1 マイナンバーカードの円滑な普及について 2 動物愛護の推進について 3 ゼロゼロ融資の返済の円滑化について 4 交通系ICカードの鉄道網への更なる推進について 5 流域治水について 6 その他
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。通告に従い、質問をさせていただきます。 初めに、マイナンバーカードの円滑な普及についてお尋ねいたします。 平成二十八年一月からマイナンバーカードの交付が市区町村役場の窓口で開始されてから七年がたちました。私は、昨年十一月定例会代表質問において、マイナンバーカードの取得促進についてお尋ねいたしました。マイナンバーカードに関する状況は月々日々に変化していますので、改めてその円滑な普及についてお尋ねいたします。 令和五年八月三十一日時点のマイナンバーカードの保有枚数は全国で約九千万枚、保有枚数率は七一・七%、山口県では約百万枚で七五・九%と、全国平均より約四ポイント上回っており全国第五位、柳井市は特別区・市の中で全国三位となっています。 このようにマイナンバーカードの保有枚数が着実に増える中、健康保険証とのひもづけ誤りも幾つかの健康保険組合で確認されています。このマイナンバーカードのひもづけに関する総点検について、先般、総務省の担当官より説明を受けました。 全三千四百十一保険者のうち、千三百十三団体において、総計約一千五百七十万件の登録データを対象に総点検を実施し、約一千五百十五万件について確認を終えております。被保険者資格を喪失した方に係るデータなどが考えられる、残り五十五万件については、現在、本人確認中であります。 また、異なる個人番号が登録された事例が点検データ全体の〇・〇〇七%の一千六十九件が確認されており、そのうち七百七十一件についてオンライン資格確認の実施機関である社会保険診療報酬支払基金と国民健康保険中央会によるアクセスログ解析が実施され、薬剤情報等が閲覧された事例が五件確認されております。これについても、現在、保険者において事実関係を確認しています。 また、医療機関において、健康保険証を持たず、ひもづけされたマイナンバーカードを医療機関や薬局の受付に設置されている顔認証付きカードリーダーに置くだけで受付ができ、とっても便利になっております。受付の担当者も読み取られたデータがレセプトと接続しているため、二度打ちの必要がなく、入力ミスも防げます。 時に顔認証付きカードリーダーや資格確認端末の故障等でカードの読み取り、顔認証ができなかった場合は、マイナンバーカードに記されている氏名、生年月日、性別、住所の券面情報、また、連絡先、加入医療保険種別、保険者等名称、事業所名、そして一部負担金の割合等を申し立てる被保険者資格申立書を可能な範囲で記入していただければ、申し立てた自己負担分で診療が受けられ、事なきを得ます。 以上、今県民の皆様が不安に感じておられることを整理させていただきました。 次は、今現在、そしてこれからマイナンバーカードがどのようなシーンで活用されていくのかを、幾つかの事例をお示しします。 まず、本年二月より全自治体で引越し手続オンラインサービスが始まっています。転出の際は、役所に出向く必要がなく、転入の際は、よりスピーディーに手続が行えます。このサービスは、運用開始三か月でマイナポータルより三十万件弱の届出があり、三月最終週は一日で一万件を超える利用があったと聞いております。 また、デジタル田園都市国家構想交付金を活用した自治体の事業は、施設のオンライン予約、避難所の受付管理、投票所の受付管理、書かない窓口、母子健康アプリ等々、全国で五百六十一の事業が創出され、横展開されています。 また、民間では、銀行口座開設、生保契約、損保契約、信販契約等、本人確認などで約四百六十の民間事業者が利用しております。エンタメ部門では、高額転売を防ぐため、チケットの購入を一人一枚に制限した上で、購入者以外の入場ができない仕組みを整え、イベント会場の入場時にマイナンバーカードを提示してもらい、本人確認を行う。いわゆるダフ屋行為ができなくできます。 るる申し上げてきましたが、全国の自治体、そして民間事業者でもマイナンバーカードの利用・活用は着実に進んでおります。国民の保有枚数の増加速度に比例して、サービスの数が今後も増えていくと考えます。 山口県におきましても、様々な場面において利活用が期待できることから、市町や国とも連携しながら、引き続き、PR等を通じて県民の皆様に普及させていく必要があると感じています。 