1 大災害時の支援対策について 2 子育て支援策について 3 保育士の人材不足について 4 脱原発について 5 その他
副議長(島田教明君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 社民党・市民連合の中嶋です。通告に従い質問いたします。 まず、能登半島地震でも、相も変わらぬ避難所の脆弱性が露呈しました。 避難所生活で困ること、一位、トイレ、二位、プライバシーの確保、三位、飲料水、四位、寒さや暑さ対策、五位、食料と言われ続けているようです。 災害時の避難所の改善については、二○一九年二月定例会でも質問させていただきましたが、相変わらず海外の避難者と比べ劣悪、脆弱な避難所光景がテレビで報じられ、胸が痛みます。 そこで、大規模災害に備え、県が率先して広域的な対応で、平素からスフィア基準を満たすような対策・準備、あるいは必需品の備蓄を図ることが求められています。対応をお尋ねします。 次に、能登半島地震に対して、県内の災害拠点病院などによる災害派遣医療チームDMATが派遣されたほか、災害関連死を防ぐため日本医師会災害医療チームであるJMATを含め、様々な医療関係者が被災地で活躍されていました。 災害に備えて、今後も継続した避難所での必要な支援として、感染症や精神的疲労を抱えた方などの早期発見と必要な医療行為を行うことは必要不可欠です。 現在の県内DMATの数及びその評価について、また、今回の能登半島地震を受け、新たなチームづくりや現場のリーダーとなる統括DMATのさらなる確保について、知事の所見を伺います。 二点目、知事は、若者や子育て世代からは、子供二人程度は持ちたいとの希望はあるが、経済的な負担感や子育て環境に不安を感じるとの声があるとの認識を示され、子育て支援策で前向きな新年度予算を提案されたことを歓迎しますが、子供医療費無料化については足踏み状態です。 東京都をはじめ他都府県でも、高校卒業までの医療費無料化を実現し、県内市町でも実施している市町が増えています。人口減少対策、子育て支援の必要性から二点具体的に伺います。 県内市町が独自に医療無料化を実施し、県内市町に格差が生じていることに対する知事の認識について。 二つに、県内市町間に格差を生じさせないために、県として高校卒業まで医療費無料化を実施すべきと考えますが、知事の見解と対応について、改めてお聞かせください。 さらに、産後ケアについて、市町の現場では産後ケア事業の委託先である病院や助産所が地域によって偏在しており、単独での対応に苦慮している実態を把握されているか否か。また、産後ケア事業を市町が事業を開始しやすく、取り組みやすい環境を整えるため、県が積極的に関与する広域的な対応・支援などについて考えをお聞かせください。 三点目、本県において保育士の人材不足が深刻化しており、募集しても応募がないという現状が顕著です。特に公立保育所では、パートタイムや会計年度任用職員が全職員の半数を占め、正規職員を上回る状況も見受けられます。 自治労山口県本部が行った調査でも、保育現場における課題として、正規保育士の負担が大きいことや、書類作成の業務が多いことが挙げられていました。適切な正規職員の配置は、保育士確保において不可欠であり、労働環境の改善の急務と考えます。 このような状況下で、会計年度任用職員の処遇の悪さから他県への人材流出が顕著になっているとの報告もあります。 県内での保育士確保に向けて、さらなる取組が求められています。今後は多様化する子供たちのニーズに対応し、安全かつ適切な保育を提供するため、適切な人員配置が必要です。 政府は、昨年末に、こども未来戦略において、保育士の配置基準を七十五年ぶりに改定することを発表、幼児教育・保育の質の向上を目指し、二○二四年度からは、三、四、五歳児の職員配置基準を改善し、経過措置を設けるとされています。 しかしながら、経過措置の間も一部公立保育所では改善が進まない状況が続くおそれがあります。これに関して、国が定める基準を最低として公立保育所に遵守させることが不可欠です。 また、県としても、配置基準の議論にとどまらず、保育士の雇用環境や保育の質の向上に向けた新たな政策が必要です。 このような中、保育士確保に関する対策事業や支援制度が県で構築されていますが、その実績についてお聞かせください。県としては、職場環境の改善や保育の質の向上を目指す新たな政策についても模索されているかどうか、見解をお尋ねします。 四点目です。能登半島地震で志賀原発は、外部電源の受電用系統が一部使えなくなるなど、一つ間違えば過酷事故につながるおそれがありました。 