1 戦略的な広報の推進について 2 国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客について 3 孤独・孤立対策について 4 へき地医療を支える総合診療医の育成について 5 県立高校再編について 6 部活動の地域移行について 7 その他
議長(柳居俊学君)笹村直也君。 〔笹村直也君登壇〕(拍手) 笹村直也君 皆様、おはようございます。自由民主党会派、新人の笹村直也です。 一般質問に先立ちまして、一言申し上げます。 今春の県議会議員選挙におきまして初当選をさせていただきました。今日までお支えをくださった皆様に、心より、この場をお借りしてお礼申し上げます。二年前までは記者として議会を取材する立場でありましたが、こうして逆の立場となり、前職の経験を生かしながら、また、県議会においてこのたび最年少の議員でもありますので、謙虚に皆様の御指導を頂きながら、県民のために汗をかいていく覚悟でございます。 そして今日が本会議での一般質問デビューとなります。質問の機会を与えていただきましたことに、柳居議長をはじめ、関係する皆様に心より感謝を申し上げます。 山口県の現状における課題をできるだけ正確に認識し、目指すべき将来像を描いた上で、一文字一文字に心を込めて質問を練り上げました。本日は六項目にわたりまして、通告に従って質問をいたします。不慣れな点もあろうかと思いますが、温かい目でお見守りいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 まず最初に、戦略的な広報の推進についてお尋ねをいたします。 山口県にはポテンシャルがある。面的に人を呼び込み、魅力を引き出して上手に広報活動をすれば、定住人口も交流人口もまだまだ拡大の余地がある。私は常日頃から、このことを強く訴えています。基本的な認識として、私は山口県の発信力が弱いと感じています。私は県議会議員になる前、冒頭申し上げたように、約八年ほど報道機関に勤務をしておりました。お金をかけずに広報を打てるという点では、自治体にとってマスコミをどう上手に活用するかというのは、重要な力量だと考えます。 県においては、二〇二〇年から外部の専門人材を活用して、戦略的な広報についてのアドバイスを受けているということですが、より一層取組を強化する必要があると考えます。観光資源や事業の内容にそれなりの中身があることは大前提ですが、それをどう見せるのかというのも、中身と同じくらい重要だと思うのです。情報の価値や資源の価値を正確に認識し、どのような層にどういったプロモーションをかけることが広報効果を最大化するか、洗練されかつ一貫した戦略が必要です。 いかによい事業に着手したり、よい取組を展開したりしたとしても、それが県民はもとより、国内外に住む消費者に早く、意図したとおりに届かなければ、意味がありません。 それは観光、移住・定住、企業誘致、農林水産、職員採用、県政への理解促進などあらゆる政策分野に通じることですが、殊のほか観光においては、プロモーションが大きな動機づけとなります。本県においては、県はもとより県観光連盟などのDMOが主体となって一体的な取組を進めています。今月十五日には新たな観光キャッチフレーズとして「おいでませ ふくの国、山口」をキャッチフレーズに、絶景や温泉などの観光資源を活用し、熱気球による絶景体験やオフ泉県やまぐちといったキャンペーンを展開、今後はアウトドアツーリズムの普及に本腰を入れるなど、工夫をされていることは承知をしています。 こうした取組をさらに発展、強化するのはもちろんのこと、本県には秋吉台や萩市の城下町、明治日本の産業革命遺産、錦帯橋など、オンリーワンの観光地が存在し、その磨き上げが急務であり、それと併せた情報発信の強化が必要だと考えます。秋芳洞の入り口前で土産物店を営む八十歳代の女性は、かつてのにぎわいを取り戻してほしいとは言わないが、行政には少しでも誘客につながる取組をしてほしい、との訴えもしておられました。 また、人々が重要視する価値観も若い世代を中心に変容しており、SNSにおいて写真や動画を美しく際立たせる「映え」やそれによって多くの人から注目を浴びる「バズる」といった新しい価値観が登場しています。 デジタル技術等も活用してこうした新しい価値観に対応しつつ、各観光資源等に有機的なつながりを持たせ、面的に人を呼び込むことが重要です。戦略的な広報については、各市町の独自性が重要ではありますが、人的リソースを割くことが困難な市町もあると思います。 