1 観光地におけるデータ集積と活用について 2 竹産業について 3 成長産業の創出・育成について 4 成年後見制度の利用促進体制の整備について 5 移住・定住の取組について 6 特別な教育的支援を必要とする子どもたちに対する支援の充実について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第八号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第八号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 皆さん、おはようございます。雨の日も元気よく爽やかに、自民党の高井智子です。通告に従い質問をさせていただきます。 まず最初に、観光地におけるデータ集積と活用についてお伺いいたします。 山口市は、今年一月、ニューヨークタイムズで二○二四年に行くべき場所五十二か所の三番目に選ばれ、海外からの観光客が増加傾向にあると聞いており、大変喜ばしく思っております。また、県内全域へ訪れる人も増えるよう期待しております。 山口県は、歴史的建造物や自然がつくり出した美しい場所が県内に数多く点在し、また、文化的芸術や海外の若者たちに人気のアニメやグルメに関するコンテンツにも恵まれています。 それぞれ、より多くの方にお越しいただき、しっかりと楽しんで満足して帰られ、口コミやおのおののSNSなどで拡散していただき、次の集客へとつないでいただきたいものです。 私の地元宇部市では、二年に一度開催している野外彫刻展UBEビエンナーレが、今回記念すべき第三十回を迎えます。一九六一年より続いており、昨年度末に最も長く続いているビエンナーレとしてギネス認定され、今年十月の開催に向けて着々と準備が進んでいるようです。 また、昨年開催された、まちじゅうエヴァンゲリオン第三弾の目玉となった約七メートルのロンギヌスの槍は話題を呼び、国内だけでなく海外からも多くのアニメファンを集客し、まちじゅうエヴァグルメでは、市内の多くの飲食店等が加盟し、各店舗がエヴァンゲリオンをイメージした食事メニューやスイーツメニューなど工夫を凝らした商品を展開し、約十三億円の経済波及効果があったと聞いております。 第四弾を第三十回UBEビエンナーレと開催時期を重ねて、十月四日から二○二五年一月十九日まで開催することとなっており、より多くの集客が見込まれることとなるでしょう。 宇部空港は、観光だけでなく、海外からゴルフを楽しむために利用される方も、ある一定数おられ、それらの来訪者に山口市をはじめとする県内全域に、そして、県内の観光客を宇部市にも来ていただけるような流れになるよう県との連携を期待しております。 さらに県は、令和五年度より、アウトドアツーリズムに関して創出会議を立ち上げ、体験コンテンツの開発や大規模イベントの開催、アウトドア体験利用促進キャンペーンの実施、PRツールの作成などにも力を入れて取り組んでおられます。 こうした施策を効果的なものとしていくためには、どんな年齢層が、どこから来て、どういった時間帯にどこを訪れているのか、どのような動きをしているのかなどのデータを集め、分析し、それらを各市町と情報共有し、ターゲットを絞ったPRをしたり、イベントを開催したり、物販をするなどして、来場者の満足度を上げていく必要があると思います。 そこで、県はデータをどのような方法で集積、分析し、また今後どのように活用されるのかをお尋ねいたします。 次に、竹産業についてお伺いいたします。 山口県は、竹林の面積が県の面積の二%を占め、また面積に対して竹林が占める割合の多さでも全国ランキングで五位となっており、その利活用は大きな課題となっています。 県は、昨年八月に竹の伐採・供給関係者、研究開発関係者、加工・製造・販売事業者、支援機関等が結集して、自主的な活動を通じて竹資源の有効活用を促進し、山口県の森林環境の保全及び産業の振興に向けた取組を進める竹利活用プラットフォームである、やまぐちバンブーミッションを立ち上げられました。 たくさんの企業が参入し、おのおの竹を使った製品を創り出し、商品化されていると伺っております。 竹の種類、育った場所で特徴があるようで、食品に向くもの、洗剤や抗菌剤、化粧品、燃料に向くもの、工芸品に向くものなどの商品化や産業化に向けて可能性が広がります。 例えば、秋吉台を源流とするミネラルを豊富に含んだ川の水によって育つ竹は、エタノールを使用しない抗菌剤の製造に非常に重宝され、同等の効果が期待できる製品は、ほかでは作ることができないと聞きます。 周防大島で取れる竹は、直径が大きく、節と節との間隔が大きいため、工芸品や養殖で必要な浮きとして重宝されるようです。 