1 教育諸課題について 2 やまぐち未来維新プランについて 3 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 中本喜弘君。 〔中本喜弘君登壇〕(拍手) 中本喜弘君 皆様、おはようございます。会派、政友会の中本喜弘でございます。本日、一般質問、通告に従い、させていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。 科学技術・イノベーション基本法に基づく、二○一六年からの五年間の第五期科学技術基本計画に、日本の未来社会に向けてSociety5・0というキャッチフレーズが初めて国から示されました。これはサイバー、いわゆる仮想空間と、フィジカル、現実空間を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する未来社会を示しています。 世界を恐怖の嵐で席巻した未曽有のコロナ禍の三年間で、このコンセプトの重要性と現実味が増してまいりました。 御案内のように、Society1・0は狩猟社会、Society2・0は農耕社会、Society3・0は工業社会、Society4・0は情報社会、そして、5・0へと歴史を経て、新たな社会を創造すべく大きな変革期に私たちは立っています。 社会状況を見ると、情報社会の到来以来、世界はより身近になり、これから日本がどういう位置に立ち、国際社会をリードし、持続可能な国家として国民の暮らしを守っていくのか、大事な局面を迎えています。 二○二一年からの第六期計画では「Society5・0 for SDGs」と、SDGsの目標達成に貢献するとしています。 Society5・0社会の実現に重要視される先進テクノロジーは、IoT、ビッグデータ、AI、5G、ロボットが上げられますが、既に、ものづくり、交通、農業、医療・ヘルスケア、食品、防災、エネルギーなど、各分野で新たな価値創造に向けた取組が行われていることを我々は実感しています。 さらに生成AIの飛躍的進化や、今後5Gに代わり衛星通信の台頭など、日進月歩ではなく秒進分歩で進化していると感じられます。 しかしながら、社会課題もその速度を上げて、あるいは大きくなって、私たちの暮らしに迫ってきています。 人口減少、少子高齢化、一次産業の衰退、国際的な侵略・紛争の激化、それに伴う物価高など、枚挙にいとまがありません。 山口県に目を向け、さらに私のように中山間地域で暮らしていると、こうした社会課題は、ふるさとの地域がいつまでもつのかと切実で、身近に迫ったものとして感じております。 コロナ禍と重なった前職美祢市教育長の三年間は、基礎的自治体の教育行政の現場で、今のままの行政経営を継続するだけでは課題を解決することはできないと痛切に感じました。 同時に、国、霞が関も変わろうとしていることも、元文部科学審議官、丸山洋司氏、また二度の学習指導要領の大きな改訂に関わった現文化庁次長の合田哲雄氏と出会うことで実感しました。 コロナ禍で、児童生徒が学校へ通い教室で当たり前に学ぶことができない状況の中、一人一台タブレット情報端末が整備されたGIGAスクール構想により、学校の臨時休業時、学校以外でも子供たちが学びを止めないためのツールが備わりました。 また、学習指導要領の改訂では、教育基本法が示す社会の中で自立自走できる学びを実現するために、学んだことを人生や社会に生かそうとする学びに向かう力、人間性など、実際の社会や生活で生きて働く知識及び技能、未知の状況にも対応できる思考力、判断力、表現力など子供たちに必要な力を三つの柱に整理し、全ての教科で、これを基本といたしました。 それらの資質・能力を育成するために、主体的・対話的で深い学び、いわゆるアクティブラーニングの視点から、何を学ぶかだけではなく、どのように学ぶかも重視し、授業改善を進めることが示されました。 また、小中学校を問わず、プログラミング教育、外国語教育、道徳教育などの充実が図られることとなりました。 今後、今ある半数の職業が人間の手を離れ、新しい価値の創造により、それに関わる仕事に置き換わっていく時代に、誰一人取り残さないで子供たちが学び、子供たちが自らの手で将来をどうつくっていくのかという未来の指針になると感じております。 また、合田さんは、今後デジタル化の進展により、あらゆる社会システムがサプライサイド(供給側)からデマンドサイド(需要側)へと、その重点が移動すると言っております。私も分からないままにそうなっていくなと感じています。 