1 物産振興の取組強化について 2 半導体・蓄電池産業の集積について 3 漁業の存続・発展に向けた取組について 4 在宅医療体制の充実について 5 県職員の確保に向けた採用試験制度の見直しについて 6 教員の確保と働き方改革について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第八十三号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第八十三号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 髙瀬利也君。 〔髙瀬利也君登壇〕(拍手) 髙瀬利也君 おはようございます。自由民主党の髙瀬利也でございます。 病気になりまして一年半たちました。まだまだリハビリ中でございますし、しゃべりのほうもまだ本調子ではありません。多少お聞き苦しいところもあるかもしれませんが、どうか寛容な心でお聞きいただきますようお願い申し上げます。 それでは、通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。 初めに、物産振興の取組強化についてお尋ねします。 オンライン市場のシェアが増す中にあっても、地方ならではの特産品を直接購入することができる観光物産展やフェアは、依然として幅広い層に根強い人気があります。 また、出展者にとっても消費者の反応を肌感覚でつかむことができる貴重な機会であり、さらには、インターネットを通じて、いつでも手軽に物を購入できるようになった今日だからこそ、魅力的な地域の物産品に巡り会える場としての価値も高まっています。 本県には、他の都道府県と比べても、もっと評価されてよい味や品質、歴史や伝統を有していながらも、十分に知られていない物産品が数多くあります。 売り込みの強化や宣伝・広告を通じて、消費者の購買意欲を高める訴求力向上に向けた一層の取組が求められますが、残念なことに、近年は物産展を開催しても一定の売上高が見込めないことが原因となり、認知度を高めていく上で重要となる、大都市圏の有名百貨店での観光物産展が開催できていない状況にあります。 今は、幾ら魅力的な商品であっても、これまでのように並べるだけでは消費者の心を大きく動かすことはできず、逆にありふれたものであったとしても、その背景やストーリーを消費者に見て知ってもらうことで、購買意欲が格段に高まり、継続的な購入にもつながっています。 このため、いかに消費者に響くよう語りかけるかをポイントに、商品の売場で、その生産工程や生産者の画像を工夫しながら流すといった取組や、あるいは、斬新な趣向を凝らし、生産現場とライブでつなぐなどの手法が、民間を中心に用いられています。 こうした民間の力を積極的に活用し、個々の物産品の魅力を時代に沿った形で引き出し、また、民間ネットワークも生かしながら、本県の特色を際立たせる物産販売の機会を多くつくっていかなければなりません。 昨年スタートした新たな観光プロモーション「おいでませ ふくの国、山口」では、その土地ならではの食や体験も観光の魅力そのものという考えの下、県は観光と物産などを緊密に連携させ、相乗効果を高めようとされております。 また、先般、ニューヨークタイムズに山口市が取り上げられたことから、今は、国内外で本県の注目度も高まっていますので、物産振興についても大きなチャンスであります。 首都圏における観光物産展の開催や、本県のアンテナショップ、おいでませ山口館を核とした情報発信の強化など、時代のニーズに沿った新たな手法で、スピード感を持って柔軟かつ積極的に取り組む必要があると考えます。 そこでお尋ねします。本県全体の魅力を高める物産振興の取組強化に、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、半導体産業と蓄電池産業の集積についてお尋ねします。 世界的な市場拡大が今後も見込まれる半導体と蓄電池については、現在、国が経済安全保障推進法による特定重要物資に指定し、国内生産を強化する企業への強力な支援を始めているところです。 このたび完成したTSMCの熊本第一工場と、これから建設される第二工場の二つの投資額は合わせて三兆円を超え、約六兆円の本県の県内総生産の半分に匹敵する途方もない金額ですが、このうち国からの補助金総額も最大で約一兆二千億円と言われています。 