1 食品衛生法改正に伴う営業許可制度への対応について 2 本県の特色を生かした養殖業の推進について 3 中山間地域の耕作放棄地対策について 4 医療的ケア児やその家族への支援について 5 アウトドアツーリズムの推進について 6 部活動の地域移行について 7 その他
議長(柳居俊学君)岡生子君。 〔岡生子君登壇〕(拍手) 岡生子君 皆さん、おはようございます。自由民主党の岡生子と申します。 まず初めに、一言申し上げます。 昨年補欠選挙にて当選させていただき、はや一年がたちました。初めて議員の活動でしたので、仕事になかなか慣れていないところもありましたが、柳居議長をはじめ諸先輩方にたくさんの御指導を頂き、誠に感謝申し上げます。 また、職員の皆様方からは、仕事に関するサポートはもちろんですが、市民の皆様の声を反映し、一緒に現場に足を運んでくださり、職員の皆様の御協力が市民の皆様の笑顔や喜びの声に変わることは、本当にうれしく思いました。 改めて、二期目の議席を頂くことになり、初心に返り、スピード感を持ち行動してまいりたいと思います。皆様の御指導、御鞭撻をこれからもどうぞよろしくお願いいたします。 それでは、通告に従いまして一般質問に入らせていただきます。 まず初めに、食品衛生法改正に伴う営業許可制度の対応についてお尋ねいたします。 我が国の食を取り巻く環境の変化や国際化などに対応して、食品の安全を確保するために、平成三十年六月に食品衛生法が改正されました。 この改正により、HACCPに沿った衛生管理が制度化され、令和三年六月一日から、食品等事業者は、一般衛生管理に加えHACCPに沿った衛生管理計画を策定し、実施した衛生管理の内容を記録し保存することが義務づけられました。 厚生労働省においては、事業者がHACCPに沿った衛生管理を円滑に、適切に行うことができるよう、業種や業態に応じた手引を公開し、また、県においては、リーフレットの作成・配布やホームページでのアナウンス、講習会における説明などを通じて、事業者に対する周知を行ってきたと聞いています。 また、同改正により、水産製品製造業など新たに許可が必要となる業種が加算され、本県においても、許可要件となる施設基準を定めた条例を改正し、令和三年六月に施行されたところです。 法施行時に既に営業を行っている事業者は、経過措置期間である令和六年五月三十一日までは許可を受けずに営業できますが、以降も営業を続けるには許可基準に適合した施設や設備を備え、許可を受ける必要があります。 新たに許可が必要となる現場の事業者におかれましては、改正法の施行時点では、期限である令和六年五月まで時間的な余裕があり、何とかなるのではという考えが少なからずあったかと思いますが、期限が近づくにつれ、許可基準を満たすためには施設や設備をどの程度、どのように整備したらよいのだろうか、これまで行ってきた天日干しができなくなってしまうのではないだろうかといった声も聞かれるようになり、衛生基準の確保や事業継続に不安を抱かれている事業者もいらっしゃいます。 こうした状況も踏まえ、県では、県内の事業者に対して、新たな営業許可制度を改めて周知するとともに、事業者の営業実態や施設基準に係る課題などを調査され、その結果を踏まえ、新たに許可が必要となった水産製品製造業、漬物製造業、食品の小分け業、この三種について、条例で定める営業施設の基準を一部緩和されたと伺いました。 私は、この基準緩和により、事業者が営業許可を得るためのハードルは下がるものと考えますが、期限まで残り一年を切った中で、現在届出されている多種多様な規模から年代までの事業者が、基準を理解した上で必要な対応を円滑に行うことができるよう、丁寧な説明・指導を行うことが必要であると考えます。 そこでお尋ねいたします。新たに許可が必要となった事業者が、適切な衛生基準を確保した上で事業を継続できるよう、どの程度の施設・設備の改善が必要かなど、分かりやすく許可までの道のりを示していくことが大切だと考えますが、今後、県としてどのように対応されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、本県の特色を生かした養殖業の推進についてお尋ねいたします。 本県の養殖業は、日本海側でトラフグやマダイなど、瀬戸内海側ではトラフグやクルマエビ、ノリ、ワカメの養殖などが営まれています。 しかしながら、高齢化による漁業者数の減少とともに、養殖業の生産量も年々減少しており、昭和六十三年、一万七千八百三十四トンあったものが、令和三年には八百八十二トンと、およそ二十分の一にまで減ってきています。 