1 深刻化する人手不足解消に向けた取組について 2 共生社会の実現を推進するための認知症基本法について 3 発達障害者支援について 4 防災力強化の取組について 5 専門高校・専門学科への支援や取組について 6 重大交通事故抑制に向けた取組について
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 公明党の猶野克でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、深刻化する人手不足解消に向けた取組についてお尋ねします。 日本企業の人手不足感は、バブル期以降過去最高と言われています。日本の労働市場は改善が続き、自公政権が発足した一九九九年当時の完全失業率は、年平均四・七%、翌年三月には四・九%と、一九五三年の調査開始以降最悪と言われた高い失業率でしたが、現在は二・七%まで大幅に改善しました。 また、同時期の有効求人倍率は、これも史上最悪の年平均○・四八倍。現在一・二四倍、新規求人倍率は二・二二倍となり、自公政権誕生から二十五年間で、十人が五社しか採用されない時代から、十人が十二社から採用を求められる時代へと変わり、就労希望者にとって劇的な改善となりました。これは自公連立政権の大きな成果を示していると考えます。 一方、経営側にとっては、仕事はあるけど、人がいないので受注できない、新しい人材が入ってこないので、事業継続が難しいなど、経営が大変厳しい状況下に置かれています。 日本の生産年齢人口は、少子化に伴って少しずつ減少してきましたが、就業者数は、一九九○年以降、実は上昇傾向にあり、働き手は増えています。厚労省や統計局が発表している就業者数を見ても、二○二四年七月時点で六千七百九十五万人の二十四か月連続増加となり、一九九九年との比較でも三百万人以上、就業者数が増え続けてきました。 では、なぜ人手不足は起きるのでしょうか。それは、企業が主に労働力が安定して見込めるフルタイムの正社員を求める傾向が強いのですが、非正規雇用の割合が増え、需要と供給のアンバランスが人手不足を生み出していると言われています。加えて、提示した条件で求める人材が集まらない、また、求めるスペックの人材が労働市場にいない等の理由から人手不足が起こっています。 これらを解決していくためには、新しい働き手に目を向け、女性や高齢者、障害者など、より幅広い人材確保に努めていき、行政はその動きを支援していく取組が重要です。 また、外国人就労は、コロナ明けから受入れが急増し、国も外国人材の活用は成長戦略の一環として位置づけるようになりました。山口県議会でも多くの議員が、外国人就労について取り上げていますが、三年後には、技能実習制度から育成就労制度の新制度へ切り替わり、外国人受入れの条件や制限等、環境も大きく変化する転換期と捉える必要があります。 現在、外国人就労を取り巻く状況は、国際的にも日本の労働対価が他国と比べて低い水準であり、日本が選ばれないのではないかと懸念されています。たとえ日本が選ばれたとしても、現在国内では、東京二六・五%、大阪七・一%、愛知一○・三%と、三大都市だけで半数近くの外国人労働者を占めており、高賃金や利便性の高い都市部が選ばれる傾向にあります。 したがって、都市部と地方の厳しい確保競争も生まれてきます。外国人労働者を選び、選ばれる県にしていくために、お金でははかれない価値を生み出し、本県で働く満足度向上に取り組む施策が今後より重要と考えます。 また、日本語教育の支援や外国人労働者を受け入れるための経営者教育を行政も支援していく仕組みを広げ、つくり出す必要があるのではないでしょうか。 滋賀県では、ハノイ工科大学と技術系人材の受入れに関する覚書を交わし、同大学に日本語講座を開設。ベトナムの学生へ日本語を教えるとともに、日本の文化や県の魅力を発信。また、県や地元企業が共同事業として、同大学生を無料招待し、企業のインターンシップや就業体験を実施する等、高度人材の雇用促進の流れをつくってきました。 さらに、定着に向けた支援も充実しており、同県では、企業で働く外国人材向けに、実践的な日本語会話や職場でのコミュニケーション方法を県が無償支援しています。 外国人雇用を考える経営者にとって、技術面だけではなく、社員同士のコミュニケーションを重視する声が高い中、県が後押しし、就職や生活上のきめ細かいサポートをすることは、とても有益な取組となっています。 さらに、多文化共生の側面でも、地元住民へ理解促進や交流の場を広げるなど環境整備を行い、他国や都市部の労働対価に負けない地方ならではの付加価値を提供し、外国人労働の雇用・定着につなげています。 