1 激甚化・頻発化する自然災害への対策の強化について 2 新たな行財政改革について 3 県収入証紙制度の見直しについて 4 やまぐち森林づくり県民税について 5 ツキノワグマの管理対策の強化について 6 ICT環境の更なる利活用による教育の質の向上について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十三号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 平岡望君。 〔平岡望君登壇〕(拍手) 平岡望君 おはようございます。自由民主党の平岡望でございます。よろしくお願いいたします。 質問に入る前に一言申し上げます。 昨日、今日私が久しぶりに一般質問に登壇するからと、有志・同志の皆さんに手厚い激励を頂きました。皆さんの思いに感謝を申し上げ、御期待に応えられるよう、そして県民の負託を頂く議員の一人として、一生懸命質問していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、順次質問させていただきます。 初めに、激甚化・頻発化する自然災害への対策の強化についてお尋ねをいたします。 近年、世界的な気候変動の影響等により、自然災害が激甚化・頻発化しており、日本各地で毎年のように大きな被害が発生しています。 七月下旬には、山形県や秋田県で記録的な大雨となり、河川の氾濫による大規模な浸水被害が発生したほか、八月末にも、迷走を続けた台風十号の影響により、西日本から東日本の広い範囲で大きな被害が発生しました。 また、本県においても、七月十日から十一日にかけて、活発な梅雨前線の影響で全県的に大雨となり、私の地元である下関市では、解析雨量で一時間におよそ百ミリの猛烈な雨が降りました。このときは幸いにも、昨年の梅雨前線豪雨災害時のような大きな被害とはなりませんでしたが、長く降り続く雨の中、不安を覚えられた県民の方々も多くいらっしゃったことと思います。 こうした中、国は、大規模自然災害から国民の生命・財産・暮らしを守り、サプライチェーンの確保など経済活動を含む社会の重要な機能を維持するため、現在、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を重点的・集中的に実施しています。 県においても、こうした国の対策を最大限活用しながら、河川改修や土砂災害対策、道路防災対策など、災害に強い県づくりを進められており、私の地元の下関市内においても、国道百九十一号の防災対策事業や、県管理河川である木屋川水系の改修事業、粟野川水系のしゅんせつ等が行われ、感謝申し上げる次第であります。 ただ、冒頭でも申し上げたように、自然災害は年々激甚化・頻発化の一途をたどっています。昨年の梅雨前線豪雨の際には、県中西部を中心に大規模な浸水被害が生じたことは記憶に新しいところです。このときに被災された住民の方々のことを思うと、このような被害を未然に防止するために、河川の流下能力の維持向上に向けた河川改修やしゅんせつ、また洪水調節機能を発揮するダムの整備など、治水対策を強力に推進すべきだと考えます。 また、先月には、日向灘を震源とする地震が発生したことが契機となり、南海トラフ地震臨時情報が発表されましたが、今後起こり得る巨大地震への備えも確実に行っていく必要があります。 災害への備えは、県民生活にとって最も重要で切実な課題の一つであり、防災・減災対策に終わりはなく、今後も継続的・安定的に進めていかなければなりません。 そこでお尋ねをいたします。激甚化・頻発化する自然災害から、県民の生命・財産や暮らしを守り抜いていくための対策を、スピード感を持って一層強化していく必要があると考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、新たな行財政改革についてお尋ねをします。 県は、本年二月に開催した行財政改革統括本部会議において、平成二十九年度から取り組んできた行財政改革については、その目標をおおむね達成したと総括されました。 しかしながら、県政を取り巻く環境に目を向けますと、深刻化する人口減少や少子高齢化の問題をはじめ、デジタル化等の社会変革の進展や長引く物価高、気候変動により頻発する大規模自然災害や緊張感が高まっている南海トラフ地震など、急激な変化が続いており、直面する課題は山積みとなっています。 