1 物価高騰対策について 2 若手医師の確保について 3 子どもの貧困対策について 4 多文化共生について 5 山口宇部空港国際線の利活用について 6 サイバー空間をめぐる脅威について
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。 公明党会派を代表して、質問に入る前に一言申し上げます。 今年も残り一か月となりました。朝晩の冷え込みはその季節を感じるようになりましたが、日中は時に温暖なときもあり、お出かけの服装選びにも一苦労されていることと思います。 深刻化する地球規模での気候変動に対処するため、十一月三十日にドバイで開幕したCOP28では、産業革命前からの気温上昇を一・五度以内に抑える世界目標達成のため、様々な議論がされております。 山口県においても、脱炭素に向けて様々な施策が講じられ、県議会においても、産業脱炭素化推進特別委員会を設置し、次世代の山口県の産業基盤の在り方を議論しているところであります。 私たち公明党山口県議団も積極的に政策提言させていただき、次の時代を担う子供たちに安心して生活できる環境を残すことをお誓いし、通告に従い、質問に入らせていただきます。 初めに、物価高騰対策についてお尋ねいたします。 日本経済は、コロナ禍を乗り越え、本格的な経済再生に向けて歩みを始めようとしております。 一方、長期に及ぶ物価高騰は家計や事業活動に深刻な影響を与えており、今こそ、税収増を還元することにより国民の生活を下支えするとともに、持続的な賃上げに向けた取組を加速させ、経済の好循環をつくり上げていくことが重要と考えます。 今般、政府が決定した、デフレ脱却のための総合経済対策には、低所得世帯への給付や電気、都市ガス、ガソリンなど燃油代負担軽減策の来春までの延長、自治体独自の物価高対策を進める財源となる重点支援地方交付金の増額など、公明党の主張が反映されており、物価高に苦しむ生活者や事業者を支えるため、公明党は十一月十日、全国政策局長会を開催いたしました。 公明党のネットワークを生かし、政府の総合経済対策に盛り込まれた支援策、物価高対策のために積み増す重点支援地方交付金について、今後、その活用に向けた自治体の取組、地方議会における議論が重要となります。 重点支援地方交付金は、物価高の影響が大きい住民税非課税世帯への給付と自治体が物価高対策として柔軟に使える推奨事業メニューの二つの観点から構成され、十一月十日に政府が閣議決定した二〇二三年度補正予算案では追加額一・六兆円が充てられ、そのボールは各自治体に渡り、事業の予算化が急がれます。 政府が五千億円計上している推奨事業メニューは、事業例としてLPガス代の支援や学校給食費の軽減、プレミアムつき商品券の発行などを示し、これら以外でも自治体が物価高対策に資する事業であれば、交付金の申請が可能とされております。 このような国の動きや公明党山口県本部として十月末から十一月初めに開催した、企業・団体等との政策懇談会で頂いた、燃油高騰対策支援や食料品をはじめ物価高騰に対する支援を求める声が多いことから、私たち公明党山口県議団は、十一月二十日、村岡県知事に対し、生活者・事業者の支援として、LPガスや特別高圧、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者、事業者、中小企業、医療・介護・福祉施設等に対し、地域の実情に合わせた必要な支援を速やかに実施できるよう取り組まれるとともに、低所得世帯への支援として各市町の円滑な取組に向け、助言等対応し推進するとする、物価高から県民生活を守るための重点支援地方交付金の追加対策について、緊急要望をさせていただきました。 そこでお尋ねいたします。十一月定例議会に提出された議案に、重点支援地方交付金の活用も示されているところでございます。年末、そして年度末へ向かう中、県民の生活、そして事業者の経営は大変厳しい状況にあります。物価高騰対策にどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、若手医師の確保についてお尋ねいたします。 厚生労働省は、二〇二四年度診療報酬改定に向けた本格的な議論を始めました。物価高騰を受け、日本医師会などから医療従事者の処遇改善を求める声が強まり、医師や薬剤師の技術料に当たる本体の改定率の行方が最大の焦点であるとともに、担い手確保に向けた対策が急務であります。 厚生労働省は、今月、診療報酬の基本方針をまとめ、年末の予算編成過程で、全体の増減規模を示す改定率を決定するとされております。 