1 安心して出産できる体制づくりについて 2 困難な問題を抱える女性への支援について 3 野犬の捕獲や譲渡への取り組みについて 4 台湾向けの観光プロモーションについて 5 特定外来生物ヌートリアの防除対策について 6 林業振興について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 皆様、こんにちは。自由民主党の高井智子です。通告に従いまして、一般質問をさせていただきます。 初めに、安心して出産できる体制づくりについてお伺いいたします。 私は四人の息子たちと共に育ってきた親の一人として、喜びや悲しみ、後悔や楽しみなど、いろいろな経験をさせていただきました。現在の社会情勢の中での子育ては、私の子育て時代の頃より大変だということは重々承知をいたしておりますが、一人でも多くの方に子供を産み育てていただきたいと願っております。そのためにも少子化が進む本県においては、安心して子供を産み育てられるような環境整備を進めることが重要だと感じております。 こうした中で、県民の方からは、出産ができる産婦人科や助産所がなく、妊娠・出産に当たって不安を抱えているというお声を頂戴いたしました。 そこで、本県の産科医師数に目を向けてみますと、十五から四十九歳女子人口十万人に対する産婦人科・産科医師数は全国平均を上回ってはいるものの、萩・長門などの北浦地域や柳井地域などでは、特に産科が少なく、偏在が顕著となっています。 また、医師も七十代、八十代の方も多く高齢化が進んでおり、数年後に引退されることを踏まえると、県内全域で産科医が不足することも想定されます。 一方で、出産は必ずしも産婦人科でないと対応ができないわけではなく、正常な分娩であれば、助産所でも取り扱うことができます。 助産所は、入院患者のベッド数が九床以下と定められていることから、多くの妊婦さんを抱える病院の産婦人科よりも、比較的妊婦検診にもゆっくりと時間をかけてくれるところも多く、妊娠期から妊婦検診などで何度も会っている助産師さんたちが出産をサポートし、何回も通っているなじみのある空間で、リラックスした状態でお産に臨むことができます。 しかしながら、助産所は県内で十八か所、そのうち分娩が可能なところは二か所しかありません。妊娠したらどういうことに気をつけたらよいのか、夜中に陣痛が来たらどうすればよいのか、急に破水したら、また産後のケアなど、妊娠や出産を控えた方々は大変多くの不安や悩みを抱えています。 このように、困ったときに気軽に相談ができ、また、近くでお産を迎えられる環境があることは何よりの安心につながります。 そのため、県におかれましては、産科医・産婦人科、助産師・助産所の確保や充実についてしっかりと取り組むとともに、現在発生している地域偏在、医師や産科、助産師の少数地域などへのカバー・解消についても併せて取り組んでいただきたいと思っております。 また、先般成立した国の令和五年度補正予算では、赤ちゃんの病気を早期発見し、発症を未然に防ぐための新生児マススクリーニング検査の拡充に関する実証事業が計上されております。 これまで検査の対象としてきた二十疾患に加え、新たに重症複合免疫不全症と脊髄性筋萎縮症の二疾患についても、検査ができる体制づくりに取り組むもので、将来的には全国で実施することを目指すこととされています。 生まれた子が健やかに育っていくことは、親の願いでもあり、早期の病気発見により、その発症を防ぐことができるのであれば、親としても大変心強いものと考えます。 本県におかれましても、こうした国の動きをしっかりと捉え、積極的に検査の拡充を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。安心して出産できる体制づくりについて、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、困難な問題を抱える女性への支援についてお伺いいたします。 