そこでお尋ねします。深刻な人手不足による県内企業の厳しい経営状況が続く中、県は、外国人をはじめとして、女性や高齢者、障害者など、幅広い人材確保や定着に向けてどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法についてお尋ねします。 二○○五年、日本は、六十五歳以上の高齢者の割合が二○%を超え、世界で最初に超高齢社会が到来し、世界で最も高齢化の進んだ国となりました。その後も高齢者の割合は増え続け、実に四人に一人以上が高齢者であります。 その中でも認知症高齢者は、来年、本県は約九万人となる見込みで、六十五歳以上人口の五人に一人と推計されています。認知症は、誰もがなり得るものであり、家族や地域の方々など多くの人にとって身近な存在となるため、認知症と正しく向き合い、理解を深めていかなくてはならないと考えます。 昨年六月、共生社会の実現を推進するための認知症基本法が成立し、本年一月より施行されました。この法整備をめぐって公明党は、二○一五年の国会質問で基本法制定を提案し、必要性を主張してきました。一七年、党内に推進本部を設置、一八年、基本法案の骨子案を取りまとめ、自公の議論を経て、一九年、法案を国会に提出しましたが、このときは残念ながら廃案。しかし、その後も諦めることなく、二一年、超党派の認知症施策推進議員連盟を発足し、関係諸団体と議論を重ね、ようやく全会一致での成立となりました。 基本法は、認知症の人を支える対象ではなく、一人の尊厳ある方として、その個性と能力を十分に発揮し、相互に支え合いながら共生社会の実現を推進することを目的としています。 ある認知症を特集したテレビ番組で、施設に入っている認知症の御婦人が、少し離れた自宅で暮らす御主人に会いに行こうとされました。施設のヘルパーさんは、御主人はその日、終日お留守と分かっていましたが、御婦人の気持ちに寄り添い、車椅子を押して、一緒に自宅まで同行されます。出てくるはずのない自宅のインターホンを何度も何度も押して、御主人を呼ぶ御婦人。留守なので出てくるはずはありませんが、ヘルパーさんは温かく見守り、優しく声をかけ、励まされている姿が強く印象に残りました。 認知症基本法の基本理念には、「自らの意思によって日常生活及び社会生活を営むことができる」と定められ、さらには「認知症の人の意向を十分に尊重しつつ」とはっきりと明記されております。まさにそれを体現されていたのが、テレビに映っていた施設の職員の方々でありました。ともすれば、周囲の私たちは、認知症の人を支える対象として捉えがちですが、認知症とともに希望を持って生きるという新しい認知症観に立って、政策を進めていくことが重要ではないでしょうか。 本県では、昨年八月、県内在住五名の方を認知症本人大使である、やまぐち希望大使に委嘱されました。認知症の普及啓発活動や認知症サポーター養成、講演会等、幅広く活動されておりますが、認知症御本人が元気な姿で話される体験談を通じて、認知症に対するイメージが変わったとか希望が湧きます等、多くの共感の輪が広がっています。 私の義理の父も認知症で、本年二月、亡くなりました。家族の一人として、どこまで本人の意思を尊重し、寄り添うことができていたのか、改めて考え直す機会となりました。 同時に、今回の認知症基本法施行を機に、より多くの方々に認知症に対する理解を広げ、新しい見方に立った政策を進めていく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。認知症に特化した初めての法律となる認知症基本法がスタートした本年、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 次に、発達障害者支援についてお尋ねします。 発達障害は、自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害、チック症、吃音など、生まれつき見られる脳の働き方の違いによるものとされています。脳機能の発達がアンバランスであるため、行動や態度に様々な特性が現れます。本人のやる気や努力不足、保護者の育て方などにより起因するものではありません。 また、先天的な脳の働き方の違いなので、大人になってから発達障害になるというわけではなく、多くの場合、発達障害の特性は子供の頃から現れますが、一方でその特性は個性として捉えられることも多く、本人も周囲の人も発達障害と気づかずに大人になるケースも少なくありません。 しかし、進学や就職で行動範囲が広がると、人間関係はより複雑になり、様々な人とのコミュニケーション機会が増えてきます。