例えば、今までは地上波で、テレビ局が制作し、テレビ局が決めた時間にしか見ることができませんでしたが、デジタル化によってネットフリックスなど動画配信サイトの中にあるたくさんの番組の中から自分の見たいものを選び、好きな時間に見ることができるという形がデマンドサイドということになります。 もう一つのキーワードは、アンラーンです。 学び直しと意訳されますが、これは今まで積み上げてきた知識や経験、実績、思考の枠組みを一旦ゼロに戻して、学び直すことを意味しています。 社会構造が大きく変化していく中で、アンラーンは教育分野、子供たちの教育の視点ということにとどまらず、我々社会を構成している大人全てに当てはまることと思います。 そうした社会変革のキーワードをベースに、具体的に数点の質問をいたします。 まず、教育についての質問です。 新たに山口県教育振興基本計画が、本年十月に策定され、山口県の教育のこれからの方向性が見えてきました。ここで改めて教育長の今後の教育振興に対する思いをお聞かせください。 そのほか、具体的に教育関係四点について質問をいたします。 まず、学習指導要領にある主体的・対話的で深い学びを各教室で実現し、誰一人取り残されない個別最適な学びや、子供たちの個々の潜在的需要を掘り起こし、子供たちが何を知っているのかから、学ぶことで何ができるのかといった社会での自立自走を身につけていくための学びをつくっていくことが大切です。 そして、子供たちの特性や関心に応じた個別性の高い学びと多様性を認識し、相互に価値の違いを尊重して、共に社会をつくっていくための共生社会の基礎としての基礎学力の定着、この個別性と共通性を両立させることが必要です。 前者の個別性の高い学びを授業で実践していくためには、タブレット情報端末の利活用なしにはできないと考えます。 後者の基礎学力の定着は、これまで百五十年に及ぶ日本型学校教育の長い歴史から培われた授業が有効です。 しかし、先生が、個々の子供の状況を個別に把握し、それに見合った学びをプロデュースしていくには、教育DXを進め、ICT教育の力を大きく前進させることが不可欠です。 そうした意味で、県教育委員会では、ICT教育の充実・進展に積極的に取り組んでおられることは承知しており、その御尽力に感謝しています。 しかし、教員個々人のICTへの親和性やデジタルスキルのばらつきなどの課題も生じています。 そこで、ICT教育の現状、特に小・中・高のそれぞれのタブレット情報端末の利活用についての現状と課題、その課題解決にこれからどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、先月開かれた第九回やまぐち高校生県議会での質問にもありました、教員の人材確保と働き方改革についてのお尋ねです。 私は、社会構造の大きな変革期にあって、教育の重要性はますます高まっていき、その現場を担う教員の仕事の専門性や価値も、それに比例して高まっていると考えますし、教職の仕事をリスペクトしています。 しかしながら、学校現場での課題が多種多様になってきており、それに併せ教員の授業以外の仕事が年々増えてきています。 しかし、時間外勤務や休日勤務などの手当を支給せず、教職調整額として月給の四%に相当する額を支給すると定めている、公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法、いわゆる給特法の縛りがあって、実質的にはほぼ毎日、民間で言う長時間のサービス残業、部活動などによる休日勤務など、教員の勤務実態の負の部分がクローズアップされた影響もあり、教師を希望する学生が減り、高い専門性が必要な教師の人材確保が厳しい状況にあります。 そこで、優秀な人材を持続的に確保していくためには、教員のワーク・ライフ・バランスや、働き方改革が待ったなしの課題と考えます。 二○二三年六月に閣議決定された、いわゆる骨太方針二○二三にも教育についての方針がたくさん書かれていますが、その中で専門性が高く重要な仕事である教師の処遇改善についても、来年度から三年間を集中改革期間として取り組むと明記されています。 教師の仕事で最も大事なことは、子供たちと直接向き合う授業であり、その準備の時間、そして課題を見つけ授業を改善していく協議や研修などの時間、そうしたことに集中するための余白時間と考えます。 しかし、現状では、それ以外にも教師が直接担う必要性のない仕事も含め、多くの業務負担を強いられていると実感しています。 働き方改革を推進するために、給特法に基づく国の指針では、教師の時間外勤務の上限を週四十五時間以内、一年間三百六十時間以内と設定されていますが、なかなかクリアすることができません。 