1 県民の政治参加について 2 ライドシェア等の普及・拡大について 3 地域における食料安全保障の考え方について 4 へき地医療提供体制の確保について 5 県の行財政改革に伴う公の施設の今後の管理について 6 その他
副議長(島田教明君)笹村直也君。 〔笹村直也君登壇〕(拍手) 笹村直也君 皆様、お疲れさまです。自由民主党会派の笹村直也です。 冒頭、私の地元萩市の姉妹都市である、石川県輪島市を含む、能登地方における震災におきまして、お亡くなりになられた方々並びに御遺族の皆様方に、心より哀悼の誠をささげます。また、今なお避難生活を強いられている皆様に、心よりお見舞い申し上げます。 昨年の九月定例会に続きまして、二回目の一般質問に登壇させていただくことになりました。通告に従い、元気よく質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございます。 まず最初に、県民の政治参加について、大きく二つに分けて質問いたします。 一つ目は、投票率の向上についてです。 人口減少などの諸課題と同じく、本県に限ったことではありませんが、各種選挙における投票率は低下の一途をたどっています。 昨年の県議会議員選挙では、県全体の投票率は三九・七五%で、二〇一九年前回選の四四・〇三%から四・二八ポイント減となっています。 国政選挙においては、二〇二一年秋の衆院選は、小選挙区が四九・六七%で、その前の二〇一七年の五五・二三%から五・五六ポイント減となっています。 選挙区情勢や天候など、様々な要因はあるにせよ、前回選で投票率が五〇%を割ったのは、四十七都道府県で山口県のみで、全国最低でした。 先日、新聞記事で注目すべき取組を目にしました。茨城県つくば市は一月、電気通信事業大手KDDIなどと連携して、有権者が事前予約した日時に投票箱を載せた車両が自宅の前まで来て投票ができる、オンデマンド型移動期日前投票所を使った模擬投票の実証実験を行いました。今年秋に予定されている市長選と市議選で実用化を目指し、予算措置もされているということです。 移動が難しい高齢者や障害を持つ方でも簡単に投票ができ、駐車スペースの関係で自宅前に移動投票車が止められない場合は、近くの駐車場や公共施設などへの送迎サービスも併せて提供します。 また、立会人二人のうち一人はロボットの遠隔操作で担うことで、公正を担保しつつ、人手不足の克服も図る取組です。 実際、利用者からは、予約も簡単で家族に負担をかけなくて済む、高齢化が進む中、必要な制度だ、などおおむね好評だったということです。 このほか、今後、国との調整が必要ではありますが、鳥取県が全国で初めて投票所の立会人の役割を遠隔地から担えるようにするオンライン立会いの導入を検討すると表明しました。人手不足を解消し、投票所の減少を食い止めることは、投票率の向上に資する取組と言えます。 本県においては、村岡知事を先頭にデジタル化、DX化に率先して取り組んでおられると承知をしています。選挙は民主主義の根幹をなすものであり、投票率を向上させることが県政への関心を高めることにつながるのは疑いようがありません。こうした新しい技術や規制改革特区の制度を活用していくことも重要ではないかと考えます。 そこでお尋ねします。県内の各種選挙における投票率の現状をどのように捉え、また、先ほど御紹介した新たな事例なども踏まえ、投票率向上に向けて、今後どのように取り組まれるか、御所見をお聞かせください。 二つ目は、関連して、事若い世代に焦点を絞り、主権者教育についてお尋ねします。 二〇一六年に選挙権年齢が満十八歳以上に引き下げられ、八年がたちました。この間の本県における十八、十九歳の投票率は、二一年衆院選で二九・九一%、二二年参院選で二八・九一%と、全国的に同じ傾向ではありますが、全体より低くなっており、主権者教育が急務であると考えます。 我が国では、今から約百三十年余前の一八九〇年(明治二十三年)に、日本で初めての選挙として衆議院議員総選挙が実施されました。このとき、選挙権を得たのは満二十五歳以上、直接国税十五円以上を納めている男性のみであり、全人口の僅か一%程度でした。 その後、満二十五歳以上の男性全て、戦後には二十歳以上の男女と範囲が拡大されてきました。 戦後初の普通選挙が実施された際に、投票のために長蛇の列ができている様子の写真が、社会科の教科書に掲載されていたことを記憶されている方もいらっしゃるかもしれません。そのくらい、選挙権というのは市井の人々が獲得を熱望し、そのための運動を展開してきたという歴史があるわけです。 