このため、民間企業のノウハウ等を活用しながら、県が持つ様々な広報媒体を通じた効果的・戦略的な情報発信、市町の要請などを踏まえて広報についてアドバイスを行うなど、県全体での情報発信力の強化に向けた取組を進めていくことが必要だと考えます。 そこでお尋ねします。戦略的な広報の推進について、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いします。 二点目に、国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客についてお尋ねいたします。 三年半にわたる新型コロナウイルス禍による空白を経て、様々な社会経済活動がコロナ禍前の様相を取り戻しつつあります。 本県では、四月十八日に私の地元萩港にコロナ後初めて国際クルーズ船が寄港したことを皮切りに、これまで県内への寄港は十八回を数え、順調な再スタートとなっています。 現在の市場は、中国市場の立ち上がりの遅れもあって、世界の中でも再開が早かった欧米市場が中心となっており、本県へ寄港した船の多くは欧米系の外国人観光客を乗せているという点で、コロナ禍前と大きく異なっています。 特に欧米市場のニーズは、日本らしい、その地域の文化や自然を体験することに重点が置かれており、萩港に寄港した際も、江戸時代の町並みが残る城下町での散策や萩焼施設の見学といった地域の歴史や文化を感じられるコンテンツが好評でした。 また、下関では自転車を運び入れて関門海峡沿いや城下町長府でのサイクリングを楽しんだとの報道も耳にしており、多様化するクルーズ船客のニーズに応え、こうした機会を逃すことなく、欧米市場も安定的に取り入れられるようにしていかなければなりません。 地域の自然の中で楽しむ体験型アクティビティーや、風光明媚な景観の中で行われるスポーツイベント、さらには地元で長年続く伝統行事なども、こうしたニーズに合わせて磨き上げていくことで、誘客につながると考えます。 とりわけ宿泊を伴わないクルーズ需要においては、こうしたニーズを地域における観光消費額の増加につなげていくという取組が欠かせず、県には、地域の特色を生かし、地域の潤いにつながるコンテンツの開発など、地域の取組をしっかり後押ししていただきたいと思うのです。 また、先月十日からは中国から日本への団体旅行の解禁もされており、今後の中国市場の立ち上がりにも対応し、こうした新たな需要の取り込みにも先手を打つ必要があります。二十四日には、大型クルーズ船に対応するために整備を進めてきた下関市新港地区長州出島に、県内に寄港するクルーズ船としては過去最大のMSCベリッシマを迎えることができたところであり、こうした機能も十分に生かして需要を取り込んでいかなければなりません。 そのためには、市場動向を踏まえて、大型から小型、ラグジュアリーからカジュアルまで、市場ごとのニーズの収集や分析を行い、乗客の特性に合わせたプランを提案するなど、船会社への積極的なプロモーションを行い、本県へ寄港する商品の造成へとつなげていただきたいのです。 県は、県政運営の指針であるやまぐち未来維新プランの中で、クルーズ船の寄港数の目標を二〇二二年から二六年で年平均五十回以上としていますが、国際クルーズ船の寄港数を増やし、観光消費額を増やしていくために、今後誘致にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 三点目、孤独・孤立対策についてです。 孤独・孤立対策に取り組んだ先駆けはイギリスで、孤独は現代の公衆衛生上、最も大きな課題の一つとして、二〇一八年に世界で初めて担当大臣を設置しました。日本でも二〇二〇年頃からメディアなどで取り扱われることが増え、二〇二一年に世界で二番目に担当大臣を設置し、さきの通常国会では、孤独・孤立対策推進法が成立するなど、社会的な要請もあって注目が高まっています。 政府においては、八月一日の閣議で、今年版の厚労白書を示し、新型コロナウイルスの流行や単身世帯の増加に伴い、孤独・孤立問題への対応が必要と指摘しています。 二〇二〇年と一九九〇年を比較すると、単身世帯が占める割合は全国で約一二五%、本県でも八九%増加しています。地方においても地域社会では形式的な人付き合いを望む人が増え、新型コロナの感染拡大によって人間関係が希薄化したことも孤独・孤立問題の深刻化に拍車をかけたとの指摘があります。 さらに、家族の介護を子供が担うヤングケアラーや、高齢の親がひきこもりになった中年の子供の面倒を見る八〇五〇問題など、複数の分野にまたがる課題も表面化しています。 孤独・孤立という概念は比較的新しい概念であり、制度のはざまで支援が行き届きにくい人も数多く存在します。 