1 若者や女性の定着と還流について 2 アウトドアツーリズムの推進について 3 本県農林水産物等の魅力発信の強化について 4 脱炭素社会の実現に向けた地域づくりの推進について 5 保育士の確保について 6 妊娠・出産の願いに寄り添った不妊治療への支援について 7 部活動の地域移行について 8 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第八十三号まで 副議長(島田教明君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第八十三号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 西本健治郎君。 〔西本健治郎君登壇〕(拍手) 西本健治郎君 自由民主党、西本健治郎です。本定例会最後の一般質問をいたします。よろしくお願いします。 それでは最初に、若者や女性の定着と還流についてお尋ねをいたします。 新年度予算案では、少子化対策の抜本強化に向け三百七十億円が計上されました。その予算規模から感じられる村岡知事の意気込みと施策効果に大きな期待を寄せる一方、若者や女性の県外流出は、相当な危機意識を持って挑まなければならない問題であると強く受け止めております。 令和五年の人口移動報告では、本県の転出超過が前年から約三割増の三千七百十八人となりました。中でも憂慮すべきは、そのほとんどが二十九歳までの若者であり、また女性の転出超過も大幅に増加している点です。目下の人口流出を早急に食い止め、少子化対策の効果を最大限に発現していくことが、人口減少を克服する上で何より重要であると考えております。 さて、このたび、山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略の最終案が示されました。我が会派の要望を踏まえ、人口流出の分析と検証を行った上で、若い世代のニーズを反映された本戦略案では、令和十二年に転出入を均衡させる目標が掲げられており、この点からも、今後の知事の手腕に大きな期待がかかっていることがうかがえます。 振り返りますと、平成二十七年六月定例会は、私の一般質問初登壇でありました。議員になって最初に発した質問テーマが、まさに、ふるさとの未来を担う若者の定住でありました。少年サッカーの教え子たちの生の声を紹介し、県内への進学・就職を促していく必要性を強く訴えたものです。 その後、県では、県外大学との就職支援協定など、多くの取組を前に進められましたが、あれから十数年近くが経過し、スマートフォンやSNSなどの普及によって、様々な情報を瞬時に入手できるなど、若者の価値観やニーズは大きく変化をしております。 村岡知事は、本定例会の当初予算説明において、若者や女性の県内定着や還流促進に向け、若い世代の意見を踏まえた施策展開をしていくとの力強い決意を示されました。未来を担う若者の期待に応えるためにも、受け止めた思いや考えを新たな施策にどう反映し、どう実行していくのか、そうしたこともしっかりと示していくことが必要です。 今を生きる若者たちが、自分の人生を豊かで充実したものにできる、そのような希望ある山口県づくりを、新たな戦略に沿って進めていただきますよう、強く願っております。 そこでお尋ねをいたします。若者や女性の県内定着や還流に向け、若い世代の意見をどのように受け止め、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、アウトドアツーリズムの推進についてお尋ねいたします。 ニューヨークタイムズに本県山口市が紹介され、世界中が山口県へ注目をしております。本県観光の魅力、すばらしさを多くの方に知っていただく絶好の機会です。 さて、コロナ禍を経て、観光客のニーズは、かつてインバウンドの代名詞であった爆買い等に象徴される物消費から、自然や文化体験を楽しむ事消費へと大きくシフトいたしました。 観光庁が一月に公表した訪日外国人消費動向調査では、買物代は一兆三千九百五十四億円と二○一九年比で一六%減少する一方、自然体験などに対する娯楽サービス費は二千六百七十八億円と同年比で四〇%も増加しており、両者の間に金額差はあるものの、勢いの差は歴然となっております。 