私が中学、高校生だった当時、学校ではそういった運動の詳細について教わった記憶はほとんどなく、試験で、直接国税( )円以上を納める( )歳以上の男子、と空欄の数字を単に答えさせるなど、いわゆる暗記学習に終始していたと思います。 先人たちの努力の上に、現在の選挙制度が確立されていることを子供たちがよく理解すれば、政治への関心や投票行動にも幾分かは変化があるはずです。 主権者教育の難しさとして、教育と政治との距離という指摘がよくなされます。当然、特定の政党や政治家を教員が公に支持するような教育は容認できませんが、子供たちが歴史的背景等を踏まえながら、現実に即し、実践的に学べるよう、創意工夫の上、学習を進めていくことは必要であると思います。 また、よりよい主権者教育を行うためには、教室の中だけにとどまる必要はないと考えます。昨年十一月に、東京で開かれた総務省主催のシンポジウムでは、主権者教育が取り上げられ、都道府県の境や党派を超えて、危機感や対応の難しさが共有されましたが、その中で興味深い取組を目にしました。 群馬県議会では高校等を訪問する「GACHi(ガチ)高校生×(かける)県議会議員~政治を知らなきゃソンをする!~」を実施しています。 GACHiは真っ向勝負を意味するガチンコを略した言葉です。県議会議員と高校生が本音で語り合う内容のイベントで、若い世代の関心を引くため、ネーミングから腐心したということでした。 本県においても、この議場で高校生県議会を開会するなど、県と県議会が協力して継続的な取組をしているところですが、こうした座学だけでない、より多くの生徒の興味関心を引くような取組を検討していくことも求められていると考えます。 そこでお尋ねします。若い世代の投票率向上が課題となる中、高校における主権者教育の現状と今後の取組について、県教委の御所見をお聞かせください。 次に、ライドシェア等の普及・拡大についてお尋ねします。 ライドシェアは、一般のドライバーが自家用車を使って有料で人を運ぶサービスを言います。 日本ではいわゆる白タク行為として法律で規制されてきましたが、今後法改正の動きが加速すると予想されます。 最近では、輸送業における慢性的な人手不足や高齢化、バス路線の廃止、独り暮らしの高齢者の増加などにより、特に過疎地域や中山間地域では、移動手段の確保が難しく、近年は高齢者の免許返納を促す動きも強まっています。いずれ完全自動運転技術が確立されれば、こうした課題も相当程度解決される時代が到来するでしょうが、その過渡期にあって、本県においても代替移動手段の確保は必須かつ喫緊の課題と言えます。 さらに、山口市がアメリカの有力紙ニューヨークタイムズが発表した二〇二四年に行くべき五十二か所で、世界各地の旅先の中で三番目に取り上げられました。今後はさらに増加すると見込まれるインバウンド需要の対応としても期待されます。 最近話題になっている中学校の部活動地域移行において、旧町村や中山間地域に住む子供たちの移動手段の確保にも資するかもしれません。 私の地元の萩市は観光地ではありますが、タクシーの台数は激減し、日曜や夜間はめっきり見かけることも減りました。観光地なのに何たることかと、市内外の方々からお叱りを受けることもままあるのが現状です。 村岡知事におかれては、昨年十一月八日の定例記者会見で、ライドシェアについて、基本的には検討を進めるべきとの認識を示された上で、いろんな移動の仕方、多様な選択肢があるというのが目指すべき方向だろうと思うと述べられました。 政府では、四月から、タクシー会社が運行管理するという条件つきで、一部地域で時間帯を限って認める方向です。タクシー会社以外の事業者が参入できるかどうかは、今後検討するとされています。 一方、タクシー業界や公共交通を担う業界団体などから懸念の声も出ており、海外の事例等も参考にしつつ、メリットとデメリットをきちんと整理する必要があります。 また、既に一部地域では自治体やNPO法人が運営主体となって、一般のドライバーが送迎する、自家用有償旅客運送のサービスが展開されています。この制度については、今後、自治体をまたいだ運行などについて、各首長の判断でかなり柔軟に運用できるようになります。 地域によって、こうしたサービスの必要度合いは異なりますが、自治体によって取組状況に大きな差異が出ないよう、県として自治体間の調整や指導に力を発揮していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。