私も教育長在任当時を振り返って、これといった解決策が見いだせないで大変苦労いたしました。 教員も一県民として、御自身の子育て、家庭や自分時間など、ワーク・ライフ・バランスが取れ、生き生きと余裕を持って子供たちに向き合ってもらうために、また教員の業務負担を軽減するために、それぞれの分野の専門家や人材を学校現場に確保すること、そして、教育DX、デジタル化の促進で業務時間を短縮する等の措置が急務です。 また、今後さらに社会の重要な教育分野を担う専門家としての教師の人材を確保し、子供たちが安全・安心に学び、成長する場である学校を維持していくためには、県会議員各位はじめ県民の皆さんに教師の勤務実態や窮状を社会課題として共有してもらうことが重要であると考えます。 そこで、教師の勤務実態と各種業務に充てられる時間などをお示しいただき、その現状と課題、また課題解決のための具体的な取組をお示しください。 三点目は、中学校教育の中で大きなウエートを占めている部活動の地域移行についてです。 中学校生活の中で部活動を通じて子供たちがスポーツや文化に親しみ、学年を超えた人間関係づくりや、体力・健康の増進、心身や社会性を養うなど、先生方の献身的な支えにより、子供たちの学びや成長の重要な部分を担ってきたと言えます。 しかし、少子化、人口減少の影響により、学校単位での子供たちが興味・関心を持って参加するための部活動の多様な選択肢を維持することが困難になってきました。 例えば、サッカー、野球、バレーボールなどの団体スポーツ、吹奏楽、合唱など多くの人数を要する部活動は、徐々に学校から消えつつあります。 その課題の解決のため国も動き出し、部活動の地域移行について国のガイドラインが示され、それに沿って山口県でも本年十月に、新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針が示されました。 先月、部活動の地域移行の現状と取組について、所管課から説明を受けましたが、受皿となる地域の団体等の整備や、保護者の新たな費用負担への対応など、今後こうした課題をどのように対処し、子供たちの大切な活動を維持していくのかは、困難ではありますが、大変重要であると認識しています。 そこでこのことについても、改めて県会議員各位、県民の皆様に大きな課題として共有していただく、部活動の地域移行の趣旨・目的、そして、取組の現状と課題解決に向けた今後の取組についてお伺いをいたします。 四点目は、産業教育に係る質問です。 山口県では、令和四年三月に策定された第三期県立高校将来構想の方向性に沿って、高校の再編整備を年次的・計画的に進めるため、五年単位の実施計画、令和四年度から五年間の前期実施計画を策定し進めてこられております。 少子化、人口減少の時代に、よりよき学びやを提供することは大変重要です。しかし、詳細を詰め、総合的に進めていくことは非常に大変な作業で、県教育委員会の御労苦に頭が下がります。 その中で、工業、商業、農業、水産業などを担っていく生徒を育てる専門高校や専門学科の充実の視点についてお尋ねしていきたいと思います。 なぜそのような質問になるのかといえば、若者の県外流出の問題とも深く関わってくるからです。 県教育委員会では、二○二三年三月に公立高校の全日制・定日制を卒業し、大学等へ進学する進学率を四八・九%と公表しています。それ以外では、専修学校等進学が二一・一%、就職者は二七・一%となっています。 例えば、高校を卒業し、地元企業等に就職した場合、タックスペイヤーとして山口県に長年貢献してくれるわけですから、山口県の宝と言えます。そうした子供たちが、地元企業、山口県のオピニオンリーダーとして、産業界・山口県の進展に力を発揮してもらうため、地元産業界の需要や社会の変革の中で、山口県の産業を維持発展させていくために、専門高校や専門学科の学びを充実していくことは山口県にとっても大切なことではないでしょうか。 お隣広島県で、そうした観点から、専門高校等の教育アップデートが積極的に進められています。 一九五一年(昭和二十六年)制定された産業教育振興法に沿って産業教育振興会、これは山口県にも設置されていますが、広島県では地方産業教育審議会も設置されており、県教委や知事の諮問に対して審議、調査し、これらの事項について両者に建議することとして、第七期、令和三年から四年の審議会が、これからの産業教育の在り方について諮問され、昨年十月に答申がなされています。 