1 基盤整備を活かした県産米の生産振興について 2 医療関連分野におけるイノベーション創出について 3 観光振興について 4 災害等に即応できる技術系職員の体制強化について 5 その他
議長(柳居俊学君)国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 自由民主党の国本卓也でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 まず初めに、基盤整備を生かした県産米の生産振興についてお尋ねをいたします。 平成二十三年にスタートいたしました、田布施町、柳井市、光市を対象地域とする南周防農地整備事業は、令和九年の整備完了に向け順調に進められております。 この事業は、県東部における過去最大規模の国営農業基盤整備であり、地元の農業者の皆さんはもとより、県や市町、さらには私が勤めておりました山口県土地改良事業団体連合会も深く関わり、関係者がしっかりと連携をしながら計画策定を行い、事業の実現に取り組んできた経緯があります。 多くの農業者は、基盤整備は自分たちのためだけではなく、次の世代が農業に取り組みやすいようにという強い思いの中で、長期間に及ぶ整備事業の計画に合意をし、夢を託しているのであります。 一方で、基盤整備面積が大規模になればなるほど、完了までの期間が長く、農業者の高齢化が進んでしまうという現実があります。 南周防農地整備事業実施地区におきましても、若い農業者への農地集積が進む反面、今後の営農の在り方に悩んでおられる集落もあり、私もその切実な声を数多く聞いているところであります。 少子高齢化や人手不足が深刻化していることに加え、退職年齢の延長によって六十歳前後で故郷に戻ってくる方が減少していくことが見込まれるため、今後は、これまでのように、地域の中だけでの世代交代を前提とした経営の継承や規模の拡大は非常に難しくなってまいります。 こうした状況を踏まえ、私はこれまで、水田農業における企業参入の重要性を訴え続けており、昨年の六月の一般質問におきましても、地元田布施町の農地を自ら借りて、お米の生産を行いたいという意向を有する企業を御紹介をさせていただいたところであります。 長い年月をかけて維持・整備されてきた水田という地域資源を荒らしてはいけないという思いはもちろんのこと、食料安全保障の重要性が叫ばれる時代だからこそ、米作りに意欲を示す企業があれば、県として、その取組を積極的にサポートすべきであるというふうに考えております。 ありがたいことに、この企業の農業参入に向けては、農林水産部の皆さんがしっかりとサポートをされており、十二月に柳井農林水産事務所で行われました打合せ会議には、私も同席をさせていただきました。 農業経験のない企業にとっては、栽培技術だけではなく、地域の農業者から農地をお借りすることや、必要な資機材の整備など、多くの不安を抱えてのスタートとなりますが、県や市町によるサポート体制があることを大変心強く受け止めておられると感じたところであります。 こうした中、国は人口減少や米消費量の減少などから、水田を畑に転換していく施策を進めており、本県におけるお米の生産面積も年々縮小している状況にあります。 しかし、実際にお米を販売・加工される実需者などからは、県産米を求める声も多いことや、水田が農村地域の景観形成や保水等の多面的機能の維持に寄与していること、また、農地所有者の皆さんが法人等に貸し出す場合も水田として維持管理されることを望んでいる状況が多いことなどを考えれば、少なくとも本県におきましては、今後も水稲を中心とした水田農業を守っていかなければなりません。 そこでお尋ねをいたします。私は、長年にわたって水田の基盤整備が着実に行われてきた歴史も踏まえ、山口県として独自に米の生産振興に特化した取組をしっかりと進めていく必要があると考えますが、県産米の生産振興に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、医療関連分野におけるイノベーション創出についてお尋ねをいたします。 我が国が世界に誇る社会基盤の一つが、医療・健康であります。世界一の長寿や世界で最も低い乳幼児死亡率といった成果を比較的低い支出の下で成し遂げています。 