また、震源地は、珠洲原発建設計画予定地だった直近で、地震で地盤が数メートル隆起した。原発があったら配管などが壊れて、ましてや取水口も隆起して冷却が全くできず大事故となり、逃げられない住民は福島原発事故以上に被曝した可能性は否定できないと、環境経済研究所の上岡直見代表は言っておられます。計画が頓挫していなければ、大惨事になっていたでありましょう。 福島原発事故もまだ終わっていません。廃炉の展望は見えないし、ふるさとへ帰れる見通しも立たないままだ。再稼働は絶対に許されない。地震国日本では原発運転は非現実的で危険極まりないことを国民全体で再確認すべきであります。 そこで脱原発についてお尋ねです。 十一月定例県議会終了後の十二月二十六日に、井原県議もおっしゃいましたけれども、村岡知事は知事会見で、原発本体と別の原発の使用済核燃料を保管する中間貯蔵施設が併存する場所は国内にないとして、過大な負担との認識を示され、また二○○一年四月二十三日に、当時の二井知事が、上関原発の設置計画に関し、六分野二十一項目の意見書の中に、使用済燃料の貯蔵管理について、発電所内での新たな貯蔵施設に頼らないで済むよう、また発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないよう適切な対策を講じることの意見表明をされております。そして、村岡知事は、二井元知事のこの意見を踏襲する考えも示されました。 また二月十三日開会の福井県議会において、関西電力が使用済核燃料を三原発敷地内で乾式貯蔵することの是非についての議論が行われ、二月十六日の福井県議会代表質問で自民党会派は、乾式貯蔵施設については、永遠に保管されるのではないかとの不安の声もあるが、保管期限を求める考えはあるのかと質問。 また、越前若狭の会からも、県として保管期限及び貯蔵容量を増加させないことを条例で定めるべき、明文化された担保が必要だと質問。 この代表質問に対し、杉本福井県知事は、県内保管の全ての使用済核燃料は、保管方式にかかわらず再処理するために搬出されるの建前論でいなしています。 気になるのは、乾式貯蔵施設で保管する使用済燃料については、関西電力は二○三○年頃に設置する中間貯蔵施設に速やかに搬出をするというふうに言っている。まずは、申請了承の判断をすることが必要。最終的には原子力規制委員会への事前了解を判断するまでには具体的な搬出時期の考え方を関西電力に確認をしたいとの杉本福井県知事の答弁です。 暗に、関電に県外での中間貯蔵施設を操業させる計画の実行を迫る形となっています。名指しこそされていないが、この県外が上関であることは明白です。 関西電力は、これまで管内の自治体に働きかけてきたが、名乗りを上げる自治体は皆無という状況の中で、山口県がなぜに使用済核燃料を押しつけられなければならないのか。一刻も早く上関町への使用済核燃料の中間貯蔵施設建設拒否を村岡知事は表明すべきです。所見を伺います。 次に、上関原発についてです。 二井元知事は、福井原発事故を受けて、公有水面埋立免許に関し、二○一一年六月県議会で、自民党新生会代表質問に対し、また、二○一二年六月県議会での自民党会派代表質問に対し、上関原電計画については、平成十三年に国の電源開発基本計画に組み入れられたこと等により、土地利用計画は確定しておりましたことから、埋立免許をした。福島第一原発の事故に鑑み、新たな安全基準等を満たす原子炉等施設の位置や規模などが決まらなければ、引き続き土地利用計画は確定しないものと考えております。少なくとも、それまでは、公有水面埋立法上の要件である正当な事由がなく、延長の許可はできないとの政治判断を示されています。 この間も言ってきたことですが、能登半島地震において志賀原発が停止中だったがゆえに、震災と原発事故の大複合災害に至らなかったことを奇貨として、この際、二井元知事の退任前の政治判断を踏襲すれば、当然、貴見のとおり、上関原子力発電所に係る重要電源開発地点指定は、引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除することは考えていないとする資源エネルギー庁の一課長の文書をもって、公有水面埋立竣功期間伸長の許可の根拠としてきたごまかしを改め、法の規定によれば埋立工事が期間内に竣功できない場合、免許は失効することになると表明されるべきである。知事の英断を求めたい、お尋ねです。 次に、中間貯蔵施設について、原発交付金で上関町の振興が図れるのか。