政府はさきの白書の中で、具体的な取組として、一、本人からの申請を待たない能動的な支援、二、デジタル技術を活用したオンラインでの相談体制の充実、三、世代や属性を問わず人々が集える居場所づくりの必要性、を強調しています。 県は、やまぐち未来維新プランの中で、困難を有する子どもへの支援の項目として、子どもの貧困やヤングケアラーなど様々な家庭の状況を的確に把握し、支援を実施することについて、挑戦と位置づけています。 孤独・孤立対策は新法成立もあって、政府が来年度、対策に取り組む自治体への交付金を新設する方針を表明するなど、国を挙げての対応が加速しています。本県において孤独・孤立対策を進めるに当たっては、市町やNPO法人など関係機関等が連携した支援体制を構築することが重要であると考えます。県として孤独・孤立対策をどのように進めていくか、御所見をお伺いいたします。 四点目に、僻地医療を支える総合診療医の育成についてお尋ねをいたします。 総合診療医とは、二〇二一年秋に誕生した専門医で、従来の専門科のように特定の疾患や臓器に限定するのではなく、地域に住むあらゆる年齢、性別の患者の健康問題に向き合い、幅広い視野に立って治療を行う医師のことをいいます。 慢性疾患を抱えながら一生を終える人が六割とも言われ、在宅医療等、医療に対するニーズも多様化する中、一つの臓器にとどまらず、それぞれが影響する関係や原因を推論できる高い診断力と、ほかの診療科との連携を見極める力に対する社会的な要請が高まっていることによります。本県の第七次保健医療計画では、過疎地域発展特別措置法、離島振興法、山村振興法の三つの法律が適用される地域を僻地と位置づけています。僻地は本県の面積の約六割を占め、人口ベースでも県人口の約一七%、二十三万人が住んでいます。僻地の医療機関は交通の便が悪く、各診療科の専門医が十分にそろっているとは言えません。僻地の中でもこと離島に関して申し上げれば、県内に二十一ある有人離島では常勤医から非常勤医に置き換わった島が過去十年で四島あります。萩市沖の離島、相島は人口がピーク時の五百人から三月末時点で百九人となり、医師はおろか常勤の看護師すらいない状況です。このように、当面僻地を中心に本県の人口減少と高齢化は避けられない見通しの中、幅広い領域をカバーできる総合診療医の存在意義は高まると考えます。 さらに、本県においては、医師の診療科の偏在、地域偏在など地域医療を取り巻く様々な課題が山積しています。また、三十五歳未満の若手医師の割合も全国平均を大きく下回るなど、次代を担う医療人材の確保も喫緊の課題であり、限られた医療人材を適切に活用する上でも重要だと考えます。 高齢化先進県である本県の取組は、今後の国全体の総合診療を考える上で他地域のメルクマールとなり得るものであります。 僻地の医療体制を将来にわたって安定化させるためにも、総合診療医の育成が重要だと考えますが、県の御所見をお伺いします。 五点目に、県立高校再編についてお伺いいたします。 県教委では、中学校卒業見込み者数の継続的、急激な減少や、教育を取り巻く環境の変化に対応し、本県高校教育の質の確保と向上を図るため、昨年三月に第三期県立高校将来構想を策定され、特色のある学校づくりを行うとともに、活力ある学校づくりに向け、一定の学校規模の確保を目指した再編整備を進める方針を示されました。また、昨年十二月にはこの構想を具体的に推進するため、県立高校再編整備計画前期実施計画を策定されたところです。 このような中、昨年、県内で生まれた子供の数は過去最低の七千七百六十二人で、今の高校一年生が生まれた二〇〇七年の一万一千七百十四人と比べ、三割以上減っている状況であり、急激な少子化の進行、また厳しい県の財政状況の中で、私も、県立高校の在り方を適宜見直すことは避けて通れないものと考えます。県教委には、子供たちの将来を見据え、必要となる再編整備については、地元や関係者の皆様の理解を得る努力をしつつ、しっかりと進めていただきたいと思っています。 そうした前提の上で、重要となるのが、これまで地域や学校ごとに時間をかけて培われてきた学びの継承・確保であると考えます。 私の地元の阿武町に立地する萩高校奈古分校は、急激な少子化の進行等を背景に、先ほどの再編整備計画の中で、今後、地元中学校からの入学状況等を勘案した上で募集停止を検討するとされており、地元中学生の数が減少する中、残念ながら近い将来の募集停止が危ぶまれています。 一方、同校では現在、農業について専門的に学ぶことができる上、地元の農産物を活用して食品の製造から販売までを一体的に学べるなど、地元に根差した特色ある取組を展開しており、これまでも関連する各分野に多くの人材を輩出しています。 