1 治水対策の推進について 2 企業における女性の活躍について 3 へき地医療提供体制の充実について 4 障害者スポーツの推進について 5 自転車の安全で適正な利用の促進について 6 デジタル人材の育成について 7 その他
副議長(島田教明君)山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 自由民主党の山手康弘です。令和六年六月定例会一般質問の最終登壇者として、通告に従い順次質問をさせていただきます。 初めに、治水対策の推進についてお尋ねいたします。 世界的な気候変動により、近年、我が国では大雨による災害が激甚化・頻発化しており、各地で甚大な被害が発生しています。特に、最近は、線状降水帯の発生による災害が増加しているように感じております。 本県においても、昨年、時間雨量百ミリを超える大雨が降り、県中西部を中心に水害が発生しました。家屋や農地の浸水、JR美祢線の橋梁流失や山陰線の橋脚傾斜など、大規模な災害となり、県民生活や経済活動に深刻な影響を与えました。 あれから一年がたち、現在も復旧に向けた工事が各地で進められておりますが、私も早期の工事完了を願うものであります。 私の地元岩国市周東町におきましても、平成三十年七月豪雨災害の際には、島田川や東川などで護岸崩壊や河川の埋塞が発生し、町中の辺り一面が褐色の湖のようになり、その後の対応に住民の方々が苦労されておられました。 このように、一たび起こると大きな被害をもたらす水害ですが、今年も梅雨の季節となり、大雨による水害を警戒しなければならない時期を迎えました。 線状降水帯による局地的な豪雨の増加などにより、水害リスクがこれまで以上に高まる中、国は流域治水の考え方に基づき、ハード・ソフト一体となって治水対策を推進しています。 県においても、国の国土強靱化五か年加速化対策の予算等を活用しながら、護岸整備や河道掘削、ダムなどのハード整備を進められています。 岩国市では、この三月に平瀬ダムが竣工し、錦川流域のダム群による洪水調節容量が約二倍に向上したと伺いました。このことにより、下流域の浸水被害の一層の軽減が見込まれ、深く感謝を申し上げる次第です。 また、住民の早期の避難行動を促すため、水位計や河川監視カメラの整備を行い、河川水位の見える化を進めるなど、ソフト対策も充実させてこられました。 しかしながら、水害は時として人知を超える規模で発生してしまいます。激甚化する水害の被害を最小限にとどめるためにも、現在、鋭意進められている河川改修等のハード整備を加速化するとともに、既設ダムの有効利用を図る事前放流の取組や、市町と連携した防災情報の充実強化など、県民の安心・安全の確保につながる治水対策の取組を一層強力に進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。激甚化・頻発化する水害から、県民の生命・財産を守り、安心・安全な生活を確保するため、ハード・ソフト両面からどのように治水対策を推進していくのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、企業における女性の活躍について、お尋ねいたします。 二○一七年の六月議会において、私は女性の活躍促進について取り上げました。その内容は、主に事業主に向けた女性の積極的雇用や活躍について触れた内容でした。 あれから六年を経過したわけですが、現下の人手不足の中にあって、県内の中小企業や行政職、そして、最近では、建設業や運輸関係の職場でも、女性が働いている姿を多く目にするようになってきました。 このことは、内閣府の男女共同参画白書の就業者に占める女性の割合、二○二三年は四五・二%となっており、諸外国にも引けを取りません。 そのことからも、今日に至っては、女性が男性と同じ職場で働くのが普通になってきたのではないかと実感するところであります。 また、人それぞれによりますが、出産や子育て、またパートナーの転勤に合わせて離職を余儀なくされた方も中にはおられると思います。 そして、最近では、子育ても一段落してきて、自分のスキルをもう一度磨き、復職を目指す女性も中にはおられると思います。このように、女性の就労に対するニーズは多様化しています。 こうした中、国は、女性デジタル人材育成プランに基づき、就労に直結するデジタルスキルの習得支援やデジタル分野への就労支援に集中的に取り組んでいます。 デジタル分野は、需要が高く、今後の我が国を支える成長産業であり、育児や介護との両立や、キャリアブランクからの復職、リスキリングを通じたキャリアアップ、経済的な自立など、女性の多様なニーズに的確に対応できる可能性を秘めています。 コロナも経験した私たちは、リモートワークも定着し、どこに引っ越しても仕事ができるなど、女性デジタル人材は今後さらに活躍が期待できると感じているところです。 