そこでお尋ねいたします。県では、マイナンバーカードの円滑な普及にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、動物愛護の推進についてお尋ねします。 国では、令和二年六月に改正動物愛護管理法を施行し、動物取扱業のさらなる適正化と動物の不適切な取扱いへの対応強化のため、なりわいとして、動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を営利目的で行う、いわゆる第一種動物取扱業に対する勧告及び命令の制度の拡充、特定動物に関する規制強化、愛護動物を虐待した場合の罰則の強化等が実施され、令和三年六月には、犬猫の飼養管理基準を定めた省令を施行され、令和四年六月から、ブリーダーやペットショップ等で販売される犬猫について、マイクロチップの装着が義務化されました。 このように、国の取組により、近年、犬猫の引取り数と殺処分数は、全国的に減少傾向を示しています。引取り数は、令和元年の犬三万二千五百六十一頭、猫は五万三千三百四十二匹に対し、令和三年度には、犬二万四千百二頭、猫三万四千八百五匹と、いずれも約三割の減少、殺処分数は、令和元年の犬五千六百三十五頭、猫二万七千百七匹に対し、令和三年度は、犬二千七百三十九頭、猫一万一千七百十八匹と、五割以上の減少となっていますが、まだ多くの犬猫が人間の都合で飼われ、遺棄され、野良犬・野良猫となって捕獲・引き取られ、殺処分されております。 そこで一点目として、動物愛護センターと保護活動ボランティアとの協働についてお尋ねいたします。 先日、岡山県動物愛護センターを犬や猫の保護活動を行っている山口県、そして岡山県のボランティアのメンバーと視察してまいりました。 岡山県では、以前は、年間処分数が犬は一千頭を超え、猫は二千匹を超える年もありましたが、ここ数年は処分頭数が激減し、犬猫の殺処分は行われていないとのことです。 ここで、環境省が定義している殺処分の分類について申し上げます。 分類一は、治癒の見込みがない病気や攻撃性があるなど譲渡するには適切でない場合、分類二は、今示した一以外で譲渡先の確保や適切な飼養管理が困難な場合、分類三は、引取り後死亡した場合と定義づけされています。これに照らし合わせてみた場合、岡山県では、令和三年度、殺処分件数は、合計二十四頭のうち、分類二の該当数はゼロになっています。 山口県では、防府市や周南市を中心に野犬の保護活動を推進しているボランティア団体や、県内全域で地域猫活動やTNR活動に取り組まれる個人ボランティアの活動のおかげで、合計九十五頭のうち、分類二の該当数は、十頭との報告になっています。 岡山県の同センターに引き取られた犬猫は、原則迷子として二週間の告示の間、所有者への返還、一般譲渡から里親への譲渡、人なれしていない、けがまたは疾病がある、老齢等の場合やかむ、ひどくほえるなど問題行動がある場合は、選別され、特別譲渡に回され、新たに二週間の募集期間を設け、里親への譲渡、保護ボランティアへの譲渡を行っています。これでも譲渡先が見つからない場合や選別の段階で譲渡不可になった場合は殺処分に至る流れですが、この直前に保護活動ボランティアがレスキュー活動を行い、様々なケアや訓練を行い、里親への譲渡を行っています。このような同センターとボランティア団体の協働の仕組みは、平成二十一年度から始まり、様々な紆余曲折を経ながら現在に至っているとお聞きしました。 そこでお尋ねいたします。殺処分ゼロを目指して、山口県動物愛護センターが中心となって保護活動ボランティアの方々との協働をどのように推進されるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、二点目として、犬猫の不妊去勢手術についてお尋ねいたします。 飼い主のいない不幸な犬猫を減らすには、不妊去勢手術の徹底が、また、飼い主がいる場合でも多頭飼育崩壊を招かないためにも不妊去勢手術が大切になります。 不妊手術の相場は、猫の場合二万円から三万五千円程度、小型犬の場合は三万円から六万円程度、去勢手術の相場は小型犬から中型犬の場合は一万五千円から三万円程度、猫の場合は一万六千円程度と言われています。飼い主のいない犬猫の場合、そのほとんどが保護活動ボランティアの方々が身銭を切って手術を受けさせています。