このため、県は、引き続き行財政改革に取り組む方針を示されており、今月十日に開催された行革本部会議において、新たな行財政改革推進方針の素案を公表されました。 それによりますと、今後の行財政改革については、財政健全化を主目的とした従来の改革とは異なり、県が保有する行政資源を人・物・財政に区分した上で、限りあるこれらの資源を質的に充実させ、行財政基盤のさらなる強化を図っていくとされています。 近年、生産年齢人口の減少に伴う人手不足が、あらゆる業種で問題となっており、公務員の世界も例外ではなく、志願者の減少や若年退職者の増加、社会人を対象とした採用試験の拡大による人材の流動化などにより、人材確保は厳しい状況にあるとお聞きをしています。 また、さきの行革本部会議では、公の施設について、施設の利用価値やポテンシャルに着目した活用方策の検討の方向性が示されましたが、確実に老朽化が進んでいく県有施設をどう管理運営していくかという点については、今後、重大な行政課題となってくるものと思います。 こうしたことを踏まえると、これからの行財政改革においては、引き続き財政の健全性を確保することはもちろんですが、限られた人員で様々な行政課題に対応できる組織力の向上や、計画的な財産の管理を進めるとともに、社会経済情勢の変化や災害の発生など、あらゆる事態に対処できる力を備え、高めていく必要があると考えます。 そこでお尋ねをいたします。本県の行財政基盤の一層の強化に向け、どのような考えで、このたびの新たな行財政改革推進方針の素案を取りまとめられたのか、また、今後どう取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、県収入証紙制度の見直しについてお伺いします。 我が国のデジタル化は、二○二○年頃から始まった新型コロナウイルスへの対策として非接触・非対面を推奨する中で、デジタル先進諸国からの遅れがあらわになったことを契機に大きく進展しました。振り返ると、この五、六年の間に、社会全体でリモートワークやペーパーレス化などが急速に浸透し、スマートフォン一つあればコンビニをはじめ公共交通機関や飲食店、自動販売機などでサービスが受けられるなど、簡素化され、非常に便利な世の中になりました。 また、本県においても、現在、やまぐちデジタル改革基本方針に基づき、行政手続のオンライン化による電子申請やオンライン納付などの環境が整備をされ、税金や手数料のキャッシュレス納付が推進されるなど、徐々に様々な県民サービスの向上が図られていますが、デジタル技術を活用すれば、まだまだ改善できる部分はあるのではないかと思っています。 中でも、県収入証紙制度については、こうしたデジタル技術を活用することにより、業務の効率化や県民サービスの向上が大きく期待できると考えます。 この県収入証紙制度は、申請に必要な手数料を申請窓口において現金で納めるのではなく、県内各地の販売所で事前に証紙を購入し、これを貼って手数料として納めるというものですが、身近な例で言うと、車の運転免許の更新の際に用いられていたり、ほかにもパスポートの申請や食品営業の許可、高校の入学試験料の納付など幅広い申請手続において、申請窓口で現金を払わなくてもよいなどの理由から、長年活用されてきた便利な制度である一方、申請前に現金で購入をし書類に貼り付ける手間がかかる、休日や夜間には購入ができないといった県民の方々の不満な声も耳にします。 キャッシュレスやペーパーレス化が進むこのデジタル社会において、現行の証紙制度は、時代にマッチしていないのではないかと思っています。 こうした県収入証紙制度の在り方や必要性については、令和四年の県議会の常任委員会でも議論をされており、同年開催された市長会においても、県から任されている証紙販売業務への負担軽減について要望がなされたものと聞いています。 県収入証紙制度の見直しについては、これまでも県において検討されていることは承知をしていますが、前の質問でも申し上げました行財政改革の一環として、効率的で簡素な行政手続による業務負担の軽減やコスト削減を進めるため、また、さらなる県民の利便性向上を図る観点からも、デジタル化が進んできた今、まさにこの制度を見直すタイミングにあるのではないかと思います。 そこでお尋ねをします。社会のデジタル化が進展する中、今後、県として、県収入証紙制度を見直す考えはあるのか、お伺いをいたします。 次に、やまぐち森林づくり県民税についてお尋ねをします。 