1 中小企業の人手不足対策について 2 AIの活用による地域課題の解決について 3 事業承継の促進について 4 大規模イベントの誘致について 5 教員の働き方改革について 6 うそ電話詐欺被害防止対策の強力な推進について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 森繁哲也君。 〔森繁哲也君登壇〕(拍手) 森繁哲也君 皆様、お疲れさまです。自由民主党会派の森繁哲也です。 新たな任期が始まり、初の定例会最後の一般質問登壇者となりました。登壇の機会を頂きました柳居議長をはじめ、議員諸兄姉の皆様に心から感謝を申し上げます。ありがとうございます。 そして、新たな任期の四年間、日頃から私の議員活動、そして、政治活動に御理解を頂き、身近で支えていただいている全ての皆様に感謝をし、初心を忘れず、真摯に、そして謙虚に、県政の諸課題に真正面からぶつかり、粉骨砕身することをお誓い申し上げ、通告に従い一般質問をいたします。 初めに、中小企業の人手不足対策についてお伺いをいたします。 少子高齢化による労働力人口の減少などを背景とする人手不足は、県内の中小企業においても大きな影響が出てきており、議場の皆様も業種を問わず経営者の方々から頻繁に耳にされていると思います。 帝国データバンクが、本年四月に実施をした、人手不足に対する企業の動向調査によると、正社員が不足している企業は半数以上の五一・四%、また、非正規社員が不足をしている企業も約三○%と、アフターコロナに向けて動きが本格化する中で、企業の人手不足感は高止まりの状況にあることが分かります。 人手不足は、残業時間の増加や有給休暇取得率の低下を招くなど、従業員の勤労意欲が減退する可能性があることも指摘をされています。また、深刻化すれば企業の事業の継続自体が難しくなるなど、従業員自身にも企業全体にも悪影響を及ぼします。 この人手不足を解消するには、もちろん経営者が一義的な責任を負うことは言うまでもありませんが、冒頭に申し上げたように、少子高齢化による労働力人口の減少が根本的な原因であることから、経営者の努力にも限界があると言えます。 そこで、対策の一つとして、外国人労働者の受入れが進んでいます。コロナ禍で受入れのペースは若干減少した状況になったと言われておりますが、国内に滞在する外国人労働者は昨年過去最高を更新し、百八十二万人を突破いたしました。このことからも、人手不足を解消するために外国人を雇いたいという需要が高まっていることが分かります。 実際に、私の地元下松市においても、製造業を中心に外国人労働者を雇用する企業が徐々に増加をしているのが現状で、私も頻繁に外国人労働者の雇用について経営者の方々から相談を受けることがあります。 本県では、山口しごとセンターにおいて、外国人の雇用を考えている中小企業に採用から就労、定着までワンストップでサポートをしていますが、いまだ県内の中小企業には外国人雇用には興味はあるが、どのような流れで雇用すればよいか理解が広まっていないところもあります。 そうした中、政府は人手不足が深刻な業界で外国人が働けるよう範囲を広げた在留資格である、特定技能二号について、これまでの二分野から十一分野に拡大することを閣議決定し、この秋頃から資格取得に必要な分野別試験を始める方針となっています。 今後、これまで以上に外国人労働者の雇用増加が見込まれていることから、中小企業の採用活動は活発化していくことが容易に想像できます。 そこで、県としても人手不足対策に外国人労働者の採用を考える中小企業がスムーズに採用活動ができるよう、追加される分野においてどの程度の採用が見込まれるのかの調査も含めて、これまで以上に中小企業の採用活動をサポートできる体制の構築を目指していただきたいと考えます。 そこでお伺いします。人手不足が深刻化する中、中小企業の外国人雇用に対するサポートについて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、AIの活用による地域課題の解決についてお尋ねをいたします。 チャットGPTの世界的な流行によって、高度な対話型生成AI、いわゆる生成AIへの注目が大きく高まり、様々な議論がなされています。 行政分野での活用は、情報の信頼性の確保や個人情報の管理、学習意欲の低下といったリスクが懸念されることから、自治体によって活用に慎重な姿勢も見られる中、本年四月、村岡知事は、生成AIが持つ可能性にいち早く着目され、リスクを排除しながら、行政の効率化や地域課題の解決に前向きに活用したいとのスピード感ある方針を示されました。 