1 物価高騰対策について 2 人口減少対策について 3 カーボンニュートラル対策について 4 農業政策について 5 高校再編について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第二十二号まで 副議長(島田教明君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十二号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 大内一也君。 〔大内一也君登壇〕(拍手) 大内一也君 皆さん、お疲れさまです。やまぐち県政会の大内一也です。 通告に基づき、会派を代表して質問をさせていただきます。 初めに、物価高騰対策について伺います。 昨年来から続く物価高騰の波は、まだまだ厳しいものがあります。十月の全国消費者物価指数の対前年比上昇率は、前の月から〇・一ポイント上がり二・九%となりました。昨年と比べて、今年の値上げの数は落ち着くと思われましたが、十月の食品の値上げは約四千六百品目に上り、今年の累計は三万品目を超えると言われております。これは、昨年の値上げの累計約二万六千品目を大きく超え、まだまだ暮らし・企業活動は苦しい状況が続いています。 こうした中、政府はデフレ完全脱却のための総合経済対策を十一月二日に閣議決定しました。物価高騰により厳しい状況にある生活者・事業者への支援を第一に掲げ、納税者及び配偶者を含めた扶養家族一人につき令和六年分の所得税三万円、令和六年度分の個人住民税一万円の減税、令和六年分の所得税額を所得税減税額が上回る場合においては、令和七年度分の個人住民税において残りの額を控除できる仕組みを設けるとしています。 また、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者には、本年夏以降行ってきた一世帯当たり三万円を目安にした支援に七万円を追加することで、住民税非課税世帯一世帯当たり合計十万円を目安に支援を行うこととしています。 加えて、電気、ガスなどの料金の値上げも大きな負担になることを考慮し、電気・ガス料金の激減緩和措置を二〇二三年九月から二〇二四年四月末まで延長し、同年五月は激減緩和の幅を縮小することとしています。 このうち、特別高圧電力とLPガスについては、国の交付する重点支援地方交付金を基に県の事業として実施するため、引き続き実施できるのか大変憂慮しておりましたが、本定例会で議論します十一月補正予算に支援の延長が盛り込まれており、この点は大変安心しました。 ですが、冒頭申しましたとおり、物価高騰がまだまだ続くことで暮らし・企業経営が厳しい方々はたくさんいらっしゃいます。 私も、食品の値上げで家計が火の車である、原材料費が高すぎて店を続けられないといった苦しい状況を伺ってきました。こういった県民の声に耳を傾けた負担軽減の支援策はまだまだ必要だと考えます。 そこでお尋ねします。物価高騰がまだまだ続く中、県民の暮らし・企業活動を支えるため、県としてどのような負担軽減策を行っていくのか御所見をお伺いします。 次に、人口減少対策について伺います。 今年の八月一日の統計で、山口県の人口は百三十万人を切り、大きな話題となりました。 県も人口減少を県政の最大かつ喫緊の課題と捉え、来年度の予算編成方針の重点化事項に掲げるなど、県の危機感、本気度が伝わってきます。 そこで、人口減少対策について伺いますが、そのうち社会減の対策について、特に女性の転出を防ぐ取組についてと、移住の促進について質問をさせていただきます。 まず、女性の転出を防ぐ取組についてです。 この取組が人口減少対策の核になると考えます。なぜなら、どんなに子育て支援を充実させ、出生率を上げたとしても、出産をされる女性の人数が減少すると、出生数が増えない可能性があるためです。 事実、この十年、平成二十四年から令和三年の出生率と出生数を見た場合、出生率は一・五二から一・四九と僅かばかりの減少ですが、出生数は一万八百人から八千人と二割以上減少しています。このことからも、進学・就職において女性が県外に転出しないよう、しっかり結果を出す必要があると考えます。 やまぐち未来維新プランによると、令和三年の年齢別人口の社会増減の状況では、全体の転出超過人数は三千六十七人に対し、十五歳から二十九歳の転出超過人数は三千四百六十七人と若者の転出超過が顕著となっています。 特に、十五歳から二十四歳の女性の転出超過は千六百八十三人と、山口県の転出超過の半分以上を占めています。 県もこの点を認識し、女性の就業や待遇改善を支援する取組を今年度からさらに推し進め、女性デジタル人材育成事業を実施しています。 