1 生成AIの利活用について 2 自転車保険の加入義務化について 3 再犯防止の推進について 4 農福連携の取組と今後の展望について 5 うそ電話詐欺被害防止対策について 6 安全基準をクリアした自転車用ヘルメットの着用率向上について 7 その他
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 おはようございます。公明党の上岡康彦でございます。通告に従いまして、質問に入らせていただきます。 初めに、生成AIの利活用に関してお伺いいたします。 今月五日、総務企画委員会の県外視察において日本マイクロソフト社へ訪問し、今後のAIの利活用に向けた取組の参考にするため、同社が進めるAIの利活用に係る最新の動向について、本県のCIO補佐官である日本マイクロソフト社執行役員の中井陽子氏らに説明を受けました。 実際にマイクロソフト社が開発したBing AIチャットを使ったことのある方も、この議場の中にいらっしゃると思います。最先端を走る企業の取組には大変感動いたしました。 また、私は、県外視察に先立ち、八月十八日にやまぐちDX推進拠点「Y─BASE」で開催されたやまぐちAI・DXソリューション展示会にも参加させていただき、一階の展示ブースにも立ち寄り、各企業の取組やシステムを見てまいりました。 驚いたのは、「Y─BASE」で実際のAIとはどんなものか、PCの前で説明を伺い、正直、これほどまでに生成AIが進歩しているとは思いも寄りませんでした。音楽やポスターもイメージどおりにAIが作ってくれる。メールもAIが返信してくれる。何時間もかけて作成していた資料がものの数分で完成する。営業の応酬話法もAIが相手の反応を想定してトークを作り上げている。これまでの常識では考えられない夢のような出来事が目の前で実際に起こっている。目からうろこが落ちるとはこのことだと感じました。 あわせて、この日は、生成AI等の可能性とのテーマで、同じく山口県CIO補佐官である砂金信一郎氏による講演も行われ、大変興味深く拝聴させていただきました。 私が砂金氏の講演で一番心に残ったことは、これからの時代、間違いなく生成AIの技術は、会議やプレゼンの資料作りなどの業務の効率化はもとより、もろもろのサービスの自動化、分析及び制御、そしてコンテンツの生成、つまり音楽をはじめ文章や映像まで、クリエイティブな分野にまでアイデアを出させるなど、その圧倒的なパワーで世の中を変革すると同時に、こうしたツールを使う人間に対する配慮・ケアが大事だと述べられたことであります。 昨日の我が党の代表質問では、様々な行政や教育分野、また地域の課題に対し、AIの活用によりいかに業務の効率化を図り、いかに課題の改善を進めるのかという質問をいたしましたが、私は砂金氏の人間に対する配慮・ケアという言葉をいま一度考察してみました。 生成AIは、プロンプト(指示)に対し、膨大な情報量を一瞬にして収集・編集し回答する超優秀な職員であり、超パワフルなツールであります。しかし、その成果には、まだまだ事実誤認や虚偽のアウトプット、著作権侵害や情報漏えいなどの懸念も残っております。 つまり、高度化したAIの利活用には、確実に業務の効率化を強力に進める可能性を秘めている一方で、セキュリティー、著作権侵害、情報漏えいや個人情報保護、回答の不確実性などのリスクも存在しており、その特性を正しく理解し活用することが重要だと考えます。 人間に対する配慮・ケアとは、そうしたリスクを回避するためのルールづくりのことであり、便利に使いこなし、生産性の向上や職員の負担を軽減させる効果的活用方法においても、不適切な利用を抑止するルール策定が必要なのだと、砂金氏は述べられたのではないかと考えております。 そこで、質問の一点目は、生成AIの利活用とガイドラインの策定についてお伺いいたします。 国際的にもAI利用をめぐり、悪用を防ぐためのルールづくりが急がれており、日本政府も年内には指針を取りまとめたい考えで、AI関連事業者向けのガイドラインの骨子案がAI戦略会議に先般提示されたところであります。 山口県としては、実証実験や指針づくりに着手しているところと承知しておりますが、ガイドラインづくりをはじめとした生成AIの利活用に関して、どのように進めておられるのかお伺いいたします。 二点目に、AI時代のマネジメント力の向上についてお伺いします。 生成AIを導入するメリットとともによく聞く話が、AIが人間の仕事を奪うのではないかという心配であります。チャットGPTを開発したOpenAI社のCEO最高経営責任者であるサム・アルトマン氏は、今年六月に行った講演の中で、AIによって失われる職と新たに生まれる職があるとの予測を語られたそうであります。