山口市にお住まいの保護活動ボランティアの方は、自宅で犬と猫を保護しており、獣医療費や飼育に係る餌代など年間六十万円かかっている費用を毎年のボーナスで賄っています。同じく山口市にお住まいの高齢の男性は、約二十匹の猫を保護しています。同じく不妊去勢から獣医療費、餌代、猫ハウス維持の費用を年金の中から賄っておられます。 それぞれ費用を工面するため、公益財団法人日本動物愛護協会の飼い主のいない猫の不妊去勢手術助成事業に申請し、助成金を頂いているとお聞きしますが、一人当たりの助成金には頭数に限りがあり、それだけでは賄い切れず、市町の助成制度にも条件に合わず、申請できない場合もあるとお聞きしました。 また、先日、視察した岡山県動物愛護センターでは、十五名の県職員のうち、獣医師が八名、事務職員の中にも愛玩動物飼養管理士の資格を持つ職員が在籍されています。そして、令和四年度には、地域猫活動の一環として、猫の不妊去勢手術をセンター自ら実施したとお聞きしました。 そこでお尋ねいたします。殺処分ゼロを目指す上で、飼い主のいない不幸な犬猫を減らすためには、不妊去勢手術が有効な手段と考えます。保護活動ボランティアの方々は、生活の一部を保護活動にささげて取り組んでおられます。県内の市町の中でも不妊去勢手術助成制度に取り組まれておりますが、県としても不妊去勢手術にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 以上、殺処分ゼロを目指しての二点のお尋ねですけれども、保護活動に取り組まれている方々は、犬猫の保護活動に駆り立てる思いは、遺棄された犬猫がただただかわいそう、同じ命なのに大事にされている命、大事にされない命が存在することはあり得ないと口をそろえます。県におかれましては、犬猫に優しい山口県として取り組んでいただきますようお願いを申し上げます。 次に、ゼロゼロ融資の返済の円滑化についてお尋ねします。 令和二年年頭より始まった新型コロナウイルスのパンデミックは、瞬く間に全世界に、そしてグローバルな医療危機を引き起こしました。また、移動制限は国内にとどまらず、海外への渡航制限や市民の隔離、また、人が多く集まるスポーツやコンサートなど大規模イベントが中止となり、私たちの生活は宿泊や飲食を中心に縮小せざるを得ない状況になりました。 このように人の移動制限に伴い、コロナ禍は医療危機にとどまらず、社会経済的な危機も引き起こし、国内でも多くの中小企業が大幅な売上げの減少となり、資金繰りの悪化が深刻となりました。 その危機を救ったのがコロナ禍の資金繰り支援策として実施された民間金融機関の実質無利子・無担保のゼロゼロ融資ですが、その返済開始が今年の七月からピークを迎え、令和六年四月にかけて集中してまいります。 我が党は、ゼロゼロ融資の返済について、政府にきめ細かな支援を要請してまいりました。倒産は免れたが、返済まで何十年もかかるといった経営者の切実な声を受け、昨年十月衆議院代表質問で、石井啓一幹事長の訴えに対し、岸田文雄首相が借換え保証の創設の検討を明言されました。 コロナ禍の影響が残る中、政府は今年一月から、ゼロゼロ融資よりも返済期間が長い融資への借換えを実質保証する、コロナ借換保証制度を開始し、事業者の返済負担を軽減することで、中小企業者の経営を支えようとしています。 中小企業庁のまとめによると、六月二十三日までに約五万件の申込みが承諾され、活用が進んでおります。返済負担による倒産を防ぐためにも、支援策の活用を促す必要があります。 山口県では、コロナ禍において中小企業の資金繰りを支えるため、民間ゼロゼロ融資を新型コロナウイルス感染症対応資金と銘打って、令和二年五月から始まりました。その融資実績は、その月には二千百九十件、約三百八十六億円、六月には三千十二件、約四百六十七億円と最も多くなり、十月からは件数・金額ともに減少傾向となりましたが、年明けの令和三年二月、そして三月と、再び増加しております。令和三年五月までに行われた融資合計は一万四千五百七十七件で、約二千四百十三億円となっています。 また、長引くコロナ禍で、経済状況の好転が見込めない中、中小企業における資金繰りはますます厳しさを増しており、これらの返済もピークを迎える中、国のコロナ借換保証を活用した返済負担軽減借換等特別資金が利用され、令和四年度に二百十五件、約五十一億五千万円、令和五年度に入ると、八月末現在までに六百五十九件、約百四十億円と増加しております。