基本方針の原案では、物価高騰や三十年ぶりの高水準となる賃上げは、医療分野におけるサービス提供や人材確保に大きな影響を与えていると指摘し、現下の雇用情勢を踏まえた人材確保・働き方改革の推進を重点課題に挙げています。 このような議論がなされる中、二〇二四年四月から医師の働き方改革が実施され、年間の時間外労働の上限が原則九百六十時間、月平均八十時間相当となります。この年間九百六十時間は労災の認定基準で過労死の可能性がある水準でありますが、大学病院は診療のほか、教育や研究にも取り組んでおり、一般医療機関より長時間労働になっている実態を考慮しております。 そして、時間外労働について特例措置も設けられ、緊急医療など地域医療に不可欠な病院の勤務医らは、実務を担う都道府県から指定を受ければ、年千八百六十時間、月平均百五十五時間相当まで上限が緩和されます。また、スキル向上や集中的に多くの症例の経験が必要な研修医らも同様の特例措置が適用されます。 一方、年千八百六十時間の時間外労働が適用される医師には、連続勤務二十八時間までや、勤務時間のインターバルは九時間必要や、緊急対応などやむを得ない業務が入った場合に代償休息の取得が義務づけされるなど、健康確保の措置が盛り込まれており、勤務医の労働環境も大きな変革の時を迎えようとしております。 勤務医の苛酷な長時間労働で支えられてきた大学病院などで環境改善が期待される一方、医師不足の地域では、これまでの医療体制が維持できるか心配されています。 関係団体からも若手医師の確保について懸念が示されています。令和二年の山口県の医師数は、平成十年と比較すると八・五%増加しておりますが、全国平均の三六・六%に比べはるかに少なく、四十五歳未満の若手医師は、この間、一貫して減少し、三二・七%も減少しております。 医師の平均年齢は五十三・三歳と高齢化は全国一位となっています。若手医師は、時間外救急の担い手であり、この層が減少していることは、すなわち山口県の緊急医療体制の危機を意味しています。 さらに、先ほどお示ししました、医師の働き方改革がスタートする二〇二四年四月からは、大学病院の若手医師が時間外救急に携われなくなる可能性も高く、医療スキルの低下も懸念されております。 そこで、関係団体から時間外救急を担う医師を評価する制度の創出を求められています。このような時間外に緊急患者を診る医師個人を評価する全県的な制度は、全国でまだ六都道県しかないことから、これに取り組むことにより、全国からやる気のある若手医師や中堅医師が集まることも期待されております。 そこでお尋ねいたします。二〇二〇年に県から出された医師確保計画では、二〇三六年に必要な医師数は三千六百二十四人とされています。特に医師の働き方改革もスタートする中で、若手医師の確保が重要と考えますが、県は、若手医師の確保についてどのように取り組まれる御所見か、お伺いいたします。 次に、子供の貧困対策についてお尋ねします。 子供の現在及び将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにする。全ての子供が心身ともに健やかに育成され、及びその教育の機会均等が保障され、子供一人一人が夢や希望を持つことができるようにする。子供の貧困解消に向けて、児童権利条約の精神にのっとり、子供の貧困対策を総合的に推進することを目的に、平成二十五年、子どもの貧困対策推進法が成立してから十年が経ちました。 この間、日本の子供の貧困率は、平成二十四年一六・三%と六人に一人の割合まで上昇しましたが、令和三年には一一・五%の九人に一人まで改善してきております。 また、この法律に基づき策定された大綱には、子供の貧困に関する指標が定められ、こども家庭庁の資料によれば、生活保護世帯の子供の大学進学率は三二・九%から四二・四%に、ひとり親家庭の子供の高校卒業時における進学率は四一・六%から六五・三%に、小学校のスクールカウンセラー配置率は三七・六%から八九・九%に、母子世帯における親の就業率は八〇・八%から八三・〇%と、主なものになりますが、約十年で着実に改善されております。 さらに、政府は少子化対策、貧困対策と別々に策定されてきた施策を一つにまとめ、こども基本法に明記されている、こども大綱の策定を進めており、県は大綱を勘案し、こども計画を策定し、市町は大綱及び県計画を勘案し、市町計画を策定するとされております。 私は、地元地域で子ども食堂、みんな食堂、また中学校で朝ごはんを提供するボランティアをしておりますが、そこに集ってくるボランティアスタッフは皆、子供の貧困について真剣に考え、行動しております。