男女共同参画社会の実現に向けては、女性の活躍促進や固定的な性別役割分担意識の改善などはもちろんですが、DVや性暴力被害などの防止・根絶も大変重要な課題で、県におかれましては、これまでも男女共同参画相談センターを拠点として、DVや性暴力被害に悩む女性の相談対応や一時保護などを進めてこられました。 しかしながら、近年、女性を取り巻く環境は厳しさを増しており、DVや性暴力だけでなく、孤独・孤立や家庭関係の破綻、生活困窮など様々な課題が複雑化・複合化し、さらに、こうした課題がコロナ禍で顕在化したと言われています。 例えば、栃木県が実施した調査では、自身や身近な女性が、女性であることを理由として経験した困難な問題を聞いたところ、学校や職場での人間関係のトラブルやハラスメント被害が三〇・一%、配偶者や元配偶者、交際相手からの暴力・暴言が二四・一%、経済的困窮が二〇・三%、このほかにもセクシュアルハラスメントや性被害、ストーカー被害など、様々な問題を経験したり、見聞きしたという結果になっています。 実際に私もこうした悩みを抱える女性のお話を伺うことがあり、問題の解決に向けたサポートの必要性を強く感じています。 このような中で、国においては、民間団体との協働という視点も取り入れた、困難な問題を抱える女性たちの自立を包括的に支援する新たな支援の枠組みが必要との考え方の下、いわゆる困難女性支援法を昨年五月に成立、来年の四月から施行することとしています。 こうした国の動きにも呼応しながら、県におかれましても、現在、困難な問題を抱える女性への支援のための施策の実施に関する基本的な計画の策定に向けて、有識者の意見を聴取するなど、着々とその準備を進められているところです。 困難な問題を抱える女性の安定した生活や自立に向けては、悩みを抱える女性を早期に把握すること、それぞれが抱える悩みや相談に適切に対応すること、女性が悩みを共有し、互いに支え合う場をつくるなど、様々な角度から支援を行うことが必要と考えます。 また、女性に寄り添いながら自立に向けたサポートを行うことや自立後のアフターケアなども含め、パッケージとして支援することで、それぞれが抱えている問題、立場や状況に応じたきめ細やかで切れ目のない支援が可能になるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。県は、困難な問題を抱える女性の自立に向けて、今後、どのように取組を進めていかれるお考えなのか、御所見をお伺いします。 次に、野犬の捕獲や譲渡への取組についてお尋ねします。 野犬と言われる犬たちは、もともと飼われていた犬が何かしらの理由で飼育が難しくなり、飼い主に捨てられ、野山で繁殖した生き物です。 山口県においては、以前は捕獲された野犬の多くが殺処分されていましたが、県や市町の取組はもちろん、愛護団体の御努力の下、譲渡数は増加し、殺処分数も大幅に減少してきました。 殺処分を何とか避けようと、県内各地の愛護団体が保健所から犬を譲り受け、クラウドファンディング等で確保した活動費で、施設内で世話をしながら健康状態を管理し、よいタイミングで不妊・去勢手術を受けさせ、里親探し、トライアル、譲渡に頑張って取り組んでこられ、こうした御努力が里親の下での犬たちの新しい生活につながっているのだと、本当に頭が下がる思いです。 県におかれましては、以前より取り組んでいる譲渡前のマイクロチップ装着やノミ等の寄生虫駆除に加え、本年度から感染症予防のワクチン接種を各保健所において開始されたとのことで、愛護団体の負担軽減につながる取組だと評価いたしております。 一方で、捕獲数については、令和元年度の千五百三頭から減少傾向となりつつも、昨年度は千六十九頭と、いまだ千頭を超えて捕獲されており、まだまだ多くの野犬がいるのは事実ですし、今年七月には周南市で野犬による咬傷事故が発生しました。 また、周南市だけでなく、野犬は県内のほかの地域にも生息しており、今年は、私が暮らす宇部市の一部地域でも目撃情報や相談が寄せられるなど、不安を抱えながら生活している住民もいらっしゃいます。 以前は、捕獲イコール殺処分というイメージが強かったと思いますが、先ほど申したとおり、譲渡される犬たちが増え、殺処分も少なくなっていますので、野犬を捕獲し譲渡を進めることが住民の安全で安心な生活につながり、また、望まずも野犬として生きる犬たちの新しい生活につながるものと考えているところです。 