1 山口県のDX推進について 2 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 牛見航君。 〔牛見航君登壇〕(拍手) 牛見航君 会派、政友会の牛見航でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 令和二年十月五日より、山口県、村岡知事は、住民にサービスを提供する地方が、国と連携し、スピード感を持ってデジタル化に向けた取組を進めるため、全国知事会に設置された組織、全国知事会デジタル社会推進本部の本部長として、国と連携を図りながら、地方におけるデジタル・ガバメントの構築に向けた取組を進めるとともに、デジタルトランスフォーメーションの推進や情報通信技術の基盤の整備・充実等について、幅広い視点から議論し、その成果を共有し、国などへ発信することにより、地方におけるSociety5・0の実現を目指されております。 また、台湾のデジタル担当大臣であるオードリー・タン氏とも対話を進めるなど、このDX推進というものは、山口県において非常に重要な武器として大いに期待するものであります。 日本全体、そして、特に地方都市や地方県である山口県が直面する問題として、まずは、人口問題が挙げられます。 高齢化や人口減少により、生産年齢人口も大きく減少することで、地元の経済やコミュニティー、そして、地域の基盤を揺るがす事態を引き起こしているわけであります。 また、山口県などの地方の伝統的な産業は、農業、漁業、製造業などが主力であり、これらの地域産業の衰退は地域経済にも大変深刻な影響を及ぼします。 これらの問題に対する一つの解決策としてデジタル推進が考えられるわけでありますが、地方ではそのデジタル技術の導入が遅れがちであり、これは教育、医療、ビジネスなどの面で不利益をもたらすわけであります。 先ほど御紹介したオードリー・タン氏もそのことを大きな問題、課題であると考え、5Gの導入を地方から進めていったわけであります。 山口県の人口は、この三十年で約三十万人減少、本県が八月二十五日に公表した人口移動統計調査で、山口県の人口が百二十九万八千五百七十二人となり、一九六六年の調査開始以降初めて百三十万人を割るという大変ショッキングな発表があったばかりであります。 少子高齢、人口減少、労働力不足においても、リモートワークの推進、デジタル化を進めることで、都会の企業にお勤めであっても、都会から離れた自然豊かな場所で勤務することも可能なわけです。これにより、地元から離れざるを得なかった若者たちが地元にとどまり続けることが可能になり、若者の人口流出を防ぐことができると考えます。 また、デジタル技術を活用した新たな産業創出、AI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を活用して、新たなビジネスモデルや産業を生み出すことができます。特に、地方では第一次産業との共創による第六次産業の可能性があります。県内では周防大島町のIターン傾向に、その可能性を見ることができるのではないかと考えるわけです。 教育においてもオンライン教育の充実を図り、デジタル技術を活用することで、教育の機会を増やし、教育の質を向上させることが可能です。 また、テレヘルスを用いて、遠隔地に住む人々の医療アクセスを改善することも可能になり、僻地の医療課題などの対策にも効果が期待できるところであります。 そして、自治体のデジタル化、自治体DXであります。地方自治体がデジタル化を進めることで、行政サービスの効率化や透明性の向上が期待できます。これにより、住民の利便性が向上し、地方自治体の運営コストを削減することも可能になります。 ただし、課題もございます。デジタル化を推進するためには、インフラの整備、デジタルスキルの教育、セキュリティー対策など、様々な課題を克服する必要があります。 まずは、技術的なハードルとして、既存のシステムと新しいデジタル技術との統合やセキュリティーの強化などの技術的な問題を解決しなければなりません。 そして、人材不足であります。 一般的に、自治体には専門的なITスキルを持つ人材が不足しているために、プロジェクトの推進が困難になることがあるため、教育と育成が必要となります。技術の導入以上に重要なのは、それを使い、恩恵をあずかるはずの人々がデジタル技術を使いこなし、生活様式を変容できるかどうかであり、技術導入しても使われなければ意味がないものになります。 次に、予算の制約です。 予算が限られている場合、新しい技術の導入やシステムの更新が遅れることがあります。データ利用の倫理的な問題も課題です。個人情報の取扱いに関連する法律や規制に対する遵守が必要で、プライバシー保護とのバランスを取る必要があります。 