このほか融資のリスケにおける信用保証料の支援事業として、令和三年九月から令和五年八月末の間、六百六十三件、約三千五百万円の補助を行っています。 そこでお尋ねいたします。まだまだ資金繰りの面で厳しく返済できる状況ではない県内の中小企業を支えるコロナ借換え保証を利用しながら収益力を改善していけるよう、返済の円滑化に向けた中小企業支援にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、交通系ICカードの鉄道網へのさらなる推進についてお尋ねいたします。 九月十六日からの三連休、きらら博記念公園で開催された野外音楽イベント、ワイルドバンチには、県内外からたくさんの方が駆けつけていました。初日となる十六日の朝早くから、新山口駅は若い方の行列ができていました。何の行列かと思いきや、列の先頭は切符の券売機でした。県外から車を利用しない若い方々は、新幹線で陸の玄関口、新山口駅を経由して、宇部線で阿知須駅を目指していました。日頃切符を購入することなく、交通系ICカード一枚で移動している方にとって、切符の購入はままならず、駅員が券売機のそばについていました。 同じようなことが、六月十七、十八日にきらら博記念公園やまぐち富士商ドームで開催された小田和正ライブツアーでも、主に県外から新山口駅を経由して阿知須駅を目指していました。 また、レノファ山口FCの試合がホームで開催されるときには、県外から試合観戦に来られるファンの方々が新山口駅を経由して、山口線で維新みらいふスタジアム最寄りの大歳駅か矢原駅を目指して移動されますが、同じく新山口駅の券売機の前は行列ができています。 私は、平成三十年二月議会で、鉄道、そして路線バスにおいて、交通系ICカードが利用できないことに触れ、その早期整備についてお尋ねいたしました。 当時の小玉観光スポーツ文化部長からは、既にICカードを一部導入済みのいわくにバスへのさらなる整備を含め、地域公共交通機関の利便性向上につながる交通系ICカードについて、全県的な普及が早期に進むよう、JRやバス事業者、市町と連携しながら積極的に取り組んでまいります、との答弁がありました。 あれから五年を経て、本年四月よりJR西日本では、山口県内の山陽本線全ての駅と山口線の山口駅、湯田温泉駅で交通系ICカード、ICOCAが利用できるように整備されました。また、県内バス事業者でも交通系ICカードが利用できるよう、整備が進められています。 しかし、冒頭お示ししましたように、乗換えのできる山陽本線各駅から先の移動には、交通系ICカードの利用ができない状況が続いています。 例えば、山口線沿線で見てみますと、上郷駅には山口学芸大学や山口県鴻城高校、仁保津駅には山口農業高校、大歳駅には維新みらいふスタジアム、矢原駅には西京高校、湯田温泉駅には山口大学や温泉街、山口駅には山口高校や山口中央高校そして官庁街、上山口駅には山口赤十字病院、そして宮野駅には山口県立大学、と鉄道利用が期待できる方々の使用する施設が存在しています。県内のJR各支線でも同じようなことが言えるのではないでしょうか。 そして、JRの各駅から路線バス等でシームレスに接続できれば、その利用度は格段にアップするものと考えます。 そこでお尋ねいたします。交通系ICカードの鉄道網へのさらなる推進について、県では、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、流域治水についてお尋ねいたします。 本年も六月から七月にかけて、全国的に線状降水帯をはじめとする豪雨が発生し、多くの方が命を奪われ、行方不明となっています。また、住宅の全半壊、床上浸水も一千六百棟以上と、甚大な被害が生じました。 山口県におきましても、六月三十日の深夜から七月一日の未明にかけ、西部と中部、そして北部で線状降水帯が発生しました。山口市の観測所のデータでは、六月三十日の月最大二十四時間降水量は二百八十八ミリ、観測史上二位、七月一日には二百七十八ミリで四位、また、七月一日の一日最大の一時間当たりの降水量は七十・五ミリで、観測史上五位となっており、そのすさまじさを数字の上からも示しています。同じように美祢市東厚保、下関市豊田、山口市篠生の観測所でも観測史上上位のデータが出ています。 十年前の七月二十八日、山口県北部と島根県西部に発達した積乱雲が次々と通過し、線状降水帯が発生し、記録的な大雨により大きな被害が発生しました。