道等の高速交通拠点から大きく離れており、また、半島地域特有の厳しい地形から、道路整備により多くの時間と費用を要するため、依然として、整備が必要な箇所が多く残っており、道路整備の恩恵を十分に享受できていない状況です。 このため、これまでも、地元市町や経済団体、議会等で組織する東部高速交通体系整備促進協議会において、地域の課題や、その解決策について、しっかりと議論を重ねた上で、全会員が思いを一つにして、国や県に対し、整備の必要性や早期実現を粘り強く訴え、事業着手につなげてきたところです。 こうした経緯を経て、現在、柳井地域では、三つの道路事業が進められています。 一つ目は、柳井─玖珂間の高規格道路です。 この道路は、山陽道玖珂インターチェンジ等へのアクセス強化の観点から、実現に向けて粘り強く要望してきた結果、県の御尽力により、一昨年から、柳井市古開作から中馬皿間において、渋滞の緩和、交通安全の確保等を目的に検討が進められています。 このうち、柳井中学入口交差点付近においては、これまでに地元への説明会が開催され、現在、調査や設計等が進められていますが、引き続き、早期整備に向け、計画的に進めていく必要があります。 二つ目は、県道柳井上関線伊保庄バイパスです。 室津半島地域との連携強化などのため、県によってバイパス整備が進められ、全体計画約四・五キロメートルのうち、これまでに約三・三キロメートルが開通し、現在は、残る区間の用地取得や工事等が進められており、引き続き、全線の早期完成に向け、さらに整備を加速していく必要があります。 三つ目は、国道百八十八号柳井・平生バイパスです。 救急医療機関へのアクセス性の向上や渋滞の緩和などを図るため、現在、国による用地調査など、事業が鋭意進められており、引き続き、全線の早期完成を目指し、国や県、地元が連携して取り組んでいく必要があります。 そこでお尋ねします。地元の皆様が道路整備に対する熱い思いを一つにし、これまで協調して進めてこられた、これらの道路の整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 本年一月、柳井市伊陸地区において開催された、県道光日積線の松山から藤ノ木間の改良工事の説明会に、私も出席させていただきました。 この区間の県道は、道幅が狭く、見通しも悪いため、住民の皆様は、通勤や通院、日々の買物等に大変な不自由な思いをされています。 説明会では、柳井土木建築事務所の担当者の皆さんが、こうした実情や課題をしっかりと把握され、その解決に向けた具体的な方向性を示しながら、丁寧に説明してくださったことで、地元の皆さんは大変喜ばれていました。 私は、地域の皆様の心に寄り添い、相手の立場に立って、正面から向き合う職員の皆様の真摯な姿勢に、とても感動しました。 県におかれましては、今後とも、地域が抱える様々な課題や、県民一人一人の切実な思いをしっかりと聞き、県政に反映していただきますよう要望しておきます。 最後に、一言申し上げます。 柳井市で量産化の準備が進められている、株式会社トクヤマのアルカリ水電解装置が、今月六日の夕方の全国ニュースで大きく取り上げられ、翌日、同社の株価が高騰しました。 この日、政府が六年ぶりに改定した水素基本戦略の中で、再生可能エネルギーから水素製造が可能な水電解装置の需要が大きく高まるとの見通しが示されると同時に、我が国としての導入目標が新たに示されたことを受けたものです。 将来の脱炭素社会を見据えた同社のこれまでの取組に、改めて敬意を表するとともに、今後もしっかり応援していかなければならないと痛感いたしました。 一方で、昨年の本会議において、県が、県内企業が開発した再生可能エネルギー由来の水素ステーションを県が率先して活用すると答弁されたことについては、現時点では実現に至っていませんが、県民や企業の皆様からは、評価と期待の声もお聞きしていますので、今後、県が率先した取組を推し進められることを期待しています。 カーボンニュートラルという世界的な潮流を前に、これまで安価であった化石燃料が高騰し、石炭火力による自家発電が本県産業の競争力の源泉という、数年前までの常識が揺らぎつつあるとの声もお聞きしています。 競争力を支える前提条件がひっくり返るようなことがあれば、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていかざるを得ない企業も出てくるかもしれません。 