1 大阪・関西万博を見据えた新たなインバウンド需要の獲得について 2 持続可能な畜産業の推進について 3 中山間地域の道路行政について 4 県職員の兼業について 5 企業局の経営について 6 その他
副議長(島田教明君)坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 自由民主党の坂本心次でございます。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。 まず、大阪・関西万博を見据えた新たなインバウンド需要の獲得についてお尋ねをいたします。 三十八年ぶりの阪神の日本一に沸いた大阪のまちには、海外からも、再来年に開催される万博の開催都市として熱い視線が注がれています。 最近は費用面が取り沙汰されている万博ですが、その来場者数は約二千八百二十万人と想定され、その経済効果は二兆円とも言われております。訪れるインバウンド観光客は約三百五十万人にも達する見込みであり、その高い観光消費額にも注目が集まっています。 その中で私が注目しているのは、欧米系インバウンド需要の増大です。万博は欧米が発祥の地であり、十一月末時点で欧米の三十七か国が大阪・関西万博への参加を表明しており、日本を訪れる欧米観光客は大幅の増加をすることが見込まれております。 また、国は東京や京都などの特定の観光地への一極集中によるオーバーツーリズムを避けるために、地方への誘客促進を強化しており、外国人観光客の目が地方にも向けられ始めております。 このまたとない機会を捉え、本県が取り込めていない欧米観光客から高い評価を受けることができれば、その後の欧米市場における大きな需要獲得につながる可能性が高まります。 もちろん、万博自体が地方の魅力を発信する場ともなりますので、県ブースなどでは本県の魅力を十分に発信し、誘客につなげていくことも大切なことですが、私は、万博を契機に欧米系観光客のさらなる増大が予想される隣県の宮島の厳島神社などから、直接本県に観光客を引き込む取組なども重要になると考えます。 本県東部には、創建三百五十年を誇る名勝錦帯橋や江戸時代の商業都市としての面影を残す柳井の白壁の町並み、そして私の地元鹿野には、日本の秋の紅葉と枯れ山水が和の風情を織りなす名刹漢陽寺など、欧米系ニーズを満たす、また厳島神社などとも親和性の高い観光資源が多数あります。 欧米系観光客の情報収集方法や国内での行動特性などを分析し、こうした文化資源を効果的にプロモーションすることに加え、実際ににぎわっている宮島でのPRや、宮島から本県へ直接引き込む移動手段の確保などが、確実に需要を取り込むためには必要となるのではないでしょうか。 本県の各観光地域には趣のある温泉地、豊かな自然が生み出す海の幸や山の幸などがありますので、こうした観光資源も活用し、直接の引き込みに加え、県内周遊にもしっかりと取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。大幅なインバウンド需要の拡大が予想される大阪・関西万博を見据えて、その需要の取り込みについて、県は今後どのように取り組むのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、持続可能な畜産業の推進についてお尋ねをいたします。 ロシアによるウクライナ侵略や世界的な気候変動等による飼料価格の高騰は、本県の畜産農家の経営に深刻な影響を及ぼしていることは周知の事実であります。 加えて、近年、全国各地で相次いで発生している鳥インフルエンザや豚熱等の家畜伝染病に対する不安など、本県畜産業を取り巻く環境はますます厳しさを増しています。 私の地元の周南市には、大規模な養豚場もあり、畜産業の盛んな地域でありますが、このように厳しい状況の中、経営継続に向け日々努力されている姿には、私自身、頭が下がる思いです。 このような中、県におかれては、昨年度、緊急支援対策として飼料価格高騰対策等を補正予算措置されたところであり、影響が長期化する中、本年六月議会においても追加支援を措置され、これにより多くの畜産農家の経営継続と生産意欲向上に寄与したことは言うまでもありません。 