1 人手不足解消に向けた企業の魅力向上の取組に対する支援について 2 所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化について 3 高等学校等における誰一人取り残されない学びの実現について 4 顔認証技術の活用の推進について 5 防災における個人情報の取り扱いについて 6 COPD(慢性閉塞性肺疾患)への対策強化について 7 その他
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 公明党の猶野克でございます。 早速ですが、通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、人手不足解消に向けた企業の魅力向上の取組に対する支援についてお尋ねいたします。 帝国データバンクの調査によると、従業員の離職や採用難などの理由で人手を確保できず、業績が悪化し倒産した企業数が急増しています。二○二三年には、前年比八六%増の二百六十件に達し、統計として遡れる二○一三年以降、過去最多となりました。 人手不足の背景は多岐にわたり、少子高齢化、団塊世代の一斉退職、非正規雇用の待遇の低さ、転職の増加、労働生産性の低さなど、様々な要因が絡んでいます。そのため、根本的な解決が非常に難しい問題と言えます。 企業においては、この人手不足に対処するため、賃上げや働き方改革、人事制度の見直し、学び直し制度の実施、業務の効率化など積極的に取り組まれており、国や県もこうした取組を支援してきました。私も、これまでの取組は評価しているところですが、事業者の方々からは、今後のさらなる取組を期待する声を頂いています。 こうした中で、私たち公明党は、人手不足の解消、企業の魅力向上に向け、企業による奨学金返還支援制度の普及推進に取り組んでまいりました。 この制度は、我が党の推進により二○二一年四月に創設されたもので、企業が直接、奨学金を扱う日本学生支援機構に社員の奨学金を返せる仕組みとなっています。従来、返還を支援する企業の多くは社員の給与に上乗せしていたため、その分の所得税などが生じていましたが、この制度を利用すれば社員の課税額が減り、企業も損金算入できるため、法人税を減らすことができるようになりました。 制度の利用は各地で広がっており、二○二一年八月時点で百十九社だったものが、今では十倍を超え、利用人数は二○二三年十月末時点で二千九百七十一人となっています。 県が行う薬学部生や理系大学院生の確保に向けた奨学金返還補助制度や市町独自の視点から設けた制度など、公的支援の充実も引き続きお願いしたいと思いますが、若者から選ばれる魅力ある企業を増やすためには、企業による奨学金返還支援制度の導入をさらに広げていくことが必要であります。 このたび提出された当初予算においては、奨学金返還支援制度を創設する企業に対し奨励金を支給するための経費が計上されており、県の今後の取組に大きな期待を寄せているところであります。企業と社員双方にメリットがある制度だという点をしっかりと周知し、一つでも多くの企業に導入が進むよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。 また、こうした取組に加え、人手不足の解消に取り組む県内中小企業が、弱みを補完しつつ、強みを生かした採用活動を行えるよう、関係機関等とも連携しながら、きめ細やかな支援を進めていただくようお願いします。 そこでお尋ねします。人手不足解消に向けた企業の魅力向上の取組に対する支援に、今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化についてお尋ねします。 二○一七年の国土交通省の調査では、全国の土地の二割で誰が所有者なのか分からない状態と言われ、所有者不明土地が問題視されてきました。その背景としては、死亡による不動産の名義変更登記を行うことは義務ではないため、結果として相続登記が放置され、所有者の不明な土地が増えてきました。 所有者不明の不動産問題を解決するべく、政府は二○二一年三月の閣僚会議で、民法等関連法案の改正を決定し、本年二○二四年四月一日から相続登記の義務化がされることとなりました。さらに、過去に発生した相続についても義務化され、自身が不動産所有者の相続人であることを認識した日から三年以内に相続登記をする必要があります。 今、申し上げた一連の不動産登記制度の見直しは、所有者不明土地の発生予防に資するものですが、今回の法改正では、土地・建物等の利用の円滑化も大きな目的となっています。 