1 宇宙状況監視レーダーについて 2 使用済み(核)燃料「中間貯蔵施設」について 3 その他
副議長(島田教明君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 通告に従い質問いたします。 まず、宇宙監視(SSA)レーダーについて、防衛省はこれまで三回、実質は二回しか住民説明会を開いていないので、市民団体がこの間、九回、防衛省中国四国防衛局長に申入れを行ってきました。 しかし、市民側の不安や疑問点に応えるどころか、逆に住民説明会での説明・回答からの後退、あるいは前言否定という市民軽視ないしは無視の姿勢を、運用開始が迫っているためか、露骨に示し始めています。 国是の専守防衛撤回、敵基地攻撃能力の保有で高まる偶発的戦争勃発の危険性が危惧される、安保関連三文書の改定の動きと連動した豹変ぶりです。 二一年十一月県議会で、電波の影響について、二二年六月県議会では、菊川断層帯について、私は質問し、答弁を受けています。 ところが、今月八日に、この二件を含む四項目について、市民団体で県知事宛てに、防衛省への住民説明会における説明の完全履行を求める申入れを行ったところ、対応いただいた所管課から、申入れの内容に係るような回答が覆った。また、指摘事項のような説明を防衛省から県は受けていないので、こうした件を県として防衛省に照会するつもりはないと、おおむねこのような対応でした。 そこで、さきの二議会での議事録での答弁を確認してもらえれば、せめて電波の影響及び菊川断層帯については、答弁に沿えば、防衛省に照会してもらうのが当然と思うのだが、お尋ねです。 宇宙空間の防衛上の重要性が増すとし、航空自衛隊を航空宇宙自衛隊に改称する方針が、閣議決定のみによる安保関連三文書に明記され、六月十三日付で、宇宙開発戦略本部で決定された宇宙基本計画工程表には、SSA体制に加えSDA体制を構築し、実効的なSDAを実施するために必要な宇宙領域専門部隊を強化するとともに、宇宙状況把握システムを運用すると明記され、宇宙作戦能力の強化に併せて航空自衛隊を航空宇宙自衛隊とする。また、米国宇宙コマンド等への自衛官の派遣等により、宇宙状況把握体制整備を効果的に推進するなどと具体化されている。 つまり住民説明会で言われてきたSSAは、単に宇宙ごみなどを監視するだけだとの説明とは内容が異なり、明らかに軍事施設。 この点について防衛省につまびらかに説明するよう照会いただきたい。改めてお尋ねです。 おって、日本共産党赤嶺代議士に、防衛省が提供した資料には、今の航空自衛隊防府北基地レーダー地区(宇宙監視レーダー施設)、旧海上自衛隊岩国基地山陽受信所が、重要土地等調査法、いわゆる土地利用規制法の注視区域の候補として入っているが、現時点で実際にどのようになっているのか、お尋ねです。 二点目、使用済核燃料中間貯蔵施設について。 原発を建て運転すれば、今回のような使用済核燃料の処分は必ず避けられない問題になってくる。そこで、最初に上関原発から伺います。 上関原発は、法に基づき二○〇一年に電源開発基本計画に組み入れられ、それが単なる閣議了解で重要電源開発地点の指定に変わって以来も、いまだ計画浮上から四十一年も計画は進んでいないが、電源三法交付金は支給。 重要電源開発地点の指定に関する規程では、指定要件のいずれかに適合しなくなった場合、指定を解除すると解釈するのが自然である。 六月定例会の答弁でもあったが、GX基本方針では、原発新設は廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えに限定され、上関原発計画は改良型沸騰水型だから、上関が要件にある電源開発の計画の具体化が確実な電源ではなくなっているのでは、お尋ねです。 だから、上関町長は、今年二月に経産大臣と中電に、見通しの立たない原発の代わりの代替案を求めた。渡りに船とばかりに中電は、関電と一緒になって使用済核燃料の中間貯蔵施設をやろうと。関電の金と技術力を使って中間貯蔵施設を造って、何とか上関町の不満を和らげようとしているということではないか、お尋ねです。 中電さんは、電力販売で関電と競合関係にあり、事業者向けの営業をめぐりカルテルを結んだとして、独禁法に基づく排除措置命令及び課徴金納付命令七百七億千五百八十六万円を受けている。