国や県、市町ができること、行政では、手を差し伸ばすことができないこと、互いに協力し合ってできることがあります。 満足に御飯を食べられない子供たち、親が仕事で忙しく一人で食事をしている子供たち、また学校の宿題を見てもらえない子供たち、下校するといつも一人でいる子供たちなどなど、挙げれば切りがないほど子供の貧困の姿はあります。 「つながり続けるこども食堂」の著者であり、認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ理事長の湯浅誠氏は、地域の人たちが集まる場をつくろう、みんなで食べるって楽しい、孤食対策にもなるし食育にもなる、忙しいお母さんたちにほっとできる場所を、お年寄りが地域の子供たちと触れ合う機会を、と広がっているのが子ども食堂だと述べておられます。 子供の貧困対策の一つとして子ども食堂が誕生しましたが、今ではそこから派生して子供の居場所づくりや学習支援、独り親家庭支援、子育て支援、虐待予防などへと、その役割は広がりを見せています。 そこでお尋ねいたします。県は令和六年度の施策重点化方針において、困難を有する子供たちへの支援の充実を掲げられておりますが、子供の貧困対策にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、多文化共生についてお尋ねいたします。 本年十月一日現在、山口県内の人口が百二十九万六千五百九十三人と百三十万人を切る中、山口県内の外国人数は一万八千七十四人、県内の人口のおよそ一・四%で、令和元年の同月比の一万五千四百二十一人より二千六百五十三人増えております。 県内の外国人の在留資格別の人数は、第二次世界大戦の以前から日本に居住して日本国民として暮らしていた外国人、いわゆる特別永住者が約二六%、技能実習生が約二二%、日本に原則十年以上継続して在留していることのほか、三つの要件を満たしている永住者が約一六%の順で、近年は特別永住者が減少し、技能実習生が増加する傾向にあります。 国籍・地域別では、韓国・朝鮮が約二九%、ベトナムが約二四%、中国・台湾が一四%の順に多く、近年ではインドネシアやネパールの増加率が高くなっています。 そして、県内の外国人労働者数は、令和四年十月現在、過去最高の九千百六十五人で、前年から二百三十三人、二・六%増加しております。 労働者における在留資格別では、技能実習生が三五・六%、日系人などの定住者、永住者、日本人の配偶者等など、身分に基づく在留資格が二二%、専門的・技術的分野の就労での在留資格が一九・四%、留学生のアルバイトなど資格外活動が一六%、ワーキングホリデーなど特別活動が七・〇%と、その資格形態は様々であり、働く産業も農林水産、建設、製造、卸売・小売、宿泊・飲食、医療・福祉等と多岐にわたっております。 日本で働く外国人労働者は、様々な分野で私たち日本の社会に貢献をしています。今後も外国人労働者の活躍が期待されますが、外国人労働者の待遇については、様々な点から考える必要があります。 特に賃金面では、外国人労働者の賃金と日本人労働者の賃金とでは、約六万円の開きがあると言われています。また、外国人労働者の賃金においても、在留資格区分で十四万以上の開きがあります。そのほか、雇用管理、再就職支援なども今後検討していかなければならない課題と考えます。 十一月三日、青年海外協力隊山口県OB会が主催するこどもの多文化祭が、平川小学校の体育館で開催され、一般の方六十四名、外国ルーツの子供とその家族が八か国で四十五名、当日のスタッフ二十二名の総勢百三十名のにぎやかなお祭りとなりました。 子供たちによる国の紹介では、保護者と協力しながら日本語で自国の国旗や地図、民族衣装、食べ物、有名な場所などについて紹介をし、多言語劇では、「おおきなかぶ」を日本語と子供たちの母語の両方でナレーションを読みながら、八か国の子供たちが力合わせて劇を行いました。 また、今年はラオスの親子による伝統的なダンス、インドネシアの子供たちによる伝統的な遊びのパフォーマンス、フィリピン出身の高校生による日英二言語での国の紹介のプレゼンテーション、ネパールの保護者による伝統的なダンス、フィリピン家族によるバンブーダンスのパフォーマンスには、私自身も飛び入り参加し、楽しい時を過ごさせていただきました。 安心して働き、暮らす場として、日本が外国人労働者、そして外国から選ばれる存在となれるか、多文化共生社会の構築に向け、外国人材の暮らしを支える市町、そして県の役割は一層大切となってきます。 