そして、今やデジタルはどの業界、職種にも必要なツールであることから、私はこのような女性デジタル人材の育成は、埋もれている人材の確保と、女性の活躍が合わさって、ウィン・ウィンの取組につながると感じています。 そこでお尋ねいたします。深刻な人手不足の中で、産業の担い手として女性が生き生きと活躍できる環境がこれまで以上に求められているところですが、県は、今後、女性デジタル人材の育成・確保を通じた企業の人材不足の解消、女性の活躍促進にどのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、僻地医療提供体制の充実についてお尋ねいたします。 僻地医療の対象地域は、県土の約六○%を占め、県人口の約一七%に当たる二十三万人が居住しています。 また、対象地域の中には、大小二十一の有人離島も含まれており、これらの地域において、いかにして必要とされる医療サービスを提供していくかは重要な課題だと考えます。 こうした地域には、都市部にはない自然環境や、長年、人々が暮らしてきた文化や伝統、生活様式が今も残っており、農業や畜産、林業、漁業といった我々の生活を支える産業の基が多く存在します。また、美しい景観は、観光資源として重要な要素となっています。 しかしながら、近年は進学や就職などを機に、都市部へと転出が続いたため、現在は自然減と流出増で、大部分が過疎地域となっています。 私の居住する岩国市周東町も、二○二二年の四月より過疎地域とみなされる区域に指定をされたところです。 私も日頃の活動の中で、こうした地域を回ることが多いのですが、中には年々と空き家が増え、限界集落となり、数年後には消滅するかもしれない現状も肌身で感じています。 最近では、山間部の一軒家を航空写真を基に訪ねていく番組がありますが、まさにさながらのところに住んでおられる方もおられるのです。 以前、こうした地域に住んでおられる独居の高齢者とお話をする機会がありました。そのとき、ここは不便じゃろう、お子さんやお孫さんのいる街に下りて一緒に生活したほうがええんじゃないん、と尋ねても、今さらこの年で街に下りても、友達もおらんし、行くところがないし、野菜を畑で作りよるから、ほっとくとすぐに畑に草が生えるし、ずっと住んできたから離れられんのんよ、亡くなったおじいさんも寂しがるじゃろうし、と答えられて、それ以上は言葉が出ませんでした。 このような方々は、今の生活に満足をしていて、幸せを感じておられます。住み慣れた場所を愛し、都市部に出ていくつもりはなく、先祖代々の土地を守っておられるのです。 しかしながら、こうした地域で高齢者の方々が生活する上では、いろいろと心配があります。郵便配達員や新聞配達の方、また民生委員さんが定期的に巡回はしてくれると思うので、安否確認は補えると思いますが、診療機会を得ることは、なかなか難しいことだと感じています。 こうした点は、程度の差はあるものの、僻地医療の対象となる地域全体の課題であり、人口減少や高齢化などにより地域の置かれる状況が変化する中、格差が広がることを懸念しています。 私は、このような僻地に暮らす方々が、いつまでも住み慣れた場所で、健康で充実した人生を送れることを願ってやみません。 僻地に居住したとしても、県民のウエルフェアに隔たりがなく、必要とされる医療サービスをしっかりと受けることができるよう県には取り組んでいただきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。県では、本年三月に第八次山口県保健医療計画を策定されたところですが、僻地医療提供体制の充実に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、障害者スポーツの推進についてお尋ねいたします。 我が国において、障害者スポーツが広まった契機は、一九六四年に日本で開催された東京パラリンピックであり、各国の選手たちが生き生きとスポーツをする姿に、日本の障害者や医療関係者、福祉関係者は深い感銘を受け、日本でも障害者スポーツを盛んにしようという動きが高まったと言われています。 二○二一年には、日本で五十七年ぶりに東京二○二○パラリンピックが開催されたこと、さらに、本県においては、障害を理由とする差別を解消し、県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現を目指すことを目的とする、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例が二○二二年に施行されたことで、県民の障害理解は深まり、障害者スポーツへの関心が高まっているように思います。 