このような中、近年、地球温暖化による海水温の上昇に伴う海洋環境の変化などにより、マアジやケンサキイカなどの回遊や漁獲が不安定となる中、計画的で安定的な生産が可能である養殖業に対する期待が高まってきているのではないでしょうか。 また、私の地元である阿武・萩地区では、中型まき網や定置網で小型のサバなどが大量に捕れるものの、そのままでは値がつかないという課題がありました。そこで、これを養殖により少しでも大きく成長、高付加価値化してから出荷する取組が進められています。 このように、漁業者の所得向上対策の視点からも、今後の養殖業に対する期待は大きいのではないでしょうか。 県におかれましては、昨年度策定された、やまぐち農林水産業振興計画において、生産性と持続性を両立した強い水産業の育成に向け、養殖業の推進を新たに掲げられ、取組を強化しておられます。 中でも、既に取組がスタートしている、やまぐちほろ酔い酒粕養殖魚の取組では、阿武・萩地区、長門地区の漁業者と養殖業者を中心に地酒とのコラボにより、山口の特産を生かした新しい発想による、ほろ酔いシリーズとしてブランド化を進められておられ、ほろ酔いさばについては、現場普及の段階まで取組が進んでいます。 私も昨年、農林水産委員会において試食をする機会を設けていただきましたが、青魚特有の臭みがなく、うまみも強く、非常においしくいただきましたし、取組状況などをお聞きし、現在の養殖技術の向上に驚かされました。 このほろ酔いシリーズは、ウマヅラハギも販売が開始され、さらにアユなども現場普及に向けて取り組んでいるとお聞きしておりますが、この取組を契機として、本県養殖業が今後ますます活性化していくことを期待しています。 一方で、今後の展開に向けては、零細な養殖業者が多い本県では、初期投資から養殖技術の習得、効率的かつ安定的な生産体制の構築、販売展開など、入り口から出口までの対策をしっかりとサポートする体制の構築が必要となってくるのではないでしょうか。 県や試験研究機関、漁協、地元漁師などが一体となって、本県の特色を生かした山口県ならではの養殖業対策を強力に講じ、県内外に誇れる地域に根づいたブランドの開発・普及等により、本県養殖業の振興を図っていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。やまぐちほろ酔い酒粕養殖魚シリーズの取組をはじめとして、本県の特色を生かした養殖業の推進に今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、中山間地域の耕作放棄地対策についてお尋ねいたします。 本県は三方が海に開け、県土の七割が中山間地域であることなどから、多彩で豊かな自然環境に恵まれており、農林水産業・農山漁村では、この地理的特性を生かして多種多様な品目を生産し、食料の安定供給をはじめとして、水源涵養等の国土保全や景観形成等の多面的機能の保持、土砂災害防止等、県民の健康と健全で豊かな暮らしを支えています。 しかしながら、中山間地域を多く抱え、小規模零細な農業構造の本県では、農業者の減少・高齢化に伴い、人材の確保や担い手の育成、耕作放棄地の増加等が問題となっています。 私の地元である萩・阿武地域でも、農業に従事されている方の平均年齢は七十歳を超えており、今後、これらの世代がリタイアしていくことを考えると、小規模農家だけでなく、農業法人でさえ運営を続けていくのが難しくなってきているという話をよく耳にします。 今やあらゆる業種で人材不足が深刻化する中、社会的に農業が選ばれにくい仕事になっているのも事実で、外国人労働者など幅広い人材を視野に確保を図っていかなければ運営ができないところが多くあります。 このような中、県におかれましては、昨年度策定された、やまぐち農林水産業振興計画に基づき、新規就農者の確保・育成をはじめとして、農業経営の強化に向けた集落営農法人化や六次産業化、農商工連携など、様々な取組を行っておられます。 また、近年、デジタル技術を取り入れたスマート農業の導入などによる農作業の省力化・効率化などにも力を入れておられ、生産性と持続性の両立に向けて積極的に取り組んでおられます。 一方で、私の地元である萩市の弥富地区や阿武町の筒尾地区などでは、後を継ぐ世代が地元を離れ、高齢などを理由に離農された後、その農地がそのまま耕作放棄地の発生につながっている実態があります。条件不利地である上に、スマート農業など最新技術の活用が困難な農地ということもあり、借手とのマッチングがうまくいかないという問題もあるとのことです。 私は、農業の持続発展を図るためには、農地の保全は重要であり、特に本県では、中山間地域における耕地面積が県全体の六七%を占めることから、中山間地域における農地の保全は重要な課題であると認識しています。 