1 防災・減災対策への取組について 2 観光振興への取組について 3 カーボンニュートラルの実現に向けた取組について 4 中小企業支援策の充実について 5 共生社会の実現について 6 教員のメンタルヘルス対策について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(島田教明君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第八十三号まで 副議長(島田教明君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第八十三号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 氏原秀城君。 〔氏原秀城君登壇〕(拍手) 氏原秀城君 皆様、こんにちは。やまぐち県政会の氏原秀城でございます。 通告に基づき、令和六年二月定例会に当たり、会派を代表して質問させていただきますが、その前に、本年一月一日に発生いたしました能登半島地震において、お亡くなりになられた方への哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての方に心からのお見舞いを申し上げます。あわせて一日も早い復旧・復興を願うところであります。 それでは、会派を代表し、県政の諸課題に対し質問をさせていただきます。 まずは、防災・減災対策への取組についてお尋ねいたします。 一点目は、能登半島地震による災害を教訓とした本県の防災・減災及び災害発生時の迅速な対応に向けた取組方針についてでございます。 災害時に自治体が対応すべき対策は、以下のようなものになります。災害対応体制の実効性の確保、情報の収集、発信と広報の円滑化避難対策、避難所における生活環境の確保、応援受入れ体制の確保、ボランティアとの連携・協働、生活再建支援、災害救助法の適用、災害廃棄物対策と多岐にわたり、そして時間とともに変わっていきます。 この能登半島地震による災害におきましても、発生直後は、まずは災害状況の確認と、これに伴う安否確認や救助活動、そして避難先への誘導や食料等の必要物資の搬送などに主軸を置いた対応が求められてきましたが、この能登半島地震では、地震の振動や津波による建物等の倒壊はもとより、地面の液状化現象や海底の隆起などにより、想定以上のインフラ設備への被害が発生したことで、災害発生後の救助活動等の避難支援をはじめ現在の復旧・復興に大きな支障を与えているところであります。 また、発生から約二か月が経過した現在におきましては、避難所の生活環境、特に最近では、女性や乳幼児に関する備品の不足や配慮が不足しているとの指摘があることから、改めて、防災や危機管理部署への女性職員の登用をはじめとした女性の視点に立った防災体制づくりが重視されているところであります。 こうした中、本県においても職員等を派遣するなど、被災者の方への支援とともに一日も早い復旧に向け尽力されていることに敬意を表しますところではありますが、このことを単なる職員の派遣による復旧・復興支援のみで終わらせるのではなく、職員の方からの被災現場での活動状況を参考にすることは、今後発生し得るであろう本県の災害において、迅速かつ的確な対応に大きくつながるものと考えます。 先ほどから申しましております能登半島地震は一月一日に発生いたしました。災害はいつ、どこで、どのような規模で発生するかは分かりません。もちろん台風や高潮などは天気予報等である程度、事前に予測や避難に向けた心構えも可能ではありますが、地震やこれに伴う津波につきましては、過去の地震等からの推計によるものであり、日本全国、いつ、どこで発生するかは分かりません。 本県においても、東海から九州まで東西およそ七百キロに及ぶ南海トラフに沿って発生すると言われています南海トラフ地震は脅威であります。 古い歴史を遡ってみますと、百年から百五十年の間隔で大きな地震が起きており、現在は、前回の昭和東南海地震・昭和南海地震の発生から約八十年が経過していることから、今後三十年以内に発生する確率が七○から八○%と、いつ起きてもおかしくない時期に入り始めている切迫性の高い状態にあるとされています。 加えて、そうした中、昨年の豪雨では、県中部・西部を中心に大きな爪痕を残しています。 県においては九月定例会において百三十六億五千百万円の災害対策関連事業補正予算を組み、豪雨災害への早期復旧と再発防止対策に全力で取り組まれていることに敬意を表します。 とはいえ、現在は本格的な復旧・復興に向け着手したばかりであります。 