そこでお尋ねします。人も犬もお互いに安心して安全に暮らすことができる社会環境づくりに向けて、今後、県では効果的な野犬の捕獲や円滑な譲渡に向けてどのように取り組まれるお考えなのか、御所見をお伺いします。 次に、台湾向けの観光プロモーションについてお尋ねします。 先般、台湾からの大規模ツアー旅行客が続々と本県を訪れ、本県の豊かな自然の中でアウトドアを楽しんでいるという報道を耳にしました。 観光庁などが公表したデータによりますと、十月の訪日台湾観光客数は約四十三万人と、既にコロナ禍前を上回る水準となっています。台湾からインバウンド観光客は、隣国の韓国に次ぎ、全体の約二割を占めており、コロナ禍が明け、拡大傾向が続いており、その観光消費額は本年七月から九月期で約二千億円、コロナ禍前の一・五倍の水準まで拡大しています。 また、台湾観光客はリピート率が高く、日本を訪れる方の約八割がリピーターとなっており、このたびの大規模ツアーでも観光客の期待値を上回る印象を残すことができれば、今後の持続的な需要獲得にもつながることが期待されます。 訪日台湾観光客の最大の関心事が、アウトドアやサイクリングとなっていることは、豊かな自然環境を有する本県にとって、誘客拡大の大きなチャンスです。 このたびの大規模ツアーでは、秋吉台カルスト台地や紅葉の色づく長門峡でのトレッキングに加えて、名物フクなどを食したほか、城下町長府や松陰神社、岩国城や錦帯橋にも足を運ぶなど、本県の食や文化なども非常に高評価であり、幅広い地域への周遊にもつながっているとお伺いしています。 台湾では、私の地元宇部市がまちを挙げてPRに活用しているエヴァンゲリオンが、シリーズ開始から二十年以上の時を経ても、その人気は健在であり、山口宇部空港やときわ公園にあるSNS映えする迫力あるオブジェクトは、さらなる周遊につながる観光素材になるのではないでしょうか。 私は、こうした魅力ある観光資源を生かして、誘客拡大や県内周遊を実現していくために、県に求められる最も大きな役割がプロモーション展開であると考えています。 誰もが手軽に世界に向けて情報発信できるようになった時代だからこそ、市場の絞り込みや現地のニーズに合った情報を発信するなどの、当たり前の基本的なマーケティング戦略が重要性を増しています。 また、本県には、先人たちが築き上げてきた友好関係があり、今年の七月には、知事と共に、島田副議長をはじめとする県議会訪問団が一丸となって行った観光PRイベントも非常に好評であるなど、こうした友好関係をしっかりと生かしてほしいと思います。 私は、こうした台湾との関係や台湾旅行客のニーズを満たす観光資源を最大限に生かし、さきの九月議会で計上された、台南市で開催される台湾ランタンフェスティバルなどの大規模イベントなどにおいても、積極的に本県の魅力をPRし、チャーター便の就航など、急速に拡大する台湾からのインバウンド需要の取り込みにつなげていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねします。客数、観光消費額ともに伸長する有望市場である台湾から誘客拡大に向け、県は観光プロモーションに今後どのように取り組むのか、所見をお伺いいたします。 次に、特定外来生物ヌートリアの防除対策についてお伺いいたします。 ヌートリアは、もともとは南米の水辺にすむ哺乳類で、大型のネズミの仲間です。日本での生息は、戦前から戦後にかけて毛皮を採取することを目的に輸入されたことに始まり、戦後、養殖施設が閉鎖され、野外に放たれることで野生化したとされています。 年に二、三回繁殖し、一回で五匹程度の子を産むため、文字どおりネズミ算式に増えていくと言われており、中国地方を含む西日本を中心に分布が広がっています。 水辺近くの植物や淡水域の貝類を食べるため、地域によっては在来種の生息環境を壊滅させるといった生態系への被害が発生しており、また、川や水路沿いの田畑にも出没し、稲などを食害するため、農業への被害も生じていることから、国により飼育や運搬が規制され、防除に取り組むべき特定外来生物に指定されています。 