県土の約七割を占める森林は、その多面的機能として、地球温暖化防止に貢献する二酸化炭素吸収機能、木材等を産出・供給する生産機能などとともに、山地災害防止機能があります。 特に、山地災害防止機能は、山崩れ等の山地災害や洪水を防止・軽減し、地形が複雑で急傾斜地が多い本県の県土を保全し、県民の安心・安全を守る上で大変重要な役割を果たしています。 このような森林の機能が適切に発揮されるためには、森林土壌を健全に保つことが重要になってきます。健全な森林土壌は、下草や落ち葉などが土壌を覆うことにより、雨水等による土壌の浸食を防ぐとともに、樹木の根が土砂や岩石を固定することなどで、表層土の崩壊を防ぐ機能が発揮されます。 七月に本県を襲った大雨では、私の地元である下関市のほか、県内各地で山崩れが発生をし、また、先月下旬に発生した台風十号が、全国各地に大きな被害をもたらしたことは記憶に新しいところですが、このように、近年、山地での災害が激甚化していることなどから、安全で快適な県民の暮らしを守るため、こうした森林機能の持続的発揮に向けた森林整備に対する期待の声は、より一層高まっています。 こうした中、県では、荒廃森林等が多く見受けられることなどから、平成十七年度に森林づくり県民税を導入し、奥山等で荒廃した杉、ヒノキ人工林の間伐の実施や、繁茂拡大した竹林の伐採などに取り組まれ、これまで約八千五百ヘクタールの間伐を計画的に進められるなど、山地災害防止機能をはじめ、森林の多面的機能向上に大きな役割を果たしてこられました。 私が、現在、会長を務めています、県議会森林・林業活性化促進議員連盟は、県民の負託に応える森林づくりを促進することなどを目的に、平成十年に設立し、これまで、森林の適切な整備・保全や林業の活性化等に積極的に取り組んでおり、森林づくり県民税については、県民の認知度が低いといった課題もありますが、その対応を含め、本税を活用した取組を着実に進めていただくことを大いに期待しているところです。 そこでお尋ねをいたします。本年度末をもって第四期対策の満了を迎える森林づくり県民税の来年度以降の対応については、さきの六月議会において、森林づくり推進協議会や県民の幅広い意見を伺いながら検討していくとの答弁があったところですが、これまでどのような意見や要望が寄せられ、その意見等を踏まえ、今後どのように進めていかれるのか、お伺いをいたします。 次に、ツキノワグマの管理対策の強化についてお伺いをいたします。 今月八日、岩国市でツキノワグマによる人身被害が発生をしました。被害発生を受け県では、同日、直ちに熊出没警報を発令するとともに、緊急対策会議を開催し、岩国市や警察、学校関係者や猟友会などの関係機関と安全対策について協議を行い、パトロールや注意喚起を強化されました。 日曜日の早朝の発生にもかかわらず、多くの関係者が迅速に対応された結果、被害の拡大は生じておらず、県をはじめとする関係者の御尽力に敬意を表します。 今回の人身被害は、報道によると、体長一メートルほどの熊によるものとのことでしたが、被害に遭われた方は、腕の骨折や頭部の裂傷があるとのことで、一日も早い回復をお祈りいたしております。 今回の人身被害では、幸いにも命に別状はなかったとのことですが、全国では熊による被害で命を落とされる方もいらっしゃいます。昨年度、全国におけるツキノワグマの出没件数は統計のある平成二十一年度以降最多で、北海道のヒグマも含めた熊類による人身被害も平成十八年度以降最多となり、残念ながら六名の方がお亡くなりになりました。 山口県でも、昨年度は過去最多の四百四十四頭のツキノワグマの目撃情報があり、捕獲数も過去二番目となる五十四頭でした。今年度も、九月十七日時点で既に三百七十三件もの目撃情報が寄せられていますが、近年の傾向として、目撃されるエリアが広がっていることが挙げられます。 これまで目撃が少なかった下関市や長門市の県西部地域でも、昨年度一年間の目撃件数を追い越すペースで目撃をされ、加えて、市街地や人里での目撃も増えており、県民の熊に対する不安の声が高まっている状況です。 実際に、今回の人身被害も人里近くで発生をしており、目撃件数の増加・広域化という現状を鑑みると、いつどこで同様の被害が発生するとも分からない状況にあり、冬眠に備え熊が活発になるこれからの時期、新たな対策を進めていく必要があるのではないでしょうか。 特に、下関市をはじめ、これまで目撃が少なかった地域においては、対応経験が少ない市町などの関係機関の方もいらっしゃると思いますので、いざというときに迅速に適切に対応できる、県全域の体制を強化していくことが重要と考えます。 