討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 藤本一規君。 〔藤本一規君登壇〕(拍手) 藤本一規君 日本共産党を代表して、討論を行います。 本議会に付託された十議案のうち、議案第二号を除く九議案には賛成いたします。 反対する議案第二号は、令和五年度の建設事業に要する経費に関し市町が負担すべき金額を定めることについてです。 今議会に提案された市町から徴収する負担金は三十九事業で約二十九億三千二百万円に上ります。 国は、二○一○年度から直轄事業負担金について、維持管理に係る負担金制度を廃止し、人件費等の事務費を地元負担の対象外としました。 これに対し、全国知事会は二○一七年度まで、国の施策並びに予算に関する提案・要望の中に、直轄事業負担金制度改革の確実な推進についてとの項目を立て、直轄事業負担金について、廃止を含む抜本的見直しを求めてきました。 全国市長会もこの間、国に対し、都道府県事業に係る都市負担金の抜本的な見直しを要請し、都道府県負担金は、最終的には廃止するよう求めています。 少なくとも新潟、和歌山、福岡、佐賀、三重の五県は、県事業負担金の原則廃止に踏み切っています。 県は、市町負担金について、国に倣い二○一○年度から事務費を市町負担金の対象から除外するなどの見直しを行っていますが、県として市町負担金を廃止する決断を行うべきであり、本議案に反対いたします。 次に請願についてです。 請願第一号から五号はいずれも、使用済核燃料中間貯蔵施設の上関町への誘致に反対することを求めるものです。 この請願五本を不採択とする産業観光委員長報告に反対いたします。 産業観光委員会の採決では、請願に反対する会派から、本請願は、具体的な根拠を示すことなく、中間貯蔵施設は危険である、最終貯蔵施設となる可能性が高いなどと一方的に決めつけ、いたずらに不安をあおり、あたかも冷静な判断を妨げるかのような主張に終始しており、このような主張は到底賛同できるものではないとの意見が出されました。 これに反論したいと思います。 まず使用済核燃料の中間貯蔵施設の危険性に根拠がないとの指摘についてです。 各請願者は、中間貯蔵施設の危険性を次のように指摘しています。 上関町に運び込まれる使用済核燃料を五千トン規模と仮定をすると、広島型原爆十七万発分の死の灰である。使用済核燃料から出る放射能は十万年もの管理を要するとされ、中間貯蔵施設に置くだけで完全に保管できる保障はないと指摘しています。 伊方原発広島裁判原告団の事務局を務めている哲野イサク氏は論文で、二百種以上に上る核分裂生成物(死の灰)の中から、日本政府は長期的に最も影響の大きいとされるセシウム137に着目して、福島原発事故では広島原爆で発生したセシウム137の百六十八発分が発生したとIAEA(国際原子力機関)に報告しました。ところが、一号機から三号機が抱えていたセシウム137のうち外部放出したのは二%に過ぎない。一号機から三号機が抱えていたウラン燃料は、新燃料換算で六百トンである。別な言い方をすれば一号から三号炉内には、広島原爆八千四百発分のセシウム137を抱えていたと述べています。 政府がIAEAに報告したデータを基に算出した数字を基に計算した結果が、中間貯蔵施設に運び込まれる、使用済核燃料を五千トン規模と仮定すると、広島型原爆十七万発分の死の灰(核分裂生成物)という表現になっているのです。 その上、本会議でも指摘をされたように、使用済核燃料を貯蔵する乾式キャスクの耐用年数は四十から六十年とも言われており、破損すれば放射能が漏れ出すリスクもあります。このように中間貯蔵施設に危険性があることは明白でございます。 次に、使用済核燃料の中間貯蔵施設が最終処分場になる可能性が高いということに根拠がないとの指摘についてです。 各請願者は、中間貯蔵施設が最終処分場になる可能性が高いことについて、次のように指摘をしています。 中間貯蔵施設は、使用済核燃料の再処理、核燃料サイクル計画を前提にしている。現在、最終処分場のめども立たず、核燃料サイクル計画は事実上破綻しており、一旦使用済核燃料の貯蔵を受け入れれば、中間とは名ばかりの恒久的な貯蔵施設となる可能性が高いと言える。 最終処分場の建設が困難を極めているのは、長崎県対馬市長の判断でまず明白です。 比田勝対馬市長は九月二十七日、市議会本会議で高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致に向けた文献調査について、市民の合意形成が不十分と判断した、観光業、水産業などへの風評被害が少なからず発生すると考えられると指摘。想定外の要因による危険性が排除できないと処分場の安全性にも疑問を投げかけました。 中間貯蔵施設は、青森県六ケ所村の再処理施設が稼働しなければ、使用済核燃料は中間貯蔵施設に滞留したままになります。 私が、一般質問で指摘をしたとおり、六ケ所村再処理施設に係る原子力規制委員会の議事録には、「年明けぐらいというのが、ある種、そこから技術的に始まると思っている」とあり、中国電力が住民向けチラシで六ケ所再処理施設が二四年度の上期に竣工する見通しは全く立っていません。 以上から、請願にある中間とは名ばかりの恒久的な貯蔵施設となる可能性が高いことは、具体的な根拠があることは明白であります。 請願の紹介議員の一人として、これら請願を不採択とするという委員長報告に多くの議員が反対されることを訴えて、討論といたします。(拍手)