しかしながら、医療・健康需要が急速に変化をしてくる中、世界の主要国も産官学の総力を挙げて、医療・健康を出口とした産業育成に取り組んでおり、競争は激化しております。 こうした中、医療・健康を支える要素技術や先進科学技術が豊富に存在する我が国が世界をリードし続けるためには、求められるサービスや製品の供給につながり、また、高い付加価値を生み出すためのイノベーションを継続的に創出していくことが重要であります。 昨年、我が国が公表いたしました、統合イノベーション戦略二〇二三においても、科学技術・イノベーションの推進の柱の一つとして、先端科学技術の戦略的な推進が掲げられ、医療分野も推進すべき重要分野としての、その研究開発投資を中長期的視点で支援をし、官民が力を合わせて国家的重要課題への対応を進めることとされています。 本県におきましても、こうした国の動きと軌を一にしながら、医療関連分野の取組が進められており、企業、大学、医療機関、産業支援機関等が連携したネットワークを通じた新たな研究開発・内発展開の促進に精力的に取り組まれております。 昨年六月には、その取組の一環として再生医療と最先端リハビリテーションを組み合わせた新たなプロジェクトが始動いたしました。 これは、企業と大学に加え、医療機関が一体となって取り組むプロジェクトであり、かつて先輩議員でありました篠﨑宇部市長が進める成長産業育成の取組とも連携をして進められているというふうに伺っております。 篠﨑市長は、この取組による優れた医療・リハビリを求めて海外からの患者が訪れ、雇用が生まれることが期待できるとの見通しも示されており、私もこの取組の成果が、本県経済の活性化のみならず、我が国の医療発展につながることを大いに期待をしております。 一方で、このプロジェクトのように、産業として実力を発揮できる医療関連の要素技術や先進科学技術は、県内の企業や大学にまだまだあるのではないかと考えております。 県には、本県の特性や強みを生かした独自性・優位性のある持続的なイノベーションが創出され、また、それが県内でしっかりと実用化・産業化されるよう、各機関とも連携をし、取組のさらなる拡大を図っていただくようお願いをいたします。 そこでお尋ねをいたします。医療関連分野におけるイノベーション創出に、これまでの成果も踏まえ、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、観光振興について三点お尋ねをいたします。 まず、隠れた観光資源の発掘についてであります。 日本政府観光局の推計によりますと、二○二三年の訪日外国人観光客数は二千五百万人を超え、コロナ前の二○一九年比で八割程度にまで回復をしております。 コロナ禍を乗り越え、今、国境を越えた人の往来がどんどん活発になってきております。 そうした中、先日、ニューヨークタイムズ紙の二○二四年に行くべき五十二か所に山口市が、北米、パリに続いて三番目に選ばれるといううれしいニュースが飛び込んでまいりました。 本県が誇る山口市の存在が世界中に知れ渡り、私も県議会議員の一人として大変誇らしく、今後、日本の山口市から世界の山口へと大きく飛躍していってほしいと心から願っております。 このニュースは、テレビやウェブメディアでも大きく取り上げられ、多くの県民から喜びと歓迎の声が聞かれましたが、同時に、なぜ山口市が選定されたのか分からない、都会に比べて魅力がないのではといった戸惑いの声も聞かれたところであります。 確かに、山口市は、県の観光動態調査で下関に次いで多くの外国人観光客が訪れていますが、全国的には、東京、大阪、名古屋など、いわゆるゴールデンルートがインバウンドの定番であります。 また、観光庁の訪日外国人消費動向調査でも、本県の訪日外国人の数は三十五位という状況であり、多くの外国人観光客に支持されている実感はまだ乏しいのかもしれません。 私は、今回、山口市が選ばれた理由に、今後の山口県観光の飛躍の鍵、山口県に住まう私たちが気づかない価値、外部からの来訪者の心に刺さる魅力が隠れているのではないかというふうに考えております。 今回、ニューヨークタイムズ紙に山口市を御紹介してくださった、作家で写真家のクレイグ・モド氏は、日本在住二十年を超える方で、日本列島を何千キロも歩き、大都市だけではなく、通過点となってしまうような地方都市も巡られておられるそうであります。 