1 コロナ後の行財政運営について 2 建設産業の魅力発信と担い手確保について 3 精神疾患を患った方々の社会復帰について 4 山口県らしいアウトドアツーリズムの推進について 5 ICTの利活用による特別支援教育のさらなる充実について 6 コロナ後の犯罪抑止対策の推進について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 皆様、おはようございます。自由民主党の山手康弘です。令和五年九月定例会一般質問の最初の登壇者として質問をさせていただきます。 その前に一言申し上げます。 先般、私も台湾への調査訪問をさせていただきました。その中で、山口県出身の林方一氏が日本統治時代に創業した、歴史ある建物の林百貨で開催した山口県の情報発信会、観光PR活動に参加し、パンフレットの配布などのお手伝いもさせていただきました。 実は、日本統治下のその当時、林百貨と同時期に、台北市において、岩国市出身の重田栄治氏が菊元百貨店を開業し、台湾初のエレベーターガールを配すなど、注目を集めていたそうです。 戦後、菊元百貨店の建物は、所有権などが紆余曲折し、現在、台北市政府に指定歴史建築物として登録されてはいるものの、まだ内装などの修復は施されていないようです。 帰国した後、私の知人である、創業者重田栄治さんの孫である中治宣光さんに訪台のことを話すと、中治さんは、私は台湾で生まれ、九歳まで台湾で育ち、小四のときに帰国しました。じいさんの始めた百貨店は、台湾で林百貨より若干早く開業し、一番大きくなった。公共的な扱いでもいいので、またきれいに修復してほしい。元気なうちにもう一度台湾に行き見てみたいと、訪台への強い思いを述べられました。 私は、今回、台湾在住の日本人の方たちともお話をする機会がありました。その中で台湾は、歴史や物理的距離からしても、日本人、そして山口県人にとっては縁が深く、人それぞれが台湾に特段の熱い思いを持っておられる方が多いことを、肌身を持って感じました。 県議会の先輩議員の皆様と全ての関係者の皆様が築いてこられた、台湾との信頼と友好関係のおかげにより、今回貴重な体験をさせていただきました。深く感謝を申し上げますとともに、台湾に熱い思いを持つ者の一人として、今後も山口県と台湾の橋渡しになれるよう取り組んでいくことを申し上げまして、順次質問をさせていただきます。 最初に、コロナ後の行財政運営についてお尋ねいたします。 コロナ禍以前、県は活力ある県づくりを支える持続可能な行財政基盤の確立を目指し、総人件費の縮減や公債費の平準化等による歳出構造改革と、臨時的・集中的な財源確保対策の二つを柱とする行財政構造改革に取り組んでおられました。 しかしながら、コロナ感染症という未知の感染症の世界的流行が始まり、ついには世界保健機関がパンデミックを発表するまでに至りました。その感染力はすさまじく、大都市部では人口や人流が多いため、罹患者が多く出るのは報道などで、よく目にしていましたが、地方である山口県で初の感染者が発見されてから、その後、県内各市町でも感染者が増え続けました。この間、政府による緊急事態宣言が出され、県境を越えての移動を控えたり、学校や飲食店を臨時休業にしたりと、多くの混乱が起こりました。 そのような事態を目の当たりにして、県執行部においては、我が党からの要請を受け、行財政構造改革を一時凍結し、コロナ感染症対策に注力をしてこられたところです。まさに緊急事態モードでの対応であり、県においては、過去に例のない規模での補正予算を適宜講じられ、こうしたちゅうちょのない財政出動が、コロナ禍の中で県民の生命と暮らし、雇用をしっかりと守る基盤となってきたわけであります。 この間、保健所をはじめとした検査結果の集約業務や、感染症に適応した医療体制の再構築、ワクチンの確保と県民に対してのスムーズな接種の機会の確保など、様々な対応や努力をされてこられました。関係者の皆様におかれましては、昼夜を問わず対応されてこられたことに、心より敬意と感謝を申し上げる次第です。 県民誰もが三年を超える長いコロナ禍を経験し、今年の五月八日より、厚生労働省の発表により、コロナ感染症は五類に移行となりました。五類に移行し初めての夏となる今夏は、各地でイベントが再開され、お盆の帰省ラッシュでは、久々に離れた家族と再会するなど、今までできなかったことや、会えなかった人に会えるようになるなど、県内各地で歓声や笑顔が湧きました。 こうしたことから、地方財政に関しましては、六月に策定された国の骨太方針二〇二三において、新型コロナウイルス感染症の感染症法における位置づけの変更を踏まえて、地方財政の歳出構造を平時に戻すと示されたところです。 