生成AIがもたらす変化は、産業革命やインターネット革命よりも大きいとも言われており、今後、爆発的に活用が広がることも予測されます。 本年五月のG7広島サミットでは、急速な技術革新に向けた対応の必要性が議論されました。広島AIプロセスの新設によって、年内を目途に著作権や知的財産の保護などに向けた国際ルールづくりなどが進められます。 また、今月発表された政府の骨太の方針において、AIの多様なリスクへの対応を進めると同時に、最適な利用やデータの整備・拡充を図り、開発力を強化していく方針が示されています。 一方、国内の大手企業においては、既に様々な分野についてAIの導入が進んでいます。生成AIによる企画書の作成などをはじめ、AIカメラによる販売予測や製品の品質管理など、多くの企業で業務の効率化や生産性向上が図られており、今後AIをどれだけ使いこなせるかが、企業の競争力を左右すると強く実感をしているところです。 このような生成AIを含むAIの活用は、デジタル化の取組を加速させ、生産性の向上のみならず、地方が抱える様々な課題の解決に資する可能性を持っていると私は感じています。 県においても、こうしたAI技術を有効に使いこなし、様々なサービスの向上を図っていかなくてはならないと考えます。 AIのさらなる活用を進めるに当たっては、まずは安心してこの技術が活用できるよう、有識者や専門家を交えながら、多様なリスクに適切に対応していくことが必要と考えます。 また、県の業務では、文章や資料の作成、データ分析などのウエートが大きく、チャットGPTなどの生成AIとの相性は非常によいと考えられることから、行政分野での活用をしっかりと進めていくことも重要です。 急速に進む技術革新に対応できる、高いAIリテラシーを持った人材を、官民双方で育成・確保していく取組も必要だと思います。 私は、そうして積み重ねる県の実績も十分に踏まえながら、自らが旗振り役となり、地域課題解決に向けて様々な主体や分野でのAIの実装を促すことで、多くの方々が生活や仕事、事業活動の中でAIがもたらす利便性や有益性をしっかりと実感できるよう取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。AIを活用した地域課題の解決に向けて、県はどのような認識に立ち、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、事業承継の促進についてお尋ねいたします。 いわゆる団塊の世代が後期高齢者となり、日本が超高齢化社会に突入することで起こる二○二五年問題、雇用や医療、福祉といった様々な分野へ多大な影響を及ぼすことが予測をされていますが、事業承継においても例外ではありません。 中小企業の経営者の高齢化は止まらず、帝国データバンクが行った調査によると、二○二二年十二月の県内企業の社長の平均年齢は六十・四歳となり、過去最高を更新をしています。 一番の大きな要因は、後継者不足、つまり事業承継による世代交代が進まないことにあります。 後継者難による昨年度の倒産件数は、全国で四百八十七件と調査を開始した二○一三年以降で過去最高を更新をいたしました。 また、後継者不足による休廃業も増加傾向にあり、二○二五年を前に既に企業のリスクとして顕在化しており、対応を急がねばなりません。 県内の地域によっては、事業所数自体が少なく、同種のサービスを提供する事業所数が限られ、場合によっては他に存在しないということもあります。こうした地域では、特に必要とされる事業を一つでも多くつないでいくことが必要です。 このように事業承継は、事業者個々の問題ではなく、地域経済の問題、ひいては日本経済全体につながる大きな問題です。社会課題として真正面から取り組まなくてはなりません。 このため、国や県、支援機関や金融機関など様々な主体が事業承継問題の解決に向け取り組んできました。その支援を受け順調に事業承継の準備を進める企業もあります。 しかし一方で、日々の業務に追われ、その準備まで十分に手が回らないという事業者もあります。特に、コロナ禍で深刻な打撃を受け、事業承継を後回しにしてきた事業者は、続く物価高で諦めを加速させているのではないかとも考えます。 そうした事業者が、廃業を選択する前に可能な限り手続や準備を行い、他の選択肢がないか再評価することができる環境を整えることが重要です。 M&Aなど様々な継がせ方、継ぎ方があるということをしっかりと知っていただき、最善の選択肢を見つけることができるよう支援をしていただきたいと思います。 また、地域経済を持続的に発展させるためには、事業承継を単なる経営体制の変更で終わらせるのではなく、さらなる成長と発展を遂げるための重要な転機として積極的に活用することも重要です。 