相手の表情から物事を察したり、周囲に合わせた行動を求められたり、勉強や仕事を計画的に進行したりするなど社会性を要求されます。ここで潜在的に持っていた発達障害の特性が浮かび上がり、人間関係や仕事でつまずき、そのとき初めて発達障害に気づくことになります。 NHKに寄せられた意見や体験談の中に、ある高校生は、風邪で数日休んだことをきっかけに学校に行けなくなりました。発達障害は、できるけどやり続けることができないことがあること、できるけどとても疲れるということを、親も気づかず、担任の先生や友人も怠けや甘えと捉えていました。発達障害に対する周囲の理解はまだまだ不足しています。 深刻なのは、発達障害の二次障害です。学校生活や仕事における度重なる失敗した経験などから、自己嫌悪になり、不登校やひきこもりになるケースが多く見られます。最悪の場合、誰からも理解されず、孤独の中、自分で死を選ぶ方もいます。 寄せられた意見には、学校や職場の理解や対応には地域差があるという声がありました。であれば、私たちが住む地域では、障害の有無にかかわらず、相手を尊重し、互いが持つ苦手なところを助け合い、共に協力していける地域づくりをしていけば、二次障害を少しでも防いでいけるのではないでしょうか。 そのために発達障害の特性を踏まえた相談支援が行われるよう、ライフステージを通じて一貫した相談支援体制や支援の充実が必要と考えます。 特に、大人になってから発達障害に気がついた、診断された方への支援が少なく、その支援体制づくりが重要と考えます。 いまだ自分は、発達障害と知らずに苦しんでいる人、それにより心が傷つき、学校や仕事に行けず、どうしてよいか分からず、人知れず二次障害で苦しんでいる人。もしかしたら、誰しもが他者を尊重し、苦手なことを認め助け合う世の中であれば、発達障害と一生知らずにいても、幸せに過ごせるのかもしれません。 そこでお尋ねします。県は発達障害者支援の充実に向けて、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見を伺います。 次に、防災力強化の取組についてお尋ねします。 まずもって、今回の能登地方を襲った記録的豪雨により被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興を御祈念申し上げます。 八月八日、日向灘で発生したマグニチュード七・一の地震は、南海トラフ地震の想定震源域で大規模地震が発生する可能性が高まったとして、気象庁が南海トラフ地震臨時情報を発表。これを受けて政府は、防災対策の推進地域に指定されている二十九都府県の七百七市町村を対象に地震の発生から一週間、社会経済活動を続けながら地震への備えを呼びかけました。 また、八月二十二日、マリアナ諸島近海で発生した台風十号は、日本各地で土砂災害や河川氾濫、竜巻など多くの被害をもたらしました。通称のろのろ台風と呼ばれ、ゆっくりと複雑な進路を巡り、日本列島を巻き込んだ台風十号は、九月一日、紀伊半島沖で熱帯低気圧へ変わりましたが、離れた場所も冠水になるほど、記録的大雨をもたらした台風でした。今回の地震や台風の一連の報道は、改めて、私たちに災害の怖さを身近に感じさせられたものとなりました。 風化させてはならない東日本大震災の教訓、そして今なお、復旧・復興が急がれる能登半島地震、そして今回の能登の大雨、私たちにとって平和でかけがえのない日常生活は、いつまでも当たり前に続くのではなく、いつか必ず訪れる自然災害という脅威と隣り合わせであるということを再認識し、日頃から備えをしていかなければなりません。 先月、川崎市の「こども防災塾」の取組を視察させていただきました。計三日間の日程で、小学生とその保護者を対象に行われた催しは、将来を担う子供たちに向けて、講座やワークショップを通して防災を学ぶという内容でした。 特に印象的だったのは、東日本大震災を経験した菊池のどかさんによる講演でした。彼女は「釜石の奇跡」で知られる岩手県釜石市の御出身で、二○一一年発災当時、釜石東中学校三年生で、あの恐ろしい大震災を経験されました。御自身だけでなく、御家族、友人、多くの知人が被災され、筆舌に尽くし難い御苦労をされましたが、それらを受け止め、発災時の音や匂い、五感で感じたことを伝えていく、未来に命をつないでいくために、震災の伝承を仕事にしていく道を選ばれ、現在活動されております。 参加した子供たちをはじめ、保護者や関係者も菊池さんの体験を聞き入っておられました。穏やかな口調の中にも、真剣な語り部を前に、参加者の多くが思い思いに感じ取られておりました。