所有者不明土地を円滑に利用するための具体的な仕組みとして、一つは、公共事業における収用手続の合理化・円滑化され、建築物が存在せず利用されていない所有者不明土地に限って、都道府県知事の判断によって、審理手続を経ずに土地を取得することができる特例規定を設けています。 また二つ目に、所有者不明土地を公園や購買施設等の整備といった、地域のための事業に利用することを可能とする地域福利増進事業の制度が設けられ、都道府県知事の裁定により、所有者不明土地に使用権を設定して、利用することを可能としています。また民間企業、NPO、自治会、町内会等が都道府県知事に裁定を申請し、使用権を取得して事業を行うことができるとされています。 今回の登記の義務化により、所有者不明土地の発生の抑止効果が期待される一方、施策の展開には地道で長期的な行政のフォローアップが必要と考えます。 本制度の実施主体である市町の役割が大きいですが、都市部への人口移動や今後の人口減少により、所有者不明土地が今後も増大する状況を踏まえ、本県においても県全体として深刻に捉えるべき課題と考えます。 全ての所有者不明土地等の解消は理想ですが、現実的に限られた県予算や長期的展望を考えれば、例えば、防災力強化に向けて、防災公園や緊急車両の通行路といった災害発生時などの緊急性の高い案件に当該土地を適切に活用するための計画を検討し、まずは着実に取組を進めることが必要と考えます。 また、所有者不明土地等対策の実効性を確保するために、官民、協力機関と一体となった取組や今回の制度改正点の周知や地域福利増進事業の活用をイメージできるものをしっかりと県民に周知することが重要だと考えます。 そこでお尋ねします。本年四月から相続登記の義務化が行われることを契機に、県としても所有者不明土地等の解消に向け、所有者不明土地の発生予防や土地・建物等の利用の円滑化に資する取組を行うべきと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、高等学校等における誰一人取り残されない学びの実現についてお尋ねします。 高等学校は義務教育機関ではないものの、今日では中学校を卒業したほぼ全ての生徒が進学する教育機関となっており、入学動機や進路希望、学習経験など生徒のニーズも多様化しております。 現在の高等学校教育を取り巻く環境は、少子化や人口減、成年年齢への十八歳への引下げ、不登校生徒の増大などの変化が生じており、さらに今後見込まれる十五歳人口の減少によって、高等学校の維持が困難となる地域が多く発生することも見込まれます。 こうした状況を踏まえ、文科省では、令和五年八月にワーキンググループにおいて、これからの高等学校教育の在り方に関する検討がなされ、高等学校の全日制・定時制課程における不登校生徒の学習機会の確保のための遠隔授業や通信教育の活用の推進などが提言されました。 高等学校による不登校生徒が、小中学校と大きく異なるのは、出席日数によって原級留置となることであります。出席が三分の二に達しておらず、進級査定会議にかけられ、留年となってしまうケースもあります。 長期欠席のため、自宅で時を要し、登校意欲が出ても、この留年という現実を受け止められず、転学や中途退学を余儀なくされる御家庭がほとんどであります。 しかし、文科省に確認したところ、単位認定の際の出席要件三分の二以上とされるものは、法令・省令の規定がなく、慣例として広まっており、そのことを学校関係者が知らずに判断しているケースがあるとのこと。裏を返せば、学校の裁量で進級が認められるという確認を取りました。 さらに文科省は、令和六年四月に学校教育法施行規則を改正し、不登校等生徒向けの通信教育の実施が認められます。全日制・定時制において、相当の期間、高等学校を欠席し、引き続き欠席すると認められる生徒に、高等学校は授業に代えて通信教育を行うことができる。教室外・遠隔授業と合わせて、通信教育による単位の修得が認められ、さらには、学校間連携や課程間併修による単位修得も可能となっています。 本制度改正によって、学習意欲がありながら登校できない生徒が、遠隔授業や通信教育によって単位を修得し、原級留置、転学、中途退学することなく在学期間中に不登校状態や療養等による長期欠席状態を解消し、卒業することを目的とされています。 不登校から登校までには、一定の時間を要します。不登校生徒は怠けているわけではなく、ましてや親のしつけや育ての責任でもありません。むしろ、学校に行きたいのに行けない、理由が分からず、親への申し訳なさでどうしようもなく心を痛めている生徒がほとんどであります。 不登校特例校、現学びの多様化学校を創設した東京シューレ学園の奥地先生は、全国に約九百万人いる児童生徒の全てが、日本の教育カリキュラムになじめると考えること自体が不自然なこと。