外国人労働者が多く暮らす群馬県では、JICAと包括連携協定を締結し、技能実習生ら外国人の受入れ、生活支援など、多文化共生の促進に共同で取り組まれ、外国人住民と日本人住民との橋渡しを行う文化の通訳、外国人ボランティアチームがキーパーソンとなり、情報の伝達や様々な支援を効果的に進めることをサポートしております。 今後は、外国人住民が支援される側から、積極的にその地域に参画し、地域の担い手になることも期待されています。 そこでお尋ねします。本県において、外国人労働者はじめ在留外国人、そして近年のインバウンドの増加に伴い、外国の様々な生活様式、文化に触れる機会も高まり、それを理解する必要性も高まっています。外国人が安心して安全に生活できる環境をどのように整備されるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、山口宇部空港国際線の利活用についてお尋ねいたします。 コロナ禍前の二〇一九年には、約三千百八十八万人の外国人客が日本を訪れていました。日本政府観光局(JNTO)によると、本年十月の訪日外国人客数は約二百五十二万人で、二〇一九年同月比一〇〇・八%と、コロナ禍後、初めて上回ってきております。 今のインバウンドの勢いに加え、中国からの団体旅行客が本格的に加わってくれば、コロナ禍前に政府が掲げていた四千万人を超える日もそう遠くないと言われております。 旺盛な消費が期待されるインバウンドは、少子高齢化が進み、人口減少が進む日本において消費が減少する中、経済の底上げが期待されております。しかし、インバウンドの増加に比べ、日本人の出国者数の伸びが鈍くなっています。 二〇一九年日本人出国者数は二千八万人と、先に示した訪日外国人客数と一千万人を超える開きがあります。本年十月の日本人出国者数は約九十四万人と、日本を訪れる外国人客数と約百五十八万人開きがあります。 新型コロナ感染症が未知のウイルスであり、その位置づけが二類相当であったときは、国内外で人の移動にも制限がかけられていた航空旅客需要の落ち込みも、その感染症が落ち着きを見せ始めた二〇二二年秋から再びその需要が高まりつつあります。 高まる旅客需要は、一方で、様々なきしみも生み出しています。都市部の空港に国際便が集中しており、発着枠も限界を迎えようとしています。 その影響は国内便にも飛び火し、例えば、山口宇部空港と羽田空港を結ぶ便は、特に夕方の時間帯では頻繁に離発着の時間に遅延が見られます。 地方と大都市を結ぶ国内定期便の発着数は、地方の空港では過密になっていませんが、大都市の空港は過密状態であり、日本の空の渋滞を招いております。 また、インバウンドで就航している国際旅客便において、日本人が海外を訪れないため、片道に空席が多くなれば、航空会社が不採算路線として判断されることも考えられます。 山口宇部空港の地理的条件は、近県他空港に比べて優位にあると考えています。山口宇部道路から山陽道・中国道への接続やJR山陽新幹線の新山口駅までバスや車で約三十分のアクセスは、外国から訪れる県内周遊旅行者はじめ、近県を訪れようとする旅行客にも魅力あるものと考えます。山口県内の多様で魅力ある観光地と近県の観光地を面で結び、新たなルートの造成が必要ではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。先月実施された政府要望の項目にも、地方への誘客を拡大する戦略的なインバウンドの推進を掲げておられますが、コロナ禍前に整備された国際線ターミナルビルを活用し、今後、需要の伸びが期待される外国人旅行者の県内受入れに向け、山口宇部空港国際線の新たな就航にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、サイバー空間をめぐる脅威についてお尋ねいたします。 サイバー空間をめぐる脅威は、急速なデジタル化とインターネットの普及に伴い、私たちの生活に極めて深刻な影響を及ぼしています。 例えば、コンピューターやネットワークに感染し、秘密情報を盗むなど、悪意ある活動を行うマルウェア、ファイルやシステムを暗号化し、被害者に身の代金の支払いを要求するランサムウェアなどに代表されるサイバー攻撃、また、偽のウェブサイトやメールを使用して、個人や組織から機密情報や認証情報をだまし取るフィッシングをはじめ、データ漏えい、サイバーインテリジェンス、インフラ攻撃、また、人間心理を悪用して情報をだまし取るソーシャルエンジニアリングや、サイバー攻撃で産業制御システムに損傷を与え、施設を停止させる物理的な脅威など、日に日にその脅威は進化しています。 