1 人口減少の克服に向けた令和6年度当初予算編成について 2 デフレ完全脱却に向けた地域経済の好循環の実現について 3 産業戦略の推進について 4 強い農林水産業の実現に向けた輸出力強化について 5 感染症危機対応力の強化について 6 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。 令和五年十一月定例会に当たりまして、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び教育長に質問いたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 先月行われました政府要望におきまして、我が会派が九月議会で訴えた、医療・福祉現場の処遇改善に向けた診療報酬等の改定について、県の超重点要望項目として取り上げていただきました。 要望当日は我が会派におきましても、友田幹事長、畑原政調会長から、本県選出国会議員の皆様や自民党三役に直接お会いし、国に対し強く働きかけを行っていただくよう要請したところであり、私どもは引き続き、知事と共に、その実現に向けてしっかりと声を上げていく所存であります。 いみじくも、今国会の冒頭において、岸田総理がその重要性を強調されたように、今、我が国の経済は、成長と分配の好循環によるデフレ脱却に向けて、ようやく光が見え始めています。 我が会派は、かねてから、日本の再生に向けては、活力ある地域経済の再生が不可欠であると申し上げてきたところであり、医療・福祉の処遇改善も含め、本県における力強い地域経済の再生・創出に向けて、引き続き、日々奮闘されている事業者の皆様を力強く後押しするとともに、足元の物価高に不安を抱える県民の皆様の声を、県政、国政にしっかりと届けてまいる所存であります。 また、強い経済、活力ある地方の再生の土台となるのは、国による安心・安全の万全な保障であり、その骨格となるのが国の形を定める憲法であります。 長期化するウクライナ侵略や、ハマスによるイスラエルのテロに始まった中東情勢の緊迫化など、安全保障環境の不安定が一層増し、また国内においても、社会構造や国民意識が大きく変化してきている中、今の時代に沿った憲法改正の必要性が高まっていることは論を待ちません。 我が自由民主党は、我々の考える憲法改正案として、緊急事態対応、自衛隊の明記、合区の解消・地方自治体の在り方の明確化、教育充実の四項目を、国民・県民の皆様にたたき台としてお示ししているところであります。 私ども自由民主党県連としましては、結党以来の党是である、憲法の自主的改正の早期実現に向けて、県民の皆様の理解促進と機運醸成の高まりを県下全域に広げていくために、引き続き全力を傾けてまいる所存であり、また私自身、自民党県連憲法改正実現本部長として、微力ながらも全身全霊を尽くしてまいる決意であることを申し上げ、通告に従い質問をいたします。 初めに、人口減少の克服に向けた次年度当初予算編成について伺います。 本県の人口は、今年八月に、県の人口ビジョンで想定するよりも数年早く、百三十万人を割り込みました。今後、減少速度はさらに加速していくことが予測されており、地域における過疎化の進行にとどまらず、産業、医療・福祉、教育、一次産業など、経済・社会全般にわたり、その持続可能性に深刻な影響を及ぼしつつあります。 しかし、こうした人口減少とそれに伴う課題に真正面から向き合い、将来の山口県の発展に向けてしっかりとした道筋をつけていくために、一つ一つ対策を講じていくことが、今の我々に課せられた責務であります。 こうした中、さきに公表された来年度予算編成方針を見ますと、令和六年度においては、人口減少の克服と未来維新プランの着実な推進について、優先的・重点的に予算配分するとされています。 人口減少や少子化は、あらゆる地方が抱える最重要課題ではありますが、その克服に向けたアプローチは、県の特性や産業構造などにより様々であります。 そのため、我が会派は六月議会において、人口流出の原因分析と検証を改めて行うべきであり、また少子化対策に当たっても、若者や子育て世帯の声にしっかりと耳を傾けるよう訴えたところであり、知事からも、意識や価値観、ニーズや課題等を十分に把握した上で、実効性ある施策の構築を図るとの答弁があったところです。 全国より早く人口減少や少子高齢化が進行してきた本県においては、だからこそ様々に施策を講じてきたところですが、こうした取組の効果とボトルネックを整理し、しっかりと示すことが、次年度においてさらなる一手を打つための重要なプロセスであると考えます。 