つまりAIに任せておけばいい業務は、人間が指示したとおりに、見事なスピードでAIが処理してくれます。ところが、AIに自主性や意思はありません。指示されたこと以外は、忖度もなければ配慮も思いやりもありません。AIには責任を伴う意思決定はできず、最終的な責任は人間が取る以外にないのであります。人でなければできない仕事、すなわちマネジメントであります。 慶応大学商学部の岩尾俊兵准教授の言葉を借りれば、AIは優秀で猛烈に仕事をするが、コミュニケーションが苦手で、少し困ったところがあるかわいい部下と表現されています。このかわいい部下は、まだまだ未熟で、前段で申し上げたように、事実誤認があったり、うそをアウトプットしてしまったりするミスも起こします。部下であるAIが起こしたミスは修正する必要がありますが、それは人間の仕事です。 組織で大切なことは、こうした役割分担であります。AI時代には、AIと人とがお互いの長所でお互いの短所を補いつつ成果を出していくことが求められます。何も部下は人間だけではなくなるわけですから、AIを駆使して短所を補い合えるマネジメント能力を高めていかねばなりません。 そこでお伺いいたします。AIという優秀な部下を駆使して仕事を進める上で、職員一人一人にもAIの特性について理解を深めていただかなければなりません。また、組織の責任者であればなおさら、AI利活用に関して、職員、部下の長所を生かすマネジメント能力を高めていかねばなりませんが、県としてはどのようにマネジメント力の向上に向けて取り組まれるのか、お伺いをいたします。 次に、自転車保険の加入義務化についてお伺いいたします。 私は、ちょうど三年前の令和二年九月議会において、自転車保険の加入義務化について一般質問いたしました。 当時は新型コロナの影響で、バスや電車での密室を避け、自転車利用が増えてきたタイミングだったことや、サイクリングブームにも火がつき、自転車保険の加入義務化を後押ししたことも背景となって、全国的に条例施行が広がったものと思われます。 また、自転車は身近な存在であるがゆえに、事故も身近なところで起こると警鐘を鳴らしたつもりでおりましたが、残念ながら昨年は県内で三百四十件の自転車事故が発生いたしました。そのうち、三人が亡くなられるという痛ましい結果となってしまいました。 加えて、四月からの道交法の改正は、自転車利用者を取り巻く環境を大きく変えてしまいました。四月からはヘルメットの着用が努力義務となり、警察庁は全国の着用率の調査にも乗り出しました。 この問題については、一般質問の最後に阿久津警察本部長に伺うことにしておりますけれども、自転車が絡む事故の増加を背景に、自転車保険の加入義務化などを規定する自転車条例を施行しているのは、今年の四月時点で四十二都道府県までに増えてまいりました。 県は来年度、自転車保険の加入義務などを盛り込んだ自転車条例を施行を予定しておられますが、安心して自転車が利用できる環境づくりをどのようにして進められようとしているのか、お伺いをいたします。 あわせて、自転車保険の種類や加入方法などは、まだ一般的にはあまり知られていない保険であります。そうした保険の内容や加入方法についても、広く周知徹底すべきと考えますが、どのように推進されるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、再犯防止の推進についてお伺いいたします。 御案内のとおり、二〇一六年(平成二十八年)十二月に再犯の防止等の推進に関する法律が施行され、地方における地域の実情に応じた施策の策定及び実施の責務が明示されるとともに、地方再犯防止推進計画の策定が努力義務とされたところでありましたが、本県の第一次再犯防止推進計画も、既に策定から計画期間である五年がそろそろ経過しようとしております。 ここ最近の全国における再犯の現状としては、刑法犯認知件数は戦後最少を更新し続けているものの、令和三年における再犯者率は四八・六%と約半数に及んでおり、再犯防止対策の重要性が数字上でも浮き彫りになっております。 国においては、本年三月十七日に第二次再犯防止推進計画を閣議決定しておりますが、この推進計画では、国が示していた七つの重点課題についても、これまでの具体的な取組の主な成果と今後の課題について評価されています。 例えば就労の確保については、協力雇用主数は伸びており、雇用自体は確保されております。また、帰るべき場所のない刑務所出所者数も、更生保護施設及び自立準備ホームにおける受入れ促進や居住支援法人と連携した住居確保支援などにより着実に減っています。 