幼少の頃から防災意識や気づきを得る「こども防災塾」は、とても意義深いと実感した次第です。 本県では、防災力強化に向けて、自主防災組織の活性化や防災意識の向上に取り組まれています。私も昨年、自主防災アドバイザー養成研修を受講させていただいた一人ですが、この間、県の防災力強化の取組を大変評価し、感謝申し上げます。 本県の防災力向上のためには、避難計画や避難所の整備、備蓄の確保等の防災体制の整備も大切ですが、日頃から地域や身近な人との交流を大切にし、防災意識を高め、地域全体で呼びかけ避難等、助け合う体制づくりをしていくことがより重要だと考えます。さらに、時間はかかっても、子供のときから防災意識を高めていくことは、将来の我が地域を守ることに間違いなくつながります。 講師の菊池さんは、最終的に責任を持たなければならない立場の人はいますが、その人一人で頑張るのではなく、周りの人も皆で頑張れるような意識づけを今後もお手伝いしたい、と結んでおられました。 そこでお尋ねします。本県の防災力強化に向けて、自主防災の活性化や県民の防災意識の向上に取り組むことがより重要と考えますが、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見を伺います。 次に、専門高校・専門学科への支援や取組についてお尋ねします。 専門高校は、農業、工業、商業、水産高校など、それぞれの職業で必要とされる知識や技術を学ぶことを中心とした高校です。そのほか、家庭、看護、情報、福祉など専門学科を設置する高校に、公立・私立問わず、多くの生徒が通っています。 令和五年五月時点で、専門高校の生徒数は、全国約五十万人で、これは高校生全体の一七・一%を占めます。地域で活躍する職業人を育成するとともに、豊かな感性や創造性を養う総合的な人間教育の場として、専門高校は大きな役割を果たしています。 しかし、近年、産業構造の転換や大学進学希望者の増加、少子化に起因して、専門高校進学者が減少し、本県だけではなく、全国的にも専門高校の学科募集停止や統廃合が進んでいます。 この流れは、本県にとって深刻な問題で、専門高校の衰退は、県の将来的な発展を左右するほど、重要課題と捉えています。なぜなら、専門高校が本県の産業を大きく支えているからであります。専門高校卒業生の県内就職率は非常に高く、私が一昨年、卒業式典の御挨拶で伺った地元宇部商業高校の卒業生は百三十二名、そのうち七十四名が就職し、全員が県内に就職。他地域の専門高校も同様の傾向で、就職者の県内就職率は、一部の地域を除き、八○%を超える高い数字であります。働き手・担い手を必要とする県内企業にとって重要な人材群であり、また若者の県内定着を目指す本県にとっても、大変貴重な存在です。 本県の持続的な発展を支える基盤をつくる上で、その教育現場となる専門高校や学科の施設・設備等の充実や優秀な教員の確保は大変重要な取組であると考えます。当然、学校の専門性によって雇用状況は大きく異なるため、専門高校に合った企業や関係機関等とのインターンシップ、協働事業等のさらに密接な連携も強化すべきと考えます。 また近年、国による検討会議の資料では、普通科高校と比べると専門高校のほうが、積極的に進学した割合が高い、きめ細かく実践的な授業が多い、勉強への積極性が高い等、高い評価結果もあります。さらに専門高校から大学進学できないと考えている方も多いと思いますが、多様で専門性の高い学生を受け入れる大学も増えており、専門高校から大学進学への実績を伸ばし、その成果を広く発信していくことで専門高校への関心も高まると考えます。 さらに、全国募集を実施する公立高校も増えてきました。本県では、周防大島高校の一校のみですが、近隣中国五県を見ても、岡山県は十二校、広島県は七校、鳥取県は十一校、島根県は十六校と広く門戸が広がってきました。 こちらは課題があることも認識していますが、こうした手法も視野に入れ、本県の専門高校の特色を知ってもらい、優秀な生徒を募集する仕組みづくりを検討すべきと考えます。様々な取組で、専門高校の魅力を高め、優位性を認識してもらい、幅広く入学希望者を増やすべきではないでしょうか。 冒頭申し上げたとおり、地域で活躍する職業人を育成することが、専門高校の使命と役割であり、その地域とは、私たちが住み続けていく山口県です。専門高校の衰退は、県内産業の弱体化を招き、逆に専門高校の発展は、本県の価値を高め、最終的に生徒の将来の可能性を開くことにつながると確信します。 そこでお尋ねします。専門高校・専門学科への支援や取組について、今後どのように取り組んでいかれるのか、県教委の御所見を伺います。 最後に、重大交通事故抑制に向けた取組についてお尋ねします。 