また、昨年は東京池袋のデパートにおいて、大規模な竹製品の展示会を開催された企業もあり、私も初日に伺いましたが、やまぐちバンブーミッションでの取組についてのパネル展示もしていただいており、その内容の濃さに感動を覚えました。 昔から生活の中で使われてきた竹製品の展示にも、その種類の多さに驚きましたが、竹の自転車、竹の自動車、全てが竹でできたソファーなど意外な製品も展示されており、来場された方たちの注目を集めていました。 期間中には、約七万人もの来場者があったとのことで、中には大手企業のSDGsの取組として取り入れたいとの申出があったともお聞きし、改めて竹産業への可能性を感じたところです。 そんな中、竹産業の規模の拡大や量産体制を進めていくには、大量に伐採した竹を利用しやすくすることが必要で、そのためにも切り出した竹をエリアごとに集積できる置場の設置があるとよいように思います。 エリアごとに置場があることで、伐採した人もそれを使いたい人も、運搬コストや人件費が軽減され、状態のよい竹材を使用することができ、よいマッチングポイントとなるのではないでしょうか。 やまぐちバンブーミッションは、立ち上げから間もなく一年を迎えようとしています。県が、主体となってプラットフォームの維持運営及び竹産業拡大の仕組みづくりを進めるとともに、情報発信、商品開発やそのブランド化の支援についてもさらに加速していただき、竹といったら山口県と全国から注目を集めるチャンスをつかんでいただきたいです。 追い風が吹いているように思える、やまぐちバンブーミッションですが、大本となる竹の伐採や搬出、置場の確保に関して非常に苦慮されており、大きな課題となっているようです。 この課題を解決することによって、竹産業として躍進的な一歩を踏み出せる可能性を感じているのですが、県としてどのようにお考えかをお尋ねいたします。 次に、成長産業の創出・育成についてお伺いいたします。 私の地元宇部市では、産業集積や大学等の高等教育機関、試験研究機関の立地などの有利な地域特性を生かし、産学公金の連携による宇部市成長産業推進協議会を核としながら、医療・健康関連や、環境・エネルギー関連のほか、宇宙やDX、バイオなどの次世代技術関連の成長産業分野における先進的かつ有望なシーズを活用した起業や事業化に向けた取組を進めています。 令和四年度からは、創業段階、研究開発推進段階、実証段階の各フェーズに応じて支援する新たな補助制度を創設し、県をはじめ関係機関と連携しながら成長産業の創出・育成に向けた各プロジェクトへの支援を実施しており、これまでの約三百の研究シーズに加え、令和五年度には新たに百の研究シーズが把握されるなど、取組の成果が着実に現れてきています。 一例を挙げますと、市内で三年前に設立された宇宙分野のベンチャー企業は、複数の人工衛星が取得した地球の画像データを解析し、顧客に提供するシステムの開発で、経済産業省から五年間で最大十五億円の補助金を獲得することになりました。 解析データによって、世界各地の農作物の収穫量や地震や津波などの災害による被害状況が把握でき、道路や橋などのインフラの監視にも役立ちます。市場が拡大することによって、県内にも効果の波及が期待できるものであります。 また、宇部市では、DXの推進に関して一昨年、創業・起業支援施設である、うべスタートアップに県内初の「Y─BASE」のサテライト施設となる「Y─BASE・宇部ブランチ」が開設されました。 今後、「Y─BASE」のコンサルティング機能と連動した市内企業に対する支援や、県内若者に向けたピッチコンテストの開催など、「Y─BASE」との連携により、デジタル技術を活用した新たな価値やビジネスモデルの創出、DX推進の加速化が期待されます。 さらに、医療関連分野における再生医療等に関する研究開発については、最先端のがん免疫療法や肝臓再生療法等の研究が山口大学医学部で進められています。 医療という研究分野は、その成果が現れるまで、想像を絶する苦労、時間、資金が必要となると思われますが、県におかれましては研究の当初より一貫して支援をされてきたところです。 こうした中、宇部市では昨年六月、再生医療等に関する大学シーズを活用したプロジェクトを立ち上げ、この先端的な研究開発を地域の取組としても展開していこうとしております。大学と県の連携の輪に、より地域の実情やニーズに詳しい市も参加することで、一層大きな効果が得られるのではないかと、私自身、大いに期待をしています。 これらは、宇部市の事例として紹介をさせていただきましたが、恐らく、ほかの市町においても、地域の実情に応じた地元企業の研究開発や事業化の促進など、今後、それぞれの地域特性を生かした成長産業分野への取組の機運が高まっていくのではないかと思います。 