1 県民の安心安全な地域医療体制について 2 性的少数者の理解増進に向けた取組について 3 中小企業支援について 4 観光施策インバウンド(外国人観光客誘致)の推進について 5 安心安全な食料の確保について 6 平和教育について 7 不登校特例校について
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん 皆様、おはようございます。公明党の石丸典子でございます。 質問の前に一言申し上げます。 公明党は、このたびの統一地方選挙で千五百四十三人が当選を果たし、その三四%を占める五百二十七人の女性議員が誕生いたしました。これは全政党の中でトップであり、皆様の御支援に感謝申し上げるとともに、これからも女性の視点を大切に、多様な声をしっかりと受け止め、誰一人置き去りにしない、共に生きる山口県を目指す覚悟でございます。 それでは、通告に従い、公明党代表質問をさせていただきます。 初めに、県民の安心・安全な地域医療体制についてお伺いいたします。 WHOに報告されている全世界の感染者数は、三月の時点で約六億八千万人、死亡者数は約七百万人、日本では五月八日時点で感染者数約三千三百八十万人、死亡者数は約七万五千人、そして、本県感染者数は約三十一万七千人、死亡者数は七百五十七人となっています。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、罹患されている方々の一日も早い御回復を祈念いたします。 三年半に及ぶ誰もが想像しなかったウイルス感染症により失われた命や様々な損失。経済損失は再生できますが、大切な人の命は戻りません。 また、新しい次の病原体は想定外のパンデミックを起こす可能性があります。 感染症は、我が国だけの問題ではありませんが、見えてきた新たな課題や対策に早期に取り組まなければなりません。 今も、コロナ感染者数はゼロになりませんし、第九波の不安をあおるつもりはありませんが、六回目のワクチン接種は六十五歳以上の高齢者が対象であり、若者の免疫力は低下するばかりです。 県は、発症時、いわゆる発熱時にかかりつけ医の受診を勧めていますが、かかりつけ医を持たない方も多いのではないでしょうか。 かかりつけ医を持たない方には受診・相談センター「♯七七〇〇番」を紹介すればいいのでしょうか。 先日、九十四歳のしゅうとめをかかりつけ医に連れていきましたが、待合室は六回目のワクチン接種をする高齢者の方でいっぱいでした。感染症法上は五類に移行されましたが、いまだ県民の不安はコロナ発症への不安と初期対応であり、インフルエンザと同等になるにはもう少し時間がかかるように思います。 また、治療法が確立していない中で、コロナ後遺症に苦しむ方も少なくありません。 公明党は、コロナ後遺症への対応策の強化を進め、五月八日より後遺症患者を診察した医療機関への診療報酬の加算が始まり、診療体制が拡充されました。 コロナ後遺症相談窓口になる県保健所の役割は、ますます重要です。 国においては、公明党が一貫して要請してきた感染症対策の司令塔となる内閣感染症危機管理統括庁の新設が決まり、有事に備えようとしています。 また、県が県立総合医療センターの建て替えを決定され、本県唯一の第一種感染症指定医療機関としての機能強化と人材育成に取り組まれることに大いに期待するものです。 そこでお伺いいたします。県民が安心・安全に暮らせるよう、五類移行後のコロナ感染症対策やコロナ感染症の経験を踏まえた今後の地域医療体制の整備について、県の御所見をお伺いいたします。 次に、性的少数者の理解増進に向けた取組についてお伺いいたします。 多様性を認め合う社会の構築に向けて性的少数者の理解増進法、LGBT法が六月十六日成立いたしました。 G7の中で唯一、性自認や性的指向による差別を禁じる法令がなく、国内はもとより、国際社会からも注目をされてきた我が国日本。我が公明党山口代表はサミット前の四月二十五日、G7サミット前に与野党で合意し成立させることが望ましいと岸田首相に要望。岸田首相からは、政府も多様性を認め合い包摂性に富んだ社会をつくっていく方針で対応していくと応じられました。 元首相秘書官によるLGBTや同性婚などへの差別発言が、反対に政府の法整備への機運を高め、加速させたことは残念ですが、性的指向及びジェンダーアイデンティティーを理由とする不当な差別はあってはならないとの基本理念に与野党が合意し、性的少数者の理解増進法が成立したことは大きな一歩です。 