全国の交通事故死者数は、二三年二千六百七十八名で、前年比から二・六%と八年ぶりに増加しました。集団登下校中の子供の列に車が突っ込んだり、信号機のある横断歩道でも大型車に小学生が巻き込まれたりと、全国的に子供が死亡する痛ましい交通事故も多発しています。 本県の本年八月末時点における交通事故死亡者数については、二三年二十名でしたが、本年は既に二十八名と昨年を大きく上回っており、その多数を高齢ドライバーが占めているという特徴があります。 特に目立つ高齢者の交通事故は、ハンドル操作やブレーキ、アクセルの踏み間違い等による運転操作不適のものや、最近では高速道路の逆走といった安全不確認のものも年間約二百件と多発しており、そのうち約二割が交通事故につながっていると言われています。その背景には、高齢化の進展や認知症問題がありますが、今後、ますます高齢者が増える社会を見据えた交通安全策も求められます。 こうした中、私たち公明党は、交通安全対策について、歩行者や通学路の安全対策、可搬式オービス導入の促進、自転車保険加入の義務化、横断歩道歩行者優先の取組など、様々、議会提案をしてきました。 さらに、令和二年二月定例会において、石丸議員の代表質問や国会においても、高齢運転者によるブレーキとアクセルの踏み間違い事故防止に向けた対策を講じる必要性も早くから訴えてまいりました。安全運転サポート車、サポカーの普及を一貫して推進し、二一年十一月から始まった国産の新車に対する自動ブレーキの搭載義務化なども後押しした結果、国交省は、障害物を検知し、急発進を防ぐ加速抑制装置の搭載を新車の乗用車に義務づける方針となりました。来年六月に予定されている国連基準の発効に合わせ、国内基準を整備する見通しとなっています。 さらに、逆走対策や安全不確認の防止につながる取組も重要であります。逆走は、高速道路だけで起こるとは限らず、これから九月以降秋頃は、日の入りが一気に早まりますので、はっきりとした路面標示や注意喚起、反射材の活用等、交通事故防止に向けた積極的な取組をお願いしたいと考えます。 そこでお尋ねします。新本部長として、本県における現在の交通状況をどのように受け止め、今後、悲惨な重大交通事故を減少させていくため、どのような対策を講じていかれるのか、警察本部長の御所見を伺いまして、私の質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の代表質問にお答えします。 まず、深刻化する人手不足解消に向けた取組についてのお尋ねです。 人口減少・少子高齢化が進行し、生産年齢人口の減少が続く中、地域を支える産業が持続的に成長・発展していくためには、その基礎となる企業における人材の確保・定着が図られるよう、より幅広い人材の就業を促進することが重要です。 こうした中、お示しの外国人材については、従前の技能実習制度から人材の確保・育成を目的とした育成就労制度へ移行することに伴い、今後さらなる増加が見込まれることから、円滑な受入れや定着に向けて県内企業を積極的に支援することとしています。 まず、外国人材の受入れ経験の少ない県内中小企業等に対しては、山口しごとセンターに外国人材雇用アドバイザーを配置し、採用時の確認事項や受入れ体制の構築など、様々な相談にきめ細かく対応しています。 また、労働局と連携し、外国人雇用の際の留意事項や職場での円滑なコミュニケーション形成に資するセミナーを開催するとともに、職場で必要な日本語習得に向けた取組について、技能実習生を受け入れる企業をサポートする監理団体に加え、今年度から中小企業等も支援対象としたところです。 加えて、留学生等に対し県内企業が魅力を直接発信する外国人留学生業界研究フェアや、本年度新たに海外の高専の学生と県内企業等との交流を図る高度外国人材確保支援事業により、海外の優秀な人材の確保に取り組む県内企業を支援していくこととしています。 今後、こうした取組をさらに進めていくために、育成就労制度に対する国の検討状況や、山口県多文化共生推進指針に基づき設置した、県及び市町等で構成する協議会での意見も踏まえて、本県が外国人労働者に選ばれ、安心して働き続けることができるよう、効果的な施策を検討していきます。 さらに、外国人に加え、働く意欲がありながら就業に不安を抱える女性や高齢者をはじめ、様々な特性を持つ障害者など、多様な人材の就労の場における活躍に向けた支援にも、積極的に取り組んでいます。 具体的には、子育て期の女性や健康・体力に自信のない高齢者等の知識や経験を生かせるよう、セミナー等により就業意欲を喚起し、多様なニーズに対応した雇用を創出した企業とのマッチングにより、希望に応じた就業を支援しています。 