県では、こうしたニーズ変化をいち早く捉え、本県の豊かな自然を生かし、観光客を呼び込むアウトドアツーリズムの取組をスタートされました。 事消費のニーズを捉えていくためには、魅力ある体験型コンテンツの充実は不可欠であり、県は新たな補助金制度などにより、民間主導のコンテンツづくりを積極的に後押しするとともに、市町等と連携し、秋芳洞などでの付加価値の高い体験型コンテンツづくりを進められるなど、今後のさらなる展開に大きな期待をしています。 また、スポーツの力で山口県を活性化させたいと願う私といたしましては、こうした取組に加え、村岡知事が積極的に進めてこられたサイクリングなど、アウトドアスポーツの取組を、この機会にさらに充実強化していただきたいと考えています。 中でもサイクリングは、本県各地の絶景や多彩な自然を、目で見て、肌で感じることができ、また、これまで市町と連携し構築してきたサイクリングコースを通じて、県内各地の観光地への周遊につなげていくことが期待できます。 加えて、こうしたコンテンツを充実させ集客力を高めながら、地元消費にもしっかりとつなげていくことが重要です。地域の観光資源である温泉、文化、食、そして宿泊などを結び、面的な広がりを持たせ、観光産業の活性化へとつなげていただきたいと願っております。 そこでお尋ねいたします。県は、本県の強みである豊かな自然を生かしたアウトドアツーリズムの推進に、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、本県農林水産物等の魅力発信の強化についてお尋ねいたします。 先日、山口県が誇る和牛ブランド、やまぐち和牛燦の台湾への初輸出に合わせ、知事が現地においてPRイベントを開催されました。 本県の農林水産物等の輸出拡大に向けては、昨年十一月に我が会派の代表質問でも取り上げましたが、ASEANや東アジアなどを中心に、フグや日本酒、和牛などの本県の魅力ある食材を、海外での県産品フェアや試食会等において積極的にPRするなど、新たな取引先の開拓に向けて取り組まれ、着実に成果を上げておられます。 今後も、海外の旺盛な需要獲得に向け、輸出拡大にしっかりと取り組み、本県の農林水産物等の安定的な需要の確保につなげていただきたいと強く願っております。 さて、先ほども触れましたが、ニューヨークタイムズに山口市が紹介されたことから、今後、国内外から多くの観光客が山口市を中心に、県内各地を訪れることが期待されます。 この機を絶好のチャンスと捉え、本県の有するフグややまぐち和牛燦、長州黒かしわなど優れた農林水産物等を、多くの観光客に味わっていただくとともに、その魅力を感じていただくことが何より重要です。 同時に、私は、本県農林水産物等は、味や品質では全国各地の有名ブランドと比較しても、決して引けを取らないものの、知名度という点ではまだまだ課題もあると感じていることから、さらなる認知度向上対策が必要と考えます。 県におかれましては、引き続き、大都市圏などへの売り込みと併せ、今後は県内を訪れる観光客に向けたPR強化、また観光分野など、他分野と連携した取組も積極的に進めていただきますよう、強く要望をいたします。 そこでお尋ねをいたします。本県の農林水産物等の魅力発信の強化に向け、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素社会の実現に向けた地域づくりの推進についてお伺いいたします。 地球温暖化が問題視され始め久しいところですが、本年一月、国連の専門機関の一つである世界気象機関が、二○二三年の世界の平均気温が観測史上最高を記録し、産業革命前と比較して一・四五度上昇したと発表するなど、今や、地球温暖化対策、脱炭素社会の実現に向けた取組は、まさに待ったなしの状況です。 国においては、二○三〇年度のCO2排出量を二〇一三年度から四六%削減という意欲的な目標を掲げ、その達成に向けた取組の一つとして、昨年十月には、脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくるための国民運動デコ活をスタートさせました。 本県においても、一昨年十二月に二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を表明し、知事を本部長とする山口県環境政策推進本部を中心に、あらゆる主体が一丸となって脱炭素社会の実現に向けた取組を加速することとしています。 