また、知事は、昨年度策定された未来維新プランに基づいて、本県の成長力と潜在力を伸ばす二十のプロジェクトに積極果敢に取り組まれているところです。人口減少の進む中にあっても、本県がさらなる成長を遂げていくためには、このプランを着実に完遂することが、まずは何よりも求められることであります。 知事御自身も、本県の発展的再生に向けたエンジンとなり得る、手応えを感じておられる取組も多くあると思いますが、そうした取組を踏まえ、どのような成果を目指していかれるのか、知事の力強いメッセージをお聞かせいただきたいと思います。 あわせて、現在、我が自由民主党では、県内の各地域や各界から、県の予算編成と施策決定に関する御意見や御要望をきめ細かく拝聴しているところであり、こうした県民の声をしっかりと施策に反映させていただきたいと願うものであります。 そこでお尋ねします。人口減少や少子化を乗り越え、本県が発展的再生を遂げていくための今後の方向性についてどのように考え、その具体化に向けた来年度予算編成にどう取り組まれるのか、知事の御所見を伺います。 次に、デフレ完全脱却に向けた地域経済の好循環の実現について伺います。 冒頭申し上げたように、我が国の経済は三十年続いたデフレから脱却できるかどうかの、まさに瀬戸際にあります。原材料費などの輸入価格の上昇に起因する物価高は、生活の大きな負担となっている一方で、価格転嫁や賃上げのきっかけともなり、長い間、物価も賃金も上がらないことを当たり前としてきたデフレマインドがようやく崩れつつあります。 こうした状況を奇貨として、国においては総事業費で約三十七兆円となる総合経済対策を打ち出し、先月二十九日に、その実効性を裏打ちするための補正予算が成立したところです。 また、対策の方向として、物価高に対する支援、持続的な賃上げ、国内投資の促進、社会変革の起動・推進、安心・安全の確保の五項目を柱に、広範囲にわたる施策を集中的に講じることで、我が国経済を一段高い成長軌道へと移行させることとしています。 県は、このたびの国の総合経済対策に呼応し、我が会派も繰り返し申し上げてきた、物価高へのきめ細かな対応や、県民生活や経済活動の安心・安全の基盤である国土強靱化に取り組む、約二百六十億円の補正予算案を提出されたところです。その迅速な対応については、我が会派としても評価しているところであり、事業効果が一日も早く県民の皆さんに届けられるようきめ細かに対応するとともに、事業の早期着手、早期執行にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 同時に、地域経済の好循環の実現に向けて、その先も見据えた取組も進めねばなりません。地方の経済再生にとって、大きな課題となっているのが人手不足であります。 本県においては、有効求人倍率が本年四月時点で約一・五倍と、全国平均を大きく上回る水準で推移しています。将来的にも生産年齢人口が減少していく中で、賃上げや省人化技術の導入など、いかにして人手不足に対応していくかは、あらゆる事業者にとって死活問題となっています。こうした課題を乗り越えていくため、必要な施策や予算はちゅうちょなく積み上げ、速やかに実行することが必要です。 今が、デフレ完全脱却に向けて経済を転換する大きなチャンスであり、また正念場でもあります。県におかれては、地域経済の好循環の実現に向けて、このたびの補正予算により県民生活や事業者を守ると同時に、賃上げや人手不足への対応など乗り越えるべき課題への対応についても、今後しっかりと進めていただきたいのです。 そこでお尋ねします。国がデフレ完全脱却のための総合経済対策に取り組む中、地域経済の好循環の実現に向け、本県においては、足元の物価高を乗り越え、賃上げや人手不足などの課題に対応するため、今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、産業戦略の推進についてお尋ねします。 本県が誇る強い産業力は、県の社会経済を支える屋台骨として、雇用と税収を確保し、長いコロナ禍の中においても、その機能をしっかりと果たしてきました。国の掲げるデフレ完全脱却や、本県の発展的再生の実現に向けて、社会経済の活力を再生・創出するためには、本県の産業力をさらに強化していくことが極めて重要です。 六月議会での我が会派の代表質問に対し、知事からは、急激な環境変化や新たな時代のニーズに対応し、本県産業の戦略的な取組を強力に加速するため、産業イノベーション戦略を改定し、プロジェクトの拡充等により取組を強化するとの答弁を頂きました。