そして、特に被害の大きかったJR美祢線・山陰線、河川の復旧に向けては長期に及ぶ事案であることは承知はしておりますが、再三の繰り返しになりますが、災害はいつ発生するか分かりません。 頻発する豪雨災害に備えて、河川改修に当たっては、現行の河川整備計画の妥当性を再検証するなど河川整備計画の見直し、同様の災害の再発防止を具現化することが求められるなど、次の災害が発生する前に現状の被害をいかに復旧しておくかが大切になります。 そこで、今回、被災地へ派遣され活動された職員の方々からの報告も踏まえ、本県の防災対策及び災害発生時の迅速な対応に向けた現状と課題、二○二四年度の方針、具体的な取組について、知事及び県警本部長にお尋ねいたします。 また、令和五年梅雨前線豪雨災害で被災された住民の不安を一刻も早く取り除くためにも、一日も早い復旧をお願いするとともに、そして次なる災害への対策として、被災した公共土木施設の復旧状況について、現状と今後の見通し、加えて河川の再度の災害防止にどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。 次に、観光振興の取組についてお尋ねいたします。 一月九日に、アメリカのニューヨークタイムズが二○二四年に行くべき五十二か所を発表し、皆既日食の道が見られる北米、オリンピックを控えたパリに続き、三番目に日本からは唯一となった山口市が紹介されました。 ニューヨークタイムズのホームページによりますと、山口市は西の京都とも呼ばれ、過度な観光客に悩まされることが少ないコンパクトな都市と紹介されています。その上で、国宝の瑠璃光寺五重塔のほか、昔ながらの喫茶店やおでん、鍋料理をカウンターで提供できる店、そして湯田温泉が紹介されているところです。また、小規模ながら六百年の歴史がある山口の夏の風物詩、山口祇園祭も七月に開催されることが紹介されています。 昨年、ニューヨークタイムズが行くべき旅行先の二番目に取り上げた盛岡市では外国人観光客が大幅に増えたことから、このたびの紹介によって、山口も海外からの注目が高まることが期待されているところであり、知事におかれても、本当にびっくりして、うれしい。世界でよく読まれているニューヨークタイムズで三番目に選ばれたので、世界中から山口に行きたいと思ってもらえるようにインバウンドの大きな流れを呼び込みたい。大内氏の時代の歴史ある建物や町全体の雰囲気が今に引き継がれ、息づいているという山口市の深い魅力を世界中に感じてもらえるよう知名度を高め、観光地や食文化の魅力を伝えていきたい、と話されているところであります。 私も知事の思いと同様であり、これを機に山口市をはじめ本県全体の知名度の向上、観光地や食文化の魅力が伝わるきっかけになればと思っておりますし、コロナ禍を経た最大のチャンスだとも思っております。 平成二十七年三月三十日にアメリカのニュース専門放送局CNNがウェブ上で発表した、日本の最も美しい場所三十一選に長門市の元乃隅神社が選ばれ紹介された時を思い出しました。現在も山口県が世界に誇る観光スポットとなっています。 また、本県には岩国市の錦帯橋をはじめ、防府市の防府天満宮や柳井市の白壁の町並み、萩市の城下町、美祢市の秋吉台や鍾乳洞、私たち県民からするとある意味目新しくない当たり前の歴史や文化、風景が、海外の方には大変魅力であるというところであります。 また、そうした中、宇部市では昨年十月六日から今年の一月八日には、海外でも人気のあるアニメーション、エヴァンゲリオンにちなんだ取組を展開され、県域の経済波及効果は、宿泊や飲食などの消費が約十一億円、生産者や事業者への二次的な波及効果が約二億円と、全体で約十三億円に上ったとも発表されています。 さらに、一月十日から二月二日に就航した韓国・仁川国際空港と山口宇部空港への連続チャーター便が約五年ぶりに、また二月二十三日、二十六日には台湾桃園国際空港と山口宇部空港を結ぶチャーター便も約四年ぶりに就航いたしました。 仁川空港と山口宇部空港への連続チャーター便を利用された観光客の方々は、宇部市はもとより、下関市や美祢市、山口市などの県内各地の周遊地を訪れたとされています。 実際、訪れられた観光客の方々へのアンケート結果では、非常に満足・満足との回答が九二・七%、再利用したいとの回答が八五・八%と大変好評価を受けています。 そうした中で、残念に感じたのは、宇部市がエヴァンゲリオンに係る取組を展開した時期と、韓国・仁川空港と山口宇部空港への連続チャーター便の運航時期が合わなかったことです。リンクしていれば、県内の観光に、さらに大きな相乗効果が得られたのではないかと感じています。 