そのためにも未来を担う後継者の不安を取り除き、彼らが自信を持って新たな挑戦に果敢に取り組めるよう、関係機関が一体となってサポートしていくことも必要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。超高齢化社会へ突入する中、コロナ禍や物価高等で鈍化した中小企業の事業承継対策を再加速することが、地域経済の持続的な発展に向け必要だと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、大規模イベントの誘致についてお尋ねいたします。 今月十七日、十八日に、ミュージシャンの小田和正さんの全国ツアーが山口きらら博記念公園で開催をされ、二日間で約二万人の方が来場されました。我々世代もドラマやCMで耳にする数々の名曲、七十五歳という年齢を感じさせないライブパフォーマンスに、来場者は酔いしれたとのことです。 近隣の観光地のホテルや旅館は予約でいっぱいになるとともに、小田さんが訪れた観光地にはファンが殺到したとSNSで話題になっていました。こうしたイベントへ参加される方の購買意欲は旺盛で、各地に経済効果をもたらします。 今年度に入り、山口きらら博記念公園では、一日の来場者が一万人を超える多種多様なイベントが数多く開催をされています。 九月には、今年で九回目の西日本最大級の音楽フェスが三日間にわたり開催される予定でもあり、県内外から多くの方が訪れます。長く続いたコロナ禍が明け、人々はにぎわい・活気を感じる、開放感あふれる大規模なイベントを求めており、私はこのニーズの高止まりを逃すことなく、特に経済効果の高いイベントの誘致に取り組んでいく必要があると思っています。 また、こうした大規模イベントを本県の認知度向上と、さらなる本県の誘客拡大のチャンスと捉え、イベントと連動した積極的かつ効果的な観光プロモーションの実施により、県内各地へ波及効果をもたらすよう取り組んでいかなければなりません。 一方で、このたびの大規模イベントの際にも、交通渋滞という課題が実際に発生し、イベント主催者を悩ませたと伺っています。誘導員の増員、動線や駐車場の配置を工夫するなど、コストや時間を割いて、主催者側の努力で何とか対応してきている状況ですが、県が取り組むことにしている山口きらら博記念公園の機能強化においては、こうした課題にもしっかりと向き合って解決していくことが、さらなるイベント誘致に向けても重要になるのではないでしょうか。 また、デジタルサイネージを大胆に配置するなど、デジタル技術を使った汎用性や応用力の高い情報発信機能を備えることができれば、イベント来場者への低コストでの積極的なプロモーションも可能となり、県内各地への波及効果を高めることにもつながると思います。 こうした機能強化の実現により、他県会場との差別化を図り、一つでも多くの大規模イベントの誘致を実現していただくとともに、その効果を県内経済全体へと波及させることにもしっかりと取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。地域経済の活性化を図るために、山口きらら博記念公園における経済効果の高い大規模イベントの誘致と、その効果の県内への波及に県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、教員の働き方改革についてお尋ねいたします。 今議会において、他の議員からも質問で取り上げられておりますけれども、本県では今年度教員不足により、中学校二年生、三年生については、一クラス三十八人を基準として学級を編成し、また、一部の教員の加配を臨時的に見送ることとされました。 教員志望者が近年減少する中、全ての小中学校において担任を確保し、また、各教科の履修を滞りなく実施するためには、中学校二年生、三年生の三十八人学級化への変更、これはやむを得ない決断であったと理解はいたします。 しかしながら、教員不足は、教育現場に確実に影響を及ぼしています。 私の地元である下松市の、ある中学校では、年度当初は全ての学級で担任の先生が配置をされスタートを切ったものの、五月連休明けに一人の担任の先生が休職されることとなりました。 その際、直ちに代わりの先生を見つけることができず、急遽、再任用の先生がその学級の担任をされることになったとのことです。そのため長期間の担任不在といった状況には至らなかったものの、先生方の業務が多忙化し、当初の予定どおりに履修が進んでいない教科も生じており、新学期早々ということもあって、一部の生徒からは不安の声が出ているともお聞きをしています。 