また、先ほどの水電解装置の例のように、新しい時代をリードしていくチャンスに果敢に挑み、大胆な投資に踏み切る企業も見受けられます。 現状維持は後退の始まりという、先人たちの名言がありますが、企業は生き残りのため、コストを念頭に置きつつ、常に高付加価値な事業へのシフトを模索し続けておられます。 計画の策定は後回しにしてでも、まずは率先して現場に足を運び、現場の生の声に耳を澄ませ、現場が必要とする支援を速やかに実行していくことが、本県産業の再生・強化につながる道だと確信しています。 四年前、初めて登壇した際に申し上げた、強い産業力なくして明日の地域の活力は生まれないとの思いを改めて心に刻み、これからも山口県の産業力の再生・強化に向けた活動に、全力で取り組んでいく覚悟であることを申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴、ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)有近議員の御質問のうち、私からは、子育て支援の強化についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランにおいて、重点的に施策を進めるプロジェクトの一つに、結婚、妊娠・出産、子育て応援を掲げ、子育て家庭が安心して保育サービスを利用できるよう、保育人材の確保や保育の質の向上、保育環境の整備を進めることとしています。 具体的には、まず、保育人材の確保については、保育士養成施設の学生の県内就職促進や、潜在保育士の再就職支援のほか、保育士の補助業務を担う子育てサポーターの配置への支援等に取り組んでいるところです。 また、保育の質の向上については、リーダー的職員の専門性の向上を図るキャリアアップ研修や、施設における事故防止の強化等に向けた研修の実施に取り組んでいます。 さらに、保育環境の整備に向けては、障害のある子もない子も、誰もが等しく育ち・学び・遊べる環境を整備するため、本県独自の取組として、今年度から、多様性に配慮したインクルーシブ遊具の整備を進めることとしています。 こうした中、国において、こども未来戦略方針が閣議決定され、保育所等における職員の配置基準や、さらなる処遇改善など、幼児教育・保育の質の向上について、検討することが示されました。 県としましては、国の動きに呼応し、今後、職員配置基準の改善に伴い、必要となる保育士の確保に向け、これまでの取組に加え、県外からの就職を促進する取組を強化するなど、一層の充実を図るとともに、保育士の労働環境や処遇のさらなる改善について、引き続き、国に要望してまいります。 また、議員から御提案のあった、職員配置の充実への支援をはじめ、安心して子供を預けられる体制の整備など、子供・子育て世帯を対象にした支援の拡充について、財源も含め、国の動きを踏まえながら検討してまいります。 私は、現在の少子化の状況に強い危機感を持っており、県議会の御意見を頂きながら、市町や関係団体等と連携し、若い世代が安心して子供を産み育てていける県づくりに全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)水道事業の基盤強化についてのお尋ねにお答えします。 水道は、私たちの生活を支える重要な社会インフラであり、安全な水が将来にわたって安定的に供給されることが必要ですが、その一方で、市町等の水道事業者においては、人口減少による料金収入の減少や専門人材の不足など、事業者単独では解決が困難な課題に直面しています。 こうした課題に対応するため、県では、広域連携による基盤強化が必要であると考え、昨年度、事業者と意見交換しながら、広域連携シミュレーションを作成し、持続可能な水道事業経営を実現するための選択肢の一つとして示したところです。 このシミュレーションでは、東部、中部、西部の三圏域と全県域の連携パターンにおいて、それぞれ経営統合、施設の共同設置・共同利用、事務の広域的処理の三つの類型ごとに、今後四十年間の財政収支等を推計し、いずれも一定の費用削減効果を確認したところです。 県では、このシミュレーション作成を契機に、県と事業者で構成する水道基盤強化連絡協議会の下に、今年度新たに広域連携分科会を立ち上げ、地域の実情やニーズを踏まえながら、事業者間の議論を促進することとしています。 