痛がる子供になじまない靴を履かせ続けようとすることと同じことだと明快に語っておられました。 本県では、多様な学びのニーズに応える柔軟な教育システムとして、県内初の三部制定時制課程と通信制課程を併せ持つ山口松風館高等学校を創設されました。私も昨年、同校を視察しましたが、中学校時代には不登校であった生徒たちが学校へ通い、自分のペースで生き生きと学校生活を送っている姿を拝見しました。不登校や中途退学経験者等にとって学び直しの重要な機会を提供しておられることを高く評価しております。 今後、さらに県教委には、国の動きに的確に呼応し、県内全ての全日制・定時制の高等学校においても、生徒たちが安心して学べる場の一層の整備に努めてほしいと願います。 そこでお尋ねします。不登校児童生徒の増加が続く中、高等学校等における誰一人取り残されない学びの実現に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、顔認証技術の活用の推進についてお尋ねします。 顔認証技術とは、カメラが取得した画像や映像から顔を検出・認証して本人確認をする技術であります。動画や画像から個人の顔を読み取り、目、鼻、口などの特徴的な位置や、顔領域の大きさ等を基に、登録された情報と本人照合を行う仕組みになっています。 また、最新の技術では、マスクを装着したままでも高精度な顔認証で本人確認が行うことも可能となり、ビジネスや商業施設、金融機関など、様々なところで実用化が進んできました。 年間三百四十万人が訪れる観光地和歌山県南紀白浜では、顔認証技術を活用したIoTおもてなしサービス実証を行っています。空港に降り立ったときのウエルカムメッセージに始まり、ホテルのチェックイン、滞在時の客室の開け閉め、アミューズメント施設の入園、お土産の買物に至るまで、複数の施設のサービスを手ぶら・キャッシュレスで利用可能であります。また、施設の入退出時、顔認証利用者は、一般の利用者とは別の特別専用ゲートで入退出できるなど、特別感を演出し、利用者の満足度向上に努めています。 こうした取組により、南紀白浜空港と羽田空港を結ぶ一日三往復の便の搭乗率は過去最高の前年比一五%増となり、観光客だけではなく、ビジネス客も増え、地域の活性化につながっているようです。 JR西日本では、昨年三月、大阪駅で顔認証改札機の実証実験を開始しました。事前に顔画像とICOCA情報を結びつけ、チケットレスの改札機が設置されています。これにより大阪駅から新大阪駅間のシームレスな移動を実現しています。 また、熊本市では、市内を走る路面電車、熊本市電で、顔認証により運賃の支払いができるシステムの実証を始めました。決済機能を持つスマートフォンアプリに自分の顔を事前に登録することで、顔パスで乗り降りできます。既に運用中のICカードシステムとも連動し、降車時に車内の専用タブレット端末に顔を向けることで運賃を支払うことができます。 地域全体で顔認証をIDとしてひもづけることで、利用者がどこに行って、どんな興味を持っているのか、どのくらい消費されたのかというデータを蓄積することが可能になります。 空の玄関口である山口宇部空港で、顔認証システムを稼働させると、県内周遊の移動や決済状況が把握できます。こうした情報は、従来であれば、旅行者の滞在期間や購入場所、内容など、アンケートや人手をかけて調査する必要がありましたが、全て自動的にデータベースとして蓄積し、分析することができます。 当然、個人情報として厳重に取り扱うことは大前提ですが、旅行者の行動・ニーズに応じた行政サービスや観光施策、商業戦略として、プロモーションにおけるターゲットや方法の選定なども、より効率的に実現することが可能になると考えます。 さらに、県民においても視覚や聴覚が不自由な障害者や高齢者など、JRのみどりの窓口が減少し、複雑な販売操作でのチケット購入ができず、外出困難となっていた方にとっても、顔認証によって、シームレスな支払いが可能となり、移動や生活の範囲が広がると考えます。 そこでお尋ねします。本県における顔認証技術の活用の推進は、本県の魅力を高め、利用者への利便性向上に寄与することはもとより、行政サービスの向上や観光施策、商業戦略にも生かされてくると考えます。あらゆる分野のDXを進めるに当たり、県内の顔認証技術の活用の推進に努めていただきたいと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、防災における個人情報の取扱いについてお尋ねします。 昨年、地元地域の勧めもあり、山口県自主防災アドバイザー養成研修を受講させていただき、防災士の資格と併せて、本年、無事に自主防災アドバイザーとして登録をすることができました。