県は、本年三月に、やまぐち産業イノベーション戦略を改定され、本県の高度な産業集積と、ものづくり技術基盤を活用し、成長産業の創出・育成を進めているところですが、市町や地元企業の取組をよりきめ細やかに把握し、その実情やニーズを踏まえ、手を携えて共に取り組むことにより、一層の相乗効果が期待できるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。本県の持続的な経済成長を図るため、市町や地元企業と一層の連携を図り、成長産業の創出・育成に取り組んでいただきたいと考えますが、今後、どのように取り組むのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、成年後見制度の利用推進体制の整備について伺います。 成年後見制度とは、認知症や知的障害などの理由により、判断能力が十分ではない方に対して、家庭裁判所によって選ばれた弁護士や司法書士、社会福祉士等の後見人が財産の管理や福祉サービスの契約などを行い、御本人の権利を守る制度であり、認知症の方などが増加する中、成年後見制度の需要はますます高まっています。 その一方で、この制度の全国の利用者数は約二十四万九千人となっており、認知症の方が全国で六百万人を超えると推計される中、五%にも満たない状況です。 県内での制度の利用者は、平成三十年時点で二千七百十三人、令和二年で二千八百三人、令和五年で二千九百八人と徐々に増えてきてはいますが、まだまだ必要な人に制度が利用されていない可能性があります。 昨今は、認知症高齢者などが、高額な取引に関するトラブルに巻き込まれるケースが散見されています。私は、こういった方が、もし成年後見制度を利用されていれば、高齢者御本人や、その御家族がつらい思いをすることもなかったのではないかと、大変残念に思っております。 また、私が地域で活動する中でも、高齢者の方から、最近、記憶力や体力が落ち、一人での今後の生活が不安だが、住み慣れたこの地域を離れることはできないというような声を聞きます。 そういった方にも、この成年後見制度を知ってもらい、将来、活用していただけると、判断能力が不十分になってからも安心して住み慣れた地域で暮らしていくことができるのではないかと思っています。 こうした中、平成二十八年に、成年後見制度の利用の促進に関する法律が施行され、平成二十九年に、成年後見制度利用促進基本計画が閣議決定されました。 市町は、令和六年度までに国の基本計画を踏まえた計画の策定や相談支援を行う中核機関の設置が求められており、県は市町の取組を支援することとされています。 本県は、全国トップクラスのスピードで高齢化が進んでいる中で、判断能力の低下により一人では契約やその手続などに不安を抱える住民が、引き続き地域社会で安心して生活し続けることができるよう、より多くの県民の方にこの制度を知ってもらい、必要な方にはスムーズに利用へとつなげることができるよう積極的に市町の取組を支援していくことが必要だと思います。 そこでお尋ねいたします。今後、県は、成年後見制度利用促進のために、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、移住・定住の取組についてお伺いいたします。 若者や女性の県外流出が地方の大きな課題となる中、本県の移住の取組は着実に成果を上げておられます。通年調査を開始した平成二十九年度は千七百四十五人であった移住者が、昨年度は過去最高となる四千三百十二人を記録し、最近では移住者の御活躍を身近に感じる機会もますます増えたように思います。 私の地元、宇部市の吉部地区にも、本県の自然に魅力を感じ、関西圏から移住された方がいらっしゃいます。自営業と並行した活動によって地域の活性化にも御貢献されており、また、移住者の定住支援にも積極的に参画されるなど、とても頼もしい人材です。 そうした移住者の方から御縁を頂き、先月、東京にある、ふるさと回帰支援センターを訪問いたしました。四十三都道府県の相談ブースが並ぶ移住相談施設ですが、本県の窓口には三名のコンシェルジュが配置されており、移住希望者の方々に対して、丁寧かつ効率的に対応できる万全の体制で臨まれていることに大変感激をいたしました。 センターの理事長からは、各自治体間で移住促進への熱量に格差が生じているとの課題もお聞きしましたが、本県の移住施策への意気込みや熱量の高さは、東京の現場からも十分に感じ取ることができ、とてもうれしく思いました。 令和三年度には、約三百組であった相談組数が、昨年度に約六百組まで倍増したとのことですが、相談対応に加えて、年間を通じて様々なセミナーも開催されており、コンシェルジュさんの対応力の高さと、本県への関心度の高まりを直接肌で感じることのできた大変貴重な機会となりました。 