この中では、社会状況の変化と専門高校等の現状から、目指す生徒像、教員像を示し、これを実現するための産業教育の方向性、実現に向けた産業教育に関する方策などが示されています。 広島県と同様に山口県でも取組が行われているかもしれませんが、私の検索が稚拙で山口県の状況がつかめておりません。 産業界と密に連携し、社会状況や地元産業界のニーズに対応した視点を持った上で、専門高校や専門学科の産業教育がアップデートされることによって、高校生が地元に目を向け、関心を持ち、地元企業に就職を希望すること、そして、産業界でも欲しい人材を獲得できるといった良好な循環が生まれ、若年層の県外流出を防ぐ取組として一定の効果が上がると考えております。高校再編整備の中に、そうした視点を持って臨んでいただきたいと思います。 そこで、本県の産業教育への取組と現状、今後の取組についてお尋ねをいたします。 次に、村岡知事は、昨年十二月に策定された、やまぐち未来維新プランの実現に向けて、まさにデマンドサイド、需要側である県民の視点に立ち、多岐にわたる課題を克服し、未来に向けて発展・持続可能な山口県を目指しておられます。 策定から一年がたち、引き続きしっかりとその実現に向けた取組を進めていただきたいという思いを込めて、この未来維新プランの中から四点お尋ねをいたします。 やまぐち未来維新プランの中では、県づくりの推進方向、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現の四つの視点、安心・安全、デジタル、グリーン、ヒューマンが掲げられています。 まず、デジタルの視点からお尋ねします。 各分野でのデジタル化は、それぞれが抱える課題解決と、よりよき未来社会の構築に欠かせない視点であり、本計画にも重要な要素として多様な取組が推進されています。 教育DXの進展は、県民の利便性の向上、企業等のデジタル化の進展を促すなど大変重要です。 本県においても、令和三年に策定したデジタル改革基本方針に基づき、全国に先駆けて取組を進めておられますが、県民誰もの目によく触れるところで、行政もしっかりとデジタル化に取り組んでいることを実感してもらうことが、DXのムーブメントを起こしていく上でも大変重要な要素ではないかと考えます。 そのことについての御所見と、行政DXの取組の進捗、今後の取組についてお伺いをいたします。 もう一点、同じようにムーブメントを起こしていくという視点から、県職員の男女共同参画についてお尋ねいたします。 人口減少、少子高齢化の中で、社会の発展のためには女性の社会参画は必然の要素です。しかし、本会議や委員会での女性の参与員はごく僅かです。 平成十一年六月に男女共同参画社会基本法が施行されてから二十二年目を迎えています。 県職員の女性の雇用、管理職への登用などは、長期の人事計画の中で少しずつ実現に向けた努力が必要ですし、共働き共育てが可能な社会には、まだまだ制度や環境を整える必要があるのは承知しております。 しかし、山口県民を牽引する立場として、県庁自らが実践していくことは大変重要に思います。 そこで、県職員の男女共同参画に向けた現状と課題、今後の取組について目標値等を挙げてお示しをお願いいたします。 次に、大交流維新に掲げられている、交流拡大による県民活力の創出・発信、新たな観光県やまぐちの創造についてお尋ねします。 山口県の人、自然、文化、産品など、すばらしい魅力、ポテンシャルをしっかりと引き出し発信し、山口県民も国内外から訪れる人々も笑顔で幸せにする取組であると感じております。 この実現には、市町がそれぞれ地域の魅力を最大限に発揮することが前提ではありますが、それぞれの行政区を超えて、山口県全体を交流の受入れの面として取り組む必要があります。 なぜなら市町は、行政区を超えて取り組むことは難しいからです。点や線ではなく、山口県全体を面として誘客に取り組む、例えば、ターゲットを絞った二泊三日など県内周遊の観光商品の造成などは、やはり県主導で進めるべきと考えます。 その際には、アウトドアツーリズムなど新しい企画だけではなく、県内の秋芳洞・秋吉台、角島、萩の文化遺産、岩国の錦帯橋など、県内に数多くある既存の観光資源もブラッシュアップした上で組み合わせていくことが肝要と考えます。 なぜなら、東京からUターンして美祢市で観光に従事している若者から、東京で、特に若者世代では、秋芳洞・秋吉台、山口県にある観光地、国の特別天然記念物など、私たちにしたら知っていて当たり前のことが全く通用しませんとはっきり言われたからです。 しかし、それゆえに潜在的観光客となり得る層がまだまだたくさん眠っていることになります。