環境省では、生態系破壊を防ぎ、生物多様性の保全を図るため、また、農業被害の減少に向けて、地域でのヌートリアの防除対策の実施を呼びかけておりますが、その中で、レプトスピラ症などの伝染病を媒介する可能性があるため、捕獲の際に、かまれたりひっかかれたりしないよう注意を払うことなど、注意喚起を行っています。 このレプトスピラ症とは、齧歯類などの野生動物がレプトスピラ菌を保菌し、菌に汚染された水や土、尿からの経皮感染や、汚染された水や食物の飲食による経口感染があるとされています。 レプトスピラ症は人にも感染することが報告されており、発熱や悪寒、頭痛などの初期症状、重症化した場合は、黄疸や出血といった症状が現れるとのことです。 本県においても、ヌートリアは、近年、急激に生息頭数が増加しており、各地で捕獲による防除対策に取り組まれてはおりますが、残念ながら分布域も拡大し、生息頭数も増加傾向に歯止めがかかっている状況ではないようです。 環境に適応し、繁殖力の強力なヌートリアを完全に駆除することは非常に困難だと考えますので、地道に捕獲を進めることが必要です。そのためにも、実際に現場で危険な作業に従事する捕獲者に感染症などのリスクを正しく理解し、しっかりと予防対策を実施した上で捕獲に取り組んでいただく必要があると思います。 そこでお尋ねします。特定外来生物であるヌートリアの防除対策にどのように取り組まれるのか、また、現場で捕獲作業に従事される方が感染症などの健康被害を生じさせぬようどのように周知されるのか、お伺いいたします。 最後に、林業振興についてお尋ねいたします。 森林には、私たちの住環境を支える木材生産をはじめ、渇水や洪水を緩和する水源涵養機能や山地災害の防止機能、カーボンニュートラルに貢献する二酸化炭素の吸収・貯蔵など生活環境の保全機能、レクリエーションや自然環境教育の場としての保健文化機能など、多面的な機能を有しています。 本県は県土の約七割を森林が占めておりますが、その四割以上が木材生産のために造林された人工林となっており、杉・ヒノキの人工林が本格的な利用期を迎える中、次世代へ健全な森林環境を引き継ぐためにも、切って、使って、植えて、育てるというサイクルを着実に進めていかなければなりません。 しかしながら、本県林業を取り巻く環境は、林業就業者の高齢化や担い手不足の深刻化、施業コストの増加等により、十分な主伐等が行えず、森林の世代交代が思うように進まないのが現状です。 県におかれましては、これまでも県産木材の需要拡大対策や林業施業の低コスト化に向けた取組など、需要と供給の両面から様々な取組を行っておられます。 需要拡大の面では、近年、木材利用の促進に関する法律の一部改正により、法の対象を公共建築物から建築物全体へ拡大するなど、国を挙げて木材利用の促進に積極的に取り組む姿勢が示されており、県でも、建築物等における木材の利用促進に関する基本方針に基づき、建築物等における県産木材の利用の促進を図っておられます。 県産木材の需要拡大に向け、まずは、やまぐち木の家づくり推進補助金をはじめとした支援策が有効活用されるよう、関係団体ともしっかりと連携しながら、取組を着実に進めていただきたいと思います。 一方で、供給に関しては、先ほど述べましたように、林業就業者の高齢化や担い手不足の深刻化、施業コストの増加等により、需要に対して供給が追いついていないことが課題となっており、加えて、乾燥材や集成材など、住宅メーカーや工務店等が求める品質・性能の確かな製品を安定的に供給できる体制づくりも課題となっております。 私は、森林サイクルの好循環に向けては、需要と供給のバランスをしっかりと保つことが重要であると考えており、需要拡大の機運が高まる中、ぜひとも需要に見合う安定した供給体制の確立にもしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。