また、蓄電池についても、トヨタ自動車の電気自動車などの車載用蓄電池の国内工場建設に対して、国は最大で約一千二百億円の補助金を支給する見込みとなっております。 こうした国の動きを逃すことなく、本県の県内企業の投資拡大やさらなる企業誘致につなげていくため、昨年八月、県は、やまぐち半導体・蓄電池産業ネットワーク協議会を設立し、産学公連携により、半導体産業と蓄電池産業の県内への集積を強力に推し進める姿勢を打ち出されたところです。 こうした中、先月、やまぐち産業振興財団、県産業技術センターと、台湾の政府系研究機関である工業技術研究院、現地の半導体やロボット製造企業で構成される台湾電子設備協会の四者により、技術交流や市場拡大についての覚書が締結されました。 県と県議会が共に築いてきた台湾との確かな交流を生かした成果であり、今後の展開に大きく期待しているところですが、一方で、この分野をめぐっては、国内での誘致競争も本格化しております。 本県には、全国一の給水能力を誇る工業用水道を有しているとはいえ、このほかにも、条件に合う用地の有無や、全国的に圧倒的に不足している人材の確保・育成など、他地域に対し競争優位性を築くためのさらなる取組が求められています。 来年度の当初予算では、半導体産業と蓄電池産業の集積に向けた取組を強化するための施策が盛り込まれていますが、産学公連携の基盤や、台湾との良好な関係をさらに生かし、本県産業力の成長や、若者にとっての魅力的な雇用の場の創出につながるよう、実効性のある取組をしっかりと進めていただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。本県の強みを生かした、半導体・蓄電池産業の集積を、県は今後どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、漁業の存続・発展に向けた取組についてお尋ねします。 本年五月下旬に、新たな商業捕鯨母船関鯨丸が操業開始をするといった明るい話題もありますが、下関漁港の年間水揚げ量の約四割を占める沖合底引き網漁業の操業船が、昭和六十年の四十八隻から十隻にまで大きく減少した事例に象徴されるように、本県漁業は一段と厳しい状況に置かれています。 また、地球温暖化等に伴う水産資源の悪化などによる生産量の減少に加え、近年では、コロナ禍による消費の低迷や、漁船の老朽化、燃油・資材価格の高騰が追い打ちをかけ、漁業経営はまさに窮地に立たされています。 中でも、特に深刻な問題が、漁業就業者の減少です。平成二十年には約六千七百人であったのが、直近の統計である平成三十年では約四千人と二千七百人も大幅に減少し、もはや後がないほどの課題となっております。 かつてのように多くの漁船が停泊し、活況を呈した浜辺の風景は、本県の至るところから消えてしまい、今日の人けの少ない漁港には寂しささえ感じます。 県におかれては、これまでも、スマート漁業による効率化や省力化など、漁業の存続・発展に向けて、漁業関係者や大学などと一体となった課題解決に取り組まれていることは存じておりますが、このような状況を踏まえれば、成果が上がっているとは言い難い状況です。 このままでは、本県漁業を将来にわたって安定的に発展することはもとより、維持することさえ困難になるのではないかとの、強い危機感を覚えます。 漁業は、本県の食のみならず、自然環境やブランド力を支える重要な産業でありますので、まずは、現在の漁業者が今後も継続して操業を続けていけることを最優先に取り組むことが大切です。 昨年、特牛漁港に所属する漁業者の方が不幸にも海に転落してお亡くなりになられました。お一人で漁に出られた日から十日後に発見されたのですが、発見が早ければ助かった可能性もあるのではないかと思われます。 現在では、スマホが何秒間か水につかったら、漁協や個人携帯に知らせが入るなどの落水を感知するアプリもあるようですから、こうしたデジタル技術を使って、漁業者の命を守り、少しでも長く安心して漁業に取り組める環境を整備することも重要です。 あわせて、若い世代が希望を持って参入するための担い手支援対策などをはじめ、漁業のさらなる効率化・省力化に向けた取組も、一層強化していかなければなりません。 そこでお尋ねします。漁業者の減少や資材価格の高騰など、厳しい環境を強いられている本県漁業が将来にわたり存続・発展していくため、県としてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、在宅医療体制の充実についてお尋ねします。 