私も東京パラリンピックでは、車椅子テニスで金メダルを獲得した国枝選手の白熱した試合にテレビの前でくぎづけになり、女子マラソンで金メダルを獲得した本県出身の道下選手においては、親族が以前ガイドランナーをしていたこともあり、応援に熱が入りました。 障害者スポーツは、障害のある人がスポーツ活動を通じて、その人自身の健康維持や増進、仲間との出会いなど社会参加に向けた機会になるだけでなく、障害のない人も障害者スポーツの観戦や障害者と一緒に参加するスポーツ活動を通じて、障害のある人への共感や敬意、障害への理解促進につながる機会となります。 こうしたことから、障害のある人のスポーツの振興を図るための環境整備を推進していくとともに、共生社会の実現に向け、障害の有無に関わらず、誰もが障害者スポーツを楽しめる機会づくりを進めることが必要です。 県では、やまぐち障害者いきいきプランに障害者スポーツの振興を重点施策として位置づけ、これまでも障害者スポーツの競技人口の拡大やパラアスリートへの支援など、様々な障害者スポーツ施策に取り組んでいます。 今年も五月から県内最大の障害者のスポーツ祭典であるキラリンピックが開催されており、多くの方が参加され、盛会のうちに幕を閉じましたが、コロナウイルス感染症流行前と比べ、参加する方は減少しており、このうち障害児の参加者は、半減したと聞いております。 スポーツ庁の資料によると、国民の体力・運動能力の調査では、成人のスポーツ習慣と小学生時に運動を楽しいと感じていたことは強い相関関係が認められ、小学生時に運動を楽しいと感じた子供については、未就学時の外遊び回数が多いことが指摘されている。このことから、未就学を含む小学生までの運動習慣づくりは、子供の体力向上はもとより、成人以降のスポーツ習慣や高齢期以降の健康の保持にも大きな影響を及ぼすものであるとされています。 こうした状況を踏まえると、障害のある子供も幼児期から体を動かすことは重要なことであり、様々なスポーツを通じて楽しさや喜びを知り、自信や自立心を育むこと、さらには共生社会の実現に向け、障害がある子供と障害のない子供が、同じ場で共に学び、充実した時間を過ごし、生きる力を身につけるための環境づくりも必要と考えています。 そこでお尋ねいたします。今年は二○二四パリパラリンピックが開催されることにより、障害者スポーツへの関心が一層高まることが期待される中、県は障害者スポーツの推進について、今後どのように取り組むのか、御所見をお伺いいたします。 次に、自転車の安全で適正な利用の促進について、お尋ねいたします。 令和四年十一月議会において、我が会派、平岡議員の質問に対し、知事から「本県独自の条例の制定に向け、検討に着手したい」との答弁を頂き、その後、県では、大学教授などで構成する検討委員会やパブリックコメントなどを経て、今年四月一日に、山口県自転車の安全で適正な利用促進条例を施行されました。 今回の条例は、自転車利用者や県の責務などを規定した上で、自転車用ヘルメットの着用推進などの基本的な施策を掲げるとともに、今年十月からは、自転車損害賠償責任保険等への加入を義務づける内容となっており、自転車の安全で適正な利用が促進されることを期待しているところです。 また、最近では、デザイン性の高いヘルメットも見かけるようになり、着用している人を多く見かけるようになった気がします。 その一方で、損害保険会社が今年三月に発表した、ヘルメット着用や保険加入に関するアンケート調査結果を見てみますと、まず、ヘルメット着用率について、山口県は全国の二一・六%を上回る三四・一%で上から七番目でしたが、昨年四月のヘルメット着用の努力義務化の認知度八五・五%と比較すると、決して高い数字とは言えないのではないでしょうか。 自転車保険の加入率については、山口県はまだ義務化はされていないものの五五%で、全国の六五・六%を下回っています。 また、義務化地域は、非義務化地域よりも一六・八ポイント高い結果となっていますが、義務化地域においても、近年は義務化の認知率が低下傾向にあり、継続的な周知活動が必要と指摘している点も見逃せません。 また、県によると、ここ数年、自転車関連の交通事故件数は減少していますが、減少率は鈍化し、全ての人身交通事故に占める割合は増加傾向にあり、一件でも多く自転車関連事故を減らしていく必要があると考えます。 こうした現状を踏まえると、このたびの条例施行が、安全で適正な自転車利用に向けた大きな契機となるよう、条例の認知度向上に向けた県民への普及啓発を積極的・継続的に行うことで、自転車利用に対する県民の意識を高めていくことが大変重要であると考えるところです。 そこでお尋ねいたします。自転車利用者も含め、誰もが安心して安全に生活できる山口県の実現に向けて、今後、県では自転車の安全で適正な利用の促進にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、デジタル人材の育成についてお尋ねいたします。 