この宣言を実現していくためには、製造業を中心とした産業構造を有する本県において、産業界における脱炭素化が大きな鍵となりますが、それと同時に、私たち県民一人一人が自分のできる地球温暖化対策に取り組むことも、大変重要な要素であると考えています。 実際、家庭部門や業務その他部門における温室効果ガスの排出量は、産業部門と比較して小さな割合ではあるものの、山口県地球温暖化対策実行計画において、産業部門の二倍以上の削減率を目標として掲げているとおり、県民や事業者のライフ・ビジネススタイルの脱炭素化の積み重ねこそ、地球を守り、豊かで快適な暮らしの実現という未来につながっていくのではないでしょうか。 また、今年度は、宣言表明後の本格的な取組の初年度として、普及啓発や再生可能エネルギーの導入支援など、様々な施策を展開されていますが、脱炭素社会の実現は、一朝一夕にかなうものではなく、粘り強く継続的に取り組んでいくことが何より重要です。 そこでお尋ねをいたします。私たちの日常生活において様々な影響を及ぼす地球温暖化が進行する中、今後、県では、脱炭素社会の実現に向けた地域づくりを進めるため、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 次に、保育士の確保についてお尋ねをいたします。 共働き世帯が増加する中、全国的に保育所の利用は年々増加傾向にあり、安心して子育てを行うには、保育環境をさらに充実させることが重要です。 国はこれまで、大規模な待機児童対策の推進を行う中で、保育の量を重視し、受皿である保育所の整備を全国的に行ってまいりました。 しかし、昨今の保育事故等による子育て世帯の不安払拭のため、先般閣議決定されたこども未来戦略では、質・量の両面を重視した方針が示されたところです。 その一つの目玉が、保育士の配置基準の改善であります。 保育の質の向上として、制度発足以来七十五年間、一度も改善されてこなかった四、五歳児に対する配置について、三十対一から二十五対一へと改正するものであり、現在、関係省令の改定作業が進められております。 しかし、こうした保育の安心につながる取組を進められようとする中で、大きな課題となるのが、保育の受皿の片翼を担う保育士の慢性的な人材不足であります。 現在、県内では、保育士の有効求人倍率が約二倍と高止まりが続いており、現場からは保育士不足に悲鳴が上がっているのが現状です。 そこに来年度からの配置基準の改定、また、未来戦略において、令和七年度以降、一歳児について現行の六対一から五対一への改善が予定されていることを踏まえますと、今後、保育士の確保対策は非常に重要となってまいります。 また、本県では、このたびの当初予算において、第二子以降の保育料の無償化や、保育士加配の支援など、少子化トレンドの反転に向け、非常に重要で力強い施策を打ち出しておられます。私も大きな期待を寄せているところですが、一方で、この取組が進むことで、保育所の利用希望者がさらに増加することも想定されます。 保育士不足の問題を解決しなければ、保育所は子供の受入れができず、その施策効果が十分に発揮できませんし、何より、新たな待機児童の発生につながることは絶対に避けなければなりません。 そのため、県におかれましては、これまで以上に保育士確保に力を注いでいただきたいと願っております。 そのうち、保育士不足の原因の一つである給与面について、国はこのたびの公定価格の改定において、基本単価の大幅な引上げを行うこととしており、また、今後も民間給与動向を踏まえ、さらに処遇改善を進める方針も明らかにされております。 本県においても、こうした国の動きと連動し、離職防止や就職・復職支援などの確保対策を総合的に進め、さらに、広島や福岡などの大都市に挟まれた本県では、県外流出対策などの独自の対策もしっかりと進めていただきますよう、強く要望をいたします。 そこでお尋ねをいたします。働きながら安心して子育てができる保育の充実に向け、県では、保育士の確保について、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、妊娠・出産の願いに寄り添った不妊治療への支援についてお尋ねをいたします。 