公明党は、二〇一二年に、党内に性同一性障害に関するプロジェクトチームを設置、十六年には性的少数者と性自認に関するプロジェクトチームに改編し、当事者や経済界、自治体などからもヒアリングを重ね、一貫して当事者の声に寄り添ってまいりました。 私も、今からちょうど十年前の二〇一三年六月の代表質問で、人権対策として性同一性障害に触れ、家庭や社会、教育現場での理解の必要性を求めました。 あれから十年、同性婚について司法の現場において様々な動きがある中、全国で性的少数者のカップルを公認する自治体パートナーシップ宣誓制度を導入する自治体が増え、認定されたカップルを親族とみなして公営住宅の入居や公立病院での対応を認めるなど、現在、東京、大阪、福岡など十二都府県、中国地方では広島市や岡山市などが導入し、全国では二百七十自治体を超え、人口カバー率は七〇%近くを占めるなど、今回のLGBT法の成立によるさらなる広がりが期待されます。本県においては、宇部市が実施しており、山口市も成案に向け検討を始めました。 理解増進法として多様な性に関する周知を進めるために、県内広域での取組が求められます。 そこでお伺いいたします。県は、性的少数者に関する社会的理解への促進についてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 また、パートナーシップ宣誓制度の導入について、県の御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援についてお伺いいたします。 公明党は、これまでも長引くコロナ禍による売上げの落ち込みや、円安、ウクライナ侵攻による物価高騰など、厳しい経営環境におかれる中小企業の方々の声を聞き、必要とされる施策の実現に向け政府に要望を重ねてまいりました。 三月には、我が党の石井幹事長が岸田首相へ物価高騰から国民生活と事業活動を守り抜くための追加策の提言を申し入れ、電力を多く消費する企業向けの特別高圧契約の電気料金について負担軽減策を実施する必要性や、全世帯の約半数がLPガスを利用している実態を踏まえ、地方創生臨時交付金を活用し、追加の負担軽減策を講じることなど、機動的かつ速やかに追加対策を講じることを強く求めたところです。 三月二十二日に決定された追加の経済対策には、公明党の主張も大きく反映されたものとなり、自治体の実情に応じ、様々な対策に充てられる地方創生臨時交付金も上積みされました。 このたび計上された補正予算では、その臨時交付金を活用した特別高圧電力やLPガスの利用者に対する負担軽減策もしっかりと盛り込まれており、事業者の不安の解消につながるものと評価しております。このように事業者の抱える不安にしっかりと向き合い、必要な対策を講じていくことが今後も重要だと考えます。 新型コロナウイルス感染症が五類へ移行し、コロナ禍が収束に向かう中、賃上げや人手不足など、中小企業は様々な課題への対応を求められていますが、とりわけこの夏本格化する実質無利子・無担保のゼロゼロ融資の返済が事業者の当面の大きな不安要素となっています。コロナ後の回復基調をこれから迎える、また、乗り切れていない事業者においては、まさにこれからが踏ん張りどころです。 帝国データバンクの調査では、ゼロゼロ融資を受けた企業のうち、二〇二二年度に倒産した企業数は、全国で四百四十五件、前年の二倍に上り、今後も倒産増が懸念されるとされています。業績が回復せず、息切れし、倒産する企業が頻発すれば、本県経済にとって大きな損失です。 県におかれては、事業継続やその先の成長・発展に向け、意欲ある事業者を支援機関等とも連携しながら、しっかりと支えていただきたいと思います。 そこでお伺いいたします。融資返済など不安を抱える中小企業に寄り添い、支援し、本県経済を支える中小企業の活力を取り戻していく必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、観光施策インバウンド、外国人観光客誘致の推進についてお伺いいたします。 政府は、インバウンドの拡大に向けた新たな行動計画、第四次観光立国推進基本計画を六年ぶりに改定、閣議決定し、大阪・関西万博が開催される二〇二五年に更新する目標を明記、その計画の柱の一つに、地方誘客促進を据えました。コロナ前の二〇一九年、三千百八十八万人だった集客数は、二一年には二十五万人に落ち込み、二二年には三百八十三万人と、徐々に回復の兆しもここ山口県でも見られ、国際クルーズ船の寄港も再開し、岩国錦帯橋空港、山口宇部空港の利用客はコロナ禍前の七割まで回復していますが、まだインバウンドに関しての実感は、少し弱いように感じられます。 