安全性の担保や民業圧迫との懸念に配慮しつつ、自家用有償旅客運送を含めたライドシェア等の普及・拡大について、県として今後どのように取り組まれるのか、ライドシェア等が解決し得る本県が抱える諸課題にも触れつつ、御所見をお聞かせください。 次に、地域における食料安全保障の考え方についてお尋ねします。 農林水産省は二月、食料・農業・農村基本法の改正案を示しました。気候変動やウクライナ侵攻といった情勢変化による食糧危機を念頭に置いた食料安全保障について、「良質な食料が合理的な価格で安定的に供給され、かつ、国民一人一人がこれを入手できる状態」と定義し、平時から取り組む方針を打ち出しました。 具体的には、一、輸出力の強化による国内生産力の向上、二、合理的な価格形成などを基本理念に据えています。 合理的な価格形成に関しては、これまで基本的に価格形成は市場に委ねられていたわけですが、法律の中で「持続的な供給に要する合理的な費用が考慮されるようにしなければならない」とし、生産、流通、販売といった各段階において適正な価格転嫁の必要性を明記しています。 しかしながら、生産、流通、販売のコストを一貫して指標化することは難しく、長期間のデフレにより、価格を上げるためのノウハウに乏しい生産者がほとんどです。 中山間地に住む高齢の農家にとって、これまで百円で売っていた農産物を百二十円に値上げすることはなかなか難しく、農産物の値上げには消費者の理解を得にくいといった側面もあります。 JAの在り方や望まれる役割も大きく変容する中、行政として現場の声をよく把握した上で、関係機関と連携して、適正な価格転嫁に最大限の配慮をする必要があると考えます。 また、農村の振興に関しては、農業法人の経営基盤の強化、農地の集団化・適正利用、スマート技術を活用した生産性の向上を図った上で、地域社会が維持されるよう、農村の振興が図られなければならないとしています。 私も一、二月に地元萩市の幾つかの農事組合法人の総会や、それらの集合体によって成る株式会社の株主総会にお招きをいただきましたが、先進的な取組を行っているとして注目され、県内外から視察に訪れるようなところであっても、貸借対照表を見ると、厳しい経営の実態があることを突きつけられました。 農業の法人化が一定程度進んだことによって、補助金を得やすくなったり、新しい技術を導入しやすくなったりした面はあると思いますが、まだまだ十分農村部に浸透しているとは言えない状況であり、飼料価格や原油価格の高騰、就農者の高齢化や後継者不足などの課題を挙げれば切りがありません。 本県は、中山間地域を数多く抱え、一次産業が主要産業の一つでもあることから、生命の根幹をなす食分野を行政が下支えし、地域の農業、ひいては県土を維持していくことは重要であると考えます。とかく課題が山積している一次産業においては、目の前の課題に対応することに手いっぱいとなり、明るい未来や将来像を描き切れていないのが現状ではないでしょうか。 そこでお尋ねします。法改正でうたわれている、我が国として目指す食料安全保障、とりわけ農業の在り方を踏まえた上で、県として、どのような農業の姿を目指されているのか、また、そのために何に力を入れていくのか、その道筋についての御所見をお伺いいたします。 次に、僻地における医療提供体制の確保についてお尋ねいたします。 私は、九月定例会で僻地を支える総合診療医の育成についてお尋ねさせていただきましたが、今回は来年度予算案に盛り込まれた新たな施策を含め、今後の取組についてお尋ねしたいと思います。 本県の十万人当たりの医師数は、二〇二〇年時点で全国中位ですが、医師の平均年齢は五十三・三歳と全国で最も高い状況です。中でも私の地元の萩市、阿武町、長門市による山陰地方は特に医師不足と医師の高齢化が深刻で、各市町単位の努力では確保が難しく、市町や医療圏を越えた県の総合調整機能を必要としています。 四月からは医師の時間外・休日労働時間の上限規制も始まり、労務環境の改善に努めつつ、人材を確保する喫緊の必要性にも迫られています。 僻地は、本県面積の約六割を占め、人口でも一七%、二十三万人が暮らしています。僻地の人口は、二〇一五年から二〇二〇年までの五年間で、過疎地域の拡大に伴い、二割以上増加しています。拠点病院や中心市街地から離れ、交通の便が悪いことから、医師確保において不利益が生じています。 こうした状況を改善するため、県においては、一定期間指定された病院で勤務すれば返済が免除される山口県医師修学資金の活用や山口大学医学部における地域枠の設置と増員といった取組を進めてこられました。 