森林サイクルの好循環に向け、需要に見合う供給体制の確立をはじめ、本県林業の振興に今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上をもちまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)高井議員の御質問のうち、私からは、安心して出産できる体制づくりについてのお尋ねにお答えします。 県政の最大かつ喫緊の課題である人口減少を克服し、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するためには、子供を産みたいと希望する方が、身近な場所で安心・安全に出産できる環境を整備することが極めて重要であると考えています。 このため、私は、周産期医療を担う産科医・助産師の確保や、分娩を取り扱う医療機関の確保・充実などに取り組んでいます。 まず、周産期医療を担う産科医・助産師の確保については、修学資金制度を設けるとともに、産科医等の処遇改善を図るため、分娩手当を支給する医療機関に対して助成を行っているところです。 また、分娩を取り扱う医療機関の確保・充実については、現在、三十か所の産科医療機関により、県全体の分娩数をカバーする受入れ体制を確保していますが、産科が少ない地域もあることから、こうした地域の医療機関に対し、分娩監視装置など、必要な設備整備を支援しています。 分娩が可能な助産所の確保に向けては、お示しの助産所二か所に加え、産科を有する病院・診療所において、助産師が妊産婦のケアや正常分娩に直接対応する院内助産所の整備を支援し、現在三か所が開設されているところであり、引き続き、さらなる拡大に取り組んでまいります。 次に、新生児マススクリーニング検査の拡充についてです。 県では、新生児の先天性疾患を早期に発見し、治療につなげていくことにより、子供たちの命が守られ、健康に成長できるよう、これまでも、国に対し、政府要望等を通じ、新生児マススクリーニング検査の対象疾患の拡大を要望してきたところです。 あわせて、対象疾患を拡大した検査の実施に向け、山口県予防保健協会、産科医、小児科医で構成する協議会において、検査及び治療を実施できる体制整備について協議を進めています。 こうした中、今般の国の補正予算において、検査の拡充の全国展開を見据えた実証事業に取り組むこととされたところであり、本県においても、実証事業の活用により、拡充した検査が公費負担によって早期に実施できるよう、取り組んでまいります。 私は、これらの取組を通じ、一人でも多くの方に子供を産み育てていただけるよう、医療機関や市町、関係団体等と一体となって、安心して出産できる体制づくりに全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)まず、困難な問題を抱える女性への支援についてのお尋ねにお答えします。 お示しのように、女性をめぐる課題は、生活困窮、性暴力・性犯罪被害、家庭関係破綻など、多様化・複雑化し、また、コロナ禍によってこれらが顕在化したことから、こうした女性への支援の強化は喫緊の課題となっています。 このため、県では、来年四月施行のいわゆる困難女性支援法に基づく基本計画を今年度中に策定し、豊富な知見やノウハウを有し、柔軟かつ先駆的な支援活動を実践している民間団体と協働しながら、相談から保護、自立まで、女性に寄り添ったきめ細かな支援を行うこととしています。 具体的には、まず、悩みを抱える女性を早期に把握し、支援につなげるため、SNSやメールなど多様な形態での相談に対応するとともに、訪問面談や同行支援などのアウトリーチ支援、安心して悩みを共有し支え合う居場所づくりなどにより、相談機会を積極的に提供します。 また、DV被害者などに対しては、本人や同伴家族の状況に応じて適切な一時保護ができるよう、民間シェルターや社会福祉法人など、多様な委託先の確保に努めてまいります。 さらに、一時保護の後、すぐに自立生活に移ることが難しい女性が心のケアや自立に向けた準備をする、いわゆるステップハウスを新たに運営するとともに、退所後のアフターケアを実施するなど、継続的な支援を検討しているところです。 加えて、これらの支援をニーズに応じて迅速かつ適切に実施するため、男女共同参画相談センターを中核として、市町や関係機関、民間団体等で構成する支援調整会議を新たに設置し、情報の共有や支援方針の協議、個別ケースの検討などを行う体制を構築したいと考えています。 