女性の社会進出やライフスタイルの多様化等が広がる一方、晩婚化や晩産化が進行しています。 妊娠する力である妊孕性は加齢に伴い低下する傾向にあることから、晩婚化・晩産化に併せて、不妊治療の件数は近年増加しており、国の調査では、実際に不妊の検査や治療を受けたことがある御夫婦は二二・七%、これは夫婦全体で言うと約四・四組に一組の割合にもなります。 このような中、治療を希望される方の大きな課題の一つに経済的な負担が挙げられます。なかなか妊娠がかなわない中で高額な治療費がかさみ、子供を授かることを断念してしまう方もおられると伺っております。 そこで、国はタイミング法など従前から保険適用とされていた一般不妊治療に加え、令和四年度からは不妊治療の保険適用範囲の拡充を行いました。人工授精、そして体外受精や男性不妊などのいわゆる特定不妊治療も保険対象となり、負担軽減に大きな期待が寄せられました。 しかし、実際には、高額療養制度による負担軽減はあるものの、治療によっては、自己負担しなければならない金額が高額であったり、保険適用と併用が認められている先進医療は、患者負担が十割であるなど、依然として経済的負担は大きな課題として残っております。 こうした問題に対し、県では、新年度予算において、保険適用化された特定不妊治療の自己負担部分や、保険適用外である先進医療に対しても独自の助成を行うなど、全国トップクラスの支援を実現されました。これは不妊治療に向き合う皆さんにとって、きっと大きな希望になるものと信じています。 一方、不妊治療には精神的な負担も大きな課題とされていることを忘れてはなりません。治療が数年にわたる方もおられ、出口の見えない不安やストレスなどメンタルの不調から、不妊鬱と言われる、鬱症状に苦しむ方もおられるのが実態です。 治療の大きなハードルであった経済的負担が、このたびの県の支援により大きく軽減されることで、治療を望む方が今後さらに増加することも予想されます。 私は、一組でも多くの御夫婦が、治療の先にある幸せや喜びを実現していただきたいと願ってやみません。そのためにも、県におかれましては、経済的な支援はもとより、御夫婦が希望を持って治療に向き合えるよう、精神面も含めた両面から、きめ細かい支援に取り組んでいただきますよう、よろしくお願いをいたします。 そこでお尋ねをいたします。不妊治療により子供を授かりたいと願う方への寄り添った支援について、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、部活動の地域移行についてお尋ねをいたします。 始まりは明治時代の学校制度発足にまで遡ると言われるほど長い歴史を刻んできた部活動にとって、令和五年度は大きな節目の一年となりました。 国が部活動を地域単位での活動に移行する方向性を示す中、本県においても、昨年十月、今年度から三年間を改革推進期間と位置づけ、県内全ての市町において、まずは休日の中学部活動の地域移行に向けた取組を進める方針を打ち出されました。 私の地元下関市においても、行政や学識経験者、教育・スポーツ・文化団体からなる委員会を設置し、市としての今後の方針について検討を進めているところです。 しかしながら、改革推進期間の初年度を終えようとする現在、全国も含め、残念ながらその取組が進んでいない市町が多く、その理由の一つとして、知見や情報、ノウハウ不足等が挙げられていますが、そもそも何十年も続いてきた部活動の大変革であると、優位な事例もないのが現状です。 全ての市町が不安なく地域移行に向けた一歩を踏み出していくためには、最新の情報提供や市町間の連携構築などが不可欠であり、ぜひとも県には、市町に寄り添った支援を行っていただきたいと考えています。 また、実際に地域移行を進めるに当たっては、地元の保護者の皆さんから、これまで部活動が果たしてきた様々な役割が失われてしまうのではないかと心配する声もお聞きしています。 私自身、幼少期は運動が大の苦手でありましたが、中学入学後、サッカー部へ入部し、すばらしい指導者や仲間と出会い、また多くのことを学びながら、心身ともに成長することができました。 