企業、大学等とやまぐち女性デジタル人材育成コンソーシアムを設立し、女性のデジタル人材の育成や就業支援を行っています。プログラマー養成講座では、定員を大きく超える応募があるなど大きな反響があったそうですが、県はこの応募された方々の期待に応えようと、オンライン、eラーニングと柔軟な対応を行い、全ての希望者が受講できるよう工夫を行ったと伺っております。 県のこうしたすばらしい取組を伺ったとき、仕事につながるスキルアップなどの取組は女性に大変ニーズがあると実感しました。 そうであれば、工業県であり、日本有数のコンビナートの地域である山口県においては、学生のうちからコンビナート企業の仕事に興味を持ってもらい、その仕事に就くために理系の進学を女性にも進めていくことが重要ではないかと考えます。 先日、あるコンビナート企業の方から、女性を採用したいが女性の応募が少ない、絶対的な母数が少ないためなかなか採用までたどり着かない、理系の女性をもっと増やすような取組はしてもらえないだろうかと伺いました。 令和四年度の工業高校の入学者数は千三百七十六人、うち女性は九十二人であり、約七%と大変少なく、徳山高専、宇部高専の入学者のうち女性が占める割合はやや多く二五%超、山口大学工学部の入学者のうち女性が占める割合は約二〇%となっています。 工業高校、高専への女性の進学を増やすためには、中学生のうちから理系に興味を持ってもらう、また、大学進学の際、理系の学部を選択してもらえるよう高校普通科においても女性に理系に興味を持ってもらう取組が重要と考えます。 例えば、地元のコンビナート企業が出張事業を行うなど、実際に関わっている方々から話を聞くなどの取組が重要と考えますが、就職協定など様々な関係で直接学生に接することが難しいとの声も伺います。 そこでお尋ねします。人口減少の社会減の対策として、若年層の女性の転出を防ぐため、女性が学生のうちから理系に興味を持ち選択してもらう取組について、御所見をお伺いします。 二点目は、移住の促進についてです。 山口県の人口減少は、少子化などによる自然減に加え、毎年約三千人の県外への転出超過による社会減が大きいことは先ほど述べたとおりですが、その対策として、移住の促進も大変有効だと考えます。 また、移住の促進は、中小企業を抱える問題解消にも大変有効と考えます。 中小企業経営者の方にお困り事を伺いますと、皆さん人手不足を挙げます。昨今、人手不足倒産という言葉も耳にするようになりました。 山口県においても、人手不足を理由に倒産するケースも発生しており、人手不足は企業の存続に大きく影響し、県民の雇用や暮らしにも関わる重要な問題です。 県もこういった人手不足の解消を支援するため、県外人材県内就職促進事業や県外キャリア人材確保応援事業補助金など県外から人材を確保する事業を積極的に進めています。 例えば、県外人材県内就職促進事業では、三十二校の県外の大学、短期大学と協定を締結し、キャリアセンターと連携するなど県外大学の学生に山口県での就職を積極的に働きかけています。 このように、中小企業の大きな問題である人手不足解消の解決のためにも、移住の促進は大変重要と考えます。 県の移住支援対策としては、二〇一九年より東京圏から山口県へ移住・就業された方の経済的負担を軽減する移住支援金の支給があります。二人以上の世帯の場合百万円、単身の場合六十万円、また、今年四月からは十八歳未満の世帯員を帯同して移住する場合の加算額を一人につき最大百万円に増額するなど、手厚い支援を行っています。 ですが、移住支援金実績は現時点で十八件とまだまだ活用されておりません。 移住の支援金については、東京圏という条件が活用の制限となり伸び悩んでいるとも考えられますが、移住を検討している方がスマホ等で検索をしたとき、なかなか県のサイトにたどり着かない、認知や理解を十分していただけていないことも要因なのではないかと考えます。 県は、移住をしたい人を応援するホームページとして、「住んでみぃね!ぶちええ山口」、山口県YY!ターン(UJIターン)支援サイトを運営しています。手順も分かりやすく親しみやすいイラスト、各市町の紹介動画など、他の県の移住紹介のサイトと比較しても全く引けを取らないサイトになっています。 ですが、例えば「移住 地方」、「移住 仕事」と検索をしたときに、他県のサイトは表示されますが、山口県のサイトはなかなか表示されません。「移住 仕事」と検索したときは、大手の転職サイトが上位に表示されますので、こういった転職、人材紹介会社と連携することも重要ではないかと考えます。 