県としては、今後とも、市町や関係機関、民間団体等と連携・協働しながら、困難な問題を抱える女性一人一人の課題や背景、心身の状況等に応じた最適な支援ができるよう、積極的に取組を推進してまいります。 次に、野犬の捕獲や譲渡への取組についてのお尋ねにお答えします。 野犬は、飼い犬の遺棄や無責任な餌やりなどにより、特定の地域にすみつき、人に危害を及ぼすおそれがあることから、地域住民に大きな不安を与えています。 このため、県では、市町や警察、自治会等と連携して野犬の捕獲等の対策に取り組んできたところであり、その結果、野犬の捕獲頭数や通報件数は年々減少するなど、一定の成果が上がっているものと考えています。 しかしながら、周南地域をはじめ、県内の他の地域においても、捕獲が困難な野犬がいることや、正確な生息状況を把握できていないこと、さらには、無責任な餌やり行為者が特定できないなどの課題があることから、依然として多くの野犬が定着しています。 このため、県では、こうした状況を改善し、住民が安心して暮らせるよう、野犬対策を一層強化していく必要があると考えています。 まず、野犬の捕獲については、現在、周南環境保健所が独自に製作した、IPカメラとインターネットを介した遠隔操作システムを備えた大型捕獲おりを活用することにより、これまで捕獲が困難であった成犬を一度に複数頭捕獲できるようになるなど、大きな成果を上げています。 今後は、より実用性や汎用性が高まるよう、このシステムに技術改良を加え、他の地域へ導入することも検討してまいります。 また、生息状況の把握や無責任な餌やり行為者の特定については、デジタルを活用してどのような手法や技術が実用化できるか、今後、幅広く意見を聞きながら検討していきたいと考えています。 こうした取組に加え、捕獲した野犬の譲渡を円滑に進めるため、引き続き、仲介者となる愛護団体等の登録を促進するとともに、団体と連携したイベント等を通じて、その活動を紹介するなど、譲渡機会の拡充に努めてまいります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、今後とも、市町や関係機関等と緊密に連携し、野犬の捕獲や譲渡にしっかりと取り組んでまいります。 次に、特定外来生物ヌートリアの防除対策についてのお尋ねにお答えします。 ヌートリアは、平成二十一年に最初に本県で確認されて以降、定着域を拡大し、現在、県内各地に定着しており、農業被害も増加していることから、県では、捕獲の主体となる市町と共に防除対策に取り組んでいます。 当初の捕獲対策は、鳥獣保護管理法に基づく有害鳥獣捕獲によって対応していましたが、この制度では、捕獲者が狩猟免許所持者に限られていたこともあり、捕獲数の増加につながらなかったところです。 このため、県では、捕獲数の増加に向けて、平成二十七年に外来生物法に基づく防除実施計画を策定し、その中に位置づけた捕獲従事者養成講習会を受講することで、狩猟免許を所持しない農業者や市町職員なども捕獲可能とするなど、より多くの従事者が確保できる体制を構築しました。 その結果、年間の捕獲数が計画策定前の二十七頭から三百四十一頭に大幅に増加し、現在では約千頭となっており、今後、さらなる増加に向け、農林総合技術センターにおいて、より効率的な捕獲方法等に関する防除マニュアルを今年度中に作成し、その普及を図ることとしています。 また、捕獲従事者の健康被害防止に向けては、ヌートリアなどの野生鳥獣は、レプトスピラ症などの病原体を保有しているおそれがあるため、狩猟免許講習会や捕獲従事者養成講習会を通じて、引き続き、感染症リスクや予防対策等について理解が進むよう周知してまいります。 県としては、今後とも、市町との緊密な連携の下、捕獲従事者の安全確保を図りながら、ヌートリアの防除対策を着実に推進してまいります。 副議長(島田教明君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)台湾向けの観光プロモーションについてのお尋ねにお答えします。 