このような事象は、決してこの学校特有のものではなく、全県的に生じる可能性があると考えられます。この大きな要因は、教員不足にあり、もちろん県教委には教員の確保に確実に取り組んでいただきたいと思いますが、同時に、こうした今まさに現場で起きている課題に現実的に対処していかなければなりません。 そのためには、県教委はこれまで取り組んできた教員の働き方改革をより一層進めていく必要がありますが、それはどこまでも児童生徒の学びの充実のため、教員が子供たち一人一人と向き合い、充実した学習指導に集中してもらえる環境を整えていくことを目的として取り組んでいくことが重要だと考えます。 また、働き方改革を進めるに当たっては、しっかりと現実を見定め、子供たちの成長にとって何が必要で、何ができるのか、保護者や地域の方々と思いを共有した上で実行することも重要です。 現場の先生方においては、目の前の子供たちのためには、とことん行うという考えになるのは当然であることからこそ、県教委のリードにより取捨選択を行い、関係者を含めて思い切った意識改革を図る取組を進めることも今求められているのではないでしょうか。そして、市町教委とも連携の上、オール山口県の体制で取組を進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。教員不足の影響が現実的な課題として現れている中、子供たちが安心して学びを継続できるよう、教員の働き方改革をさらに進める必要があると考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、警察行政のうち、主に高齢者が被害に遭っている、うそ電話詐欺被害防止対策に向けた取組についてお伺いをいたします。 令和四年中の全国でのうそ電話詐欺認知件数は一万七千五百二十件、被害額は約三百六十億円以上になり、山口県内においては認知件数が百七件、被害額が約二億五千万円にも上ります。 山口県内の被害のうち、六十五歳以上の高齢者が被害者となったものが、約七三%にもなるということで、多くの高齢者が老後のためにこつこつと貯蓄をしてきた、まさにその方の人生が詰まったと言える財産を詐欺被害により失ってしまっています。 この問題については、これまでもこの議場で何度も議論がなされ、その都度、県警も被害防止拡大に向けて尽力してきたことは存じ上げております。 しかし、山口県では、昨年六月二十七日から継続して、うそ電話詐欺警戒警報が発令されている状況が続き被害に歯止めがかかっていないのが現状です。 さらに、本年五月には、七日間で五件以上のうそ電話詐欺被害の発生を認知したために、本年一月に新設された、うそ電話詐欺特別警戒警報が発令される事態にまで発展をしてしまいました。 県警としても、県内の各警察署が、防犯ボランティアや市役所職員等と連携をして、大規模商業施設の利用客に対し被害防止啓発チラシや防犯グッズを配布するなどして被害防止を呼びかけるキャンペーンを実施したり、地域の高齢者宅を戸別訪問して防犯意識の高揚を呼びかけたりと被害防止対策を行い、特別警戒警報の延長という最悪の事態は避けることができたものの、散発的にパソコンやスマートフォンでの架空料金を請求して、コンビニで電子マネーを購入させたりする詐欺被害が発生をし続けています。 うそ電話詐欺によって被害に遭われた方は、一生後悔をし続け、もしかしたら周りから責められ、家族間の関係が壊れた方もいらっしゃるかもしれません。 私は、このうそ電話詐欺、特に高齢者に対しては心の殺人だと考えています。一人でも多く、悲しむ人間を減らす、誰もが被害に遭わないように、これまで行ってきた対策を検証し、さらに工夫を凝らしたより効果的な対策を進めることが必要であり、県民が求める安全・安心につながると考えます。 そこでお尋ねいたします。警察が認知した、うそ電話詐欺被害件数は、昨年に比べると減少しているかもしれませんが、被害者にとっては、たった一件でも発生すると貴重な財産を失う大きな損失であることは間違いありません。県民の安全・安心な山口県を実現するために、今後のうそ電話詐欺被害防止対策にどのように取り組んでいかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いし、私の一般質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)森繁議員の御質問にお答えします。 まず、AIの活用による地域課題の解決についてです。私は、デジタルの力を積極的に活用して、地域が抱える様々な課題の解決を図り、それにより県民が豊かさと幸せを実感できるデジタル社会を構築することを目指し、本県のデジタル改革を強力に推進しています。 