山口県のすばらしい魅力を知らない層が大勢いるということは、ビジネスチャンスも無限大であると考えます。 そうした県全体を面で捉え、観光需要を掘り起こしていくなど、観光振興による山口県の元気づくりについて、村岡知事の意気込みと今後の具体的な取組についてお聞かせください。 次に、大交流維新の中で、広域的な交通インフラ(産業や生活の基盤)の整備が掲げられていますが、観光で県内を周遊していただくためには、道路整備や周辺環境の整備なども重要になってきますし、県内で暮らしている県民の皆さんにとっても安全・安心な暮らしに直結し、最後の質問でもある防災減災にも関わる生活維新の課題でもあると考えます。 地元で暮らす私たちにしたら、日々の生活道であり、レンタカーやバスなどで観光を楽しまれる方にとっては、移動手段の道路や休憩場所も観光イメージの大きな要素となります。 一方で、こうした整備に加えて、例えば、サイクル県やまぐちの切り口でイベントなどを開催することにより、観光振興を図るにしても、既存の自転車道の環境整備や一般道での安全面の確保がおざなりになっていれば、せっかくサイクリングで山口県のファンをつくったとしても持続可能な取組とは言えないのではないでしょうか。 そうした意味で、インフラ整備の重要性についてのお考えと今後の取組についてお聞かせください。 最後に、生活維新の県民にとりまして、安全・安心な暮らしの基本となる災害に強い県づくり推進、豊かで利便性に優れた暮らしづくり推進についての質問です。 六月三十日に起こった梅雨前線豪雨により美祢市は大きな災害を受けました。知事は、七月三日に現地を視察し、その後、JR西日本広島支社に早期復旧を要望に行かれました。 また、県庁から災害ボランティアに多数参加していただき、被災者に寄り添った活動、さらには市役所に職員を派遣されたりなど、大変な美祢市にとりまして大きな支えとなりました。この場をお借りしてお礼を申し上げたいと思います。 議長(柳居俊学君)中本君に申し上げます。 時間が参りました。 中本喜弘君(続)はい。最後の質問は、そうした意味で県民の安心・安全をつくるということをもう一度確認させていただきたいと思います。 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中本議員の御質問のうち、私からは、交流拡大による県民活力の創出・発信、新たな観光県やまぐちの創造についてのお尋ねにお答えします。 本県は、三方それぞれが特色ある海に開かれ、豊かな里山が広がる美しい自然の宝庫であるほか、歴史や文化、温泉、グルメなど多彩な観光資源や、秋吉台や角島、錦帯橋など世界に誇るべき観光地に恵まれるなど、大きな魅力にあふれています。 私は、本県観光の飛躍的な発展を実現していくためには、その高いポテンシャルを最大限生かして、観光地の魅力をさらに高めるとともに、点在する観光地を効果的に結びつけ、県内周遊につなげていくなど、県全体を面として捉えた誘客拡大を図っていく必要があると考えています。 このため、新たな観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、県内各地に広がる幸福にまつわる山口ならではの観光素材も活用しながら、全県を挙げて、戦略的なプロモーションの展開と、魅力的な観光地域づくりを強力に進めていくこととしています。 まず、戦略的なプロモーションの展開については、県内周遊の促進を図るため、旅行会社や航空会社、鉄道事業者等と連携し、そのネットワークや販売力を活用して、幸福感あふれる山口の旅をイメージできるような新たな旅行商品の造成に取り組んでいきます。 また、市町との連携の下、謎解きをテーマに県内十九市町全域を周遊する観光イベントを開催をするとともに、県内各地の古地図を使って街道や町並みを散策する歴史散策ツアーを全県で展開しているところです。 さらに、首都圏や関西圏等の重点誘客エリアを対象に、SNS等による観光客のニーズに即したターゲティング広告を効果的に配信し、潜在的な観光客となり得る層にもアプローチしていくことで、本県への誘客拡大につなげていきます。 次に、魅力的な観光地域づくりに向けては、やまぐちDMOや市町等と連携して、新たなコンテンツの開発を支援しています。 今年度から推進しているアウトドアツーリズムの取組においても、秋芳洞内に残されている未公開エリアでの特別な探検プログラムの開発を進めるなど、既存の観光地の魅力をさらに高める取組を支援しているところです。 