再犯率が高いと言われる薬物依存の問題を抱える者への支援でも、覚せい剤取締法違反による二年以内の再入率も、平成二十八年から令和二年までに三・二ポイント減少しています。まだまだ課題は多いものの、どの施策においても一定の評価はできるものと考えます。 一方で、保護司の担い手不足が課題となっています。保護司は出所してきた元受刑者たちに寄り添い、地域での立ち直りを支援する方たちですが、高齢化が進み、十年以内に少なくとも四割が退任すると見込まれています。非常勤の国家公務員である保護司の確保対策については、国が対策を講ずることとなりますが、再犯防止における保護司の役割は大変重要であることから、引き続き連携をしっかりと強化し、今後の施策の充実に向けて取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県では、再犯防止推進計画に基づく県の取組状況や、国の計画改定も踏まえながら、今後どのように再犯防止に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農福連携の取組と今後の展望についてお尋ねします。 農福連携の目的は、農業分野における担い手の確保と福祉分野における障害者の就労支援に関する課題解決を図るものです。すなわち、障害者の活躍する場所として就労場所を確保することで、社会参画を促すための自信や生きがいを農業を通じて創出することにより、就労意識の高い障害者が、高齢化が進む農業分野での新たな担い手となることが期待されております。 本県の基幹的農業従事者は、今後十年間で約四〇%減少すると予想されています。その根拠は、農業従事者の現時点での平均年齢七十二・三歳ということにあります。なんと全国一位の高齢化であります。全国平均が六十七・八歳ですから、山口県の農業従事者の高齢化は、やはり全国に比べ十年程度早いと想像できます。しかも、六十五歳以上の割合が八五%ですから、このままだと十年後の本県農業は壊滅的だと言わざるを得ません。 そこで、障害者の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながることを期待して生まれたのが農福連携という事業であります。 まさに農福連携は、経済的効果、すなわち労働力の確保を期待する農業側と、障害者にとっての癒やし、やりがいや自立といった福祉的効果を期待する福祉側が、双方の課題解決とメリットがあるウィン・ウィンの取組と言えます。 では、この農業分野と福祉分野を連携するために双方が行わなければならない取組とは一体何なのか。 その一点目は、農業側と福祉側それぞれの課題の認識と相互理解の醸成が必要だと考えます。農業側は、新たな担い手の確保において、障害者の農業分野での雇用や就労支援を社会貢献として展開していく。そして福祉側は、農業をもっとビジネスとして捉え、障害者の経済的・社会的自立に向けた就労の場の拡大につながるのだと理解することが必要なのではないかと考えます。 二点目として、障害者にとって働きやすい環境を整備することであります。仕事を細分化することで仕事があり続ける環境をつくり、作業工程や時間を細分化することで、多くの障害者が働ける環境をつくる。そして、自分が働いた分の工賃はきちんと稼げるという環境をつくってあげるということが重要であります。 そして三点目に、一番重要なポイントは、これら二点を踏まえた農業分野、福祉分野の両方に精通したコーディネーターを育成すること、農福連携技術支援者と言われる専門人材を育成することであります。この農福連携技術支援者が要となって、農福連携における潤滑油として、また接着剤として、農業と福祉の相互理解の醸成を図り、双方のマッチング体制の構築や機能強化に取り組んでいくことになります。 これまで申し上げてきた農福連携の取組について、県では、これらのポイントを踏まえ、本年度、未来へ「つながるノウフク」応援事業として予算に反映されていますが、この未来へ「つながるノウフク」応援事業の加速度的な進展を図るため、県は今後どのように取り組まれるのかお尋ねをいたします。 最後に、新任の阿久津警察本部長に二点お伺いをいたします。 初めに、うそ電話詐欺被害防止対策についてであります。 九月十一日、山口県警は、NTT西日本山口支社との包括連携協定を締結されました。地域課題の解決に向けて連携し、協働取組を推進することで、安全・安心な山口県の実現を目指すものであります。 災害時にNTT西日本の施設を警察の拠点として提供するなど、連携する五項目のうち、私は各種犯罪被害防止に関する事項の中で、うそ電話詐欺などの地域課題の解決に向けた連携協定は、非常に有効性が高いのではないかと期待をしている一人であります。 