1 少子化対策について 2 公共交通について 3 ジェンダー平等な社会の実現について 4 中間貯蔵施設の調査について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 副議長(島田教明君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 酒本哲也君。 〔酒本哲也君登壇〕(拍手) 酒本哲也君 やまぐち県政会の酒本哲也です。会派を代表いたしまして、順次質問いたします。 まず、少子化対策について質問いたします。 二○二三年一月一日現在、日本人の人口は一億二千二百四十二万人余りで、前年に比べて約八十万人減少し、十四年連続の減少となりました。この減少は、昭和四十三年以降の調査開始以来、最も大きなものであり、減少率も同じく過去最高となりました。さらに、初めて四十七都道府県全てで人口が減少しております。 ちなみに、減少した約八十万人という数字は、佐賀県の人口に匹敵します。 出生数は約七十七万人で、昭和五十四年以来の最低値を記録し、一方で亡くなった方は約百五十六万人で最も多くなりました。この結果、亡くなった人が生まれた人を上回る自然減の数は七十九万人強と、十五年連続で増加し続けています。 政府はこの人口減少や少子高齢化に対処するため、働き方改革や女性や高齢者の就労促進を通じた労働市場改革などを推進し、また、子供・子育て政策を強化する、こども未来戦略方針を策定して、少子高齢化と人口減少の課題に取り組んでいく意向を示しております。 日本の少子化が社会に及ぼす影響は、経済、産業、社会保障、そして地域に広がっております。 本県が八月二十五日に公表した人口移動統計調査によれば、二○二三年八月一日現在の推計人口は百二十九万八千五百七十二人となり、一九六六年の調査開始以来、初めて百三十万人を下回りました。今年八月一日の推計人口は前年同月比で一万六千百九十九人減少し、県内の全十九市町で人口が減少しております。 山口県は過去において、高度経済成長期の一九六○年から一九七五年に大量の転出があり、その後も転出超過の状況が続いております。高齢化も進行し、昨年の高齢化率は全国で三番目に高い三五・二%でした。また、県内で生まれた子供の数は、人口動態統計調査開始以来の最低値となる七千七百六十二人となりました。 本県の人口減少は一九八五年以降一貫しており、これまでの傾向が続くと二○四五年には約百四万人まで人口が減少する見込みです。 人口減少が進むと、労働力の不足、経済規模の縮小、社会保障制度の負担増、基礎的自治体の担い手不足、地域コミュニティーの維持が困難になるなどの課題につながります。これらの問題に対処するためには、若者の雇用の場を確保し、安心して子育てができる環境を整備することが若年層の人口流出抑制につながります。 若い世代が定着し、人口増に成功した自治体の例に明石市がよく挙げられますが、明石市の成功の鍵となったのは、医療費や給食費、保育料などを無料化した政策です。 また、同市の成功は市民に対する情報発信と広報活動にも支えられております。 本県がこれらの要点を考慮に入れ、各市町との連携を強化し、子育て支援を中心とした少子化対策に力を入れることで人口減に歯止めをかけ、本県の持続可能な発展につながり、若者の移住促進にもつながると思います。 また、子育て支援策を広く知らせ、県民の意識を高めるために県のウェブサイトやソーシャルメディアを活用し、今まで以上に情報にアクセスしやすくするなど、積極的な広報活動を行うことも重要だと考えられます。 そこでお伺いします。着実に進む人口減少問題に対し、県としてどのように少子化対策に取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、公共交通について、公共交通における二○二四年問題についてお伺いします。 全国の公共交通は、人口減少、運賃収入の減少、地域間格差、インフラ老朽化など、多くの課題に直面しております。 地域間格差は、都市部と地方部の間で公共交通へのアクセスが大きく異なることを指します。都市部では公共交通が充実していますが、地方部ではバスや電車の本数が少なく、移動手段が限られています。これは地方部の生活者にとって大きな負担となります。 本県では、人口減少や少子高齢化、運転手不足などの問題に直面しており、公共交通の充実が求められております。県では、新たな地域交通モデル検討委員会を設置し、地域交通の課題解決を図っておられます。 本県は、二○二一年三月に地域特性等を踏まえた課題を整理し、新たなモビリティーサービスの活用や既存の公共交通サービスの改善等を含めた様々な視点からの取組を推進していくことを目指し、新たな地域交通モデル形成に関する取組方針を策定いたしました。 