この分科会では、まずは、他の類型と比べて取り組みやすい事務の広域的処理から具体的な検討に着手し、例えば、水道メーターの共同購入など、汎用性が高く、確実な効果が見込まれる連携事項を選定した上で、協議を進めたいと考えています。 こうした検討を基に広域連携の実績を積み重ね、将来的には、人員体制の強化や技術継承が可能となる経営統合も視野に入れた議論につなげていきたいと考えています。 また、広域連携を円滑に進めるためには、国の支援も不可欠であることから、人材育成等のソフト面への財政支援措置の拡充や国交付金の採択要件の緩和などについて、引き続き、政府要望等を通じて国に働きかけてまいります。 なお、先行して広域連携に取り組んでいるお示しの柳井地域については、地元市町等の意向を踏まえ、経営統合の実現に向けた支援を行っていきたいと考えています。 県としては、今後とも、水道事業の基盤強化に向けて、事業者による主体的な広域連携の検討が進み、具体的な成果につながるよう、積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)歴史的建造物の有効活用についてのお尋ねにお答えします。 歴史的建造物をはじめとする文化財は、地域で守り伝えられてきた貴重な財産であり、観光振興にもつながる大きな可能性を有していますが、お示しのように、その維持管理には多額の費用が必要で、過疎化や少子高齢化が進む中、これを適切に保存していくことが困難となっています。 このため、県では、地域全体の取組によってその維持継承を図るため、市町や文化財所有者等と連携して文化財の修復等による価値の維持に努めるとともに、観光振興の視点も踏まえ、文化財を生かしたまちづくりや地域の活性化に取り組むこととしています。 具体的には、文化財の有効活用に向け、モデルとなる文化財を選定し、専門家によるコンサルティングや観光客の受入れに必要な環境整備等を行うことで、観光素材として磨き上げ、その活用によって生み出される収益をさらなる文化財の保存・活用に還元する好循環へとつなげていきます。 また、磨き上げた文化財を活用した魅力ある観光地域づくりを進めていくため、やまぐちDMOや民間事業者等と連携し、古民家を活用した宿泊施設やカフェの整備など、観光地全体で一体的に取り組むコンテンツ開発を支援することとしています。 さらに、地域の歴史や生活文化、情緒ある町並みなどの付加価値を文化財の魅力と併せて効果的に情報発信することにより、誘客の促進を図り、交流人口の拡大や地域のにぎわい創出につなげていきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携しながら、歴史的建造物をはじめとした本県の魅力ある文化財を適切に保存するとともに、地域の活性化に向けて、その有効活用に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)持続可能な本県農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 国際情勢の変化等に伴う物価高騰が続く中、本県農業を持続的に発展させるためには、よりコストを意識した農業経営が必要であり、そのためには、限りある資源を有効に活用することが重要です。 このため、県では、これまで、市町や関係団体等と連携し、農業分野における省エネルギー設備の導入や、中古施設の活用などを積極的に支援してきたところであり、お示しのトクヤマゆうゆうファームのように、資源を有効に活用した新たな農業経営モデルも生まれています。 こうした中、資材価格の高止まりに加え、海外からの資材原料の調達が困難な状況も続いていることから、県としては、今後、地域内の資機材の一層の有効活用に向けた取組を積極的に進めることとしています。 具体的には、まず、再活用が可能な資機材の情報を一元的に把握・管理するとともに、その情報を、経営の効率化を目指す農業者等に広く提供することにより、こうした資機材の円滑な継承につなげてまいります。 特に、再活用の要望が強い中古農機具については、農機メーカー等が県内各地で開催している展示販売会などの情報を、新たに、やまぐち農林振興公社のホームページに掲載し、積極的に周知を図ることにより、その再活用を促進します。 さらに、施設や農機具等の再活用を図るため、国の補助制度に加え、県としても中古資機材の購入に対する補助制度を導入するとともに、事業申請者が資機材を迅速かつ円滑に導入できるよう、きめ細かなサポートも行うこととしています。 