県においても、これまでの行財政構造改革による成果や、コロナによる財政への影響を改めて検証し、コロナ後の行財政運営の方向について検討を進めていく必要があるんではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。新型コロナウイルスの法的位置づけが五類へと移行され、社会全体がアフターコロナへと向かう中、今後の行財政運営をどのように進めていくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、建設産業の魅力発信と担い手確保についてお尋ねいたします。 高齢化が全国より十年進んでいると言われる山口県においては、あらゆる産業で若年層の人手不足の問題を抱え、人材確保に力を入れているところです。そのような中、建設産業は、従前からあるイメージで苦戦をしているのではないかと感じています。 建設産業は他の産業と比べて、事業の性質上、天候等の自然条件に左右されやすいことから、長時間労働に陥りがちであり、働き方改革とは縁遠いものと思われています。また、危険、きつい、汚いといった、いわゆる三K職場のイメージも持たれています。 しかしながら、建設産業は私たちが社会生活を営んでいく上で必要な道路や港湾、河川などの社会的インフラの整備やメンテナンス、また、災害時における応急復旧活動など、多種多様な役割を担っており、社会貢献度が高く、地域にとっても大切な産業です。 最近では、前述のマイナスのイメージを払拭するため、ユニフォームを機能的、かつ、デザインも刷新し、カラフルなものに変えたり、地元岩国の業者の取組になりますが、自社のオフィスをさながらカフェにいるかのように、リフォームをされた会社もあります。 また、以前は建設現場で女性を見かけると珍しいと思っていましたが、最近では目にする機会も増えているように感じます。この背景には、建設現場においても、機械化やICTの導入が進められ、今までとは違い、力に頼るだけの現場ではなくなってきたこともあるんではないかと思います。私は女性が働きやすい職場イコール、若者が働きやすい職場、快適な職場環境であると思うわけです。 このように建設業界では、その魅力向上のため、様々な就労環境の改善に向けた取組を行ってこられたところですが、まだまだ世間一般には伝わっていない面があると思います。 県においても、建設業界や関係団体と連携し、建設産業で働く人材、特に将来の業界を担う若者を確保するため、建設産業の魅力発信に取り組んでおられますが、さらなる取組の強化を図る必要があるのではないかと考えます。 建設の仕事は、地図に残る仕事とも言われています。自身の手で組み上げた鉄筋で完成したビルや、設計したものが実際に建築物になるなど、他の職種では味わえない、達成感や経験を得ることができます。このような魅力ある建設産業が、将来を担う若者の就職選択先となるよう、県には取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。産業活動や県民の暮らしを支える社会インフラ整備や県民の安心・安全の確保に大きく寄与する、持続可能な建設産業を構築するため、建設産業の魅力発信と担い手の確保に向けて、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、精神疾患を患った方々の社会復帰についてお尋ねいたします。 誰もが明朗で、悩みもなく心穏やかに日々過ごせるのが理想であります。 しかしながら、現代社会においては、多くの人がストレスを抱えながら生活をしています。ストレスを感じないと言われる方もいるかもしれませんが、実は深層心理のところまでは自分で気づくことができず、無意識の間にストレスを抱えている人もいるかもしれません。 とりわけ、直近の三年間は、世界中の人々が新興感染症により、生活様式や働き方などが大きく変化し、今まで対面で行ってきたことがリモートになったり、人的交流の減少などでコミュニケーションが取れなかったり、大きな変化がありました。 また、それとは逆に、日常的に人と関わることが苦手だった人は、自分のペースで物事を行って生活できていたのが、対面での交流が復活することにより、苦痛を感じるようになった人もおられると思います。 実際に、OECDが行った国際調査によれば、日本国内における鬱病・鬱状態の人の割合は、二〇一三年時点では七・九%だったのに対し、新型コロナウイルス流行後の二〇二〇年には一七・三%と約二倍に増加している状況が明らかにされています。 