1 県内の経済回復支援について 2 JR美祢線・山陰本線の復旧と交通機関の利便性向上について 3 「18歳成人」への支援について 4 若者の地域定着について 5 成果連動型民間委託契約方式(PFS)の導入について 6 その他
議長(柳居俊学君)前東直樹君。 〔前東直樹君登壇〕(拍手) 前東直樹君 皆様、おはようございます。公明党の前東直樹でございます。早くも二度目の一般質問の機会を頂きました。それでは、通告に従いまして、順次質問をさせていただきます。 まず最初に、県内の経済回復支援について伺います。 猛威を振るいました新型コロナウイルス感染症が落ち着きを見せ、感染症法上の位置づけが五類に移行して半年が過ぎました。新型コロナの患者数は、五類に移行後、夏場にかけて一旦増加をいたしましたけれども、九月以降は減少傾向が続いております。 この間、日本経済は回復基調にあり、日本政策投資銀行のレポートなどでは、日本経済は足元で輸出などが伸び悩むものの、感染影響が縮小する中で持ち直し、コロナ前の水準をほぼ回復した。今後もサービス消費やインバウンドなどが持ち直し、回復が続くと見られるとの評価となっております。 一方で、地域別に見ると、回復状況や要因には地域差が見られ、大都市圏と地方圏を比べてみると、地方では、観光業ではインバウンドの出遅れ、雇用では人手不足の逼迫傾向、サービス消費では宿泊については政策支援もあり全国的に改善したものの、サービス消費全体では中国地方は出遅れ傾向が見られるとの分析が出されております。 しかしながら、日本経済は今後もこのサービス消費を牽引役に回復していくことからすると、県としてもいま一層のてこ入れが重要であると考えます。 こうした中、サービス消費に大きな影響を与える観光分野について、山口県では、コロナ禍で生じた観光ニーズの変化を踏まえ、本県観光のV字回復の先を見据えた、さらなる観光振興に向け、中長期的視点で取り組むための指針として、三月に新たな観光県やまぐち創造プランを策定されました。 そこで、具体的にお伺いいたします。まず、同プランでは、柱の一つとして、新たなニーズを捉えた持続可能な観光地域づくりを掲げ、やまぐちの特色を活かした持続可能なツーリズムの推進として、やまぐちDMOを核とした魅力ある観光地域づくりの推進に取り組むとされております。 DMOとは、観光物件、自然、食、芸術・芸能、風習、風俗など当該地域にある観光資源に精通し、地域と協同して観光地域づくりを行う法人をいい、観光協会に比べて顧客視点であることが特徴であると言われております。 県内各市町でも、自然や文化、食等を効果的に生かした取組を推進しているところでありますが、やまぐちDMOは、これらとどう連携をしていくのか。 また、併せて県では、補助金を創設し、アウトドアツーリズムを推進するために、今回三件の事業採択がなされたところですが、新たなニーズを捉えた持続可能な観光地域づくりにどのように取り組むのか、お伺いをいたします。 次に、観光客の心をつかむ戦略的なプロモーションの展開についてであります。 これについては、さきの第九回やまぐち高校生県議会において、高校生議員からも質問のあったところでありますが、SNSなど情報発信が多様化した現在においては、ホームページなど、あえて情報を見に行った先の充実のみならず、関心のある層に対して、こちらから情報を届けることも重要になってまいります。 こうした主体的な情報発信の取組は、マイナス面の情報、風評被害の払拭などにも効果的であると考えます。 地域の観光事業者さんにお話を伺うと、今回六月の豪雨災害において被害が発生した。確かに被害は発生したんだけれども、現地そのものは問題なく受け入れることができる状況にある中で、抽象的に山口で被害が出た、鉄道が止まっているという事実のみの情報にとどまってしまうと、今回は大変そうだから、山口は避けて別のところを検討しようという心理が働くからか、実際にインバウンドを含めて影響が出ていると感じている。そのために、こちらから積極的な発信の必要性を痛感しているとの声を伺いました。 県では「おいでませ ふくの国、山口」を山口県の新たな観光キャッチフレーズとして、魅力的な観光サイトを充実させるなど、情報発信を強化されておりますが、誘客拡大につなげていくためには、プッシュ型の情報発信から観光サイトへのアクセスにつなげ、本県の魅力を最大限に伝えていくことはもちろんですが、災害時などには、県からの積極的情報発信により、こうした不安の払拭につなげていくことも重要だと考えます。 