関電に煮え湯を飲まされたようなものだが、よう一緒に組んだなと不思議に思っていたが、八月二日の西村経産大臣の記者会見で、原発の積極活用を目指す政府方針が後押ししているのがよく分かりました。原子力発電を利用する上で使用済燃料の貯蔵能力の拡大は重要な課題。エネルギー基本計画でも、事業者間の連携による取組の重要性を明記しており、今般の動きはこうした方針に沿ったものと、意義あるものと考えていると述べられました。 原発敷地内の使用済核燃料の保管場所が満杯になれば、原発は運転できないからです。 そこで、むつ市に関電は頼んだが、拒否された。むつ市がこれまでなぜ関電の使用済核燃料を拒否してきたのか。それは、再処理工場の操業の見込みも立たず、永久貯蔵地になることを恐れたからです。 中間貯蔵の乾式キャスクの耐用年数は五十年程度、使用済核燃料の放射能は五千兆ベクレルから百年後に十分の一、一千年後に四百分の一にしか下がらない一方、保管容器の寿命ははるかに短い。このことについては福井県若狭町議会全員協議会による三菱重工業神戸造船所視察の際の質問への神戸重工の回答、参考資料一を御参照ください。 さらに、関電がむつ市の中間貯蔵施設への使用済核燃料の持込みを拒否された理由として、むつ市の施設は、BWRの受入れ施設だ。関電のPWRの燃料は許可を取っていないとのむつ市長のインタビューが報道されています。 そうすると、中電の島根原発はBWRだが、関電の原発はPWRだから、一緒にやれるのか疑問であります。 また、日本には四十六トンもの余剰プルトニウムがあり、原子力委員会は、二〇一八年七月三十一日に、我が国におけるプルトニウム利用に関する基本的な考え方を改定し、保有プルトニウム量が減らない限り、再処理工場を操業しない方針を打ち出しています。 そのため、むつ市の中間貯蔵施設について、規制委員会の更田前委員長は、再処理工場が稼働せず、むつ市から使用済燃料を再処理工場へ搬出することができないまま保管容器の寿命五十年が過ぎてしまうことを恐れていた。上関でも、この懸念は全く払拭されていません。 こうした核燃料サイクルの現状を冷静に見据えて判断すべき問題を突きつけられているのでは、お尋ねです。 電気事業連合会によると、二三年三月末時点の使用済燃料の貯蔵状況と対策によると、中電の島根原発は、管理容量六百八十トンウランに対し、使用済燃料貯蔵量四百六十トンウラン、六七・六%で、現行の貯蔵施設を活用する余裕があります。 一方、関電の場合、大飯原発は二千百トンウランに千八百二十トンウラン、八六・七%になっており、関電の当面の対策方針は、福井県外における中間貯蔵について、理解活動、可能性調査等を計画的に進め、二三年末までに計画地点を確定し、三〇年頃に二千トンウラン規模で操業開始する。計画遂行に当たっては、使用済燃料対策の重要性に鑑み、迅速かつ的確に対応し、できる限り前倒しを図るとしている。 しかし、この間の関電の対応は、使用済核燃料の中間貯蔵施設立地条件は、福井県外、これは関電原発の電気消費地の関西各県を原則として、広大な敷地、安定した地盤、港湾などのインフラ整備を上げ、これまでに二百十自治体・地域団体を訪れ、理解を求める活動を二千回以上実施するも立地選定に至らず(福井新聞報道)。 また、第三回使用済燃料対策推進協議会で、当時の岩根関電社長は、消費地理解活動について原子力全般に関して延べ三万二千回以上するとともに、中間貯蔵施設については延べ六千八百回以上、自治体等への訪問説明を精力的に実施するとともに、シンポジウムにて国と連携して中間貯蔵施設の重要性・安全性等について丁寧に説明するなど、福井県外における立地に向けて鋭意取り組んでいる。引き続き、できる限り早期に具体的な進捗が見えるよう、懸命に取り組んでいくとしながらも、結局、大飯三・四号再稼働条件として、福井県外に使用済燃料二千トンウラン規模の中間貯蔵施設立地点を二〇一八年中に公表すると公約しながら達成できず。そして、関電は二〇二三年末までに中間貯蔵施設を確定できなければ、高浜一・二号と美浜三号は運転停止と確約までしている。そうした中で急浮上したのが上関で、関電にとって渡りに船だ。 また、上関町長の調査受入れ表明を受け、西村経産相や全国原子力発電所所在市町村協議会長の福井県敦賀市長、また関西電力は、直ちにコメントを発表するなど、強い関心が示されている。 こうした背景を考えると、村岡知事が上関町の判断について云々と、静観を決め込むことではないはずで、核燃料サイクルの行き詰まりの尻拭いの一翼を押しつけられようとする重大事との認識をお持ちではないのか、知事の所見を伺いたい。 