この取組方針では、人口減少、少子高齢化、観光、運転手不足、新たな技術の開発や社会実装の動き、災害、新型コロナウイルス感染症の影響、地域交通に関する法律の改正などを取り上げ、それぞれの課題に対して取り組むべき重要テーマを示しております。 県内では、観光客や地域住民の利便性の向上だけでなく、支払い時における接触を避けることにつながり、新型コロナウイルスの感染予防策にもつながることから、令和六年度を目途に県内全ての路線バスで交通系ICカードが利用できるよう、導入促進に取組が進んでいます。 JR西日本は、二○二三年四月一日から山陽本線や山陽新幹線でのICカードサービスを拡大しました。 また、船木鉄道や山口東京理科大学等と連携し、事業者自らが整備した公共交通データを活用するローコストで維持可能なバスロケーションシステムの導入実証事業を行い、今年四月一日から本格導入されております。 全国的な課題として、二○二四年四月から労働時間に関する規制が変更することにより生じる、いわゆる二○二四年問題がクローズアップされております。 長時間労働問題を是正し、ワーク・ライフ・バランスを改善すること等を目的として労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。 自動車運転者の一日の拘束時間は、最も拘束時間が長かった一日において、平均で十三・九時間、バス運転者は十四・八時間、タクシー運転者は十五・七時間と極めて長時間にわたっていることが分かります。 二○二四年四月からは一日の拘束時間、出勤から退勤の時間の上限が十五時間に制限されることになります。現状、路線バス事業者は人手不足であり、改善基準の改正によって、勤務間のインターバルが八時間から九時間に変更になることによって、路線バスのダイヤにも影響が出ることが予想されます。 そんな中、大阪府富田林市を中心に運行している金剛自動車の路線バスが、今年の十二月二十日をもって全路線の運行を終了する予定との報道が今月十四日にありました。運転手不足と利用者の減少が主な理由とされております。 同社は、富田林市と隣接する町村を走る路線バスを運行しており、これらの地域で住民の交通手段となってきましたが、運転手の退職が増え、求人を出しても集まらない状況が続いたそうです。 さらに、新型コロナウイルスの影響で利用者数も減少したため、売上げが落ち込んでおり、全路線で赤字が常態化したということです。 同社は、府や四市町村に対して経営状況の悪化を説明し、運営の補助金交付を要望しましたが、運転手の確保や車両更新などの設備投資も考慮すると手遅れだと判断し、近畿運輸局に対して十二月二十一日以降はバス事業を廃止する方針を伝えたということです。 公共交通を担っておられる運転手の人手不足は喫緊の課題です。 そこでお尋ねします。公共交通が抱える問題のうち、二○二四年四月から起こる可能性がある、バス、タクシーの人手不足に対し、今後の公共交通の維持に向けて事前に各事業所との協議は進んでいるのか。また、県としてどのように取り組んでいるのか、お示しください。 次に、鉄道事業の維持について質問いたします。 ローカル線に関しては、これまでJR西日本と山口県を含む沿線自治体とで利用促進等、協議を重ねてきました。 JR西日本は、ローカル線の維持について様々な課題を抱えており、二○二二年四月十一日に、ローカル線に関する課題認識と情報開示についてという報告書を発表いたしました。 この報告書では、ローカル線の利用者数減少や沿線人口の減少、道路を中心としたまちづくりの進展などが課題として上げられています。また、地域のまちづくりや線区の特性、移動ニーズを踏まえて、地域旅客運送サービスの確保に関する議論を行いたいことを明らかにしています。 輸送密度が二千人未満の十七路線三十区画を公表し、そのうち二十五区画が輸送密度千人未満であり、年間平均で約二百四十八億円の赤字が出ていることを報告もされています。 JR西日本は、国土交通省の有識者会議で示した赤字路線の存廃に関する提言に対して、地域の将来と利用者の視点で、利用しやすい最適な交通体系の実現に向けて地域の皆様と共に議論を進めるとコメントしております。 そんな中、本県では、今年七月に大規模な大雨災害が発生いたしました。 美祢市で約五千戸、下関市で約千四百七十戸が断水したほか、大変残念なことにお亡くなりになられた方もいらっしゃいます。この大雨災害は各地に甚大な被害を及ぼしました。 この災害により多くの人々が影響を受けております。被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。