萩地域を含め、今後、県内各地域で再編整備が進むこととなりますが、こうした地域産業を支える次世代人材の育成をどのような形で代替するのかなども含め、県教委には、将来の子供たちが、それぞれの学校で取り組んできた特色ある学びを今後も選択できる環境を整えていくことをお願いしたいと思います。 そこでお尋ねします。県立高校の再編整備を進めるに当たり、現在の学校の特色ある学びや伝統的な学び、専門的な学びを継承・確保し、その受皿となる学校づくりを行う必要があると考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、部活動の地域移行についてお尋ねをいたします。 部活動の地域移行は、御案内のとおり、中学校や高校の教員が学校教育の一環として担っていた部活動の指導を地域のスポーツクラブや民間事業者に移行し、教員の負担を軽減するとともに、子供たちの運動や文化活動に参加する機会への選択肢を増やす取組です。これまでも一般質問等で先輩議員の皆様よりお尋ねがございましたが、本日は私自身が地域クラブでの指導や運営に関わる中で実感した課題を中心に整理をし、質問をさせていただきます。 私の地元の萩市では、部活動の地域移行に向け、昨年初めから陸上競技の指導実績が豊富な教員や元日本代表選手、箱根駅伝に出場経験のある地元有志らが連携した取組を始め、今年度からは青山学院大学陸上競技部の原晋監督の御協力を得て、絆スポーツクラブ萩を設立しました。これは、同大学陸上部が地方の自治体においてクラブチームを創設した全国初の取組であり、読売新聞の全国版でも取り上げていただきました。 まずは市内の中学生、高校生を対象に受皿を構築し、近い将来ランニング愛好者といった世代を越えた縦の展開、またソフトボール、サッカーなど、ほかの競技に横の展開をしていく予定です。 しかしながら、クラブチームとして地域移行を進める中で、地方ならではの様々な問題が顕在化しています。 一つは、市町村合併前の旧町村を中心に、市中心部から距離のあるところに住む子供たちの移動手段の確保です。車で最大約一時間かかる市中心部に子供たちをどう輸送するのか。保護者が運ぶのか、指導者が運ぶのか、それとも市が輸送手段を用意するのかといった課題があります。 次に、運営資金の確保です。少子化で子供の数という分母が限られており、さらに各家庭においては、これまで部活動ではかからなかった入会金や月謝といった費用が必要になります。 最後に、一部の学校では部活動の地域移行という考え方が十分に浸透しておらず、地域移行に二の足を踏んでいる状況があるということです。具体的には、生徒をクラブに奪われるのではないか、ほかの学校が強くなってしまうのではないか、などの誤った懸念から、生徒がクラブに加入したくてもできない事例が見られます。 そのほかにも、萩市では、陸上競技においては幸いなことに指導者を確保することができましたが、地域や競技によっては指導者を確保することが困難なケースも想定されます。意欲のある指導者がクラブ活動に参加しやすい環境を整備することも肝要です。 現在は、部活動の大きな変革期にあって、様々な課題が生じてはいるものの、子供たちの選択肢を増やし、未来への可能性をより広げるためには、部活動の地域移行を進めることは不可欠であると考えます。 また、主要な実施主体となる地域の受皿の担い手にとって、県や市町など自治体の強力な後押しは心強いサポートとなるのです。 掛け声にいち早く呼応して取組を進めたところほど多大な困難が生じるといったことのないよう、また子供たちが不利益を被ることがないよう、県にはリーダーシップを発揮していただくことをお願いをいたしまして、お尋ねをいたします。 県は今月五日、中学校の部活動の地域移行に関して、二〇二五年度までに可能な市町から休日の部活動から移行を進める最終案を示されました。様々な課題も想定される中、地域の受皿となる団体等をサポートしていく必要があると考えますが、今後どう取り組まれるのでしょうか。 あわせて、部活動の地域移行を円滑に進めていくためには、学校や保護者の理解を促進し、さらに今後も子供たちを指導したいと考えている教員が、地域移行後も指導者として活動しやすい環境づくりが重要であると考えますが、このことにどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終わります。