そこで改めて、観光客の心をつかみ、安心して訪問してもらえる、戦略的なプロモーションについて、県としてどのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 さて、新型コロナによる物やサービス提供の停滞、そしてその回復に伴う需要の増加、そしてロシアによるウクライナ侵略により、日本が輸入する物の国際的な相場が大きく上昇したことに加え、鳥インフルエンザや高温障害など多くの要因が重なり、物価高騰が長引いております。 総務省統計局によりますと、最新の十月消費者物価指数は、総合指数が二〇二〇年の平均を一〇〇として一〇七・一、前年同月比では三・三%の上昇率となりました。 一方、物価のうちエネルギーは、電気代が前年同月比マイナス一六・八%、都市ガス代がマイナス一三・八%と、政府のエネルギー負担軽減策により物価高騰の上昇を抑えている状況です。 こうした中、政府は、物価高に負けない持続的な賃上げの取組を加速させ、税収増などの経済成長の成果を国民に還元させることを目的に、十一月二日に新たな総合経済対策を決定、このたび補正予算が成立をいたしました。 減税と給付を行うことで、家計の可処分所得を下支えするとともに、引き続き電気、都市ガス代、ガソリン・灯油などの燃油代の補助を来年四月まで延長。 地方に対しても地方創生臨時交付金、重点支援地方交付金を追加配分し、本県においてもLPガス料金上昇負担軽減事業、中小企業電気料金高騰対策支援事業の継続、その他医療機関や社会福祉施設等に対して追加の支援金を支給するなど、今議会の補正予算案でも重点的に取り組んでいただいているところであります。 その上で、県内の経済回復を進めていくためには、事業者の中にはコロナ禍において資金支援で借入れをしつつ、物価高や人手不足が重なっている状況もあることから、県内事業者がコロナ前への原状回復以上に拡大していける取組が必要であり、特に、経済回復の牽引役でありながら、全国と比較して出遅れ傾向が見られるサービス消費の需要を刺激し、事業者の支援をしていくことが重要であります。 あわせて、中国による日本の水産物輸入の全面停止による県内水産業者への影響は、さきの九月議会の時点においては、まだ限られているとのことでありましたけれども、漁業の現場で伺うと、今まで中国に輸出していたナマコなど、これから漁獲シーズンを迎える魚種も出てくることから、今後影響が出てくる可能性はあるとのことであります。 また、今回の輸出全面停止に対して、他の地域が積極的に支援策を実施し、国内市場に出回れば、ネームバリューのある地域に押されて、その分、県内事業者にもしわ寄せが来ることも考えられます。 こうした観点からも、例えば以前実施をして好評でありました購入型クラウドファンディング、頑張るお店応援プロジェクトやEC送料支援のやまぐちECエール便の再実施を含め、今後の政策として、物価高騰や中国による日本の水産物輸入の全面停止による影響を受ける事業者の需要拡大に向けた支援を検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。見解をお伺いいたします。 次に、JR美祢線、山陰本線の復旧と交通機関の利便性向上についてお伺いいたします。 まず、JR美祢線、山陰本線の復旧についてであります。 さきの令和五年梅雨前線豪雨は、県内のJR在来線に大きな被害をもたらしました。とりわけ美祢線では、厚狭川をまたぐ橋梁が流失し、厚狭駅─長門市駅間の全線が不通。山陰本線では、阿川駅─長門粟野駅間で橋脚が傾いたため、今も長門市駅─小串駅間で運転を見合わせている状況です。 今後の見通しについてJRは九月に、美祢線は二〇一〇年七月に引き続いての厚狭川に起因する大規模な被災であることから、当該橋梁だけでなく、河川管理者において、厚狭川全体の河川計画を検討される必要があると考えておりますと説明。 これに対し、村岡知事は、さきの県議会で、厚狭川の抜本的な河川改修を行い、地域全体で水害を軽減させる流域治水の取組を進める方針を表明されました。 河川管理者として再度の災害を防ぐため、美祢市内の流域の一部で川幅の拡幅、堤防の整備、河床掘削の三工法を組み合わせて大規模な改修を実施することとし、JR西日本に改修計画を伝え、美祢線の早期復旧と維持を改めて要望されました。 そこでまず、美祢線復旧の前提となる厚狭川の河川改修について、今後の具体的な見通しについてお伺いをいたします。 一方、山陰本線については同じ九月に、山陰線は粟野川橋梁の被災メカニズムの調査や構造物の詳細調査を引き続き進めてまいります。