今やデジタル技術は、我々の生活において欠かせないものとなってきています。 例えば、スマートフォン一つで、ウェブ検索、電子マネー決済、トレーディングができるなど、生活のあらゆるところにデジタル技術が溶け込んできています。 こうしたデジタル技術の社会への浸透は、コロナ禍を契機に、人と人との接触を避けるという新しい生活様式とも相まって加速しました。 我が家でも、コロナ禍のさなかには、子供が学校から貸与されたタブレットを家庭に持ち帰り、家で授業を受けたこともありました。本来であれば対面式の授業のほうが、人と人との表情も読み取りやすく、同じ空間で一緒の時間を過ごすという温かみがあり、子供にとっては、感受性の養育や人間性の涵養につながるという効果もあるのではないかと思っていました。 しかしながら、今思うことは、コロナ禍で進んだ学校における一人一台端末などのICT環境により、子供たちは学校で仲間たちとの共同学習や時間や距離を超えた交流ができ、また、自宅でも、デジタル教材等を使って、自分の好きな時間に苦手科目の克服もできるなど、自身の学びにデジタルを使うことで、大きな恩恵を受けてきたということです。 教育ICTを例に挙げましたが、このように、今の子供たちは、幼い頃からデジタルツールが暮らしのすぐそばにある環境で育ってきており、デジタルに慣れ親しんでいる世代であります。 今後、社会のデジタル化のさらなる進展が見込まれる中、デジタル技術を利用してあらゆる分野で活躍していく人材を育成するためにも、デジタルに親しんできた、このような子供たちがデジタルツールを正しく使うための知識とともに、デメリットや危険性も併せて学び、さらには、自分のためだけではなく、社会や地域のためにデジタル技術を活用していく上での考え方等を身につけることができるデジタル教育の機会を与えることが重要ではないかと考えています。 特に、デジタル人材の不足が叫ばれる本県のような地方においてこそ、こうした取組が非常に大切だと感じており、県教委には、これまでのデジタル人材育成に向けた取組をさらに一歩進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。本県の将来を支えるデジタル人材の育成に向けて、県教委は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、一言申し上げます。 我が家には長男、長女、次男の三人の子供がいます。長男は、今年度から中学校に進学しました。長男は徒歩での通学から自転車での通学に変わりました。ぶかぶかのブレザーを着て、大きな荷物を載せ、こぎ出しは少しふらっとしながらも家を出発していくのを妻は毎日見送っています。 自転車のことは、質問の中でも触れましたが、保険に加入し、安全運転などを指導しているところです。 小学生の長女と次男は、生き物を採取するのが大好きで、下校するとイモリやカナヘビ、昆虫を捕まえたりして楽しんでいます。 しかしながら、飼育はできないので、捕ったら逃がすようにさせていますが、先日は念願のヤモリを捕まえて、餌になるバッタを同じ虫籠にいっぱい詰め込んで、どうしても飼育すると言い始めました。 何とか説得し、一日だけという約束をしました。虫籠をひなたに置くとみんな死んでしまうので、私の大切な愛車があるガレージに置くことを許可しました。 ところが、虫籠の蓋がきちんと閉まっていなかったのでヤモリは脱走し、バッタは飛び回り、私にとっては大惨事になりましたが、我がふるさとは、自然豊かで、そのような環境で、子供たちは伸び伸びと育ち、ありがたいと思っています。 そんな日々を送る中で、最近ついに我が家付近でも野生の鹿が出没しました。その個体は、大きな雄で、あまり人を恐れず近づいてくるので、近所の方が花火で脅したところ山に逃げていきました。本格的に県東部で鹿の進出を感じたところです。 私の父は、数年前から畑でエゴマを栽培しているのですが、イノシシはエゴマなど見向きもしませんでしたが、鹿は分かりません。近所の方もトウモロコシやレンコンを栽培しているので、今後、鳥獣被害が発生するかもと、強い危機感を抱いているところです。 野生動物の出没は、荒廃した森林や耕作放棄地の増加などで、生息域と里山の距離間の境目が曖昧になったことが原因の一つだとされています。 しかしながら、農家の方々の生産意欲を低下させないためにも、私は鳥獣害と戦う強い農村、明るい農村の実現に向け、より一層努めていくことを申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(島田教明君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問にお答えします。 