その後、経済界との意見交換を重ねられ、先日行われた産業戦略本部全体会合においては、次期産業イノベーション戦略の素案を提示されたところです。 この素案では、瀬戸内の基幹企業群や地域中核企業の成長・発展に向けたプロジェクトの継続とともに、デジタル、グリーン、ヒューマン等、やまぐち未来維新プランの四つの視点を踏まえたプロジェクトの再編・拡充が図られています。 また、我が会派が繰り返し申し上げてきた、戦略的海外展開についても新たなプロジェクトとして追加されているところであり、私どもとしても今後の実効性ある取組に期待をしているところです。 一方で、プロジェクトの実現に向けては、先ほども申し上げた生産年齢人口の減少に伴う人手不足、生成AIなどのデジタル技術の急速な進展による産業構造や労働環境の変化など、課題は山積しています。また、中国経済の減速をはじめとした海外需要の先行き不安や、国の経済安全保障政策として進められるサプライチェーンの多様化の取組など、本県の産業を取り巻く状況には、不確実性が高まっています。 こうした変化の中でも、強みと可能性に対して重点的に予算と資源を投入することで、本県産業を先導していくことが、産業戦略の要諦です。 本県には、石油化学をはじめ半導体製造装置など、高度なものづくり産業で世界的なシェアを誇る企業が数多くあることに加え、これまでも県の産業戦略を旗印として取り組んできた産学官の連携基盤や、世界経済の中で活躍する大企業と地域を支える中小企業との協働による製品開発など、ポテンシャルのある実績が多くあります。また、競争力を支えるための港湾や幹線道路といった産業基盤も、県の事業として積極的に整備してきたところです。 県においては、次期産業イノベーション戦略の改定に当たり、こうした本県産業の特性やこれまでの成果を最大限に生かし、社会情勢や技術の変化をしっかりと見据えた実践力あるプロジェクトをつくり上げ、スピード感を持って前に進めていただきたいのです。 そこでお尋ねします。次期産業イノベーション戦略において、どのように本県産業力を強化しようと考え、このたびの素案を策定されたのか、また、それを支える産業基盤の整備に今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、強い農林水産業の実現に向けた輸出力強化についてお尋ねします。 農林水産業は、食料の安定供給はもとより、県土の保全や水源の涵養、災害防止など、多面的機能を有する国の基であると同時に、強い地方を支える重要な産業でありますが、少子高齢化による担い手不足に加え、昨今の燃油・資材価格の高騰など、農林水産業を取り巻く環境は、一層厳しさを増しています。 県におかれては、これまでも全国トップ水準の新規就業支援対策や、所得と雇用の増大につながる中核経営体の育成など、従来の手厚い支援策に加え、近年では生産性の向上に資するスマート技術の開発にも取り組んでおられます。 また、物価高騰に対しては、このたびの補正予算においても、現場の窮状にきめ細かに対応されるなど、本県の農林水産業の維持・成長に向けて様々な対策を講じておられるところです。 一方、人口が減少し、国内市場の縮小が避けられない中、規模のメリットで競争力を発揮することが難しい本県農林水産業の特徴を鑑みれば、高い付加価値の産品を海外に向けて売り込み、その旺盛な需要を取り込んでいく、将来を見据えた挑戦的な取組をしっかりと確立していくことも重要であります。 本県には、ニューヨークやシンガポールに向けて販売を行っているフグや、高品質と評価の高いやまぐち和牛燦、長州黒かしわなど、味や品質に優れた農林水産物が数多くあり、こうしたブランド力ある産品を切り込み役として、ASEANや東アジアに売り込みを行っておられます。 特に今年度は、重点地域と位置づける台湾、シンガポール、ベトナムにおいて、議会とも一緒になったトップセールスを積極的に行ってこられたところであり、我が会派としてもさらなる輸出獲得に向け、引き続き、こうした取組をしっかりと後押ししていく所存です。 一方で、今後の輸出拡大に向けては、国ごとに異なる規制や検疫などの諸条件をクリアすることが大きな課題となっています。また、本県農林水産物等は、個々の出荷量が少なく、輸送コスト面で不利となっていることや、商品を集約して輸出する商社がいないことなども課題となっており、こういった足元の課題を早急に解決していかなければなりません。 また、国においては、二○三〇年までに輸出額を五兆円とする目標を掲げ、輸出強化に向けて様々な取組を進めているところであり、こうした国の動向も、本県の課題解決に生かしていかねばなりません。 