こうした部活動が有していた体力・技能の向上や連帯感の醸成など、言わば教育的意義については、地域移行後も新たな地域クラブ活動の中でしっかりと受け継いでほしいと考えていますが、そのためには、これまで部活動を指導し、引き続き指導意欲のある先生方が、その力を発揮できるよう環境整備をしていくことも重要と考えます。 加えて、これまで学校教育の一環として行われてきた部活動が、地域へ移行することにより、学校教育の質そのものが低下してしまうことも避けなければなりません。 本県の未来を担う子供たちが、地域移行後も学校教育の中で引き続き部活動と同様の効果を享受できるよう、創意工夫の上、教育活動を充実させていくことが、これからの学校に強く求められているのではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。全ての市町が円滑に部活動の地域移行を進めるとともに、移行後は地域と学校それぞれにおいて、これまでの部活動の教育的意義を継承していく必要があると考えますが、県教委として、今後どのように取り組まれるのか。これまで学校現場でも勤務され、この三月末をもって、その役職を御勇退される副教育長に御答弁をお願いいたします。 以上で質問を終わりますが、最後に、令和六年能登半島地震の発災に当たり、被災地の一日も早い復興を皆さん方と一緒に願い、私の一般質問といたします。ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)西本議員の御質問にお答えします。 まず、若者や女性の定着と還流についてです。 深刻化する人口減少を克服するためには、その大きな要因である、女性を中心とした若者の県外流出に何としても歯止めをかけていかなければなりません。 そのため、私は、従前の取組を抜本的に見直し、当事者である若者・女性にさらにしっかりと焦点を当て、その再構築を図るため、県議会からの御提言も踏まえ、大学生などから就職等への考えを深く掘り下げて伺ったところです。 その結果、若者が、仕事を通じて社会に貢献したいと考え、変化する時代の中、知識やスキルの向上に高い意識を持っていることや、多くが共働きを前提とした人生を想定していることなど、その意識の変化を改めて認識いたしました。 また、県内企業の認知度が低く、その魅力が十分に伝わっていないことや、デジタル関連など希望する業種の就職先を県内に求めていることなどの課題も見え、改善を図る必要も強く感じました。 一方で、暮らしやすさは高く評価されており、それを都市部にはない、本県の強みとして、前面に出してアピールすべきとも考えたところです。 このたびの総合戦略には、そうした若者のニーズや価値観を踏まえた、これまでにない切り口からの施策を盛り込んでおり、これらを強力かつ迅速に推進し、若者や女性に選ばれる、希望ある山口県を実現できるよう取り組んでまいります。 まず、若者の県内就職の促進に向けては、若者自らが企画する企業紹介イベントの実施や県独自の就職サイトの機能強化等により、県内企業の仕事の社会的意義ややりがいをPRするなど、若者の価値観に響く情報発信を進めます。 また、若者の希望にかなう就業環境を実現するため、キャリアアップを支援する取組の強化とともに、ワーク・ライフ・バランスの充実に資する男性の育児休業の取得や福利厚生の充実、テレワーク等の新たな働き方を進める企業を積極的に支援していきます。 加えて、若者に魅力ある雇用の場を創出するため、私が先頭に立って、成長産業である半導体や蓄電池、デジタル関連企業等の誘致をさらに進めていきます。 若者の還流の促進に向けては、若者・子育て世代に、本県の強みを生かした効果的なアプローチを行っていきます。 具体的には、SNS等を活用した、暮らしや子育てのしやすさなど、本県の魅力を前面に出した情報発信や、お試し暮らし住宅の整備を行うとともに、県内での就業等を促進する移住支援金も拡充するなど、若い世代に寄り添いながら、きめ細やかに対応していきます。 そして、こうした施策について、今後も若者・女性の意見を定期的に伺い、ニーズの変化等を捉えた見直しも行いながら、その実効性をさらに高めていきたいと考えています。 