モド氏は、日本人から見ると、一見何もない山口市について、様々な魅力を挙げておられます。 瑠璃光寺五重塔や萩往還、陶芸工房やコーヒーショップ、山口祇園祭など、美しい自然や重厚な歴史と伝統、そこに住まう人々の、ゆっくりと豊かに流れる時間や暮らしに魅力を感じられたそうです。 すなわち、旅の価値は、単純に観光地の知名度や観光客数で決まるものではないということで、そうした視点に立てば、本県には至るところに観光的な魅力や価値が隠れているのではないでしょうか。 例えば、私の地元熊毛郡は、決して多くの観光客に認知されているわけではありませんが、穏やかで美しい瀬戸内海の島々、大星山展望台からの三百六十度のパノラマ、春には桜の名所となる、精進料理も楽しめる古刹神護寺、上関海峡を一望できる露天風呂、インスタグラムでも度々話題となる田布施地域交流館のイチゴのスイーツなど、ポテンシャルの高い観光資源の宝庫であります。 また、室津の四階楼や祝島の石積み練塀で囲まれた路地は、積み重ねられた悠久の歴史ロマンと独特の情緒を感じさせてくれます。そのほかにも隠れた魅力がもっとたくさんあるのかもしれません。 今回の報道により、今、日本中、世界中の視線が山口市に注がれている今こそ、その効果を山口市のみならず、県内の隅々まで波及させていく、これまで埋もれてきたきらりと光る本県ならではの宝や価値を見つけ出し、全世界に認知してもらう絶好のチャンスであります。 そこでお尋ねをいたします。県は、地域の隠れた観光資源の発掘に、今後どのように取り組み、それをどのように世界に発信していかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、観光地の受入れ環境の整備についてお尋ねをいたします。 今後、国内外の観光客数の増大が予想される中、これを好機として本県観光のブランド価値を確立し、それを将来にわたって持続させていくことが重要であります。 そのためには、観光客の皆さんに余すことなく山口県の魅力を堪能していただき、本県のよい思い出をお持ち帰りいただくことで、リピーター化やSNS、口コミなどでの情報拡散を促していかなければなりません。 そのためにも、来訪者に対するおもてなし、観光地の受入れ環境の整備は喫緊の課題と言えますが、中でも再訪問のポイントとなるのが、きれいなトイレの整備であります。 過去、トイレメーカーのTOTOが実施したアンケート調査では、外国人観光客の七割以上が、トイレで観光地のイメージがよくなると答え、トイレが観光地を訪れやすくなる要因の第二位、逆に、訪れにくくなる要因の第一位に挙げられました。また、過半数が温水洗浄便座の設置を求めております。 そして、外国人観光客だけではなく、高齢者や障害者、子供も皆、バリアフリーで気持ちよく観光を楽しんでいただくため、トイレの整備は重要であります。 私は、観光地のトイレ整備は、なかなか進んでいないように感じております。トイレは、それ単独で整備するというより、施設のリニューアルなどに併せて整備されているのがオーソドックスであり、どうしても整備されるまで時間がかかります。 そうした事情もあってか、ニューヨークタイムズ紙で紹介された瑠璃光寺五重塔のトイレは、温水洗浄便座ではない洋式便座、山口市の玄関口であるJR山口駅のトイレに至っては和式という状況であります。 確かに、観光地の受入れ環境の整備には、多大なコストと労力を要しますので、多言語化や公衆無線LAN、キャッシュレス決済の整備が優先をされ、トイレは施設管理者である市町や民間事業者任せとなりがちであります。 他方、和歌山県では、観光地トイレの整備をおもてなしの原点として、県と市町村、公共交通機関などが協働して、おもてなしトイレ大作戦を展開されました。 県の強力なリーダーシップと支援により、これまでに県内の観光地の公衆トイレ六百七十七か所の洋式化、温水洗浄便座の設置等の整備が実施をされ、着実に外国人観光客数を伸ばしております。 コロナ禍が一段落し、ニューヨークタイムズ効果により、今後国内外の観光客数の増大が期待される中、観光客の定着化とさらなる拡大につなげていくためには、これまでの対策が行き届いていなかった箇所も改善をし、ストレスなく滞在できる環境を整備していくことが重要であります。 