また、組織文化の変革、地域格差の是正、そして、日本特有の自然災害への対策として、デジタルインフラの堅牢性と災害時の情報共有体制の構築などの災害対策の強化、そのほかにも市民のニーズに応じたサービスを提供するために、市民参加を促進し、フィードバックを積極的に取り入れる体制が求められます。この部分は、先ほどから御紹介しておりますオードリー・タン氏も非常に力を入れて取り組まれた部分でもあります。 このように日本の自治体におけるDX推進は多岐にわたる課題を抱えておりますが、これらに対処することで効率的な行政サービスの提供と市民生活の向上、ひいては日本が直面する少子高齢・人口減少社会の課題を解決する大きな武器となる、そのように考えるわけであります。 そこでまずは、デジタルインフラの整備・衛星通信の可能性について伺いたいと思います。 デジタルインフラといえば、近年社会インフラとしても大きく期待されていた5G(第五世代移動通信システム)ですが、5Gで使用するミリ波と呼ばれる高周波数は、広い帯域幅の確保や多数同時接続が可能でありますが、直進性が高いため障害物があると届かず、減衰が早いなどの特徴があることから、広い帯域幅や多数同時接続のためには基地局の密度を高めなければならないことなど、その5Gの特性上、基地局の数が今までの4Gと比べて莫大な数が必要となることなどから、その環境整備に大きな課題があることが分かってまいりました。 コスト面なども考えた結果、多くの専門家の意見として、社会インフラには適さないとの意見が主流になりつつあることから、地方自治体としても新たなデジタルインフラの整備に向けて調査研究を始めるべきであると考えます。 そこで注目すべきが、衛星通信であります。電気自動車製造業テスラの経営者として、さらに最近ではSNSサービスのX(旧ツイッター)を買収したことでも話題のイーロン・マスク氏。その彼が経営するもう一つの企業であるスペースXが、世界で展開しているのがインターネットサービス、スターリンクであります。 このサービスが注目されている大きな理由は、今までの衛星通信のような高軌道衛星を使った通信に比べて、はるかに低軌道の上空約五百五十キロの低軌道衛星を使うことです。これに低遅延、通信の遅れが非常に発生しにくいということであります。 この衛星通信の大きなメリットは、持ち運び可能な専用の地上アンテナを使うことで、通信の届かない山間部、離島、海洋などでも高速インターネット回線を利用できること。そして、地上で大規模なインフラ整備が不要だということです。 最近では、ロシアのウクライナ侵攻において、通信インフラが破壊されたウクライナにイーロン・マスク氏がアンテナを大量に提供したことが記憶に新しいことと思います。 災害時において、基地局が万が一災害に遭い、通信が困難な現状のインフラであっても、この衛星通信であれば、基地局の状況に左右されずに通信が可能なことから、防災の観点からも非常に期待できるものであります。 この低軌道衛星を用いた衛星通信ですが、二○二二年十月には企業や自治体向けの事業を既にスタートさせています。光回線の整備が不十分な山間部や離島の建設現場などにスターリンクと接続する基地局を設置し、自社の基幹通信網につなぐことによって通信環境を提供するものです。 市街地のオフィスの敷地などにアンテナを置き、基地局を設けずに直接スターリンクとつなぐといった、より簡易的な形式のサービスも展開しています。 この新サービスには、企業や自治体から導入に向けて約五百件の問合せが寄せられ、法人向けで短期間にこれほど多くの反響があったのは例がなく驚いた、労働力不足が産業界の大きな課題となる中、ネット環境の整備による作業の効率性改善や職場の魅力向上に関心が高いと分析されているところであります。 清水建設は、通信エリア外であった北海道新幹線のトンネル工事現場にスターリンクを導入。二○二三年一月には、KDDIや地元行政などが連携し、埼玉県秩父市の山中に設けた基地局を活用したドローンによる商品配送事業を始めています。 この衛星通信・インフラ整備が、この山口県に何をもたらすのか。先日、山口県東京事務所に伺った際も、他県に比べた企業誘致の優位性の大きな武器となっているのが、災害が少ない、安全な場所であるということをお聞かせいただいたところです。 この七月、日本IBMデジタルサービスが先進テクノロジーを活用した高度なシステム開発と運用の拠点であるIBM地域DXセンターを香川県高松市に開設しましたが、その一番の理由に災害が少ないことを挙げていらっしゃいます。 本県においては、山口市仁保のKDDI山口衛星通信センターに、東京ドーム三・五個分に相当する十六万平方メートルもの広大な敷地に、大小二十三基ものパラボラアンテナが設置されています。小さなもので直径一メートル以上、大きなもので三十メートルを超す巨大なものまで、山並みを背景に威風堂々と立ち並んでいます。 