お聞き苦しい点もあったかと思いますが、最後まで御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笹村議員の御質問のうち、私からは、戦略的な広報の推進についてのお尋ねにお答えします。 本県は、豊かな自然や明治日本の産業革命遺産などの歴史・文化遺産、おいしい農林水産物など、全国に誇れる多彩な魅力を有しています。 私は、こうした本県の潜在力を余すことなく発揮して、新たな人や物の流れを創出、拡大をし、県の活性化を図る大交流維新への挑戦を積極果敢に進めており、その実現に向けては、お示しのとおり、情報発信の効果を最大限高めるための、戦略的な広報が重要です。 このため、全国に強い発信力を有する首都圏を中心とするテレビや新聞等へのパブリシティー活動や、若者への訴求力が高いインフルエンサーを活用したSNSでの動画配信など、メディアを効果的に活用した広報を積極的に展開してきました。 さらに、今年度は、県内テレビ局のネットワークを活用したキー局のウェブサイトでの情報発信や、行動的で購買意欲が旺盛な三十代、四十代の方をターゲットに、観光や食から移住生活まで、本県の魅力をトータルで伝えるデジタル県外広報誌の発行など、新たな取組にも着手しています。 こうした中、コロナ禍を契機に人々の価値観や行動が多様化し、若い世代を中心に、情報収集に用いるメディアも大きく変化していることから、広報効果を高めるためにも、ターゲットをより明確化し、最適なアプローチを検討するなど、情報発信をさらに戦略的に進めていく必要があります。 そして、そうした取組を進めていく上では、データの活用が非常に重要と考えています。 このため、現在、首都圏在住者を対象に、本県の認知度やイメージなどに加え、利用頻度の高いメディア等を把握するためのマーケティング調査を行っており、今後は、得られたデータをしっかりと生かし、外部専門人材の知見も得ながら、県の広報施策のブラッシュアップを図ってまいります。 加えて、県外に向けた広報活動では、観光がその大きな要素となることから、新たなキャッチフレーズの下で展開する観光キャンペーンや、観光資源の磨き上げ等の取組とも緊密に連携しながら、情報発信の強化に取り組みます。 さらに、県全体の情報発信力の強化に向けては、市町の取組の底上げも重要であることから、職員の広報スキル向上を図るための支援を行うとともに、効果的な事例やメディア活用に関するノウハウの共有なども進めていきます。 私は、高いポテンシャルを有する本県の情報を、全国に向けて力強く発信し、本県への人の流れを加速させ、さらに大きなものとしていけるよう、今後とも、戦略的な広報に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)国際クルーズ船の誘致による外国人観光客の誘客についてのお尋ねにお答えします。 クルーズ船の寄港は、乗船客の周遊観光等を通じて、交流人口の拡大や地域経済への波及効果が期待できることから、県では、これまでクルーズやまぐち協議会を中心に、積極的な誘致活動を実施してきたところです。 この結果、今年から国際クルーズ船の寄港が再開される中で、本県においても、四月の萩港を皮切りに、現時点で、年間二十回の寄港が予定されています。 今後、クルーズ船の運航は世界的に拡大が見込まれており、こうした需要を確実に本県に取り込むため、県としては、お示しの大型船の寄港も可能な長州出島をはじめ、多くの良港や多彩な観光資源を生かして、誘致活動の強化と観光消費額の拡大につなげる取組を進めてまいります。 まず、誘致活動の強化については、寄港の決定権を持つキーパーソンを本県に招聘する視察ツアーを実施するとともに、専門アドバイザー等を活用し、市場ごとのニーズ分析を踏まえた現地セールスを行うなど、それぞれの港の特色を生かし、戦略的な誘致活動を展開していくこととしています。 特に、今年度は、日本への寄港に強い関心のある欧米市場の新規開拓を図るため、欧米の船会社に対してオンライン商談会を開催するほか、今後、需要の高まりが期待される中国市場に向けても、乗客の特性に合わせたプランを船会社等に提案するなど、誘致活動を強化していきます。 次に、観光消費額の拡大に向けては、乗船客による県内周遊の一層の促進を図ることが重要であり、本県の強みである豊かな自然や文化、グルメ等を生かした体験コンテンツの開発や磨き上げの支援を行うほか、魅力的な周遊ルートを設定し、船会社等に対し商品化を働きかけてまいります。 