カジノを含む統合型リゾート大阪IR計画も認定され、計画では、年間約二千万人の来場者を見込んでおり、関西圏への誘客が大いに期待されていますが、いかに山口県へその流れをつくるのか。 今、アジアの富裕層を中心に、円安も大きく影響し、都市部から少し足を伸ばし、日本文化や日本食に触れる、コト消費が増え、山形県や群馬、福井、佐賀県など訪日客一人当たりの消費額の増加率が東京、大阪などの都市部を超えているそうです。 ちなみに、佐賀県は、二二年に開通した西九州新幹線の開業が追い風になっているようです。 本県も、文化や食、三方海に面した自然のすばらしさ、何よりも県内各地にある温泉は、外国の方に満足していただけることは間違いありませんが、観光客誘致は情報戦と言われるように、今やSNSの力です。 やまぐち未来維新プランでは、反転攻勢に向けた戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大として、大阪・関西万博の開催などを見据えた、主に韓国、台湾、香港、中国、ASEANなど海外からの誘客対策の強化と受入れ環境の充実が挙げられています。 村岡知事も、今年度積極的に足を運ばれるなど、さらに観光へのルートが開かれることを期待しております。 県庁一階ロビーにある大阪・関西万博までのカウントダウンを示す電光板は、あと六百五十七日と表示されていますが、県民には、まだ反転攻勢に向けた思いは届いていないように感じます。 そこでお伺いいたします。大阪・関西万博に向けて、本県は、どのように取り組まれ、政府が進める地方へのインバウンドの拡大に取り組まれようとしているのか、御所見をお聞かせください。 次に、安心・安全な食料の確保についてお伺いいたします。 ロシアのウクライナ侵略などにより、トウモロコシや小麦、大豆などのコストは過去最高となり、さらに円安による輸入飼料の価格の上昇は畜産や農業関係者に打撃を与え、卵の値上がりで、スーパーから卵がなくなるなど信じられない状況が起こりました。 政府は、食料の多くを海外に依存している国内生産の食料安定供給に危機感を示し、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を決定いたしました。 先が見えないウクライナの戦況は、世界の食糧庫を失った日本農業に大きな転換を迫り、食料自給率の低い日本で不測の事態に備え、平時から農業生産の基盤を強化し、輸入依存度の高い小麦や大豆、飼料作物の国内生産の拡大や農産物の適正な価格転嫁の必要性にも触れ、これまでのデフレ経済下での食品の安売りの常態化を見直し、生産者らが適正に価格転嫁できる仕組みの構築を検討するとしています。 また、食料安全保障の定義を、不測時に限らず国民一人一人が十分な食料を将来にわたり入手可能な状態とし、平時からの備えの重要性を明記し、輸入の停滞や価格変動に迅速に対応する方針を盛り込みました。 日本農業を維持し食料の安定供給を確保するには、生産コストに見合った適切な価格転嫁や国内自給率を高めて輸入依存からの転換を進める必要があり、私たち消費者側の行動が問われています。 この点について、令和四年度食料・農業・農村白書では、生産コストの高騰を受けて、価格転嫁した農業者の割合は、一割程度にとどまる現状を踏まえ、消費者の理解を得て、価格転嫁できる環境づくりが重要と示唆しています。 消費者は安い輸入品に頼るのではなく、国内産の安心・安全な農産物を選び消費することが農業者の所得と雇用を拡大し、安心・安全な食料の安定供給が実現することを理解し、この好循環を支えていかなければなりません。 二〇二一年度の我が国の食料自給率は三八%で、早急な食料自給率アップの取組が必要です。ちなみに、カナダ二三三%、オーストラリア一六九%、フランス一三一%、アメリカ一二一%、ドイツ八四%と、日本の三八%の低さは深刻です。 そこでお伺いいたします。本県では、農林業の知と技の拠点を核として、どのように県民の安心・安全な食料の確保に取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、山口県の平和教育の取組について、教育長にお伺いいたします。 五月十九日、広島でG7広島サミットが開催され、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対して、核兵器の威嚇や使用は許されないと明記した首脳声明が発表されました。 