討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 木佐木大助君。 〔木佐木大助君登壇〕(拍手) 木佐木大助君 日本共産党を代表して討論を行います。 本議会に付託された二十二議案のうち、議案第十号及び十三号を除く二十議案には賛成をいたします。 反対する議案第十号は、知事等の給与及び旅費に関する条例及び山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例であります。 改正によって知事や県議会議員の期末手当は、現行の年三・三か月分から三・四か月分に引き上げられます。県民の多くが実質賃金の低下と物価高騰で日々の暮らしの困難が増している中で、現行でも高い水準の期末手当を引き上げることは、県民の理解は全く得られません。よって、議案第十号には反対をいたします。 議案第十三号は、山口県税賦課徴収条例の一部を改正する条例であります。 改正の内容は、森林環境税の創設に伴い、個人県民税の報告事項に森林環境税の課税額の総額を追加するなどとされています。 森林環境税は、自然界の二酸化炭素CO2の吸収源として地球温暖化対策上も大事な役割を担う森林を荒廃から守ること、これを目的に創設され、二〇二四年度から毎年、納税者一人当たり千円徴収をしていく国税であります。 しかし、温室ガスを大量に排出している企業や法人への負担はなく、個人に一律に千円を課すもので、住民税所得割が非課税の低所得者にも負担を強いていく、逆進性の極めて高い税であり、税の徴収としては大問題であります。 また、森林の機能は水源としても重要で、その恩恵は当然、企業や法人も受けており、企業、法人も当然負担すべきであります。 よって、議案第十三号には反対をいたします。 加えて、山口県は、やまぐち森林づくり県民税として、個人には県民税均等割に一人五百円加算をして、法人には年額千円から四万円、これを徴収しており、二重課税となります。少なくとも個人については、課税期間とされている二〇二四年度をもって廃止すべきことを要望します。 次に、賛成する議案第十一号及び第十二号についてであります。 両議案は、会計年度任用職員及び会計年度任用学校職員の給与、費用弁償及び旅費に関する条例の一部を改正するものであります。 改正は、会計年度任用職員及び学校職員さんの報酬、給料の引上げ、勤勉手当の支給を行うことを内容にしたもので、この限りにおいては評価できるもので賛成をいたします。 大問題なのは、今年十月十七日に行われた人事委員会の勧告を踏まえた報酬、給料の改定が施行されるのは二〇二四年四月とされていることであります。 総務省は今年五月二日付、会計年度任用職員の給与改定について、改定の実施時期を含め、常勤職員に準じることを基本とするとして、正規職員と同様に四月に遡って改定するように自治体に求める通知を出しています。さらに十月二十日には、地方公務員の給与改定等に関する取扱いについてと題した総務副大臣通知が出され、改めて、この通知を踏まえ適切に対処するよう要請されています。 この二つの通知を踏まえて、施行期日を今年四月からとされるよう強く要望いたします。 次に、継続審査中の六議案のうち、議案第十三号及び十六号に反対します。 議案第十三号は、二〇二二年度山口県一般会計歳入歳出決算についてであります。 新型コロナウイルス感染症拡大の三年目の年でしたが、月三百時間を超える時間外勤務を余儀なくされた職員さんもたくさんおられました。背景には、行政改革の名による職員の削減がありますけれども、その後も職員増は僅かで、非正規職員の割合が増加していることは、県民の命を守る観点からも重大な問題であります。 子育て支援の拡充については、人口減少が進むこの山口県にとっては、まさに喫緊の課題でありますが、子供医療費の助成の拡充は、またまた見送られています。県内市町では、子供医療費助成を中卒から高校卒業に拡大するところが増え、今年度は、学校給食の無償化に取り組む市町が急増しています。にもかかわらず、県の子育て支援の施策は、ここ二十年間、全く足踏み状態で、県民の子育ての実態や切実な要求から一層遠く離れていってしまっています。 しかも、教育分野では、学校トイレの洋式化が全国最低レベルということもマスコミが取り上げるなど、際立っています。 二年分の法人事業税や地方消費税などの増加で生じた、いわゆる税収の上振れ分二百億円は、そうした子育て施策には使われず、新たな基金に積まれています。お金がなかったわけではありません。今回の高校再編で小規模校を次々切り捨てていくやり方とも併せて、県知事の子供たちへの愛情の薄さ、さらに子育て家庭への冷たい姿勢が改めて浮き彫りになった決算審査です。 また、土木費の約一千百二十三億円のうち半分近い四百九十一億円が道路橋梁費ですが、小郡萩道路、山陰道、下関北九州道路など高規格道路に重点が置かれ、県民に身近で要望の強い、生活道路の除草や伐採、パトロール予算は十七億円で横ばいであります。うち、特に要望の強い道路の除草は、交通安全上支障が生じるおそれがある箇所などについては複数回でありますが、原則年一回で五億円です。せめて年二回にしないと、観光面からも大きなマイナスではないでしょうか。 地域医療構想に基づいて、この年は高度急性期・急性期病床を八十一床、慢性期病床を百四十床も削減しました。国の大号令に従って、県民の命のとりでであるこの医療の削減が進められたことは極めて重大であります。この点も指摘しておきます。 議案第十六号は、二〇二二年度工業用水道事業会計の決算についてであります。 