県におかれては、現在の輸出拡大に向けた取組や国全体の機運を、本県の農林水産業の稼ぐ力に結びつけ、担い手の皆さんが将来に希望を持って従事できる、強い農林水産業の実現に向けた起爆剤としていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。強い農林水産業の実現に向け、旺盛な海外需要をその推進力とするため、県産農林水産物等の輸出力強化に今後どのように取り組まれるのかお伺いします。 次に、感染症危機対応力の強化についてお尋ねします。 未曽有の歴史的災禍となった新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけが五類に移行してから、約半年が経過しました。 多くの方の懸命な御尽力により、現在では、感染の爆発的拡大を抑え、日常生活を取り戻すことができていますが、四年前に中国武漢で発生した未知のウイルスが、瞬く間に全世界へ拡散し、世界中を大きな混乱と恐怖に陥れたことは、私たちの記憶に新しいところです。 このコロナ禍による最大の教訓は、グローバル化した現代社会において、感染症によるパンデミックは今後も起こり得ると考えておかねばならないということであります。将来にわたり県民が健康で安心して暮らしていくためには、平時から、感染症危機対応力を強化し、対応に万全を期しておくことが求められます。 こうした中、国は今年九月、政府の感染症危機管理の扇の要となる、内閣感染症危機管理統括庁を設置するとともに、日本版CDCと言われる国立健康危機管理研究機構の設立に向けて準備を進めるなど、コロナの教訓を踏まえた司令塔機能の強化や、専門的知見の提供体制の強化等を図っています。 また、医療法の改正により、来年度改定される第八次医療計画の記載事項として、新興感染症発生・まん延における医療が追加されるなど、新たな感染症の発生・まん延時に備え、地方に対しても必要な体制の確保が求められているところです。 本県では、コロナ感染拡大の初期から早期に医療提供体制を構築するとともに、十分な検査体制の構築や、感染症対策の切り札とされたワクチン接種についても、全国トップクラスのペースで進められてきました。 これらは、県が医療機関をはじめとした関係団体等と迅速・丁寧に積み上げた調整が形となったものであり、全国的にも今後の対応の模範となるものであります。 一方で、特に、最前線で奮闘を続けておられた保健所については、膨大な業務量を抱えられた時期もあり、機能強化や体制強化の面において乗り越えるべき大きな課題が浮き彫りになったものと考えています。 また、パンデミック当初は、保健所と医療機関等のやり取りにおいて紙やファクスが中心となるなど、デジタル化の遅れが現場に大きな負担を強いたところであり、迅速な状況把握や連携のためのDX導入は、引き続き重要な課題となっております。 将来起こり得る感染危機に万全に備えるためには、内閣感染症危機管理統括庁をはじめとした国・県の緊密な連携・協力体制の構築はもとより、関係機関とのさらなる連携強化や、保健所の体制整備や機能強化、そして、感染症に対応できる専門的人材の育成など、県民の命と健康を守るための体制強化を行っていくことが必要です。 そのためには、長いコロナ禍の中で幾重もの感染拡大を乗り越えてきた経験やノウハウを、本県の感染症危機対応力の強化へと確実につなげていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。将来起こり得る感染症危機に対し万全を期すため、県では、感染症危機対応力の強化について、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、教育行政についてお尋ねします。 デジタル技術の進展はまさに日進月歩の勢いであり、教育の分野においても、そのスピードにいかに対応していくかが、今日の重要な課題です。 国が進めるGIGAスクール構想等により、小・中・高を通じて、タブレット端末や電子黒板などのICT機器の利用は、ここ数年で飛躍的に進みました。また、国においては、今後の教育政策に関する基本的な方針の一つにも教育DXの推進を位置づけ、我が国全体において、その取組のさらなる加速化を図ることとしています。 教育でのICT活用が当然となる中、今後はその活用を前提として、今日の教育が目指す学習の在り方を具現化し、学ぶ意欲の向上や学力格差の是正などに、しっかりと効果を発現していくことが求められます。 