アメリカのバイデン大統領夫妻をはじめ、全首脳が広島平和記念資料館を訪問、二十一日には戦渦にあるウクライナのゼレンスキー大統領が電撃参加するなど、世界に核軍縮を発信できたことは大きな成果と思うと同時に、岸田首相を中央に「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」の原爆死没者慰霊碑の前に各国代表が並ぶ姿に、真の世界平和への行動を強く願ったのは私だけではないはずです。 今年、戦後七十八年を迎えます。 山口県原爆被害者団体協議会会長、略して県被団協会長さんは防府の女性の方で、二歳のときに広島で被爆され、語り部もされておられますが、既に八十歳になられ、年々、御自身の体力の衰えとともに、語り部の要請が減っていることに不安を感じておられます。 被爆者の声を聞き、戦争の悲惨さを学び、決して戦争はしない、核なき世界への思いを強くする平和教育は、大変重要であり、年齢に応じた、適切な内容が求められます。 先日、私は、久しぶりに広島平和記念資料館に参りました。 次の日がイベントのためか、たくさんの外国人の方が見学され、身長の低い私を前に押し出してくださるなど、資料館の中で小さな世界平和を感じながら見させていただきました。 修学旅行で広島を訪れる学校も多いと聞いておりますが、山口県の児童生徒が八月六日や九日が何の日か知らない、八月十五日も知らない、広島の平和記念資料館を知らないということがないように、見学も含め、それぞれの年代に応じた平和教育について、さらなる取組を期待し、質問いたします。 山口県の小・中・高校それぞれの今後の平和教育の取組について、教育長の御所見をお聞かせください。 最後に、不登校特例校についてお伺いいたします。 本県の二〇二一年度の不登校児童生徒数は、小学校八百七人、中学校千七百九十六人、高等学校三百四十八人と、前年度より六百十八人増加しました。 全国の不登校児童生徒数は九年連続で増加しており、二〇二一年度小中学生の不登校児童生徒数は約二十四万五千人、コロナ前の前年度より二五%増となりました。 このたび、二〇二三年度から五年間に取り組む施策を定めた教育振興基本計画が閣議決定され、学習指導要領に縛られず、授業時間を自由に設定できる不登校特例校の設置について、各都道府県に少なくとも五年以内に一校を設置、将来的には三百校を目指すこととされました。令和五年二月現在、全国十都府県で二十一校が開校されています。 我が公明党県議団は、先月、不登校特例校を二校視察してまいりました。 それぞれの取組に共通していたのが、どこまでも個を大切にしていることでした。 横浜市にある私立S学園は、一人一人の個を伸ばす創設者の教育理念の下、幼稚園から大学までを持つSグループとして五十一年を迎え、廃校になった小学校校舎を利用して、二〇〇五年に中学校、二〇〇六年に高等学校を創設。その出願資格は、「教育上特別な配慮を必要とする者、ならびに不登校あるいは不登校傾向にある者」と書かれ、この学校で初めて、不登校である自分が個として認められ、受け入れられ、自分の居場所を見つけた生徒たちは、視察に訪れた私たちを明るく元気な挨拶で迎えてくれました。校長先生のお話では、開校当初は定員六十名だったが、今は倍の百二十名、今年の高校一年生は百五十名を超えるなど、学校に登校できない生徒も二、三%おりますが、令和四年には通信制課程を設置、IEPという個別の指導計画で、一人一人に適切な指導と毎日の保護者との情報共有など大切な視点が紹介されました。 次に訪問したのが、二〇二〇年四月にスタートした東京江戸川区にある東京シューレ江戸川小学校です。江戸川区の協力で、こちらも不登校特例校として、廃校した小学校を借り受け、フリースクール三十五年のキャリアを持つ女性のO校長先生は、肝っ玉母さんそのものでした。 現在、三年生六名、四年生十一名、五年生十二名、六年生十七名、計四十六名。一、二年生は、来春から受け入れるとのことでした。 児童の居住地域は東京都内全域をはじめ、千葉県から十一名、埼玉県から七名と、二時間をかけて通学する児童もおり、校長先生は、不登校特例校の名称を変えたいとお話しされていましたが、この子供たちがなぜこの学校なら不登校ではなく登校できるのか。 O校長先生のお話には、子供たちを信じる力強さと自信にあふれており、学校設立への一番の思いは、フリースクールの子供たちが抱える問題。それは、卒業式に学校に行けないこと、これは本人だけではなく、保護者にとっても辛いことです。