全国的にも各市町で防災力の強化に向けた様々な取組はありますが、県が主体となって養成研修を開催し、県全体の防災力強化に取り組まれているこの制度は、他県にも誇れるすばらしい制度だと感じております。 この研修講師には、山口大学名誉教授であり、日本防災士会山口県支部支部長の山本晴彦先生をはじめ、各講師も非常に優れた専門的な方々の陣容となっており、裏づけされた知識や実体験に基づき、防災のイロハを御教示いただいたことに、この場をお借りして、改めて御礼を申し上げます。 本年年明け早々、発災した能登半島地震では、亡くなられた方々への御冥福を申し上げるとともに、改めて災害を強く意識し、準備をしなければならないと痛感しました。 様々な研修内容の中で、特に印象的であったのが、避難をしない、または逃げ遅れて被災をするケースが非常に多い実態があるということであります。 人が避難行動を起こすきっかけとして、上位三つが挙げられておりました。一つは、周辺の環境の変化であります。これは、自宅周辺で今にも土砂が崩れそうだとか、河川があふれそうなど、明らかに身の危険が迫っている状況が起こったとき。二つ目は、テレビや携帯、インターネットで特別警報などの危険を知らせる避難指示の発令を受けたときだそうです。 しかし、これら二つは、既に状況が悪化し、避難所に移動できないほど、危険な状況になっているケースが多く、逃げ遅れの可能性が極めて高いと考えられます。 三つ目の避難行動に移すきっかけとして、近隣住民の避難の声かけが重要と伺いました。周りの近所の人が避難所に逃げていなければ、あの人も家にいるから大丈夫と、人は根拠なく周りと歩調を合わせようとするが、逆に早く一緒に逃げましょうと声をかければ、よし逃げようと行動を起こす大きなきっかけとなるそうです。現に、これまでの災害でこの声かけによって命が救われたたくさんの事例があり、私たち自らが勇気を持ち、声かけの主体者になる重要性を実感しました。 本県においても、この重要性は早くから認識されており、率先避難・呼びかけ避難体制づくりを以前から推進され、自治会に体制づくりを求めていますが、あまり実現できていないのが課題となっています。 呼びかけの対象者の中でも、特に重要視されるのが、素早く行動できない高齢者や障害者などの避難行動要支援者の方々です。皆様の地元にどの程度、こうした要支援者がいらっしゃるか、把握されていらっしゃるでしょうか。 災害時、この呼びかけ避難を素早く行うために、国では平常時より対象となる方の名簿を作ることが市町の義務とされていますが、一方で、個人情報保護により、高齢者や転入者の情報が行政から自治会に知らされていないのが実態となっています。 したがって、人を助ける名簿を作るためには、自治会長や役員が一軒一軒、地域を回って、手作業で確認しなければ作成できず、非現実的な状況下での名簿作成が求められています。 そこで内閣府は、防災分野における個人情報の取扱いに関する指針を示しました。そこには、個別避難計画を作成する際、避難支援等関係者に対する名簿情報の平常時からの提供は、本人の同意がある場合はもとより、より積極的に避難支援を実効性のあるものとする等の観点から、市町村の条例において、平常時から名簿情報を外部に提供できる旨の定めがある場合は、本人の同意を要しないこととしているので、市町村の実情に応じ、必要な条例上の対応を検討することが望ましいとされております。 名簿の取扱いには十分注意が必要ですが、命を救うため、名簿情報を外部に提供することができれば、自主防災組織など、関係機関の協力を得て、よりスムーズに避難行動要支援者の個別避難計画を作成でき、素早い避難をすることが可能です。そのためには、県及び各市町における防災分野における個人情報の取扱いに関する条例の対応を検討すべきと考えます。 そこでお尋ねします。県の率先避難・呼びかけ避難体制づくりに向け、個別避難計画を推進することが重要と考えますが、そのために県及び各市町が連携し、条例の対応を含めた検討をすべきと考えますが、県の御所見を伺います。 最後に、COPD、慢性閉塞性肺疾患への対策強化についてお尋ねします。 COPD、慢性閉塞性肺疾患とは、たばこなどに含まれる有害物質によって気管支・肺がダメージを受け、呼吸がしにくくなる病気であります。長期にわたる喫煙・受動喫煙が主な原因と見られ、ゆっくり進行していくことから、肺の生活習慣病とも言われています。 COPDは、高血圧や心不全などの循環器系疾患、がんなどの合併症も多いほか、コロナ感染症の重症化リスク因子とも言われ、要介護状態に陥りやすくなるフレイルとの関係を強く指摘されています。 