調査結果については、まとまり次第御報告いたしますとの説明があったものの、その後の予定についてはまだ明らかにされておりません。 正直なところ、山陰本線はそもそも京都から山口を結ぶ重要な幹線であり、不通区間は県内でも有数の観光地である下関の角島や長門の元乃隅神社などへの最寄り駅として利用されるとともに、観光列車瑞風や○○のはなしが運行されるなど大きな役割を担ってきたことから、可及的速やかに復旧が実施されるものと考えておりました。 しかしながら、五か月が経過した現在でも、部分的な復旧も含めて具体的スケジュールが明らかにされず、今後の見通しが全く見えない中で、例えば、下関の角島であれば、例年の最寄り駅の特牛駅、阿川駅から海岸方面へのタクシー等の運行ができず来訪数が減少、不通区間にある高校あるいは同地域から通学する生徒・学生は、代行バスでは乗換えの接続が不十分なため不便な環境に置かれ続けるなど、この夏、秋の観光シーズンで大きなダメージを受けた地元観光をはじめとする事業者や、生活の足として鉄道を利用されてきた住民の皆様からも、不安と心配の声が上がっている状況です。 これでは県内経済回復の大きな足かせとなるとともに、鉄道利用者、特に通学に利用する生徒・学生にとって、学びの環境確保を大きく損ねるだけでなく、見通しが分からなければ、これから進路先等を決定する世代にとっても大きな制約となりかねません。場合によっては進学に伴う転居の検討など、地域からの若い世代の人口流出にも影響を与える可能性があります。 そこで県としても、JR西日本に対し山陰本線復旧についての今後の具体的な見通しについて改めて照会するとともに、運行可能なところから部分的復旧を行うなど、観光並びに通勤・通学への影響が最小限となるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思うのですが、見解をお伺いいたします。 あわせて、公共交通機関の利用促進を図るためには、利用者にとって使いやすい取組が不可欠であります。 これまでも県として、公共交通機関のICカード化を推進し、利用が広く可能となるよう要望・支援するなど、政策を推進してこられました。 現在、県民の皆様からの要望として多いのは、駅の無人化に伴う影響であります。例えばJRでは、みどりの窓口の無人化により、切符や定期券の購入が煩雑になったとの声が上がっております。定期券の購入の利便性向上については、先ほどと同様、高校生県議会でも取り上げられたところであります。 特に身体障害者の方にとっては、視覚障害者は慣れないキー操作、肢体障害者では、支援が必要な際に利用できる受話器を片手に取りながらの購入は大変困難なものがあります。 一番は無人化の解消が望ましいとは思いますが、人手不足に伴う人員削減や機械化・効率化の方向性はやむを得ない部分もあります。 そこで、オンラインやICカード活用による定期券等の購入・更新の効率化、身体障害者の場合には、事前に身体障害者手帳をひもづけしたプリペイドカード等の発行など、公共交通機関の利用者の利便性向上にしっかりと取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 次に、十八歳成人に伴う支援についてお伺いをいたします。 御存じのとおり、このたび民法が改正され、二〇二二年四月一日から成年年齢が二十歳から十八歳に変わりました。 政府広報オンラインによれば、民法が定めている成年年齢は、一人で契約をすることができる年齢という意味と、父母の親権に服さなくなる年齢という意味があり、成年に達すると、親の同意を得なくても、自分の意思で様々な契約ができるようになります。 未成年者の場合、親の同意を得ずに契約した場合には、民法で定められた未成年者取消権によって、その契約を取り消すことができます。しかし、成年に達すると、親の同意がなくても自分で契約ができるようになりますが、未成年者取消権は行使できなくなります。つまり、契約を結ぶかどうかを決めるのも、その契約に対して責任を負うのも自分自身ということになります。 こうした中、例えばリボ払い(リボルビング払い)はクレジットカードの支払い方法の方式の一つでありますが、利用金額や利用件数にかかわらず、あらかじめ設定した一定の金額を月々支払っていく支払い方式であります。 リボ払いは、大きな買物を少しずつ定額で支払っていけるメリットがある反面、支払い残高と支払い期間に応じた利息がかかります。支払い残高が大きくなるほど、また支払い期間が長くなるほど利息が多くかかり、気がつくと大きな負債を抱えているということになりかねません。 