この問題解決に、よし、学校をつくろうと、二〇〇七年に東京シューレ葛飾中学校、二〇二〇年に東京シューレ江戸川小学校の開校となりました。 私たちが訪問した日の午後は、全学年参加のお楽しみタイムが体育館で行われ、パントマイムのショーに子供たちの大きな笑い声が響き、飛び入り参加した私たちを自然な形で受け入れ、喜んでくれました。この子たちのコミュニケーション力の高さは、先ほどのS高校の生徒にも感じたところです。 不登校の子供たちがなぜ登校するのか。そこに居場所があるから。登校しなくても何も言われないから。待っていてくれる友達や先生がいるから。みんな自分と同じだから。お母さんが一緒にいてくれるから。休んでもいいから。いや、楽しければ理由なんてないのかもしれません。 今回は、廃校を利用した学校を視察し、御紹介いたしましたが、二十一校の不登校特例校の形はハードもソフトも様々です。これからできる三百校全ての不登校特例校で居場所を見つけた子供たちが伸び伸びと自由に学び、みんなと卒業式を迎えられることを願います。 そこで、教育長にお伺いいたします。本県での不登校特例校についてどのような認識を持ち、設置についてどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 以上で、公明党代表質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の代表質問にお答えします。 まず、県民の安心・安全な地域医療体制についての二点のお尋ねのうち、五類移行後のコロナ感染症対策についてです。 新型コロナの五類変更に伴い、県民の皆さんに不安や混乱が生じないよう、季節性インフルエンザなどの疾病と同様に、地域の身近な医療機関で、安心して受診できる体制を確保することが重要です。 このため、私は、医療関係団体との協議を重ね、第八波のピーク時に相当する感染状況にも十分対応できるよう、全ての病院による入院受入れ体制と、広く一般的な医療機関による外来診療体制を整備したところであり、さらなる拡充を図っています。 また、発熱等の症状があり、かかりつけ医を持たない方が医療機関への受診を希望される場合には、お示しの受診・相談センターで医師や看護師が二十四時間対応するとともに、自ら受診先を決めることができるよう、外来対応医療機関を県のホームページで情報発信しています。 さらに、コロナ特有の後遺症に悩む方に対する相談体制については、各保健所を相談窓口とし、保健師等が症状に応じて、医療機関への適切な受診につなげています。 その診療体制については、医師会や医療機関に御協力いただき、身近なかかりつけ医等で幅広く受診できる体制を確保するとともに、かかりつけ医等が必要に応じて、より専門的な医療機関を紹介する体制を構築しています。 次に、コロナ感染症の経験を踏まえた今後の地域医療体制の整備についてです。 約三年半にわたる新型コロナへの対応を振り返ると、想定を超えるスピードで大規模な感染が発生したことから、これまで培ってきた経験を踏まえ、今後とも起こり得る新たな感染症への確実な備えを進めることが極めて重要と考えています。 このため、私は、次の新たな感染症による健康危機が迫った際に、感染初期から速やかに立ち上がり確実に機能する医療提供体制の構築に向け、今月、医療機関をはじめとした関係団体で構成する県感染症対策連携協議会を開催し、感染症予防計画の改定に着手したところです。 具体的には、国や医療関係者等との連携の下、感染発生時の迅速な初動対応として必要となる検査や入院・外来体制を確保するとともに、爆発的な感染蔓延時には、こうした初動時の体制の拡充に加え、入院医療の後方支援や自宅療養などの支援を行う医療機関等の確保に取り組んでまいります。 とりわけ、本県唯一の第一種感染症指定医療機関である県立総合医療センターについては、将来にわたり、本県の感染症医療の拠点として中核的役割を一層担えるよう、専用病床に加え、即時に感染症対応に移行可能な一般病棟の整備や、専門人材の確保・育成など、機能強化を進めます。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、関係機関等と緊密に連携し、新型コロナや新たな感染症への対策に全力で取り組んでまいります。 次に、性的少数者の理解増進に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 私は、LGBT等の性的少数者への偏見や差別はあってはならず、多様性を認め、それぞれの生き方が尊重される社会を構築することが重要と考えています。 