また、船会社等に対し、船内レストランでの県産食材の使用などを積極的に働きかけるとともに、地元市町と連携した埠頭での特産品販売や、免税店、道の駅等の商業施設への送客などにより、県内消費の拡大につなげていきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、優れた港湾施設や魅力的な観光資源を生かした、国際クルーズ船の誘致に積極的に取り組んでまいります。 次に、部活動の地域移行についてのお尋ねのうち、地域の受皿となる団体等への支援についてお答えします。 少子化が進む中、国においては、学校単位での継続が困難となった部活動を地域へ移行する取組が進められており、本県においても、将来にわたり子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することが求められています。 このため、これまで各市町の検討協議会の開催への支援や関係者への周知啓発を図るなど移行に向けた環境整備を行うとともに、県の地域移行に向けた取組の方向性等を示す方針の策定を進めてきたところです。 このたび、各市町や関係団体等の意見を踏まえ、県方針の最終案を取りまとめたところであり、今後はこれに沿って、新たな地域クラブ活動の受皿となる団体等の整備充実や、指導者の確保、保護者の負担軽減など、課題解決に向けて取り組んでいくこととしています。 まず、受皿となる団体等の整備充実については、今年度、県内七市において、国事業を活用した実証事業を実施する中で、実施主体等の体制整備や運営の在り方の検証等を進めることとしており、その成果も踏まえ、今後、受皿となる団体等への支援の在り方を検討してまいります。 次に、指導者の確保については、新たに、指導者の情報を一元管理、提供できる人材バンクを整備し、意欲ある指導者が参加しやすい環境づくりを進めるとともに、関係団体等に幅広く指導者の発掘、登録を働きかけていきます。 さらに、保護者の負担軽減については、生徒の移動手段の確保や各家庭の費用負担の軽減などの市町の取組に対し、国による十分な財政支援が図られるよう要望するとともに、今後、国の支援方策を踏まえて、県としての具体的な対応を検討してまいります。 県としては、県教育委員会と一体となって、各市町や関係団体等と緊密に連携しながら、地域の受皿となる団体等のサポートをはじめ、部活動の円滑な地域移行に向けて積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)まず、孤独・孤立対策についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化の進行や家族形態の変化、個人の価値観の多様化に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による住民同士の接触機会の減少等に伴い、地域におけるつながりが希薄化し、支え合い機能の低下が進行しています。 このような状況を背景として、福祉的課題やニーズが複雑化・複合化する中、社会的な孤独・孤立等の新たな課題が顕在化しており、誰もが地域で安心して暮らし続けられるよう、こうした課題に的確に対応していく必要があります。 このため、県では、このたび素案を取りまとめた山口県地域福祉支援計画において、新たに、地域における居場所づくりの促進や、住民からの相談を包括的に受け止め、多くの機関が協働して支援を行う体制整備の促進を盛り込み、地域のつながりや支え合い機能の強化に取り組むこととしています。 具体的には、子ども食堂等の世代や属性を越えて住民同士が交流できる多様な居場所の整備促進をはじめ、様々な支援機関の協働による、内容を問わない相談対応や、個別訪問等のアウトリーチを含む伴走支援、地域社会への参加支援等を一体的に行う、重層的な支援体制を構築してまいります。 こうした取組に当たっては、行政機関だけでなく、福祉関係団体やNPO法人、ボランティア等との連携が重要であることから、市町や関係機関等の職員に対して、連携体制構築に係る研修を実施するとともに、先進事例の情報提供等を行ってまいります。 県としましては、孤独・孤立で悩んでいる方々が支援を求める声を上げやすい、人と人とのつながりを実感できる地域共生社会の実現に向けて、多様な機関と連携しながら取り組んでまいります。 次に、僻地医療を支える総合診療医の育成についてのお尋ねにお答えします。 慢性疾患の増加など、高齢化に伴い医療ニーズがますます多様化する中、県民誰もが生涯を通じて、住み慣れた地域で健康で安心して暮らしていくためには、とりわけ医療資源が限られた僻地においても、複数の疾患を有する高齢者等に対応できる総合診療医の確保・育成が必要です。 