十五基もの原発を受け入れてきた福井県で、保革の垣根を越えて、長年原発問題に取り組んでおられる、「なぜ、「原発で若狭の振興」は失敗したのか」を出版されている山崎隆敏さんに財政的な観点から助言を頂きました。 参考資料、表一と表二は、上関町と阿武町と高知県で二○○七年に高レベル放射性廃棄物の処分地の文献調査を町内の激しい対立を経て拒否された町、東洋町。この三町の二○二一年の決算と、まだ上関町に電源三法交付金が交付されていなかった一九八一年のそれとの対比です。 阿武町や東洋町も上関町と同様、目玉となるような観光資源や大きな企業もなく、税収も少ないながら、町民が一丸となってまちづくりに励んでいる、ごく普通の海辺の町です。この三つの町は、人口規模五千人以下を示す類型Ⅰに分類されています。人口規模は、ほぼ同じですが、阿武町と東洋町のほうが、上関町よりも第二次・三次産業の従事者の割合が少なく、より田舎の町と言えます。 阿武町と東洋町は、上関町よりも商工業・サービス業の少ない町で、財政的にも決して豊かとは言えませんが、自治体経営はしっかり成り立っていることが分かります。 少なくともこれらの町からは、このままいくと我が町は破綻するなどという泣き言は聞こえてきません。 気になるのは、上関町の人口の減少率です。九十年代後半を境に上関町と阿武町の人口数が逆転しています。そして、四十年後、二○二一年の阿武町の人口減少率は五○・九%、東洋町が五五%、上関町は六四%で、上関町は二つの町より減少率が一○%も高いことです。 さらに言えば、二三年現在の上関町の人口は二千三百九十人となり一九八一年比で六五・六%の減少です。 また、阿武町と東洋町の二つの町の地方税収入は微増していますが、上関町の税収はほとんど増えていません。人件費や物価の上昇も勘案すれば、税収は実質的に落ち込んでいると言えます。 上関町には、中国電力の原発建設を受け入れた一九八四年から今日までの四十年間に総額七十六億円を超える電源三法交付金が交付されました。一九八四年の約三百万円から交付が始まり、十二年目の一九九五年以降は一億を超え、二十一年目の二○○四年の七億六千万円、これには広報調査等交付金が含まれていますが、をピークにその前の約十年間は年に数億円が交付されてきましたが、二○○五年以降は額が一桁落ち、現在は七千から九千万円となっています。ただし二○○九年から二○一二年の四年間は、最大十二億円を超える原子力発電施設等立地地域特別交付金も交付されています。 また、表には記載しませんでしたが、電力関係からと思われる多額の寄附金も入っています。寄附金は二○○七年、八億、二○○八年、二億、二○○九年、八億、二○一○年、六億、二○一七年、八億、二○一八年、四億、二○一九年、三千万円となっています。 一九九二年以前の市町村別決算状況調べでは、寄附金は諸収入の費目で計上されていたのかもしれません。年度によっては諸収入が億を超えています。 ともあれ身の丈を超えた財源が投じられて、財政が膨張した時期が約十年間ありましたが、二○一九年以降は、電源三法交付金の交付額は僅かとなり、寄附金も入ってこなくなりました。幸いにも、現在は、普通の標準的自治体の財政の姿にほぼ戻っています。 中間貯蔵施設の調査受入れに際し、西町長は、調査受入れで年一億四千万円の交付金が国から入り、建設に同意すれば、さらに多額の交付金が入り、固定資産税も入れば、町の財政が安定していくことは間違いないと述べています。 しかし、西町長の願う持続可能なふるさと上関町を次世代につなげる営みは、電源三法交付金で財政を一時的に膨らませることによってしか実現できないことでしょうか。 何よりも、上関町は四十年間にわたり莫大な電源三法交付金と寄附金を受け取っていますが、その間に人口減少を食い止めることはできませんでした。 十五基もの原発を立地した福井県若狭の町においても、町財政の膨張と反比例するように、人口減少は加速しています。 上関町は阿武町と東洋町よりも人口減少率が一○%も高くなっていますが、何よりこの一○%の差に注目する必要があるのではないでしょうか。 例えば、一九八二年に上関原発計画が浮上して以来、推進派と反対派に分断された町内の住民間の長年の対立が、特に若い人たちの心の中から愛郷心をそぎ取り、全町民が協力し合ってまちづくりに取り組む意欲を喪失せしめ、ふるさと離れを加速させた可能性もないとは言い切れないからです。 上関町へのこれまでの電源三法交付金の交付額は二○○五年以降は一桁減少し、二○二一年度は七千九百三十四万七千円となっています。 しかし、二○一三年以降は現在に至るまで、電源三法交付金を受け取っていない阿武町などとの歳入総額の比較でも際立った差、優位性は見いだせません。 