あわせて、復旧作業に従事されている方々に心から感謝を申し上げます。 この災害で、JR山陰本線の小串から長門までの間が運休しており、JR西日本の美祢線は美祢市内の厚狭川に架かる線路の崩落などが確認され、両線ともに復旧の見通しが立っておりません。 この間、代行としてバスが運行されております。 美祢線について村岡知事は、美祢線は県の南北を結ぶ重要な路線で、住民の通勤・通学に欠かせない。これを機に廃止の議論に行くことは到底許されず、認められない。残すための復旧を求めていきたいと強調されております。 美祢線は二○一○年の豪雨でも被害を受けており、その際、第三厚狭川橋梁の流出がありました。 この復旧については、仮想原形復旧という考え方が用いられました。河川の改修は山口県、橋梁の再建は鉄道事業者であるJR西日本の負担と原則は変わらないものの、その際、橋梁の復旧費用は川幅の拡幅などの改修を行わない、つまり、流出前の原形を復旧すると想定した場合の費用分のみの拠出を事業者に求め、鉄道事業者の負担を軽減するという仕組みでした。 県とJR西日本が協定を結び、工事はJR西日本が行いました。これにより美祢線は復旧することができました。 そこでお尋ねいたします。このたびの災害に関し、JR西日本は、今後については厚狭川流域にお住まいの方への被災を再度起こさないためにも、河川計画を含めた防災強度の向上が必要だとの考え方を示されましたが、今後、JR美祢線とJR山陰本線の小串から長門間の復旧に向け、県としてどのように対応していくのか、御所見をお伺いします。 次に、ジェンダー平等な社会の実現についてお伺いします。 私たちの社会は、多様性と包摂性を尊重し、全ての人々が平等に機会を享受できるようにすることが求められております。その中でも特に重要な課題の一つが、女性の活躍推進とジェンダーに基づく差別の撤廃です。 女性の活躍は、社会全体の経済的な成功や社会的な進歩と密接に関連しています。女性が職場で活躍することで、企業の業績向上やイノベーションの促進、さらには社会全体の経済成長に寄与します。 また、女性が政治や地域社会でリーダーシップを発揮することで、多様な視点や経験が反映され、より公正で包摂的な社会を実現することが可能になります。 世界経済フォーラムが発表した、各国がジェンダー平等をどれだけ達成しているかを示す二○二三年のジェンダーギャップ指数によりますと、日本の順位は百四十六か国中百二十五位で、前年百四十六か国中百十六位から九ランクダウンしました。この順位は二○○六年の公表開始以来、最低だったとのことです。 政府がこのたび、内閣改造で過去最多に並ぶ女性五人を閣僚に起用し、世論調査でも評価する声が多く上がりましたが、それとは対照的に、十五日に決定した副大臣二十六人と政務官二十八人のうち、女性は一人もおらず、このような女性ゼロの人事はジェンダーギャップ指数先進国最下位という結果につながっていると考えられます。 そんな中、特に近年、理解が進んでいる課題の一つにLGBTQが挙げられます。 一方で、LGBTQの人々もまた、自身の性的指向や性自認を自由に表現し、社会全体で受け入れられることが求められています。彼ら彼女らが自身のアイデンティティーを尊重され、差別や偏見から解放されることで、より豊かで多様な社会が実現します。 LGBTQとは、性的マイノリティーの総称で、レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアの人々を指します。 日本におけるLGBTQの人々の割合については、幾つかの調査が行われておりますが、日本の人口の約八・九%から一○%がLGBTQに該当されるとされております。 割合ではおおよそ十人に一人で、左利きの人と同じ割合になります。 LGBTQに該当する方は、社会的な偏見や差別にさらされることが多く、生活や就労などで様々な困難に直面しています。 世界的なLGBTQに対する動きについては、近年、理解が進んでおり、多くの国や企業で取組が行われております。また、同性婚などの法整備や学校教育も盛んになっております。 アメリカでは、二○二二年に同性婚を立法で合法化する結婚尊重法案が可決されました。イギリス政府は、LGBTQの方の生活向上に向けたLGBTアクションプランを発表されました。またオランダでは、二○一二年から学校教育で性の多様性を扱うことが義務づけられております。 一方、日本では、LGBTQを取り巻く問題が可視化されていない現状があります。 二○二○年のOECD各国のLGBTQの法整備ランキングでは、日本は三十五か国中三十四位とワースト二位となりました。LGBTQの方々が直面する問題は、様々な分野であります。 