このような中、県教委においては、コロナ禍や国の動向に対応し、一人一台端末の導入など環境整備をいち早く進めてこられたことに加え、今年度からはICT教育の一層の推進を図るべく、組織の改編により教育情報化推進室も設置されています。 こうした優れた環境や推進体制の機能を最大限に発揮し、子供たち一人一人に最適化された学びの実現を図っていかねばなりません。 子供の置かれた環境のいかんにかかわらず、意欲や可能性を最大限伸ばせる学習環境や、優れた指導方法や教材が速やかに教員間で共有される効率的な職務環境が、スピード感を持って学校現場に導入され、しっかりと効果を上げていくことが求められているのです。 その一方で、こうした取組には、従来の学習指導の発想を大きく変えていく必要もあり、これまで以上に現場の理解や資質向上とともに、県教委の強いリーダーシップが必要とされるところです。 また、進展の著しい生成AIについても、子供の知的な成長を妨げるなどの様々な懸念が指摘されているところですが、他方、デジタルネーティブと呼ばれる今の子供たちは、こうした技術を先行して利用していくという現状に、どう対応していくかも、教育DXを進めていく上では大きな課題です。 先般、県においては日本マイクロソフトと行政全体のDX推進に係る包括連携協定を締結されたところであり、教育分野においても、やまぐちスマートスクール構想のさらなる推進を図ることとされたと承知しております。 県教委におかれては、世界のトップを走る企業の先進的な知見も得ながら、こうした課題を乗り越え、教育DXの推進により本県教育を次のステージへと押し上げていく取組を、しっかりと進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。社会のあらゆる分野でのデジタル化の進展に加え、生成AIなど新たなデジタル技術が出現する中、児童生徒の学びの充実に資する教育DXの推進に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の代表質問にお答えします。 まず、人口減少の克服に向けた令和六年度当初予算編成についてのお尋ねです。 人口減少は、本県の活力を損ない、経済活動や地域社会等に深刻な影響を及ぼす県政の最重要課題であり、将来にわたって持続可能で活力ある山口県を実現していくためには、これに歯止めをかけていくことが必要です。 その克服に向けて、これまで、県独自の多子世帯の保育料軽減やテレワーク移住・ワーケーションの促進等の取組を進めてきた結果、合計特殊出生率は全国でも高い水準で推移し、移住者数も五年間で倍増するなど、一定の成果が現れています。 しかしながら、県外への若者・女性の転出超過が少子化に拍車をかけ、さらなる人口減少につながるという構図は変わっておらず、コロナ禍もあり人口減少が加速している現状を踏まえると、もはや一刻の猶予も許されません。 このため、主なターゲットである若者・女性のニーズにより適合する精度の高い施策や、これまでにない切り口からの効果的な施策の構築につなげていくため、今年度、当事者である大学生や子育て世代の若者から、インタビュー形式により、就職や子育て等に関する考えを深く掘り下げて伺ってきたところです。 その結果、若者の価値観に合った労働環境の整備やデジタル関連企業等の誘致、就職関連情報の提供で生じているミスマッチの解消、また、男性育休が当たり前となる社会の実現や子育て世帯への経済的支援のさらなる充実など、今後、取組を強化すべきポイントが明確になったところです。 私は、これを踏まえて、きめ細やかな施策を構築し、若い世代に選ばれる山口県にしていけるよう、スピード感を持って取組を進めてまいります。 それと同時に、人口減少下にあっても、さらなる発展を目指すためには、デジタル化・脱炭素化等の社会変革を新たな推進力にしながら、県づくりの取組をステップアップしていくことが重要であり、そのことが、人口減少の克服にもつながると考えています。 その処方箋がやまぐち未来維新プランであり、これまでの取組の中で、産業維新では、「Y─BASE」によるデジタル実装事例の創出や、コンビナートの脱炭素化に向けた取組の進展、今後の成長が見込まれる半導体・蓄電池関連企業の誘致などが進んでいます。 また、大交流維新では、県産農林水産物等の新たな海外市場の開拓が進み、生活維新では、デジタル技術を活用した新たな生活サービスの提供や防災・減災対策の充実など、各分野で目に見える数々の成果が生まれています。 私は、今後も、こうした成果を着実に積み重ねることにより、本県の発展的再生の流れを確かなものとしてまいります。 