こうした状況の中、県では、今議会において補正予算を計上し、ツキノワグマの管理対策について、さらなる取組を講じようとしておられることは、私としても大変心強く感じております。 そこでお尋ねをいたします。ツキノワグマの目撃が急増し、そのエリアも拡大する中、今後、痛ましい事故が起こらないよう、県民の安全・安心を確保するため、県では、どのようにツキノワグマの管理対策に取り組まれるのか、お伺いをいたします。 最後に、ICT環境のさらなる利活用による教育の質の向上についてお伺いをします。 現代は、これまでに我々が経験したことのないスピードで社会が大きく変化しており、このような将来の予測が困難な時代においては、子供たちが変化を前向きに受け止め、豊かな創造性を備え、持続可能な社会のつくり手として、予測できない未来社会を自立的に生き、社会の形成に対応し、参画するための資質や能力を確実に育成していくことが必要です。 そうした教育の実現に向けて、国においては、児童生徒の一人一台端末等のICT環境の整備等を目的とする、GIGAスクール構想を二○一九年十二月に閣議決定をし、翌年からスタートしましたが、開始直後に新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の緊急事態が発生をし、社会は大きく混乱し、学校現場においては、全国の学校が一斉休校となり、家庭学習を余儀なくされるなど、子供たちにも大きな影響を与えました。 そのような状況を受け、国では、GIGAスクール構想の予定を前倒しして、小中学校等における一人一台端末等のICT環境の整備を急ぎ、本県でも、長期にわたり通常の教育活動を行うことが困難なコロナ禍でも、教育活動を継続し、全ての子供たちの学びを保障するため、全国に先駆けて、県立高校等において一人一台端末の整備を行い、デジタル化やDXを促進させてきました。 昨今、急速に進みつつあるデジタル化は、今後も社会のあらゆる面でさらに加速することが予想されます。デジタル化は、教育の新たな可能性を開き、ポストコロナ期の新たな学びにおいても効果的な手段となり得るため、コロナ禍で取り組んだデジタル化の流れを後戻りさせないためにも、生成AIの活用やデジタル教科書の推進など、さらに積極的に活用していくことが必要になってくると思います。 こうしたことに加えて、新型コロナウイルスのような感染症がまたいつ起こるかは分かりません。また、近年は、地震や台風など大規模な自然災害なども増えてきており、今後も休校など登校できない状況が起こることも考えられます。 私の子供は私立の高校に通っていますが、先般の台風十号接近の際には、交通機関がストップの可能性があるとして休校となり、自分の部屋で、朝から夕方までオンラインで指導を受け、平常時とほぼ変わらない生活を送っていました。 学校に行かなくても、学校に行くのと変わらないような学びができるその光景を目にして、私は、親として、これこそがタブレット端末の効果的な使い方であると感じました。 このように、学校で通常の教育活動が行えなくなった場合でも、タブレット端末等を有効に活用して、子供たちの学びを止めることなく確実に保障し得る環境を構築していくことが大変重要であり、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、早期に整備された一人一台端末等のICT環境を効果的に活用して、未来を担う子供たちの可能性を最大限に広げるチャンスに変えてほしいと思います。 そこでお尋ねをいたします。タブレット端末等の整備が進み、多様な学びが可能となる中、ICT環境のさらなる利活用による教育の質の向上について、県教委として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 以上で、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)平岡議員の御質問にお答えします。 まず、激甚化・頻発化する自然災害への対策の強化についてです。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で激甚化・頻発化している中、私は、県民誰もが、安心して暮らし続けられる社会基盤を築くことが極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、国の五か年加速化対策の予算等も活用し、河川や道路、土砂災害防止施設の整備などの防災・減災対策について、緊急性の高いものから計画的に取り組んでいます。 