人の心理は様々ですが、このように何らかの事由があり精神的な病になってしまい、通院を余儀なくされる方はおられるわけです。特に心の病気は、外科や内科と違って、目に見えるものではなく、ドクターとの信頼関係や、家族の理解と支援が重要になってきます。 現役世代で、妻子があり、子育て中の方が病になることもあるのです。離職を余儀なくされて、通院して、治療を受け回復し、特に大変なのが、再就職し社会復帰を希望するときです。面接などで、以前の会社を離職した理由を聞かれた際に、本当のことを話してしまうと、採用するのにマイナスになってしまうのではないか。しかしながら、一日も早く社会に復帰しないと、子供の進学もあるし、家計が厳しくなると思うと、プレッシャーを感じずにはいられないわけです。 誰もが生涯ずっと精神的に健康でいられるのが理想ではありますが、誰もが絶対に病にならないとは言い切れず、こういった切実な悩みを抱えている人がいることを、我々は認識し、理解し、社会全体で温かく見守り、解決をしていく必要があると私は強く感じているところです。 そこでお尋ねいたします。精神疾患を患った方々が社会復帰を行い、安心して就業や生活をしていけるよう、県ではどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、山口県らしいアウトドアツーリズムの推進についてお尋ねいたします。 この夏、地元由宇の海で、水上スポーツの新定番であるSUPを初めて楽しみました。強い日差しが差す猛暑の中ではありましたが、時折吹く風が心地よく、海の下に目を向ければ、マダイやアジ、キス等の姿がはっきりと見える、美しい自然環境の中で、すばらしい時間を過ごすことができました。 私自身、学生時代からボディーボードを趣味として、関東を中心に様々な海でのアクティビティーを楽しんできましたが、これほどすばらしい環境はほかにはないと自信を持って言うことができます。 県では、こうした豊かな自然環境という、本県の強みを生かし、コロナ後のニーズ変化を捉え、アウトドアツーリズムの推進に取り組んでおられ、時代に合わせた誘客拡大に大いに期待をしているところです。 一方で、他県においてもアウトドアを使った地域づくりが進められていることから、本県への誘客を進めていくためには、山口県らしさを打ち出していくことが重要となってきます。 本県の特徴は、三方を瀬戸内海と日本海に開かれており、穏やかな瀬戸内海では、初心者でも楽しむことができるSUPやパドリングを、日本海側ではサーフィンやダイビングなどの本格的マリンスポーツを楽しむことができることや、海釣りや渓流釣りのスポットも多く、最近人気が出ている低山でのハイキングなど、県内各地の至る所で多種多様なアクティビティーを楽しめることです。 私は、多種多様なアウトドアアクティビティーがあるだけではなく、県内各地の観光地域のどこからでも、比較的こうしたコンテンツにアクセスでき、旅行時に楽しむことができる点こそが、本県の特色、強みであると思います。 旅行に対するニーズが多様化している中で、とりわけ、もっと手軽に、気軽に地域の特色ある自然も楽しみたいというニーズも強くなってきており、地域のコンテンツを時代に合わせて磨き上げていくなどの地域づくりを進めていくことが、本県の特色をさらに高めていくことにつながっていくと思うのです。 また、これまで県が力を入れてきたサイクルやスポーツフィールドといったアクティビティー要素の強い取組もアウトドアとの親和性が高く、こうした取組をアウトドアツーリズムと融合させ展開していくことで、さらに幅広い需要獲得にもつながっていくのではないでしょうか。 もちろん、こうした本県の強みもしっかりと発信していかなければ、誘客にはつながっていきません。本県の強みをいかにしてPRしていくかも重要な要素であり、戦略的なプロモーションによる誘客促進にしっかりと取り組んでいかなければなりません。 そこでお尋ねいたします。旅行ニーズが多様化する中で、本県の特色を生かした、山口県らしいアウトドアツーリズムの推進に、県はどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、ICTの利活用による特別支援教育のさらなる充実についてお尋ねいたします。 数か月にわたる全国一斉の臨時休業を経験するなど、学校現場においても、これまでにない影響を及ぼしてきた新型コロナウイルス感染症も、今年五月に五類に移行されました。 振り返りますと、この三年間、コロナ禍により子供たちは非常に不自由な学校生活を余儀なくされたのではないかと思います。 私は以前、文教警察委員会の委員であった際、田布施総合支援学校において、学校内で喫茶サービス等の実践的・体験的な学習活動ができるはぐくみCafeを視察させていただきました。 