契約には様々なルールがあり、正しい知識がないまま、安易に契約を交わすとトラブルに巻き込まれる可能性があります。残念ながら、社会経験に乏しく、保護がなくなったばかりの成年を狙い打ちにする悪質な業者も実際に存在いたします。 そうした消費者トラブルに遭わないためには、未成年のうちから、契約に関する知識を学び、様々なルールを知った上で、その契約が必要かよく検討する力を身につけておくことが重要です。 ただ、こうしたことを自ら進んで学べるか、また学校等から単にプリントや冊子を配付されるだけでしっかり目を通すかというと、現実は難しいかもしれません。 また、消費者教育だけでなく、金融リテラシーや複雑な社会保障制度の仕組みや働くときのルール等についても、十八歳で成人となる時点で学んでおく、知っておくことがこれからのライフプランにとって重要であると考えます。 そこで、県としても未来を担う子供たちのために、教育の一環としてより充実した内容のライフプラン教育の機会を確保していく必要があると考えます。見解をお伺いいたします。 もう一つ、成人になることとして、父母の親権に服さなくなる年齢という意味があります。これにより親権には服さなくなるため、自分の住む場所、進学や就職などの進路なども自分の意思で決定できるとされます。ただ、現実にはまだ経済的に自立することが難しい中で、まだまだ御家庭の支援が必要になります。 政府では、日本国憲法第二十六条及び教育基本法第四条第三項に基づき、教育の機会均等及び人材育成の観点から経済的支援を行うとし、奨学金制度を実施。公明党としても強く推進をしてまいりました。 平成二十九年度からは、経済的困難により進学を断念することがないよう、我が国で初めての給付型奨学金制度を導入。同じく平成二十九年度から、無利子奨学金について、貸与基準を満たす希望者全員が貸与を受けられるよう拡充するとともに、所得連動返還方式を導入するなど、返還負担の軽減にも努めています。さらに令和二年度から授業料、入学金の免除または減額と、給付型奨学金の大幅拡充を行う高等教育修学支援新制度を実施しています。 ただ、現在は修学機会の底上げのために、御家庭の経済的状況を基準にしており、例えば収入自体は多くても、多子世帯である、介護を抱えているなど他の事情もあり、進学に係る費用の捻出が難しい場合や、本人と御家庭の進路の方針が異なるなど理解や協力を得られず、本人としては一人の成人として自立した進路を決定したい場合などで、現在の一般的な奨学金制度を利用したくてもできないケースもあります。 こうした観点からは、今後所得制限なく多くの奨学金制度が利用できることが望ましいことではありますが、現時点では優先順位として難しい状況であることを考えると、県が関連する奨学金の中には、他の奨学金制度を利用できない場合など、セーフティーネットとしての役割を果たしているものもあることに鑑み、県関連の奨学金から御家庭の所得制限等の制約を先行的に緩和するなど、広く活用できるよう検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 もちろん先ほどの教育機会の充実には、教員の働き方改革のさらなる推進が欠かせません。現状、教員の働き方改革については、県教委では時間外在校等時間の縮減や休暇等の取得の促進、事務負担の軽減、授業等の準備時間の確保など、教員の勤務環境改善に向けて様々な取組を行われているところであります。 また教育現場では、夏期間の学校閉庁日の設定は、休暇の確保等の環境改善に効果があったと伺っております。年末年始においても、現在、十九市町中十四市町で設定されると伺っており、県教委においては、今後、全ての市町で取り組まれるよう働きかけていただき、教員の働き方改革のさらなる推進に取り組んでいただくよう、併せて要望させていただきます。 少子化対策については、知事も今議会の議案説明で触れられたとおり、出生数の減少や女性の県外流出等が大きな背景となっております。 ライフプランが多様化する中で、少子化対策も、全体の女性の中での特殊出生率が幾つになるかも大事ですが、実際の出生数を意識し、子供を産みたいと願う方が願うとおりに出産できることを支えることも重要であると考えます。 また、社会減としての女性が多く移動する、高校・大学等の卒業のタイミングでどう県内にとどまってもらえるかにも焦点を当てて検討していかなければなりません。 特に、県内大学への進学は、県内外から山口県内に集まる上に、県内の薬学部や看護学部などについては女性の入学者の割合が多いなど、県としても力を入れるべき、言わばターゲットであるとも言えます。 