二○二一年度の歳入額を見ても分かるように、地方税収入プラス国からの移転財源である地方税交付金プラス国庫支出金、電源三法交付金を含んでいますが、の合計は上関町は約二十六億円で、阿武町が約三十一億円です。その差は約五億円、地方税収入の差約一億円を差し引いても阿武町のほうが、国から約三・六億円も多く受け取っている勘定です。 一つには、人口が逆転したこともありますが、阿武町の歳入総額は上関町を上回っています。 表三を御覧ください。二○一二年のそれぞれの人口は、上関三千三百五十四人、阿武町三千七百四十九、東洋町二千九百四十一人です。 この年、上関町への県支出金の中には約十二億円の原子力発電施設等立地地域特別交付金も含まれています。 地方税収入Aプラス国からの移転財源、地方税交付金Bプラス国庫支出金Cプラス県支出金Dの合計額は、上関町の三十五億五千九百九十一万七千円に対し、阿武町が二十三億九千八百九十六万八千円で、上関町が阿武町よりも約十二億円も多く、その差が両町の二○一二年度の歳入総額の差となって表れております。 かように一九九二年以降は、電源三法交付金や巨額の寄附金などによる収入増で、上関町の財政が身の丈を超えて膨張していました。 表三の二○一四年度の上関町に交付された電源三法交付金の額は、国庫支出金のうち七千六百万円プラス県支出金、県に入った三法交付金のうち十二億一千五十一万五千円が県支出金として上関町に入っています。都合十二億八千六百五十一万五千円です。まさしく電源三法交付金によるミニバブルです。 しかし、二○一三年以降の現在に至るまでの期間、上関町に入る電源三法交付金の額は一桁以上減少していきます。 表四は、二○一四年の決算、歳入です。二○一四年は、地方税収入Aと国からの移譲財源である地方税交付金Bプラス国庫支出金Cの合計額は、この間に上関町ほど人口が減らなかった阿武町のほうが当然多くなっています。 一方、上関町が受け取る電源三法交付金の額は七千六百八十四万五千円しかありません。にもかかわらず、上関町の歳入総額はむしろ二○一四年度より二億円増えており、上関町より人口の多い阿武町の歳入総額を十二億円も上回っています。 ただ、上関町は、繰入金、基金の取崩し十五億二千三百十六万円などで、収支のバランスを取っているのです。電源三法交付金バブル期に計画されたであろう普通建設事業費十七億六千四百二万六千円の出費に充てるためでしょう。 社会基盤整備のための普通建設事業費を全て無駄遣いとは言いません。しかし、平成十八年から二十三年まで公開されている総務省・類似団体比較カードを見れば、二○○六年から二○一四年のバブル期の間、上関町は類似団体と比較してもかなり高い割合で普通建設事業費への出費が続いています。 古来より、入るを量りていずるを制すは、財務会計の原則です。もう一度、表一で二○二一年度の三町の歳入状況を見てみますと、一九八一年より四十年の時を経て、それぞれの金額そのものは大きくなりましたが、上関町と阿武町の人口は逆転しました。上関町も他の二町と同じように、人口規模に対応した標準的な決算数字に落ち着いています。 電源三法交付金の額も一桁少なくなり、電源三法交付金バブルの呪縛から解かれ、四十年前の元の標準的なあるべき財政の姿に戻ってきたのです。 上関町の歳入総額四十四億一千九百万六千円のうち、一般財源、AプラスBプラス国庫支出金Cの不足分については、ここには記載しませんでしたが、基金を取り崩したと思われる繰入金四億七千六百四十二万七千円があり、それで収支のバランスを取っています。 次の表五は、二○二一年度の歳出状況です。この年の普通建設事業費の約十一億円は、恐らく箱物建設に充てられたものでしょう。もっとも、インフラへの投資はどの町でも必要なときは必要ですし、この十一億円の支出が果たして適切か、それとも過大なものなのか、この決算資料だけでは見えてきません。 次の表七は、総務省が公開している平成十八年から二十三年度までの総務省・類似団体比較カードを用い、上関町の歳入歳出総額や支出の内訳を同町の類似団体(Ⅰ─二)を一として年度別に比較した表です。 福井県・若狭の原発立地自治体は、今まさに原発廃炉の時代を迎えています。ところが、原発依存の財政も終焉のときを迎えている今日においてすらなお、類似市町と比べ、普通建設事業費は高止まりの状態です。特に、電源三法交付金の多くは、箱物建設などへの過剰な投資的経費に向けられてきたため、後年、物件費や維持補修費の比率が類似市町に比べ軒並み高くなっています。 上関町長たちが、このままいけば、上関町は破綻すると口にしていることもあり、それが上関町でも同じことが起きているのではないかと当初考えました。