私は、今回改めて感じた本県への移住の関心の高さを、着実に移住・定住へとつなげ、地域の活性化を図っていく取組が、非常に重要であると考えます。 そのためには、まず、移住希望者が日常生活において優先して求めるニーズをしっかりと把握し、それに応じた受入れ環境を整えていくことが必要です。 特に、若い女性や子育て世帯は、地域の活性化に不可欠であり、東京における移住相談も若年層やファミリー層に加え、女性の割合が増えていることから、そうした方々が安心して暮らせるよう取り組むことが非常に有効であると考えます。 生活という面では、県内では空き家の利活用が課題となっていますが、移住者の住まいとマッチングできれば、課題の解決に向けた流れをつくり出すことができます。 また、県内各地での受入れに向けて、それぞれが持つ魅力や特色を本県に関心を持つ層にしっかりと届けられるよう、食や自然、就業など、テーマを絞った情報発信も必要ではないでしょうか。 さらに近年は、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方が普及したことで、移住に対する心理的なハードルが低くなった反面、定住に向けた県独自のきめ細やかな支援の必要性も高まっているように感じます。 私も約三十年前に県外から嫁いでまいりましたが、地域や移住者同士の交流によって得られた多くの方からの励ましや支えがあったからこそ、今日の自分があるのだと確信しています。移住者に対するそうしたつながりを持っていただく取組も大変重要であると感じます。 移住希望者の四割以上が一年以内に移住を達成したいとの意識を抱えている中、移住者としていち早く本県にお迎えし、人生最期のときまで住み続けていただけるよう、地域や移住者とのつながりも深めていく、そうした好循環を生み出す取組が今求められていると感じるのです。 そこでお尋ねいたします。本県への移住・定住の促進に向けて、県として今後どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、発達障害のある子供たち等に対する支援の充実についてお伺いいたします。 全国の義務教育段階の児童生徒のうち、特別支援学級や特別支援学校で学ぶ子供たちは、文部科学省の二○二三年度の調査で、児童生徒全体の四・九%となっています。ですが、特別な教育的支援を要する子供たちは、通常の学級にも在籍しています。 文部科学省は、二○二二年十二月、十年ぶりに、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査結果を公表しました。 その調査では、小中学校の通常学級に在籍する子供のうち八・八%が、知的発達に遅れはないものの学習面または行動面で著しい困難を示すということが明らかになりました。 八・八%の児童生徒のうち、実際に特別な教育的支援が必要だと校内委員会において判断される子供は二八・七%にとどまり、特別な教育的支援が必要だと判断されながらも、個別の教育支援計画を作成されているのは一八・一%、通級指導を受けている割合は一二%にとどまっています。 このことから、特別な教育的支援が必要であると思われる子供で、発達障害の特性が見られるものの、発達障害の診断基準を満たさない子供に対する支援の充実が必要と考えます。 また、通常の学級に在籍する発達障害のある子供たちにとっては、一部の授業について、当該児童生徒の障害、例えば、言語障害や自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害、ADHD等に応じて、通級指導教室で行う自立活動の指導は大切な個別指導の場となっています。 実際、山口県内でも通級指導教室を利用する児童生徒数は、平成二十五年度には、児童が千二百九十五名、生徒は百七十六名の合計千四百七十一名であったのに対し、令和五年度では、児童が二千三百七十一名、生徒が六百六十二名の合計が三千三十三名となっており、この十年で約二倍に増えており、それに対応して、山口県内の通級指導教室を設置している学校も倍以上増えており、令和五年五月時点で小学校九十六校、中学校五十九校の合計百五十五校となっていて、しっかりと対応されているとお見受けいたします。 しかしながら、発達障害のある児童生徒のための通級指導教室の運営や通級による指導の担当者の確保が困難になっているとお聞きしています。 発達障害のある子供たち等の個性や可能性を伸ばすためには、長期にわたって根気強い指導と愛情を持って接することが不可欠ですし、個別の教育支援計画を作成し、細やかな内容の引継ぎを小学校から中学校、高校からその先へと、きちんと行っていくことは、発達障害のある子供たち等、本人の将来にとって大変重要なことです。 