医療機関同士の協力では、例えば山口市と萩市の市境にある萩市佐々並地区には、山口市の協力医療機関から週三日、医師が派遣されています。このほか、県内七の公立診療所等に六の協力医療機関から支援が行われていますが、隔週一日という場合もあり、さらに協力体制を強化する必要があります。 新型コロナウイルス感染症の拡大で、デジタル機器を活用して、医師が現地に不在の場合にオンライン診療を行ったり、診療所の医師に対して専門医がオンラインで支援を行ったりするニーズも拡大しています。 また、あらゆる分野で後継者不足が叫ばれていますが、医業も例外ではありません。実際、私の地元の同級生で医師になった開業医の御子息がおりますが、東京で全く違う診療科に勤務し、帰郷の意思はありません。 先生が辞められれば、医療の空白が生じかねず、医業承継も課題の一つです。 僻地で勤務すれば、先進的な症例に当たる機会が限られ、研究活動などにも支障が生じるおそれがあり、二の足を踏む一因ともなっています。 そこでお尋ねいたします。医療資源が限られる僻地においては、県民の命と健康を守るために持続可能な医療提供体制をいかにして確保していくかが重要です。県では来年度予算案に盛り込んだ新たな施策を含めて、これにどのように取り組まれるか、御所見をお伺いいたします。 最後に、県の行財政改革に伴う公の施設の今後の管理についてお尋ねをいたします。 県の行財政改革統括本部会議は二〇二〇年、公の施設について個別に見直し、一、取り壊すか違う形で再利用する廃止、二、施設のある地元市町へ移管、三、県施設として存置した上で指定管理者制度を導入するなど、検討の方向性を示しました。 会議において、このいずれに当たるか継続して見直しを検討する、とされたのが、萩市の萩ウェルネスパーク、柳井市のやまぐちフラワーランド、美祢市の秋吉台国際芸術村など十一施設です。 私の地元である萩ウェルネスパークは二〇〇四年(平成十六年)に総工費約七十九億円をかけて竣工され、公式試合が開催できる野球場、多目的広場、武道館、大型複合遊具を備え、県のホームページには、日本海沿岸地域の健康運動の中核となる公園として県民に親しまれていると記載されています。 開業直後には、スタジアムにおいて、現在の周防大島町出身で、数々のヒット曲を世に送り出した作曲家、星野哲郎先生と門下生たちによる大規模な歌謡イベントや、プロ野球、読売ジャイアンツの二軍戦が行われました。二〇一一年の山口国体では、柔道のメイン会場となったほか、毎年十二月に行われ、二千人が出走する、維新の里萩城下町マラソンのスタート・ゴールでもあります。 日常には、部活動の地域移行に伴うスポーツクラブの活動拠点、また大学野球の中国一部リーグ、至誠館大学の練習拠点として、休日には、大型複合遊具が多くの子供連れでにぎわうなど、地域に欠かせない存在となっています。 現在に至るまで所有は山口県で、萩市が指定管理者になっています。しかしながら、竣工から約二十年が経過し、施設の雨漏りや破損、用具などの老朽化が進んでいます。子供たちが遊ぶ大型複合遊具も塗装が剥げ、危険性のある遊具に使用禁止のロープが張られています。 また、管理を行う人材も高齢化し、斜面の草刈り等がままならない状況となっています。 こうした二〇〇〇年前後の、言うならばまだ県や基礎自治体にまだ財政的余裕があった時代に建てられた箱物の維持管理に係る議論は、様々な施設で起こり得ます。 萩ウェルネスパークに関しては、二年後の令和七年度末に萩市への指定管理期間が終了となり、引き続き県が所有し、萩市が指定管理を行うのか、それとも萩市に移管するのかなどについて、判断することになると考えます。 施設は年間約二千万円の支出超過となっています。当然、管理を委託されている萩市が、収益を向上させるために、より工夫をする必要があると考えますし、あらゆる手だてを講じるのが筋だと思います。 しかしながら、この状況のままで移管されれば、萩市の財政状況を考えれば、早晩運営状況が立ち行かなくなることは明らかです。 県の財政状況も決して余裕がないことは理解をしていますが、いずれにしろ、早急に修繕等に関しても、具体的な計画や負担について取り決める協議の場を設ける必要があると考えます。 実際、地元の至誠館大学が学生主体の管理やネーミングライツなどについて前向きに検討しており、民間への払下げや賃貸契約等の可能性も含めて協議する必要があります。 萩ウェルネスパークを一例として取り上げましたが、各市町においては、自分たちの町に立地する財産をどう活用していくのか、しっかりと計画を立てねばなりません。