私も六月議会において、地域連携の推進により大学時代に地域の魅力に触れる機会を創出すること、またインターンシップとともに実務実習への支援をするなど、県広域での大学支援の必要性について質問をいたしました。 繰り返しになりますが、県内の各大学の取組の中心は、ある意味、魅力ある進学先として選んでもらえるかどうか。そこから先の県内に残り就職してもらえるかどうかについては、大学側の努力だけでは非常に難しいと感じております。 この点、若者の地域定着を促進する仕組みとして、県内全大学が参画する大学リーグやまぐちがあり、県では社会増減を二〇三〇年に均衡させることを目標に掲げて取り組んでいるとのことでありました。 では、この大学リーグやまぐちにより、現在どのような取組を計画をされているのか。あわせて、若者の県内定着促進に向け、大学進学及び卒業後の就職への支援についての今後について、どのように進めようとされているのか、見解をお伺いいたします。 最後に、成果連動型民間委託契約方式(PFS)の導入についてお伺いをいたします。 成果連動型民間委託契約方式(PFS)とは、国または地方公共団体が、民間事業者に委託等する事業であり、解決すべき社会課題に対応した成果指標を設定し、支払額等を当該成果指標の改善状況に連動させるものをいい、新たな官民連携の手法とされております。 内閣府における令和五年五月のアンケート調査によれば、PFS事業の全国実施件数は令和四年度末時点で百七十九件。事業においては、重点分野の医療・健康福祉分野で八十二件、介護分野で四十六件、再犯防止分野で四件であったほか、まちづくり分野で十六件、就労支援分野で九件とのことであります。 医療・健康や介護、就労支援の分野は、行政としては適正に管理監督する責任がある一方で、医療・介護人材の確保や就労支援による活性化支援はブレーキとアクセルのようで、ある意味真逆であるとも言えます。 そのため市議時代、こうした分野も一つの成長分野であり、経済波及効果も高く、市の活性化に資するとして、産業振興の部門に含められないかと訴えたこともありましたが、当時の市の答弁では、行政の担当区分としてはちょっと難しいと引かれた経験もあります。 しかしながら、改めて医療・介護人材の確保や就労支援、少子化対策・若者の県内定着などの支援など、様々な課題に取り組む上で、同じ所管の中でも混在した方向性を持つような政策を実現するためには、PFSの手法を活用することも有効であると考えます。県としてどのようにお考えになるかお伺いをいたしまして、私の一般質問といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)前東議員の御質問のうち、私からは若者の地域定着についてのお尋ねにお答えします。 本県の最重要課題である人口減少問題の要因の一つは、大学進学時や就職時における県外流出であり、これに歯止めをかけるためには、若者の県内定着の促進が重要です。 このため、県や県内の大学等全ての高等教育機関、支援機関等三十九の機関・団体で構成される大学リーグやまぐちを中心に、県内進学や県内就職の促進に向けた取組を進めています。 まず、県内進学の促進に向けては、今年度、全高校へ配付・配信している県内進学ガイドブックにおいて、入試制度の情報を追加するなど内容の充実を図るほか、来年二月には、高校一年生を対象に、大学等の魅力を生徒に伝える県内進学・仕事魅力発信フェアを開催することとしています。 次に、県内就職の促進に向けては、学生に県内企業への理解を深めてもらうため、企業発見フェアや、県内企業の活動現場を巡るバスツアーを開催するとともに、今年度新たに、特定の分野の企業の若手社員と自由に意見交換を行う交流会を開催します。 また、今年度中に県内進学率や県内就職率等の数値目標を設定し、毎年度、取組の評価・見直しを行うことにより、目標達成に向け、より効果的な県内進学や県内就職の取組を進めていくこととしています。 私は、若者の県内定着のさらなる促進を図っていくためには、県内の大学等が県内企業の求めるニーズに合った人材を育て、その人材に県内で活躍していただくため、産学公金がしっかりと連携しながら、大学等と企業をつなぐ役割を果たすことが重要と考えています。 このため、大学リーグやまぐちにおいて、県内企業等のニーズに応じた大学教育を進めるべく、本年一月にワーキンググループを設置し、県内企業へのアンケート等を実施しており、この結果を踏まえ、今年度中に企業等が求める人材像を取りまとめる予定です。 この人材像を基に、来年度以降、各大学において教育プログラムの見直しを進め、県内就職につなげていくこととしています。 