その推進に当たっては、改革のより高い成果を生み出すためにも、日々進化するデジタル技術の動向に常にアンテナを張り、それを迅速かつ効果的に取り込んでいくことが重要です。 とりわけ、急速に進化するAIは、人手不足などの課題の解決とともに、AIによる新たなサービスの創出など、県民の暮らしをより豊かで便利なものとすることが期待されており、その活用を積極的に進めていきたいと考えています。 これに向け、まずお示しのあった生成AIについては、各CIO補佐官から、その技術が、社会・経済を爆発的な速度で大きく変えることを前提に、県が遅れることなく対応できるよう、速やかに動き出すべきとの意見を頂きました。 こうした御意見を踏まえ、私は庁内に新たにAI活用検討チームを立ち上げ、生成AIの活用に当たっての当面のルールを定めた上で、その可能性を把握するための試行を広く進めており、今後、有効な活用手法をしっかりと見いだし、リスクに的確に対処しながら、その実装を図っていきたいと考えています。 また、県内におけるAIの利活用促進に向けた取組もさらに強化・加速していきます。 これまで取り組んできたインフラメンテナンスや子育て支援などの取組に加え、今年度からAIデマンド交通等を導入する市町を支援するなど、デジタル実装推進基金を最大限に活用して、各分野でAIの実装の拡大を図ります。 さらに、県のDX推進拠点「Y─BASE」において、企業等によるAIの画像認識や顔認証等の活用事例も生まれており、今後もDXコンサル等を通じて、様々な主体のAIの活用を支援していきます。 こうした取組に加え、AIの活用を担う官民双方の人材の育成・確保も大きな課題です。 このため、CIO補佐官によるセミナー等の開催とともに、オンラインによるAI学習プログラムの提供や、AI開発スキルの向上を図るワールドAIコンペティションの開催など、「Y─BASE」の機能も生かし、人材育成の取組を強化していきます。 さらに、来月の台湾訪問では、私自身がオードリー・タンデジタル担当大臣と生成AIとの向き合い方や人材育成の進め方等について意見交換を行う予定としており、対談の成果をAI時代のデジタル改革の新たな展開へと生かしていきたいと考えています。 私は、AIの活用による地域課題の解決に向けた取組を積極的に展開し、県民の皆様に確かな実感につながる成果を届けられるよう、今後も全力で取り組んでまいります。 次に、大規模イベントの誘致についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の五類変更に伴い、観光地が活気を取り戻すなど、社会経済活動が活発となる中、新たな人の流れと活力を生み出す大規模イベントの開催は、地域のにぎわいを創出し、宿泊や飲食、物産など幅広い分野に大きな経済効果が期待できます。 こうした中、山口きらら博記念公園では、今年度に入り西日本最大級のグルメイベント、全肉祭や、お示しの小田和正氏のコンサートが開催され、コロナ禍前にもなかった新たな大規模イベント開催の動きが次々と出てきています。 さらに、この秋には、三日間で過去最大規模となる約九万人の来場が見込まれる野外音楽フェスティバル、ワイルドバンチフェスや、日本初上陸となるディズニー音楽と花火のエンターテインメントなど、集客力の高い大規模イベントも予定されています。 私は、こうした流れを追い風とし、本県経済の発展的再生につなげていくためにも、交流や集客の拠点として高いポテンシャルを有している山口きらら博記念公園に、今後さらに多くの大規模イベントを誘致するとともに、その効果を全県に波及させる取組を積極的に展開していきます。 まず、誘致に向けては、全国屈指の広大な敷地や自然豊かなロケーションなど公園の強みを明確化し、その優位性をアピールする動画の作成や、イベント事業者を招いた現地視察の実施などにより、効果的なセールス活動を展開していきます。 一方で、大規模イベントの際には、お示しの交通渋滞の回避も重要であることから、当面の対応として、道路や駐車場内における車両の誘導方法等について、主催者に助言を行っていきます。 また、今年度は、交流拠点化に向けた基本構想を策定することとしており、その中で交通量に応じた駐車場の運用の在り方等についてもしっかりと検討してまいります。 次に、イベント効果の全県への波及については、来場者の県内周遊を促進するため、会場内に観光・物産ブースを出展し、本県の多彩な魅力をPRするほか、デジタルサイネージをはじめ、デジタル技術を活用した情報発信を強化するなど、効果的なプロモーションを展開していきます。 