ぜひとも、地元住民の声を聞きながら、地域の特性に応じた区画整理やスマート農業など、最新技術の活用が可能な農地の基盤整備などにしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。今後、食料需給が逼迫するおそれがあるとも言われている中、中山間地域の耕作放棄地の対策につながる基盤整備について、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 次に、医療的ケア児やその家族への支援についてお尋ねいたします。 医療技術の進歩に伴い、たん吸引などの医療的ケアが日常に必要な子供、いわゆる医療的ケア児が全国で増加しており、子供やその家族が心身の状況等に応じた適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となっています。 医療的ケア児については、昨年の十一月議会において、総合支援学校における体制整備の観点で取り上げさせていただきましたが、今回は特に支援学校を卒業した後について触れたいと思います。 先日、支援学校に医療的ケアが必要なお子さんを通学させている保護者の方から、実際にお話を伺いました。 支援学校では看護師が交代でケアに対応してもらえるため、送迎の負担はあるものの、学校に行っている間、保護者の方は仕事や家事をすることができます。 しかし、子供が十八歳になり学校を卒業すると、医療的ケアを必要とする方の通える施設が身近な地域には少なく、地域によっては、車で一時間以上かけて遠くの施設に通わなければならないとのことです。 医療的ケアが必要であっても、体は成長していくため、日中の家庭での介護は年々大変になります。受け入れてもらえる施設がないと、高齢となった保護者が子供を介護する、いわゆる老障介護の状態に陥ってしまいます。 お話を聞いた保護者の方は、将来、自分が先立ったとき、果たして子供がケアを受けながら安心して暮らしていくことができるのだろうかと大変心配されていました。 支援学校は県内各圏域にあることから、保護者の方にとっては、在学中、地域で生活できる環境となっていますが、特に卒業し、成人してからは身近に利用できる施設が限られており、かつ地域に偏りがあるように伺っております。 こういった施設の充実は、制度の下でサービスを提供してくださる事業者がいることが大前提でありますが、施設関係者からのお話によれば、施設・設備面を整えていくことの物理面のハードルや、医療的ケア児の対応に不安があるという精神面のハードルにより、受入れをちゅうちょしてしまうようなお話も聞きました。 こうした中で、本県では、昨年四月、医療的ケア児支援センターを県内二か所に設置され、本人や御家族への寄り添った対応を進められております。 また、今年度からは、御家族の方から特にニーズの高い短期入所施設、いわゆるレスパイト施設を増やし、御家族の負担軽減に向けた取組を進められているところです。 さきの十一月定例会で要望いたしました内容が着実に動き出しており、大変評価をしております。 県におかれましては、まずは県下全域におけるレスパイト施設の整備に向けてしっかりと取り組んでいただけたらと思います。 そして、このレスパイト施設の整備をきっかけとして、事業者側が抱えるハードルを取り払い、事業者がレスパイトのみならず、通所も含めたサービス拡充に向けてさらに一歩踏み出していただけるよう、県におかれましては、市町と連携して丁寧に事業者に対し働きかけをしていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。県は、医療的ケア児とその家族の方が地域で安心して暮らしていけるよう、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、アウトドアツーリズムの推進についてお尋ねいたします。 このゴールデンウイークは、天候に恵まれなかった日もあったとはいえ、県内の観光地に全国から多くの観光客が訪れ、多くのホテルや旅館が予約でいっぱいになったというお話を聞きました。 観光客数は、全国的にもコロナ禍前の約七から八割程度の水準にまで回復しており、観光地はにぎわいを取り戻しつつあります。 また、この五月八日にはコロナの分類が見直され、マスクを外す方も増えるなど、徐々にではありますが、コロナ禍前の日常が戻り始めています。 一方で、長く続いたコロナ禍は人々の行動や習慣を変化・定着させて、様々なトレンドにも影響を与えています。