私は、今後とも、大学や地域等との緊密な連携の下、大学リーグやまぐちにおける大学進学及び就職への支援の強化を通じて、若者の地域定着の促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)県内の経済回復支援の御質問のうち、観光政策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、新たなニーズを捉えた持続可能な観光地域づくりについてです。 本県が、コロナ禍を乗り越え、国内外の観光客から選ばれる観光目的地となるよう、県では、観光地経営のかじ取り役となるやまぐちDMOを核として、市町や観光事業者等と連携しながら、魅力ある観光地域づくりに積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、やまぐちDMOでは、マーケティング分析に基づき本県への誘客ターゲットを絞り込み、市町等が取り組む観光コンテンツの造成等に向けて、専門的な助言や提案等を行うことで、自然や文化、食等の観光資源を効果的に活用したツーリズムの創出を支援しています。 とりわけ、コロナ禍で生じた新たな観光ニーズを踏まえ、今年度から、豊かな自然を活用したアウトドアツーリズムを推進しており、お示しの三件の採択事業も含めて、市町や民間事業者等による実践的な取組を支援しているところです。 具体的には、鍾乳洞の探検プログラムなど、山口ならではの特別な体験コンテンツの開発に向けて、専門アドバイザーの派遣やワークショップの開催等を行っており、引き続き、こうした取組を全県へ拡大していくことにより、持続可能な観光地域づくりを進めていきます。 次に、観光客の心をつかみ安心して訪問してもらえる戦略的なプロモーションについてです。 県では、新たな観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、本県の強みである絶景、体験、グルメをテーマに、観光客のニーズを捉えた効果的な情報発信に取り組んでいます。 具体的には、SNS等を活用して、年代や嗜好に即したターゲティング広告を配信し、観光客の求める情報が掲載されたウェブサイトに誘導するデジタルプロモーションに取り組み、本県への誘客につなげているところです。 また、お示しのような災害時には、市町と連携し、被災した観光施設の休館情報やイベントの開催状況等をウェブサイトに掲載しており、今後も、SNS等を活用し、観光地の状況を写真や動画等で情報発信していくことで、観光客の不安払拭に努めていきます。 県としては、今後とも、やまぐちDMOを核に、市町や観光事業者等と緊密に連携しながら、新たなニーズを捉えた持続可能な観光地域づくりや、観光客の心をつかみ安心して周遊できる戦略的なプロモーションに積極的に取り組んでまいります。 次に、JR美祢線、山陰本線の復旧についてのお尋ねのうち、山陰本線の復旧についてお答えします。 山陰本線は、通勤や通学など沿線住民の日常生活や観光振興などに重要な役割を果たしていることから、県では、被災直後から沿線自治体と連携して、JRに対し、重ねて早期復旧を要請してきたところです。 しかしながら、JRからは、粟野川橋梁が被災したメカニズム等の調査中であるとして、今後の見通しが示されていないことから、県としては、地元住民の不安や心配を解消するため、一日も早く復旧の方針を示すよう、継続的に働きかけているところです。 また、十月に知事がJR西日本広島支社を直接訪問した際に、改めて早期復旧を求めるとともに、通勤・通学等への影響を最小限に抑えるため、運行可能な区間の部分的な復旧についても、早急に検討を進めるよう求めたところです。 県としては、今後とも、沿線自治体と一体となって、部分的な復旧も含め、早期に復旧の方針や今後の見通しを示すよう、JRに対し、粘り強く働きかけてまいります。 次に、交通機関の利便性向上についてのお尋ねにお答えします。 県では、公共交通機関の利便性向上を図るため、国や市町等と連携し、路線バスへの交通系ICカードの導入を進めるとともに、JRに対しても、スムーズな乗り継ぎのためのダイヤの改善や、ICカードの利用区間の拡大などを働きかけてきたところです。 こうした中、現在、JRでは、業務の効率化を図るため、利用者が少ない駅の無人化を進めていますが、お示しのように、切符や定期券の購入が煩雑になり、特に障害のある方にとっては、購入が困難な場合があるなどの課題があります。 