そこでは、生徒たちは社会に出ていく際に必要となる知識やマナー、接客方法等を一生懸命習得しようとしており、非常にいい取組であったことが今でも思い出されますが、こうした取組も、コロナ禍においては、学校や市中の感染状況を見ながらの運用となり、なかなか計画どおりには実施できなかったとお聞きしています。 しかしながら、これからはこうした外部との交流機会も含め、これまで制限されていた校外での学習や体験的な活動、また就職に向けた企業への訪問など、様々な取組を制限なく行うことが可能となります。私は、視察したはぐくみCafeも思う存分実施できることとなり、大いに期待をしているところです。 一方で、先ほど紹介しました特別支援学校に通う児童生徒の中には、その特性から、例えば初めての場所や慣れていない場所、または初めて会う方との活動等に戸惑いや強い不安を感じてしまうお子さんもおられるとのことです。 こうした中、私は、子供たちの不安等を軽減し、より効果的な学習や体験活動等を実現するためには、ICTの力を最大限活用していくことが非常に重要であると考えます。 私は、令和三年の九月定例議会において、ICTは、障害のある子供たちに対して、学習の効果を高めることはもちろんのこと、学習上または生活上の困難を改善・克服し、これまでできなかったことができるようになる可能性を有しており、特別支援教育にこそ、最も効果的であると述べさせていただきました。そして、その思いは今も変わることはなく、より強くしているところです。 これまでも、ICTが総合支援学校に導入され、例えば分身ロボット「OriHime」など活用し、児童生徒が障害や疾病等により学校に登校できなくても、教室にいるクラスメイトたちと一緒に授業を受けることができるようになるなど、子供たちのニーズに対応した学びが行われてきました。 コロナの五類移行後、これまで制限のあった学習や活動の実施が可能となるなど、教育現場にとっても新たな局面を迎えることとなりますが、県教委には、ICTをより一層活用し、あらゆる学習機会において、障害のある子供たちの可能性を広げる学びの実現に向け、取組を進めていきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。コロナが五類へ移行され、様々な教育が可能となる中、ICTの利活用による特別支援教育のさらなる充実に今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたします。 最後に、コロナ後の犯罪抑止対策の推進についてお尋ねいたします。 本年五月八日に厚生労働省の発表にて、新型コロナウイルス感染症が五類に分類されました。このことを受け、三年ぶりの行動制限のない日常を取り戻しました。今まで多くの方が行動自粛等をしていたこともあり、久々にお出かけをしようという方も多かったのではないでしょうか。 私の出身地域である岩国におきましても、休日の名勝錦帯橋付近では、観光客を目にする機会が多くなりました。また、お盆には新幹線の乗車率が一〇〇%を超え、高速道路では帰省ラッシュが起こるなど、コロナ禍以前の日常を取り戻してきた実感をしている次第です。 一方で、人的交流や会合の再開、外国人観光客の来日など、コロナ禍で減少していた期間に比べ、人々の動きが活発化することとなると、おのずと犯罪や事件・事故の発生件数が増加し、警察への通報が増加すると予測されます。 昨年は、全国的には刑法犯認知件数が増加に転じてはいるものの、山口県内の刑法犯認知件数は、僅かに減少をしているとのことです。 しかしながら、年末年始の大規模に人の移動が予測される時期や、近隣の他県からのインバウンドなどの人的流入を勘案すると、警察の取扱事案が増加の傾向をたどる可能性も考えられます。 県内においても闇バイトで応募した人が敢行する、一般民家に押し入る強盗事件が発生していますし、人出が戻ったことによる繁華街でのトラブル事案等、住民が身近に危険を感じる事案などがさらに増加すると考えられます。 事実、さきに触れました名勝錦帯橋においては、複数回にわたり、橋脚や手すりなどが故意に傷つけられるといった、歴史的な価値や地元の心を傷つける、大変残念な事案が発生しています。 一つの事案だけを単独で捉えれば、犯罪としては軽微なものと考えてしまいがちですが、こういった事案が積み重なることが、さらに治安の悪化を招いてしまうことは、犯罪学においても一つの法則として確立をしているところです。 