上関町長は、自分も町議のとき、東海第二原発の使用済核燃料乾式貯蔵施設を視察し、金属キャスクに手で触った。何だ、倉庫じゃないかと感じている。町民に実際に見てもらって判断してもらいたいとして、九月六日から十四日の上関町議会で、東海原発への住民視察旅行のための補正予算を提出。 当初予算では四百四十九万二千円で、企業調査費で計上されていたものに、県支出金、県補助金を電源立地等推進対策交付金、広報・調査等交付金として九百万八千円増額して、計千三百五十万円に増額補正し、町民理解促進のために研修旅費、食糧費、船舶車両等借上料を補正増額計上しています。 八月十八日の上関町臨時町議会の終了後、直ちに町長は中電に調査等の受入れを、四項目の要請を付して受諾回答。当日夕方、村岡知事は早速、町の判断について私が評価を申し上げるのは控えるべきだと思っている。八月九日の会見でも、判断の主体は町、私が口を出すのは控えたいと報道されています。 しかし、裏では、上関町民の東海原発視察旅行の経費を、元は国の交付金とはいえ、県が仲介して全額補助し、実質的に県が住民懐柔策に積極的に手を貸していることではないか、お尋ねします。 使用済燃料は、原発が生み出す死の灰の塊であり、強力な放射線と膨大な崩壊熱を出しています。たとえ金属キャスクに収納されていても、決して直接人間が素手で触るべきものではありません。 視察は、使用済燃料と中間貯蔵施設の危険性の高い実態を正確に上関町民に伝えるものではなく、むしろ放射能や放射線に関する誤った知見を広めようとするものではないのか。多数の上関町民が使用済燃料中間貯蔵施設の実体を誤解するような東海原発視察のための県補助金の支出は撤回すべきではないか、お尋ねです。 県のほぼ全額補助で、上関町が東海原発の乾式貯蔵施設の住民視察会を実施することなので、少なくとも県として次のような点について、日本原子力発電に照会すべきである。 一、乾式貯蔵施設に住民が入室して視察するようだが、住民はどのような放射能汚染防止の措置が取られるのか。また、線量率測定の機器、測定方法はどうなのか、確認されていますか。 二、貯蔵されている使用済燃料の仕様データ。燃料の形、原子炉にどのくらいの期間装荷されていたのか。燃焼度、冷却期間等。 三、各貯蔵キャスクの表面汚染密度。 四、各貯蔵キャスクの二重蓋の圧力実測値。 五、施設の空間線量率の実測値。測定箇所、測定方法等。 六、施設の吸気口と排気口の温度実測値。 以上の六点について、知事は常日頃から、県民の安心・安全がきちんと確保されるのかが最大の関心事だとおっしゃっているので、安全確認をされた上での補助金交付でなければ矛盾するが、お尋ねです。 原発問題では、推進派、反対派の学者の両方の主張が同時に聞けるのは、裁判以外ではほとんどない。しかし、伊方原発サイト内に四国電力が乾式貯蔵施設を造るための講演会では、両方の学者を呼んで行われています。また、福井県では、この八月二十七日にNUMOとの対話集会が開催されている。 原発はトイレなきマンションだとも言われ、今回は事もあろうに、このトイレを山口県に持ち込もうとする話だから、本県でも、このようなシンポジウムを、この際、電源立地等推進対策交付金を使って開催すべきではありませんか、お尋ねです。 福井県でのNUMOとの対話集会における長沢啓行大阪府立大学名誉教授の講演会資料によると、伊方原発の乾式貯蔵施設の場合、四国電力による現実的評価によっても、十五年冷却後の使用済燃料を二十四体収納したキャスクの放射線量率は、キャスク側面表面で百九十七・四マイクロシーベルト、側部表面から一メートルで八十六・〇マイクロシーベルトと非常に高い状態。このキャスク四十五基を建屋なしで貯蔵施設に配置すると、その半径約八十五メートル圏内を三か月で一・三ミリシーベルトを超える放射線管理区域に設定しなければならないほど放射線量率が高くなる。そのため、分厚いコンクリート遮蔽壁のある貯蔵建屋が必要になると四国電力が評価されている。 こうした学者の指摘を無視して、手で触れても大丈夫だからとする東海原発への視察のために、県として上関町に補助金を交付してよいのですか、お尋ねです。 また、参考資料二の下の図を見ていただきたい。