このときの一日最大の一時間降水量は百四十三ミリを記録し、山口県内で観測史上最大、全国でも十四番目の雨を観測しております。 いずれも雨が激しくなる前までは、まさかこのような災害になるとは、私をはじめ、多くの皆様が思ったことでしょう。まずは、私たちが排出する温室効果ガスの増加に伴って、これまで経験したことがない豪雨が頻繁に発生していることを認識し、気象庁はじめ、県・市町の防災関係部署から発せられる危機情報に関心を示し、早めの行動が必要と思います。 国土交通省が推進する流域治水プロジェクトは、国、流域自治体、企業などが協働し、河川整備に加え、雨水貯留浸透施設や土地利用規制、利水ダムの事前放流など、各水系で重点的に実施する治水対策の全体像を取りまとめ、本年三月時点で全国百九の一級水系、約五百の二級水系で策定・公表されています。山口県では、佐波川と小瀬川の一級河川、そして錦川、椹野川をはじめ、二十六の水系で策定・公表されています。 二級水系における流域治水プロジェクトは、冒頭申し上げたような、水災害リスクの増大に備えるため、河川・下水道等の管理者が主体となって行う従来の治水対策に加え、集水域から氾濫域まで一つの流域として捉え、その河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、流域全体での水害を軽減させる治水対策、流域治水へと転換を進める必要があるとされています。 六月三十日から七月一日にかけての豪雨では、山口市街地真ん中を流れる椹野川両岸の住宅地に雨水が流れ込み、多くの家屋が床下・床上浸水被害に、また、多くの自動車が浸水し使用不能になりました。夜中に幾度となく記録的短時間大雨情報が流れ、携帯電話の音で目を覚ましました。 朝、明るくなってから椹野川に架かる東津橋付近に行くと、かなり水位が上がっています。その足で山口市黒川地区、朝田地区にも行き、被害状況、また、豪雨になるたびに被害を訴える仁保津地区に足を運び、住宅地に押し寄せた水の恐ろしさを目の当たりしました。 そこでお尋ねします。国は、一級水系だけではなく県が管理する二級水系においても流域治水プロジェクトの策定を求め、公表しました。今後、県では策定された計画に基づいて流域治水をどのように進めていかれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは、流域治水についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化している中、本県においても、このたびの梅雨前線豪雨により、甚大な被害が発生しました。 私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川管理者がこれまで実施してきた治水対策に加え、流域全体のあらゆる関係者が協働して、水害を軽減する流域治水に取り組むことが極めて重要であると考えています。 このため、県では、市町等と連携し、過去の被害状況等を踏まえ、優先度の高い二十六の二級水系において、具体的な対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定し、河川改修や下水道施設の整備などのハード対策や、住民への的確な情報提供等のソフト対策を進めていくこととしています。 具体的には、まずハード対策として、お示しの椹野川などにおいて、中長期的な視点で川幅の拡幅や堤防の整備などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河床掘削等の対策を集中的に実施してまいります。 あわせて、河川管理者以外が実施主体となる下水道施設や砂防堰堤の整備、治山対策や森林の整備・保全等についても、着実に進むよう連携して取り組んでまいります。 次に、ソフト対策として、住民の確実な避難行動につながるよう、雨量や水位、監視カメラによる河川の状況等、危険度を判断するために必要な情報をリアルタイムで提供するとともに、全ての県管理河川で洪水浸水想定区域図の作成を進めることとしています。 また、市町においても、防災拠点となる庁舎の機能強化や、民間住宅等に設置する雨水浸透ますへの助成制度などの対策が進められているところです。 これらプロジェクトに位置づけた取組については、定期的なフォローアップや、関係者による進捗状況の共有、新たな取組の追加なども行いながら、着実に進めていくこととしています。 