また、古民家を活用した宿泊施設やカフェの整備など、観光地全体が一体となって観光素材を磨き上げる取組への支援や、本県の優れた食材を生かした訴求力の高いグルメメニューの開発など、地域の観光資源のブラッシュアップを図っていきます。 こうした取組に加え、誘客効果が高く、全国から本県各地への周遊が期待できるJRのデスティネーションキャンペーンの誘致にも取り組んでいくこととしています。 私は、今後とも市町や関係団体と緊密に連携しながら、県全体を面として捉えた戦略的なプロモーションや魅力的な観光地域づくりを推進し、山口県の元気づくりにつながる観光振興に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)平屋副知事。 〔副知事 平屋隆之君登壇〕 副知事(平屋隆之君)やまぐち未来維新プランについてのお尋ねのうち、県職員の男女共同参画についてお答えします。 男女が性別に関わりなく、その個性と能力を十分に発揮できる男女共同参画社会を実現することは、活力ある県づくりを進める上で大変重要であると考えています。 このため、県では、山口県女性職員活躍推進行動計画に基づき、人事委員会との連携の下で女性受験者の拡大に取り組むとともに、女性職員の職域の拡大や管理職への積極的な登用など、能力や適性を十分に発揮できるよう取組を進めております。 また、家庭生活と職業生活との両立を支援するため、テレワークやフレックスタイム制の導入、時差出勤の拡充など、柔軟な働き方を推進するとともに、男性職員の育児への参加促進にも取り組んでいるところです。 こうした中、課長級以上に占める女性職員の割合は、行動計画に掲げた令和八年四月に一八%とする目標に対し、本年四月時点で一三・五%にとどまっていることから、引き続き女性職員の積極的な登用に向け、計画的な人材育成やマネジメント能力の向上等に取り組んでまいります。 一方、男性職員の育児休業取得率については、令和六年度までに三○%とする目標に対し、令和四年度で三六・六%となっておりますが、本年六月に閣議決定された国のこども未来戦略方針において、目標値等が大幅に引き上げられたことなどを踏まえ、現在、目標の見直しを検討しているところです。 県としては、今後とも職員のニーズをきめ細かく把握をしながら、県職員における男女共同参画の実現に向け、実効性のある取組を進めてまいります。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)教育諸課題についてのお尋ねのうち、部活動の地域移行についてお答えします。 少子化や教員の働き方改革が進み、学校単位での部活動の継続が困難な状況が生じる中、部活動の地域移行は、将来にわたり本県の子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することを目的として実施しているものです。 この地域移行に向けた取組として、県では、関係機関等で構成する、やまぐち部活動改革推進協議会を設置し、地域の実情に即した取組の方向性を協議するとともに、各市町の運営・検討協議会の開催への支援や、関係者への周知啓発を図るなど、移行のための環境整備を進めてきたところです。 また今年度、県内七市において、国事業を活用した実証事業を実施し、市町の地域移行の取組を支援するとともに、人材バンクの整備や資質向上を目的とした研修会の開催などを通じて、地域で指導に当たる人材の確保を進めています。 今後は、十月に策定した新たな地域クラブ活動の在り方等に関する県の方針に沿って、受皿となる地域の団体等の整備充実や、保護者の新たな費用負担への対応など、移行に向けた様々な課題解決に取り組んでいくこととしています。 まず、受皿となる地域の団体等の整備充実については、実証事業を行う中で、運営団体等の体制整備や受益者負担の在り方を検証し、課題解決に向けた具体的な方策や実証の成果の普及を図っていきます。 次に、保護者の新たな費用負担への対応については、生徒の移動手段の確保や各家庭の費用負担の軽減などの市町が行う取組に対し、国による十分な財政支援が図られるよう要望するとともに、今後、国の支援方策を踏まえて、県としての具体的な対応を検討してまいります。 県としては、子供たちのスポーツ・文化芸術活動の機会が持続的に確保できるよう、県教育委員会と一体となって、各市町や関係団体等と緊密に連携しながら、部活動の地域移行が円滑に進むよう取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)行政DXについてのお尋ねにお答えします。 