しかし、懸念していたような兆候は顕著には見られず、表六のとおり、例えば、経常収支比率のこの年度の全国平均は八八・○%ですから、上関町の財政は極めて標準的な健全であると言えます。 特別会計や基金などへの繰出金は、類似市町と比べ高くなっていますが、それは財政調整基金や国民健康保険事業基金、介護給付費準備基金などのほか、公共施設建設基金やふるさと振興基金、町立学校施設維持運営基金、三法交付金で建てた施設の維持運営基金など二十一もの基金が設けられているためで、無駄遣いをせず後年度の負担を見据えたその堅実な施策については評価できます。 上関町の普通建設事業費については、類似団体より多くなっている年が十六年間のうち八年ありますが、この十六年の平均を取れば、ほぼ一となり、それが恒常的に高止まりの状態になっている若狭の原発立地自治体と比べてみても過大とは言えず、今後の財政運営に深刻な影響を及ぼすことはないでしょう。このままいっても、上関町の財政が破綻する要因とはならないはずです。 そこで伺います。上関町は、中間貯蔵施設建設に係る調査に伴う交付金二三年度分七千四百万円に続き、二四年度分を一億三千万申請し、電源三法交付金バブルの再来を図ろうとしているようですが、原発依存の財政からの脱却を目指し、原発に頼らない上関町のまちづくり計画を支援することが、県としての本来のあるべき姿勢ではないでしょうか。見解をお聞かせください。 また、この交付金は、県知事の建設同意が得られる年まで上関町と県に合わせて毎年一億四千万が交付される制度です。県は申請をしないと表明しているのは、もしかしたら上関町に全額使わせようという県の親心からなのか。交付金の申請をしないという県の意図が県民には理解できません。この際、県の真意をぜひお聞かせいただきたい。 さらに、この交付金を上関町は東海村の乾式貯蔵施設視察費用に充てていますが、東海村の施設は二○○一年建設の新しい施設であり、施設の健全性が問題になってくるのは乾式キャスクの寿命に近づく四、五十年後のことで、現時点で誰が視察しても、そのような長期にわたる保管の安全性を危惧する説明は一切ないはずとの専門家の指摘について見解をお尋ねし、一回目の質問といたします。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)中嶋議員の御質問のうち、私からは、大災害時の支援対策に関して、DMATについてのお尋ねにお答えします。 まず、県内のDMATのチーム数とその評価についてです。 DMATについては、県では災害発生直後の急性期において迅速かつ適切な救急医療を提供することができるよう、専門的な訓練を受けた医師、看護師、業務調整員からなるチームの編成や体制の整備を進めているところです。 現在、災害拠点病院を中心とした十八病院に三十チームが編成されており、今般の能登半島地震において、石川県からの約三週間にわたる継続的な派遣要請に対し、十一チームが応え、被災された方々の生命や健康を守るための医療支援や患者搬送等の活動に取り組まれました。 また、これまでも平成二十一年七月に本県で発生した豪雨災害や平成二十八年の熊本地震等において、必要とされた業務に対応ができたことから、現時点、災害発生時における派遣体制が確保できていると考えていますが、引き続き、その技術向上等に取り組んでいくこととしています。 次に、今回の能登半島地震を受けた新たなチームづくり等についてです。 これまで、国の養成研修や中国五県合同で行う実動訓練等を通じて、DMAT隊員を養成・確保してきたところであり、今後、派遣経験のある災害医療関係者等で構成する会議において、新たなチームづくりや統括DMATの養成等の検討を行うこととしています。 私は、今後ともこうした取組を通じて、災害時の医療提供体制の充実を図ってまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)松岡総務部長。 〔総務部長 松岡正憲君登壇〕 総務部長(松岡正憲君)大災害時の支援対策についてのお尋ねのうち、避難所の対応についてお答えします。 被災者の健康を守り、その後の生活再建への活力を支えていく上で、避難所の良好な生活環境の確保は重要です。 このため、県では避難所運営マニュアル策定のための基本指針を策定し、各避難所において必要な食料や水、生活物資の備蓄について、市町における適切な対応を促すとともに、お示しのスフィア基準も参考として掲げ、避難者一人当たりの所要面積の目安を示しています。 