さらに、こうした取組を進めるに当たっては、国の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算等も積極的に活用するなど、一層の加速化に努めていきます。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、流域治水プロジェクトに掲げる対策を積極的に進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)マイナンバーカードの円滑な普及についてのお尋ねにお答えします。 マイナンバーカードは、安全・安心で利便性の高いデジタル社会の基盤となるものです。 このため、県では、その普及促進に向け、国のマイナポイント事業に併せた集中的な広報や、デジタルに不慣れな方の取得申請を支援するための県行政書士会の協力による申請サポートの実施など、国や市町と連携し、様々な取組を進めてきました。 そうした取組などにより、県民の四分の三以上の方がマイナンバーカードを取得されたところであり、今後は、未申請の方に対するカードの取得促進とともに、カードが生活の様々な場面で便利に使えるようにするための取組を広げていく必要があると考えています。 まず、カードの取得促進に向けては、県内でも、郵便局における申請サポートや、福祉施設や高齢世帯への戸別訪問による出張申請受付などの取組も行われていることから、こうした取組を各市町と共有し、よりきめ細やかな対応へとつなげてまいります。 次に、カードの利用場面の拡大に向けては、「Y─BASE」に新たに設置した、市町のデジタル・ガバメント支援専用窓口を通じて、書かない窓口など、マイナンバーカードを活用した先進事例の紹介や、具体化に向けた相談対応などを行っています。 これまでに、市町からは、バスなどの公共交通機関における乗車割引へのマイナンバーカードの活用など、様々な取組への照会や相談が寄せられていることから、引き続き、市町のニーズに応じた伴走支援を行っていきます。 また、お示しのように、全国では、国の交付金を活用したマイナンバーカードの活用事例も様々生まれているため、こうした情報も、県と市町の連携会議で共有しながら、市町に対して積極的な取組を促し、サービスの実装へとつなげていきたいと考えています。 さらに、県内で実装されたマイナンバーカードを活用したサービスについては、県のホームページ等で紹介するなど、広くPRを行い、カードの普及拡大にも生かしてまいります。 県としては、国や市町との連携の下、マイナンバーカードの円滑な普及に向けた取組を今後も積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)動物愛護の推進についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、保護活動ボランティアとの協働についてです。 県では、動物愛護管理推進計画に基づき、動物愛護団体等の理解と協力を頂きながら、犬猫の引取り数や殺処分数の削減に向けて、適正飼養の普及や譲渡の推進に取り組んでいます。 まず、適正飼養の普及については、毎年九月と十月の動物の飼い方マナーアップ強化期間を中心に、動物愛護団体等と連携してイベントを開催し、団体等の活動を紹介するパネルも活用しながら、終生飼養や所有者明示等の重点的・効果的な啓発を行っています。 また、譲渡の推進については、譲渡先の拡大を図るため、仲介者となる団体等の登録を促進するとともに、動物愛護センターと団体等との合同譲渡会などを通じて、譲渡機会の拡充に努めています。 こうした取組により、本県の犬猫の殺処分数は、十年前と比べて五%以下に減少したところです。 さらに、譲渡を円滑に進め、団体等の負担軽減にもつなげるよう、従来から実施してきたマイクロチップ装着やノミ等の寄生虫駆除に加え、今年度から新たに感染症予防のワクチン接種を各保健所において開始したところです。 加えて、今後、やむを得ず県が引き取った離乳前の子猫を動物保護ボランティアが一時的に自宅等で預かり、譲渡につなげる、いわゆるミルクボランティアについても、新たな取組として検討したいと考えています。 次に、犬猫の不妊去勢手術についてです。 不妊去勢手術は、望まない繁殖を防止する有効な措置であり、飼い主の責任において行うことが基本であると考えています。 