行政分野におけるDXの推進は、業務の効率化・高度化と行政サービスの利便性向上につながるものであり、社会全体のデジタル化を推進する上でも重要な取組となることから、県では、これを本県のデジタル改革の柱の一つに位置づけ、積極的に取組を進めています。 まず、その第一歩となる行政手続のオンライン化については、県独自手続のオンライン化を完了するとともに、そのワンストップ窓口となる総合案内サイトを開設しており、利用率も着実に上がっているところです。 また、定型業務を自動化するRPAの会計処理など約六十業務への導入や、県独自の安全性の高いシステムを構築した生成AIによる業務の効率化への取組、オープンデータとデジタルマップを活用した県民への分かりやすい生活関連情報の提供など、様々な取組を進めています。 加えて、市町の行政DXを後押しするため、本年度から、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」に市町専用の相談窓口を設置し、書かない窓口の実現やマイナンバーカードの活用など、住民サービスの向上につながる取組への伴走支援も行っているところです。 さらに、行政DXの取組をより高いレベルのものとしていくため、業務をデジタルを前提としたものに変革する、行政DX・新たな価値を創出する働き方改革の取組をスタートさせました。 これにより、ペーパーレス化の加速や、新たに作成したガイドラインに基づく生成AIのさらなる活用などを進めるとともに、行政DXの推進に係る包括連携協定を締結した日本マイクロソフト株式会社からも支援を頂きながら、取組の充実を図っていきたいと考えています。 そして、こうした県庁の取組については、取組事例や成果などを公表すること等を通じて、県内市町や企業などへのDXの取組の波及にも努めてまいります。 県としては、より質の高いデジタル社会の構築へとつなげていけるよう、行政DXの取組を今後も積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)やまぐち未来維新プランに関するお尋ねのうち、広域的な交通インフラの整備についてお答えします。 大交流維新では、本県の潜在力を発揮して、新たな人・物の流れを創出・拡大し、県を活性化することとしており、そのためには道路網などの広域的な交通インフラの整備等が重要と考えています。 このため、県では、周遊ルートの形成に資する幹線道路等の整備を行うとともに、県内外からの観光客が快適に移動・観光できるよう、関係市町等とも連携し、道の駅におけるトイレの改修や、道路、観光等に関する情報発信環境の整備などを行っているところです。 また、安心・安全な交通環境を確保し、道路を良好な状態に保つため、地域の課題やニーズ等を踏まえた上で、緊急性や重要性の高い箇所から、順次、舗装の補修や草刈りを実施するなど、適切な維持管理に努めているところです。 県としては、引き続き、こうした取組により、広域的な交通インフラの整備等を進めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する御質問のうち、私からは、山口県教育振興基本計画の策定を踏まえた、今後の教育振興についてのお尋ねにお答えします。 人口減少、少子高齢化のさらなる加速やグローバル化の進展、生成AIの出現に象徴される急速な技術革新など、想定を上回る速度で社会が変化し、将来の予測が困難な時代を迎えています。 こうした中、県教委では、本県教育を取り巻く社会状況の変化を踏まえるとともに、県議会をはじめ、教育関係者や児童生徒、県民の皆様から御意見も伺い、本年十月、これからの本県教育の指針となる山口県教育振興基本計画を策定しました。 本計画では、社会の変化や多様な教育ニーズ等に対応するため、施策の柱に、新たな時代を創造する人材を育む教育の推進や、誰一人取り残されることのない教育の推進を追加するなど、施策体系を大きく見直しました。 こうして整理した六つの柱の下、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた学習指導の充実や教育DXの推進など二十六の施策を総合的・計画的に推進することとしています。 また、本県の強みであるコミュニティ・スクールの連携・協働体制とICT環境を、各施策を展開する際の重要な視点として位置づけ、これらを積極的に活用することで、施策の効果を最大限に高めていきます。 そして、教育目標には、未来を拓くたくましい「やまぐちっ子」の育成を掲げたところであり、計画に沿って施策を推進することで、先を見通すことが困難な時代にあっても、高い志を持ち、多様な人々と協働しながら、主体的に未来を切り開いていくことのできる子供たちを育成していきたいと考えています。 