県としては、今後とも避難所の良好な生活環境の確保が図られるよう、市町に対して担当者会議や研修会などを通じた指針の周知や参考となる他県事例の情報提供を行ってまいります。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)子育て支援策についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、子供医療費についてです。 各市町における独自の取組については、それぞれの自治体が財政状況や住民ニーズなどを勘案して判断されているものと受け止めています。 また、本県の乳幼児医療費助成制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しているものであり、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えています。 次に、産後ケアについてです。 産後ケア事業の実施主体は、市町となっていますが、国の調査研究によると、委託先である病院や助産所の地域偏在などから、全国的に市町村単独での対応に苦慮している実態が示されており、本県においても、同様の傾向があるのではないかと考えています。 また広域的な対応・支援については、国において、子ども・子育て支援法を改正し、国、県、市町の役割分担の下、産後ケアの提供体制の整備を図ることとしており、県としては、こうした動きを踏まえ、適切に対応してまいります。 次に、保育士の人材不足についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、保育士確保に関する対策事業や支援制度の実績についてです。 県では、県内保育士養成施設の学生を対象とした修学資金の貸付けや、潜在保育士の再就職支援などに取り組んでおり、これらにより、これまでに五百三十一人の就業に結びついています。 次に、職場環境の改善や保育の質の向上に係る新たな政策についてです。 まず、職場環境の改善に向けては、ICT活用の推進など、業務改善に向けた啓発セミナー等を開催し、保育士の働き方の見直しを促進します。 また、保育の質の向上に向けては、私立保育所等を対象に、三歳未満児クラスについて、国の基準を上回る保育士の配置に対する補助制度を新設することにより、さらに手厚い人員配置を促進することとしています。 副議長(島田教明君)鈴森産業労働部理事。 〔産業労働部理事 鈴森和則君登壇〕 産業労働部理事(鈴森和則君)脱原発についての御質問のうち、使用済核燃料の中間貯蔵施設についてのお尋ねにお答えします。 上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在はあくまでも施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、現時点、当該調査の結果や施設に関する具体的な計画もなく、県としての見解や対応を申し上げる状況にはないものと考えています。 次に、上関の地域振興に関する御質問のうち、交付金についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県の交付金の申請についてです。 お示しの交付金は、電源立地地域対策交付金のうち初期対策交付金相当部分であり初期段階における発電用施設等に関する理解促進を図るためのものです。 現在は、あくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が行われているところであり、現時点、県として交付金を活用して事業を行うことは考えていないことから、交付金の申請は行わないこととしたところです。 次に、上関町がこの交付金を充てて行っている東海村の乾式貯蔵施設の視察に係る見解についてです。 乾式貯蔵施設は、原子炉等規制法に基づき、原子力規制委員会による許可を受けて設置されるものであり、東海村の乾式貯蔵施設の視察における事業者の個別具体的な説明について、県は見解を述べる立場にはありません。 なお、お示しの視察については、事業主体である上関町において適切に行われるものと考えています。 副議長(島田教明君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)脱原発についてのお尋ねのうち、上関原発についてお答えします。 公有水面埋立法では、埋立工事が期間内に竣功しない場合、免許は失効することとされていますが、一方、正当な事由があると認められるときは、期間延長することができるとされています。 