外国人観光客から見た日本のよさは、円安を含めた旅行代金の安さといった社会経済情勢的要素もある中、品質・サービスの良さ、温泉などが魅力という報道とともに、これまでの単なる購買から体験型旅行を目的とした観光に移り変わってきていると報道を目にいたしました。 しかし、その中でこうした外国人観光客を受け入れるに当たっては、利用しやすい公共交通網、看板多言語表示、分かりやすい観光案内、Wi─Fi環境などの整備の充実などが課題として取り上げられていました。 この機運を逃すことなく、外国人観光客が山口県に訪れてよかった、そして再訪したいと思ってもらえるように、整備の充実等も至急進めていかなければなりません。 そうした点においては、昨年二番目に取り上げられた盛岡市との情報交換等は有効に活用できるのではないかと考えます。 そこで、県として韓国、台湾とのチャーター便の定着や定期便化、市町の取組との連携等について、また先日までの台湾とのチャーター便の成果をはじめ、同チャーター便により訪台された際に進められた、本県の観光プロモーション活動の成果なども踏まえ、インバウンドの大きなチャンスに、観光振興にどのように取り組まれるのか、お尋ねいたします。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてお尋ねいたします。 カーボンニュートラルの実現に向けた取組については、大手企業は、二○五○年までの残り期間を見据え、新規開発や事業形態の変化、資金調達も含めて作業を行っているものの、中小企業・個人事業者は、燃料費や物価の高騰などにより、その対応が遅れていると考えます。 加えて、脱炭素社会の実現に向けては、企業や行政の努力だけでなく、側面的な要素として、需要の拡大も大きく関係するものと考えますが、そこには国民の生活様式や住居、家電に至るまで、様々な影響が出てくることが想定されます。 カーボンニュートラルは世界の潮流であり、国を挙げて取り組む課題です。 そのためには、県はこれまで以上に市町と連携し地場産業の動向や要望を捉え、積極的に関与していくとともに、国に対しては必要な経済的支援や、ハードルとなる規制の緩和、法整備等具体的な提案・要望を行うなど、国と連携しながら省力化・省エネ化や生産性向上のための設備投資、技術革新等を支援していくことが不可欠であります。 物価が高騰している現状においても着実に脱炭素化を進めていくには、このような企業や県民の負担軽減につながる取組など、カーボンニュートラルに取り組んでいけるような環境を整備していくことが必要だと考えますので、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援策についてお尋ねいたします。 二月二十二日、日経平均株価が前日比八百三十六円五十二銭高の三万九千九十八円六十八銭で終え、三十四年ぶりに最高値を更新いたしました。 これは、生成AI(人工知能)への期待が半導体関連にマネーを呼び込んだものとされ、株高の底流には日本企業が守りから攻めへの経営に転じ、海外投資家が評価する動きがあるとされ、日本経済は、長く続いたデフレから脱却する重要な節目の時期に来ているとされています。 しかしながら、そこには人口減少と地方の疲弊という二つの構造的な課題に直面しており、特に地方は、少子高齢化に加え、若者を中心とした都市部への人口流出により労働力不足が深刻であります。 そのためには、企業数の九九%を占め、雇用の七割を支える中小・中堅企業が、魅力ある商品、サービス、産業を創出し、域外から人と需要を呼び込み、地域に経済の好循環を構築することで地方の疲弊の解決につなげていかなければなりませんが、県内の中小企業においても、三年半にも及ぶ新型コロナウイルス感染症の後遺症を引きずる中で、世界的な原材料価格の上昇や燃料費の高騰、円安などの影響により、事業環境が一層厳しさを増す状況になっていると考えます。 今季春闘においても、かつてない規模で労使双方が歩調を合わせているとされていますが、中小企業においては、こうした賃上げを起点とした好循環実現につながるかには課題があると考えます。 県においては、省エネルギーや生産性向上に向けての補助制度や原油価格・物価高騰対応資金、返済負担軽減借換等特別資金を創設するなどの取組、また、市町でもそれぞれ独自の支援策を打ち出してきたことには評価するところではありますが、価格転嫁が厳しいとされる中小企業の現下の厳しい状況を乗り切るためには、まだ十分な状態であるとは言える状況下にはないと考えます。 そこで、これまでの支援策の継続・拡充に加え、さらなる支援策の検討について御所見を伺います。 次に、共生社会の実現に向けてお尋ねいたします。 