この場所が選ばれた理由も、地震・台風などの自然災害が少なく、山に囲まれて電波障害の少ない場所として選定されたと公表されております。 こうした地政学的優位性は、自然と歴史が与えてくれたギフトであり、お金で得られるものではありません。この恵まれた有効資産を最大限に活用するのも行政の使命であると考えます。 これらの観点からも、デジタルインフラを通して山口県にもたらす影響は非常に大きなものであると期待するわけであります。 我が国は、戦後、道路、電気、ガス、水道、鉄道などのインフラ整備に併せて地方も大きく成長を遂げてまいりましたが、現代におけるインフラ整備とはまさにこのデジタル分野であると言えるわけです。 そこでまずは、このデジタルインフラの整備・衛星通信の可能性について現状の考えをお聞かせいただきたいと思います。 続きまして、生成AIの導入に向けた課題と対応について伺います。 山口県では四月二十五日の定例記者会見において、村岡知事より、対話型AIチャットGPTについて、行政の効率化や地域の課題解決など様々な可能性を持っている。今後、県庁のデジタル推進局にAI活用検討チームを設け、使い方のガイドライン策定などに取り組み積極的に活用する意向を示されました。 また、岩国市でも七月二十七日、情報収集や文書作成、要約や翻訳など七十三件の事例について検証、特に文書作成やアイデア生成については、非常に有用と結論。業務改善という点では、大幅な時間短縮が図られたとのことで、生成AIの利用ガイドラインを策定し、十月には本格利用できるよう進める予定であると発表されております。 また、同日七月二十七日、アメリカ・マイクロソフト社が生成AIのための日本のデータセンターを拡充し、アジアでは初めて日本政府に対話型ソフト、チャットGPTの最新版サービスを提供するとの報道がございました。 マイクロソフトは、現在、東日本に設置しているデータセンターを拡充し、生成AIの拠点とすること。その上で提携するマイクロソフト社が開発した生成AIソフト、チャットGPTの最新版のサービスをデジタル庁に対し、年間およそ三億三千万円で提供すると発表がございました。これは、アジアでは初めての取組となります。 マイクロソフトは、こうした方針を自民党本部で行われるデジタル社会推進本部の会議で提案しています。生成AIをめぐっては、岸田総理も環境整備に乗り出す考えを示しております。 政府は、まずは不足する日本語のデータ蓄積を行った上で、国会答弁の下書きや議事録作成などに活用することを検討しているとのこと。言語学的に日本語は他言語と全く異なることから、日本語サポートは海外企業においては費用対効果が小さく、後回しになる現状がございます。 日本の官学民挙げての日本語サポートの充実が必要ではないか。そうした研究開発拠点として、インフラが充実した山口県に誘致するという戦略も必要になってくると考えるわけであります。 また、新たな課題として注目を集めているのが、生成AIにどのように指示を出すのか、いわゆるAIプロンプトが挙げられます。応答を生成するための命令文、条件づけが重要であり、生成AIを活用していく上で利用する職員側のAIプロンプトの向上などの教育、対策も必要になると思われます。 そこで、生成AIの導入に向けた課題と対応について、御所見を伺いたいと思います。 次に、物流業界における二○二四年問題、中小企業の物流DXについて、お伺いいたします。 日本の産業界を大きく揺るがす危機的状況として警鐘が鳴らされている物流の二○二四年問題。物流の二○二四年問題とは、トラックドライバーなどの時間外労働時間の上限が年九百六十時間に制限されることにより発生する諸問題のことでありますが、二○一九年四月一日に施行された働き方改革関連法では、年次有給休暇の時季指定、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金を三つのポイントとしており、働き方改革関連法では、時間外労働の上限は原則として月四十五時間、年三百六十時間に制限され、労使間で三六協定を結んだとしても時間外労働は年七百二十時間に制限されます。 働き方改革関連法は、大企業では二○一九年四月から、中小企業では二○二二年四月から施行されていますが、自動車運転の業務、すなわちトラックやバス、タクシーの運転手などについては、働き方改革関連法が目指す時間外労働の上限規制に対しあまりにも実情がかけ離れているため猶予が与えられたわけであります。 結果、トラックドライバーに対しては、二○二四年三月三十一日までは時間外労働の上限規制はなし。細かい規制条件の記載は省きますが、二○二四年四月一日以降は、三六協定の締結を条件とし、上限九百六十時間という時間外労働時間の制限が施行されることになるというものであります。 これは、一般的な労働者における時間外労働の上限である七百二十時間と比べても、二百四十時間もの隔たりがあるということであります。 