こうした取組に加え、今後、国の補助制度がより活用しやすいものとなるよう、対象経費の拡大等について、国に対して要望してまいります。 県としては、今後とも、持続可能な本県農業の実現に向けて、市町やJAなどの関係団体等と一体となって、農業資産の有効活用に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)柳井地域の道路整備の推進についてのお尋ねにお答えします。 柳井地域は、高速交通体系から外れていることに加え、半島・島嶼部特有の複雑な地形であることから、県では、お示しの地元協議会からの熱心な御要望も踏まえ、広域交通拠点へのアクセス強化や、身近な生活道路の整備を重点的かつ計画的に進めているところです。 こうした中、柳井─玖珂間の高規格道路については、現時点では、高規格化に係る投資金額に見合う十分な整備効果が確認できないことから、地元柳井市と協議・調整を図った上で、現道の安全性・走行性の向上に資する取組を進めています。 その取組の一つとして、現在、渋滞等の課題がある柳井中学入口交差点付近において、右折レーンの設置に係る調査や設計等を鋭意実施しているところであり、引き続き、地元の御理解もいただきながら、円滑な事業の推進に努めてまいります。 次に、県道柳井上関線伊保庄バイパスについては、これまで、事業効果を早期に発現させるため、段階的に整備・供用を図ってきており、残る約一・二キロメートル区間において、現在、盛土やのり面対策等の工事を行っているところです。 引き続き、全線の早期完成を目指し、これらの工事を着実に進めるなど、精力的に事業を推進してまいります。 次に、国道百八十八号柳井・平生バイパスについては、現在、国により、工事着手に向け、測量や設計などが進められているところです。 このため、県では、引き続き、早期完成を目指し、地元市町と緊密に連携しながら、事業の円滑な推進に向けた環境整備等に積極的に取り組むとともに、当該道路の整備促進を国に強く訴えていく考えです。 県としては、今後とも、地元協議会をはじめとした地域の皆様の御意見や御要望をしっかりお聞きしながら、産業力の強化や住民の安心・安全の確保に向け、柳井地域の道路整備に計画的かつ着実に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)県立高校の再編整備についてのお尋ねにお答えします。 中学校卒業者数の継続的な減少により、学校の小規模化が進む中、高校教育の質の確保・向上を図るためには、一定の学校規模の確保を目指した再編整備を年次的・計画的に進めることが必要です。 このため、県教委では、県立高校再編整備計画前期実施計画を昨年十二月に策定し、現在、再編統合により設置する新高校や新たに設置する学科の具体的な教育内容等について、検討を進めているところです。 これまでの再編統合においては、対象校の歴史や伝統を踏まえ、特色ある学科や、地域と連携・協働した教育活動などを新高校に引き継ぐとともに、部活動についても、可能な限り継承してきました。 また、募集停止後の学校においては、生徒数や教職員数の減少によって、教育活動に影響が生じることのないよう、他の学校との連携を図りながら、学校行事や部活動を合同で行ったり、大会へ合同チームで出場したりするなど、柔軟に対応することで、生徒が安心して学校生活を送れるよう配慮してきたところです。 今後の再編統合においても、それぞれの学校がこれまで築き上げてきた伝統や、特色ある教育活動、部活動等を継承・発展させることで、より一層魅力ある学校づくりに取り組むとともに、学校の状況や生徒の思いを踏まえながら、在校生やこれから入学してくる生徒の高校生活が充実したものとなるよう努めます。 さらに、再編統合により設置する新高校のコンセプトや特色、設置学科や具体的な教育内容等については、子供たちが夢や目標を持って主体的に学校を選択する上で重要な情報となることから、少しでも早くお示しできるよう検討してまいります。 県教委といたしましては、何よりもまず、将来を担う子供たちに、活力ある教育活動の展開や、切磋琢磨する環境づくりなど、より質の高い高校教育を提供できるよう、特色ある学校づくりに全力で取り組むとともに、学校・学科の再編整備を着実に推進してまいります。 副議長(島田教明君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時五十六分散会