これらの脅威に対抗するためには、セキュリティーの強化、私たちの意識向上、テクノロジーの進化などが必要であり、セキュリティー対策を継続的に改善し、最新の脅威に対応するための努力が求められます。 警察庁では、サイバー空間をめぐる脅威に対し、様々な対処をしています。サイバー攻撃に対して、家庭用ルーターの不正利用に関する注意喚起、重要インフラ事業者等に対して、特定の情報通信機器の脆弱性に関する注意喚起、悪意を持って利用されるC2サーバーのテイクダウンの依頼や、複数のパソコンなどを踏み台にして特定のサーバーなどに一斉攻撃を仕掛けるDDoS攻撃に関する注意喚起など。フィッシングに関しては、金融機関等と連携強化をはじめ、国民に対し、メールやショートメールサービス(SMS)に記載されたリンクからアクセスしたサイトにID及びワンタイムパスワード、乱数表等のパスワードを入力しないように注意喚起やSIMスワップによる不正送金事案が増加していた状況を踏まえ、SIMスワップ対策の強化など。ランサムウェアに対しては、医療機関において被害が発生していることを踏まえ、医療機関等との連携強化に向けた取組強化、被害の主たる要因がVPN機器の脆弱性にあることから、VPN機器の脆弱性に関する広報啓発などがあります。 このように、サイバー空間における脅威、そして対処は多岐にわたり、その一例を紹介させていただきました。 山口県警察本部におきまして、本年四月、相談件数が増加しつつあるサイバー犯罪や攻撃に対して、誰もが安心してサイバー空間を利用できるよう、また事案に対しては、迅速・的確に捜査を進めるとともに、県民の防犯意識を高めるため、サイバー犯罪対策課を新設されました。 そこでお尋ねいたします。県警察として、サイバー空間をめぐる脅威から県民を守るため、どのように取り組まれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で、公明党会派を代表して質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の代表質問にお答えします。 まず、物価高騰対策についてのお尋ねです。 本県では、これまでも国の物価高騰対策に呼応し、県民や事業者の負担軽減等を図るため、光熱費の高騰や給食等の材料費の高騰に対する支援、賃金引上げに取り組む中小企業への支援など、足元の物価高の推移や県民・事業者のニーズ等を踏まえたきめ細かな支援策を講じてまいりました。 一方で、長期化する物価高は、依然として県民生活や事業活動に大きな影響を与えており、コロナ禍から回復基調にある社会経済活動を活性化させていくためには、引き続き、国と地方が総力を挙げ、物価高騰対策に取り組んでいく必要があります。 今回の国の総合経済対策では、物価高の負担感が大きい低所得者への追加支援や燃料油価格、電気・ガス料金の激変緩和措置の延長等に加え、地方において地域の実情に応じた必要な支援が実施できるように、重点支援地方交付金が拡充されました。 私は、こうした国の動きに呼応し、物価高に苦しむ県民・事業者に対し、一刻も早く支援策をお届けするという考えの下、今回の補正予算において、重点支援地方交付金を活用し、本県の実情に即した追加の物価高騰対策を講じることにしました。 具体的には、LPガス料金の高騰分や特別高圧を受電する中小企業等が負担する電気料金の高騰分について、支援期間を延長するとともに、光熱費の高騰が続き厳しい経営環境に置かれている社会福祉施設等に対し、質の高いサービスの提供ができる体制を確保するための支援金を追加支給します。 また、医療機関に対して、食材料費の高騰に係る支援金を新たに支給するほか、和牛の子牛価格の急速な下落により、厳しい環境にある畜産業者に対して、価格下落分の一部を支援してまいります。 これらの取組の実施に当たっては、県民の皆様にその効果を早期に実感していただけるよう、迅速な事業展開と効果的なPRを図るとともに、引き続き、物価の動向や経済情勢等を注視し、必要な対策については、適宜、追加の予算措置を講じていくなど、機動的に対応してまいります。 同時に、市町に対しては、今回の経済対策の趣旨を踏まえ、低所得世帯への給付金制度の予算化、給付に向け、迅速に対応を行うよう要請したところであり、今後とも事業の円滑な執行に向け、必要な助言や情報提供を行ってまいります。 