そこでお尋ねですが、通常の学級に在籍する発達障害のある子供たち等特別な教育的支援を必要とする子供たちに対する県教委の現在の取組と、支援の充実に向けて今後どのように取り組まれるのかお尋ねいたします。 以上で質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)高井議員の御質問のうち、私からは、移住・定住の取組についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化が進み、人口減少が一段と深刻化している中、その克服に向けては、移住・定住の取組を強力に進め、本県への新たな人の流れを創出・拡大していくことが重要です。 このため、県では、市町や関係団体等とで構成する県民会議を中心に、東京、大阪の移住支援センターによる相談対応や大都市圏での移住セミナーの開催など、移住希望者に寄り添った取組を様々な形で進めてきました。 その結果、移住者数は年々増加しており、昨年度は初めて四千人を超え、また国内最大規模の移住情報サイトの人気ランキングでも三位に選ばれるなど、取組の成果が着実に現れてきています。 しかしながら、東京一極集中が再加速し、若者の転出超過も拡大していることから、若者や子育て世代を呼び込むための取組をさらに強化する必要があると考えており、そのニーズや関心に応じた情報発信や受入れ環境の整備を、デジタルなど新たな手法も用いながら効果的に推進していきます。 まず、情報発信については、年齢層や居住地等の属性を踏まえて、きめ細やかな情報発信が行えるデジタルマーケティングの手法を活用し、若い世代に対し、暮らしやすさや優れた子育て環境など、それぞれの個人が持つ関心に応じた訴求力の高い情報を配信することで、移住相談等、次のアクションへとつなげていきます。 また、移住セミナーでは、気軽に参加できるオンライン開催を増やすとともに、若者の価値観やライフスタイルなども捉え、新たにアウトドアをテーマに加えるなど、より多くの若者の参加が得られるよう取り組んでいきます。 次に、受入れ環境については、移住地を選択する際に重視される住まいへのニーズに的確に対応するため、今年度新たにワンストップ窓口となる、住まいのコンシェルジュを配置したところであり、これにより、空き家も含め、幅広く住まいの情報を提供し、円滑なマッチングを行っていきます。 さらに、県営住宅を活用した若者や子育て世帯向けの、お試し暮らし住宅を整備し、移住希望者に、本県での暮らしや地域活動などを体感いただき、実際の移住へとつなげる取組も新たに始めることとしています。 また、こうした取組と併せ、本県に移住された方々が、地域に溶け込み、長く住み続けていただくための支援も重要です。 このため、地域住民との交流会等の情報をSNSで提供し、地域とのつながりを深めていただくとともに、やまぐち移住倶楽部による交流会など、移住者相互の情報交換やネットワークを広げていただく取組なども積極的に進めてまいります。 私は、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、若者や子育て世代を中心とした移住希望者に寄り添ったアプローチと支援により、本県への移住・定住の促進が図られるよう、今後も全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)観光地におけるデータ集積と活用についてのお尋ねにお答えします。 観光ニーズが多様化する中、来訪者の満足度を高め、本県への誘客拡大につなげていくためには、観光動態に関する客観的なデータに基づいた戦略的な観光振興に取り組んでいく必要があります。 このため、県では、観光地経営のかじ取り役となる、やまぐちDMOを核に、徹底したマーケティング視点の下、データを集積し分析を行うとともに、その効果的な活用を図っているところです。 具体的には、まずデータの集積については、宿泊旅行統計調査や観光動態調査等、国や県の統計データに基づき、観光地全体の状況や行動傾向を把握しています。 また、観光客の動態をより詳細に捉えていくため、携帯電話の位置情報による人流データや、観光地における対面でのアンケート調査等により、年代や居住地、嗜好、行動特性等のデータを集積しています。 これらのデータを分析した結果、首都圏など遠方の旅行者については、インターネットでの情報発信を集中的に行う必要があることや、絶景、体験、グルメにテーマを絞って取組を行うことが、誘客拡大や県内周遊の促進に有効であることなどが判明したところです。 