例えば、該当する子供の問題です。認定NPO法人ReBitが行った、LGBTQ子ども・若者調査二○二二の報告によりますと、LGBTQの生徒は、学校において性的指向や性自認に関するからかいや暴言、暴力を受けることがあります。これにより、不登校や自殺などの深刻な事態に陥ることもあります。 十代のLGBTQのうち、過去一年間で四八・一%が自殺を考えたことがあり、一四%が自殺未遂を経験したと報告されており、大変深刻な問題です。 就労での差別やハラスメントの問題では、採用や昇進などの機会を平等に得られないことがあります。また、職場での人間関係や業務にも影響を及ぼすセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントを受けるなど、問題は多岐にわたります。 山口県内では、宇部市が二○二一年九月一日にパートナーシップ制度を導入しました。この制度は、夫婦に準じる共同生活を送っている性的マイノリティーのパートナーに対し、現行では法律婚の夫婦にしか認められていない手続やサービスなどで、提供可能なものについて、その適用範囲を拡大していくものです。 この制度を導入することで、性的マイノリティーの方の生きづらさや不安を軽減するとともに、差別、偏見の解消や理解の促進につなげ、誰もが自分らしく暮らせる社会の実現を目指しています。 日本全体のパートナーシップ制度人口カバー率は、二○二二年四月一日には総人口の五○%を超え、二○二三年六月二十八日時点で、全国の三百二十八の自治体でパートナーシップ制度が施行されており、全日本人口一億二千六百十四万人における人口カバー率は七○・九%です。 山口県は、十九市町の中で宇部市のみがパートナーシップ制度を導入しているため、県内人口カバー率は僅か一二%です。 県内では、山口青年会議所の主催により性的マイノリティーの人たちへの理解を深めてもらうイベント、山口レインボープライドが今年の五月五日に山口市で行われました。このイベントでは、レズビアン、ゲイなど、LGBTQ+と総称される様々な性的マイノリティーや支援者がまちを歩くパレードを中心に行われました。 主催者は、全国に大きなインパクトを与える取組になってほしい、山口を保守的なところから一歩先のまちに変えたいという意気込みで開催したということです。 世界的にはもちろんですが、日本全体がLGBTQに対する理解が急速に進んでおります。 本県でもパートナーシップ制度導入を検討し、LGBTQへの理解と支援を深めることが求められております。 女性の活躍、ジェンダー平等な社会の推進に向け、ギアを上げていかなければなりません。 そこでお尋ねします。LGBTQに対する理解促進のこれまでの取組と、パートナーシップ制度導入に向けた県の御所見をお示しください。 最後に、中間貯蔵施設の調査についてお伺いいたします。 中国電力は今年二月に上関町の西町長から、まちづくりのための新たな財源確保につながる地域振興策を考えてほしいという要請を受け、八月二日に中間貯蔵施設の設置調査の提案をされました。 これを受け、上関町議会では、調査受入れについて議論が行われ、臨時会では、議長を含む十人の議員のうち賛成七人、反対三人となりました。 そして、上関町長は、様々な意見の中、疲弊していく町の将来を思うとき、若い人がこの町で生活し、お子さんを育て住民が安心して暮らせる環境づくり、持続可能なふるさとを次世代につなげることが私の使命だと強調され、八月十八日、上関町長が中間貯蔵施設に関する調査の受入れを表明いたしました。 中間貯蔵施設の調査・建設に当たっては、上関町の判断や原子力規制委員会での決定を受けて進められていくものであり、山口県としては中間貯蔵施設の調査・建設に関しては、法律上、県の同意は必要ありません。 ただ、交付金においては、調査から知事の同意まで最大で年間一・四億円となりますが、県が施設の設置に同意した場合は、交付金が二年間に限り最大で年間九・八億円に増額されるという点です。 よって、県としても調査・建設自体に対する判断を求められたところで答弁のしようがないわけですから、現在は中間貯蔵施設の立地可能性調査の実施が町に申し入れられた段階であり、まずは今後の推移を見守りたいとされたことは理解いたします。 しかしながら、こうした中で、近隣の市町長からも様々な意見が表明されております。 岩国市の福田市長は、岩国市民の中でも不安と懸念がある。安心・安全がしっかりと担保されていない、説明が尽くされていない中で賛成とは言えないと述べられました。 また、柳井市の井原市長は、詳細な説明がない状況で慎重に対応したいと述べ、光市の市川市長は、周辺自治体として今後の動きを注視してまいりたいとコメントしました。 