高齢化社会を迎える中、令和五年六月十四日、認知症の人が希望を持って暮らせるように国や自治体の取組を定めた、共生社会の実現を推進するための認知症基本法──以下、認知症基本法としますが、参議院本会議において全会一致で可決・成立し、令和六年一月一日に施行されました。 認知症基本法の主な目的は、認知症の人も含めた国民全体で共生社会をつくることです。 共生社会をつくることで、認知症の人も認知症でない人も、お互いに支え合いながら生きていく環境がつくられ、活力ある国づくりができます。 認知症の人々は年々増加傾向にあり、厚生労働省の研究班によりますと、認知症の人は、二○二○年時点で、六百万人以上と推計されています。さらに団塊の世代が全員、七十五歳以上の後期高齢者となる二○二五年にはおよそ七百万人と高齢者の五人に一人が認知症になると予測されています。 認知症には様々なタイプの症状がありますが、その多くはまだ治療法が確立されておらず、完治することが難しく、ほとんどのタイプで症状の進行を遅らせることしかできません。 認知症の原因の一つ、アルツハイマー病の新しい治療薬が、昨年九月に国の承認を受けて十二月に販売されましたが、この治療薬についても投与対象となるのは軽度認知障害と軽度の認知症の人だけで、認知症患者全体の一割未満と見られるということであります。 また、一度治療を始めると患者は二週間に一度、原則一年半の間、通院の負担と点滴を受ける必要があり、副作用を早く見つけるため、脳の画像診断などの検査ができる医療機関で治療が行われることになっており、対応できる医療機関は限られるということです。 認知症になるとマイナスなことだと考えられがちですが、認知症の人が希望を持って暮らせる社会をつくれば、認知症になることを悲観に考える人が少なくなります。 そのような希望を持てる社会の基盤をつくるため、認知症基本法が制定されたのであります。 認知症基本法では、政府の、認知症の人や家族などで構成する関係者会議を踏まえて意見を聴いた上で、施策を推進するための基本計画を策定することが義務づけられており、併せて都道府県や市町村には、認知症の人や家族などから意見を聴いた上で計画を策定することを努力義務としています。 その上で、認知症の人に関する国民の理解の増進等とした国民が共生社会の実現の推進のために必要な認知症に関する正しい知識及び認知症の人に関する正しい理解を深めようとする施策、認知症の人の生活におけるバリアフリー化の推進とした認知症の人が自立した日常生活・社会生活を営み、かつ、安心して他の人々と共に暮らすことができる安全な地域づくりの推進のための施策、認知症の人の社会参加の機会の確保等とした認知症の人が生きがいや希望を持って暮らすことができるようにするための施策、認知症の人の意思決定の支援及び権利利益の保護とした認知症の人の意思決定の適切な支援及び権利利益の保護を図るための施策、保健医療サービス及び福祉サービスの提供体制の整備等とした認知症の人がその居住する地域にかかわらず等しくその状況に応じた良質かつ適切な保健医療サービス及び福祉サービスを適時にかつ切れ目なく提供されるための施策、相談体制の整備等とした認知症の人または家族等が孤立することがないようにするための施策、研究等の推進等とした認知症の本態解明、予防、診断及び治療並びにリハビリテーション及び介護方法等の基礎研究及び臨床研究、成果の普及等や、ほかの人々と支え合いながら共生できる社会環境の整備等の調査研究、成果の活用等、そして認知症の予防等とした早期発見、早期診断及び早期対応の推進のための施策などの八つの項目を基本的施策に掲げています。 そこでお尋ねいたします。認知症基本法の施行に伴い、県内の認知症患者の実態を踏まえた、本県としての認知症施策推進計画等の策定、及び八項目からなる基本的施策への取組について、御所見をお伺いいたします。 最後に、教員のメンタルヘルス対策についてお尋ねいたします。 令和四年度に全国の公立の小・中・高等学校、特別支援学校で精神疾患を理由で休職した教員は、令和三年度より六百四十二人多い六千五百三十九人で過去最多だったことが、文部科学省の人事行政状況調査にて公表されています。これは全教員の○・七一%で約百四十人に一人の割合となり、年代別では、三十代の千八百六十七人を最多に、五十代以上、四十代、二十代と推移、また、これを男女別で比較すると男性二千六百十九人、女性が三千九百二十人、さらに学校種別では小学校の三千二百二人を最多に中学、特別支援学校、高校とされています。 ただ、精神疾患で一か月以上の病気休暇を取得した人を含めると一万二千百九十二人に上ったとされており、これを年代別に比較すると二十代が最も高いとの調査結果が出ています。 