一方で、現時点では県有施設であることから、県としても市町に丸投げすることなく、責任を持って協議を進めることが求められます。 そこでお尋ねします。萩ウェルネスパークのような公の施設について、市町への移管も含めた管理に関する今後の考え方について御所見をお伺いして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笹村議員の御質問のうち、私からは地域における食料安全保障の考え方についてのお尋ねにお答えします。 近年、農業を取り巻く環境は、担い手の減少・高齢化はもとより、国際情勢の緊迫化や気候変動等により、食料需給をめぐるリスクが顕在化するとともに、燃油や資材価格が高騰するなど、一段と厳しさを増しています。 こうした中、国では、食料・農業・農村基本法の改正案が今国会に提出され、この中で、食料安全保障の観点から、自給率の低い作物の国内生産の拡大や、輸出を通じた需要開拓、合理的な農産物価格の形成等についての議論が進められているところです。 私は、こうした環境の変化を踏まえ、将来にわたって、県民の皆様に安心・安全な食料を安定的に供給することが極めて重要と考えており、このため、今後、生産性と持続性を両立した力強い本県農業の実現に積極的に取り組むこととしています。 具体的には、まず、食料生産を支える農地の維持・確保を図るため、農地の大区画化・汎用化に資する基盤整備を積極的に進め、生産性を高めるとともに、農地中間管理機構等を活用した担い手への農地の集積・集約化を図ってまいります。 次に、中核経営体の育成や経営基盤の強化を図るため、引き続き、意欲ある担い手の法人化や経営規模の拡大等を積極的に支援するとともに、新たに新規就農者等が中古の農業機械や施設を有効活用できる仕組みを構築し、県内外からの就農を促進します。 また、持続可能な生産供給体制を確立するため、水稲の作付面積の拡大に向けて、需要の高い加工用米などの生産に取り組む経営体を支援するとともに、野菜等の生育を促進するための環境制御システムなど、食料増産につながる農業DX技術の導入も促進してまいります。 さらに、県産農産物等のさらなる需要拡大を図るため、大都市圏や海外への売り込みを一層強化するとともに、県内においては、ぶちうま!アプリを活用した販売促進などにより、地産地消の取組を着実に推進することとしています。 加えて、厳しい経営環境にある農業者の経営継続を図るため、肥料や配合飼料の価格高騰分の一部を支援するとともに、引き続き国に対して、持続的な生産が可能となる合理的な農産物価格の形成に向けた検討が進むよう要望してまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体等と連携し、食料の安全保障につながる生産性と持続性を両立した力強い農業の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)京牟礼観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 京牟礼英二君登壇〕 観光スポーツ文化部長(京牟礼英二君)ライドシェア等の普及拡大についてのお尋ねにお答えします。 地域交通を取り巻く環境が厳しさを増す中、本県においても、運転士不足等によるバスの減便やタクシー不足などが進行し、地域における移動手段の確保が喫緊の課題となっています。 こうした中、国では、運転士不足の深刻化や急増するインバウンド観光等の移動需要に対応するため、タクシー事業者の運行管理の下で、地域の自家用車やドライバーを活用するライドシェアを、本年四月から、タクシーが不足する地域や時間帯等において導入する方向で検討が行われています。 また、中山間地域などの交通空白地において、市町やNPO法人等が行う自家用有償旅客運送については、昨年十二月、交通サービスが限られる時間帯が生じる地域も対象とすることが示されるとともに、市町をまたぐ運行区域の設定などを促す見直しも進められているところです。 本県において、こうしたライドシェア等の導入を、安全性の確保や民業圧迫にも配慮しながら進めていくためには、国や市町との連携はもとより、タクシーやバスなどの交通事業者の協力が不可欠です。 このため、各市町の地域公共交通会議や、来年度新たに設置する運転士確保に向けた協議会を活用して、制度内容や先進事例を共有しながら、市町や交通事業者など、関係者間の相互理解を図っていきます。 その上で、関係者による協力体制の下、タクシー事業者によるライドシェアや、市町等が主体となる自家用有償旅客運送の導入・拡充など、地域の実情に応じた検討が進むよう、必要な助言や調整を行ってまいります。 