私は、市町や企業、大学等と緊密に連携して、若者の定着・還流に向けた取組を強力に推進し、人口減少の克服に確かな道筋をつけられるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、アウトドアツーリズムの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍を契機に、体験型の旅行が人気を博すなど、観光客のニーズが事消費へと大きく変化している中、アウトドアに着目した観光需要が拡大してきています。 私は、こうしたトレンドを追い風に、自然豊かな本県の強みを最大限生かした、山口ならではのアウトドアツーリズムを強力に推進しており、これまでにない新たな人の流れと活力の創出により、県内観光産業全体の活性化につなげていきたいと考えています。 このため、今年度立ち上げた、やまぐちアウトドアツーリズム創出会議の下、取組をさらに強化することとしており、魅力ある体験コンテンツの充実や戦略的なプロモーションの展開により、国内外からの誘客拡大を図っていきます。 まず、魅力ある体験コンテンツの充実に向けては、本県誘客の起爆剤となる独創的で付加価値の高いコンテンツの開発に向け、引き続き、上限一億円の補助事業を実施し、民間事業者の取組を後押ししていきます。 また、お示しのとおり、市町等と連携した取組として、秋芳洞の未公開エリアにおける探検プログラムの開発等を行っており、こうした優れた取組を県下各地に展開していくため、新たに、意欲ある観光地域に専門家を派遣し、伴走型支援を行うこととしています。 さらに、アウトドアスポーツのコンテンツとして、里、山、海が近い本県の特色を生かして、株式会社モンベルのイベントとして人気が高い「SEA TO SUMMIT」を誘致し、絶景のサイクリングコースや透明度の高い海でのシーカヤックなど、本県の多彩な自然を体験する機会を創出します。 次に、戦略的なプロモーションについては、アウトドアフィールドとしてのブランド確立に向け、山口きらら博記念公園において大規模なシンボルイベントを開催するほか、多彩なアクティビティーが楽しめる夏休み期間を中心に、体験コンテンツの利用促進キャンペーンを展開していきます。 また、サイクリングなど魅力ある体験コンテンツに、宿泊や温泉、文化、食等の観光資源を効果的に結びつけた周遊ルートを開発することとしており、これをターゲティング広告等により効果的に発信し誘客促進を図ることで、地域全体の観光消費の拡大につなげていきます。 さらに、台湾や韓国の観光客から人気の高いトレッキングやサイクリングのツアーなど、アウトドアを活用した宿泊旅行商品の造成を促進し、海外からの誘客拡大を図っていきます。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、観光産業の活性化に向け、本県の強みである豊かな自然を生かしたアウトドアツーリズムの推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)本県農林水産物等の魅力発信の強化についてのお尋ねにお答えします。 世界的な和食への人気の高まり等に伴い、日本産食材に対する需要が拡大する中、海外や大都市圏の旺盛な需要を確実に取り込むためには、味や品質に優れた本県の農林水産物等の魅力を最大限生かしながら、積極的な販路開拓を進めることが重要です。 このため、これまで、県産農林水産物等を国内外の情報発信会等でPRするとともに、県内産地へバイヤーを招聘した商談会の実施や、ホテル等でのやまぐちフェアの開催等により、新たな取引先の開拓を進めてきたところです。 特に、やまぐち和牛燦については、これまでの台湾との交流の積み重ねや、知事のトップセールス等の取組の結果、先月、台湾への初輸出が実現したところであり、現地のメディアでも取り上げられ認知度が向上するなど、着実な成果が上がっています。 こうした中、ニューヨークタイムズの記事を契機に、国内外からの本県への関心がさらに高まり、県内を訪れる観光客の増加が期待されることから、県としては、この機を逃さず、県産農林水産物等の魅力発信の取組を一層強化することとしています。 まず、台湾やASEAN地域をはじめ、国内外に向けて、知事によるトップセールスややまぐちフェア等を引き続き実施するとともに、本県に有名シェフ等を招聘し、食材提案を行うなど、県産品の魅力を積極的に売り込むこととしています。 次に、本県の観光客に対するPRの強化に向けては、県産食材を利用した料理を提供するやまぐち食彩店ややまぐち旬彩の宿の新規開設や利用を促進し、県産農林水産物等のさらなる認知度向上を図ってまいります。 