このため、県では、駅の無人化など管理方法を変更する際には、障害のある方を含め、全ての鉄道利用者の利便性の確保に十分配慮した対応を行うよう要望しているところであり、引き続き、JRに対し、働きかけてまいります。 県としては、今後とも、市町や公共交通事業者等と連携し、全ての利用者が円滑に公共交通機関を利用できるよう、利便性のさらなる向上に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)県内の経済回復支援についての御質問のうち、物価高騰等に対応した需要拡大支援についてのお尋ねにお答えします。 地域経済がコロナ禍からの回復途上にある中、国際的な原材料価格の上昇や円安の進行等による物価高騰の長期化が、企業経営に大きな影響を与えています。 こうした状況下においては、生産性向上や資金繰り支援により、企業の事業継続を図るとともに、消費需要の喚起等による収益改善を促進することが重要であると考えています。 このため、県では、中小企業の業務効率化等に資する補助制度や、制度融資による金融支援等を通じて、事業者の経営改善を支援すると同時に、広い範囲での需要拡大を図る取組を推進しています。 とりわけ、需要拡大に向けては、クラウドファンディングを活用した、頑張るお店応援プロジェクトをはじめ、EC取引における送料支援や地域での需要喚起イベントの開催支援、さらに、県産農林水産物の需要拡大キャンペーンの実施など、様々な分野・手法により積極的に事業を展開しています。 こうした中、国においては、経済を一段高い成長軌道に乗せるための総合経済対策を策定し、重点支援地方交付金の拡充も図られたところです。 県としても、こうした国の取組に迅速に対応し、今回の補正予算において、中小企業等の負担軽減に向けた支援を延長し、事業者に速やかに届くよう実施することとしています。 今後も、物価高騰の状況を把握し、国の交付金も活用しながら、必要な需要喚起策について検討してまいります。 また、お示しのとおり、中国による水産物輸入規制については、今後シーズンを迎える水産物への影響が懸念されることから、今後の価格の推移等を踏まえ、漁業関係団体と連携しながら、国の支援策の活用を検討するなど、適切に対応してまいります。 県としては、引き続き、経済情勢等を的確に捉え、国の経済対策にもしっかり呼応しながら、需要拡大などの物価高騰対策を検討・実施し、県経済の回復につながるよう取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)JR美祢線、山陰本線の復旧についてのお尋ねのうち、厚狭川の河川改修についてお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で頻発化・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川改修などの治水対策は極めて重要です。 このため、県では、お示しの厚狭川についても、平成二十二年七月豪雨災害を踏まえ、下流の山陽小野田市側から河川改修を実施してきたところです。 こうした中、本年の梅雨前線豪雨により、上流の美祢市側では、住宅や農地への大規模な浸水や鉄道橋梁の流失など、甚大な被害が発生したことを受け、周辺住民の方々の暮らしの安心・安全を確保する観点から、再度災害を防止するため、抜本的な河川改修を実施することとしたところです。 具体的には、まずは、家屋の浸水被害が大きかった区間や、JRに関係する区間など、緊急度の高い箇所から、川幅の拡幅や堤防の整備などの河川改修を進めることとしており、その他の箇所も含め、事業期間としては、おおむね十年を見込んでいます。 また、河川改修を計画的に進めていくためには、継続的・安定的に予算を確保していく必要があることから、先月も、国に対して要望を行ったところです。 さらに、整備を加速するため、このたびの補正予算において、詳細な設計や河床掘削などを行う費用を計上したところであり、今後も、国の五か年加速化対策の予算等も活用しながら、事業を推進していく考えです。 県としては、再度災害を防止し、県民の安心・安全を確保するため、厚狭川の抜本的な河川改修を着実に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)成果連動型民間委託契約方式(PFS)の導入についてのお尋ねにお答えします。 急速な社会変革の進展や人々の価値観・意識の変化等を背景に、本県の抱える課題は、ますます複雑化・多様化しており、こうした課題に的確に対処していくためには、官民の連携を強化し、民間のノウハウ等を積極的に活用していくことが、これまで以上に重要になっています。 