まず、治水対策の推進についてです。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が全国で激甚化・頻発化している中、本県においても、昨年の梅雨前線豪雨により甚大な被害が発生しました。 私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川管理者がこれまで実施してきた治水対策に加え、流域全体のあらゆる関係者が協働して水害を軽減する、流域治水の考えに基づき取組を進めていくことが重要であると考えています。 このため県では、背後に人口・資産が集中しているなど、優先度の高い二十六の二級水系について、具体的な対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定するなど、ハード・ソフトの両面から治水対策に取り組んでいるところです。 具体的には、まずハード対策として、お示しの島田川や錦川などでは、中長期的な視点で川幅の拡幅、堤防の整備などを着実に進めるとともに、短期的に効果を発現する河床掘削等の対策を集中的に実施してきています。 また、平瀬ダムを含む県管理の二十のダムで事前放流の基準を定めており、引き続き適切に運用することにより、治水機能の強化を図ってまいります。 次に、ソフト対策としては、住民の確実な避難行動につながるよう、雨量や水位、監視カメラによる河川の状況等、危険度を判断するために必要な情報をリアルタイムで提供してきているところです。 また、水害リスク情報の空白域を解消するため、昨年度から全ての県管理河川で、洪水浸水想定区域図の作成を進めてきており、来年度からは、市町による洪水ハザードマップの作成を支援するなど、市町と連携し、住民の避難行動に資する情報提供に取り組んでいく考えです。 こうした取組を進めるに当たっては、国の五か年加速化対策の予算等も積極的に活用しているところですが、対策完了後も切れ目なく取組を進めるため、国土強靱化実施中期計画の早期策定などについて、国へ要望するなど、引き続き所要の予算を確保していくこととしています。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、流域治水プロジェクトに掲げる対策を進め、ハード・ソフト両面から治水対策の推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、障害者スポーツの推進についてのお尋ねにお答えします。 障害者スポーツは、障害のある方の自己実現と社会参加の機会であるとともに、競技の観戦等を通じて、県民の障害への理解促進にもつながることから、私は、その振興を図ることは大変意義深いものと考えています。 特に、二○二一年の東京パラリンピックでは、障害者スポーツには互いの違いを認め、支え合い、差別や障壁のない、誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けた取組を強力に推進する力があると改めて認識したところです。 こうした中、今年八月には、パリでパラリンピックが開催され、障害者スポーツへの関心を飛躍的に高めていく絶好の機会となることから、私は障害者スポーツのさらなる振興に取り組むこととしています。 具体的には、まず、国際大会を目指す選手を、やまぐちパラアスリートとして、これまで延べ五十一人認定し、活動費を支援してきたところですが、昨年のデフサッカーワールドカップで準優勝した日本代表メンバーが誕生するなど、着実に成果が上がっており、今後も引き続き取組を進めてまいります。 次に、こうしたアスリートの活躍等をきっかけに、障害のある方がスポーツに参加できるよう、関係団体と連携し、本県最大の障害者スポーツの祭典であるキラリンピックを開催するほか、競技団体が実施する記録会や練習会の経費を助成するなど、競技人口の拡大に取り組んでまいります。 さらに、障害のある方が、スポーツ活動に参加するためには、障害特性を理解し、選手に寄り添った指導者と支援者が欠かせないことから、今後も指導者やボランティアの養成を行い、新たな人材の確保に努めてまいります。 また、障害の有無にかかわらず、子供たちがより身近な地域でパラスポーツを楽しむ中で、人の多様性を理解し、共に生きる心を育むことができるよう、今年度、新たに、こどものパラスポーツ体験事業を実施することとしています。 具体的には、障害のある子供も障害のない子供も共に楽しめる、車椅子バスケットボールやボッチャなどのパラスポーツ体験イベントやパラアスリートとの交流会を県内各地で開催できるよう、市町や関係団体の取組を支援してまいります。 