台湾は、本県のインバウンドにおいて、コロナ禍前の外国人宿泊者数が韓国に次いで多く、訪日リピート率が高いことや本県へのアクセスのよさなどから、多くの来訪が見込まれる有望市場であり、このため、県では、台湾からの誘客拡大に向けて集中的な取組を進めています。 本年七月には、県議会訪問団と共に台南市を訪れ、観光、物産、経済等に関する覚書を締結し、友好関係を深化させるとともに、現地の観光関係者等との新たなネットワークの構築にも取り組んできたところです。 県としては、こうした成果を生かしながら、本県の強みである豊かな自然や歴史、多彩な食などの魅力的な観光資源を最大限に活用した旅行商品の造成や、マーケティング分析に基づく情報発信など、戦略的なプロモーションを展開していくこととしています。 まず、現地の旅行ニーズに精通した観光プロモーターと連携し、知事によるトップセールスをはじめ、海外の旅行会社を招いた視察ツアーや商談会の開催などにより、県内周遊を促進する旅行商品の造成を進めていきます。 また、ビッグデータを活用したマーケティング分析等に基づき誘客ターゲットを絞り込み、年代や嗜好に即したターゲティング広告を配信するなど、効果的な情報発信を行っていきます。 さらに、現地のテレビ番組や観光情報サイト等において、秋吉台でのトレッキングやサイクリング、SNS映えするときわ公園のオブジェクトなど、本県の魅力ある観光資源を広く発信し、さらなる誘客と県内周遊につなげていきます。 こうした取組に加え、お示しの来年二月の台湾ランタンフェスティバルに観光ブースを出展し、知事のトップセールスにより、本県の観光地や食の魅力をPRするなど、認知度向上を図っていきます。 また、これに併せて就航する台湾からのチャーター便に続き、今後もチャーター便誘致の取組を強化し、直接本県に観光客を呼び込むことで、拡大するインバウンド需要のさらなる取り込みにつなげていきます。 県としては、今後とも、県議会をはじめ、市町や観光事業者等と緊密に連携しながら、台湾からの誘客拡大に向けた戦略的な観光プロモーションに積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)林業振興についてのお尋ねにお答えします。 本県の人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、豊かな森林資源を生かした林業の振興を図るため、県では、木材供給力の強化や加工流通施設の整備等に取り組んでおり、令和四年度の供給量は三十三万四千立方メートルと、過去十年間で最大となっています。 こうした中、県としては、今後、森林の世代交代に向けた森林サイクルの一層の促進を図るため、県産木材の安定供給体制の確立や主伐後の着実な再造林、さらには、建築物等における木材の需要拡大を積極的に進めることとしています。 まず、県産木材の安定供給体制の確立に向けては、高性能林業機械の導入支援や効率的な現場作業を主導できる技能者の養成等により、生産性の向上を図るとともに、市町等と連携した伐採可能な森林の集積を進め、木材供給量の拡大に取り組んでまいります。 あわせて、工務店等のニーズに応える製材の加工機械の導入支援や、川上から川下までの木材関係者間の協働による製品の供給・流通体制の整備を進め、品質や性能に優れた製品の安定供給につなげてまいります。 また、主伐後の着実な再造林に向けては、伐採から植栽までの一貫作業システムの普及・拡大を図るとともに、通年植栽が可能なコンテナ苗や、成長に優れ、収益性を高めるエリートツリーの導入に取り組み、造林の省力化や低コスト化を図ることとしています。 さらに、建築物等における木材の需要拡大に向けては、公共建築物への木材利用を一層推進するとともに、やまぐち木の家づくり推進補助金等により、住宅や事業所等の木造化や内装の木質化を促進するなど、幅広い分野での県産木材の活用を進めます。 県としては、今後とも、関係団体等と連携し、健全で豊かな森林を将来に引き継いでいくため、森林サイクルの好循環の実現に向けた本県林業の振興に積極的に取り組んでまいります。