こうした分析を踏まえ、データ活用に基づく観光振興を図っていくこととしており、まず、ターゲティング広告の手法により、隣県や首都圏等の重点誘客エリアに向けて、広島の親子連れや東京の中高年夫婦など、年齢や嗜好に応じて旅行者層を絞り込み、本県の観光情報をSNS等により配信していきます。 また、観光客の行動パターンの分析を踏まえ、例えば、山口宇部空港を起点に、芸術やアニメの発信地であるときわ公園に立ち寄り、そこから、県内各地を周遊するコースなど、本県のポテンシャルを生かした魅力ある観光ルートの開発を進めていきます。 さらに、データの分析結果を市町と共有し、自然志向の高まりを捉えたアウトドアツーリズムの創出や訴求力のあるグルメメニューの開発、来県者の嗜好に即した観光物産イベントの開催など、県内全域で魅力ある観光地域づくりを推進していくこととしています。 県としては、今後とも、やまぐちDMOを核に、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、本県への誘客拡大や県内周遊の促進に向け、観光地におけるデータ集積と活用を通じた本県観光の振興に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)竹産業についてのお尋ねにお答えします。 県では、地域資源である竹の有効活用を促進するため、昨年八月、企業、地域、公的機関と連携したプラットフォーム、やまぐちバンブーミッションを立ち上げ、森林環境の保全と竹産業の振興に向けた取組を進めています。 具体的には、まず、森林環境の保全については、竹林の適切な伐採や整備ができる知識・技術を有する人材を育成するとともに、搬出作業の機械化に向けた検証にも取り組んでいます。 また、竹産業の振興に向けては、竹の製品化を進める事業者等が容易に竹を入手できるよう、森林づくり県民税の事業地で伐採した竹について、ホームページを活用し、利用希望者とのマッチングを試行するなど供給促進を図っています。 加えて、県の補助制度等により、バイオ素材としての竹の成分を生かした付加価値の高い製品が開発されていることから、大規模展示会への出展を通じた情報発信や販路開拓を支援しています。 こうした中、バンブーミッションの会員数は、設立時の九者から四十四者と大きく拡大するとともに、県内では、新たな製品の実用化や新用途の開発等に向けた機運が高まっていることから、竹産業のさらなる振興を図る必要があります。 このため、今後も拡大が見込まれる竹需要に対応できる持続可能な供給体制の構築に向け、関係者等と連携し、お示しの竹の伐採や搬出、置場の確保等の課題解決を図りながら、効果的な需給マッチングの仕組みづくりに取り組みます。 また、こうした取組に加え、分布状況等竹資源情報のデジタル化の促進や、伐採・搬出コストの低減に向けた手法の検討、商品開発・ブランド化の支援など、供給・需要の両面で、やまぐちバンブーミッションを核として、新たな展開を図ります。 県としては、竹といったら山口県と言っていただけるよう、市町や関係団体等と連携し、竹産業の振興に向け、竹の供給と利用促進を一体的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)成長産業の創出・育成についてのお尋ねにお答えいたします。 県では、産業技術センターに設置したイノベーション推進センターを核に、産学公連携により、研究開発・事業化を促進し、成長産業の創出・育成に向けた取組を進めています。 その結果、平成二十六年の取組開始以来、百五十件を超える事業化が実現したほか、宇宙分野では、大学発ベンチャーによる国の大型実証事業への採択をはじめ、衛星データを活用するサービスの社会実装に向けた動きが活発化しています。 また、医療分野等においても、最先端のがん免疫療法の研究開発を進める山口大学発ベンチャーの上場や、県内企業と山口大学工学部による従来に比べ大容量のDNA製造を可能とする技術をシーズとした起業が実現するなど、多くの成果につながっています。 さらに、DXの推進に関しても、AR技術による脳外科手術のナビゲーションシステムや、クリーンエネルギーの供給を効率化する制御システムの開発など、研究開発へのデジタル技術の活用も進んでいます。 こうした中、宇部市では、山口大学による先進的な再生医療と企業の最先端のロボット技術によるリハビリテーションを連携させるプロジェクトが立ち上がり、医療機関等も参画した取組が始まっています。 このプロジェクトでは、市が大学や企業と部局横断的な連携を図るとともに、積極的な情報発信等により、市民の理解や参加を促進しながら、先端的な研究開発を核とした幅広い施策展開を目指すとされています。 