私は、今後とも、市町や県障害者スポーツ協会、各競技団体とも連携しながら、障害者スポーツの一層の推進に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(島田教明君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)企業における女性の活躍についてのお尋ねにお答えします。 県内企業の人手不足が深刻化する中、女性のデジタル人材を育成し、デジタル分野等への好条件での就業を促進することは、人手不足の解消に向け、また、女性の職域の拡大と企業での活躍を支援する上で極めて重要です。 このため、県では、国の女性デジタル人材育成プランに呼応し、昨年度、産学公により設置した、やまぐち女性デジタル人材育成コンソーシアムの下で、未就業等の女性に対して、デジタルスキルの習得と、能力や希望に応じた就業の両面から強力に支援しているところです。 まず、デジタルスキルの習得支援については、プログラミングの基礎やセキュリティーリテラシー等を学ぶ講座を実施し、あわせて、講師やメンター、受講者が気軽にやり取りできるチャットアプリを利用して、講座終了まで受講者をフォローする体制を整えています。 昨年度は、当初の定員を大きく上回る申込みがあったことから、本年度は新たに岩国会場を追加し、九月から講座を開始することとしており、より多くの方が受講しやすい環境を整備したところです。 次に、デジタル分野等への就業支援については、山口しごとセンターと連携して、受講者の条件や希望に対するきめ細かなキャリアコンサルティングを実施するとともに、インターンシップの受入れ促進やマッチングサポートを通じて、個別の事情に合った好条件での就業を支援します。 昨年度の就業者数は二十四名となり、企業の皆様からも期待の声が多く寄せられたことから、来月には、本事業の受講生の採用企業も交えた意見交換等を行うフォーラムを開催し、事業のPRを行うことにより、参画企業のさらなる増加を図ることとしています。 また、県立高等産業技術学校において、デジタル技術を扱う訓練を行っています。東部校のCAD関連科は、女性の入校率が高いことから、西部校においても訓練科の見直しを図り、新たに、建築CAD・設計科を設置していくなど、女性のデジタル技術の習得につながる職業訓練を強化してまいります。 県としては、今後とも、県内企業等と連携して、女性デジタル人材の育成・確保を通じ、企業の人材不足の解消や、女性のさらなる活躍促進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)僻地医療提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが生涯を通じて、住み慣れた地域において健康で安心して暮らしていくためには、医療資源が限られた僻地においても、必要な医療が提供できる体制の確保・充実を図ることが重要です。 このため、県では、僻地勤務を償還免除要件とする医師修学資金の貸与や、自治医科大学卒業医師の僻地医療機関への派遣など、僻地医療を担う医師の確保に取り組んできたところです。 また、僻地診療所の医療設備等に係る経費への支援や、無医地区への巡回診療の経費補助等に取り組むなど、僻地における医療提供体制の充実に努めています。 しかしながら、人口減少や医師の高齢化が進展する中、常勤医師の減少により、診療所によっては、住民が受診できる機会が限られるなど課題を抱えているところです。 このため、県では、本年三月に第八次山口県保健医療計画を策定し、効率的で持続可能な医療提供体制の構築に向け、医療機関等の連携や遠隔医療の活用などをさらに推進することとしています。 具体的には、医療機関等の連携について、僻地医療拠点病院へ医師を集約した上で、交代で複数の僻地診療所に医師を派遣するなど、地域の実情に応じ、より効率的に医師が診療できる体制を構築してまいります。 また、遠隔医療の活用については、医療資源が限られた僻地において、オンラインによる遠隔医療が有用であることから、市町や医療機関に対し、その有効性を周知するとともに、高額な通信機器等の導入に対する支援を行います。 こうした取組に加え、現在、僻地において医療を提供している民間診療所が今後も維持されるよう、今年度、診療所等を承継する際に必要となる施設改修費や設備整備費等に対する補助制度を創設したところであり、僻地の民間診療所等の承継者確保を図ってまいります。 県としましては、引き続き関係市町や医療機関等と連携し、僻地医療提供体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 副議長(島田教明君)近藤環境生活部長。 