このたび改定される、県の第八次保健医療計画によると、在宅医療のニーズが特に高まる八十五歳以上の人口については、本県においても、二○四○年頃まで増加する見込みとなっています。 誰もが何らかの疾病を抱えながら地域で暮らしていくようになる中で、医療ニーズの増加や、疾病の多様化に対応するためには、在宅医療サービスについて、これまで以上にきめ細やかな充実を図っていく必要があります。 中でも訪問看護は、専門の看護師やリハビリスタッフが、患者の家庭を訪問して看護を行い、自宅で暮らせるよう支援する、在宅療養の言わば要となる存在です。 このサービスを提供するのが訪問看護ステーションですが、令和五年四月一日現在、県内には百六十一の訪問看護ステーションがあり、そのうち六割以上が五人未満の小規模事業者となっています。 このような事業所では、資質向上の研修参加が困難であることや、勤務環境や経営改善の取組に不慣れであるなど、運営に当たって様々な課題を抱えています。また、事業所数は年々増加しているものの、人材の確保・育成がままならず、中には閉鎖に追い込まれている事業所もあるという実態があります。 訪問看護の安定的な提供と質の向上を図るには、こうした小規模事業所について、人材確保・育成面や経営面から、総合的に支える体制が必要であると考えます。 また、生涯を通じて心身の健康を保持する上では、病気や寝たきりでも対応できる在宅歯科の役割もますます重要となります。 しかし、現状を見ますと、経験を積んだ歯科専門職の不足や、サービスの認知不足から、往診を必要とする患者に診療が十分に行き届いていない状況にあります。 また、本県では歯科診療所が減少しており、特に僻地などの無歯科医地区においては、いかにして県民の歯と口腔の健康保持を図るかが重要な課題となっています。 こうした課題にも対応していくことが、高齢化が一層進む中、在宅医療の充実には重要であり、在宅歯科に対応できる歯科専門職の確保・育成はもちろん、関係団体や市町等と連携を一層進め、在宅での歯科診療や巡回の体制を強化していく必要があります。 そこでお尋ねします。高齢化がさらに進行する中、在宅医療体制の充実に向けて、訪問看護や在宅歯科診療の充実強化に、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、県職員人材の確保に向けた採用試験制度の見直しについてお尋ねします。 近年、地方公務員の成り手不足に伴い、採用試験の競争倍率の低下傾向が顕著となっています。総務省の直近の発表によれば、地方自治体全体の職員採用試験についても、過去三十年で最低の競争倍率となったとのことであり、少子化の影響も受け、今後、自治体職員の確保は、一層厳しさが増すと見られています。実際、県内では、通年で職員募集をし、毎月採用試験を実施する自治体も出てきています。 こうした中、本年一月、本県の県職員採用試験の大幅な見直しが発表されました。ようやく、本県でも、採用試験申込者の減少に目が向けられることになったわけで、まずはこの改正に踏み切られた人事委員会を高く評価したいと思いますし、その効果を大いに期待もしています。 一方で、今年度、国においては、国家公務員の一部試験の受験可能年齢を一歳引き下げ、大学二年生でも受験できるよう、また、三年間としていた合格有効期間も六年半に延ばすなど、矢継ぎ早に見直しを図ったにもかかわらず、一般職の試験では志願者数が過去最低となるなど、厳しい結果となりました。 本県においても、様々な障壁はあると思いますが、このたびの見直しで終わることなく、県の施策の方向性と連動した取組など、引き続き、必要な対策を今後も講じていただきたいと思います。 一例を挙げますと、本県は若者の県外流出防止のために、県内大学への進学を勧めています。また、県内大学とも包括連携協定を結ぶなどして、卒業生の県内就職にも取り組んでいますので、こうした大学との連携強化など、今後ぜひ、検討していただきたいと思います。 人材の争奪戦は今後も続き、かつますます激しくなることが明白です。こうした中にあっても、いかに柔軟な発想と高い志を持った人材を県職員として獲得できるかは、今後の県政発展の肝ですから、人材の確保に向けた採用試験制度の改革は、特に優先度を高くして取り組む課題であろうと思います。 そこでお尋ねします。