小瀬川第二期工水には、一日当たり三万二千トンもの未事業化分の水源があり、二〇一二年度まで未事業化分の企業債元利償還金とダム負担金、計約百五十五億円を一般会計が負担してきました。一般会計に移管した後、二〇年度までに未事業化分の負担は約七億七千万円に上ります。さらに今後もダムの分担金年間四千万円の負担は続いていきます。過大な見込みで行った投資が、後々まで県民負担を強いることになった、あの失敗を忘れずに、今後の施策に生かすことを指摘しておきます。 次に、請願についてであります。 今議会に提出された八本の請願のうち、第五号及び第七号を採択とした委員長報告には賛成をして、第一号から四号及び六号、八号を不採択とした委員長報告に反対をいたします。 請願第一号は、知事に対して、県所有の皇室対応用車両、あのセンチュリーの県議会への貸出しを行わないよう求めるものであります。 県所有の皇室対応用車両、この二台を県議会に貸し出して、日常的に県議会議長と副議長が使っていることに、なぜ議長、副議長を特別扱いするのかなどの疑念や怒りの声が広がっていることは御承知のとおりであります。公平公正であるべき県の姿勢を示すためにも、皇室対応用車両の県議会への貸出しは、もうきっぱりやめるべきであります。 請願第二号は、最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求めるものであります。 今年度、山口県の最低賃金は時給で四十円引き上げられ、九百二十八円となりましたが、月百八十時間勤務しても月収は十七万円程度、手取りは十四万円にしかなりません。 世界に目を向けると、ドイツは千九百二十三円、イギリスは千八百七十五円、フランスは千七百八十五円の、これらの五割から七割程度で、千八十四円の韓国にも抜かれています。 岸田首相は、二〇三〇年代半ばに千五百円などと、十年後まで先延ばす姿勢であります。これでは日本は、ますます世界から取り残され、とりわけ、山口県内の地域の衰退にも歯止めがかかりません。 中小企業への賃上げへの直接支援を抜本的に強化をして、全国一律で時給千五百円に引き上げるべきであります。 請願第三号は、上関町における使用済核燃料中間貯蔵施設建設計画及び立地可能性調査について、住民や知事及び周辺の自治体の長に対して、丁寧で誠意ある説明を行うこと、これを求めるものであります。 中国電力があの関西電力と共同で、上関町に使用済核燃料貯蔵施設を計画している。このことは上関町や周辺自治体のみならず、県内全域から不安や疑問の声が上がっています。国や中国電力に対し、建設計画や立地可能性調査の全容、これについて丁寧で誠意ある説明を求めることは必要不可欠であります。 請願第四号は、県立高校再編整備計画前期実施計画一部改定(素案)について、柳井地域・周南地域の対象五校から県立熊毛北高校除外をして、存続を図ることを求めるものであります。 熊毛北高校は、小規模校でありながらも、地域性を生かした特色あるカリキュラムが組まれ、内外から多くの注目、期待が寄せられるとともに、地域の生徒たちにとってなくてはならない高校であります。 こうした魅力ある小規模校を再編の対象にすることは、山口県及び地域の将来を担う子供たちの選択肢を狭め、機会を奪うことにもつながります。 よって、今回の再編整備計画から熊毛北高校を除外して、存続させるべきであります。 第六号、特別支援学校の過大で過密、教室不足の解消を図る、このための学校建設の国庫負担率の引上げを求めるものであります。 県教委の調査によると、今年度、総合支援学校では、七つの教室不足が明らかになっています。このため、図書室や音楽室などを潰して転用する、またカーテンで仕切られた教室で学んでいる子供たちが大勢います。 また、現在の学校規模や通学時間から、児童生徒の実態に応じた教育権、これを保障するためには、分教室の分校化や、さらなる学校新設が必要なことも明らかであります。 文科省が設定した集中取組計画の期間は、二〇二四年度までとされていますが、財政事情もある、山口県にとって必要数の教室設置は困難なものとなっています。ついては、国に対して、特別支援学校設置における国庫補助率を現行の二分の一から三分の二へ引き上げる。また、集中取組期間の延長を強く求めるべきであります。 請願第八号は、子供たちに行き届いた教育を求める。このうち、一つ、小中学校、高校での三十人以下学級の早期実現、二十人学級を展望して少人数学級をさらに前進させる、二、複式学級の解消をさらに進めること、三、正規の教職員を増やすよう国にきちんと要請する、四、特別教室や体育館にエアコンを設置することなどを求めるものであります。 コロナ禍や物価高騰で広がっている格差と貧困は、子供たちの成長と発達、心身に深刻な影響を与え、これまでの教育条件の不十分さが、子供と教職員の命と健康、安全を脅かしています。特に今年度は中学二、三年生について三十五人を三十八人学級化させ、教員だけではなく、子供たちにとっても大きな負担となっています。 ついては、全ての子供たちに行き届いた教育を進め、心の通う学校をつくっていくために、さきに上げた四つの事業について、速やかな実現が必要であります。 これら請願の紹介議員の一人として、以上六本の請願を不採択にするという委員長報告に多くの議員が反対をされて、請願が採択されるよう、改めて全ての議員の方々に訴えて、日本共産党を代表した討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)