観光ニーズもその一つで、特にコロナ禍前からのトレンドであった物消費から、体験などの事消費へのシフトは急速に進んでいます。 観光客数などをコロナ禍前に戻す、またコロナ禍前を超えていく、そのためには、このニーズ変化に応えていかなければなりません。 こうした中、県では、コロナ禍で生じたニーズ変化に、本県の豊かな自然を生かして誘客につなげていくアウトドアツーリズムに取り組むこととされており、私は大変評価しています。 私の地元の萩を含む山陰地域にとっては、観光関連産業は重要な産業です。萩の歴史ある町並みや明治維新の文化資源などを目当てに毎年多くの観光客が訪れますが、こうした地域が磨き上げてきた魅力に加えて、山陰地域の豊かな自然を生かし、今のニーズを捉えた新たな魅力を引き出すことができれば、これまで以上に誘客や消費額向上などの効果が期待されるのではないでしょうか。 県内各地で観光客の心をつかむアウトドアコンテンツの整備を進め、新たな誘客獲得につなげていくことはもちろん重要ですが、私はいかにして宿泊や飲食、物産の購入など県内観光産業への潤いへとつなげていくのかということこそ、重要だと思っています。 地域が同じ方向性を持ち、一体となって取り組んで初めてその効果が出るものだと私は思います。ぜひ、知事の強いリーダーシップの下で、アウトドアツーリズムの機運を高めるとともに、地域の歴史や文化などの魅力を目当てに訪れた観光客に、さらにアウトドアを楽しんでいただき、一日でも多く滞在していただく、こうした取組を地域が一体となって進めていくようにリードしていただきたいと思うのです。 加えて、積極的なプロモーション展開も県に求められる大きな役割であり、福岡、広島という大都市に挟まれた本県の特色を生かし、両地域をターゲットにした機を逃さない戦略的なプロモーション展開により、誘客につなげていただくようお願いいたします。 そこでお尋ねいたします。コロナ禍前を超えて観光関連産業を盛り上げていくために、本県の魅力を生かしたアウトドアツーリズムの推進に県としてどのように取り組むのか、お伺いいたします。 最後に、部活動の地域移行についてお尋ねいたします。 この四月から、まずは休日の部活動を地域へ移行する取組が全国各地で始まり、私の地元萩市でも、市教委、学識経験者、民間スポーツ団体、文化団体の代表の方々が参画した部活動改革推進会議を開催し、まずは一部の種目からですが、地域移行に向けた取組をスタートさせたところです。 かつては、ほとんどの子供たちが入部していた部活動ですが、近年は少子化に加え、子供たちの興味・関心が多様化し、特に団体スポーツの入部者数が減少するなど、学校単位でその活動を維持することが難しくなっています。 こうした現状に加え、教員の多忙化解消に向けた働き方改革もあり、学校単位の部活動を地域としての活動へと移行させていくものですが、子供たちにとっては大切な三年間を過ごす場でもありますので、学校と地域が連携・協力して進めていかなければなりません。 しかし、総合型地域スポーツクラブやクラブチームなどが既に多く存在する都市部と異なり、地方においては受入れ環境が整っているわけではありません。特に大きな課題となるのが指導者の確保です。 総合型地域スポーツクラブなどに所属するコーチは、地域移行において指導者としても活動することが期待されていますが、地方においては、そもそもの団体が少なく、移行した際に十分な指導体制を確保できるか、地域からは不安の声が聞かれています。 また、国は、直ちに地域移行の体制を整備することが困難な場合には、学校での活動に地域の方から指導してもらう形を認めており、地方においては、現実的な選択枠となることも想定されますので、そのためにも十分な指導者数を確保し、備えていかなければなりません。 地域移行における指導者の確保は、県に求められている大きな役割の一つとされています。県は、指導者となる人材の養成、資質向上に積極的に取り組む必要があります。 そうした新たな指導者の養成等を着実に進めていくとともに、私は、現在、学校で指導している部活動指導員や、今後も学校部活動に携わりたいと考えている教員に、地域移行後も引き続き指導者として活躍していただくことも効果的な手法の一つだと考えています。 国が昨年十二月に示したガイドラインでは、地域移行に当たっては、教育的意義を継承させる方向性が示されており、こうした方々に参画していただくことで、教育的意義を地域の取組に落とし込みやすくなるのではないでしょうか。 県においては、ぜひ、県教委とも連携し、部活動指導員や希望する教員を含め、地域の多様な方々が指導者として活躍できる環境づくりを進めるとともに、子供たちにとっては単なるスポーツ活動の場としてではなく、活動を通じて勝つことの喜びや負けることの悔しさを仲間と分かち合う、そして心がつながり合う、そういった環境へとしていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。