そこで、それらの対策のためにフィジカルインターネットの実現が注目されているわけです。これは物流の新しい概念で、複数の配送業者が保有する倉庫やトラックを共有し、荷物を効率的に輸送しようとする考え方です。 次のような方法で荷物の移動を最適化し、効率的な輸配送の実現を目指します。 IoTやAI技術の活用、貨物や倉庫、車両の空き情報などを可視化、荷物を規格化して輸送を効率化、複数の物流企業の資産である倉庫やトラックなどを共有してネットワークを構築する。構築したネットワークを通じて荷物を輸送、IT技術を利用して物流を効率化することは、配送量増加やドライバー不足だけでなく、環境汚染への対策にもなると考えられています。 ちなみに、二○一六年十二月、アマゾン社が新しい試みとして発表し注目を集めました完全無人のデジタル店舗アマゾン・ゴー。そのアマゾン・ゴーの日本版を福岡市に本社を置くトライアルが開発していますが、そのためにトライアルに隣接して民間企業が開発部隊を置いています。 そのようなDX物流拠点を誘致することで関連した民間企業が、テストを含めて県内に研究開発拠点を設けるという仕組みも可能かもしれません。 このような法改正に伴い、事業者は業務改革、新たな分野への投資を進めていくわけであり、既に大手企業はそれに合わせて計画を進めていますが、我が山口県の物流を支える中小企業事業者は日々逼迫した環境の中で対応に追われています。 そこでお伺いいたします。物流業界における二○二四年問題、中小企業の物流DXについて、山口県としてどのようなお考えであるか、御所見をお伺いいたします。 最後に、デジタル地域通貨についてお伺いいたします。 デジタル通貨とは、一般的には現金、貨幣・紙幣以外に通貨として利用可能なデジタルデータ、あるいは貨幣価値をデジタルデータで表現したものであると言われています。 BtoCビジネスの領域では既にデジタル通貨が大いに活用されており、私たちの日常生活の中で活用しているものがあります。 デジタル通貨の代表例を挙げると、電子マネー、仮想通貨(暗号資産)、中央銀行発行のデジタル通貨が挙げられます。 デジタル通貨は、今後間違いなく重要なものになりますが、地方行政がドライブできるかどうかとなると敷居は高いかもしれません。しかしながら、江戸時代に発行されていた藩札に相当する地域通貨の動きに大きな可能性を感じています。それを進めていくためには行政、そして地元銀行の参画も必要ではないかと考えるわけであります。 実は、こういった取組は、愛媛県松山市で銀行主導、地域まちおこし株式会社が主導になり動き、行政が腰を上げた例も二つございます。 また、地域通貨は、特定の地域やコミュニティーの中で流通し、参加するお店や企業などで使え、緊急経済対策として一九九九年に配付された地域振興券などが分かりやすい例でありますが、地域通貨は特定の地域内や店舗に限定して使える通貨のため、地域内での消費が促進され、地域経済活性化につながると言われています。 日本は、人口増加に伴う内需の拡大で大きく成長してきた国ですが、現在ではインターネットの急激な普及により、買物においてもネットショッピングの需要が大変大きくなっています。 もともとは県内などで消費されていたような日用品であれ、現在は県外や国外の事業者を利用するようになってしまっています。そもそもそうした商品を購入するためのフォーマット自体も県外、国外の事業者であり、地域外に多くのお金が流出しているわけであります。 しかし、この地域通貨の形を取ることができれば、地域内での消費が促され、地域経済活性の効果が高まると考えられるわけです。しかし、今までのほとんどの地域通貨は紙で発行されていたために、運用また管理のコストが高く、費用対効果の面で結果を出すまでに時間もかかることから効果を見出しにくいなどの課題を抱えていたわけです。 そこで、そうした地域通貨の課題を解消し、地域活性化への活路として期待されているのがデジタル化による電子決済可能となったデジタル地域通貨であります。 デジタル通貨を実際に運用し始めている自治体がございます。神奈川県平塚市、岩手県盛岡市、東京都板橋区、静岡県御殿場市などでございます。 神奈川県平塚市が展開しています「ひらつか☆スターライトポイント」の二○二二年の発行額は九億六千万円とのこと。 地域通貨のデジタル化を促進する使い方としては、自治体マイナポイント事業も好例であります。自治体マイナポイント事業は、マイナンバーカードの交付申請や自治体が提供する施策への申請・申込みに際してポイントを付与する事業ですが、子育て支援や健康増進等、様々な申請・申込みがマイナンバーから可能になりつつあります。 マイナンバーを利用した申請・申込み時にキャッシュレス決済サービスのポイントを付与することで、住民への周知、行動が促され、デジタル化を促進することが可能であると考えます。 