このため、県では、第五次男女共同参画基本計画に基づき、性の多様性への理解促進に向けた普及啓発に取り組んでいるところです。 具体的には、性の多様性をテーマとしたセミナーの開催や、LGBT等の基礎知識に関するリーフレットの作成、さらには、企業や団体等に対する県政出前トークや、県職員に対する研修等を通じて、LGBT等の方々への理解促進に努めています。 こうした取組により、昨年度実施した県政世論調査では、LGBTについて、言葉も意味も知っていると回答した人の割合が七〇%を超えるなど、県民の認知度は高まってきたところです。 また、今年の二月には、私を含めた二十三県知事の緊急共同声明により、性的少数者への理解促進を一層進めるとともに、あらゆる政策分野における国の取組を後押ししていくことを表明しました。 こうした中、さきの国会において、国民の理解が必ずしも十分でない現状を踏まえ、性の多様性に寛容な社会の実現を目的とした、いわゆるLGBT理解増進法が成立しました。 私は、国や自治体が理解増進施策を実施していくための根拠法が整備されたことを評価するとともに、今後、国において、実効性ある施策が推進されることを期待しています。 県としても、法の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、社会的理解の促進に向けた取組を加速していきたいと考えています。 具体的には、関係課で構成するワーキンググループを設置し、これまで実施してきた普及啓発の取組を充実させるとともに、職場におけるLGBT等の方々への配慮などをまとめた対応ハンドブックの作成など、新たな取組についても検討してまいります。 また、事業主としても、県職員に対する研修の充実や相談窓口の設置など、就業環境の整備を図ってまいります。 なお、お尋ねのパートナーシップ宣誓制度については、導入するかどうかを含め、まずは、このワーキンググループにおいて、検討していきたいと考えています。 私は、引き続き、市町や企業、関係機関等と緊密に連携しながら、性的少数者の方々への正しい理解と認識を深め、性の多様性を認め合う意識を醸成することにより、誰もが活躍できる社会の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 次に、中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍から地域経済の回復が期待されている一方で、多くの中小企業が、物価高騰や本格化するコロナ期における融資の返済負担等の影響を受け、倒産の増加が懸念されるなど、その経営は、引き続き厳しい状況にあります。 私は、地域経済と雇用を支える県内中小企業が厳しい経営環境を乗り越え、事業継続とその先の成長・発展が着実に図られるよう、経営の安定や生産性の向上に向けて、事業者のニーズに応じた支援を講じていくことが極めて重要と考えています。 まず、経営安定に向けては、ゼロゼロ融資の返済に苦しむ中小企業者の事業活動継続に必要な借換え需要に対応するため、県制度融資において、借換え資金の融資枠を四百億円に拡大し、資金繰り支援に万全を期すこととしています。 また、ゼロゼロ融資に係る据置期間の延長など、返済計画の見直し時に生じる追加の信用保証料の全額補助制度を引き続き運用し、中小企業の負担を軽減します。 こうした取組に加えて、経営行動計画の策定支援や定期的な訪問相談など、金融機関等による継続的な伴走支援を通じて、経営の実情に応じたきめ細やかな対応を行うことにより、中小企業者の経営改善の取組を後押ししてまいります。 さらに、物価高騰対策として、新たにLPガスと特別高圧電力の利用に対する負担軽減策を講じるとともに、今後も高止まりが懸念される電気料金の削減に向け、蓄電池導入を支援する補助制度を創設し、事業者の経営安定を図ってまいります。 次に、生産性向上に向けては、デジタル技術の活用による業務改善や既存ビジネスの変革等の取組を促進するため、専門家による経営課題診断や、デジタル化の段階に応じた設備導入等の補助制度により、企業のニーズや課題に応じた効果的な支援を実施します。 また、昨年度に引き続き、省エネルギーや業務効率化に資する設備導入補助の取組を進め、経済情勢の変化にも対応できる強い中小企業への転換を後押しします。 