以上の意見から、中間貯蔵施設に対する近隣自治体の反応は慎重であり、不安や懸念を抱く声が多くあることがうかがえます。 経済産業省は、中間貯蔵施設に関する立地可能性調査を開始したことを重要と考えており、国は地元の意向も踏まえながら、原子力政策に関する理解の促進に主体的に取り組む方針を示しております。 そうしたことからも、まずは、真摯にかつ丁寧な地元説明会の開催により、しっかりと安心・安全に対する理解の増進などを図ることが最重要であり、近隣自治体の意向も考慮した中で議論を進めていかなければなりません。 そこでお尋ねいたします。このたび、上関町が調査の受入れを表明された中間貯蔵施設に対する県の御所見をお伺いします。 以上で、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)酒本議員の代表質問にお答えします。 まず、少子化対策についてのお尋ねです。 少子化の進行は、社会経済の根幹を揺るがしかねない喫緊の課題であり、この流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが極めて重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランにおいて、重点的に施策を進めるプロジェクトの一つに、結婚、妊娠・出産、子育て応援を掲げ、切れ目のない支援や子供と子育てに優しい社会づくりに向けた取組を、一層充実させていくこととしています。 具体的には、少子化の主な要因である未婚化、晩婚化へ対応するため、結婚応縁センターを核とした取組に加え、やまぐち婚活応縁隊の結成や結婚の魅力を伝えるキャンペーンイベントの開催により、社会全体で結婚を応援する取組を強力に進めています。 また、子育て家庭の育児の悩みや不安感の軽減を図るため、身近な場所で、妊娠・出産・育児の相談に対応する、まちかどネウボラへ新たに助産師を派遣し、専門的知見に基づいた指導や助言を行うことで、市町が行う伴走型相談支援の実効性が高まるよう、取組を進めているところです。 さらに、市町や企業、関係団体等で構成する、やまぐち子育て連盟を設立し、子育て県民運動を展開するとともに、民間資金を活用した子ども・子育て応援ファンドによる支援や、企業と子育て支援団体のコンソーシアムによる協働活動の促進に取り組んでいます。 加えて、特に子育ての負担が大きい第三子以降の出生世帯に対し、これまでのお祝い品、県産米六十キログラムに加え、家事負担の軽減につながるよう、家事代行サービスの利用券五万円分を新たに贈呈しています。 こうした県の取組については、子育てAIコンシェルジュによるプッシュ型通知や子育て団体等を通じた情報提供のほか、市町と連携し、妊娠や出生の届出時に窓口において各種リーフレットを配付するなど、子育て世代に直接情報が届き、必要な支援につながるよう努めているところです。 さらに、ホームページやSNS等、各種媒体の活用やイベント等を通じ広く情報発信することにより、社会全体で子育てを支援する機運の醸成を図っています。 こうした中、国においては、次元の異なる少子化対策の実現のための、こども未来戦略方針を本年六月に閣議決定し、現在、方針の具体化に向け取組が進められるとともに、年末までに財源も含め戦略を策定することとされています。 このため、私は、こうした国の動きを的確に把握し、国と地方が一体となった取組を進めるとともに、本県の実情に合わせた県独自のきめ細かな施策を進めてまいります。 私は、若い世代に、安心して子供を産み育てていくなら山口県と思っていただけるよう、今後とも、市町や関係団体等と連携し、少子化対策に取り組んでまいります。 次に、公共交通についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、公共交通における二○二四年問題についてです。 人口減少や少子高齢化の進展等に加え、コロナ禍による需要の減少等により、公共交通を取り巻く環境が厳しさを増しており、本県においても、公共交通機関の利用者の減少や運転士不足等による、バス路線の廃止や便数の減少等が進行しています。 私は、バスやタクシーなど、地域住民の日常生活に欠かすことのできない重要な基盤である公共交通を将来にわたって維持していくためには、その担い手となる運転士の確保は重要な課題であると考えています。 このため、お示しの新たな地域交通モデル形成に関する取組方針の柱の一つに運転士不足の解消を掲げ、関係団体等と連携しながら、その確保対策に取り組んでいるところです。 