県警察におかれましては、犯罪の芽は小さいうちに摘み取り、県民の安心・安全な生活を守るため、事件・事故の対応にいかなるときも迅速・的確な対応をお願いしたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。コロナ感染症が五類に引き下げられたのを受け、今後ますます人的交流の活発化が予測される中、県民の安心・安全な生活を守るため、県警察は、素早い初動対応を含めたコロナ後の犯罪抑止対策の推進について、どのように取り組んでいかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問にお答えします。 まず、コロナ後の行財政運営についてです。 人口減少・少子高齢化が進行する中で、将来に希望を持って暮らすことができる山口県をつくっていくため、県では収支均衡した自立・安定的な行財政基盤の構築に向け、平成二十九年度から行財政構造改革に取り組んでまいりました。 そうした中で、新型コロナウイルスによって、県民の命と健康が脅かされる危機的事象が発生したことから、感染拡大の防止と経済活性化等の緊急的な取組に人的資源・財源を集中投資することとし、県議会の御意見も踏まえ、令和二年四月に行財政構造改革の取組を一時凍結しました。 これにより、改革に掲げた目標にはこだわらないこととし、選択と集中の観点から、コロナへの対応を最優先に、必要な予算措置等を迅速かつ機動的に講じてまいりました。 同時に、これに係る所要一般財源の安定的な確保に向け、歳出構造の転換を進めるため、適切な定員管理を通じた総人件費の縮減や事務事業の見直しなどの不断の取組については、引き続き実施してきたところです。 その結果、改革期間中に見込んでいた財源不足額は確実に縮減し、今年度末の財源調整用基金残高は百億円近くを見込むなど、改革に掲げた取組の成果は着実に上がっています。 一方で、コロナ禍を経て、加速している少子化など人口減少問題は一層深刻さの度合いを増すとともに、デジタル化や脱炭素といった急速な社会変革の進展などの新たな課題も生じています。 こうした困難な課題を克服し、必要な行政サービスを安定的に提供していくためには、コロナ後の行政ニーズの変化に対応した組織・人員体制や中長期的な財政収支等を的確に見込んだ上で、今後の行財政運営の在り方を検討することが必要となります。 このため、私としては、来年度当初予算編成過程において、コロナ禍を経た行財政状況の変化を改めて検証し、直面する様々な政策課題に対する財政需要や国の財源措置の動向を精査した上で、本県の行財政運営の進め方をお示ししたいと考えています。 私は、コロナ禍からの発展的再生を図り、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するため、その基盤となる持続可能な行財政基盤の確立に向け、しっかりと取り組んでまいります。 次に、山口県らしいアウトドアツーリズムの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍を契機に、人々のライフスタイルや価値観が変化し、旅行ニーズも多様化する中、アウトドアに着目した観光需要が全国的に拡大してきています。 私は、こうしたトレンドを追い風とし、本県に新たな人の流れと活力を生み出していくためには、三方が特色ある海に開かれ、豊かな里山に恵まれた山口県のポテンシャルを存分に生かして、ほかでは体験できない、山口県らしい新たなツーリズムを創出していく必要があると考えています。 このため、本年六月に、官民連携による、やまぐちアウトドアツーリズム創出会議を立ち上げたところであり、全県を挙げた推進体制により、魅力的な体験コンテンツの開発や戦略的なプロモーションを強力に推進していくこととしています。 まず、魅力的な体験コンテンツの開発に向けては、上限一億円の補助制度により、独創的で付加価値の高い取組への支援を進めているところであり、先般、秋穂二島のロケーションを生かした高級グランピング施設や長門湯本の川床を活用したサウナなど、優れた三つの計画を採択したところです。 また、新たなコンテンツ開発により、アフターコロナの観光振興を図ろうとする地域に対し、事業計画の具現化に向けたワークショップを開催しており、今年度は、鍾乳洞での探検プログラムなど、山口ならではの特別なコンテンツの開発や磨き上げを積極的に支援していくこととしています。 さらには、スポーツフィールドやまぐち等のスポーツツーリズムの取組を、創出会議の下で新たなツーリズムと一体的に推進することとしており、本県のサイクルルートやアクティビティー等の魅力あるコンテンツを活用しながら、幅広い旅行需要の獲得につなげていきます。 