地域移行の取組を円滑に進めていただくために、県は指導者の確保など環境整備にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)岡議員の御質問のうち、私からは、アウトドアツーリズムの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍を契機に、人々の行動や価値観は大きく変化をしており、都市部を離れ、豊かな自然の中で過ごす体験型の旅行が人気を博すなど、アウトドアに着目した観光需要が拡大してきています。 私は、コロナ禍を乗り越え、本県観光の発展的再生を実現していくため、こうしたトレンドを追い風とし、三方が特色ある海に開かれ、美しい里山に恵まれた本県ならではの強みを最大限生かした新たなツーリズムの創出を図り、その誘客効果を県内観光産業全体へ波及させていきたいと考えています。 このため、先般、市町や観光事業者、関係団体等が幅広く参画する、やまぐちアウトドアツーリズム創出会議を立ち上げました。この全県を挙げた推進体制により、魅力的な体験コンテンツの開発や戦略的なプロモーションを強力に推進していくこととしています。 まず、魅力的な体験コンテンツの開発に向けては、国内外からの誘客の起爆剤となる、独創的で付加価値の高いコンテンツを本県に創出していくため、上限一億円の思い切った補助制度により、観光事業者等による意欲的な取組を力強く後押しをしていきます。 また、新たなコンテンツ開発により、アフターコロナの観光振興を図ろうとする地域に対し、アウトドアの知見を有するアドバイザーを派遣するほか、事業計画の具現化に向けたワークショップを開催するなど、市町や民間事業者等の実践的な取組を支援することとしています。 次に、戦略的なプロモーションについては、新たなツーリズムのブランド化に向け、本年秋に大規模なキックオフイベントを開催するとともに、多くの誘客が期待できる福岡県や広島県等をターゲットに、専用サイトの開設によるアウトドア体験の利用促進キャンペーンを展開していきます。 また、国内外の旅行会社に対し、アウトドアをテーマとした旅行商品の造成を働きかけることとしており、魅力ある体験コンテンツに、宿泊やグルメ、歴史、文化等の観光資源を効果的に組み合わせることにより、県内周遊の促進を図り、本県観光産業の持続的な発展につなげていきます。 こうした取組に加え、アウトドアツーリズムの集客拠点として、高いポテンシャルを有する山口きらら博記念公園の再整備を行うこととしており、今年度、基本構想を策定し、新たなアウトドア施設の導入等を進めていくこととしています。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、新たな人の流れと活力の創出による、アフターコロナにおける本県観光の発展的再生を実現するため、山口ならではの豊かな自然を生かしたアウトドアツーリズムの推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)食品衛生法改正に伴う営業許可制度への対応についてのお尋ねにお答えします。 食品の衛生管理の平準化等に対応するため、平成三十年に食品衛生法が改正され、これまで届出営業としていた水産製品や漬物を製造している事業者は、来年五月末までに条例で定める施設基準を満たした上で営業許可を受ける必要があります。 これらの伝統的な食品の製造業者には小規模事業者が多く、期限が迫る中、基準に適合するための施設整備への対応など、事業継続に不安の声が高まっており、国においても、基準の弾力的な運用などを許可権者である都道府県等に求めています。 このため、本県では、対象施設の実態を把握するため、立入調査等を実施したところであり、その結果、壁や天井に隙間があることや必要な数の手洗い設備がないなど、施設基準への速やかな適合が困難な事業者が確認されました。 また、これらの事業者の製品は、簡易な工程で製造されており、長期保存が可能であること、食中毒等の重大な事故の原因となっていないという状況があります。 こうしたことから、先週十九日、条例のしんしゃく規定に基づき、公衆衛生上支障がない範囲において、施設基準の一部緩和措置等を行いました。 具体的には、天井等について防護網の設置等により完全に隙間のない構造までは求めないこと、手洗い設備についてシンクとの兼用を認めることなどとしています。 