また、観光・交通事業者等と連携し、産地見学会や旬の収穫体験など、魅力ある県産食材を堪能できるツアーを提案することにより、旅行商品の造成につなげることとしています。 さらに、国内外からの観光客向けに、本県の魅力ある食材や料理等を多言語で分かりやすく解説するデジタルガイドを新たに作成するとともに、やまぐち食彩店等の情報を容易に入手できるQRコードを駅や空港等に掲示するなど、県産食材の一層のPRに努めてまいります。 県としては、今後とも、生産者団体や観光事業者等と緊密に連携しながら、国内外に向けた県産農林水産物等の魅力発信の強化に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)脱炭素社会の実現に向けた地域づくりの推進についてのお尋ねにお答えします。 地域の脱炭素化は、地球温暖化対策はもとより、再生可能エネルギーの導入促進等による地域経済の活性化や、災害に強い地域づくりにも資することから、その取組は極めて重要です。 このため、県では、各主体と連携・協働の下、地球温暖化対策実行計画に基づき、脱炭素型ライフ・ビジネススタイルへの変容を促すための取組を計画的かつ効果的に進めています。 まず、県民や事業者の脱炭素化に向けた機運醸成を図るため、市町等と連携し、ぶちエコアプリを活用した各種キャンペーン等を展開するとともに、事業者向けの脱炭素セミナーや省エネ診断等に取り組んでいます。 また、省・創・蓄エネ設備の導入に向けて、新築ZEHの補助や既設住宅向けの太陽光発電施設等の共同購入に加え、中小企業向けの補助制度により支援しているところです。 さらに、太陽光発電設備で発生したエネルギーを有効活用するため、県有施設に電気自動車等を率先導入し、ゼロカーボン・ドライブの普及啓発拠点として整備を進めています。 しかしながら、こうした取組は緒に就いたばかりであり、お示しの削減目標の達成や脱炭素社会の実現に向けては、県民総参加で継続的に取り組む必要があることから、来年度予算では、その拡充を図ることとしています。 具体的には、まず、次代を担う若年層の人材育成等を図るため、山口大学と連携した環境学習を実施するとともに、関心がない方をはじめ、多くの県民が気候変動の影響を認識し、実践行動を開始するきっかけづくりとして、誰もが気軽に参加でき、啓発効果の高い体験型イベントを開催します。 また、設備導入を一層促進するため、安価な導入が可能となる共同購入支援については、事業所向けを創設することとしています。 さらに、新たに四つの県有施設でゼロカーボン・ドライブの整備を進めるとともに、普及啓発拠点における分散型エネルギーとしての環境面やコスト面、災害対応面などの効果を発信することで、市町や民間企業の様々な施設への導入を促進し、地域の脱炭素化を目指していきます。 県としては、今後とも、県民や事業者、関係団体、市町等と連携し、脱炭素社会の実現に向けた地域づくりに積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)保育士の確保についてのお尋ねにお答えします。 共働き世帯が増加し、保育ニーズが拡大する中、子育て家庭が安心して保育サービスを利用できるよう、保育士の確保を進めていくことは重要です。 このため、県では、市町や関係団体等と連携し、新卒者の県内就職の促進や、潜在保育士の再就職支援、離職防止対策等に総合的に取り組んでいるところです。 具体的には、新卒者の県内就職の促進に向けては、保育士就職ガイダンスの開催や、県内保育士養成施設の学生を対象とした返還免除要件のある修学資金の貸付けなどを行っているところです。 来年度は、職員配置基準の改善等に伴い、さらに必要となる保育士の確保に向け、修学資金貸付制度の対象に、広島県や福岡県などの県外の保育士養成施設に進学した学生を新たに加えるとともに、メルマガにより県内就職情報を発信するなど、県外からの就職を促進する取組を強化してまいります。 また、潜在保育士の再就職支援に向けて、保育士バンクに配置したコーディネーターによる保育所と潜在保育士のマッチングや、再就職支援研修などに引き続き取り組みます。 