県としては、今後とも、国の動向を踏まえながら、市町や交通事業者等と連携し、ライドシェア等の新たな仕組みも活用して、地域住民や観光客の移動手段の確保が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)僻地医療提供体制の確保についてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが生涯を通じて住み慣れた地域において、健康で安心して暮らしていくためには、医療資源の限られた僻地においても、必要な医療が、継続的に提供できる体制を確保することが重要です。 このため、県では、僻地勤務を償還免除要件とする医師修学資金により、医師の確保・育成を行うとともに、診療所の医療設備や運営費への支援を通じ、僻地における医療提供体制の整備に取り組んできたところです。 また、限られた医療資源の中で、効率的に医療が提供できるよう、僻地医療拠点病院に医師を集約し配置した上で、複数の僻地診療所に派遣するなど、必要な体制を構築しています。 加えて、オンライン診療は、医師が対面で診療する機会が限られる僻地において有用であることから、市町や医療機関に対し、その有効性を周知するとともに、高額な通信機器等について、導入支援を行っています。 しかしながら、お示しのとおり、僻地においては、診療所の承継者確保や、医師のスキル向上の機会の確保など、様々な課題を抱えているところです。 このため、承継者確保については、税理士等の専門家による相談対応やセミナーの開催により、承継希望者を支援していますが、来年度新たに、民間診療所等を承継する際に必要となる施設改修費や設備整備費等に対する補助制度を創設し、僻地における医療提供体制を維持してまいります。 また、僻地に勤務する医師のスキル向上の機会の確保については、知識や技術を習得しながら勤務が行えるよう、研修を受ける際に、僻地医療拠点病院から診療所への代診医派遣を行うほか、研修費等を支援します。 県としましては、今後とも、市町をはじめとする関係機関や医療機関等と連携し、良質で持続可能な僻地医療提供体制の確保に、積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)県の行財政改革に伴う公の施設の今後の管理についてのお尋ねにお答えします。 公の施設については、施設の老朽化や県民ニーズの変化等を踏まえ、平成三十年に策定した見直しの基本方針に沿って、市町・民間との役割分担や地域振興に資する効果的な利活用などの観点から、全ての施設について検証を行い、移管・運営手法の見直し等の抜本的な見直しを進めてきました。 その中で、関係市町とさらに協議するとしていたお示しの十一施設については、移管等に関する市町との協議を継続してきましたが、新型コロナへの対応による行財政構造改革の一時凍結に伴い、協議を中止しました。 その際、これらの施設については、新型コロナ対策に係る集中投資が終了した時点での社会経済情勢等を踏まえ、新たな見直しの方向性を検討することとし、それまでの間は、県民サービスの低下を招かないよう、必要な修繕等を計画的に実施するなど、従来の管理を継続してきたところです。 このたび、新たな行財政改革へ移行することに伴い、公の施設についても、施設の現状やコロナ後の状況変化等も踏まえ、中長期的な視点で、今後の在り方を検討していくことが必要です。 このため、まずは、各施設における利用状況やその見通し、社会経済情勢の変化による影響等を確認の上、全体的な見直しの方向性を検討していきます。 その上で、本県の大半の指定管理施設の指定期間が令和七年度末に終了することを踏まえ、関係市町とも十分協議し、令和六年度中に各施設の今後の取扱いを決定したいと考えています。 県としては、行財政基盤の一層の強化に向け、今後とも、施設の効率的な管理・運営を行うとともに、県が担うべき広域的・専門的な行政サービスの提供や地域の実情に応じた施設のさらなる利活用などの観点から、公の施設の見直しに取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)秋本選挙管理委員長。 〔選挙管理委員長 秋本泰治君登壇〕 選挙管理委員長(秋本泰治君)県民の政治参加についての御質問のうち、投票率の向上についてのお尋ねにお答えします。 