具体的には、氾濫による危険性が高い区間において、川幅の拡幅や短期間で効果を発現させるしゅんせつを実施するほか、避難所等を保全する砂防堰堤の整備、緊急輸送道路等ののり面対策や電線類の地中化など、今後起こり得る大規模な自然災害に備えた対策を進めています。 とりわけ、治水対策については、昨年の梅雨前線豪雨により大規模な浸水被害が発生した厚狭川において、再度災害を防止するための抜本的な河川改修を重点的に実施しています。 また、木屋川においては、下流域の浸水被害の防止・軽減を図るため、既存の堤体をかさ上げすることにより治水容量を大きく増加させるダムの再開発事業を進めているところです。 加えて、水害リスク情報の空白域を解消するため、昨年度から、全ての県管理河川で洪水浸水想定区域図の作成を進めており、来年度からは市町による洪水ハザードマップの作成を支援するなど、市町と連携し、住民の避難行動に資する情報提供に取り組んでいくこととしています。 また、今年に入り、能登半島地震や日向灘を震源とする地震が発生したことを踏まえ、改めて地震への備えを充実させていく必要があると考えています。 このため、地震発生時に救助・救援活動を支える緊急輸送道路において、橋梁の耐震化などの防災対策を前倒しして実施するほか、交通・物流等の多重性・代替性の確保に資する幹線道路網や、海上輸送機能を確保するための耐震強化岸壁等の整備を推進してまいります。 こうした取組を切れ目なく進めるためには、新たな国土強靱化実施中期計画の早期策定について国へ要望するなど、引き続き、所要の予算を確保していくこととしています。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、災害に強い県づくりに向けて、引き続き、防災・減災対策のさらなる充実強化にスピード感を持って全力で取り組んでまいります。 次に、ツキノワグマの管理対策の強化についてのお尋ねにお答えします。 本県に生息するツキノワグマについては、一時期、絶滅のおそれがあったものの、近年、個体数が回復し、人とのあつれきが増加していることから、人身被害等の防止と個体群維持の両立を図る取組を進めることが重要です。 このため、県では、被害防止のための捕獲活動やパトロールを担うクマレンジャー隊の整備、目撃情報の公開などによる県民への注意喚起を行うとともに、人身被害の危険性が高まった場合には、熊出没警報を発令し、関係機関と連携を図りながら被害の防止に努めています。 また、人と熊のすみ分けに向けて、奥山では、広葉樹林の回復により生息環境の維持を図るとともに、人の生活圏では、熊を寄せつけないための誘因物除去等の環境整備に取り組んでいるところです。 しかしながら、お示しのとおり、近年、出没の少なかった県西部地域等での目撃が増加し、本年度、過去最多を大きく上回るペースで出没が続き、県民の熊に対する不安が高まる中、岩国市で人身被害が発生し、県内全域での熊管理体制の強化が喫緊の課題となっています。 このため、私は、冬眠に向け熊の活動が活発になる時期に備え、さらなる人身被害を確実に防止できるよう、国が本年八月に創設した交付金を活用した事業をこのたびの補正予算に計上したところであり、市町や県警察、猟友会等と連携をして熊の管理対策を強化したいと考えています。 具体的には、まず、これまでの大量出没に対応してきたクマレンジャー隊について、最も出没が多くなるこれからの時期にも確実に出動できるよう、パトロールや捕獲のための体制を十分に確保してまいります。 また、熊に対する経験の少ない市町においても迅速かつ的確な対応が可能となるよう、幅広い関係者を対象とした警報発令時の事例検討や、市街地等への出没に備えた追い払い訓練等を実施することで、熊管理対策を担う人材の育成に取り組みます。 さらに、現在、国において熊対策の強化のため、市街地等へ出没した場合に条件つきで銃使用が可能となる鳥獣保護管理法改正が検討されており、こうした国の動きを注視しながら県警察と連携して検討を進めてまいります。 私は、県民の安全・安心の確保に向けて、市町や県警察、猟友会等の関係機関と緊密に連携して、ツキノワグマの管理対策にしっかりと取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)新たな行財政改革についてのお尋ねにお答えします。 