新たな採用試験の受付が、もう既に始まっておりますが、今回の県職員採用試験について、どのような考えと思いで見直しを図られたのか、人事委員会の御所見をお伺いします。 最後に、教員の確保と働き方改革についてお尋ねします。 先日、地元の公立学校に勤める教員の方からお話を伺う機会を得ましたが、その学校では、教員に欠員が出ている状況の中、不登校となっている生徒が四十名近くおり、日々の学習面や生活面、部活動などの指導はもちろん、そうした生徒に対するケアなどについても全力で頑張っておられ、加えて、事務的な書類作成や家庭配付物の印刷、実習の準備など、様々な業務を抱えているため、帰りが深夜にまで及んでしまうこともあるとお話をされておりました。 私自身、かつて教壇に立っていた経験と照らし合わせながら、現在の教員の置かれている厳しい状況について、改めて痛感したところです。 私は、昨年の六月県議会においても、こうした状況について取り上げ、何よりも子供たちによりよい教育を提供するため、中学校二、三年生の三十五人学級の確実な実施を含め、県教委に対し、あらゆる手法により教員確保に向けた取組を進めるよう申し上げさせていただきました。 県教委では、昨年十二月に、小学校の教員を志望する大学生等に対し、教職専門試験を事前実施し、不合格の場合でも本試験の際にリトライできる新たな教員採用試験制度を導入するなど、教員志望者が受験しやすい環境を整えられたところです。この試験には、八十二名の学生が受験したとお聞きしており、県教委の速やかな対応には、私としても大いに評価しているところです。 しかしながら、これはあくまで、教育における安定的な人材確保を再び取り戻すための第一歩です。次代を担う子供たちの学びを充実させるために、優秀な教員の確保は何より重要であり、現状の教員という職に対するマイナスイメージを払拭し、子供の成長に携わる希望ある職として、多くの方に挑戦してもらえる取組を進めていかなければなりません。 また、そのためにも、少人数化や学校の働き方改革が重要となります。冒頭申し上げたように、学校現場の教員はまさに多忙を極めており、こうした状況では、教員の離職や、教員への志望の減少を押しとどめることはできません。 国においては、自由民主党が令和の教育人材確保実現プランとして提言した教員給与の上乗せや働き方改革などの処遇改善について、来年度からの三年間を集中改革期間と位置づけ、法案提出も含めて取組を進めることとしています。県教委においてもこの機に、本県の教員の置かれた環境を抜本的に改革するという強い決意で、教員の確保や働き方改革の取組を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。教員不足への対応が喫緊の課題となる中、教員の確保と働き方改革の推進に、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)髙瀬議員の御質問にお答えします。 まず、髙瀬議員におかれましては、御登壇されるたびに、毎回、どんどん回復されているお姿を拝見して、とてもうれしく思っております。日々の御努力に、心から改めて敬意を表したいと思いますし、これからもさらなる御回復をお祈りしております。頑張っていただきたいと思います。 まず、物産振興の取組強化についての御質問にお答えします。 本県は、豊かな自然や歴史、多彩な文化の中で培われた、魅力あふれる特産品を数多く有しており、その振興を図ることは、地域経済の活性化のみならず、観光振興を図る上でも大変重要です。 こうした中、ニューヨークタイムズの記事を契機に、本県への注目が一躍高まっており、お示しのように、これは物産振興の面でも大きなチャンスです。全国メディアでも、瓦そばが度々取り上げられるようになってまいりました。おめでとうございます。物産と観光との緊密な連携による相乗効果を図りながら、本県特産品の魅力を積極的に売り込んでいきたいと思います。 このため、観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下で展開する観光プロモーションと組み合わせながら、本県特産品の売り込みの機会の創出や、おいでませ山口館を核とした情報発信の取組を強化していきます。 まず、売り込み機会の創出については、催事に強みのある民間の力を活用し、新たに都内の有名百貨店において、本県の魅力ある特産品を売り込む観光物産展を開催し、さらなる販路拡大につなげていきます。 