このような考えの下、来年度の当初予算編成に当たっては、基本方針として、人口減少の克服と未来維新プランの着実な推進を掲げました。 この二つの柱に沿って、どこまでも成果を追求する姿勢で、実効性の高い施策を構築し、これにより、人口減少の克服と本県のさらなる発展に確かな道筋をつけていく、そうした強い決意を持って取り組んでいきます。 私は、県議会をはじめ、市町や県民の皆様からの御意見をしっかり生かし、県民誰もが未来に希望を持って暮らせる、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向けて、来年度当初予算編成に全力で取り組んでまいります。 次に、デフレ完全脱却に向けた地域経済の好循環の実現についてのお尋ねにお答えします。 現下の地域経済は、国際的な原材料価格の高騰などが物価を押し上げる一方、価格転嫁や賃上げといったデフレ脱却に向けた動きが広がっています。 こうした中、国においては、日本経済を新たなステージへ移行させるための総合経済対策を策定し、その関連予算が先月末に成立したところです。 本県においては、急激な物価高が県民生活や企業活動の大きな負担となるとともに、人手不足が深刻化しており、県経済の回復を確かなものにするためには、これらの課題に対応した施策を強力に推進することが必要と考えています。 私は、これまでも当初予算や補正予算を通じて数次にわたる物価高騰対策を講じてきており、このたびの補正予算においても国の経済対策に対応した追加の措置を講じ、県民や事業者の負担軽減を図ってまいります。 まず、LPガスと特別高圧電力を利用する中小企業等に対する負担軽減については、国の電気・ガス料金の激変緩和措置が延長されたことを踏まえ、支援期間を延長します。 また、光熱費等の高騰により、厳しい経営環境に置かれている医療機関や社会福祉施設等に対し、追加の支援金を支給します。 私は、これらの支援策について、速やかに実施するとともに、今後も物価高騰の状況等を把握しながら、必要な対策について検討・実施してまいります。 こうした取組に加え、経済の好循環を実現するためには、深刻化する人手不足への対応が不可欠であることから、生産性向上や賃上げ等により、魅力ある雇用の場の創出・拡大を図り、県内就職の促進に取り組んでまいります。 具体的には、デジタル技術の活用による省力化を進めるため、「Y─BASE」でのDXコンサルやシステム導入の補助等により、企業の生産性向上を図る取組をきめ細かく支援します。 また、さきの補正予算で賃上げと同時に柔軟な働き方を導入する中小企業に対し、最大百万円の奨励金を支給する制度を設けたところであり、これらの取組を通じて魅力ある職場環境の整備につなげていきます。 また、産業人材の確保に向けては、山口しごとセンターにおいて、企業の魅力発信や就職フェアの開催など総合的な支援を実施しており、今後は県内企業と若者とのマッチングの強化等に向けた新たな取組を検討してまいります。 さらに、転職フェアの出展支援等を通じて、キャリア人材の採用を支援するとともに、就職支援協定締結大学との連携強化を図るなど、県外からの人材確保を促進します。 私は、引き続き、経済情勢等を的確に捉え、国の経済対策にもしっかりと呼応しながら、地域経済の好循環が実現できるよう、物価高騰や人手不足対策に全力で取り組んでまいります。 次に、産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 私は、県経済の持続的成長・発展を図るためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要であるとの考えの下、本県の有する高度技術や優れた産業集積を生かした産業戦略を進めてまいりました。 これまでの取組により、環境・エネルギーや医療分野などにおける事業化の促進や、港湾や幹線道路等の産業基盤の充実、さらには、本年の企業誘致における企業の投資額が過去最高の見込みとなるなど、着実に成果が上がっています。 次の産業イノベーション戦略では、こうした成果を生かし、さらなる成長・発展へとつなげていくため、未来維新プランの四つの視点や、半導体、海外需要等の成長分野を取り込み、また、デジタル化や脱炭素化などの社会変革や人手不足にも的確に対応してまいります。 まず、世界的に市場が拡大する半導体や蓄電池分野については、産学公による協議会のネットワークも活用しながら、優良企業の誘致を推進するとともに、来年二月に予定している、台湾と本県の産業支援機関との覚書締結を契機として、取引や研究開発等の産業交流を拡大させてまいります。 