こうした中で、お示しのPFSは、目標となる成果指標を設定し、その達成状況に応じて支払金額が決定される仕組みであり、民間事業者に、より高い成果の創出に向けたインセンティブが強く働き、これが公共サービスの質の向上につながることが期待されています。 また、こうした仕組みを通じて、試行的な取組や新規事業が実施しやすくなることに加え、事業を通じて蓄積した様々なデータにより、今後の事業の改善が図られるなど、効果的・効率的な行政運営にもつながるとされているところです。 一方で、PFSの導入に当たっては、成果報酬の基準となる妥当な成果目標の水準を設定することが難しいなど、様々な課題があり、全国で徐々に実施事例が増えてきているものの、まだ本格的な普及には至っていない段階にあると考えています。 このため、県としては、まず、PFSの活用に適したテーマや費用対効果、導入に当たっての課題等について幅広く情報収集を行うこととし、今後、職員が国の実施するセミナーや勉強会等に参加するとともに、先行事例の研究なども行ってまいります。 さらに、PFSという新たな手法の活用に向けては、庁内での理解を深めていくことが重要であることから、セミナー等で得られた情報の共有などにも努めていきたいと考えています。 県としては、限られた人的資源・財源の中で、事業の成果を最大化し、効率的・効果的に地域課題の解決を図っていく手法ともなるPFSについて、今後、様々な形での情報収集と研究・検討を進めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)十八歳成人への支援に関する二点のお尋ねのうち、まず、ライフプランを学ぶ機会の確保についてお答えします。 民法の改正により、成年年齢が十八歳に引き下げられたことから、高校において、生涯を見通した生活を設計する力を育成することが求められており、消費者教育をはじめ、社会保障制度や働くときのルール等について正しく理解させることが重要であると考えています。 このため、県教委では、関係機関と連携しながら、実践的な教育活動を推進しているところです。 具体的には、消費者教育の実施に当たり、公民科や家庭科の授業において、消費者庁等が作成した最新のトラブル事例を紹介している資料を活用し、生徒自身が予防策や解決策を考える中で、契約の重要性や消費者保護の仕組みについて理解を深めるなどの取組を行っています。 また、ロングホームルームを活用して、消費者教育アドバイザーを講師とした、消費者トラブル対策に関する講演会等も実施しています。 さらに、お示しの金融リテラシーや複雑な社会保障制度の仕組みや働くときのルール等については、例えば、消費生活相談員や弁護士によるワークショップを通じて、資金の借入れや病気・失業などのリスクへの対応、労働法制等の働くときのルールに対する理解の深化を図るなど、学ぶ機会を確保しているところです。 今後は、こうした取組が、さらに実践的かつ充実したものとなるよう、関係機関が実施している出前授業を積極的に活用するとともに、教員に対して継続的に研修を実施し、指導力の向上にも努めてまいります。 県教委といたしましては、生徒が主体的に生涯の生活を設計したり、社会の中で自分の役割を果たしながら、自分らしい生き方を実現したりすることができるよう、ライフプランニングに関する教育の充実に取り組んでまいります。 次に、自己決定権への支援についてのお尋ねにお答えします。 県教委では、高い志を持ちながらも、経済的な不安を抱えた生徒を支援し、一人でも多く進学できるよう、山口県ひとづくり財団を通じて、国の貸与型奨学金制度を広く補完する形で、奨学金を無利子により貸与しています。 また、この奨学金については、教育の機会均等の理念の下、経済的理由で修学が困難な者を対象に国が実施している貸与制度に準拠しており、これまでも貸付原資の状況等を考慮しつつ、国制度の改正を踏まえて、所得要件等の見直しを行ってきたところです。 こうした中、現在、国において、結婚や出産などのライフイベントの状況に応じて、貸与型奨学金を柔軟に返還できる仕組みの創設など、様々な視点から経済的負担の軽減に向けた取組も進められています。 県教委といたしましては、お尋ねの奨学金制度の所得制限等の緩和について、制度継続のための中長期的な財源問題なども考慮し、今後の国における奨学金制度の動向等を注視しながら、適切に対応してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十二分休憩