また、天日干し等の屋外での製造については、施設基準の対象とはなりませんが、鳥や小動物等による汚染、異物の混入を防止するための作業手順を定め、HACCPに沿った衛生管理の徹底を図ることとしています。 今後は、まずは、基準緩和の内容について、事業者の理解が促進されるよう、各保健所において個別の相談に丁寧に対応するとともに、地域のニーズを踏まえて開催する説明会をはじめ、講習会や食品監視など様々な機会を捉えて周知を図ってまいります。 また、必要に応じて施設の現地確認等を行い、製造工程や多様な施設形態に即した具体的な改善策を提案するとともに、許可申請手続が円滑に進むよう、きめ細かな指導・助言に努めてまいります。 さらに、事業者自らが実態に応じてHACCPに沿った衛生管理計画を作成できるよう支援するとともに、その適切な運用に向けて、事業者からの相談対応や監視指導を行うこととしています。 県としては、こうした取組を通じて関係事業者が施設基準を満たし、適切な衛生管理を実施した上で、事業を継続できるようしっかりと対応してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)本県の特色を生かした養殖業の推進についてのお尋ねにお答えします。 海洋環境の変化等による漁獲の不安定化が進む中、生産性と持続性を両立した安定的で強い水産業の育成が必要であり、そのためには、本県の強みを生かした特色のある養殖業の推進が重要です。 このため、県では、全国各地の養殖魚との差別化を図るため、酒かすを餌に活用した、お示しのほろ酔いシリーズの開発・普及を進めてきた結果、サバやウマヅラハギの養殖が開始されるとともに、道の駅でのフェア等の開催を通じて認知度は着実に向上しています。 県では、こうした成果を県内へ広く波及させるため、これまでの取組の中で培ってきた開発手法を生かし、ほろ酔いシリーズの魚種や生産量の拡大と、新たな養殖技術の開発に向けた取組を積極的に展開することとしています。 具体的には、まず、ほろ酔いシリーズの魚種の拡大を図るため、養殖業者から要望の強いアユやトラフグ等の新規魚種の開発に加え、水産研究センター等によるきめ細やかな養殖指導や、漁業団体等と連携した現場普及に取り組むこととしています。 また、生産量の拡大に向けては、養殖生けす等の導入支援やICTを活用した自動給餌システム等の整備を支援するとともに、消費者ニーズに基づく戦略的な販売を促進することにより、生産規模の拡大や養殖業への新規参入を強力に後押ししてまいります。 次に、新たな養殖技術の開発に向けては、本県の特産品の瓶詰ウニの原料にもなり、重要な資源であるウニを対象として、本年六月から県内四地区において、成長等を把握する養殖試験を開始したところです。 また、この養殖ウニに、特産品である夏ミカンや長門ゆずきちの皮などを餌として与え、香りづけする取組を進めているところであり、今後、こうした技術をウニ以外の魚種にも活用し、特色のある山口県ならではの養殖技術の開発に積極的に取り組むこととしています。 県としては、関係団体等と緊密に連携しながら、生産性と持続性を両立した強い水産業の育成に向け、本県の特色を生かした養殖業の推進にしっかりと取り組んでまいります。 次に、中山間地域の耕作放棄地対策についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させていくためには、農地の有効活用や適切な保全が重要であり、このため、県では、これまで生産性を高めるための区画整理や水田の高機能化など、生産基盤の整備を進めてきたところです。 こうした中、とりわけ、傾斜地が多く、生産条件が不利な中山間地域においては、お示しのとおり、耕作放棄地の増加が懸念されることから、県としては、将来に向けて営農の継続が図られるよう、より効率化・省力化を意識した基盤整備を積極的に進めていくこととしています。 具体的には、まず、基盤整備の前提として、耕作放棄地が生じないよう、担い手の意向を踏まえた農地の円滑なマッチングを行い、将来の効率的な農地利用に向けた計画の策定を支援することとしています。 また、効率的な生産に向けた基盤整備については、地域の実情に応じてスマート農機が円滑に導入できるよう、区画の大きさや配置を工夫するとともに、圃場間の移動がスムーズとなる作業道の拡幅や進入路の配置などを行うことにより、作業効率を一層高めてまいります。 さらに、農地の一層の有効活用を図るため、水稲における用水調節の大幅な省力化に加え、水田の畑地利用も可能となる地下水位制御システムの導入等により、水田の高機能化を促進します。 