こうした取組は、研究開発の社会実装に伴う周辺機器等の開発や関連分野の企業誘致に加え、医療サービスの向上や市民の健康増進など、多面的な波及効果が期待できることから、今後、地域の実情やニーズを踏まえながら、他の市町へも展開していきたいと考えています。 このため、県では本年度から地域の多様な主体が相互に連携し、地域特性を生かした先端的な研究開発の社会実装や、地域課題の解決等を目指す意欲的なプロジェクトを支援することとしています。 県としては、本県の持続的な経済成長に向け、市町や企業、関係機関との緊密な連携による相乗効果を図りながら、地域特性を生かした成長産業の創出・育成に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)成年後見制度の利用促進体制の整備についてのお尋ねにお答えします。 成年後見制度は、判断能力が十分でない方の権利や生活を守る仕組みとして大きな役割を担っており、地域共生社会の実現に向け、その利用を促進していくことが重要です。 加えて、今後、認知症高齢者がますます増加することなど、成年後見制度のニーズは一層高まっていくことが考えられることから、制度推進の中核的な役割を担う市町において、適切に対応する体制を整備することが必要です。 このため県では、これまで山口県地域福祉支援計画において、県内全市町での利用促進計画の策定を数値目標として掲げ、市町計画の策定と地域における関係機関の連携の要となる中核機関の整備に向けた支援を積極的に行ってまいりました。 その結果、市町計画の策定については、今年度中に全ての市町で完了する見込みとなっており、また、中核機関については既に整備されているところです。 今後は、さらなる制度の普及・定着に向けて、広く県民への周知啓発活動に取り組むとともに、市町の取組を一層支援するため、中核機関等の職員の資質向上を目的とした研修会を実施してまいります。 また、弁護士会や司法書士会、社会福祉士会等の専門職や市町、社協等で構成する県の利用促進協議会において、制度の利用促進に係る課題についての検討や、市町における困難事例への助言、優良な先進事例の紹介などを行うことにより、市町の体制強化に向けた支援を進めてまいります。 県としては、今後とも、こうした取組を通じ、認知症や障害のある方々が、地域で安心して生活していけるよう、市町や関係団体等と連携しながら、成年後見制度の利用促進体制の充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)特別な教育的支援を必要とする子供たちに対する支援の充実についてのお尋ねにお答えします。 小中学校の通常の学級には、発達障害があるなど特別な教育的支援が必要な児童生徒も在籍しており、こうした児童生徒に対して、きめ細かな指導と切れ目ない支援を行っていくことが必要です。 このため、県教委では、これまで校内委員会で支援が必要と判断された児童生徒を中心に、個別の教育支援計画に基づく支援や通級による指導の充実に取り組んできました。 こうした中、近年、特別な教育的支援が必要な児童生徒の割合は増加傾向にあることから、今後は、全ての学級にこうした児童生徒が在籍するとの認識の下、全ての教員による校内支援体制の強化と、特別支援教育の視点を取り入れた授業改善に取り組んでいくこととしています。 まず、校内支援体制の強化に向けては、校長のリーダーシップが不可欠であることから、小中学校の全ての校長を対象とした研修会を今年度新たに開催するとともに、全ての教員の特別支援教育に対する理解を深めるため、校内研修の充実を図ってまいります。 次に、授業改善については、ICTの活用が、学習上の困難さのある子供たちへの支援に効果的であることから、視覚的に分かりやすい教材や、一人一台端末の読み上げ機能等の活用を図ることとし、こうした取組等を通じて、全ての児童生徒が、分かる、できるを実感できる授業の実践につなげていきます。 加えて、小・中・高等学校等を通じた長期的な視点で支援を行うことが大切であることから、新たに作成したリーフレットを活用して、個別の教育支援計画の作成への理解を図るとともに、この計画を進学先に確実に引き継いでいくこととしています。 また、お示しのとおり、通級による指導は、発達障害のある児童生徒にとって大切な指導の場であることから、具体的な実践事例等を示したガイドブックの活用を促進するとともに、新しく担当する教員に対しては研修会を開催するなど、教員の専門性の向上に努めてまいります。 県教委といたしましては、市町教委と連携し、通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする全ての児童生徒の個性と可能性を伸ばしていくため、誰一人取り残されることのない教育の推進に取り組んでまいります。