私は、今後とも、国や市町等の関係機関と連携を図りながら、今回の補正予算の執行等を通じて、現下の物価高から県民の暮らしや事業活動を守り抜き、社会経済活動の再生につなげていけるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、若手医師の確保についてのお尋ねにお答えします。 私は、全ての県民に良質な医療を持続的に提供できる体制を構築するためには、地域医療を支える医師の安定的な確保が必要であると考えています。 とりわけ、若手医師は、将来の本県の医療を牽引する人材であり、休日・夜間における救急医療の担い手でもあることから、その確保と県内への定着促進が大変重要です。 このため、若手医師の確保については、医師修学資金に、県内の医療機関での勤務を償還免除要件とする貸付枠を設けるとともに、山口大学と連携して医学部入学定員を二名増員するなど、県内出身者を対象とした取組を重点的に進めてきたところです。 また、県内のみならず県外からも県内医療機関において研修を受ける若手医師を呼び込むため、SNSの活用や全国の医学生を対象とした説明会の開催などにより、本県の充実した臨床研修プログラムの魅力を発信しています。 さらに、将来の地域医療を担う医師の確保に向け、多くの医学生や高校生に県内の医療機関で働く医師を志してもらえるよう、医療現場を学ぶセミナー等を開催しています。 こうした取組により、平成二十八年度以降、三十五歳未満の若手医師数は減少から増加に転じるなど、一定の成果が得られたところであり、今後も医療機関や関係団体と連携し、若手医師のさらなる確保に向け、取組を強化してまいります。 次に、県内への定着促進については、臨床研修後も継続してキャリアアップできるよう、関係医療機関において多様な専門研修プログラムを設けるとともに、山口大学と共同運営する地域医療支援センターでサポートを行うなど、充実した専門医の育成体制を整備しているところです。 また、お示しのように、医師の働き方改革が進められる中、良質な勤務環境の下で必要な医療が提供できるよう、県医療勤務環境改善支援センターにおいて、医療機関にアドバイザーを派遣し、若手医師が健康的に働ける環境づくりやタスクシフト等の好事例の紹介、職員向け研修等を実施しています。 さらに、子育て世代の医師が、仕事と家庭の両立を図ることができるよう、山口大学や県医師会と連携し、出産後の復職相談対応や保育サポーターの派遣を行うとともに、医師の短時間勤務の導入等に取り組む医療機関に助成し、働きやすい職場環境づくりを促進してまいります。 こうした取組に加え、現在、医師確保計画の改定に取り組んでおり、県医師会や医療機関等で構成する医療対策協議会の議論を踏まえ、救急医療をはじめとする医療提供体制の充実が図られるよう、さらなる若手医師の確保・県内定着に向けて検討を進めてまいります。 私は、将来にわたり県民の皆様が安心できる医療提供体制の構築に向け、山口大学や県医師会などの関係団体、医療機関等と緊密に連携し、若手医師確保対策に全力で取り組んでまいります。 次に、子供の貧困対策についてのお尋ねにお答えします。 子供の現在及び将来が、その生まれ育った環境に左右されることなく、全ての子供が夢と希望を持って成長することができる社会の実現に向けて、子供の貧困対策を推進することは極めて重要です。 このため、私は、子どもの貧困対策推進計画に基づき、教育の支援、生活の支援、保護者に対する就労の支援など、子供の貧困対策を総合的に進めているところであり、今後、さらに取組を強化していくこととしています。 具体的には、まず教育の支援については、学校における相談支援体制の充実や、地域における生活困窮世帯等の子供に対する学習支援、高校生等に対する修学支援等による教育費の負担軽減など、家庭の経済状況にかかわらず、全ての子供が教育を十分に受けられる体制を整備してまいります。 また、生活の支援については、市町が実施する子供の居場所づくりに向けた取組を促進するとともに、県の積極的な開設支援もあって、県内百七十七か所にまで増加した子ども食堂のさらなる拡大に取り組むなど、子供が地域で安心・安全に過ごすことができる環境づくりを進めてまいります。 さらに、保護者に対する就労の支援については、独り親家庭の親に対する相談体制の充実や、職業訓練や資格取得に対する支援など、所得の安定を図り、仕事と両立して安心して子供を育てられる環境づくりに取り組んでまいります。 