そこでお尋ねをいたします。県はきれいなトイレの整備をはじめとした観光地の受入れ環境整備に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、広域周遊観光の推進についてお尋ねをいたします。 これまで、各地域の観光資源や観光施設個々の魅力やサービスの向上、観光力の底上げの観点から提案してまいりましたが、観光振興の実効性を高めるためには、やはり世界的に認知度の高い観光資源とタッグを組んでいくことは欠かせません。 旅行情報サイト、トリップアドバイザーの外国人観光客向け人気観光地ランキングでは、近隣では広島県の平和記念資料館、厳島神社が三位、四位となっているほか、さらに範囲を広げますと、京都の伏見稲荷大社や清水寺、姫路城などが上位にランクインをしております。 また、二○二五年には、大阪・関西万博、岡山県と香川県の島々を結んで開催される現代アートの祭典、瀬戸内国際芸術祭など、インバウンドの呼び水となる強力なイベントが控えております。 関西地方には、歴史や文化に加え、エンターテインメント等の都会的な観光の魅力があり、瀬戸内地域には、穏やかな海や豊かなしまなみなど、独自の景観や自然、アートなどの魅力があります。 このように観光客の興味と関心を喚起する魅力的な観光資源が極めてコンパクトに集中しているエリアは、恐らく世界でも珍しく、東京や富士山、京都にも負けない新たなゴールデンルートとなるポテンシャルを秘めていると思っております。 そんな人気の高いエリアの一角に山口県は位置しており、特に、原爆ドームや平和記念資料館、宮島・厳島神社からは、岩国市はもちろん、周防大島や先ほど御紹介いたしました熊毛郡の観光地へも簡単に足を伸ばすことができます。 この地理的なメリットを生かし、県をまたいだ広域周遊観光を促していくことは、県東部地域の観光の活性化につながるだけではなく、ゴールデンルートで観光する外国人観光客に新たな観光コンテンツを提供することにもつながっていくと思っております。 そこでお尋ねをいたします。ニューヨークタイムズ紙の発表をきっかけに、本県観光への関心や期待が高まっているこの機を逃すことなく、広域周遊観光を推進していくべきだというふうに考えておりますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、災害等に即応できる技術系職員の体制強化についてお尋ねをいたします。 人口減少と少子化が将来にわたる深刻な問題となる中、自治体の業務量の増加や民間企業との競合等も重なり、近年、全国的に地方公務員の成り手不足が深刻な問題となっております。 本県におきましても、六月に実施している大学卒業程度試験の受験者数は、この五年間で三割も減少しております。とりわけ、土木の技術職員は、今年度、同試験において、最終合格者数が採用予定人数を大きく下回る結果となっており、また若い職員が他の自治体や民間企業に転職するなど早期離職するケースも多く、人材確保が非常に難しくなっているとお聞きをしております。 そこで今回は、私たちの暮らしや経済活動に不可欠なインフラを支える土木の技術職員に焦点を当ててみたいと思います。 御承知のとおり、土木をはじめとする技術職員は、道路や河川、港湾等の社会資本の整備と、その維持管理・更新、災害への対応など、私たちの暮らしに直結する重要な仕事に携わっておられます。 しかしながら、こうした職員不足が続けば、多様化・高度化する住民ニーズへの対応はおろか、基本的な公共サービスの提供さえ容易ではない状況となることが懸念をされています。 こうした厳しい状況を踏まえ、県では技術職員の人材確保のため、技術者の卵である学生たちに向け、出前授業や工事現場見学会、建設産業魅力発見フェアを実施されるとともに、土木建築の魅力を発信するため、フェイスブックやインスタグラムなど、SNSを活用した戦略的な広報にも力を入れておられます。 また、今の時代に合った働き方改革を進めるため、業務の見直しや効率化、長時間労働の是正、在宅勤務の導入、デジタル技術の活用など、個々の職員のライフスタイルや仕事に対する価値観の多様化も踏まえ、全ての職員が活躍できる環境整備にも取り組んでおられます。 