そのほかにも、より多くの方にサイトを閲覧していただけるよう、山口県が積極的に進めているDX、AIを活用し、例えばLINEなどのSNSと連携してAIチャットなどにより、ニーズに合った回答するなど、県の強みを生かした工夫をすることで、山口県への移住ニーズがより高められるのではと考えます。 そこでお尋ねします。移住の促進として、AIなどのDXを活用したポータルサイトの運営など、より移住につながる支援策について御所見をお伺いします。 次に、カーボンニュートラル対策について伺います。 今年の夏は本当に暑く、気象庁のまとめでは、これまで最も暑かった二〇一〇年を大きく上回り、過去百二十六年で最も暑かったとされています。熱中症で搬送された方も多く、消防庁のまとめでは、過去二番目に多くなっています。 カーボンニュートラルを実現することは、生活並びに命を守るためと言っても過言ではありません。 コンビナートが立ち並ぶ工業県である山口県においては、非常に重たい課題ではありますが、工業県だからこそカーボンニュートラルを乗り切るための技術を結集し、ピンチをチャンスに変えるため、官民が一丸となって対策を進めています。 本県の産業特性と技術を生かした原料の創出、CO2の固定化・活用など炭素循環フローの構築、そしてエネルギーの脱炭素化と日本でも先進的な取組を進め、特にエネルギーの脱炭素化については、全国でも先駆けてアンモニアを活用した取組を進めています。 山口県の三つのコンビナート地域において、周南地域では主要企業四社を中心に、石炭火力、加熱炉等でアンモニアを混焼するCO2の排出量を削減する取組を、そのためのアンモニアサプライチェーン構築に向けた検討が進められており、ファーストムーバーとして知事、大臣も視察に来られるなど、大変注目されています。 また、宇部・山陽小野田地域においては、実機レベルのアンモニア混焼は世界初となるセメント製造プロセスにおけるアンモニア燃焼技術の実証試験など、先進的な取組を進めています。 このように官民一体となって取り組んでいるカーボンニュートラル推進に向け、県はこの十一月にアンモニア・水素に関する経済的支援、規制緩和等について国に提案・要望をしました。 具体的には、既存資産等の活用を可能とする規制緩和、企業間連携による大規模サプライチェーン構築等に対する独占禁止法の規制の特例措置、周辺地域における需要拡大に向けた経済的支援等であり、私も関係者の方から同様の要望をよく伺います。 カーボンニュートラルは世界の潮流であり、国を挙げて取り組む課題です。だからこそ、その実現に向け、県が国に対し経済的支援のみならず、ハードルとなる規制、法律など具体的な提案・要望を行い、国と連携して進めていくことが必要であり、その取組は高く評価いたします。 ただし、今挙げた要望のうち需要の拡大は利用者あってのことのため、なかなか難しい点があると推察します。 我が県は水素先進県として、実現加速化事業など積極的に進めていますが、水素ステーションは周南市に一か所です。 私の知人に燃料電池自動車の所有者がいますが、その方は水素ステーションの近くに住んでおり、近くになければ購入はためらったと言われていました。水素ステーションの設置が増えなければ、燃料電池自動車の普及は難しいと考えますが、設置は民間が進めるため、需要がなければ設置に結びつかず、設置が増えない、需要が増えないの悪循環に陥っていると考えられます。 この水素の需要を考えるとき、燃料電池自動車はもちろんですが、発電にも大きな需要が見込めるのではないかと考えます。 先日、県外視察で川崎重工業株式会社に伺い、水素エネルギーの取組について伺いました。二〇三〇年をめどに十六万立方メートルの液化水素を運搬できる大型の運搬船の建造を進めており、水素の混焼一〇〇%の専焼を可能にするガスタービン発電機の開発も進められているとのことでした。 また、中国電力では、柳井発電所で水素混焼の検討を開始し、電力各社と水素・アンモニア導入に向けた協業を検討しているとの報道もありました。 水素による発電のための技術はあり、また、電力事業者も検討を進めている状況において、水素の需要を拡大させるためにはコンビナート企業もちろん、電力事業者との連携も重要になると考えます。 そこでお尋ねします。カーボンニュートラルコンビナートの実現に向け、ファーストムーバーとして進めているアンモニアサプライチェーン構築の支援を国、市とどのように連携して進めていくのか、また、水素の需要拡大を県としてどのように進めていくのか、御所見をお伺いします。 次に、農業政策について伺います。 山口県の農業従事者は年々減っており、また高齢化も深刻です。