また、障害者の法定雇用率の段階的引上げが今年度から実施されており、労働局等関係機関と連携した県下七会場での就職面接会や、事業所現場を活用した実践的な能力を習得する職業訓練等により、障害者の意欲と適性に応じた就労を促進しています。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県を実現するため、今後とも、本県産業が持続的に成長・発展していけるよう、産業界や関係機関と連携し、産業を支える多様な人材の確保・定着に積極的に取り組んでまいります。 次に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法についてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進展に伴い、認知症の人の一層の増加が見込まれる中、認知症になっても本人の意思が尊重され、同じ社会の一員として、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられることが重要です。 本年一月に施行された認知症基本法では、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう基本理念等が定められており、認知症とともに希望を持って生きるという新しい認知症観に立って、施策を総合的かつ計画的に推進していくことが求められています。 私は、こうした法の考え方を踏まえ、本年三月に策定した、第八次やまぐち高齢者プランに基づき、この新しい認知症観に立って、認知症に関する理解促進と本人発信支援、認知症の人や家族等が希望を持って暮らせる地域づくりなどに積極的に取り組むこととしています。 まずは、私たち一人一人が、認知症の人に関する正しい理解を深めることが必要であることから、認知症の人が、地域とのつながりの大切さなどについて、自らの言葉で語り、希望を持って前を向いて暮らしている姿を積極的に発信し、広く県民に伝えていくことが重要です。 このため、現在、五名の認知症の方をやまぐち希望大使として委嘱し、メッセージ動画による発信や市町の啓発事業への協力等を行っていただいており、今後は、県民向け講座など、様々な普及啓発イベントにも発信の機会を広げていきます。 また、やまぐち希望大使の参画も頂きながら、市町や教育機関等と連携して、認知症の人の声や思いを尊重し、本人に寄り添う、認知症サポーターを養成し、認知症に関する地域の理解を進めてまいります。 さらに、認知症の人や家族への相談・支援を行う、認知症地域支援推進員などの地域関係者を対象に、認知症の人の声を生かしたバリアフリーの取組や社会参加への支援について学ぶセミナーを開催し、認知症の人と共に、暮らしやすい地域を考える活動を推進します。 加えて、認知症の人の意思決定支援をはじめ、適切な保健医療・福祉サービスの提供体制の整備に向け、医療・介護従事者に対して、認知症対応力向上のための研修を実施し、本人の意向を十分に尊重しつつ、適切に対応できる人材の養成を一層進めてまいります。 とりわけ今年度は、法の趣旨を踏まえて、認知症の人本人や家族の視点を重視した施策をさらに進めるため、困り事やニーズ等を丁寧に聞き取る調査を行うこととしており、そこで得られた意見等を今後の取組に生かしていくこととしています。 私は、このたびの認知症基本法の施行を契機に、市町や関係機関と連携して、認知症施策のさらなる推進に取り組み、認知症があってもなくても共に暮らせる共生社会の実現に努めてまいります。 次に、発達障害者支援についてのお尋ねにお答えします。 発達障害者の支援については、一人一人の障害の特性に合わせ、乳幼児期から成人期までのライフステージに応じた関係機関の連携による一貫した支援体制の整備が重要であると考えています。 このため、発達障害者に対する支援を総合的に行う発達障害者支援センターを中心に、乳幼児期の早期発見・早期支援をはじめ、就学期の個別の教育支援や、成人期の就労・生活支援等、発達障害者の成長過程に応じた支援に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのとおり、発達障害と気づかず大人になるケースも少なくなく、進学や就職を機に人間関係や仕事でのつまずき、不登校やひきこもりなどの二次障害を引き起こすこともあることから、学校や職場、地域でのさらなる支援の充実と支援体制の整備に取り組むこととしています。 