二○二一年調査では、世界の死因第三位に上げられており、日本では男性の死因九位と世界との開きが見受けられますが、一般市民のCOPD認知度の低さ、また初期症状は自覚しづらく、国内に約五百三十万人いると推定されるCOPD患者のうち、現在治療を受けている総患者数は、全体の僅か六・八%にとどまっているため、潜在的な数値はもっと高い可能性があります。 現状、本県においてもCOPD死亡率は、厚労省の二○二二年調査で、人口十万対の全国平均一三・三に対し、本県は一八・八と全国ワースト二位であり、前回調査より、死亡率が高くなっています。 厚労省は、二○二三年五月、健康日本21(第三次)を公表し、COPD対策として、認知度の向上に加えて死亡率の減少が明記されており、早期発見・治療等の対策を講じることで、令和十四年度までに人口十万人当たりの死亡率を一〇・〇にすることを目標値としました。これは、本県の数値からマイナス八・八ポイントの高い目標数値であります。 本県においても、国が設定した目標を勘案しつつ、令和六年度からの施行に向けた次期健康増進計画である健康やまぐち21計画を推進していくことになりますが、COPDの取組は、今後より重要であると考えます。 COPDの死亡率、全国ワースト一位となった徳島市では、COPDの啓発活動を地道に取り組んだ結果、二〇一三年の二九・八%から二〇二一年は五五%と一般住民への認知度を向上させました。さらに、COPD疾患啓発とスクリーニングの質問票を併せたリーフレットを作成し、早期にCOPDの診断をして適切な治療を受けることで、フレイルを予防する生活習慣を促しています。 そこでお尋ねします。本県におけるCOPD死亡率減少に向けた取組が重要だと考えます。そのためには、疾患啓発リーフレット作成等によるCOPDの認知度の向上に加えて、早期発見や重症化予防の取組が重要であり、健診の際に把握できたハイリスク者及び治療中断者に対する受診勧奨も早期受診を促す上で有効な手段と考えます。 これらの取組を進めるために、県の計画目標、死亡率の減少を県内の市町にもしっかりと周知して、市町の次期健康増進計画でも死亡率の減少に向けたCOPD対策の取組を働きかけ、県全体でCOPDの早期発見や重症化予防に取り組む必要があると考えますが、県の御所見を伺いまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、人手不足解消に向けた企業の魅力向上の取組に対する支援についてのお尋ねにお答えします。 人口減少が深刻度を増す本県において、産業が持続的に成長・発展していくためには、産業を支える人材の確保が重要であり、とりわけ、若者の県内企業への就職・定着を促進していく必要があります。 このため、私は、若者の意見や現下の賃上げ状況等を踏まえ、来年度予算において、県内企業が若者から選ばれる企業となれるよう、働き方改革の推進や、給与や福利厚生の改善に向けた支援など企業の魅力向上の取組を重点的に展開することとしています。 まず、デジタル技術の活用などにより可能となる柔軟な働き方の導入や、男女が共に家事・育児に参画しやすい職場環境づくりを支援するため、専門家による助言を行うワークショップや伴走支援を実施するなど、若者の価値観に合った労働環境の整備を進めます。 次に、厳しい経営状況が続く企業の賃上げを支援し、安定的な人材確保や若者の定着を図るため、初任給や若年層の正規社員の賃金の引上げを実施した中小企業等に、最大百万円となる奨励金を支給します。 さらに、若者の経済的負担の軽減により県内定着を促進するため、奨学金返還支援制度を創設した企業に対して、奨励金を支給することで、県内企業の魅力向上を強力に支援してまいります。 企業による奨学金返還支援制度は、お示しのように、企業と社員双方にメリットがあることから、様々なセミナーや中小企業労働相談員による訪問等を通じて、分かりやすく伝えることにより、多くの企業で導入が進むよう取り組みます。 こうした取組により向上された企業の魅力については、VR映像やメタバースなど若者に親和性のある先進的な技術を活用した情報発信を行い、効果的に若者へ訴求します。 また、今年度立ち上げた市町との連絡会議により、関係機関が一丸となって人材確保に取り組む体制を整えるとともに、国や経済団体等と連携し、若者との出会いの場となる就職フェア等の充実強化を図ります。 さらに、若者との共創により、多くの若者の興味を引きつける企業紹介イベント等を開催することなどにより、企業の採用活動を力強く後押ししてまいります。 私は、人手不足の解消につながるよう、関係機関等と連携し、企業の魅力向上の取組に対する支援に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)所有者不明土地等の発生予防と利用の円滑化についてのお尋ねにお答えします。 