さらに、離職防止対策については、ICT活用の推進など業務改善に向けた啓発セミナー等を開催し、保育士の働き方の見直しが進むよう、マネジメント支援を行うとともに、保育士の処遇のさらなる改善に向けて、引き続き、国に要望してまいります。 県としましては、今後とも、市町や関係団体等と連携し、働きながら安心して子育てができるよう、保育士の確保に積極的に取り組み、保育の充実を図ってまいります。 次に、妊娠・出産の願いに寄り添った不妊治療への支援についてのお尋ねにお答えします。 不妊治療は、長期にわたり段階的に治療を行うため、経済的な負担や、先行きの見えない精神的負担も大きいことから、安心して不妊治療を受けられる環境づくりを進めることが重要です。 このため、県では、不妊治療に係る経済的負担の軽減を図るとともに、不妊治療に悩む方に寄り添ったきめ細やかな支援に取り組むこととしています。 まず、経済的な負担の軽減については、これまでの一般不妊治療や人工授精に対する助成に加え、来年度から、生殖補助医療に係る自己負担分と先進医療に係る経費を補助する、全国でもトップ水準となる支援制度を創設します。 次に、不妊治療に悩む方に寄り添った支援については、県立総合医療センターに設置している不妊専門相談センターや、健康福祉センターで実施する不妊専門相談会において、専門医や助産師等による、きめ細やかな相談対応や助言を行っています。 また、妊活を考える集いを開催し、当事者や家族、職場等における不妊症や治療に対する理解を深めるための講演会や、専門医等による個別相談会に加え、社会保険労務士による不妊治療と仕事の両立支援に向けた相談対応も行うこととしています。 県としましては、今後とも、子供を授かりたいと願う方の希望がかなうよう、関係機関等と連携し、不妊治療への支援の充実に取り組んでまいります。 〔國吉健康福祉部長の発言中、島田副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)木村副教育長。 〔副教育長 木村香織君登壇〕 副教育長(木村香織君)部活動の地域移行についてのお尋ねにお答えします。 少子化の中にあっても、将来にわたって、子供たちがスポーツ・文化芸術活動に継続して親しむことができる機会を確保することは重要でありますことから、県教委では、観光スポーツ文化部や市町等と連携し、中学校における部活動の地域移行を進めているところです。 この地域移行の実現に向けては、お示しのとおり、市町に寄り添った支援を行うとともに、部活動が有してきた教育的意義を地域だけでなく、学校での活動にも継承していくことが必要であると考えています。 このため、まず、市町への支援については、県内外の先進事例や最新動向等を提供するためのセミナーや情報交換会の開催に加え、地域移行に向けた体制を整備するために市町が設置した協議会への参画などにより、市町間の情報共有や連携強化を図ってまいります。 次に、地域への教育的意義の継承に向けては、昨年十月に策定した、山口県新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針に、部活動の教育的意義や役割について、新たな地域クラブ活動において継承・発展させることを位置づけたところであり、市町と連携し、受皿となる団体の指導者に対する研修等を通じて、その浸透を図っていきます。 また、意欲のある教員等が地域で指導できるよう、希望者を対象とした説明会の開催により、指導者の募集情報の提供や人材バンクへの登録の働きかけを積極的に行うなどの環境づくりを進めてまいります。 さらに、学校教育活動への教育的意義の継承に向けては、教育課程に関する研修会や市町教委と連携した学校訪問等を通じて、部活動が有してきた教育的意義が各教科の授業や生徒会活動、学校行事など、様々な教育活動において引き継がれるよう、教職員の意識の醸成に努めてまいります。 県教委といたしましては、次代を担う子供たちの育成に向け、観光スポーツ文化部や市町、関係団体等と緊密に連携し、部活動の地域移行を着実に進めるとともに、市町教委や学校等と一体となって、部活動の教育的意義を学校の教育活動にしっかりと継承することにより、本県教育のさらなる質の向上につなげてまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。