さらに、産業振興財団に設置した生産性向上・人材創造拠点を中心に、経営革新等による付加価値向上やリスキリング等の人材育成の両面から一体的な支援を行い、中小企業のさらなる生産性向上を図ってまいります。 私は、今後とも、関係支援機関と連携して、本県経済の重要な担い手である中小企業が現下の困難を乗り越え、活力を取り戻していけるよう、中小企業支援に全力で取り組んでまいります。 次に、インバウンドの推進についてのお尋ねにお答えします。 二〇二五年に開催される大阪・関西万博は、海外から約三百五十万人の来場が見込まれる国際的な大規模イベントであり、国内を周遊する外国人観光客の大幅な増加が期待されています。 私は、この絶好の機会を逃すことなく、本県の豊かな自然をはじめ、多彩な食や文化、温泉などの魅力的な観光資源を最大限に活用し、万博を契機としたインバウンド需要を確実に本県に取り込むことが重要と考えています。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、反転攻勢に向けた戦略的な誘客対策によるインバウンドの拡大を重点施策に掲げ、海外からの誘客対策の強化や受入れ環境の充実に向けた取組を強力に進めていくこととしています。 まず、誘客対策の強化については、韓国や台湾など海外の重点五市場に配置した観光プロモーターと連携し、本県への旅行商品の造成を働きかけるとともに、私自らによるトップセールスをはじめ、現地商談会の開催や国際旅行博への出展など、戦略的なプロモーションを展開します。 また、観光動態に係るビッグデータを活用したマーケティング分析に基づき、市場ごとの観光客の年代や嗜好に即したターゲティング広告を配信するなど、SNS等を活用した効果的な情報発信を行っていきます。 さらに、JRと連携し、関西圏からの広域周遊パスを活用した旅行商品の造成に取り組むとともに、瀬戸内七県が参画する、せとうちDMOと連携し、自然体験や食など、地域の魅力を生かした広域周遊ルートの開発等を進め、欧米豪からの観光客誘致にも積極的に取り組んでいきます。 次に、受入れ環境の充実については、これまで、宿泊施設の高付加価値化等に向けた設備投資を支援するとともに、外国人観光客が安心して快適に周遊できるよう、多言語コールセンターの運用や、観光案内所の機能強化にも取り組んでいるところです。 こうした取組に加え、お示しのコト消費にもつながるよう、新たに、本県ならではの付加価値の高いアウトドアツーリズムを創出するとともに、多彩な文化財を魅力ある観光素材として磨き上げるなど、外国人観光客の心をつかむコンテンツの開発をさらに進め、観光地全体の魅力を高めていきます。 私は、大阪・関西万博で急増する外国人観光客の確実な取り込みに向け、今後とも、関係自治体や観光事業者等と緊密に連携しながら、誘客対策の強化や受入れ環境の充実を進め、本県へのインバウンドの拡大に積極的に取り組んでまいります。 次に、安心・安全な食料の確保についてのお尋ねにお答えします。 近年、農林水産業を取り巻く環境は、担い手の減少・高齢化はもとより、世界的な気候変動やウクライナ情勢等により、食料需給をめぐるリスクが顕在化するとともに、燃油や肥料等、生産資材の価格が高騰するなど、一層厳しさを増しています。 こうした中、現在、国においては、食料・農業・農村基本法の見直しが進められており、この中で、海外依存度の高い品目の国内生産の拡大や適正な農産物価格形成の仕組みの構築など、食料の安定供給の確保に向けた検討が行われています。 私は、こうした環境の変化に的確に対応するとともに、国の政策にも呼応しながら、将来にわたって、県民の皆様に対し、安心・安全な食料を安定的に供給していくことが、極めて重要であると認識しています。 このため、生産性と持続性を両立した力強い農業の育成に向け、生産基盤の整備をはじめ、食料生産を担う中核経営体の確保・育成、さらに、県産農産物の安定的な供給などの取組を積極的に推進することとしています。 まず、生産基盤の整備については、生産性を高めるための農地の大区画化を進めるとともに、自給率の低い麦・大豆等の生産拡大を図るため、水田の高機能化や品目転換に必要な機械の導入等の取組を支援してまいります。 次に、中核経営体の確保・育成に向けては、意欲ある担い手に対して、法人化や経営規模の拡大、さらに新規就業者の受入れ等、その経営基盤の強化を図るための取組を積極的に支援することとしています。 また、本年四月に供用開始した農林業の知と技の拠点において、中核経営体で活躍できる即戦力人材を養成するための研修の実施や、デジタル技術を用いた食料増産につながる新技術の開発・実装を進めてまいります。 