とある資料によりますと、教員が精神疾患を引き起こす理由として、教員という仕事の感情労働という特性が挙げられるともされています。 感情労働とは、感情の調節が求められる労働で、際限がなくなりやすく達成感を得にくいため燃え尽きが生じやすい特徴があるそうで、教員は、児童生徒や保護者との関係、上司や同僚との関係など、複数の対人関係を絶えず調整することが求められています。 特に近年は保護者などからの要求が多様化し、業務量が増えてきている中、特に若い教員の場合は、不調を相談できる関係性が希薄だと、ぎりぎりまで頑張り続けて、助けを求めないとどうにもならない時には、既に重症化に至っていること、また、中堅以上や管理職においても、代替教員が確保できないときのフォローや、その調整に苦慮しているなどの負のスパイラルが起きているのが教員のメンタルヘルスの現状ではないかともうたわれています。 現在、教員の長時間労働の解消に向けた働き方改革では、部活動の地域移行をはじめとした様々な取組や検討がなされていますが、そこには教員の心身の健康、特にメンタルヘルス対策についてもしっかりと検討し進めていかなければならないと考えます。 私の知り合いに、小・中・高校時代に御指導いただいた先生に憧れ、現在、自身が教員となって頑張っている方、また、教員になるため大学で勉学に励んでいる学生を知っております。 今の現役世代はもとより、これからの次代を担う教員、そしてその先の次代を担う児童生徒のためにも、教員の心身の健康は絶対に欠かすことができないものであります。 そこで、教員のメンタルヘルス対策について、本県の公立の小・中・高等学校、特別支援学校の教員における精神疾患の原因分析を含めた状況と、これに歯止め・低減に向けた具体的な取組についてお尋ねいたします。 以上で代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)氏原議員の代表質問にお答えします。 まず、防災・減災対策への取組についてのお尋ねのうち、能登半島地震による災害を教訓とした本県の防災・減災及び災害発生時の迅速な対応に向けた取組方針についてです。 大規模災害が発生した場合における自治体の対応は、発生直後の救助・救出から避難所の開設・運営、被災者の生活再建に至るまで多岐にわたり、時間の経過により変わっていく様々な課題に、迅速かつ的確に対処していく必要があります。 このため、県では、地域防災計画に、防災に関わる県や市町、関係機関などが取るべき行動等をあらかじめ定めるとともに、平素から関係者が防災訓練等を通じて連携を強化し、災害時の様々な課題にも臨機応変に対応できるよう取り組んでいるところです。 こうした中、元日に発生した能登半島地震においては、お示しのように、交通インフラの被災による救助活動の停滞、長期にわたる断水や停電による厳しい避難生活、さらには、女性や妊婦等が必要とする生活物資の不足など、様々な課題が指摘されています。 また、本県では、これまで全国知事会等と連携しながら必要な職員の派遣等を通じて、被災地域の復旧に向けた支援に取り組んできたところであり、業務に携わった職員からは、避難者の生活環境の改善や住家被害認定業務の効率的な実施の必要性など、多くの貴重な報告がなされています。 県としては、こうした報告に加え、今後見込まれる国や被災県等による災害対応の検証結果も把握した上で、来月設置する、地震・津波防災対策検討委員会において、本県防災対策における課題を整理し、必要な見直しを行い、充実を図ってまいります。 なお、県では、女性特有の課題に的確に対応するため、防災関係部署に女性職員を配置するとともに、市町に対し、女性職員の登用や避難所運営への女性の参画などを求めているところであり、引き続き、検討委員会での議論を踏まえ、女性の視点に立った防災体制づくりに取り組んでいきます。 私は、市町や防災関係機関との連携の下、被災地で活動した職員からの報告等も踏まえながら、災害発生時の迅速な対応など、必要な防災・減災対策を講じてまいります。 次に、昨年の梅雨前線豪雨により被災した公共土木施設の災害復旧と河川の再度災害防止についてです。 私は、被災された地域の皆様が一日も早く安心した生活に戻れるよう、社会基盤の早期復旧に取り組むとともに、今後も想定される大規模な自然災害に備え、災害に強い県づくりを進めていくことが、重要であると考えています。 このため、まず、災害復旧については、デジタル技術の活用等により、査定に向けた作業の迅速化を図り、通常より約一か月早く査定を開始しており、査定終了後も、工事の早期発注に努めてきたところです。 