三菱重工の遮蔽解析の線量当量率の評価結果ですが、キャスク表面側部(底部)は千五百十一マイクロシーベルト、つまり一・五ミリシーベルトです。手で触ったら被曝する危険性が高いということでは、どうお考えですか、お尋ねです。 今回の騒動で、上関ではまたまた分断が現れており、町を二分した問題になっています。町民たちが町の将来をどうしたらいいのか、本音の議論をして結論を出すべき問題である。軽々に判断する前に、それを促すのが県の役割ではないかと思います。 また、もし建設となれば、建設による環境影響は言うに及ばず、船舶の運航が頻繁になり、周辺自治体への影響も考えられます。単に、上関町と山口県の二団体で判断すべきでなく、県としては周辺自治体の考えも十分に踏まえる必要があると思います。 交付金により、施設に問題がないことを確かめるための見学より、住民同士が話し合う本音の議論の場をつくることにお金を使うべきだと思います。知事の御所見を伺います。 使用済核燃料の中間貯蔵施設は、原発再稼働のためのものであることを、今回の騒動は山口県民に突きつけています。迷惑施設を受け入れた地方と押しつけた都市部の関係は、福島事故で原発再稼働を容認する立地自治体と反対する過半数の国民に変わっています。 そして、今回の中間貯蔵施設問題等に対処するためにも、この際、県民投票条例を制定すべきです。 また、核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)が北海道幌延町に高レベル放射性廃棄物の地層処分に関する深地層研究を実施することとなったことを契機に、幌延町は、深地層の研究の推進に関する条例を制定し、研究の期間中及び終了後において、町内に放射性廃棄物の持込みは認めないものとすると規定されています。これを受け北海道も、北海道における特定放射性廃棄物に関する条例──参考資料三を御覧いただきたいと思いますが──制定に至っています。 今回の騒動のバックには、国・経産省の意向が強く働いていることは容易に推察できることから、こうした押しつけに対抗するためにも北海道に倣い、本県も同様な条例を制定すべきではありませんか。 以上の二点について、県知事の御所見を伺います。 九月十五日、関電の高浜原発二号機が、四十年超で三例目、十二年ぶりに再稼働、国内で十二基目の再稼働です。 しかし、使用済核燃料については、原発は十三か月運転し、三か月の定期検査のサイクルで、定検の際に原子炉の核燃料の三分の一の取替えを繰り返しています。取り出し直後の核燃料は、膨大な崩壊熱を出し続けるので、冷却し続けなければ溶融する超危険な代物です。 高浜の場合、四年で、関電全原発でも五~七年で燃料プールが順次満杯に、満杯になれば原発は運転できない。だから、上関にだが、中電の長谷川島根原子力本部長が九月七日の島根県議会の委員会で、上関町で計画する中間貯蔵施設の完成時期について問われ、計画段階でまだ造ることができるか分からないが、仮に造れば十数年はかかるとの見通しを示したこと、これを福井県議会で斉木武志県議──これは越前若狭の会の方です──が取り上げ、関電は二〇三〇年頃に二千トン規模の中間貯蔵施設の確保を目指すと表明しているが、約束は事実上果たせないと指摘し質問。杉本福井県知事は、国の原子力政策の根幹は核燃料サイクルを確立することなどと述べることしかできなかったそうです。 浮かび上がってきた、今回の上関への使用済核燃料の持込み問題の本質は、山口県に中間貯蔵施設を持ってきて、永久貯蔵を押しつけようとすることだと疑うのが自然ではないか。知事の政治的英断を求めて伺います。 今回は、上関町が、原発交付金がなくなればやっていけないので、中間貯蔵施設の交付金を当てにしての問題だと、事の本質を矮小化すべきではない。単にそうであれば、県が地方交付税制度があり、財政需要に対する収入の不足分は国から配分される仕組みだから、原発マネーがなくても自治体の財政は成り立つようになっていると、技術的助言を行えば足りる話です。 そうではなく根の深い大問題だ。軽水炉原発、再処理工場、高速増殖炉の三つが三位一体で核燃料サイクル。うち高速増殖炉「もんじゅ」は、ナトリウム漏えい事故など相次ぎ、二〇一八年三月に廃止措置。プルトニウム増殖とリサイクル計画が事実上破綻。「もんじゅ」に端を発する核燃料サイクルの破綻の連鎖で、原発サイトのプールにため込まれた使用済核燃料の行き場がなくなっている。プールが満杯になれば燃料交換ができなくなり、原発の運転もできなくなる。 