〔環境生活部長 近藤和彦君登壇〕 環境生活部長(近藤和彦君)自転車の安全で適正な利用の促進に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 自転車は、世代を超えて気軽に利用できる便利な乗り物である一方で、重大な事故を起こし得る乗り物でもあります。 全国では、高額な損害賠償案件も発生しており、国では、道路交通法の改正など、自転車利用者への安全対策が強化されています。 こうしたことから、県では、本年四月に施行した、山口県自転車の安全で適正な利用促進条例に基づき、自転車による交通事故防止及び被害者保護に取り組んでいるところです。 その取組に当たっては、お示しのとおり、ヘルメットの着用率や自転車損害賠償責任保険等の加入率などをさらに引き上げることが必要であることから、今後より一層、自転車の利用に対する県民意識を高めていくことが重要です。 このため、県、県警察、市町、関係団体等で構成する、交通安全山口県対策協議会を推進母体として、条例の周知や交通安全教育の実施についての取組を充実することとしています。 具体的には、まず、条例の周知については、幅広く県民に情報発信を行うため、大型商業施設での催しや大規模なサイクルイベントなど、多くの県民が集まる機会を捉えた広報活動を展開してまいります。 また、知事と県警察本部長が、自転車の安全で適正な利用等について、直接県民に呼びかける動画を作成し、県ホームページや県庁インフォメーションモニター、ユーチューブ山口県警察公式チャンネルで公開したところであり、今後も様々な場面で有効に活用してまいります。 さらに、ヘルメット着用や保険加入に意欲的に取り組む事業所を、自転車安全・適正利用推進宣言事業所として推奨し、その活動を広く周知することにより、自転車の安全で適正な利用に係る機運醸成を図ってまいります。 次に、交通安全教育の実施については、自転車に特化した安全指導講習を受講した者を、自転車安全利用推進員に認定し、出前講座や交通立哨等において指導・啓発を行うこととしています。 また、小中学校等における参加・体験型の自転車教室を充実するとともに、地域住民や事業所等を対象に、自動車学校を活用した実践型の自転車安全教室を開催し、交通ルールの遵守やマナーの向上を一層促進してまいります。 県としては、交通安全県やまぐちの実現に向け、今後とも、県警察や市町、関係団体等とも緊密に連携し、自転車の安全で適正な利用の促進に積極的に取り組んでまいります。 〔近藤環境生活部長の発言中、島田副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)デジタル人材の育成についてのお尋ねにお答えします。 急速に進展する社会のデジタル化に対応するためには、子供たちがデジタル技術や情報を適切に選択し、活用する上での資質能力である、いわゆる情報活用能力を一層高めることが必要です。 このため県教委では、一人一台タブレット端末等のICTを効果的に活用し、子供たちの発達の段階に応じた学習活動を推進しており、義務教育段階では、端末活用率が全国平均を大きく上回るなど、全ての児童生徒が端末を活用できる環境が整ってきたところです。 今後は、こうした環境を生かして、デジタル技術を個々の学びに活用するための取組を、さらに前に進めていくこととしています。 具体的には、今年度、一部の公立中学校に生成AIを活用した学習アシスタントアプリをモデル的に導入し、授業や家庭学習において、子供たちの知的好奇心を高め、自ら学びに向かう意欲や態度を養うこととしており、今後、全県への展開に向けて、その効果を検証してまいります。 また、こうした取組に加え、人口減少が進む本県では、デジタルの力を活用し、社会課題の解決や産業分野での生産性向上等を進める人材が求められていることから、高校段階において、デジタル等成長分野を支える人材の育成を強化していくこととしています。 具体的には、今年度、国のDXハイスクール事業を活用し、採択された県立学校八校において、大学や企業と連携し、データ分析等のノウハウを生かした探究学習の実践や、AIによる画像認識技術を取り入れたロボット制御の研究など、学校の特色に応じた取組を進めていくこととしており、その成果を全ての県立学校に波及させていきます。 さらに、AI時代に対応するために必要となる高度な知識や技術を学ぶ本県独自の講座においても、今年度から生成AIを積極的に取り入れるなど、デジタル分野への進学や就職につながるよう最先端の技術に触れる機会を増やしていきます。 県教委といたしましては、全ての子供がデジタル社会を生き抜く力を身につけるとともに、本県の将来を支えるデジタル人材として活躍できるよう、必要な資質能力の育成と専門性の向上に向けた取組を力強く進めてまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。