また、多くの人が行き交う都内のターミナル駅周辺で、観光PRや特産品、農林水産物等の販売、移住情報の提供など、多様な切り口で山口への興味・関心を引き寄せる新たな形のイベントを開催し、これまで以上に幅広い層に向けて、本県特産品の認知度向上を図っていきます。 さらに、東京や大阪などの旅行会社やメディア等に向けた情報発信会において、私自らのトップセールスにより、絶景、体験、グルメの観光情報と併せ、本県特産品の多彩な魅力をPRし、誘客拡大につながる物産振興の取組を進めてまいります。 次に、おいでませ山口館を核とした情報発信の強化については、特産品の展示販売や、市町と連携して開催するフェアの充実を図るとともに、SNSを活用して旬の特産品や新規入荷商品などの情報を積極的に発信することとしています。 また、観光情報の発信に加え、ネット販売により特産品を手軽に購入できる総合サイトを開設するとともに、利用者の年齢や購買履歴等のデータを基に、嗜好に合った情報を提供するアプリを構築するなど、デジタルの力を活用し、おいでませ山口館の機能を強化します。 私は、今後とも、市町や関係団体、民間事業者等と一体となって、売り込み機会の創出や効果的な情報発信を進め、本県の魅力を高める物産振興の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、半導体・蓄電池産業の集積についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化の急速な進展や脱炭素化に向けた再生可能エネルギーの拡大等に伴い、半導体・蓄電池分野の世界的な市場拡大が見込まれる中、台湾のTSMCが熊本県に進出するなど、国内投資が活発化しています。 本県は、この両分野に不可欠な部素材等の世界シェアを有する企業が立地するほか、日立ハイテクによる半導体製造装置工場の新設をはじめ、製造装置や部品等を扱う企業も多く集積をするなど、高いポテンシャルを有しており、市場拡大する今こそ、本県の産業力を強化する絶好の機会と考えています。 このため、このたび改定する、やまぐち産業イノベーション戦略では、半導体・蓄電池分野を新たに重点成長分野に位置づけて強力に進めていくこととしており、昨年八月には、産学公による推進体制として協議会を設立し、現在、会員数は百者を超えています。 先月二十三日には、本県産業支援機関と台湾関係団体との四者間で、半導体分野の覚書が締結され、私も締結式に立ち会い、本県での商談会が提案されるなど、産業交流のさらなる拡大が期待されます。 こうした状況を踏まえ、来年度予算において、本県の半導体・蓄電池産業を強化するため、企業誘致の推進をはじめ、研究開発・事業化の促進、販路拡大、人材の確保・育成等の取組を積極的に展開してまいります。 企業誘致の推進に向けては、半導体・蓄電池分野などの成長分野を対象とした最大補助額五十億円の支援制度を活用し、積極的な企業訪問を展開するなど、戦略的に企業誘致を進めます。 具体的には、新規開拓として百社を上回る企業へのアプローチを進める中で、私自ら優良企業トップへの働きかけを行うとともに、本県の立地優位性をPRする企業立地フォーラムを開催するなど、精力的に取り組んでいきます。 研究開発・事業化の促進に向けては、最大一億円の補助制度を新たに創設し、また、中小企業の参入促進を図るための部材開発を支援するなど、企業の前向きな取組を強力に支援します。 販路拡大に向けては、覚書締結を契機として日台双方での企業見学会や商談会等を開催するほか、国内外での展示会出展、県内企業が有する技術シーズの海外への情報発信を強化してまいります。 また、市場拡大に伴い人材ニーズが高まっていることから、協議会の下に検討会を設置し、企業や大学等の現状や課題等を踏まえ、本県としての人材確保・育成に有効な対策を検討してまいります。 私は、世界的な市場拡大の流れを本県経済に取り込むことができるよう、半導体・蓄電池分野の産業集積に向けて全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)三坂農林水産部長。 〔農林水産部長 三坂啓司君登壇〕 農林水産部長(三坂啓司君)漁業の存続・発展に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 漁業者の減少・高齢化や気候変動に伴う生産量の減少、燃油・資材価格の高騰など、水産業を取り巻く環境が一段と厳しさを増す中、本県漁業を将来にわたって維持・発展させていくことが極めて重要であると認識しています。 