所有者不明土地は、所有者の探索等に多大な時間と労力を要し、都市開発やインフラ整備等の円滑な事業実施への大きな支障となっているため、関係機関が連携して、新たな制度の周知を図りながら、その発生予防と利活用に取り組む必要があります。 このため、県では、これまで、地方整備局、法務局、弁護士会等で構成される中国地区土地政策推進連携協議会に参画し、関係機関と連携した取組を進めているところです。 具体的には、県内市町に対して、制度等の周知を図るとともに、所有者不明土地問題の解決や利活用に有益な取組事例などの情報提供、要望に応じた講習会や相談会の開催など、きめ細やかな支援を行っています。 また、今回、民法等が改正されたことを契機に、その内容について、新たに県のホームページで県民に周知するとともに、所有者不明土地の利活用に向けては、市町に対し、その対策のための計画作成や推進体制の整備に関する助言等を行っていきます。 県としては、引き続き、国や市町など関係機関等との緊密な連携を図りながら、所有者不明土地等の発生予防と、その利用の円滑化が図られるよう取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)顔認証技術の活用の推進についてのお尋ねにお答えをいたします。 顔認証技術は、AIを活用した本人確認技術であり、偽造が困難でセキュリティーが高く、利便性にも優れていることから、スマートフォンのロック解除や空港での出入国管理などで実用化が進み、また、お示しのように、観光や交通などの分野で、新たなサービス構築を目指す実証も行われています。 今後、AI技術のさらなる進化により、顔認証の一層の精度向上が見込まれ、さらに、顔データと様々な情報をひもづけることにより、新たなビジネスの創出や利便性の高いサービスが実現することも期待されているところです。 このように顔認証は大きな可能性を有する技術ですが、その活用に当たっては、技術面の課題解消に加え、顔データ等の適切な管理はもとより、収集データの活用に対する理解促進など、プライバシーや感情に十分に配慮した運用を行い、利用者の不安を払拭することが重要となります。 このため、県としては、最新の技術動向等とともに、情報管理や運用ルール等についてもしっかりと把握した上で、様々な分野での活用の可能性を探ってまいりたいと考えています。 具体的には、県のDX推進拠点「Y─BASE」において、顔認証技術の可能性とその適切な運用の両面を学ぶことのできるセミナー等の開催などにより、行政や企業等における顔認証技術の理解促進を図ります。 また、既に「Y─BASE」のDXコンサルにより、スポーツイベントの当日受付に顔認証システムを導入した事例もあることから、企業等における顔認証技術の活用を引き続き支援していきます。 さらに、顔認証を通じて収集・蓄積したデータを、ビジネス戦略の構築やサービスの向上などに活用するためには、データ分析等のスキルも必要となることから、データ活用に係る支援や研修等も行ってまいります。 県としては、様々な分野における顔認証技術の活用状況を踏まえながら、技術や運用に係る理解促進を図るとともに、企業等のニーズに応じた支援を行うことなどを通じて、顔認証技術の活用の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)防災における個人情報の取扱いについてのお尋ねにお答えします。 災害から命を守るためには、適切なタイミングで確実に避難する必要があることから、自ら避難することが困難な高齢者や障害者等の避難行動要支援者については、避難支援を実施するための個別避難計画の作成を着実に進めていくことが重要です。 一方で、過疎化・高齢化の進展や地域のつながりの希薄化等による避難支援者の不足、さらには個人情報を提供することへの要支援者の不安など、計画作成を進める上での様々な課題が、本県を含め全国的に指摘されています。 こうしたことから、県ではこれまで、市町による計画作成を促進するため、国や庁内関係各課と連携しながら必要な支援を行ってきたところであり、現在、県内全ての市町が作成に着手しています。 こうした中、国は、平時における個人情報の取扱いを明確化するため、お示しの指針を作成し、その中で、要支援者名簿の情報提供に係る災害対策基本法の規定を示しながら、市町村の実情に応じ、必要な条例上の対応を検討することが望ましいとしています。 条例の制定により、名簿情報が適正な取扱いの下、速やかに避難支援者に提供された場合には、計画作成の効率化が図られるなど、一定の効果が期待されることから、市町に対し、必要な情報提供を行うなど、条例制定の検討を促していきます。 