二〇二〇年農林業センサスによると、基幹的農業従事者数は一万六千六百十三人と五年前の前回調査と比べて三〇・五%減少しています。また、平均年齢は七十二・三歳と全国一位の高齢化となっています。 県も何とか農業従事者を増やすべく、効果的な取組を行っています。募集から技術研修、就業、定着までの一貫した支援体制により、二〇一八から二〇二一年度までの四年間で農林漁業新規就業者数は八百四十二人を確保し、全国トップ水準の成果を上げています。 また、山口県立農業大学校の学生全員が社員となる一般社団法人やまぐち農大を七月に設立し、農産物の販売や新商品開発などを手がけ、集落営農法人の経営に必要な能力とビジネス感覚を学生のうちから身につけてもらうユニークな取組も進めています。 こういった人材確保、人材育成に取り組んでいますが、まだまだ人手は足りず、後継者が見つからないという農家の皆さんの声は多いと感じます。 そこで、人手不足、後継者不足について、それぞれ提案いたします。 まず、人手不足についてですが、解消に役立つ取組として、農福連携が挙げられます。障害のある方が農業に取り組むことで、農業の分野で働くことによる収入の向上を図りながら、農家の忙しい時の人手不足解消にも役立つ、この農福連携をしっかり推進することが重要だと考えます。 ですが、それでも十分に解消しきれない可能性があります。農家の皆さんに伺うと、毎日人手が足りないわけではなく、田んぼであれば田植えの時期、また、収穫の時期に人手が必要とおっしゃいます。こうした毎日ではなくスポットで一定数の人手を確保したいニーズに対しては、日頃は別の仕事に従事しているが必要な時だけ副業として農業に関われる仕組みが解決につながるのではと考えます。 一例として挙げれば、山形県では二〇二二年度からサクランボの収穫などに限定して県職員が副業として農業に協力できる制度、やまがたチェリサポ職員制度を導入しており、人手不足になりつつある地域の農業を支えていると伺っています。 地域に住む方々、農業を支えたい方々が人手が必要なときに副業など様々な方法で関われる仕組みを推進することが、人手不足の解消に大きく役立つのではないでしょうか。 また、後継者不足については様々な要因があるかと思いますが、一つ伺ったところでは、まだ圃場整備が終わっていない地域において、土地利用型農業での新規就農を希望している人に農地を譲ろうとしたとき、既に肝腎の農機具を処分していたために譲ることが難しくなるケースがあると聞きます。 譲ってもらう側としては、一から農機具をそろえると何千万円の出費となり、借金をしてまで就農することも難しいので、農機や農地、販売先などをそのまま引き継いでもらえるのであれば、低リスクで参入することが可能になりますし、実際に県内でもそのような事例があります。 飲食店では厨房や客席などの設備、備品をそのままにして店舗を売買する居抜きという方法を聞きますが、農業においてもそのまま譲れるような第三者継承の指導、呼びかけをすることが、まだ集落営農組織や会社法人がないために個人の認定農業者に頼りきりになっている地域においても、後継者を探せる、マッチングするために重要な取組ではないでしょうか。 そこでお伺いします。農業の深刻な高齢化・人手不足に対し、これまで成果を出してきた取組の推進に加え、今後どのようなことに取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、高校再編について伺います。 まず、地域連携教育の推進についてです。 県立高校再編整備計画、前期実施計画の一部改定の素案が示されました。柳井・周南地域の高校、柳井高校、柳井商工高校、熊毛南高校、田布施農工高校、熊毛北高校の五校を二校に再編統合する計画です。 関係する市町で説明会が開かれましたが、いずれの説明会においても活発な質疑がなされ、対象高校の地域住民の方々に御納得いただくにはまだまだ努力を要する状況だと伺っています。 私にも地域住民の方から、何とか高校を存続させることができないか御相談を頂きます。よくよく伺いますと、地域づくりに欠かせない役割を果たしてきた高校がなくなること、統合により近くの学校に通えなくなることで公共交通を利用する通学費用の負担が増えること、この二点に特に不安を感じているようです。 山口県は公立小・中・高、特別支援学校等へのコミュニティ・スクールの導入率が一〇〇%であり全国のどこよりも、地域とともにある学校づくりを推進してきました。 山口県の地域連携教育は、人づくりと地域づくりの好循環の創出を目指して、コミュニティ・スクールと家庭、地域住民、企業・大学等の連携・協働により、郷土への誇りや愛着を育むとともに、子供の豊かな学びや育ちを実現していく教育を推進しています。 