さらに、今議会においても、最近の和子牛価格の急落によっての経営の厳しさを増す繁殖農家に対し、和子牛価格の一部を緊急的に支援する補正予算案を計上されており、その時々において本県畜産業が抱える課題を的確に捉え、畜産農家に寄り添った対応を取ってこられたことに対し、私としても高く評価をしております。 しかしながら、こうした緊急支援対策はいつまでも続けられるものではありません。昨年九月議会の我が会派の代表質問においても、緊急的な対策にとどまらず、飼料の安定供給に向けて、中長期的な視点に立った対策の必要性について訴えており、県におかれては、輸入飼料から県産への転換に向けた取組を進められております。 私としても、畜産経営においては、特に飼料費が経営に占める割合が高いことから、今後、いかにしてこのコストを下げていくのかということが喫緊の課題であると認識をしております。 ぜひとも、本県畜産農家が飼料価格高騰の影響を受けず、安定的な調達が可能となるよう、畜産農家や関係団体等とも連携しながら、足腰の強い本県畜産業の実現に向けた取組を県としてもしっかりと後押しをしていただきたいというふうに思います。 そこでお尋ねいたします。飼料価格の高騰の影響が中長期化する中、県産飼料の生産・利用拡大に向けた取組等、持続可能な畜産業の推進に、今後どのように取り組まれるのか、お尋ねをいたします。 次に、中山間地域の道路行政についてお尋ねいたします。 まず、中山間地域の道路整備についてです。 本県の県土の約七割を占める中山間地域は、洪水や土砂の流出を防止する県土の保全機能や水源の涵養、新鮮な農産物の供給など、多面的で公益的な役割を果たしています。また、人々の暮らしの生産活動の営みを通じて、美しい景観や伝統的な文化などが今日まで受け継がれている、かけがえのない地域であります。 その一方で、地域住民の高齢化や人口減少の進行に伴う小規模高齢化集落の増加、地域を支える担い手の不足、買物や地域交通サービスの低下などの課題を抱えています。 私は、人口減少や高齢化の課題がある中で、中山間地域が今後も活力を維持・創出し続けるためには、農業をはじめとした地域産業の活性化や交流人口の拡大などが必要であり、自動車が主な交通手段となっている山口県においては、最も基礎的な基盤となる道路の整備が不可欠と考えています。 県はこれまでも、中山間地域の道路整備に計画的に取り組んでおり、感謝しているところですが、厳しい地形条件などから、依然として車の離合が困難な箇所や、見通しが悪く事故が危惧される箇所も見受けられます。 中山間地域の交通量は決して多いとは言えませんが、自然災害等により孤立するおそれのある集落が数多く存在することもあり、災害に強い道づくりが地域住民から切実に求められています。 そこでお尋ねをいたします。中山間地域の道路整備について、県は今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、道路の雪害対策についてお尋ねいたします。 私の出身地でもあります周南市鹿野地域や、お隣の山口市阿東地域は、県内でも雪が多い地域として知られております。 市街地に住んでおりますと、大雪を経験する機会はめったにありませんが、中山間地域の住民にとっては、大雪は社会経済活動を急停止させる恐ろしいものであります。 特に大雪や凍結による道路の寸断や機能不全は、社会経済活動のみならず、救急活動や物資の輸送、ライフラインの復旧作業にも大きな支障を及ぼします。 本年も十二月に入り、降雪や寒波が心配される季節となりました。今年は暖冬になる可能性が高いとも言われておりますが、いつ大雪や寒波に見舞われるか分かりません。 本県においては、道路の維持管理や応急対応を行う建設業者が減少傾向にあります。こうした中にあっても、中山間地域の住民が冬場も安心して生活できるよう、道路の雪害に対応できる体制の確保について、これまで以上考えていかなければならないと思います。 そこでお尋ねをいたします。道路の雪害対策について、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県職員の兼業についてお尋ねいたします。 