また、計画の実効性を確保するためには、要支援者本人と行政、避難支援者、さらには要支援者の心身の状態などをよく知る福祉専門家や民生委員等が十分に話合いを重ね、要支援者一人一人に寄り添った計画を作成することが重要です。 このため、計画作成に関わる行政職員が避難支援者等関係者の協力を得て、効果的な計画作成ができるよう、先行する市町の取組事例等を活用した研修会を開催するなど、市町の取組を一層支援していきます。 県としては、今後とも、市町や関係機関との緊密な連携の下、個別避難計画の作成を進め、避難行動要支援者の避難支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)COPD、慢性閉塞性肺疾患への対策強化についてのお尋ねにお答えします。 COPDは、肺の生活習慣病であり、緩やかに呼吸障害が進行し、対応が遅れ重症化すると生活の質に大きな影響を与えるのみならず、死にもつながることから、生活習慣の改善や早期治療に向けた取組が重要です。 このため、県では、今年度策定する第三次健康やまぐち21計画において、新たにCOPDを追加し、認知度向上や発症予防、早期発見、重症化予防などを総合的に推進することとしています。 まず、認知度向上に向けては、COPDに関するリーフレットを作成し、健康経営企業の講習会等で活用するとともに、世界COPDデーなどのイベントにおいて関係団体等と連携して啓発活動を行い、県民の理解を促進してまいります。 また、将来的なCOPDの発症を予防するため、学校や市町、県医師会等関係団体と連携し、二十歳未満の者に対する喫煙防止の健康教育に取り組むとともに、禁煙希望者に対する効果的な禁煙支援の充実に努めることとしています。 さらに、今後は、早期発見や早期治療による重症化予防に向けて、健診関係者や医療従事者への研修等により、簡易質問票によるスクリーニングや、ハイリスク者への受診勧奨を促進するとともに、かかりつけ医と専門医の診療連携体制の充実に取り組んでまいります。 こうした取組を効果的に進めるため、住民に身近な保健サービスを提供する市町等との連携を強化するとともに、市町の健康増進計画にCOPD対策の推進が盛り込まれるよう、会議等を通じて働きかけてまいります。 県としましては、引き続き、市町や関係団体等と連携し、COPDの死亡率減少に向けて、早期発見や重症化予防等に総合的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)高等学校等における誰一人取り残されない学びの実現についてのお尋ねにお答えします。 不登校児童生徒の増加が続く中、高等学校等において、不登校生徒の学習機会を保障することにより、そうした生徒が学びを継続し、在籍校を卒業できるよう支援していくことは重要であると考えています。 このため、各学校においては、これまで、学習意欲がありながら登校できない生徒に対して、家庭と緊密に連携しながら、支援方法を多角的に検討し、補習授業などを実施するとともに、県教委が整備した一人一台タブレット端末等も活用しながら、オンラインによる学習支援にも取り組んできたところです。 また、病気療養中の生徒に対しては、分身ロボット「OriHime」などを活用した同時双方向型の授業による単位認定や、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための臨時休業時には、タブレット端末等を活用した授業や面談、レポートの送受信等による支援も実施してきました。 こうした中、このたびの学校教育法施行規則の一部改正により、令和六年四月から不登校生徒を対象として、遠隔授業や通信教育を実施し単位認定することが、一定の範囲内で可能となったことから、現在、各県立高等学校等にその制度の周知を図っているところです。 今後は、各学校において、生徒一人一人の実情に応じ、遠隔授業や補習授業、その他の適切な指導を実施することにより、生徒が転学や中途退学をすることなく学びを継続し、希望する進路の実現に向けて取り組んでいけるよう、柔軟な対応を促していくこととしています。 また、不登校生徒を対象とした、全日制・定時制課程における通信教育や、学校間の連携、学校内の複数の課程での履修による単位修得についても、その実施方法等を研究してまいります。 県教委といたしましては、多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現に向けて、引き続き、学習意欲がありながら登校できない生徒への学習機会の確保に努めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十九分休憩