その県の方針を踏まえ、その地域の活性化に大きく貢献している高等学校もあります。 例えば、このたびの統合校の一つ、熊毛北高校は「熊毛学園」地域教育ネットという児童生徒が主役の協働組織体を小学校、中学校と合わせて形成しています。年に六回、プロジェクト会議や拡大学校運営協議会などを積極的に行い、地域愛の醸成、地域の担い手の育成に重要な役割を果たしてきました。特に、熊毛北高校の地域との連携による総合的な探求の時間の取組は、今年の二月に令和四年度コミュニティ・スクールと地域学校共同活動の一体的推進に係る文部科学大臣表彰を受けるなど、大変評価されています。 こういった地域づくりにとって重要な高校を他の市町の高校と統合し、その地域から離れてしまった場合、これまで同様の地域連携教育がなされるのか、家庭、地域住民、企業・大学等の連携・協働により郷土への誇りや愛着を育み、子供の豊かな学びや育ちを実現していく教育を推進し続けることができるのか、不安に感じる方はたくさんいらっしゃいます。 少子化、そして教員不足、何より生徒の学びを考えての再編整備計画だと理解はしていますが、その上で地域連携教育をしっかり引き継ぐ、地域の皆さんが納得できる形を統合の前に指し示すべきだと考えます。 そこでお尋ねします。高校再編に当たり、地域連携教育が再編前と同様に進められるのか、御所見をお伺いします。 二点目は、通学費用の負担軽減についてです。 山口県は平成二十八年から全日制普通科の通学区域を県内全域とし、自分の進路希望や能力・適正等に応じて、行きたい学校を県内全ての県立高校から選ぶことができるようになり、公平に学べる環境を実現してきました。 一方で、自宅から遠距離の学校に通うためには、通学の費用がかかり、その定期代が数万円になるなど大変な出費となる御家庭もあるようです。 その結果、公平に選ぶことができても行きたい学校を諦めざるを得ない場合も出てまいります。 先日行われた、やまぐち高校生県議会においても、高校生通学経費補助制度について提案、質問がありました。 公平に行きたい学校を選べるのであれば、通学の費用も公平にすべきなのではないかと私も思います。加えて、この再編統合が進むことで、統合がなければ徒歩や自転車で通学できたはずの生徒が、電車やバスで通学するようになり、通学費用の負担が発生する生徒の割合がますます増えることが予想されます。 生徒の学びを考えての再編整備計画であれば、通学費用の負担により学びを諦めてしまう生徒がいないよう、これを機に通学費用の負担を減らす取組をより推進していくことが重要ではないでしょうか。 そこでお尋ねします。高校再編に当たり、通学費用のさらなる負担軽減について御所見をお伺いします。 以上で、私の代表質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)大内議員の代表質問にお答えします。 まず、物価高騰対策についてのお尋ねです。 本県では、これまでも国の対策に呼応し、物価高により厳しい状況にある県民や事業者の負担軽減等を図るため、LPガス料金の高騰や医療機関等における光熱費の高騰に対する支援のほか、中小企業等に対する省エネ機器等の導入支援など、累次にわたる緊急対策を実施してまいりました。 しかしながら、長期に及ぶ物価高は、依然として家計や事業活動に深刻な影響を与えており、引き続き、国と地方が連携して物価高騰対策に取り組んでいく必要があります。 こうした中、国の総合経済対策では、賃金上昇が物価高騰に追いついていない国民の負担軽減に向けた所得税等の定額減税の実施や、物価高に最も切実に苦しんでいる低所得者世帯への追加支援、電気・ガス料金等の激減緩和措置の延長等が盛り込まれました。 また、エネルギー・食料品価格等の物価高騰の影響を受けた生活者や事業者に対し、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細かく支援策を講じることができるよう、柔軟に活用が可能な重点支援地方交付金の拡充も図られたところです。 私は、これを踏まえ、今回の補正予算において、追加交付される重点支援地方交付金を活用し、LPガス料金の高騰分や特別高圧を受電する中小企業等が負担する電気料金の高騰分について支援期間を延長することとしました。 また、光熱費の高騰が続き厳しい経営環境に置かれている社会福祉施設等に対して、質の高いサービスの提供ができる体制を確保するための支援金を追加支給するとともに、医療機関に対して、食材料費の高騰に係る支援金を新たに支給するなど、追加の物価高騰対策を講じることとしています。 