具体的には、山口県バス協会と連携し、大型二種免許の取得費用の助成を行うとともに、交通事業者と求職者との出会いの場を提供する就職相談会や運転士体験会を開催するなど、公共交通で働くことの魅力ややりがいを感じてもらう取組を実施しています。 こうした中、公共交通の担い手となる運転士の長時間労働等の改善を図るため、労働時間等の基準が見直され、来年四月から適用されることから、運転士の労働時間の短縮が路線の廃止や減便等につながることがないよう、関係者が一丸となって取り組んでいく必要があると考えています。 このため、県も委員等として参画している市町の地域公共交通会議等の場で、地域の実情に応じた効率的で利便性の高い交通体系への転換や運転士の確保対策などについて、事業者等と情報共有や意見交換を行うとともに、バス協会などの関係団体とも協議を重ねているところです。 また、運転士の労働時間の短縮にも資するよう、市町が交通事業者等と連携して行うAIデマンド交通などの新たなモビリティーサービスの導入を支援し、デジタル技術の活用による業務の効率化や生産性の向上を図っています。 さらに、運転士の労務環境の改善を図り、新たな雇用につなげるため、交通事業者に対し、県の支援制度を活用して、賃金引上げと柔軟な働き方を導入する取組などを進めるよう、働きかけているところです。 こうした取組に加え、事業者が現在行っている人材確保対策や、労働時間等の基準見直し後の運転士不足の見込みなどについて実態調査を行っており、今後、調査結果を市町や関係団体とも共有し、効果的な人材確保につなげていきます。 私は、今後とも、市町や交通事業者、関係団体等と緊密に連携しながら、こうした取組を着実に推進することにより、地域住民の日常生活に不可欠な公共交通の維持に向けて取り組んでまいります。 次に、鉄道事業の維持についてのお尋ねにお答えします。 鉄道は、通勤・通学などの日常生活はもとより、地域経済活動や観光振興などを支える重要な基盤であり、被災した場合には、事業者の責任において速やかに復旧させる必要があると考えています。 JR西日本が、美祢線や山陰本線を含む利用者の減少が著しい地方ローカル線について、今後の在り方の議論を進めたい意向を示していることは承知していますが、私は、こうした在り方の議論と災害からの復旧は、別のものとして進めるべきであると考えています。 このため、被災直後から、JRに対し、沿線自治体と連携して早期復旧を要請し、国に対しても、県議会と共に復旧に対する十分な財政支援と、このたびの被災が直ちに廃止の議論に結びつくことがないよう、JRに対する指導を行うことなどの要望を行ってきたところです。 こうした中、先日、JRから被害状況や被災原因等が公表され、山陰本線については、引き続き調査分析中であるとされた一方で、美祢線については、平成二十二年に続く厚狭川を起因とする大規模な被害であり、県による厚狭川全体の河川改修計画の検討が必要との見解も示されたところです。 私は、厚狭川については、再度災害を防止するため、抜本的な河川改修を実施することとしており、今後、JRに対し、こうした考えも示しながら、引き続き、両路線の早期復旧を要請してまいります。 また、こうした要請に併せ、沿線自治体等においても、鉄道復旧後を見据えて路線の活性化を進めていく必要があると考えており、今後、各路線の利用促進協議会で関係者による議論がさらに深まるよう、県としても積極的に関わっていくこととしています。 このため、美祢線については、これまで実施してきた取組の検証と課題の整理をした上で、スピード感を持って実効性ある利用促進策の検討を進められるよう、沿線自治体やJRに対し、利用促進協議会の中に検討チームの設置を働きかけてまいります。 また、山陰本線については、本年八月に、県や沿線自治体等で構成する利用促進協議会が設立されたところであり、今後、利用促進に向けた取組が本格化していくことから、美祢線における検証結果や課題等を共有しながら、復旧後の利用促進策について議論を進めてまいります。 私は、今後とも、沿線自治体と一体となって、地域住民の日常生活や交流人口の拡大に不可欠な基盤である美祢線と山陰本線の早期復旧に向けて取り組んでまいります。 次に、ジェンダー平等な社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 私は、全ての人が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮するためには、ジェンダー平等な社会の実現が重要と考えています。 LGBT等の性的マイノリティーへの理解促進についても、ジェンダー平等に関する様々な課題の一つであり、当事者に対する偏見や差別はあってはならず、多様性が認められ、それぞれの生き方が尊重される必要があります。 