具体的には、まず、学校において、発達障害のある子供の理解と支援に関する各種研修を通じて、教員の専門性向上を図り、全ての生徒が、共に学び、支え合いながら、豊かな学校生活を送れるよう、きめ細かな指導・支援を行います。 また、職場における対策として、上司・同僚が発達障害の特性や共に働く上での配慮などについて理解を深めることができるよう、就労に関する優良事例やノウハウを紹介するガイドブックを活用し、発達障害者が働きやすい職場環境づくりを支援します。 さらに、地域における理解の促進に向け、四月の発達障害啓発週間には、市町と連携して県内各地の名所旧跡をシンボルカラーのブルーにライトアップする啓発活動に取り組むとともに、県民運動として展開している、あいサポート運動の一層の推進を図ります。 次に、支援体制の整備については、発達障害者やその家族が身近な地域において相談支援を受けられるよう、相談支援に関するアドバイザーを市町に派遣し、地域のネットワーク構築に向けた指導・助言を行うなど、市町における相談支援体制の整備を支援してまいります。 また、地域で発達障害者の診療を行う医師や、発達障害者やその家族へのサポートを行う保健師、福祉サービス事業所の職員等を対象とした研修を実施するなど、支援に携わる専門人材の養成を進めてまいります。 加えて、こうした取組を着実に推進するためには、医療、福祉、教育、労働など幅広い分野の連携が重要であることから、関係機関で構成する県発達障害者支援地域協議会を設置しており、引き続き、課題の共有を図るとともに必要な支援施策について検討を進めていきます。 私は、今後とも市町や関係機関と連携し、発達障害者支援の一層の充実に積極的に取り組んでまいります。 次に、防災力強化の取組についてのお尋ねにお答えします。 自然災害が頻発化・激甚化している中で、災害から県民の生命を守り、被害を最小限に抑えるためには、行政による取組と併せて、地域住民が助け合う共助や、県民一人一人が自らの命を守る自助の取組が大変重要です。 能登半島地震や、このたびの南海トラフ地震臨時情報の発表等により、県民の皆様の防災に対する関心は一層高まっていることから、私は、共助の核となる自主防災組織の活性化を図るとともに、自助の礎となる県民の防災意識を高める取組をさらに進めることが重要と考えています。 まず、自主防災組織の活性化については、県と市町が一体となって、専門的な知識を有する自主防災アドバイザーを養成、派遣することにより、地域における研修や訓練等の実施を促すとともに、住民が主体的に、呼びかけ避難・率先避難を行う体制づくり等を支援してきたところです。 こうした取組により、近年では、県内の一部の地域において、大雨等の際に、自主防災組織が避難の必要性を自ら判断し、市町からの避難指示の発令を待たずに自発的に避難を行う事例等も出始めており、地域での共助の取組が進みつつあります。 今後は、地域での防災活動の参考となるよう、新たに啓発動画を作成・公開するとともに、スキルアップ研修の実施を通じた自主防災アドバイザーの資質向上に加え、市町やアドバイザー間の連携強化を図ること等により、自主防災活動のさらなる活性化を図ってまいります。 次に、県民の防災意識の向上に向けては、お示しのとおり、子供のときから災害の恐ろしさを知り、防災への関心を深めてもらうことも重要であるため、県では、令和二年度から小学校において防災体験学習を実施し、防災に対する意識づけを図ってきたところです。 今年度は、こうした取組に加え、地震・津波等の災害を疑似体験できるVR機器を新たに導入し、市町や自主防災組織等が行う防災訓練や行事で活用いただけるよう、七月から貸出しを行っており、これまで約四十団体、千三百人に活用されています。 さらに、災害時に適切な行動を取っていただくため、必要な知識や情報を提供するシンポジウムを開催することとしており、自助の基本となる県民一人一人の防災力の向上に向けて、普及啓発活動を一層充実させてまいります。 私は、いつでも、どこでも起こり得る災害から県民の命と暮らしを守るため、市町や関係機関等とも緊密に連携しながら、災害に強い県づくりに向けて、地域防災力のさらなる充実強化に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)専門高校・専門学科への支援や取組についてのお尋ねにお答えします。 生産年齢人口の減少が続き、地域や産業の担い手の確保が大きな課題となる中、本県産業の成長を支える人材の育成や若者の県内定着促進に向けて、就職者の割合や県内就職率が高い専門高校は、大変重要な役割を果たしています。 