こうした中、昨年六月の児童福祉法の改正により、来年四月からは、市町は、児童福祉と母子保健の一体的な相談支援等を行うこども家庭センターの設置に努めるとともに、貧困や虐待など、家庭の養育環境に課題を抱える子供に対し、居場所を提供する取組を進めることとされました。 県としては、より身近な地域で、貧困の状況にある子供や家庭のニーズにきめ細かく対応し、適切な支援につなげることができるよう、こども家庭センターの設置に向けた市町の取組を支援することとしています。 また、国においては、次元の異なる少子化対策の実現に向け、年末までに、こども施策の基本的な方針等を定めるこども大綱と、財源も含め、今後三年間の集中的な取組を定めるこども未来戦略を策定することとされており、子供の貧困対策も重要事項として位置づけられる見込みです。 このため、私は、こうした国の動きを的確に把握し、国と地方が一体となった取組を進めるとともに、本県の実情に即した実効性の高い施策を重点的に進めてまいります。 私は、貧困の状況にある子供を誰一人取り残すことなく、本県の未来を担う子供たちが、心身ともに健やかに成長することができるよう、市町や関係機関、民間団体等と連携し、子供の貧困対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、多文化共生についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進行により、地域経済等への影響が懸念される中、県内の外国人労働者数は、昨年、過去最高となっており、本県で暮らす外国人は、今後も増加していくことが見込まれています。 こうした中で、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現していくためには、私は、専門的な知識・技術等を有する外国人材を受け入れ、地域への定着を図るとともに、お互いの文化的な違いを認め合い、共に生きていく多文化共生に向けた取組を進めていくことが重要と考えています。 このため、県では、外国人住民が地域で安心して安全に生活できる環境づくりや、県民の異文化に対する理解の増進など、多文化共生による地域づくりを積極的に推進しているところです。 こうした取組を、市町や関係機関等と連携・協働しながら、総合的・計画的に推進していくため、今年度、実態調査等を通じて把握した外国人住民のニーズや課題等を踏まえて、今後の取組の指針となる山口県多文化共生推進指針の策定を進めてきたところです。 このたび、取りまとめた最終案では、日本人住民と外国人住民がお互いを理解しながら、安心して暮らすことができ、共に活躍できる地域社会の実現を基本的な理念として、様々な取組を推進していくこととしています。 具体的には、まず、外国人住民と日本人住民とが円滑にコミュニケーションできるよう、オンライン等を活用し、日本語教育のさらなる充実を図るとともに、各種講座やフォーラムの開催等により、多文化共生に係る意識啓発や相互理解を促進していきます。 また、外国人住民が安心して暮らし続けることができるよう、やまぐち外国人総合相談センターの体制の充実や利活用のさらなる促進を図るとともに、行政情報等の多言語化や、子育て、医療など生活に関する支援に取り組んでいきます。 さらに、外国人材の県内企業への就職・定着に向けて、県内企業とのマッチングの支援や、受入れを希望する企業向けセミナーの開催などの取組を進めていきます。 加えて、今年度新設した、外国人住民と地域や行政等との橋渡し役を担う、やまぐち多文化共生推進パートナーとも連携しながら、外国人住民の意見やニーズ等をきめ細かく把握し、各種施策に反映させることにより、外国人住民が地域社会に参画しやすい環境づくりを推進していきます。 私は、今後とも、市町や関係機関等と連携しながら、外国人住民が安心して安全に生活し、地域社会の一員として共に活躍できるよう、多文化共生による地域づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、山口宇部空港国際線の利活用についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍後の社会経済活動の回復や円安に伴う割安感などを背景に、海外における訪日旅行への人気が高まっており、今後も、日本を訪れる外国人観光客の大幅な増加が期待されます。 私は、インバウンドが本格的に回復する今、この機を逃すことなく、旺盛なインバウンド需要を確実に取り込むためには、外国人観光客を直接本県に呼び込むことができる、山口宇部空港への国際線の誘致を推進することが大変重要と考えています。 