日本で地域通貨が発行されておよそ二十年。全国各地で実に多くの地域通貨が発行され、そのほとんどが廃止、休止を余儀なくされてきました。しかしながら、技術発展やスマートフォンの普及などに後押しされて登場した、このデジタル地域通貨はかつての地域通貨の課題を解決し、新たな展望を切り開いています。 もちろん課題もありますが、デジタル地域通貨は経済の活性化にとどまらず、今の日本の少子高齢、人口減少に起因する地域社会が抱える様々な課題に対して対応できる切り札として、地方の地域社会全体を活性化させるポテンシャルを有していると考えます。 そこでお伺いいたします。デジタル地域通貨について、山口県として現状どのようなお考えか、御所見をお伺いいたします。 最後に、るる御質問させていただいたわけですが、温故知新の下、資産の有効活用を投資費用対効果からも注意深く検討することで税金を最大限に活用する、そういった観点から山口県ひいては国家に対しても貢献できることは何であろうか、そのように考え今回の質問をさせていただきました。 山口県は、IT投資、IT資産活用、地政学優位性があります。全国でも一番早く県内津々浦々まで敷設された光ファイバー回線や、仁保にある全国唯一のKDDI衛星通信基地などに代表されるように、山口県はDX推進において日本の先陣を切ることができるポテンシャルを有していると私は確信しています。 二○五○年には、世界全体が人口減少に転じると予測されています。我が国日本は、二○○八年から人口減少に転じたわけでありますが、これは逆に考えれば世界より先に課題に直面した課題先進国とも言えるわけであります。 今、日本が直面する少子高齢・人口減少社会の課題をこの山口県から解決することは、日本の都道府県のモデルとなる、そして、それは世界のモデルになる、そのように考えるわけであります。 約百五十五年前、我々山口県の先人たちは多くの課題を抱えながら自ら動くことで時代を大きく動かしてまいりました。世界そして日本は、大きな転換期を迎えています。この時代も山口県から新たな道を切り開いていく。そのためにもまだまだ微力ではございますが、多くの皆様にお支えいただき研さんを積みながら、山口県のため日本のため、しっかり働いてまいりますことをここにお誓い申し上げまして、私の質問とさせていただきます。 御清聴いただきありがとうございます。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)牛見議員の御質問のうち、私からは生成AIの導入に向けた課題と対応についてのお尋ねにお答えします。 生成AIは、産業をはじめとする様々な分野において、業務効率化や生産性向上、新たな価値の創出などにつながることが期待され、急速にその利用が拡大しています。 私は生成AIは、行政分野においても、部分的な業務改善にとどまらず、業務の進め方そのものを大きく変革する可能性を有していることから、活用を図る上での課題に適切に対応しながら本格導入に向けた取組を迅速に進めています。 具体的には、まず本年四月に、全国に先駆け、情報管理等に関する当面のルールを定めた上で試行を開始するとともに、AI活用検討チームを立ち上げ、課題の洗い出しやガイドラインの作成等を進めています。 そうした中、様々な課題も見えてきたところであり、八月にはデータ活用に係るセキュリティー上の課題に対処するため「Y─BASE」のクラウドシステムを活用して、入力データが外部利用されない安全な利用環境を独自に構築をしたところです。 さらに、職員が効果的に生成AIを使いこなすためのスキルの習得なども重要な課題となることから、研修等の充実も図っています。 特に、対話形式で活用する生成AIにおいては、有効な応答を得るための質問入力技術の向上が求められます。 このため、お示しの生成AIへの指示技術プロンプトのスキル習得のための研修を新たに実施するとともに、本県独自のシステムで、文書の作成や要約、プレゼンテーション資料の作成など、利用用途に即した成果を得るための入力支援機能の試行なども行っています。 また、生成AIをテーマとしたCIO補佐官とのミーティングで、その活用に当たっては、問いや仮説を立てる力などがますます重要になるとの御意見を頂いたことから、そうした能力の向上につながるデザイン思考の研修なども実施しています。 こうした県としての取組に加え、県全体の行政分野における生成AIの利活用を促進していくためには、市町への支援も重要な課題です。 このため、県が構築した実証環境を市町へ開放するとともに、指示技術プロンプトに係る研修についても、オンラインで市町職員が受講できるようにするなど、市町の活用促進に向けた支援も行っていきます。 