また、旅行会社に対し、イベントに宿泊やグルメ、温泉など優れた観光資源を効果的に組み合わせた旅行商品の造成を働きかけることにより、県内周遊を一層促進し、観光消費の拡大につなげていきます。 私は、交流拡大の拠点となる山口きらら博記念公園への大規模イベントのさらなる誘致を積極的に推進し、その効果を全県に波及させることにより、アフターコロナの本県経済の活性化に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)中小企業の人手不足対策についてのお尋ねにお答えします。 労働力人口の減少が進む中、本県産業が持続的に成長・発展していくためには、産業を支える人材の確保が極めて重要です。 このため、山口しごとセンターにおけるワンストップ相談体制の整備や就職フェアの開催など、様々な支援策を講じ人材確保に取り組んでいますが、地域経済の回復に向けた動きが強まる中で、企業の人手不足が深刻化しています。 外国人材の活用は、人材確保を図るための有効な方策であることから、こうした課題の解決に向けて、外国人材の円滑な受入れを積極的に支援することとしています。 具体的には、県内中小企業等がニーズに応じた外国人材を円滑に受入れできるよう、山口しごとセンターに外国人材雇用アドバイザーを配置し、外国人材の採用・受入れについての助言等を行っています。 また、労働局と連携し、外国人雇用時の留意事項やコミュニケーションの取り方などについてのセミナーを開催するとともに、職場で必要となる日本語の習得に向けた企業の取組に対する支援を実施しています。 こうした中で、昨年十月末現在の本県の外国人労働者数は九千人を超え過去最高となり、今後、技能実習制度の見直しや特定技能二号の対象分野の拡大により、さらなる増加が見込まれます。 このため、外国人材の受入れ等に部局横断的に取り組む庁内連絡会議を活用し、国の新たな制度の方向性が示される秋頃を目途に、企業や業界団体を対象とした外国人材受入れの見込みや、求める支援策等について調査を実施します。 また、調査に併せて、アウトリーチ支援による企業の雇用ニーズの掘り起こしを行うとともに、企業ニーズを踏まえ、外国人雇用全般に係る総合的な相談体制の拡充などの支援策について検討を進めてまいります。 県としては、国の新たな制度の検討状況を踏まえ、外国人材の受入れが円滑に進むよう、中小企業の支援体制の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、事業承継の促進についてのお尋ねにお答えします。 県ではこれまで、国や市町、関係機関で構成する事業承継支援ネットワーク会議を核として、セミナーによる普及啓発、専門家派遣による相談対応、さらには後継者育成支援プログラムの実施等により、円滑な事業承継の推進に取り組んできました。 こうした中、本県中小企業の後継者不在率は改善が見られるものの、依然として全国水準を上回り、また経営者の高齢化も進みつつあることから、事業承継の早期準備への意識喚起や、事業者の抱える課題等に即した支援をさらに進めていくことが必要です。 このため、昨年度六百社を超える事業者に対し、訪問実施した経営課題診断について、今年度から診断員を四名から六名に増員し、事業承継の理解促進やニーズの把握等の取組強化を図り、関係機関との連携による的確な支援につなげてまいります。 まず、親族等への承継を希望する事業者に対しては、商工会議所や金融機関による事業承継計画の策定支援や経営者保証の解除に向けた相談対応等により、後継者の早期確定を支援してまいります。 また、後継者が不在で、第三者への承継を希望する事業者に対しても、事業承継・引継ぎ支援センターのデータベースの活用をはじめ、M&A支援機関との連携によるマッチング強化等の取組を進めていきます。 さらに第三者承継の一層の促進を図るため、今年度から新たにM&Aの専門家を事業者に派遣し、M&Aに関する経営者の理解を深め、事業承継の一つの選択肢としてその活用を促す取組を進めます。 こうした取組に加え、事業承継を契機として、経営革新や新事業展開等につながるよう、国の事業承継・引継ぎ補助金や、県制度融資、事業承継支援資金等の活用促進も図りながら、後継者による新たな挑戦を支援してまいります。 県としては、地域経済の持続的な発展に向けて、今後とも関係機関と緊密な連携を図り、中小企業の事業承継の促進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員の働き方改革についてのお尋ねにお答えします。 近年、教員不足が大きな問題となっている中、教職の魅力を高め、教員の確保に一層努めるとともに、教員が教員でなければできない業務に全力投球できるよう、お示しのとおり、学校における働き方改革を推進することは極めて重要であると考えています。 