また、旺盛な海外需要を本県に取り込むため、海外ビジネス加速化プロジェクトを新設し、成長を続ける東アジアやASEAN地域をターゲットに、戦略的な取組を推進してまいります。 特に本年は、台湾台南市との分野別覚書の締結を契機として、台南市における大規模イベント出展による本県の認知度向上やチャーター便就航による交流拡大、ASEAN地域二か所での海外展開応援団の結成など、機動的に取組を進めているところです。 さらに、喫緊の課題である人手不足に対応するため、新たに高度産業人材確保・育成促進プロジェクトを掲げ、高校生等の県内定着に向けた支援の強化や、女性デジタル人材の活用をはじめとするリスキリング支援など、集中的に産業人材の確保育成に取り組みます。 また、本県経済の屋台骨であるコンビナート企業が国際競争力の維持・強化を図っていくため、周南地域におけるアンモニアサプライチェーン構想等、カーボンニュートラルコンビナートの実現に向けた企業の先導的な取組をしっかりと後押ししていきます。 こうした、本県産業イノベーションを担う基幹産業等の成長を下支えするため、国際バルク戦略港湾の計画的な整備や下関北九州道路の早期事業化に精力的に取り組むなど、産業基盤である港湾、幹線道路、工業用水道の整備を着実に進めてまいります。 私は、本県産業の特性やこれまでの成果を最大限に生かし、社会変革にもしっかりと対応しながら、官民一体となって本県産業の発展的再生に向けた、産業戦略の推進に全力で取り組んでまいります。 次に、強い農林水産業の実現に向けた輸出力強化についてのお尋ねにお答えします。 人口減少等により、国内の食品市場が縮小傾向にある中、海外においては、経済発展や和食へのニーズの高まり等に伴い、日本産食材の需要が急速に拡大しています。 私は、コロナ禍が落ち着きを見せ、世界中の交流・物流が一斉に動き出したこの機を逃さず、旺盛な海外需要を取り込み、本県の農林水産物等のポテンシャルを最大限生かしながら、一層の輸出拡大を図っていくことが極めて重要と考えています。 このため、輸出力のさらなる強化に向け、官民一体となって、効率的な輸出体制の整備や、多彩で魅力ある県産品の売り込み強化に重点的に取り組むこととしています。 まず、効率的な輸出体制の整備については、本年度新たに、県や支援団体等で構成する輸出推進会議を設立するとともに、県内の輸出関連事業者や海外のバイヤー等が一堂に会した推進大会を開催するなど、輸出促進に向けた機運醸成を図っているところです。 この輸出推進会議では、輸出先や品目ごとに、複数の生産者や事業者等が連携した輸出ユニットの構築を進め、輸送コストの低減等につながる商品の大ロット化・多品目化を推進するとともに、この取組を通じて、商品の集荷や決済などの商社機能を有する事業者の育成も進めてまいります。 次に、県産品の売り込み強化に向けては、重点地域である台湾やベトナム、シンガポールにおいて、現地でのイベントへの出展や小売店でのテスト販売などを積極的に実施した結果、新たな商談が成立するなど、大きな成果が上がったところです。 こうした成果を踏まえ、今後とも、フグや日本酒、和牛など本県の魅力ある食材を、海外での県産品フェアや試食会等において積極的にPRするとともに、海外のバイヤーを県内に招聘し、産地の視察や商談会を実施するなど、新たな取引先の開拓に向けた取組を進めることとしています。 特に、やまぐち和牛燦については、先般、台湾の飲食関係者が本県を視察した際、私自身、直接働きかけを行い、輸出に向けた確かな手応えを実感したところであり、引き続き、今後の商談成立に向けて取り組んでまいります。 また、台湾やベトナムにおけるフグの輸入解禁に向けては、県議会と連携し、農林水産大臣に対し、政府間協議の促進を要望するとともに、私自身が台湾やベトナム政府に早期の輸入解禁を要請しているところであり、引き続き、規制の撤廃に向けて取り組むこととしています。 私は、将来にわたって持続可能な力強い農林水産業の実現に向け、県議会をはじめ、国や関係団体等と緊密に連携しながら、県産農林水産物等の輸出力強化に全力で取り組んでまいります。 次に、感染症危機対応力の強化についてのお尋ねにお答えします。 私は、本県で初めて新型コロナの感染が確認されて以降、県民の命と健康を守ることを最優先に、実効的な対策に取り組んできたところであり、現在は、感染の落ち着きなどから、徐々に日常生活が戻りつつありますが、今後いつまた、新たな感染症危機が発生しても不思議ではありません。 