その結果、被災した県の公共土木施設三百六十一か所のうち、おおむね八割で工事着手しており、引き続き、来年度の復旧完了を目指して取り組むこととしています。 次に、河川の再度災害防止に向けては、過去に大きな水害が発生した河川等を優先して、目標流量や整備区間等を定めた河川整備計画を策定し、必要に応じて検証等も行いながら川幅の拡幅などの河川改修を行っているところです。 とりわけ、平成二十二年に厚狭駅周辺において大規模な浸水被害が発生した厚狭川では、被災状況等を踏まえ、整備計画の検証・見直しを行い、下流側から河川改修を実施してきたところです。 こうした中、昨年の豪雨により、上流側において大きな被害が発生したことから、整備計画の再検証を行った上で、現在、詳細な設計等を実施しており、今後、抜本的な河川改修を進めることとしています。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、災害に強い県づくりに向けて、防災・減災対策の強化に取り組んでまいります。 次に、観光振興への取組についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍が明け、訪日外国人観光客が大幅に増加する中、ニューヨークタイムズの記事を契機に本県への注目が一躍高まっており、インバウンドの拡大に向けた大きなチャンスであると考えています。 このため、私は、この絶好の機会を逃すことなく、本県の豊かな自然や歴史、多彩な食などの魅力的な観光資源を生かしながら、海外からの誘客対策の強化や受入れ環境の充実に取り組むこととしています。 まず、誘客対策の強化については、海外に向けた戦略的なプロモーションを展開しており、欧米豪市場に影響力のある海外メディアを招いた視察ツアーを実施するなど、本県の魅力ある観光コンテンツを広く発信し、さらなる認知度向上を図っていきます。 また、先日の台湾訪問では、観光等に関する覚書を締結している台南市において、市長を表敬訪問し交流を深化させるとともに、世界的な大規模イベントである台湾ランタンフェスティバルに出展し、観光情報を発信したところです。 さらに、多くの現地メディアや観光関係者が集まるイベントにおいて、私自らのトップセールスにより、本県の観光地や食の魅力をPRしたところであり、こうした取組を通じて、さらなる誘客拡大につなげていきたいと考えています。 次に、受入れ環境の充実については、外国人観光客が安心して快適に周遊できるよう、多言語に対応した新たな観光周遊バスを運行するとともに、Wi─Fi環境の充実や多言語コールセンターの運用などに取り組んでいきます。 また、市町と連携し、観光案内所や観光事業者等を対象としたおもてなし研修会を開催するとともに、案内表示やパンフレットの多言語化などの取組を進めていきます。 こうした取組に加え、このたびの韓国、台湾とのチャーター便の高い搭乗率の成果を生かし、その定着や定期便化に向けた取組を強化することにより、インバウンド需要のさらなる取り込みにつなげてまいります。 私は、海外からの注目が高まっているこのチャンスを生かし、今後とも、市町や観光事業者等と緊密に連携しながら、誘客対策の強化や受入れ環境の充実を進め、本県の観光振興に取り組んでまいります。 次に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素に向けた潮流が加速化する中、その実現には、県民や事業者などあらゆる主体が連携・協働し、実効性ある取組を計画的かつ効果的に進めていくことが極めて重要です。 このため、昨年度末に六十億円の脱炭素社会実現基金を創設し、県政各分野で集中的な施策を展開してきたところです。 まず、県民向けには、新築ZEHの導入支援をはじめ、既設住宅への太陽光発電設備等の共同購入支援事業などに取り組んでいます。 また、中小企業向けには、専門家による省エネ診断やCO2排出量の算定支援を行うとともに、省・創・畜エネ設備の導入補助を創設するなど、脱炭素化はもとより、高騰するエネルギー価格への対策にも資する取組を進めています。 加えて、電動化対応が急がれる自動車関連産業や、水素を中心とした環境・エネルギー関連産業における研究開発を支援するなど、脱炭素に向けた技術革新や新事業展開も後押ししているところです。 私は、こうした取組を通じて、県民の意識向上や中小企業の活動の広がりにつながるなど、一定の実績や成果が得られたものと実感しています。 しかしながら、脱炭素の実現には、長期的な対応が必要であることから、今後も実効性ある取組を継続するとともに、県民や事業者のニーズを踏まえ、来年度予算において、その拡充を図ることとしています。 