このため、まず、総合診療医の確保に向けては、多くの医学生に総合診療医を目指す動機づけとなるよう、今年度から、医師修学資金の貸与の対象に総合診療科を追加し、制度の拡充を図ったところです。 また、僻地医療や総合診療への理解を深め、将来、より多くの医学生や高校生に総合診療医を志していただけるよう、地域医療セミナーや医療現場セミナー等を開催してまいります。 次に、総合診療医の育成に向けては、山口大学医学部附属病院や僻地医療拠点病院等において、総合診療医の専門研修を実施しており、県では、指導医の人件費等を補助するなど、僻地医療を支える人材の育成を支援しています。 こうした取組に加え、今年度、第八次保健医療計画の策定において、市町や、僻地医療拠点病院等で構成する、へき地医療専門調査会の議論を踏まえ、総合診療医の確保・育成に向けた取組を検討してまいります。 県としましては、今後とも、関係機関や医療機関、市町等と連携・協力し、僻地において将来にわたり良質な医療が提供できるよう、僻地医療を担う総合診療医の育成に、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、県立高校再編についてお答えします。 中学校卒業者数の継続的かつ急激な減少により、学校の小規模化が進む中、子供たちにより質の高い高校教育を提供するためには、一定の学校規模の確保を目指した再編整備を進めることが必要であると考えています。 このため、県教委では、第三期県立高校将来構想に基づき、県立高校再編整備計画前期実施計画を昨年十二月に策定し、学校・学科の再編整備を着実に推進しており、お示しのように、萩高校奈古分校についても、今後の地元中学校卒業者の入学状況等を勘案した上で、生徒募集の停止を検討することとしたところです。 こうした再編整備を進めるに当たっては、これまでも、特色ある教育活動や、地域、学校ごとに時間をかけて培われてきた伝統などを、可能な限り、他の高校に継承してきたところであり、今後も引き続き、再編整備を実施する学校の教育活動等の継承に努め、新たに設置する学校が、より一層魅力ある学校となるよう取り組んでまいります。 また、その際、お示しの地域産業を支える人材を育成することも重要であることから、高度な専門性を持った産業人材を育成する取組を拠点的に推進する学校を、分散型都市構造にある本県の特性も考慮して、県内にバランスよく配置することに努めます。 県教委といたしましては、活力ある教育活動の展開、切磋琢磨できる環境づくりなど、より質の高い高校教育の提供によって、本県の次代を担う人材を育成できるよう、全県的な視点に立って、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を進めてまいります。 次に、部活動の地域移行に関するお尋ねのうち、学校や保護者への理解促進等についてお答えします。 少子化の中にあっても、将来にわたり、子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することを目指し、県教委では、観光スポーツ文化部と連携して部活動の地域移行に取り組んでおり、このたび、県の取組の方向性を示す県方針の最終案を取りまとめたところです。 今後、地域移行の取組を加速するためには、お示しのように、学校、保護者等への一層の理解促進を図るとともに、希望する教員等が新たな地域クラブ活動で指導できる環境づくりを進めていくことが、重要であると考えています。 このため、県教委では、まず、学校、保護者等への理解促進に向けて、取組の方向性や期待される効果など、県方針の考え方が広く行き渡るよう、リーフレットを作成・配布するとともに、セミナーや会議等のあらゆる機会を通じ、周知啓発を図ることとしています。 また、今年度新たに、市町が行う保護者等を対象とした説明会への補助制度を創設したところであり、地域で実施されるスポーツ・文化芸術活動の内容や具体的なスケジュールなどについての、市町における周知啓発活動を支援してまいります。 次に、希望する教員等が新たな地域クラブ活動で指導できる環境づくりに向けては、本年三月に、勤務時間外における地域クラブ活動への従事等の取扱いを定め、市町教委にも示したところであり、今後、教員等に対して、説明会の開催などにより、指導者の募集情報の提供や人材バンクへの登録の働きかけを行ってまいります。 県教委といたしましては、観光スポーツ文化部と一体となって、各市町や関係団体等と緊密に連携し、部活動の円滑な地域移行に向けて積極的に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十二分休憩