私は、生成AIに係るリスクの回避など、様々な課題に的確に対応しながら、県の業務における生成AIの活用に向けた取組を今後も積極的に推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)山口県のDX推進についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、デジタルインフラの整備・衛星通信の可能性についてです。 県政各分野のDXの取組を、県内で広く展開していくためには、その基盤となる光ファイバー等のデジタルインフラを確保することが不可欠です。 このため県では、光ファイバーをはじめとした高速ブロードバンド環境が県内全域で整備されるよう、市町や通信事業者等と連携して取組を進めており、光ファイバーは世帯カバー率、約九九%まで整備が進んでいます。 しかしながら、離島や中山間地域等で採算性の問題などから整備を進めることが難しい地域が残されているため、国に対し光ファイバーの整備に係る支援制度の拡充を求めるとともに、無線ブロードバンドによる対応なども行っているところです。 お示しの衛星通信は、そうした光ファイバーの未整備地域における代替手段として活用できる可能性がありますが、現時点では利用事例は少なく、通信電波の安定性やコスト面など、整備・運用上の様々な課題があることから、まず、情報収集を進める必要があると考えています。 県としては、県内全域における高速ブロードバンド環境の確保に向け、衛星通信を含め、新たなサービスの情報等も幅広く収集しながら、市町や通信事業者等と連携し、デジタルインフラの整備促進に取り組んでまいります。 次に、デジタル地域通貨についてです。 地域通貨は、商店街や地域経済の活性化、福祉・環境等ボランティア活動の促進など住民同士のつながりを深め、地域内で支え合うことなどを目的に活用されてきました。 デジタル技術の進展やスマートフォンの普及を背景に、デジタル地域通貨も登場しましたが、この仕組みは運用コスト低減等のメリットがある一方で、全国で利用できるキャッシュレス決済との競合や、それに伴う運用の持続的可能性の確保など様々な課題を抱えています。 このため、現在までのところ、都道府県単位でのデジタル地域通貨の導入事例はなく、県内市町でもコロナ禍における域内での消費拡大を目的として、地域振興券の性格を併せ持つデジタル地域通貨が発行された事例はあるものの、本格的に流通する段階には至っていないのが実情です。 こうした中で、デジタル社会のインフラであるマイナンバーカードの普及が大きく進んでおり、今後、地域通貨やポイントサービスでの活用なども含め、その利活用の範囲はさらに拡大していくものと考えています。 国においても、マイナンバーカードを活用した地域振興につながる取組を積極的に後押ししていることから、県としても全国各地の優良事例をしっかり把握するなど、引き続き幅広い視点での情報収集に努め、市町とも情報共有を図ってまいりたいと考えています。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)山口県のDX推進についての御質問のうち、物流業界における二○二四年問題、中小企業の物流DXについてのお尋ねにお答えします。 トラックドライバーに対する時間外労働の規制に伴い、物流の停滞が懸念されるなど、物流業界における二○二四年問題の解決に向けて、物流事業者の生産性向上や担い手確保、輸送の効率化等が喫緊の課題となっています。 国においては、今年六月に物流の効率化や商慣行の見直し、荷主・消費者の行動変容の三本柱による総合的な対策をまとめた物流革新に向けた政策パッケージを決定し、物流業界全体での生産性向上等を図っていくこととしています。 とりわけ物流業界において、運送事業者の約九割を占め、経営資源が乏しい中小企業の生産性向上を図るためには、IoTやAI等のデジタル技術の活用による輸送業務の効率化など物流DXの推進が重要です。 このため県では、やまぐち産業振興財団と連携し、DX導入による中小企業の経営転換を支援・促進するため、デジタルツールの導入から先駆的な情報処理システムを活用した設備導入に至るまで、企業のニーズや課題に応じた効果的な支援を実施しています。 具体的には、県内運送事業者が新たな配車管理システムを構築し、生産性向上や収益改善に向けて、輸送業務の効率化や軽減化を図るなどの物流DXを支援することとしており、今後こうした取組を拡大してまいります。 また、お示しのフィジカルインターネットについては、デジタル技術をベースとした共同物流の仕組みであり、今後、国において、物流効率化に関する実証実験の実施等、加速化に向けた取組が進められます。 県としては、こうした国の動向等も踏まえながら、今後とも関係機関等と連携して、デジタル技術の活用による県内中小企業の物流DXの取組を促進してまいります。