このため、県としては、まずは、飼い主への周知が進むよう、市町、県獣医師会、動物愛護団体等と連携して、終生飼養や繁殖制限の重要性などの普及啓発に積極的に取り組むこととしており、現時点、不妊去勢手術への助成は考えていないところです。 また、地域で不妊去勢措置や飼養管理を行う地域猫活動の促進に向けては、山口大学共同獣医学部との協定に基づき、大学が安い費用で手術を実施する支援制度を設けており、今後も本制度を周知し、活用を促してまいります。 県としては、犬猫の殺処分の削減に向けて、引き続き、動物愛護団体等と連携し、適正飼養の普及啓発や譲渡の拡大に努めるなど、動物愛護の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)ゼロゼロ融資の返済の円滑化についてのお尋ねにお答えします。 ゼロゼロ融資の返済が本格化する中、地域経済を支える中小企業が事業を継続し、成長・発展していくためには、返済の負担軽減に向けた資金繰り支援や、経営力の再構築に向けた伴走支援など、事業者のニーズに応じた支援が重要と考えています。 まず、資金繰り支援については、中小企業者の事業継続に必要な借換え需要等に対応するため、国の借換え保証を活用して、県制度融資における借換え資金の融資枠を四百億円に拡大し、資金供給に万全を期すこととしています。 特に経営状況の苦しい中小企業者には、融資期間十五年、融資限度額二億八千万円の借換えが可能な活性化枠により、経営改善計画の策定時に、中小企業活性化協議会等によるサポートを通じて、中小企業の活力の再生を図ってまいります。 また、ゼロゼロ融資の返済計画の見直し時に生じる、追加の信用保証料の全額補助制度を運用し、金融機関による返済期間や据置期間の延長等の積極的な提案を後押しし、中小企業の負担を軽減します。 次に、伴走支援については、金融機関等が経営課題に直面する事業者との対話を通じ、ノウハウを生かした定期的な訪問相談など、事業者に寄り添った支援を行っています。 こうした中、国においては、中小企業の経営改善や再生支援の加速化に向けて、信用保証協会や金融機関等の支援体制の強化など、総合的な支援策を策定し、取組を進めていくこととしています。 この国の支援策と連携し、県や支援機関等から構成する山口県中小企業支援ネットワークを生かして、金融機関等が行う伴走支援の充実を図るとともに、事業者の実情に応じた支援制度の紹介や相談対応など、関係機関が一体となって経営改善支援の深化を図ってまいります。 県としては、中小企業が融資を円滑に返済し、事業活動を継続・発展していけるよう、関係機関とも緊密に連携し、中小企業支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)交通系ICカードの鉄道網へのさらなる推進についてのお尋ねにお答えします。 キャッシュレスで交通機関の利用が可能となる交通系ICカードは、地域住民のみならず、観光客にとっても利便性の向上につながることから、県では、ICカードが早期に広く利用可能となるよう取組を進めているところです。 具体的には、路線バスについては、国や市町と協調して、令和二年度から、バス事業者におけるICカードの導入費用に対して支援を行ってきたところであり、本年度末までに、県内で運行する路線バスの約九割の車両に導入が完了する見込みとなっています。 また、鉄道については、これまでもJRに対し、ICカードの利用区間の拡大を要望してきたところであり、その結果、お示しのように、本年四月から、山陽本線の県内全ての駅と山口線の山口駅及び湯田温泉駅でICカードが利用できるよう整備されたところです。 しかしながら、現状においては、山陽本線を除く路線のほとんどの駅でICカードが利用できないため、未導入の駅を利用する場合には、切符の購入が必要であり、ICカードの導入効果が限定的なものとなっています。 このため、県では、鉄道におけるICカードの利用区間を県内全ての路線へ早期に拡大し、地域住民の日常生活や観光客の利便性のさらなる向上を図ることで、路線や地域の活性化につなげていく必要があると考えています。 県としては、今後とも、JRに対して、交通系ICカードの鉄道網での全県的な導入が進むよう、あらゆる機会を活用し、粘り強く要望してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時二十八分休憩