うそ電話詐欺の被害防止については、私も過去に何度も質問をして、県警の取組について伺ってきたところです。知人の被害についても取り上げ、被害者の悲痛な声を何度もお伝えをしてきました。 令和五年八月末現在での県内のうそ電話詐欺認知状況は、被害件数が五十四件で前年対比マイナス十六件、被害総額は約一億三千五百万円で微増となっていますが、警察や関係機関が力を合わせた対応によって、コンビニ店員がかなりの数の被害を未然に防止していると伺っております。 さきに申し上げたNTT西日本とのこのたびの連携サービスは、専用アダプターを自宅の電話機につなぐだけの、簡単な特殊詐欺対策サービスを御利用中の高齢者宅に特殊詐欺犯が電話をかけてくると、通話中に電話の内容をクラウド上の特殊詐欺対策AIサーバーが解析し、特殊詐欺の疑いがある場合には、事前に登録した御本人や御家族の携帯電話などに対して、メールや電話で注意喚起するというサービスです。 このサービスのメリットは、一、使い慣れた自宅の電話機に専用の特殊詐欺対策アダプターを接続するだけで簡単なこと。二、通話開始前に録音する旨のガイダンスを流して特殊詐欺を未然防止すること。三、通話中に一分単位で特殊詐欺対策AIサーバーへ通話録音が送出されるため、早い段階での通知が可能なことであります。 一人でも多くの高齢者に、こうしたサービスを知っていただき、利用してもらえるように、広報啓発をお願いしたいと思います。申込みできる期間は限られており、無料での受付はNTT西日本全体で対象人数は僅か五千名とのことですから、早い者勝ちです。無料で高機能な防犯対策を講じることができるのはいいことですが、たとえ有料であっても、効果のある防犯対策は、県内にしっかりPRしていただきたいと思いますが、どのようにして幅広く広報啓発されるのか、うそ電話詐欺被害防止に向けて、警察本部長の御決意をお伺いいたします。 二点目の質問は、安全基準をクリアした自転車用ヘルメットの着用率向上についてお伺いします。 本日、自転車関連で二つ目の一般質問となりますが、所管が違いますので、こちらの質問につきましては、警察本部長の御答弁をよろしくお願いをいたします。 改正道路交通法の施行により、本年四月から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されたところでありますが、本年七月、警察庁が都道府県ごとに調査した自転車利用時のヘルメット着用率調査の結果が去る十四日に公表されました。全国平均は一三・五%でありました。山口県は第八位ではありましたが、着用率は二一・五%であり、全国平均よりは上だと言っても、決して高い数字ではありませんので、自慢にはなりません。 ちなみに、着用率の高い県は、一位が愛媛県五九・九%、二位が大分県四六・三%、三位が群馬県四三・八%であります。逆に、着用率の一番低い県は新潟県で僅か二・四%、続いて青森県で二・五%、秋田県が三・五%となっておりました。 交通死亡事故において、子供の死亡事例よりも高齢者の死亡事故のほうが多いというデータもあれば、自転車事故で亡くなる方の約六割が頭部の損傷が原因というデータもあります。また、全国で今年七月までに起きた自転車乗車中の事故のうち、死亡した百六十七人中九割の百五十人は、ヘルメットを着用していなかったという数字も挙がっています。 今回の道交法改正には、こうした背景があるということを肝に銘じておかなければなりません。何よりも安全基準をクリアした安全・安心なヘルメットの着用率向上が重要だと考えます。以前からすれば、中学生、高校生以外でもヘルメットを着用している方が増えてきたなと感じますが、注意深く見ていると、高齢者の方などは、やはり着用率は低いように思います。 つい先日、ある自転車販売店のオーナーからこんな話を伺いました。道交法が改正されてヘルメットを着用する人は増えたけれども、実は安全基準を満たしていない安価なヘルメットやおしゃれなファッション性の高いヘルメットが売れているというのです。値段を聞けば、確かに安全基準をクリアしたヘルメットは決して安価ではありません。実態としては大切な安全性を犠牲にしてまで、どちらかといえば価格やファッション性が優先されているケースが多いように思います。万が一のときに、頭部への外傷は避けられても、脳へのダメージは防ぎ切れない。だからこそ、安全基準を満たしたヘルメットの購入促進をアピールできないものかと尋ねられました。 そこでお伺いいたします。