六ヶ所村再処理工場の竣工は、二二年上期としていたのを、二四年度上期のできるだけ早期に変更。この延期は二十六回目。設備トラブルによる審査の長期化などで、核燃サイクルは行き詰まっている。六ヶ所再処理工場が事業困難になったとき、使用済核燃料は搬出元の原発に返すことが青森県及び六ヶ所村と協定されています。現状は、六ヶ所は共同貯蔵施設になっている。 むつ市の中間貯蔵施設は、二〇一三年に完成しましたが、新規制基準に適合したのは二〇二〇年で、この間、十五年もかかっています。 さらに、今年八月二十八日に原子力規制委員会が保安規定をようやく認可。一連の審査が終了。これから追加の安全対策工事が始まる段階。むつ市は協定で、貯蔵期間は、貯蔵建屋ごとの使用期間は五十年間。二、金属キャスクの貯蔵容器ごとの使用期間も最長五十年。三、操業開始後四十年目までに、搬出について協議するとしている。再処理工場への搬出だそうです。 原発サイトでは、使用済燃料貯蔵プールが満杯に近づく一方、六ヶ所村再処理工場は、プルサーマル実施に応じた操業しかできず、リラッキングや乾式キャスク貯蔵施設立地に躍起となっている。 結局、使用済核燃料の中間貯蔵問題で何が問われているのか。原発の運転が続く限り、使用済燃料が生み出され、永久貯蔵が避けられない。これらのことが山口県に突きつけられているのでは、お尋ねです。 東海村に視察に行くのであれば、東海第二原発の再稼働に対して、再稼働には周辺六自治体の実質的な事前了解が必要だと定められている。地元同意について、立地自治体と県とする地域が多い中、より厳格な協定と言えるが、こうしたことに学ぶ視察こそ必要とは思われませんか。今回の件で、上関周辺の首長も疑義の声を上げられているだけに、なおさらだと思いますが、いかがか、お尋ねです。 上関町周辺自治体の首長ばかりでなく、県内複数の首長が懸念を表明されています。そこで、県が主導して、最低限、次の四点について行うべきです。 一、三十キロ圏内は、原子力災害時にリスクを負う。国、そして中電及び関電による周辺自治体への説明。 二、三十キロ圏の自治体との事前了承権を認める安全協定の締結。 三、計画遂行に三十キロ圏の自治体の合意も必要となるよう改める。 四、地球環境に配慮し世界的視野に立った判断を。 いかがですか、お尋ねです。 放射性廃棄物は十万年も管理し続けなければならない代物で、山口県でも、山口市徳地にまで九万年前に阿蘇火山の火砕流が到達していたと、山大の助教が発見、発表されています。 火砕流は水より軽いので、海や河川、湖沼は障害とならず、水面を疾走する。この火砕流は深刻で、有機物の発火点をはるかに超えるような高温の物質に埋没した場合、使用済核燃料からの徐熱が長期間不可能となり、逆に加熱されるので、条件によっては、使用済核燃料の破損や溶融にまで発生し得る。 また、周防大島町の外入自治会には、ほこらの下の畑、海抜十六メートルまで津波が到達したとの言い伝えによる、安政南海地震津波到達碑が建てられている。 それでも永久貯蔵にされかねない使用済核燃料の中間貯蔵施設に対して、県は静観するだけなのですか、お尋ねです。 調査・検討の段階だから見守るでいいのでしょうか。参考資料四を示しました。 放射性廃棄物の最終処分のためには、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律により、文献調査、概要調査、精密調査、施設建設地の選定、これの各段階に進むに当たっては、地域の意見を聴き、反対の場合は先へ進まないとなっている。 しかし、中間貯蔵施設の場合は、何の法令もなく、あるのは電源立地等初期対策交付金相当部分が知事同意年度から九・八億円に増えることなどだけで、まるでいけいけどんどんではないでしょうか。県としての対応策を早急に考えておかないと、結局押しつけられるのではと危惧します。この点についてお尋ねです。 最後に、一・九万トンもの使用済核燃料を生み出した責任は、誰に、どのようにが問われています。この問題を未来に先送りするは、私も許されないと思います。 しかし、出発点は目先の利益、あるいは目先の電気のために、危険な使用済燃料を生み出し続ける原発再稼働などは論外であり、ドイツのように原発を全廃することです。その上で死の灰問題の国民的議論を、情報公開と専門家の知見の徹底開示をやった上で、国民が話し合って決めるべきことだと申し上げ、一回目の質問といたします。ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中嶋議員の御質問のうち、私からは、県民投票条例についてのお尋ねにお答えします。 我が国の地方自治制度は、議会の議員と首長をともに住民が直接選挙で選ぶ二元代表制による間接民主制を基本としています。 この制度の下で、県としては、県民の負託を受けた知事と県議会が、県民の皆様の御意見を踏まえ、議論を深めることによって、県行政の推進を図っていくべきと考えていることから、お尋ねの条例制定は考えていません。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)宇宙状況監視レーダーに関する御質問のうち、電波の影響等に係る防衛省への照会についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、電波の影響及び菊川断層帯について、これまでの答弁に沿えば防衛省に照会するのが当然であるとのお尋ねです。 国からは、レーダーの電波については、事前の検証により人体に影響を及ぼさないための基準値を下回っており、また、レーダーの運用前にその確認のための実測を行い、運用後も定期的に検査を実施すると説明を受けています。 また、菊川断層帯については、各種の調査結果やデータベース等により、当該施設の直下に活断層がないことを確認しており、加えて、当該施設は、耐震基準を定める建築基準法などの関係法令に基づき、適切に対応すると説明を受けています。 県ではこれまで、議会において、こうした国の説明をお示しした上で、国において地元山陽小野田市や地域住民に対し、安全性等を十分に説明するなど、丁寧に対応していただきたいと考えている旨を御答弁しています。 なお、さきに行われた市民団体からの申入れに対しても、改めて国の説明をお示しした上で、同様の趣旨を御回答したところです。 次に、SSAに関して防衛省につまびらかに説明するよう照会いただきたいとのお尋ねです。 国からは、当該レーダー施設は、SDA体制構築に当たっても、宇宙ごみや不審な衛星等を監視する目的に変更はなく、新たな役割は追加されていないとの説明を受けています。 こうしたことから、お尋ねの電波の影響等について、県から国に照会する考えはありませんが、お示しの内容は、既に国に伝えているところです。 県としては、当該施設は、宇宙政策を推進する国が必要と判断し整備を進めているものであることから、国の責任において、地元市や地域住民に安全性等を十分に説明するなど、引き続き、国に対し、丁寧な対応を求めてまいります。 副議長(島田教明君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)宇宙状況監視レーダーに関する御質問のうち、重要土地等調査法の注視区域についてのお尋ねにお答えします。 重要土地等調査法に規定する注視区域については、これまで一回目及び二回目の指定が行われましたが、県内の区域は指定されておりません。 また、今月開催された内閣府の土地等利用状況審議会において、三回目の区域指定の候補が示されていますが、県内の区域は、候補には入っておりません。 副議長(島田教明君)鈴森産業労働部理事。 〔産業労働部理事 鈴森和則君登壇〕 産業労働部理事(鈴森和則君)使用済核燃料中間貯蔵施設についての御質問のうち、まず、重要電源開発地点指定に関するお尋ねにお答えします。 原発の新設については、国が本年二月十日に閣議決定したGX実現に向けた基本方針において、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを具体化していくとされています。 また、その他の開発・建設については、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展、今後の状況を踏まえて検討していくとされたところです。 一方、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な問題に関しては、国から、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されています。 