このため県教委では、学校における働き方改革加速化プランに基づき、持続可能な学校の指導・運営体制の構築や、教職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向け、市町教委と緊密に連携しながら、働き方改革の取組を進めてまいりました。 具体的には、学習指導や校務等におけるICT機器の活用による業務の効率化や、教員の事務的業務を補助する教員業務支援員の小中学校への配置に取り組むなど、教員の負担軽減を図ってきたところです。 こうした取組により、時間外在校等時間の縮減など一定の成果があったものの、教員の勤務の実態は依然として厳しく、今後も教員の負担軽減に向けた取組を一層進め、児童生徒の学びの充実を図る必要があると考えています。 このため県教委では、成績や出席状況などの多様なデータを一元管理し、校務の効率化を図る目的で県立学校に導入した統合型校務支援システムの成果を踏まえ、今年度全ての公立小中学校へのシステムの導入に向けた支援を行うとともに、教員業務支援員等の定数化に係る国への要望など、学校支援人材のさらなる充実に向けて取り組むこととしています。 また、働き方改革を進めるに当たっては、保護者や地域の方々の理解を得る必要があることから、改革の目的や教員の勤務の実態を伝えるリーフレットを作成・配布するとともに、県内全ての公立学校に設置した学校運営協議会において、学校の課題解決に向けた取組について協議するなど、学校、家庭、地域の連携・協働体制の充実を図っているところです。 県教委といたしましては、次代を担う子供たちの豊かな学びや育ちの実現と教職の魅力向上に向け、市町教委や学校、家庭、地域と一体となって、学校における働き方改革を一層推進してまいります。 〔繁吉教育長の発言中、島田副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)うそ電話詐欺被害防止対策に関する御質問にお答えします。 うそ電話詐欺については、昨日現在で三十七件、約一億一千万円の被害を認知しており、五月には、議員お示しのとおり、立て続けに被害を認知したことから、県下に特別警戒警報を発令するなど厳しい状況にあります。 また、依然として高齢者の方が被害の大半を占めており、被害者の中には、金銭的な被害にとどまらず、自責の念や家族への申し訳なさから自殺を考える方もおられるなど、この種事案は、人の良心に付け込んだ許し難い犯罪であると考えています。 こうした中、県警察では、うそ電話詐欺被害防止対策を治安上の重要な課題と位置づけ、その撲滅に向け重層的な取組を強力に推進しているところです。 具体的な取組ですが、広報啓発活動については、詳細な犯行手口や被害状況について、報道機関へ積極的に情報提供するとともに、あらゆるネットワークを通じ、広く県民に周知しているほか、高齢者世帯への戸別訪問の際には、固定電話の防犯機能の強化について教示するなど支援策にも取り組んでいます。 また、水際対策として、金融機関の窓口やATM、コンビニエンスストアでの電子マネー購入といった被害が発生する現場で実際に声をかけ、被害を食い止める、そうした協力要請を継続して行っております。 こうした取組の結果、昨年は百六十六件、本年は五月末現在で五十八件の被害を未然に阻止していただき、その阻止率は昨年で約六割、本年に入って約七割となっております。 こうした協力を頂いた金融機関の職員、コンビニエンスストアの店員、あるいはタクシーの運転手の方もおられましたが、そうした方には感謝状をお渡しして謝意を伝えております。 まずは、だまされないようにする。仮にだまされたとしても、周りの方が声をかけ、被害を発生させないといった抑止の取組をさらに進めてまいります。 次に、事件検挙ですが、五月末現在で、オレオレ詐欺の現金受け取り役や犯罪者グループに現金受け取り役を紹介するリクルーターなどの実行犯を七人、銀行口座などを提供した助長犯を十六人、それぞれ検挙しています。 この種事案は、御案内のとおりですが、いわゆる闇バイトで勧誘された受け子や掛け子、口座や電話を準備する者、そして、それらを束ねる者などにより組織的に敢行されていることから、上部被疑者への突き上げ、金の流れの解明により、組織の壊滅を図ってまいります。 県警察では、引き続き、うそ電話詐欺の撲滅に向け、抑止と検挙の両面で実効ある取組を強力に推進し、安全・安心な山口県の実現に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。