少子高齢化、人口減少の加速や働き方改革の定着などにより、民間の労働現場では、多様な働き方を実現するとして兼業・副業が促進されています。 公務員についても、その知識や経験を地域に還元することで、地域活動を支える貴重な人材として活躍することが期待できることから、一定の報酬を得ながら地域づくりなどの社会貢献活動に参画する、そうした兼業の取組を推進することは、今日的な意義のあることと考えます。 一方で、御案内のように、公務員については全体の奉仕者であり、兼業については、一定の要件を満たす場合に許可を得て従事するよう規定されており、その運用は限定的なものとなっています。 その実績を見てみますと、総務省の調査によれば、全国千七百八十八の地方公共団体で許可実績は約四万件あるものの、その多くが農業や不動産賃貸業であり、社会貢献活動を目的とする許可は約一万一千件程度と、全体の約二八%にとどまっているのが実態であります。 こうした中、国においては、未来投資戦略二○一八において、国家公務員が公益的活動等を行うための兼業の環境整備を進めると示し、具体的な許可の基準として、非営利団体の兼業であることや一定時間以下であることなどが明確化されています。 こうした流れを受け、地方においても、兼業の許可基準を明確化し、職員の持つ知識、経験や技能を地域活性化に積極的に活用しようと取り組んでいる団体も出てきています。 例えば、地場産品のプロモーション活動やスポーツの推進、デジタル技術の普及等に職員が参画しており、職員からは、報酬を受けることで活動費の負担が軽減された、責任感が増し職務に一層前向きに取り組めるようになった、外に出ることで業務を俯瞰的に捉えることができた等の意見が寄せられています。 これまでも、県職員の皆様はボランティアの形で地域に様々な貢献をされてきたと承知しておりますが、働き方改革とワーク・ライフ・バランスの進展、さらには学校部活動の地域移行の本格化などを踏まえると、今後は兼業という立場で地域活動に関わることも、地域の発展にとっては効果的でありますし、また、そうした活動から得られた経験や知見が、県職員としての業務の広がりや発想の豊かさにも還元されるのではないかというふうに考えます。 そこでお尋ねいたします。人口減少社会における持続可能な地域づくりや職員の能力開発の観点から、公務員の兼業は有効な取組と思いますが、県職員の社会貢献活動に係る兼業について、県はどのように考えられておられるのか、お伺いをいたします。 最後に、企業局の経営についてお尋ねをいたします。 本県企業局は、地方公営企業として公共性と経済性を最大限に発揮し、クリーンで環境に優しい水力発電による電気と、良質で低廉な工業用水を安定的に供給することにより、地域社会の発展と地球環境の保全などに大きな役割を果たしているところであります。 こうした中、近年、電気事業及び工業用水道事業を取り巻く環境は大きく変化しています。 まず、電気事業については、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向けて、脱炭素化への動きが加速する中、低廉で安定供給に優れた水力発電への期待はますます高まっています。 一方で、企業局が保有する水力発電所は、昭和三十年代から五十年代に運転開始されたものが多く、老朽化の進行が懸念されております。今後、大規模な改修による多額の資金需要が見込まれ、供給力の向上と安定経営の維持の両立がこれまで以上に重要となってきます。 次に、工業用水道事業については、電気事業と同様、建設から長期間が経過し、施設の老朽化が進行しています。 また、近年では、自然災害の頻発化・激甚化や異常気象等を背景に、施設の被災による断水や少雨の長期化による渇水のリスクも高まっています。とりわけ、今年は例年と比べて降雨が少ない状況が続いており、私の地元である周南地域にある菅野ダムの貯水率は約三割まで低下している状況にあります。 周南地域を含め、瀬戸内沿岸では本県の経済の屋台骨として産業が集積していますが、化学や鉄鋼業、発電所を有する企業など、生産活動に大量の水を必要とする企業が多く立地しており、産業の血液とも言われる工業用水の安定供給を強く望まれています。 