このため、空港利用促進団体や海外に配置している観光プロモーターと連携し、これまで実績のある韓国や台湾に対して、積極的な誘致活動を行っているところであり、その結果、来年一月から、山口宇部空港と韓国・仁川国際空港を結ぶ、週三便の連続チャーター便の就航が決定したところです。 さらに、台湾についても、来年二月に台南市で開催されるランタンフェスティバルに合わせて、桃園国際空港との間で、コロナ禍後初となるインバウンド・アウトバウンド双方向のチャーター便の就航が決定しました。 私は、これを契機として、さらに国際線を誘致し、その定着を図るためにも、まずは、今回のチャーター便をより高い搭乗率で成功させることが重要と考えており、このため、インバウンドとアウトバウンドの両面から、さらなる需要喚起に取り組むこととしています。 まず、インバウンド需要の喚起に向けては、海外の旅行会社等を招いた視察ツアーの実施による魅力的な旅行商品の造成や、韓国のテレビ通販番組などを通じた販売促進を支援するとともに、台南市の国際旅行博に観光ブースを出展するなど、本県の魅力を広くPRしていきます。 また、アウトバウンド需要の喚起に向けては、県内の大規模イベントへの台南市観光ブースの出展に加え、台南市の観光地やグルメなどを紹介するテレビ番組の放映や、地域情報誌への特集記事の掲載など、県民向けに多様なプロモーションを展開していきます。 こうした取組に加え、お示しの良好な交通アクセスを有する山口宇部空港の強みを生かし、空港から観光地までを結ぶタクシーやレンタカーなどの二次交通の充実を図るとともに、県内や近隣の観光地も含めた周遊ルートの造成を進めることにより、本県へのさらなる誘客の拡大につなげていきます。 私は、拡大するインバウンド需要の確実な取り込みに向け、今後とも、関係団体や現地プロモーター等と緊密に連携しながら、山口宇部空港国際線の新たな就航の実現に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)サイバー空間をめぐる脅威から県民を守るための取組に関するお尋ねについて、お答えいたします。 警察庁が発表した本年上半期のサイバー空間をめぐる脅威情勢によりますと、企業などに対するランサムウェア被害が高止まりで推移しているほか、フィッシング被害に伴うインターネットバンキングに係る不正送金事犯が急増するなど、議員お示しのとおり、サイバー空間の脅威は極めて深刻であり、県民生活に大きく影響を及ぼしております。 こうした中、県警察では、サイバー空間をめぐる脅威に対し、迅速・的確に対処できるよう、警察職員の対処能力の向上に努めるとともに、本年四月、サイバー犯罪対策課を新設して組織基盤の強化を図ったほか、産学官と連携しながら、サイバーセキュリティー対策の強化に向けた取組を推進しているところであります。 具体的には、産学官との連携した取組として、県内の関係機関・団体で構成している山口県ネットワークセキュリティ協議会やサイバーセキュリティパートナーシップなどの枠組みを通じて、県内の企業・団体などに対して、ランサムウェアやフィッシング被害に関する未然防止対策のほか、VPN機器の脆弱性やインターネットバンキングの不正送金被害に関する注意喚起など、サイバーセキュリティーに関する助言や情報提供を行っております。 また、様々な広報媒体を通じ、広く県民の皆様に、サイバー犯罪の手口や被害防止策などの具体的事例を紹介するなど、防犯意識の向上に努めているところでございます。 さらに、重要インフラ対策として、金融機関などの事業者で構成するサイバーテロ対策協議会を設置し、民間有識者による講演や参加事業者間の意見交換を通じて情報共有を図っているほか、企業への個別訪問や、サイバー攻撃を想定した訓練を定期的に実施するなど、サイバー攻撃の未然防止に努めております。 これらの被害防止策に加え、サイバー犯罪を認知した際には、警察庁サイバー警察局やサイバー特別捜査隊、事件が競合する都道府県警察と積極的に連携を図るなど、組織の総合力を発揮し、事件の早期解決に向け、所要の捜査を強力に推進してまいります。 引き続き、県警察では、サイバー空間をめぐる脅威から県民を守り、誰もが安心してサイバー空間を利用することができるよう、取締り体制の強化や、解析用資機材の整備、これに努めるなどするとともに、関係機関・団体と良好な関係を構築しながら、県民の安全・安心の確保に向け、しっかりと取組を進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