このことから、県としては、国のエネルギー政策における上関原発の位置づけが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。 次に、施設設置に係る調査・検討に関し、上関町の不満を和らげようとしている、核燃料サイクルの現状を冷静に見据えて判断すべき問題を突きつけられている、尻拭いの一翼を押しつけられようとしているとの三点のお尋ねにまとめてお答えします。 このたびの中国電力による調査は、上関町からの地域振興策の検討要請に対し、島根原発の安定稼働に資すること、国のエネルギー政策にも合致すること等から、中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討を進めたい旨を回答し、上関町が調査の実施を了承され、現在に至っているものと承知しています。 なお、上関町は、中間貯蔵施設の設置については、事業者から具体的な計画が提示された後に判断することとしており、現時点、施設設置の是非を判断しているものではありません。 次に、電源立地等推進対策交付金に関し、県が住民懐柔策に積極的に手を貸している、東海第二原発視察のための県補助金は撤回すべき、安全確認した上での補助金交付でなければ矛盾、シンポジウム開催、被曝する危険性、住民同士の議論の場に関する七点の御質問にまとめてお答えします。 上関町において、原子力関連施設への視察研修費に関する補正予算が可決成立しましたが、この予算は、市町が実施する原子力発電に関する知識の普及等の広報・調査等に要する経費に充てるため、国が交付する電源立地等推進対策交付金を活用しています。 この国交付金は、県を経由して町に交付される、いわゆる間接交付という仕組みとなっており、県の一般財源は充てられていません。 このため、町の予算においては、県交付金とされているものであり、県は、制度上の手続として、国への交付申請等の事務を行っているものです。 したがって、お尋ねのように県が住民懐柔策に積極的に手を貸している等の御指摘は当たらず、補助金の撤回等も考えていません。 なお、事業そのものについては、事業主体である町において適切に行われるものと考えています。 最後に、北海道と同様の条例制定、永久貯蔵の押しつけ、永久貯蔵は避けられない、東海第二原発に係る周辺市村の了解、三十キロ圏の自治体合意、県の静観、県としての対応策に関する七点の御質問にまとめてお答えします。 現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。 副議長(島田教明君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再質問いたします。 最新のニュースで、対馬市長が最終処分場への調査受入れを拒否したと政治判断をされました。そういう政治判断を知事に求めたかったんですけども、知事が全くお答えいただけなかったのは残念でなりません。 私は、原子力委員会は二〇一八年に保有プルトニウム量が減らない限り、再処理工場を操業させない方針へと転換していますと本会議で求めました。これについてはいろいろ、藤本県議が言われたように、実質的に難しいということですけども、それだけではなくて、原子力委員会が二〇一八年にこういう方針を出さざるを得なかったのは、同時に日米原子力協定も自動更新されたからです。 御案内のとおり、その背景には、日本のプルトニウム保有量の多さが国際的に懸念されているからです。だから、プルトニウム量が減らない限り操業させないと。プルサーマルで減らない限りやらないと。これをどうお受け止めですか。 このことをやられれば、必ず中間、永久貯蔵になるで…… 副議長(島田教明君)中嶋光雄君に申し上げます。時間が参りましたので注意いたします。 〔発言する者あり〕 副議長(島田教明君)(続)鈴森産業労働部理事。 〔産業労働部理事 鈴森和則君登壇〕 産業労働部理事(鈴森和則君)使用済核燃料中間貯蔵施設についての再質問にお答えいたします。 政府のプルトニウムの方針に関するお尋ねであったかと存じますけれども、こうした国のエネルギー政策に関する事項につきましては、国の責任において判断されるべきものと考えておりますので、これにつきまして独自に見解を述べることは考えておりません。 副議長(島田教明君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時二十五分散会