このため、県としては、持続可能な力強い水産業の実現に向け、今後、新規就業者の確保・育成や一層の生産性の向上に向けた取組を積極的に進めることとしています。 まず、新規就業者の確保・育成に向けては、県独自の就業支援フェアの開催やベテラン漁師による漁業技術研修の実施、さらに、就業後三年間の定着支援給付金の支給など、募集から研修、定着までの一貫した支援を、引き続き強力に進めてまいります。 また、経営開始時のさらなる負担軽減を図るため、新規就業者向けの漁船等リース事業の助成額を来年度から拡大することとしており、これにより、高性能な漁船の導入を促進し、漁業者の経営の安定を図ることとしています。 さらに、漁業者の安心・安全を確保するため、引き続き、関係団体と連携し、操業時の事故防止研修の実施や転落時に自動で救助要請を発信するアプリの普及などにも取り組んでまいります。 次に、生産性の向上に向けては、スマートフォンを活用した操業支援システムを新たに開発・実装し、より精度の高い漁場予測や漁獲情報等の見える化による効率的かつ安定的な操業につなげることとしています。 また、最新のデジタル技術や省力化機器を備えたモデル漁船による漁労作業の省力化等の実証を行い、得られた技術や効果を沖合底引き網漁業やまき網漁業等の各経営体へ広く普及させることにより、漁業経営の効率化を促進します。 さらに、特産品である夏ミカンの皮等を餌として与える本県ならではの養殖技術の開発を進めるとともに、市場価値の高いトラフグやアマダイ等の種苗放流による漁獲の安定化を図るなど、一層の生産量の増大にも取り組んでまいります。 加えて、水産資源の持続的な利用を促進するため、近年、漁獲量が増大しているハタ類等の資源量調査を進め、漁業者に対して適正な漁獲量等の情報を提供する取組も進めることとしています。 県としては、今後とも、漁業関係団体等と緊密に連携しながら、生産性と持続性を両立した力強い水産業の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)在宅医療体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 高齢化が進行する中、療養や介護を必要とする高齢者などが住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、在宅医療の提供体制、中でも訪問看護や在宅歯科診療の充実を図ることが大変重要です。 まず、訪問看護については、お示しのとおり、県内の訪問看護ステーションの六割以上が小規模事業所であり、多くの事業所で、人材やスキル向上の機会の確保、経営改善への取組など、様々な課題を抱えているところです。 このため、県では、来年度、県看護協会と連携して、小規模事業所の抱える課題を一体的かつ一元的に解決する拠点となる訪問看護総合支援センターを設置し、職員の確保・育成や、経営の改善等に向け、取組を強化することとしています。 具体的には、職員の確保・育成については、潜在看護師等の就業促進を図るとともに、人材育成マニュアルの作成・配付や、訪問看護に精通した専門家による助言等を行うこととしています。 また、経営の改善等については、社会保険労務士等の専門家による相談窓口をセンター内に設置し、事業所を運営する上での有効な助言を個別に行うなど、労務環境の改善や経営基盤の強化に向けた取組を支援してまいります。 次に、在宅歯科診療については、高齢化の進展に伴う通院困難な患者の増加や、僻地などにおける歯科診療所の減少に対応するため、在宅歯科保健医療の充実や、無歯科医地区における歯と口腔の健康保持が課題となっています。 このため、まず、在宅歯科保健医療の充実に向けて、県歯科医師会との連携により、在宅歯科保健医療連携室を拡充し、訪問診療に係る人材育成や相談対応、関係機関等との連携強化を図るとともに、新たな訪問診療用機器を導入するなど、診療体制の強化に取り組んでまいります。 次に、無歯科医地区における歯と口腔の健康保持については、関係団体や民間企業と連携した口腔機能検査や口腔体操などの実施に加え、新たに市町と協働し、僻地や離島などにおいて、歯科専門職が公民館等に出向いて、巡回歯科検診を行うこととしています。 