このため、県教委では、本県の産業構造等を踏まえた学校・学科の配置や定員の設定に努めているところであり、公立高校においては、職業教育を主とする学科の入学定員の比率は全国平均を大きく上回り、とりわけ工業科の定員比率は、全国一位となっています。 さらに、専門高校・専門学科においては、実践的な知識・技術に加え、地元産業界から求められる専門的な知識や高度な技術の習得にも対応する必要があることから、産業界と連携した教育活動の充実や、デジタル化・脱炭素化など先端技術を学べる教育環境の整備に取り組んでいるところです。 具体的には、まず、教育活動の充実に向けては、生徒と地元企業による商品開発をはじめ、カーボンニュートラルに先進的に取り組む企業の技術者を講師とした研修や現場実習を実施するなど、生徒が県内企業の魅力を知る機会にもつながる取組を推進しています。 次に、教育環境の整備については、これまでも、工業高校への3Dプリンター、農業高校への自動操舵トラクターなど、デジタル化に対応した産業教育装置の整備を進めており、今年度は新たに国のDXハイスクール事業も活用し、実習用のロボットアームや三次元測定器などを整備することとしています。 さらに、こうした教育を進めるに当たっては、優秀な教員の育成・確保が重要であることから、地元企業で活躍する熟練技能者による講習会を開催し、教員の技能の向上を図るとともに、民間企業等での実務経験と熱意を有するエキスパート人材の採用を行うなど、専門性の高い教員の確保にも努めてまいります。 また、お示しの入学希望者の増加に向けては、中学生はもとより、保護者や中学校教員にも、こうした教育内容や、大学等への進学など多様な進路実績について理解し、関心を高めてもらうことが重要であることから、オープンスクールや出前授業の実施、学科の教育内容や取得できる資格等を紹介するガイドブックの作成などにより、専門高校等の魅力をPRしてまいります。 なお、今後も中学校卒業者数の減少が見込まれることから、他県の状況も参考にしながら、志願者の増加に向けた方策を検討していきたいと考えています。 県教委といたしましては、引き続き、本県産業を支える人材の育成に向けて、専門高校・専門学科の教育活動の充実や教育環境の整備に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)重大交通事故抑止に向けた取組についての御質問にお答えいたします。 本年八月末現在の交通事故死者数は、前年同期に比べ八人多い二十八人で、このうち約八割を六十五歳以上の高齢者が占めております。また、重傷者数も前年同期に比べ四十六人増加の二百八十四人となるなど、交通事故情勢は極めて厳しいものと認識しております。 本年の重大交通事故を見ますと、高齢運転者による事故の増加が顕著で、中でも七十五歳以上の運転者は、運転操作不適を原因とする事故が七十五歳未満の三倍と高くなっているほか、高齢者の歩行中の事故も増加しております。 また、次世代を担う子供の登下校中の事故や、飲酒運転による交通事故が依然として発生しております。 このため、県警察では、こうした交通事故の分析を行っており、高齢者が関係する重大事故では、運転者が交通ルールを守っていても歩行者と衝突した事故や、歩行者側に何らかの法令違反等が認められる事故が発生しております。 このような結果を踏まえまして、高齢者の交通事故を防止するため、高齢者自身が加齢に伴う身体機能の変化を理解し、自ら納得して安全な行動を実践することができるよう、参加・体験・実践型の交通安全教育を実施しているところでございます。 また、高齢歩行者に関する交通事故防止の観点から、高齢歩行者には、横断歩道以外の場所や車両の直前直後を横断することの危険性を周知するとともに、高齢者以外も含めて運転者には、自分がルールを守っていても事故に巻き込まれることがあること、歩行者や他の車両に対する、思いやり・譲り合いの気持ちを持って通行するといった交通マナーの実践、横断歩道等における歩行者優先を再認識させるための広報啓発等に一層取り組んでまいります。 その一方で、悪質・危険な運転者、特に重大交通事故に直結する飲酒運転に対しては、交通検問等を積極的に行い、通学路や生活道路の安全を確保するため、子供の通行が多い時間を中心に可搬式オービスによる速度取締りを実施するなど、必要な取締りにもしっかり取り組んでまいります。 現在、秋の全国交通安全運動期間中ですが、このような期間に限らず、県警察としては、関係機関・団体との連携を一層強化し、不断に変化する交通情勢に機敏に対応し、安全で安心な山口県の実現に向けて、重大交通事故抑止に全力で取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十八分休憩