しかしながら、将来にわたり、質の高いインフラを持続的に整備・維持していくためには、技術職員の安定的な確保と人材育成、適正な配置と処遇、職場環境の改善など、土木職員全体の組織体制を強化していく取組を、これまで以上にスピード感と危機感を持って重点的に進めていくべきだと考えております。 例えば、近年、働き方改革の一環として、従業員のウエルビーイングを重視する企業が増えていることから分かるように、コロナ禍を経て人々の価値観が変わったこれからの社会では、多様な働き方を受け入れ、職員一人一人がやりがいや成長実感を得られ、身体的にも精神的にも社会的にも満たされるような労働環境を整えていくことが重要であるかと考えております。 そこでお尋ねをいたします。県は、県民の暮らしや経済活動を将来にわたって安心・安全に支えていくため、それを担う土木職員の人材確保や働き方改革など、組織体制の強化に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、一言申し上げます。 昨年の十二月、県立高校再編整備計画前期実施計画が一部改定をされ、私の地元熊毛郡の熊毛南高校と田布施農工高校を含む五校を再編をし、現在の柳井高校と田布施農工高校の場所に新高校二校が設置されることとなりました。 私は、去る三月一日、この再編の対象となっている熊毛南高校の卒業式に出席をさせていただきました。地元の高校に進学をし、新しい門出を迎えられた卒業生の皆さんをたくさんの在校生の皆さんと一緒に見送りながら、一方で一昨日実施をされました同校の入学試験の志願倍率が○・四倍になったという現実を聞き、複雑な思いでありました。 このたびの急な志願者の減少には、再編の影響があったことは否めないかというふうにも思っております。 私も県議会議員の一員として、中長期的視点に立って、高校教育の質の確保・向上を図るため、特色ある学校づくりと、学校・学科の再編・整備を進める県教委の方針には十分理解をしております。 これら高校入試に挑む中学生とその保護者の皆さんが、不安を感じることのないよう、引き続き一人一人に寄り添い、丁寧な対応を続けていただきますようお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員の御質問のうち、私からは基盤整備を生かした県産米の生産振興についてのお尋ねにお答えします。 我が国の気候風土に適した米は、日本人の主食として私たちの食生活に欠かすことのできない品目であり、これを将来にわたって安定的に供給していくことが大変重要であると認識しています。 このため、これまで水稲の生産振興に向けて、水田の大区画化のための基盤整備や集落営農法人等への農地集積を進めるとともに、収穫前での出荷契約による安定した取引の推進や、品質・収量の確保に向けた技術支援などの取組を行ってきたところです。 しかしながら、近年、担い手の減少や高齢化が進行し、水稲の生産面積が急激に減少していることから、私は食料安全保障の観点からも、将来にわたって米の安定的な供給を図るため、農地の約八割を占める水田を有効活用し、水稲の作付拡大に積極的に取り組むこととしています。 具体的には、まず、効率的な生産に向けて、引き続き、農地の基盤整備や農地中間管理機構等との連携による担い手への農地集積を進めるとともに、遠隔操作による水管理システムなど、収益性向上と省力化を両立できるスマート農業の導入を支援してまいります。 また、日本酒の原料である加工用米や飲食店等で利用される業務用米などは、さらなる需要拡大が期待できることから、来年度予算において、新たに、その生産に積極的に取り組む経営体に対し、必要となる経費の一部を助成することにより、一層の水稲の作付拡大につなげることとしています。 さらに、水稲生産に意欲的な企業の参入を一層促進するため、参入企業に対し、生産に係る技術的な指導を行うとともに、農業機械・施設の導入に要する経費の助成や、人材確保のための雇用給付金の支給など様々な支援を行ってまいります。 加えて、地球温暖化が進む中、高温が続く気象条件下でも安定した品質や収量が確保できる米の品種の導入にも取り組むこととしています。 私は、JA等の関係団体と緊密に連携しながら、将来にわたって県産米を安定的に供給していくことができるよう、水稲の作付拡大による米の生産振興に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答えを申し上げます。 