ヘルメット購入時に自治体が出している補助金なども活用しながら、SGマークやJCF公認マークなど安全基準をクリアしたヘルメットの購入、普及促進をどのように推進していくのか、お尋ねをいたします。 加えて、一層の着用率向上に向けて、県民への啓発をどのように進めていかれるのかお伺いをいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の御質問のうち、私からは、生成AIの利活用についてのお尋ねにお答えします。 生成AIは、これまでのAIと異なり、専門知識がない人でも、対話形式により、文章や画像、プログラム作成などを行うことができる革新的な技術です。 私は、生成AIは、行政や産業など、あらゆる分野で有効活用が可能であり、業務の効率化や新たな価値創出につながることから、本県のDXをさらに加速化するためにも、その活用に向けた動きをしっかりとつくり出していかなければならないと考えています。 このため、まず県庁において、本年四月、全国に先駆け、安全性を確保するための当面の利用ルールを定めた上で、試行をスタートさせるとともに、デジタル推進局を核とするAI活用検討チームを立ち上げ、生成AIを適切かつ効果的に活用するためのガイドラインの作成などを進めています。 そして、これまでの試行を通じて、入力データを確実に守るためのより安全な利用環境の確保や、効果的な活用を行うための情報の蓄積とその共有、職員のスキルの向上など、本格導入に向けた課題も見えてきました。 このため、まず、生成AIの利用環境については、八月から、入力したデータが外部利用されない、セキュリティーの高い利用環境を「Y─BASE」のクラウドシステムを活用して独自に構築し、これを市町にも開放しながら、様々な業務での活用を進めています。 また、情報の蓄積と共有については、作成を進めているガイドラインに、守るべきルール等を示した利用方針などに加え、効果的な活用事例や、生成AIから的確な応答を引き出すための質問方法等を盛り込んでいきたいと考えています。 さらに、このガイドラインについては、私が本部長を務める全国知事会デジタル社会推進本部に新たに設置した生成AI利活用検討ワーキングチームを通じて得られた全国の知見等も取り込み、充実を図っていきます。 職員のスキル向上については、生成AIの仕組みや特性等を学ぶ研修とともに、AIから有効な応答を引き出すために重要となるプロンプトと呼ばれる指示技術の習得に向けた研修なども、新たに実施していきます。 こうした取組に加え、生成AIの有効な活用に向けては、お示しのとおり、職員のマネジメント力の向上も非常に重要なテーマです。 特に管理職は、生成AIなど新たな技術を積極的に使うという姿勢の下、それを業務に生かすための能力を身につけなければなりません。 このため、管理職を中心に、デジタル技術を業務へ円滑に取り入れる手法や、部下のデジタルスキルのレベルに応じた業務の配分方法等を学ぶ研修などを実施しており、こうした取組を通じて、職員のマネジメント能力の向上を図り、組織として成果を上げてまいりたいと考えています。 私は、生成AIの様々な課題やリスクに的確に対応しながら、その活用が業務の効率化や県民サービスの向上等につながるよう、積極的に取組を進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)自転車保険の加入義務化についてのお尋ねにお答えします。 自転車は、環境に優しく、サイクリングを通じた健康づくりなど、世代を超えて気軽に利用できる便利な乗り物である一方で、重大な事故を起こし得る乗り物でもあることから、事故防止対策に取り組み、安全で適正な利用を促進することは大変重要です。 このため、県では、自転車等のヘルメット着用と交通ルール遵守の推進を活動重点に掲げ、警察や市町、関係団体等と連携して、春・秋の交通安全運動等における広報啓発活動に取り組むほか、学校や自治会等での交通安全教育に努めています。 こうした取組をより実効あるものとするため、本年三月に有識者や弁護士、関係団体等で構成する検討委員会を設置し、自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例制定に向け、これまでに二回の会議を開催し、先般、骨子案を取りまとめたところです。 この骨子案では、安心して自転車が利用できる環境づくりを進めるため、ヘルメットの着用推進に係る市町や学校等と連携した施策の実施や、自転車の点検・整備に係る努力義務などを掲げています。 また、全国で発生している、自転車事故による高額な損害賠償事案を踏まえ、利用者やその保護者、事業活動で自転車を利用する事業者等に対し、損害賠償責任保険等への加入義務化を求めることとしています。 