期間延長については、申請がなされた時点で、法令に基づき、正当な事由の有無を厳正に審査し、許可の可否を判断するものですが、お示しの二井元知事の答弁は、中国電力からの延長申請がなされる前の時点のもので、当時の状況を踏まえ示された認識です。 その後なされた、これまでの延長申請については、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であるとの国の見解が明確に示され、これは、実際に土地需要があることを示す具体的な根拠となるものであることから、期間延長に正当な事由があると認められ、延長を許可したものです。 副議長(島田教明君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)脱原発に関する御質問のうち、まちづくり計画の支援についてのお尋ねにお答えします。 市町におけるまちづくりについては、地域の実情や住民のニーズ等を踏まえながら、その財源も含め、各市町において主体的に判断し、実施されるべきものです。 県では、この基本的な考え方に立って、上関町の要望を踏まえ、広域自治体の立場から、県道の改良工事や離島航路に対する財政支援などを実施しているところです。 県としては、引き続き、上関町の意向を把握しながら、こうした取組を通じて、町のまちづくりを支援してまいります。 副議長(島田教明君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再質問させていただきます。 公有水面埋立免許については、委員会でも時間がありますので、残念ですけれどもそちらに譲りたいと思います。 まず、十一月県議会でも指摘させていただきましたけれども、原発のある大飯町の隣々接の宮津市は、将来負担比率は、あの北海道の夕張市に次ぐ全国ワースト二位という深刻な財政であっても、電源三法交付金の誘惑に惑わされず、持続可能なふるさとを次世代につなげる懸命な道を選択されておられます。このことをどう思われますか、お尋ねです。 小中進元県議が、この間告発し続けてこられましたが、県道を町道に移管して、町に代わって中電が用地買収、トンネル工事を含む町道整備に総工費数十億円をかけて整備をしたことが報道されましたが、事実上の寄附行為ではないのか。また、中電が町道建設業を非公開なのは、消費者や株主がチェックできず問題ではないか、そもそも道路法第二十四条の拡大解釈による違法性はないのか、それぞれお尋ねです。 そして、むつ市の中間貯蔵施設が原子力規制委員会の審査に事実上合格した際に、当時の更田委員長が、恐れるのは燃料を運び出す先がない状態で、燃料の容器の耐用年数に近づく事態だとの懸念を示しておられます。先ほど答弁いただきましたけれども、このことについて御見解をお聞かせください。 二月二十七日の福井県原子力安全専門委員会で、使用済核燃料の保管容量は千五百三十体、七百トンで、関電は三〇年頃に県外で操業する予定の中間貯蔵施設へ円滑な搬出が目的だと地元の福井新聞が報じています。まさに、上関町への搬出前提の議論ではないか、このことをどうお考えですか。 また、東北電力は、女川原発サイト内に中間貯蔵施設建設を発表しました。 玄海・伊方原発には建設中、どうしても必要なら中国電力も島根原発サイト内に計画すればよいではないか、お聞かせください。 また、九州電力は、MOX燃料がなくなり、玄海原発もプルサーマル発電を停止、これまでたった一・五トンしかプルトニウムを消費していません。伊方原発も七月に燃料がなくなり、停止予定です。 MOX燃料は、関電、大飯原発にあるだけになります。燃料プールが大飯では満杯寸前で使いたくても使えない、だから、中間貯蔵ではないかと言われています。このことについて、どうお考えですか、お尋ねです。 そして、六ケ所再処理工場の操業時期を日本原燃社長は六月と言っていたのを、また九月に延期しました。もはや二十七回目の延期は確実で、核燃料サイクルは破綻している。仮に、上関に造られたら最後、搬出先はない。どうするのですか、お尋ねです。 福井県の前西川県知事は、中間貯蔵施設について、おおい町長の誘致表明を、美浜町議会の誘致決議を、さらには御自身の後援会長だった福井県商工会議所会頭の方針変更の忠告をもはねのけられておられます。 かように、中間貯蔵問題は知事の政治案件ではありませんか。産業労働部理事に答弁いただくのは大変申し訳ない。知事自らの答弁をお願いし、再質問といたします。 副議長(島田教明君)永富総合企画部長。 