加えて、農業者にとって負担感が強い、草刈りや水路の保全管理の省力化を図るため、リモコン式草刈り機の活用や泥上げが容易となる、幅の広い畦畔や勾配の緩やかなのり面の整備等を進めてまいります。 県としては、持続可能で力強い農業の実現に向け、中山間地域の耕作放棄地対策にもつながる生産基盤の整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)医療的ケア児やその家族への支援についてのお尋ねにお答えします。 医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活していくためには、市町や関係機関との連携の下、医療的ケア児の心身の状況やライフステージに応じた切れ目のない適切な支援が行われることが重要です。 このため、県では、やまぐち障害者いきいきプランに基づき、医療的ケア児支援地域協議会を設置して、医療、福祉、教育などの関係機関の連携促進を図るとともに、支援に携わる人材を育成するなど、医療的ケア児やその家族に対する支援体制の整備に取り組んでいるところです。 また、県内二か所に設置した医療的ケア児支援センターを支援の拠点として、利用可能な福祉サービス等に関する家族からの相談に応じるとともに、病院から退院する医療的ケア児の在宅生活に必要な支援について、関係機関による調整などを行っているところです。 こうした中、医療的ケア児を常時介護する家族には、身体的・精神的に大きな負担が生じており、子供の健やかな成長を図る上では、家族の心身の疲労を軽減することが求められています。 このため、県では、お示しのレスパイト施設を開設・拡充する事業者に対して、今年度、医療機器等の導入経費に係る助成制度を創設したところであり、今後、医療的ケア児とその家族が、身近な地域で利用できるレスパイト環境の整備充実に努めてまいります。 また、施設が医療的ケア児を受け入れるに当たっては、ケアを行うことのできる人員体制や設備の整備が必要であることから、事業者に対し、必要な人員、設備基準や報酬加算制度について説明を行うとともに、市町や関係機関と連携して通所も含めた施設のサービス拡充を働きかけてまいります。 加えて、施設職員がたんの吸引などの医療的ケアを安全かつ適切に実施できるよう、必要な知識・技能を習得するための研修を行っているところであり、引き続き、必要な人材育成を進めてまいります。 県としましては、医療的ケア児とその家族の日常生活や社会生活を社会全体で支えるため、引き続き、市町や関係機関等と緊密に連携し、一層の支援の充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)部活動の地域移行についてのお尋ねにお答えします。 少子化が進む中、国においては、学校単位での継続が困難となった部活動を地域へ移行する取組が進められており、本県においても、将来にわたり子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することが求められています。 このため、これまで県内の中学校において地域移行に向けた実践研究を実施するとともに、各市町の検討協議会の開催支援や関係者への周知啓発を図るなど、移行のための環境整備を進めてきたところです。 こうした中、県では、昨年十二月に示された国のガイドラインを踏まえ、地域移行に係る方針の素案を取りまとめたところであり、学校部活動の教育的意義や役割を継承する新たな地域クラブ活動の整備に向けて、指導者の量の確保や質の保障に取り組んでいくこととしています。 まず、指導者の量の確保については、本年三月、県教育委員会において、教員等が地域クラブ活動で指導に従事できるよう、兼職兼業の取扱いを定めたところであり、引き続き、希望する教員等が地域で活躍できる環境を整えていきます。 さらに、新たに人材バンクを設置し、スポーツ・文化芸術団体の関係者や、現在、学校で指導している部活動指導員など、幅広く指導者の登録を進めていきます。 次に、指導者の質の保障については、中学生への指導の在り方やハラスメント防止など、資質向上を目的とした研修会の開催等を通じて、地域で指導を担う人材の育成を図ることとしています。 県としては、将来にわたり子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保できるよう、県教育委員会と一体となって、各市町や関係団体等と緊密に連携しながら、指導者の確保をはじめ、部活動の円滑な地域移行に向けた環境整備に積極的に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十五分休憩