本県では、硬直化した財政構造を転換し、揺るぎない行財政基盤を確立するため、平成二十九年度から行財政構造改革を推進し、コロナ禍により取組の一時凍結があったものの、多額の財源不足の解消など、改革に掲げた目標はおおむね達成したところです。 一方で、お示しのように、県政にとって最大かつ喫緊の課題である人口減少をはじめ、急速な社会変革への対応や、多様化・複雑化する行政課題の克服に向け、積極果敢に挑戦していくためには、その取組を将来にわたって支えることができる、行財政基盤の一層の強化が不可欠です。 このため、今後も財政の健全性の維持・向上を図りながら、様々な行政課題に的確かつ機動的に対応していくことができるよう、新たな行財政改革に取り組んでいくこととし、このたび、推進方針の素案を取りまとめたところです。 新たな改革においては、県が有する限りある行政資源を質的に充実させることにより、予想のつかない環境変化や直面する困難をしなやかに乗り越え、適応・回復できる能力である、レジリエンスを高めることとしています。 加えて、その力を最大限に活用して、様々な変化や行政課題に臨機応変に対応し、将来にわたって必要な行政サービスを持続的・安定的に提供するため、人的資源・物的資源・財政資源の別により整理した、三つの基盤の一層の強化に取り組みます。 まず、人的な基盤については、変化にもしなやかに適応できる、簡素で効率的な組織体制の構築と職員の能力向上を進めるとともに、新たな課題への挑戦に向けて、職員が意欲的に働き続けられる職場環境づくりや、デジタル技術等を生かした生産性の向上に取り組みます。 次に、物的な基盤の強化では、公共施設をはじめとする県有財産について、それぞれの資産としての価値とコストに着目し、より効率的で費用対効果の高い管理・運用に見直していきます。 そして、財政基盤については、持続可能な財政構造をより確かなものとするため、引き続き、歳入歳出両面から不断の見直しと改革の取組を徹底するとともに、将来の財政需要や政策課題への機動的な対応に備えた財源の確保を図ります。 県としては、今後、この素案を基に、取組の進行管理に必要な数値目標の設定など、庁内での検討をさらに深め、全庁を挙げて、新たな行財政改革にしっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大田農林水産部長。 〔農林水産部長 大田淳夫君登壇〕 農林水産部長(大田淳夫君)やまぐち森林づくり県民税についてのお尋ねにお答えします。 近年、全国で集中豪雨等による災害が頻発し、激甚化する中、山崩れや洪水を防止・軽減する山地での災害防止など、森林の多面的機能を持続的に発揮させることが一層重要となっています。 このため、本県では、平成十七年度に導入した森林づくり県民税を活用し、荒廃森林の整備や繁茂竹林の伐採等を計画的に実施するとともに、県民参加の森林づくりを推進しているところです。 こうした中、森林づくり県民税は、本年度で第四期対策が満了を迎えることから、来年度以降の対応について、県民の皆様をはじめ、森林づくり推進協議会や関係団体の方々から幅広い御意見をお伺いしながら、検討を進めています。 これまでに頂いた御意見としては、まず、県民アンケート調査において、森林づくり県民税による荒廃森林の整備等が必要と考えている方が約八割に達するなど、森林の適切な整備・保全の推進が強く望まれています。 また、森林づくり推進協議会では、近年の気候変動を踏まえた防災・減災対策の推進に加え、洪水や渇水の防止・緩和のため、山地での災害防止機能や水源涵養機能の発揮に向けた荒廃森林の整備等は重要との共通認識が図られました。 さらに、林業関係団体からは、下草などの植生の回復がおおむね順調である、竹林伐採により鳥獣被害の軽減につながっているなどの現場の声が多く寄せられ、取組の効果についても、一定の評価を頂いています。 一方、県民の皆様に特別の御負担をお願いしている森林づくり県民税の認知度が四割程度であることから、お示しのとおり、その重要性や活用事業の内容等について、より多くの皆様に理解を深めていただくことが課題と考えています。 森林づくり県民税の来年度以降の対応については、こうした課題をはじめ、県民の皆様から頂いた御意見や取組の成果、森林・林業を取り巻く情勢の変化を踏まえ、今後、県議会はもとより、森林づくり推進協議会等の御意見を伺いながら、検討を重ねてまいります。 議長(柳居俊学君)岡本会計管理局長。 