〔総合企画部長 永富直樹君登壇〕 総合企画部長(永富直樹君)上関町のまちづくり計画の支援に関する再質問にお答えをいたします。 宮津市の選択、京都府の市だと思いますけれども、この選択についての御質問でありましたけれども、先ほど御答弁申し上げましたが、市町のまちづくりについては、その財源も含め各市町において主体的に判断されるものであり、お尋ねのありました京都府の宮津市の選択について、山口県は見解を申し述べる立場にはございません。 副議長(島田教明君)片山土木建築部長。 〔土木建築部長 片山克浩君登壇〕 土木建築部長(片山克浩君)県道を町道に移管して、中電が数十億円をかけて町道整備を行ったとの報道があったが、事実上の寄附行為ではないか、また、中電の上関町道の整備について、道路法第二十四条の拡大解釈であり、違法性はないかとの二点の再質問にまとめてお答えします。 道路管理者である上関町の了承の下、中国電力が道路工事を実施したものと承知しており、県としては見解を述べる立場にありません。 副議長(島田教明君)鈴森産業労働部理事。 〔産業労働部理事 鈴森和則君登壇〕 産業労働部理事(鈴森和則君)脱原発に関する再質問にお答えします。 まず、中電の町道建設費用非公開の関係でございますが、県は中国電力に対する監督権限を有しておらず、見解を述べる立場にはありません。 それから、原子力規制委員会委員長の燃料容器に関する発言についての再質問でございます。 原子力規制委員会委員長が、令和二年九月、記者会見で規制委員会の監督処分の考えに関連して、恐れるのは出ていく先がない状態でキャスクの許容年数に近づいてきてしまうというような事態にならないようにということですという発言があったことは承知しています。 この発言は、使用済燃料の貯蔵に対する規制として、例えば、大きな違反があった場合に規制委員会が利用の停止を求めた場合のことを考えておく必要がある、そういった議論を受けてのものと承知しておりまして、後日の会議において想定される年数に近づきつつある場合は、およそ十年くらい前に、対応について規制委員会が確認していくことが議論されたと承知しております。 それから、福井県原子力安全専門委員会の議論についての再質問にお答えします。 この委員会は、福井県内の原子力発電所に関する原子力安全行政について、技術的な評価・検討を行い、助言するために開催されるものと承知しております。 そうした他県での委員会での議論について、県として見解を述べる立場にはないと考えています。 それから、島根原発サイト内に計画すべきといった再質問であったかと思います。 上関町における中間貯蔵施設につきましては、上関町の地域振興策の検討要請に対し、中国電力が立地可能性調査を行いたいと回答し、現在、当該施設が立地可能なのかどうか、その調査が行われているところであり、県としての見解を申し上げる状況にはないと考えています。 それから、核燃料サイクル、搬出先等についての再質問でございます。 エネルギー政策は、国家運営の基本であることから、核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものと考えています。 それから、上関町に中間貯蔵施設を受け入れることについてでございますけれども、先ほど来から答弁しておりますけれども、上関町における中間貯蔵施設につきましては、現在あくまでも中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての見解を申し上げる状況にはないものと考えています。 副議長(島田教明君)中嶋光雄君。 〔中嶋光雄君登壇〕(拍手) 中嶋光雄君 再々質問します。 中間貯蔵施設については、村岡知事が建設同意するまで、毎年一億四千万入り続けるということですけれども、知事がそれなら仮に向こう十年間、判断を留保したら十四億円入り続ける、そういう考え方でいいのでしょうか、お尋ねで終わります。 副議長(島田教明君)鈴森産業労働部理事。 〔産業労働部理事 鈴森和則君登壇〕 産業労働部理事(鈴森和則君)中間貯蔵施設に関する再々質問にお答えいたします。 先ほど来、御答弁申し上げておりますけれども、上関町における中間貯蔵施設については、現在あくまでも立地可能なのかどうか、調査が行われているところでありまして、県としての見解を申し上げる状況にはございません。したがいまして、今の交付金等についての御質問につきましても、現在お答えできるものはございません。 副議長(島田教明君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後二時二十六分散会