給水を停止することなく、安定供給を維持していくためにも、施設の老朽化対策や強靱化などの施設整備を計画的にかつ効率的に進めていくことが重要となります。 こうした課題に加え、DXの推進や国際情勢の不安定化による製造業の国内回帰の動きなどの社会変容に対応していくことも重要です。 このような中、企業局の経営方針を表す企業局第四次経営計画が、今年度見直されると伺っております。 今年度から弘田公営企業管理者による新たな体制がスタートをしたところでございますが、このような厳しい経営環境や変化する社会情勢の中においても、将来にわたって持続可能な経営が維持できるよう、このたびの計画見直しにより実効性のある取組が展開されることを強く期待をしております。 そこでお尋ねいたします。企業局を取り巻く環境が厳しさを増す中、電気事業及び工業用水道事業の運営に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員からの御質問のうち、私からは、大阪・関西万博を見据えた新たなインバウンド需要の獲得についてのお尋ねにお答えします。 二○二五年に開催される大阪・関西万博は、アジア圏のみならず、欧米をはじめとした世界中から約三百五十万人の来場が見込まれる国際的な大規模イベントであり、国内を周遊する外国人観光客の大幅な増加が期待されています。 私は、この絶好の機会を逃すことなく、本県の豊かな自然をはじめ、多彩な食や文化、体験などの魅力的な観光資源を最大限に活用し、拡大するインバウンド需要を確実に本県に取り込むことが重要と考えています。 特に、欧米系観光客については、観光消費額が大きく、国内周遊を通じて大きな経済効果が期待できることから、こうした需要の取り込みに向けて、誘客対策の強化や受入れ環境の充実に取り組むこととしています。 まず、誘客対策の強化については、欧米豪からの観光客誘致に取り組んでいる、せとうちDMOと連携し、旅行者ニーズや行動特性等を分析するとともに、海外メディア等を活用し、瀬戸内の魅力を生かしたモデルルートを発信するなど、本県への広域周遊の促進を図ります。 また、来年四月に開設予定の万博の観光ポータルサイトに、お示しの錦帯橋の鵜飼いや漢陽寺の座禅体験など、欧米系ニーズを満たす歴史や文化などの観光素材を掲載することで、本県の魅力を効果的にプロモーションし、新たな需要の獲得につなげていきます。 次に、受入れ環境の充実については、外国人観光客が快適に安心して県内周遊ができるよう、多言語コールセンターを運用するとともに、お示しの宮島も含め、県内外の空港や駅、観光案内所等において、観光目的地へのアクセス方法等をデジタルサイネージなどにより提供していきます。 また、欧米系観光客は滞在期間が長く、訪日後に訪問先を決める傾向があることから、こうした行動特性を踏まえ、宮島等の人気観光地から本県にアクセスしやすい移動手段を提供し、県内周遊につなげることが必要です。 このため、今後、県内外の交通拠点と観光地を結ぶ新たな周遊バスを運行するとともに、県内各地を自由に周遊できるタクシーやレンタカーの活用を促進するなど、二次交通の一層の充実を図っていきます。 私は、大阪・関西万博で大幅な拡大が予想されるインバウンド需要の確実な取り込みに向け、今後とも、市町や観光事業者等と緊密に連携しながら、誘客対策の強化や受入れ環境の充実を進め、本県へのインバウンドの拡大に全力で取り組んでまいります。 次に、持続可能な畜産業の推進についてのお尋ねにお答えします。 高齢化等による担い手の減少をはじめ、輸入畜産物等との価格競争の激化や、昨今の飼料や燃油等の価格高騰などにより、畜産農家は極めて厳しい状況に置かれています。 このため、これまで、畜舎の整備等による生産規模の拡大や、優良な家畜の導入等による高品質化、さらに飼料価格高騰への緊急支援など、必要な対策を積極的に講じてきたところです。 しかしながら、飼料価格の高止まりが続くなど、畜産農家の生産環境は依然として厳しい状況にあることから、私は、持続可能な畜産業の振興に向け、さらなる緊急対策を実施するとともに、畜産飼料の一層の生産拡大や畜産経営の基盤強化に取り組んでいくこととしています。 