〔会計管理局長 岡本章生君登壇〕 会計管理局長(岡本章生君)県収入証紙制度の見直しについてのお尋ねにお答えします。 収入証紙制度は、公金の現金納付が原則であった時代に、窓口業務の効率化を目的として全国的に導入され、申請手数料の未納が発生しない等のメリットがある一方で、お示しの申請者の証紙購入に係る負担等のデメリットが指摘されています。 本県では、昭和三十九年度から条例に基づく運用を始め、現在も、自動車運転免許やパスポートの申請などに広く活用されており、昨年度の証紙による申請件数は約百六十五万件、手数料等の収納額は約十六億円に上っています。 一方、民間サービスにおいては、昨年の我が国の消費活動全体に占めるキャッシュレス決済額の割合が四割近くにまで上昇するなど、様々な手続がオンラインで行われるようになっています。 また、国においても、不動産登記など収入印紙による申請手続において、パソコンやスマートフォンによるオンライン納付が可能となるなど、社会全体のデジタル化は加速しています。 こうした中、県では、やまぐちデジタル改革基本方針に基づき、電子申請やオンライン納付等、行政手続のオンライン化を推進しているところであり、お尋ねの県収入証紙制度についても、業務の効率化や県民の利便性の向上を図る観点から、制度の廃止を含めた見直しが必要と考えています。 このため、現在、庁内関係課で構成するワーキンググループにおいて、令和八年度中の制度廃止と、これに代わる公金収納手続の在り方について検討を行っているところであり、今後、先行都府県における事例等も参考にしながら、市町や関係団体等の意見を十分に伺った上で、年内にも見直しの素案を作成することとしています。 県としては、行財政改革の推進と県民サービスの一層の向上を図るため、今後とも、市町や関係団体とも緊密に連携しながら、県収入証紙制度廃止後の公金収納手続について、キャッシュレス化やペーパーレス化など、デジタル社会のニーズに即した取組の検討を進めてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)ICT環境のさらなる利活用による教育の質の向上についてのお尋ねにお答えします。 生成AIに象徴されるデジタル技術の革新など、想定を上回る速度で変化する社会においては、子供たちが社会の変化に対応しながら主体的に未来を切り開くことができるよう、情報活用能力等の資質能力を育成することが重要です。 このため、県教委では、昨年策定した、山口県教育振興基本計画の施策の一つに、教育DXの推進を掲げ、これまで整備した一人一台タブレット端末等のICT環境の活用をさらに促進し日常化するとともに、新たなデジタル技術も取り入れることにより、個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実を通じた、教育の質の向上を目指すこととしています。 まず、小中学校においては、一部の教科でデジタル教科書の活用が始まっており、子供たちは、授業で動画や音声により理解を深めるとともに、家庭でも英語の発音を聞きながら繰り返し音読をするなど、紙の教科書ではできなかった学習にも取り組んでいます。 今後も、デジタル教科書のよさを生かし、子供たちが自分に合った方法やペースで主体的に学ぶことができるよう、取組を推進してまいります。 また、今年度、中学校で実施をしているモデル事業では、生成AIを組み込んだ学習アシスタントアプリを活用して、ディベートをしたり、グループ活動で異なる視点から意見を得たりするなど、AIも含めた多様な他者との協働的な学びの好事例も出てきており、今後、全県への拡大を検討することとしています。 次に、県立高校等においては、幅広い体験や専門性の高い学びの機会を提供するため、オンラインによる海外との交流を充実させるほか、国のDXハイスクール事業の指定校では、大学・企業等と連携し、探究学習に生成AIやデータサイエンスを取り入れるなど、学びを深める取組を行っており、今後はその成果の横展開を図ってまいります。 さらに、近年頻発する自然災害等により登校できない場合の対応として、端末を活用した課題プリントの配信やオンラインによる支援などを行っている高校もあり、今後、他の高校等でもこうした取組を進めていきたいと考えています。 県教委といたしましては、子供たちの資質能力の育成に向けて、デジタル化の進展等による社会の変化に対応しながら、ICT環境のさらなる利活用による教育の質の向上に積極的に取り組んでまいります。