こうしたことから、私は、これまで新型コロナ対応で培った経験や、感染症の波の最前線で尽力いただいた、関係団体とのネットワークなどを生かし、新型コロナ同様の爆発的な感染拡大が今後も起こり得ることを前提にして、万全に備えることが極めて重要と考えています。 このため、今年度、医療などの関係団体や専門家等で構成する県感染症対策連携協議会を開催し、新型コロナ対応の検証などを踏まえ、県の感染症対策の指針となる感染症予防計画の改定を進めているところです。 この計画に基づき、今後、平時からの国・県の連携強化や、保健医療提供体制の構築、保健所の機能強化、感染症専門人材の確保・育成などの対策を着実に実施し、次の新たな感染症危機への、迅速かつ的確な対応力の強化を図ってまいります。 具体的には、まず、国の連携強化については、国の司令塔組織と、現場を預かる我々地方が、平時から緊密に連携して情報共有を図り、感染発生時には、技術的な助言や協力を得ながら、最新の科学的知見や国で立案される対策などを、機動的に本県の取組に反映させてまいります。 また、保健医療提供体制の構築については、検査、外来、入院等に関し、医療機関や民間検査機関等と、機能や役割に応じた法に基づく協定を締結するとともに、感染症医療の中核的役割を担う県立総合医療センターの機能強化を図り、コロナの最大感染規模にも対応できる万全の体制を確保します。 さらに、保健所の機能強化については、外部人材や関係機関等との連携体制の確保や、資器材の十分な備蓄に加え、感染症情報等を迅速に収集・分析できるデジタル化の推進等、感染拡大時の業務執行体制について、平時から計画的に整備してまいります。 加えて、感染症専門人材の確保・育成については、有事において、平時の備えが確実に力を発揮できるよう、中長期的な視点で継続して、関係団体や養成機関等と連携し、職種ごとの実践的な研修・訓練の実施や、国の専門的な研修への参加などに取り組みます。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、関係機関等と緊密に連携し、新たな感染症による健康危機に備えた対策に、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 急速な技術革新により社会のあらゆる分野でデジタル化が加速する中、AIやビッグデータ等の先端技術を使いこなして生活を豊かにし、革新的な方法で未来を切り開いていく子供たちを育成するためには、学校においてICT環境の効果的な活用をさらに促進し、日常化することで、教育の質を一層向上させることが重要です。 このため、県教委では、本年十月に策定した山口県教育振興基本計画において、全ての施策にICT環境を生かす視点を設定し、それぞれの施策の効果を高めていくとともに、新たな時代を創造する人材を育む教育の実現に向けて、教育DXの推進を掲げ、その取組を積極的に進めることとしています。 具体的には、まず、児童生徒の資質能力を育成するために、授業等で一人一台タブレット端末を日常的に活用することにより、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた主体的・対話的で深い学びを推進するとともに、プログラミング技術等を競うICT活用コンテストの開催などにより、本県の次代を担うデジタル人材を目指す意識の醸成に取り組んでまいります。 また、こうした教育活動を充実させるためには、教職員のICT活用指導力の向上が重要であることから、教職員個々のICTスキルに応じて研修内容を工夫するとともに、時間と場所を問わず研修が可能な動画コンテンツの配信やオンライン研修等の多様な研修機会の確保に努めてまいります。 さらに、教育DXを推進するための環境整備として、県と日本マイクロソフト社との包括連携協定に基づく技術的な助言や支援も得ながら、各種システムの統合・クラウド化等を進めているところです。 その上で、様々な教育データの見える化により、課題を抱える児童生徒の早期発見や個々の学習状況に応じたきめ細かな支援を可能にする教育ダッシュボードの構築や、教職員間で円滑に情報を共有できるオンラインコミュニティーの活用の促進に取り組むこととしています。 また、こうした取組に加えて、今後は、生成AI等の先端技術を取り入れた学習モデルの開発を検討することとしており、生徒が情報技術を適切かつ効果的に活用する能力を身につけ、主体的に学びに取り組む教育活動の充実に努めてまいります。 県教委といたしましては、社会のデジタル化の進展に対応しながら、児童生徒の学びの充実につながるよう、新たな教育価値の創出を目指す教育DXの推進に全力で取り組んでまいります。