さらに、県産農産物の安定的な供給に向けては、消費者のニーズに応じた契約栽培等による一層の生産拡大を図るとともに、持続可能な生産活動が展開できるよう、スマート農機を活用した省力化や新品種の導入による高品質化などの取組を進めることとしています。 また、食料生産を支える農業者や畜産業者の経営安定を図るため、さきの政府要望において、適正な価格形成に向けた仕組みの構築等について要望するとともに、このたびの補正予算において、依然として高水準にある肥料や飼料価格の高騰分の一部を補助するための経費を計上したところです。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携し、農林業の知と技の拠点の機能も活用しながら、県民の安心・安全な食料の確保につながる、持続可能で力強い農業の実現に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、平和教育についてお答えします。 国際情勢が不安定さを増す中、子供たちが、日本が唯一の戦争被爆国であることや、戦争の悲惨さなどについて学び、平和を願い、かけがえのない命を尊重する態度を身につけることは重要であると考えています。 このため、各学校では、学習指導要領に基づき、子供たちの発達の段階に応じて、平和に関する教育が行われているところです。 具体的には、小中学校では社会科において、原爆や戦争の悲惨さに触れるとともに、我が国が平和な世界の実現のために重要な役割を果たしていることなどについて学んでいます。 また、総合的な学習の時間や特別活動で、語り部の方などから体験談を聞いたり、広島平和記念資料館や長崎原爆資料館等を訪問したりして、平和の尊さを再認識し、そこで学んだことを下級生や地域の方々に伝える学習も行われています。 高等学校では、地理歴史科や公民科において、様々な戦争の背景や影響についての考察などを通じて、平和で民主的な国際社会の実現に努めることの重要性を学んでいます。 さらに、総合的な探究の時間では、SDGsをテーマとして取り上げながら、平和な社会の在り方について理解を深める学習も行われているところです。 県教委といたしましては、今後もこうした取組を通じて、他国を尊重し、国際的視野に立って、世界の平和に貢献することができる子供の育成に向けて、市町教委とも連携しながら、平和に関する教育の充実に努めてまいります。 次に、不登校特例校についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の影響等により、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中、本県では、令和三年度の小学校及び中学校の不登校児童生徒数は過去最多となっており、不登校対策は生徒指導上の喫緊の課題です。 こうした児童生徒の支援に当たっては、その要因や背景を的確に把握するとともに、一人一人の状況に応じた学びの場を確保することが重要であると考えています。 このため、本県では、不登校の要因の把握に向けて、県教委と市町教委で不登校児童生徒支援協議会を設置し、不登校の実情を共有するとともに、効果的な支援方策等について検討しています。 また、学びの場の確保に向けては、在籍する学校に行きづらい生徒のために、少人数指導を行う分教室を県内二市の中学校に設置し、きめ細かな学習支援や進路指導の充実に取り組んできました。 さらに、本年度、新たに、在籍する学級での学習が困難になった生徒のためのステップアップルームを県内十三市二十二校の中学校に設置し、専属教員を配置することにより、個に応じた支援に取り組んでいるところです。 お尋ねの不登校特例校については、授業時間を柔軟に設定できるなど、不登校児童生徒の多様なニーズに応えられることから、学校に行きづらい児童生徒にとって、有効な学びの場の一つであると認識しています。 このため、県教委では、本年度、他県の不登校特例校を視察したところであり、今後、教育上の効果や運営上の課題等について、市町教委と情報共有や意見交換を実施してまいります。 県教委といたしましては、今後とも全ての不登校児童生徒に対し、一人一人のニーズに応じた多様な学びの場を確保できるよう、市町教委と緊密に連携し、不登校特例校の設置の可能性について検討してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。