さらに、保険の周知や加入促進に向けては、市町や保険事業者、関係団体と連携した啓発活動の実施を規定するとともに、学校における情報提供や自転車小売業者等に対する加入確認の努力義務などを明記しています。 こうした条例制定に向けた取組を契機として、自転車保険への加入を一層促進するため、利用者が保険加入の有無を分かりやすく認識できるチラシの作成や、県内の保険会社等と連携したイベントの開催、各種広報媒体の効果的な活用などにより、広報啓発活動を充実したいと考えています。 県としては、今後も検討委員会での議論を重ねるとともに、県議会やパブリックコメントによる県民の皆様の御意見をお聞きしながら、自転車保険の加入義務などを盛り込んだ条例制定の検討を進め、自転車の安全で適正な利用の促進を図ってまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)再犯防止の推進についてのお尋ねにお答えします。 県では、安心して安全に暮らせる地域社会の実現に向け、平成三十一年に策定した山口県再犯防止推進計画に基づき、県民の理解促進や出所者等への就労支援、住居の確保、福祉サービスの提供などにより、犯罪から立ち直ろうとする人等を地域で支える取組を推進してきたところです。 とりわけ、本県においては、国のモデル事業を活用し、これまで支援が行き届かなかった方々に対して、個人の状況に応じた必要な福祉サービス等が受けられるよう調整を行うとともに、関係機関・団体による再犯防止推進ネットワークの構築に努めてまいりました。 この間、全国で唯一、全市町において再犯防止推進計画が策定され、地域の実情に応じた支援を進める体制が整い、その結果、出所者を雇用する協力雇用主の増加や、出所後に帰住先のない方の減少等、一定の成果があったものと認識しています。 こうした中、お示しのとおり、国において第二次計画が策定されたことから、県としては、これまでの取組状況と国計画を踏まえた上で、新たな県計画を策定し、再犯防止の取組をさらに推進することとしています。 具体的には、これまでの取組の成果であるネットワークを活用し、関係機関や保護司等の民間協力者と相互に連携して支援する体制の強化や、広域自治体として求められる就労・住居確保の支援、個人のニーズに応じた専門的支援の充実等に取り組む必要があると考えています。 現在、支援の現場を支える保護司会や更生保護女性会をはじめ、就労や住居確保支援を行う関係団体等で構成する計画策定検討委員会を設置して、策定作業を進めているところであり、今後、県議会や県民の皆様の御意見も伺いながら、実効性の高い計画としてまいります。 県としましては、こうした取組を通じ、今後とも安心して安全に暮らせる地域社会の実現に向け、引き続き、国や市町、関係団体等と連携しながら、再犯防止の取組を推進してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)農福連携の取組と今後の展望についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進行する中、将来にわたって本県農業を持続的に発展させるためには、他分野からの参入等による多様な担い手の確保・育成を図ることが重要です。 こうした中、農業分野と福祉分野の連携による、いわゆる農福連携の取組は、農業における担い手の確保のみならず、障害のある方等の働く場の確保や工賃の向上、さらには社会参画の促進にもつながる大変有意義な取組です。 このため、県としては、お示しのように、農業・福祉相互の理解促進や、障害のある方が働きやすい環境整備、さらに双方の分野に精通した専門人材の育成に向けた取組を進め、農福連携の一層の促進を図ることとしています。 まず、相互の理解促進に向けては、農業・福祉の関係者で構成する「つながるノウフク」応援会議を設置し、農福連携に関する情報共有や推進方策についての検討を行うとともに、農業者と福祉事業所のマッチングの促進に向けた見学ツアーやお見合い会等を開催することとしています。 また、農福連携に向けた機運の醸成を図るため、新たに啓発動画や優良事例等を掲載した専用サイトを開設し、積極的な周知を図ってまいります。 さらに、障害のある方にとって働きやすい環境整備を図るため、それぞれの障害特性に配慮した作業工程を定めたマニュアルを作成するとともに、国の事業を活用して農作業に容易に取り組むための施設・設備の整備も支援することとしています。 加えて、農業現場での作業をアドバイスする、国の認定による農福連携技術支援者の確保を図るため、農業者や福祉事業所の職員等を対象に、障害特性に即した農作業支援に関する講座や現場研修を実施することとしています。 