県としては、こうした取組を通じて、市町や関係団体等との緊密な連携の下、訪問看護や在宅歯科診療の機能強化を図り、在宅医療の提供体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)上野人事委員長。 〔人事委員長 上野清君登壇〕 人事委員長(上野清君)県職員の確保に向けた採用試験制度の見直しについてのお尋ねにお答えをいたします。 お示しのように、全国的に公務員試験の倍率が低下傾向にあり、本県でも、県職員への志願者を増やし、安定的に人材を確保していくことは、喫緊の課題となっております。 こうした中、公務員試験に関しましては、民間就活情報サイトの調査結果等によりますと、民間企業と比べて実施時期が遅いこと、試験やその準備のための負担感が大きいことなどの意見が多く寄せられております。 これらを踏まえ、これまで、例えば、行政職の大卒程度試験において、六月実施の従来型の試験は併存しながらも、採用予定枠の一部にチャレンジ型の試験区分を設け、民間の内々定解禁日に対応した試験の前倒し実施とともに、従来の教養・専門試験に代え、企業の採用選考で利用されるSPI試験を導入するなどの見直しを進めてまいりました。 この結果、全体では、申込者の減少傾向が続いているものの、チャレンジ型では、民間企業を志望する学生や幅広い学部卒業生からの申込みにつながり、受験者は増加をしてきております。 こうしたことから、今回の試験制度の見直しでは、さらに志願者の裾野が広がるよう、学生の就職活動や企業の採用手法などを考慮した上で、チャレンジ型をやまぐち型として拡充し、全国的にも先進的な内容に一新したところであります。 この試験では、採用予定枠の大幅な拡充や幅広い八職種での実施とともに、一次試験では、全都道府県に設置される試験会場から、受験者が都合のよい場所や日時を選択できるテストセンター方式で行うなど、踏み込んだ内容といたしております。 また、見直しの目的や内容を周知するために、新たにオンライン説明会の開催や、民間就活情報サイトの活用とともに、県内の大学や就職支援協定を結んだ大学への重点的な情報提供などに取り組んでいます。 御指摘のような、まさに人材の争奪戦とも言うべき状況の中にあって、人事委員会といたしましては、今後の県の施策の方向とも呼応し、県政を担う人材の確保につながるよう、引き続き、試験制度の見直し等に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員の確保と働き方改革についてのお尋ねにお答えします。 全国的な課題である教員の不足や多忙化については、本県においても同様に厳しい状況にあり、子供たちによりよい教育を提供するためには、お示しのとおり、教員の確保と学校における働き方改革に取り組むことが重要です。 このため、県教委では、今年度、県内外への大学訪問や、いわゆるペーパーティーチャー向けのセミナーを拡充して実施するなど、教員志望者の掘り起こしに努めてまいりました。 また、市町教委と連携して、臨時的任用教員の確保などにも取り組んできたところであり、教員の配置に係る緊急対策として実施した、中学校二、三年生における三十五人学級化の見送りについては、今年度限りとし、来年度はこれまでどおり三十五人学級化を実施することとしています。 さらに、教員の負担軽減に向けては、成績や出席状況などの多様なデータを一元管理できる統合型校務支援システムを、全ての公立学校に整備するなどの取組を進めてきたところです。 こうした中、来年度当初予算においては、教員確保・学校における働き方改革の推進を重点施策の一つに掲げ、取組の一層の強化を図ることとしています。 具体的には、教職の魅力をPRする、現職教員へのインタビュー動画の配信や、教員採用試験の会場を、関東、関西に加えて九州にも新設することなどにより、本県の人づくりを支える教員の確保に努めてまいります。 また、新たな学校における働き方改革加速化プランを今年度末までに策定することとしており、今後、学校運営協議会やPTAを通じて各学校の現状や課題の共有を図り、保護者、地域等の理解や参画をこれまで以上に促進するとともに、校務のDX化により、業務のさらなる効率化を図るなど、教員の勤務環境の改善に向けた取組を積極的に進めていくこととしています。 県教委といたしましては、今年度策定した山口県教育振興基本計画に基づいて、引き続き、教員の確保や学校における働き方改革に関する施策を着実に推進し、次代を担う子供たちの学びの充実に全力で取り組んでまいります。