お示しのとおり、本県の投票率が低下傾向にあり、特に、前回の衆議院議員総選挙における投票率が全国で最も低い水準となったことは、民主主義の健全な発展の観点から、憂慮すべきことであると認識をしています。 こうした状況の中、投票率の向上に向けて、有権者の方の投票しやすい環境の確保や整備、効果的な啓発活動に取り組んでいくことが重要であると考えています。 まず、投票環境の確保・整備については、投票所の設置は、公職選挙法に基づき市町村の選挙管理委員会が行うこととされていますが、県選管としても、市町選管に対して、投票環境の向上に積極的に取り組むよう働きかけてきたところです。 こうした中、市町選管においては、投票所への移動が困難な高齢者などに対する巡回バス等による移動支援をはじめ、移動期日前投票所の設置や、商業施設、大学等での期日前投票など、地域の実情に応じた取組が進みつつあります。 県選管としては、今後も、市町選管に対し、有権者の投票環境の確保・整備への検討に資するよう、お示しの事例等も踏まえ、様々な機会を捉えて先進事例の紹介や助言等を行っていきたいと考えています。 また、オンライン等による投票の立会いについては、現時点では、制度上、想定されていませんが、投票所の維持・確保の観点から一つの有効な取組と考えられ、今後の動向を注視してまいります。 次に、選挙の啓発活動についてですが、投票率低下の背景の一つとして、若年層を中心とした政治的無関心や選挙離れ等が指摘されています。 このため、県選管としては、若年層に重点を置いた啓発に一層力を入れて取り組む必要があると考えています。 まず、選挙のない平常時の啓発として、高校生等を対象に実施してきた出前授業について、学校等と連携を一層密にし、その充実に積極的に取り組んでまいります。 また、選挙時の啓発については、SNSやインターネット広告等を活用した情報発信に取り組んでおり、ネット広告では、デジタル技術を活用し、閲覧する側の年代に応じて表示内容を切り替えて発信するなどの取組を行ってきたところです。 今後も、こうした新しい技術などを活用しながら投票を呼びかけてまいります。 投票率の現状は、厳しい状況が続いており、決め手はなかなかありませんが、不断の検討を重ね、一人でも多くの有権者の方が投票に参加されるよう、投票しやすい環境づくりと啓発活動にしっかりと取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)県民の政治参加についてのお尋ねのうち、主権者教育についてお答えします。 選挙権年齢や成年年齢が十八歳以上となる中、国や社会の問題を自分の問題として捉え、自ら考え判断し、行動していく若者の育成に向け、主権者教育を推進していくことは重要であると考えています。 このため、各高等学校等においては、例えば、科目、歴史総合や公共の授業で、選挙権拡大などの歴史と関連づけながら、政治や選挙に関する基礎的な知識・概念を習得するとともに、ボランティア活動やインターンシップなどを通じて、社会参画への意識を醸成したり、他者との対話や議論により、考えを深めていく学びを通じて、自分で考え、判断する力を育成したりしているところです。 また、選挙管理委員会が実施する出前授業の活用や、県議会が実施する議会見学及び模擬議会への参加などにより、実際の投票行動を促す取組も行っています。 お示しのやまぐち高校生県議会においては、次代を担う県内の高校生が、様々な視点で捉えた山口県の課題を、調査やグループ協議を経て提言や質問にまとめ、実際に議員として議場に立ち、質問するという体験をすることにより、県議会の役割や県行政への理解を深め、関心を高めています。 一方で、十代の投票率は、依然として低い状況にあることから、身近な問題を自分たちの力で解決したと実感できる経験を積み重ねることにより、政治や選挙に対する生徒の意識や関心を一層高める必要があると考えています。 今後は、引き続き、これまでの取組のさらなる充実に努めるとともに、地域や学校の課題についての学校運営協議会における熟議や、まちづくりについての市町職員との意見交換や政策提言など、身近な課題に自分ごととして向き合いながら、仲間と力を合わせて解決策を考えていく学習にもしっかり取り組んでまいります。 県教委といたしましては、自ら考え判断し、行動できる高い資質を持った主権者の育成に向け、家庭、地域及び関係機関と連携しながら、高等学校等における主権者教育を積極的に、効果的に、そして公正に推進してまいります。 副議長(島田教明君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時五十六分散会