県教委といたしましては、本計画の下、学校、家庭、地域をはじめ、市町教委や関係機関等とも連携し、本県教育の振興に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)木村副教育長。 〔副教育長 木村香織君登壇〕 副教育長(木村香織君)教育諸課題に関する数点の御質問のうち、まずICT教育についてのお尋ねにお答えします。 本県では、国が進めるGIGAスクール構想等を踏まえ、一人一台端末等のICT環境を整備し、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実に取り組んできたところです。 現在、各学校では、自分で調べる、考えをまとめ発表する、他者とやり取りをするなど、学習活動の目的に応じて端末が使用されておりまして、国の調査では、小中学校ともに活用頻度が全国平均を大きく上回り、特に小学校は全国一位となるなど、端末の活用が進んでいます。 また、県教委独自の調査では、高等学校においても、各学校の実態や教科等の特性を踏まえた活用がなされ、年々その活用率が上昇しているところです。 今後は、端末等のICT環境を生かして、授業の改善や家庭等での利用促進、教育データの活用などに取り組む必要があると考えています。 このため、ICTを活用した授業実践の動画や事例集の作成・共有などを通じて、教員の授業づくりを支援するとともに、端末の家庭学習における利用を進めるなど、授業以外での活用も広げてまいります。 また、様々な教育データを活用し、子供の状況を個別に把握することにより、エビデンスに基づく支援を充実させることとしています。 県教委といたしましては、引き続き市町教委と連携しながら、教育DXを見据えたICTの活用を推進してまいります。 次に、教員の人材確保と働き方改革のお尋ねにお答えします。 教員の長時間勤務や教員不足が大きな問題となっている中、子供と向き合う時間を十分に確保できるよう、働き方改革を推進することは重要です。 お尋ねの、本県における勤務実態の現状については、昨年度の教員一人当たりの一か月の平均時間外在校等時間が、小学校で三十八・四時間、中学校で四十七・○時間、県立学校で三十三・○時間であり、依然として厳しい状況です。 その要因には、授業の準備や部活動指導、学級事務などのほか、各種調査や登下校への対応などがあり、その中には負担軽減が可能な業務や、教員以外でも担うことができる業務が含まれています。 こうした状況を踏まえ、県教委では、教員業務支援員やICT支援員などの配置により、教員が授業やその準備に力を一層注ぐことができる環境を整えるとともに、校務におけるICTの活用促進による業務のさらなる効率化を進めることとしています。 また今後、全ての学校や教育委員会のウェブページ等において、教員の勤務実態や働き方改革に係る取組状況を公表することとしており、保護者、地域等の理解や参画をこれまで以上に促進してまいります。 県教委としましては、教員がその専門性を十分に発揮できるよう、市町教委や学校、家庭、地域と一体となって、学校における働き方改革を一層推進してまいります。 次に、産業教育についてのお尋ねにお答えします。 生産年齢人口の減少により、地域産業の担い手不足が深刻化する中、本県産業の成長を支える人材の育成に向けて、産業教育の充実に取り組んでいくことは重要であると考えています。 このため、県教委では、学校と県内企業等が連携した教育活動を推進しており、現在、産業界のデジタル化に対応できる人材や、カーボンニュートラルの実現を担う人材の育成に向けて、企業の技術者を講師とした実践的な実習や、現場見学、研修等にも取り組んでいます。 こうした取組は、学校と企業の相互理解を一層深め、高校生にとっても地域や地元企業の魅力を知る貴重な機会となり、県内就職に向けた意識の醸成につながっているところです。 今後は、これまでの取組のさらなる充実を図るとともに、産業構造や雇用環境の変化に適切に対応できるよう、産業界と教育界の橋渡しを担う山口県産業教育振興会とも連携しながら、産業教育の推進に取り組んでまいります。 また、県立高校の再編整備に当たっても、本県産業の持続的な発展を担う産業人材を育成する学校を県内にバランスよく配置するよう努めることとしています。 県教委といたしましては、産業界と緊密に連携しながら、地域社会や産業を支える人材の育成に向け、産業教育の一層の充実を図ってまいります。