今後、国や市町等と連携を図りながら、これらの支援策を迅速に実施するとともに、引き続き、県民や事業者のニーズ等を踏まえ、必要な対策について機動的に対応してまいります。 一方で、物価高騰は全国共通の課題であり、私は、住民生活や経済活動に不可欠な社会基盤である電気やガス等の価格高騰対策は、地域によって差が生じないよう、国において一律に対応されることが適当であると考えています。 こうした考えの下、全国知事会等を通じて、物価高騰への対策については、基本的には国の責任において実施するよう求めているところであり、今後においても、物価動向や経済情勢等を注視し、必要な措置を講じるよう国に働きかけてまいります。 私は、現下の物価高から県民の暮らしや事業活動を守り抜いていくため、今後とも国や市町等と連携し、物価高騰対策に取り組んでまいります。 次に、移住の促進についてのお尋ねにお答えします。 本県の人口減少が急速に進む中、移住・定住の促進については、中小企業の人手不足の解消など、人口減少対策としての重要性が一層高まっており、県では「住んでみぃね!ぶちええ山口」県民会議を中心にその拡大に向けた取組を官民が一体となって積極的に推進しています。 そのうち、本県を移住の候補先としていただくための情報発信については、移住フェア等を通じて、本県ならではの暮らしの魅力をPRするとともに、移住支援サイトにおいて生活関連情報や移住支援金などの経済支援策、移住後のサポート体制等、求められる情報を幅広く提供しています。 また、移住後の生活をイメージしていく上では、就業に関する具体的な情報が必要であることから、やまぐち暮らし支援センターでのきめ細かい相談対応に加え、VRを活用した事業所見学や、学生レポーターによる若者目線での中小企業の紹介動画の配信などの取組も行っているところです。 さらに、こうした取組に加え、より多くの方に移住支援サイトにアクセスしていただけるよう、サイトのリニューアルを行うとともに、LINEを活用した新たな情報発信についても準備を進めています。 まず、サイトのリニューアルについては、移住希望者のニーズに沿って住まいなどの暮らしに関する情報をさらに充実させることと併せ、サイトの利用データの収集・分析を行うことにしており、データに基づき随時コンテンツの改善を図り、アクセス数の増加へとつなげていきます。 LINEの活用については、利用者の年齢層や居住地、出身地等の様々な情報が把握できることから、これを有効に活用し、本県出身の若者や子育て世帯に重点的な働きかけを行うなど、戦略的・効果的な情報発信を進めていく予定です。 また、AIなどのデジタル技術の活用についても検討を進めており、生成AIの登場により、情報提供等に係る新たなサービスも生まれていることなどを踏まえ、移住施策における効果的な活用方法を探っていきます。 全国各地で人口減少が加速し、移住をめぐる地域間競争は激しさを増しており、本県においても、引き続き、取組の充実を図る必要があることから、今後も移住支援サイト等による情報発信の強化など、様々な形で取組を積み重ねていきます。 私は、都市部等からの人の流れを本県へ確実に呼び込み、人口減少の克服と、これを中小企業の人手不足の解消にもつなげていくため、今後とも市町や企業、関係団体等と緊密に連携しながら、移住・定住の促進に取り組んでまいります。 次に、カーボンニュートラル対策についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素と経済成長をともに実現するGXを推進していくためには、化石エネルギーへの過度な依存からの脱却と同時に、次世代燃料への転換を着実に進めていくことが必要です。 とりわけ、化石燃料との混焼が可能なアンモニア・水素は、火力発電等からのCO2排出を削減するなど、カーボンニュートラル実現までの移行段階を支える重要な役割も期待されています。 私は、本県のコンビナート企業群が、国際競争力の維持・強化を図っていくためには、次世代燃料への転換によるエネルギーの脱炭素化が不可欠と考え、お示しの周南地域や宇部・山陽小野田地域における取組のような、企業の前向きな挑戦を後押ししているところです。 このうち、周南地域におけるアンモニアサプライチェーン構想は、コンビナート企業四社が連携して、二〇三〇年までに年間百万トン超のアンモニア供給体制を構築しようとするもので、大規模な設備の新設や改修・転用等が必要となります。 この構想の実現には、国の支援が欠かせないことから、県としては構想が公表された昨年の夏以降、設備投資への経済的支援や既存資産等の活用を可能とする規制緩和等を国に要望してきました。 