このため、県では、第五次男女共同参画基本計画に基づき、性の多様性への理解促進に向けた普及啓発に取り組んでいるところです。 具体的には、性の多様性をテーマとしたセミナーの開催や、LGBT等の基礎知識に関するリーフレットの作成、さらには、企業や団体等に対する県政出前トークや県職員に対する研修等を通じて、LGBT等の方々への理解を深めています。 また、本年五月に開催された、お示しの山口レインボープライドに際しては、県として後援するとともに、ブースを出展し、パネル展示を行いました。 さらに、今年度、県教育委員会と共催でLGBT等の子供たちも安心して通える学校づくりをテーマに、小・中・高校の教職員を対象としたオンライン講座を開催し、学校現場において適切に対応できるよう取組を進めているところです。 こうした中、国民の理解が必ずしも十分でない現状を踏まえ、本年六月に、性の多様性に寛容な社会の実現を目的とした、いわゆるLGBT理解増進法が施行されました。 私は、この法律の基本理念にのっとり、国との連携を図りながら、理解促進に向けた取組を加速していきたいと考えています。 このため、関係課で構成するワーキンググループを七月に設置し、これまで実施してきた普及啓発を充実させるとともに、職場におけるLGBT等の方々への配慮などをまとめたハンドブックの作成や専門家による相談窓口の設置など、新たな取組について検討しているところです。 また、事業主として、県職員に対する研修の充実や相談窓口の設置など、就業環境の整備についても議論を進めています。 さらに、パートナーシップ制度については、導入するかどうかを含め、まずはこのワーキンググループにおいて検討しているところです。 私は、引き続き、市町や企業、関係機関等と緊密に連携しながら、LGBT等の性的マイノリティーの方々への正しい理解と認識を深め、性の多様性を認め合う意識を醸成するなど、ジェンダー平等を推進し、誰もが活躍できる社会の実現に向けて取り組んでまいります。 次に、中間貯蔵施設の調査についてのお尋ねにお答えします。 使用済燃料中間貯蔵施設は、使用済燃料を発電所内のプールで冷却した後、頑丈な専用容器に入れて、再処理工場に搬出するまでの間、一時的に乾式貯蔵により管理するものであり、原子炉等規制法に基づき、原子力規制委員会の許可を受けて設置されるものです。 国においては、安定的かつ継続的に原子力発電を利用する上で、使用済燃料の貯蔵能力拡大は国のエネルギー政策における重要な政策課題であり、中間貯蔵施設等の建設・活用を促進することとされています。 このたびの上関町における中間貯蔵施設に係る調査実施の受入れの経緯についてですが、お示しのように、まず、上関町が中国電力に新たな地域振興策について検討を要請しました。 これに対し、中国電力は、島根原発の安定稼働に資すること、国のエネルギー政策にも合致すること等から、中間貯蔵施設の設置に係る調査検討を進めたい旨を上関町に回答しました。 その後、上関町において、今後、町が施設設置の是非を判断するための具体的計画を中国電力が策定・提示する上でも必要であるとして、町長が議会の意見を聴いた上で調査の実施を了承され、現在に至っているものです。 なお、上関町は、中間貯蔵施設の設置については、事業者から具体的な計画が提示された後に判断することとしており、現時点、施設設置の是非を判断しているものではありません。 今回の中間貯蔵施設の立地可能性調査については、周辺市町の首長から丁寧な説明等を求める声が上がるなど、中間貯蔵施設に関し県民の間で様々な意見があることは承知しています。 この調査は、国のエネルギー政策に沿って、事業者である中国電力が進めているものであり、調査実施を了承した上関町から中国電力に対し、町民に対する丁寧な情報提供や、周辺市町に対する適時適切な情報提供等の要請もなされているところです。 こうしたことから、私は、中国電力においては、上関町の要請等も踏まえ、調査実施に当たっては、地域住民をはじめとする関係者への説明や必要な情報提供等、周辺市町の首長の声等に十分配意した対応が行われるべきと考えています。 また、エネルギー政策を所管する国においても、中国電力と共に前面に立ち、地元の意向も踏まえながら、十分な対応をしていただきたいと考えているところです。 いずれにいたしましても、現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、私は、県民の安心・安全の確保の観点に立って、今後の動向を注視したいと考えています。 副議長(島田教明君)これをもって、代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時四十八分散会