議長(柳居俊学君)小関産業労働部長。 〔産業労働部長 小関浩幸君登壇〕 産業労働部長(小関浩幸君)医療関連分野におけるイノベーション創出についてのお尋ねにお答えします。 本県は、国内大手の製薬・医療機器メーカーの集積や、山口大学等の優れた研究シーズなど大きな成長ポテンシャルを有しています。 このため、県では、医療関連産業を重点成長分野に位置づけ、産業技術センターに設置したイノベーション推進センターを核に、産学公連携によるイノベーションの創出に取り組んでいます。 これまでの取組により、事業化のハードルが高い医療関連分野において、約九十の研究開発グループが形成され、四十件を超える事業化が実現するなど、着実に成果が上がっています。 こうした取組を通じ、昨年十月には、山口大学に、革新的な細胞デザイン技術を核とする新たな研究所が設置され、今後、最先端のがん免疫細胞療法をはじめ、再生医療等の研究開発が加速化していくものと期待しています。 また、山口大学が有する高品質に培養した細胞を治療に用いる再生医療技術と県内企業の最先端のロボット技術によるリハビリテーションを連携させるプロジェクトも開始されたところです。 県では、こうした新たなプロジェクトの事業化を促進するため、イノベーション推進センターの支援機能を強化し、国等の競争的資金の獲得に向けた事業計画の策定やブラッシュアップ、ネットワークの強化等に取り組んでまいります。 また、急速な市場拡大が見込まれる再生医療、細胞治療、遺伝子治療等の分野での実用化・産業化を強力に促進するため、新たな補助制度を創設し、革新的なプロジェクトを重点的に支援することとしています。 さらに、今後とも、先進的な取組を持続的に生み出していくため、イノベーション加速化補助金を活用し、新たな産学公校連携プロジェクトの組成にも取り組んでまいります。 県としては、本県経済の活性化と医療・健康サービスの向上につながるよう、本県の特性や強みを生かしながら、医療関連分野における持続的なイノベーション創出に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)観光振興についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、隠れた観光資源の発掘についてです。 県では、観光キャッチフレーズ「おいでませ、ふくの国、山口」の下、本県の強みである豊かな自然や歴史、多彩な食などの観光資源を最大限に活用しながら、幸福感あふれる山口の旅を強力にアピールし、誘客の拡大を図ることとしています。 こうした中、ニューヨークタイムズの記事を契機として、本県への注目が高まっており、県ではこの好機を生かし、観光客の心をつかむ、地域の隠れた観光資源の発掘と、世界に向けた情報発信に積極的に取り組むこととしています。 まず、観光資源の発掘については、地元の情報に精通した方から、地域に根差した祭りなどの伝統文化のほか、古刹や郷土料理など観光客には知られていない地域ならではの魅力ある観光資源を収集していきます。 また、お示しのように、山口県に住む人では気づかない外部の視点も重要であることから、新たに、旅行者や県内留学生などが魅力に感じた日常の暮らしや風景、グルメなどの情報を募る取組を実施し、隠れた観光資源を掘り起こしていきます。 さらに、世界に向けた情報発信については、発掘した観光資源をインスタグラムなどのSNSで発信するとともに、海外メディアやインフルエンサーを招いた視察ツアーで紹介するなど、誘客の新たな起爆剤として光を当て、本県の認知度向上を図っていきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携し、地域の隠れた観光資源の発掘を図るとともに、世界に向けた情報発信に積極的に取り組んでまいります。 次に、観光地の受入れ環境の整備についてです。 本県を訪れる国内外の旅行者に、ストレスなく快適な観光を楽しんでいただくためには、観光地の受入れ環境の整備が必要であり、とりわけ、お示しのきれいなトイレの整備は重要です。 