次に、戦略的なプロモーションについては、新たなツーリズムによる誘客拡大とブランド化に向け、現在、専用サイトを開設し、アウトドア体験の利用促進キャンペーンを展開しているほか、来月には、山口きらら博記念公園において、大規模なキックオフイベントを開催することとしています。 また、お示しのように、本県は観光地とアクティビティー施設とのアクセスがよく、観光と併せて気軽にアウトドアを楽しめる優れた環境にあることから、国内外の旅行会社に、魅力ある体験コンテンツと宿泊施設や多様な観光資源を組み合わせた旅行商品の造成を積極的に働きかけてまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体と緊密に連携しながら、自然豊かな本県の強みを生かして、新たな人の流れと活力を創出する山口県らしいアウトドアツーリズムの推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)建設産業の魅力発信と担い手確保についてのお尋ねにお答えします。 建設産業は、社会インフラの整備やメンテナンス、災害発生時の応急復旧などを担う中核的な存在であり、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 しかしながら、少子高齢化の進行等により、特に若者の就業者が少なく、近い将来、社会資本整備や災害対応等に支障を来すおそれがあることから、持続可能な建設産業を構築することが極めて重要です。 このため、県では、建設業界や関係団体等と連携し、若者にとって魅力的な職場となるよう、就労環境の改善と魅力発信の取組を通じ、担い手確保に努めているところです。 就労環境の改善については、長時間労働の是正や休日の確保につながるよう、公共工事の施工時期の平準化や週休二日の取組を進めるとともに、適正な賃金水準を確保するため、適宜、設計労務単価の見直しなどを行っています。 また、工事現場において、鏡付洗面台等を備えた洋式トイレや温水シャワー設備を設置するなど、建設業者が行う、女性や若者が働きやすい、快適な職場環境づくりも支援しています。 加えて、建設現場の生産性や安全性の向上を図るため、建設DX推進計画を策定し、ICT活用工事等を積極的に推進しているところです。 また、担い手確保のためには、こうした就労環境改善の取組や建設産業の魅力を、若者へしっかりと発信することが重要です。 このため、高校生等を対象に現場見学会や魅力発見フェア等を通じて、ICT活用工事などの新たな取組も紹介し、若者の入職を促進してきたところです。 さらに、今年度から、若者への訴求効果が高いインターネットやSNSに着目して、県だけでなく、業界全体による一元的な情報発信を行う新たなポータルサイトを構築し、働きやすい環境づくりの取組など、魅力あるコンテンツの充実と発信力の強化を行うこととしています。 加えて、来月には、広く県民が建設産業に親しむことができる取組として、来て見て触って楽しく学べる体験型イベント、やまぐち建設フェス!を開催します。 県としては、持続可能な建設産業を構築するため、引き続き、就労環境の改善と魅力発信の一体的な推進を通じて、建設産業の担い手確保に一層取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)精神疾患を患った方々の社会復帰についてのお尋ねにお答えします。 精神疾患は、誰でもかかる可能性のある病気であることから、精神疾患を患った方が、病院で治療を受け、回復された後に就労され、再び健康的で充実した生活を送ることができるよう、社会全体で支えていくことが重要です。 このため、県としては、精神疾患を患った方への支援を行うとともに、精神疾患に対する正しい理解の促進などに取り組んでいるところであり、今後も充実を図っていくこととしています。 まず、精神疾患を患った方への支援については、自己負担の軽減により継続的に医療を受けやすくするため、精神通院医療制度の周知を図るとともに、心の健康を維持できるよう、市町や関係団体等と連携して、公認心理師等の専門家による面接や電話、LINE相談などを行ってまいります。 また、回復後、安心して社会復帰できるよう、ハローワーク等関係機関と連携し、山口しごとセンターにおけるカウンセリングの実施や、障害者就業・生活支援センターでの能力に合った職務の選定や職場実習のあっせんなど、就労に向けた様々な支援に、引き続き取り組んでいくこととしています。 