加えて、参加企業からの連携を進めていく上で独占禁止法の規制が障壁となっているとの切実な声を踏まえて、その特例措置の創設についても、先月要望したところです。 こうした要望を行うに当たっては、周南市が設置する周南コンビナート脱炭素推進協議会等を通じて、関係企業や市との情報共有を図りながら、きめ細かな企業ニーズ等の把握に努めたところです。 今後も国の支援を確実に取り込めるよう、企業や周南市と連携し、国の新たな施策等に関する情報の収集・共有に努めるなど、関係者が一体となってアンモニアサプライチェーンの構築を支援してまいります。 次に、水素については、県内企業の技術力を生かした関連製品等の研究開発・事業化を促進してきており、これまでにアルカリ水電解装置や水素ボイラーなど、来るべき水素社会を見据えた優れた製品が生まれています。 また、水素需要の創出を図るため水素ステーションの設置に向けた事業者への働きかけや、燃料電池自動車の購入支援等にも取り組んできたところです。こうした取組に加え、現在、岩国・大竹地域のコンビナート企業と共に、将来の燃料転換に向けた水素等の利活用を検討しており、今後も電力事業者との連携を含め、需要拡大に向けた取組を進めることとしています。 私は、カーボンニュートラルの実現に向けて、県内企業が進める次世代燃料への転換などの取組を、引き続き、国や地元自治体とも連携を図りながら支援してまいります。 次に、農業政策についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、将来にわたって地域農業を支える意欲ある担い手を安定的に確保していくことが極めて重要です。 このため、私は、これまで就農者の確保に向け、日本一の担い手支援策の取組を積極的に進めてきたところであり、その結果、毎年百名を超える新規就業者が確保されるとともに、約三百の集落営農法人が設立されるなどの成果が上がっています。 しかしながら、高齢化が進行する本県においては、依然として農業現場での担い手が恒常的に不足していることから、私は、持続可能な本県農業の実現に向け、農業経営を目指す担い手の確保・育成や農外からの労働力の受入れに一層努めることとしています。 まず、農業経営を目指す担い手の確保・育成に向けては、農業を志向する若者等が円滑に就業できるよう、引き続き、相談から研修、定着までの一貫したきめ細かな支援に取り組むとともに、営農計画の策定等を支援し、新規就業者の受皿となる農業法人の設立や規模拡大を促進してまいります。 また、今年度、農林業の地と技の拠点の開設に併せ、農業大学校に大規模経営を担える人材を養成する土地利用学科を新設し、集落営農法人等の経営に携わる即戦力人材の育成に重点的に取り組むこととしています。 さらに、後継者がいない農家の第三者への経営継承を促進するため、引き続き、関係機関と連携し、農家が移譲する資産等の情報をウェブサイトにより就農希望者に分かりやすく提供するとともに、経営継承コーディネーターのサポートによる円滑なマッチングを進めてまいります。 次に、農外からの労働力の受入れに向けては、JAグループと連携して開設した農業専門求人サイト、アグポンを活用し、学生や副業希望者など様々な人材による収穫や草刈りなどの農作業へのスポット的な参画を一層促進します。 また、市町においては、都市住民等の希望者を登録し、農作業の現場に派遣する援農ボランティアの取組を進めていることから、その参加者に対し、現場での円滑な作業に向けた技術指導等の支援を行い、農業労働力の確保につなげているところです。 さらに、お示しの農福連携については、JA等と連携し、イベント等を通じて農家と障害のある方のマッチングを積極的に進めるとともに、新たに農福連携技術支援者による農作業指導を行うことにより、障害のある方の一層の農業参画を促進してまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、将来にわたって持続可能な本県農業の実現に向け、意欲のある多様な担い手の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する数点の御質問のうち、まず人口減少対策についてのお尋ねにお答えします。 本県では、高校や大学卒業後の若年層、特に女性の県外への転出超過が続いており、若者の県内定着に向けて、県内の企業や大学等の魅力やよさを伝えるとともに、全国有数の工業県を支える理工系人材を育成することは重要であると考えています。 このため、県教委では、各学校の実情に応じて、県内の企業や大学等と連携した教育活動を推進しているところです。 