このため県では、まず観光の滞在拠点となる旅館やホテルにおいて、施設の高付加価値化が図られるよう、高機能トイレの導入等の支援を行ってきたところです。 また、これまで自然公園や道の駅の駐車場に設置されたトイレの改修を、国の支援制度を活用しながら順次進めてきたところであり、今後も市町や関係団体等と連携しながら、計画的な整備に取り組んでいきます。 さらに、トイレの設置を含め、観光案内の多言語表示など観光地全体が一体的に取り組む受入れ環境の整備を積極的に支援し、旅行者の満足度を高めていきます。 県としては、観光客の定着化やさらなる誘客拡大に向け、今後とも市町や関係団体等と連携しながら、きれいなトイレの整備をはじめ、観光地の受入れ環境整備に積極的に取り組んでまいります。 次に、広域周遊観光の推進についてです。 お示しのとおり、大阪・関西万博などの国際的な大規模イベントを控える中、関西や瀬戸内地域は、都会的なエンターテインメントや独自の自然、景観、アートなどの多彩な魅力を有しており、県では、これらと地理的に近いメリットを生かし、広域周遊観光の推進に取り組むこととしています。 具体的には、JR西日本や市町と連携し、新幹線、電車等が乗り放題となる周遊パスと、魅力ある観光コンテンツを組み合わせた広域旅行商品を海外の旅行予約サイトに掲載し、関西方面からの周遊を促進していきます。 また、世界的に認知度が高く、多くの外国人観光客が訪れている広島県の宮島を起点とし、錦帯橋や柳井の白壁の町並みなどを巡る新たな観光周遊バスを運行することにより、県外からの誘客を促進し、県東部地域の観光の活性化を図っていきます。 さらに、瀬戸内七県が参画する、せとうちDMOと連携し、万博を見据えた新たな観光資源の発掘や、食や自然体験などテーマ性のある広域周遊ルートのブラッシュアップを進め、瀬戸内の魅力を生かした誘客拡大に取り組んでいきます。 県としては、本県への注目が高まっているこの好機を生かし、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携しながら、広域周遊観光の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)災害時に即応できる技術系職員の体制強化についてのお尋ねにお答えします。 近年人口減少や少子化等により、自治体の土木職を希望する若者が減少傾向にある中、防災・減災対策や社会インフラの整備などの取組を着実に推進するため、本県の土木職員の確保や働き方改革などによる組織体制の強化は重要な課題であると考えています。 このため、県では、まず、土木職員の確保に向け、県内外の大学や県内の工業高校等へのリクルート活動を強化するとともに、土木の仕事の魅力を幅広く発信するため、SNSの活用や、小学生とその保護者を対象とした現場見学会などを行っています。 加えて、採用試験についても、早期の実施や内容の見直し等、土木職を志す方が応募しやすい制度としており、今年度の申込者数については、昨年度に比べ倍増するなど、着実に成果が出てきているところです。 次に、職員の働き方改革については、一人一人が主体的かつ意欲的に実践できるよう、若手職員等から直接意見を聞き、提案を取り入れながら進めることにより、仕事にやりがいを持ち、生き生きと働くことのできる職場環境の整備に取り組んでいます。 具体的には、迅速な情報共有を可能とするチャットツール、業務プロセスを自動化するRPA、工事現場等への移動時間を削減する遠隔臨場等のデジタル技術を積極的に活用しており、今後もこうした取組を深化させ、業務のさらなる効率化を図っていく考えです。 また、出先事務所等のサテライトオフィスや在宅勤務、時差出勤等の活用により、職員それぞれのライフスタイルに合わせた多様な働き方も推奨しています。 さらに、若手職員と幹部職員による座談会を開催するなど、職員誰もが自由闊達に意見を言え、相談もできる風通しのよい職場づくりにも取り組んでいるところです。 県としては、県民の暮らしや経済活動を将来にわたって安心・安全に支えていくため、危機感を持って、こうした取組の不断の検証や見直し等を行いながら、土木職員の確保と職場における働き方改革を積極的に進め、組織体制の強化を図ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十五分休憩