県としては、農業団体や福祉関係機関等と緊密に連携し、農業現場の新たな担い手の確保はもとより、障害のある方の就労や生きがいの場の創出にもつながる、農福連携の取組を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)初めに、NTT西日本が提供している特殊詐欺対策サービスの広報啓発に関する御質問にお答えいたします。 うそ電話詐欺の被害状況につきましては、本年八月末現在で五十四件を認知しておりますけれども、その特徴として、被害に遭われた方のうち約六割が高齢者であり、さらに、そのうちの約六割の方が、自宅の固定電話機への着信を端緒として被害に遭っております。 こうしたことから、議員お示しのとおり、固定電話機の防犯機能の強化は喫緊の課題であり、中でも、NTT西日本が提供する特殊詐欺対策サービスは、うそ電話詐欺被害を未然に防ぐ有効な対策であると承知しており、本サービスの利用促進に向け、その周知に努めているところであります。 具体的には、本サービスの受付開始の時期から、報道機関や県警察のメールマガジン、ホームページなど、あらゆる広報媒体を活用して広報啓発活動に取り組んでいるほか、老人クラブや民生委員など、高齢者と接する機会を有する関係機関・団体の協力も得ながら、高齢者をはじめ、広く県民に対して周知を図っているところであります。 また、NTT西日本山口支店との包括連携協定に先立ちまして、八月には同支店と連携して、参加・体験型のイベントを開催し、参加した高齢者の方に特殊詐欺対策サービスの有効性を実際に体験していただいています。 さらに、高齢者世帯の戸別訪問の際には、その家族に対しても、特殊詐欺対策サービスをはじめ、ナンバー・ディスプレイなど各種サービスの申込方法を具体的に教示するなど、その利用促進に向け、きめ細やかな周知と支援を行ってきているところであります。 県警察では、引き続き、様々な機会を活用して、うそ電話詐欺の被害防止に向けた広報啓発活動を図っていくほか、金融機関などと連携して水際対策の強化を図り、被害の未然防止に努めてまいります。 続きまして、安全基準を満たした自転車乗車用ヘルメットの普及促進及び着用率向上に向けた取組についてお答えいたします。 議員お示しのとおり、自転車乗車用ヘルメットについては、安全基準をクリアした物の普及促進に向けた取組、これが重要であると考えております。 そこで、県警察では、交通安全講習などにおいて、安全性の高いヘルメットの利用促進を図るため、包括連携協定を締結している企業などから、SGマーク等のついた自転車ヘルメットの寄贈を受け、実際に参加者に手に取って着用していただくほか、各自治体や企業などに対して、安全性の高いヘルメットの購入助成の働きかけを行っているところであります。 また、議員お示しのとおり、山口県の自転車乗車用ヘルメット着用率は二一・五%であり、いまだ多くの自転車利用者がヘルメットを着用していない状況にあります。 本年八月末現在、三名の方が自転車乗車中の交通事故で亡くなられておりますが、いずれも高齢者で、ヘルメットを着用されておりませんでした。 このような現状を踏まえ、県警察では、高齢者をはじめとする全ての自転車利用者のヘルメット着用率の向上や交通ルールの遵守が自転車利用者の交通事故防止を図る上で重要な課題であると考えております。 そこで県警察では、運転免許証を自主返納した高齢者の方に対するヘルメット購入割引、これについて自転車組合に働きかけたり、あるいは老人クラブ連合会や連合婦人会などの会合における自転車ヘルメット着用の重要性を含む交通安全講習の実施、実際の自転車交通事故が撮影されたドライブレコーダー映像の安全運転管理者講習における活用、これらにより自転車ヘルメットの着用促進を図っているところであります。 さらに、現在、令和五年秋の全国交通安全運動が実施されておりますが、本運動の重点にも、先ほど環境生活部長からの答弁のとおり、自転車等のヘルメット着用と交通ルール遵守の徹底、これが盛り込まれております。 その出発式では、交通安全母の会協力による自転車ヘルメットファッションショーを開催し、安全性の高い自転車ヘルメットの普及促進、普及啓発を図りました。 県警察といたしましては、今後とも関係機関・団体と緊密に連携を図りながら、安全性の高いヘルメットの着用率向上に向け、自転車利用者の交通安全意識の向上に資する交通安全教育や広報啓発活動を一層推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十五分休憩