具体的には、共同購入支援については、市町と連携し、今年度の実績や事業のメリットを効果的にPRすることで、より多くの県民の参加を促すとともに、事業所においても、より安価に設備導入ができるよう、新たに事業者向けの支援を開始することとしています。 また、中小企業向け設備導入補助については、計画的な導入を可能とするため、申請の募集時期を前倒しするとともに、自動車関連産業においてニーズの高い生産工程の低炭素化に資する補助を創設するなど、事業者の負担軽減に取り組んでまいります。 私は、現下の物価高にあっても、県民や事業者のニーズにしっかりと応えられるよう、カーボンニュートラルの実現に向けた環境の整備に取り組んでまいります。 次に、中小企業支援策の充実についてのお尋ねにお答えします。 県内の社会経済活動も改善しつつある一方で、物価高騰やゼロゼロ融資の返済本格化など、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況です。 私は、地域経済と雇用を支える中小企業が、こうした状況を乗り越え、持続的成長を図っていくため、経営の安定や生産性の向上に向けて、企業のニーズに応じた支援を講じていくことが重要であると考えています。 まず、経営の安定に向けては、物価高騰やゼロゼロ融資の返済本格化に対応するため、県制度融資により資金繰りを支援するとともに、返済計画の見直し時に生じる、追加の信用保証料を全額補助するなど、中小企業の負担を軽減します。 また、中小企業において適正な価格転嫁が進むよう、価格交渉促進月間に合わせ、経済団体に対して取引適正化に係る文書要請により、引き続き働きかけてまいります。 次に、生産性の向上に向けては、デジタル技術の活用による業務改善等の取組を促進するため、「Y─BASE」におけるDXコンサルや、デジタル化の段階に応じた設備導入等の補助制度により、中小企業DXの取組を支援します。 また、物流二○二四年問題への対応が急務である運送事業者に対し、業務効率化に資する設備導入の補助制度を創設し、物流DXの取組を促進します。 さらに、物価高騰の影響を受けている事業者の収益改善を図るため、中小企業の活性化につながるイベント等の実施やECサイトによる商品送料の支援を行います。 こうした取組に加えて、支援機関や金融機関が一丸となって支援するためのプラットフォームを新たに形成し、経営と金融の一体型支援を通じて、複雑化・専門化する中小企業の経営課題にきめ細かく対応することとしています。 私は、本県経済の重要な担い手である中小企業が、現下の困難を乗り切り、持続的な成長が図られるよう、今後とも、関係機関と連携して、中小企業支援に取り組んでまいります。 次に、共生社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進展に伴い、認知症の人の一層の増加が見込まれる中、認知症になっても本人の意思が尊重され、同じ社会の一員として、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることが重要です。 本年一月に施行された認知症基本法では、認知症の人が希望を持って暮らせる社会に向けて国と地方公共団体が取り組む基本的施策が示され、現在、国において基本計画の策定が進められているところです。 私は、これまでも、やまぐち未来維新プランに基づき、認知症に関する社会の理解の増進をはじめ、認知症の人が社会参加しやすい地域づくり、本人の生活を支える各種サービス提供体制の整備等を推進してきたところであり、引き続き、基本的施策に対応した取組を進めてまいります。 具体的には、認知症に関する県民理解の増進に向け、市町や教育機関等と連携して、認知症に関する正しい知識や理解を持つ認知症サポーターを養成し、認知症に関する地域の理解を進めています。 また、認知症の人や家族への相談・支援を行う認知症地域支援推進員などの地域関係者を対象に、認知症の人の声を生かしたバリアフリーの取組や社会参加への支援について学ぶセミナーを開催し、認知症の人と共に、暮らしやすい地域を考える活動も推進しています。 こうした取組に加え、昨年八月には、共に地域づくりに参画していただける認知症の方をやまぐち希望大使として委嘱し、メッセージ動画等を通じて、地域とのつながりや認知症の人に関する理解の大切さなどを積極的に発信をいただいています。 さらに、認知症の人の意思決定支援、適切な保健医療・福祉サービスの提供体制や相談体制の整備に向けては、医療・介護従事者に対し、認知症対応力向上のための研修を実施し、認知症の特性を正しく理解し、適切に対応できる人材を養成しています。 