まず、畜産農家への緊急対策については、飼料価格高騰に対する支援を今年度も実施するとともに、このたびの補正予算において、急落している和子牛価格の下落分の一部を助成することにより、畜産農家の経営継続を支援することとしています。 また、県産飼料の生産拡大に向けては、今年度、新たに効率的な収穫が可能となる機械等の導入を支援するとともに、飼料用米などの新規作付への助成を行っているところであり、その結果、昨年度に比べ約二百ヘクタールの作付面積の拡大につながっています。 こうした成果を踏まえ、今後、生産された飼料の県域での安定的な供給を図るため、地域外流通に必要な一時保管施設や輸送車両等の整備を支援するなど、県産飼料の広域的な流通体制の構築に向けて積極的に取り組むこととしています。 さらに、畜産経営の基盤強化に向けては、飼養規模の拡大を図るため、国の事業を活用した畜舎の増築を進めるとともに、生産の省力化を図るための自動給餌機等のスマート機器の導入を促進してまいります。 また、畜産物の高品質化を図るため、最新のゲノム分析技術による優良な家畜の導入を進めるとともに、肉質や乳量などに影響するストレスの低減を図る自動ミスト装置の整備など、飼養環境の一層の改善にも取り組んでまいります。 私は、今後とも、市町や関係機関・団体等と一体となって、畜産農家の持続的な経営に向けた力強い畜産業の振興に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)平屋副知事。 〔副知事 平屋隆之君登壇〕 副知事(平屋隆之君)県職員の兼業についてのお尋ねにお答えします。 地方公務員が報酬を得て事業に従事する、いわゆる兼業については、職務の遂行に支障がないこと、職との間に特別の利害関係がないことなどを要件に、地方公務員法第三十八条の規定により任命権者の許可を受け、実施することができるとされています。 本県における許可の事例としては、お示しのあった農業や不動産賃貸業のほか、地域活動に関連するものとして、市町の消防団員やスポーツ推進委員、鳥獣被害対策実施隊員などがあります。 このように、職員が自らの知識や経験等を生かし、様々な形で現場に出ていくことは、地域の活性化や課題解決に資するとともに、現場の課題や実情を体験・実感できる貴重な機会であり、自己啓発や能力開発の観点からも有意義なものと考えています。 この考えの下、県では、山口県人材育成基本方針において、現場での実践を職員の主体的な成長を促す取組の一つに位置づけ、職員の自主性を尊重しつつ、積極的に推進してきたところです。 そうした中、職員が報酬を得て活動することについては、自らの業務に対する責任感の高まりや専門的知識の向上等が期待される一方で、職務専念義務や公正な職務遂行の確保、さらには県民の理解等の観点からも、公務への影響がないよう適切に運用していくことが必要であります。 このため、今後、職員研修等の機会を捉えて、他の自治体の許可事例の紹介を行うなど、職員への情報提供に努めるとともに、職員のキャリアアップや能力向上の取組に、兼業をどのように位置づけることができるか、国や他県の動向等も把握しながら、検討を進めていくこととしています。 県としては、職員の人材育成と地域の活性化に向けて、意欲のある職員が積極的に社会貢献活動に関わっていくことができるよう、しっかりと支援をしてまいります。 副議長(島田教明君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)中山間地域の道路行政についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、中山間地域の道路整備についてです。 人口減少・少子高齢化が急速に進む中山間地域において、地域の活力を維持・創出し続けていくためには、地域間の交流・連携に資する幹線道路や、日常生活はもとより、地域の生活活動を支え、災害時には迂回路ともなる生活道路は、重要な基盤です。 しかしながら、お示しのように、中山間地域は厳しい地形条件を抱えていることもあり、すれ違いが困難な箇所や見通しの悪い箇所が、依然として残っているなどの課題を抱えています。 