次に、精神疾患に対する正しい理解の促進については、こころの健康セミナーの開催やリーフレットの配布に加え、毎年十月の精神保健福祉普及運動期間を中心に、パネル展示や保健講座等を実施し、県民に対して、心の健康に関する幅広い知識の普及を図ってまいります。 また、精神疾患を患った方の再就職や職場定着が円滑に行われるよう、関係機関と連携し、メンタルヘルス研修会等の開催や、中小企業労働相談員による事業所訪問などを通じて、職場におけるメンタルヘルスケアに対する企業の理解を促進してまいります。 県としましては、今後とも、市町や関係団体、企業等と連携しながら、精神疾患を患った方々が安心して就業や生活できるよう、社会全体の機運の醸成に努め、精神保健福祉対策の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)ICTの利活用による特別支援教育のさらなる充実についてのお尋ねにお答えします。 校外での学習や体験的な活動など、あらゆる学習機会において障害のある子供たちの可能性を広げる学びを充実させるためには、ICTを利活用することが極めて有効な手段であると考えています。 このため、県教委では、やまぐちスマートスクール構想に掲げる、一人ひとりに合った学びで力を引き出す学校の実現に向けて、子供たちの多様な学びを創出するため、特別支援学校の子供たちにとって特に重要となる社会体験活動をはじめ、様々な場面でICTを積極的に活用することとしています。 具体的には、校外学習や職場実習の受入先と連携して作成した、仮想空間で社会体験学習が可能なオリジナルVR動画を活用して、事前に活動の流れや内容を確認することで、実際に体験学習をする際の子供たちの不安を軽減し、見通しを持って取り組むことができるようにしています。 また、通常の端末操作が困難な子供たちの学習を支援する入出力支援装置を導入するとともに、障害や疾病等により学校に登校できない子供たちには、遠隔教育が可能となる分身ロボットを活用するなど、様々な障害がある子供たちが、主体的にICTを利活用して学習できる環境の整備を進めています。 さらに、障害のある子供たちが新たな体験や交流に積極的に挑戦できるよう、今後は、小中学校との交流や共同学習等においても、分身ロボットの活用を進めるとともに、お示しの喫茶サービスや企業と連携した職場実習等、様々な場面において、リモートによる活動を積極的に取り入れてまいります。 県教委といたしましては、コロナ禍で蓄積したノウハウを生かしてICTの利活用をさらに広げ、障害のある子供たちの可能性を高める学習活動を推進し、特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)犯罪抑止対策の取組に関する御質問にお答えいたします。 まず、県内の犯罪情勢ですが、二十年連続で減少を続けていた刑法犯認知件数については、本年に入ってから街頭犯罪を中心に増加に転じ、八月末現在では二千六百八十七件と、前年同時期よりも百七十一件増加しております。 また、うそ電話詐欺についても、認知件数は減少しているものの、高齢者が多額の現金をだまし取られる被害が発生するなど、その被害額は前年同時期よりも増加しているほか、議員お示しのとおり、いわゆる闇バイトの犯行グループによる強盗未遂事件が岩国市内で発生するなど、県民の体感治安の悪化が懸念される状況にあります。 こうした中、県警察では、各地域の犯罪情勢と県民の幅広い治安ニーズを踏まえつつ、制服警察官の姿を見せる警ら活動やパトカーの赤色灯を点滅させてのレッド走行、これを積極的に行うなど、街頭活動を一層強化するとともに、防犯ボランティアなどとも連携し、登下校時の子供の見守り活動や高齢者世帯への戸別訪問による防犯広報、これを行うなど、県民の体感治安の改善に向け、地域住民が日々の生活の中で不安に感じている問題の把握とその解消に努めているところであります。 また、事案認知時においては、迅速かつ的確な初動対応に努め、重要事件などの県民に不安を与える犯罪については、発生当初から最大限の捜査力を投入し、事件の早期解決に努めてまいります。 さらに、いわゆる闇バイトへの対策として、サイバーパトロールを強化し、サイト管理者に違法・有害情報の削除を要請するなど、サイバー空間の浄化対策や青少年を犯行に加担させないための広報啓発活動を推進しているほか、関係機関などと連携を密にしながら、高齢者をはじめ地域住民に対し、きめ細かな防犯情報を発信するなど、地域の防犯力のさらなる向上に努めております。 引き続き、県警察では山積する治安課題に対して、地域に根差した活動をしっかりと推進し、県民の皆様が安全で安心して暮らすことのできる山口県の実現に向け、全力で取り組んでまいります。