具体的には、専門高校では脱炭素化に取り組む県内企業と連携した教育活動を展開するなど、カーボンニュートラルの実現を担う人材の育成に取り組んでいます。 また、普通科高校でも総合的な探究の時間などにおいて、県内の企業や大学等から指導や助言を受けながら、環境問題などの理系分野をテーマとした探究的な活動に取り組んでいます。 一方、科学やものづくりに対する小中学生の興味・関心の喚起にも努めており、山口大学と連携して行う科学教室や工業高校が行うものづくり教室など、科学的な体験や実習に触れる機会を設けているところです。 また、中学生、高校生それぞれが対象となる科学の甲子園山口県大会や、県内の高校生を集めたやまぐちサイエンスキャンプなどを実施し、生徒たちが互いに科学に関する知識・技能や、それらを活用して、思考、判断、表現する力を高め合っています。 さらに、国が主催する女子中高生の理工系分野への興味・関心を高めるためのイベントについて、県内の中学校や高校に周知し、参加を促しています。 こうした取組を通じて、今後も引き続き、女子中高生を含め、生徒たちが適性や能力に応じて理工系分野への進路を選択することを支援するとともに、主体的な進路選択による若者の県内定着を図ってまいります。 県教委といたしましては、人口減少の克服に向け、本県産業の特色を踏まえた教育活動を推進し、県内の企業や大学等の魅力やよさを伝えながら、県内産業を支える理工系人材の育成に努めてまいります。 次に、高校再編に関するお尋ねのうち、地域連携教育の推進についてお答えします。 子供たちが新しい時代に対応し、多様な人々と協働して主体的に未来を切り開いていく力を身につけるためには、子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現を目指し、学校と家庭、地域、社会が連携・協働した教育を推進していくことが必要です。 このため、本県では全国に先駆けて全ての公立学校に導入したコミュニティ・スクールを核として、子供たちの成長段階に応じた地域連携教育に取り組んでまいりました。 具体的には、小中学校では地域教育ネットの仕組みを生かし、地域の方々が子供たちの学びや育ちを見守り、支援していく地域ぐるみの取組を推進しています。 また、様々な地域から生徒が集まる高校や特別支援学校等では、卒業までに社会人として自立できる力の育成が求められていることから、地域の枠を超えて広く社会と連携する取組を推進しています。 こうした本県の地域連携教育を通して、小中学校で郷土愛や地域貢献の意識を醸成し、高校等では大学・企業等と連携した学習活動により、社会の一員としての自覚を深め、主体的に社会に参画する態度を育成してまいります。 県教委といたしましては、現在進めている県立高校の再編整備にかかわらず、次代を担う子供たちの豊かな学びや育ちの実現に向け、子供たちの成長段階に応じた本県ならではの地域連携教育のさらなる推進に取り組んでまいります。 次に、通学費用の負担軽減についてのお尋ねにお答えします。 県教委では、中学生一人一人が県内全ての公立高校の中から主体的な学校選択ができるよう、通学区域を県内全域としており、学校の選択に当たっては、御家庭において進路希望や適正のほか、通学の利便性や必要経費なども考慮されているものと考えています。 こうした中、経済的な理由により、生徒が高校進学を断念することがないよう、通学定期券代などに使用できる奨学のための給付金の交付や、ひとづくり財団の奨学金制度における遠距離通学者への貸付額の増額など、それぞれの事情に応じて重点的な支援に取り組んでいるところです。 また、こうした取組に加え、県立高校の再編整備の影響により、居住地域に県立高校がなくなることに伴い、通学費負担が大きくなる生徒を支援するための取組も進めています。 具体的には、公共交通事業者に対し、各地域の状況に応じて利便性の向上が図られるよう、路線や便数の確保のほか、負担軽減に向けた運賃の設定などについて、毎年働きかけを行っています。 さらに、今年度からは、高校再編に伴い遠距離通学が必要となった生徒に対して、一定の期間、通学費の一部を支援し、通学に係る経済的負担の軽減を図る取組を実施しているところです。 県教委といたしましては、市町をはじめ関係機関と連携しながら、こうした通学支援を着実に実施していくことで、生徒が居住地域や経済的な理由等で高校進学を断念することなく、自らの進路希望に応じた主体的な学校選択ができるよう取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後一時五十二分散会