こうした課題の解消に向け、県では、地域の実情やニーズを踏まえ、交通量などに応じ、二車線改良や局部改良、のり面の防災対策などに取り組んでいるところであり、引き続き国の予算も活用しながら、これらの取組を着実に進めていく考えです。 次に、道路における雪害対策についてです。 冬季における交通確保は、県民生活や産業活動、さらには救助・救命活動を支えるために重要であり、特に積雪が多い中山間地域においては、道路の雪害対策を迅速かつ適切に行う必要があります。 このため、県では、大雪の際に早期に通行が可能となるよう、一車線の先行除雪や他地域からの応援による集中除雪などを行ってきたところです。 こうした中、災害応急対応など、地域の安心・安全を担う建設業者が減少傾向にあることから、雪害に対応する体制の確保が課題となっています。 このため、除雪等の業務委託に当たっては、建設業者が減少している状況の中でも業務が確実に執行できるよう、例えば、数か所の工区を取りまとめた発注や複数の業者で構成する組合等との契約など、入札契約制度の運用等について検討しているところです。 県としては、今後とも、中山間地域の活力の維持・創出や住民の安心・安全の確保を図るため、その基盤となる道路の計画的な整備や除雪等、適切な維持管理に努めてまいります。 副議長(島田教明君)弘田公営企業管理者。 〔公営企業管理者 弘田隆彦君登壇〕 公営企業管理者(弘田隆彦君)企業局の経営についてのお尋ねにお答えします。 企業局では、経済性を発揮して公共の福祉を増進するという地方公営企業の経営の基本原則の下、これまで四次にわたり策定した経営計画に基づき、電気事業と工業用水道事業に取り組み、本県経済の発展等に貢献してきたところです。 こうした中、お示しのように、企業局を取り巻く環境は大きく変化しており、折しも本年度は第四次経営計画の中間年に当たることから、経営環境の変化等に迅速かつ的確に対応するため見直しを行い、より一層の安定供給、安定経営に向けた取組を進めていきたいと考えています。 まず、電気事業では、再生可能エネルギーとしての水力発電の重要性が一層高まっていることから、平瀬発電所の新たな運用や既設発電所のリニューアル、リパワリング等により供給力の向上を図るとともに、県産CO2フリー電気の供給を通じ、県内企業の脱炭素化の取組を後押しします。 また、多くの発電所が今後一斉に更新時期を迎えることから、施設の健全度に加え、発電所ごとの収益性や重要度に応じた中長期的な整備方針を策定することとしており、こうした取組を進め、供給力の向上と安定経営の両立を図ってまいります。 次に、工業用水道事業についてです。 施設の老朽化の進行や自然災害が頻発化・激甚化する中、工業用水を安定的に供給することが重要であり、アセットマネジメントによる計画的・重点的な整備を進めるとともに、昨年度、事業継続計画、いわゆるBCPを策定するなど、ハード・ソフト両面から施設の強靱化を推進していきます。 また、複数の工業用水道事業間において、施設・設備の共有や水の相互運用など広域化の取組を推進し、コストの削減とバックアップ体制の強化を図ってまいります。 さらに、島田川工業用水道の運用や、近隣市工水からの応援給水等の協力体制の確保など、引き続き渇水対策に取り組んでいきます。 こうした取組に加え、より効率的・効果的な事業運営を図るため、デジタル技術やAIを活用し、管路や導水トンネルの点検・診断システムの導入等を進めるなど、DXの取組を推進してまいります。 また、安定供給を確実なものとするためには、持続可能な経営基盤が不可欠であり、適切な収入の確保や経済安全保障推進法の制定に伴う製造業の国内回帰の動きを踏まえ、企業立地部局等と連携した戦略的な新規需要開拓に取り組みます。 企業局としては、本県産業力の強化や地域社会の活性化にしっかりと貢献できるよう、今後とも、水力発電によるクリーンエネルギーと、産業の血液と称される豊富で良質かつ低廉な工業用水の安定供給に全力で取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。