私は、基本計画の策定に向けた国の動向も踏まえながら、今後とも、市町や関係機関と連携して、認知症施策の推進に引き続き取り組み、認知症があってもなくても共に暮らせる共生社会の実現に努めてまいります。 副議長(島田教明君)阿久津警察本部長。 〔警察本部長 阿久津正好君登壇〕 警察本部長(阿久津正好君)災害発生時の迅速な対応に向けた現状と課題、今後の取組方針等についてのお尋ねにお答えいたします。 この能登半島地震におきましては、これまで全国警察から延べ約七万人の警察官が石川県に派遣され、当県警察も延べ千三百人の警察官を派遣しております。 具体的には、発災直後の一月四日から、石川県公安委員会からの援助要求を受け、救出救助活動のため、自活能力を有する機動隊を中心とする広域緊急援助隊の警備部隊を派遣したほか、各種支援に必要となる交通路を確保する交通部隊、被災者に寄り添うべく、その相談に対応する生活安全部隊を派遣するなどし、現在も、パトロールを担う自動車警ら部隊や機動捜査部隊・緊急災害警備隊、約七十名の派遣を継続しているところであります。 さて、県警察では、これまでも大規模自然災害の発生に備え、災害警備計画の見直し、装備資機材の点検整備、関係機関との連携に配意した教養訓練の実施などを通じ、対処能力の向上に努めてきたところであります。 こうした中で発生した能登半島地震においては、祝日等に災害が発生した場合における初動体制の構築、映像等を含む被害状況の確認、救出救助箇所の把握、情報の集約、全国からの応援派遣に対する受援体制の確立等、様々な課題が報道等により指摘されているところであります。 先ほど申し上げましたとおり、被災地における警察活動は現在もなお引き続き行われておりますが、同様の災害は、当県において、いつでも発生し得るものと認識しております。 したがって、この種課題に対し、災害警備計画のさらなる見直し、教養訓練の推進などを通じて、対処能力の一層の向上に努めるとともに、被災地で活動した警察官からの報告等も踏まえつつ、情報収集や指揮体制などの充実強化も含め、災害対策上必要な見直しを推進してまいります。 県警察といたしましては、いかなる大規模災害にも迅速・的確に対処し得るよう、県警察一丸となって各種取組を推進し、県民の期待と信頼に応えてまいります。 副議長(島田教明君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員のメンタルヘルス対策についてのお尋ねにお答えします。 教員の心の健康の保持・増進は、本人の問題にとどまらず、児童生徒の人格形成にも大きな影響を与えることから、メンタルヘルス対策は重要な課題であると考えています。 まず、お尋ねの本県における教員の精神疾患の状況については、令和四年度の休職者数が前年度に比べ二人増の六十一人と、近年、横ばいとなっており、また、精神疾患を理由に三十日を超える病気休暇を取得した教員については、二十歳代の割合が最も高くなっています。 その原因は、個人個人で異なりますが、例えば、児童生徒や保護者への対応、職場での人間関係、業務の多忙化など職場や業務に関することや、自身の性格、家族の問題といった本人に関することなど、様々な要因が重なって起こるものと考えられます。 こうした状況を受け、県教委では、校長が中心となり教員の健康状態等を把握し、相談や支援を行うラインケアの取組を推進するとともに、保健指導員による巡回保健相談、公認心理師・臨床心理士等による無料カウンセリングをはじめ、ストレスチェックの実施や高ストレス者への医師の面接指導の実施など、メンタルヘルス不調の未然防止はもとより、早期発見により、早期治療につながるよう努めています。 特に新規に採用した教員に対しては、公認心理師等を所属の学校に派遣し、カウンセリングを実施することにより、不安の解消を図っています。 また、メンタルヘルス不調で休職等に至った教員に対しては、スムーズな職場復帰のための慣らし勤務である復職プログラムを主治医の意見を踏まえつつ、学校や市町教委と連携しながら実施し、職場復帰後も一定期間は個別のサポート体制を取り、再発防止に努めています。 県教委といたしましては、教員一人一人が子供たちにしっかりと向き合うことができるよう、専門家の協力を得ながら、市町教委や学校と一体となって、きめ細かなメンタルヘルス対策に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(島田教明君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日はこれをもって散会いたします。 午後一時五十五分散会