1 防災・減災対策の推進について 2 人手不足対策について 3 観光振興について 4 強い農業の実現について 5 米軍岩国基地問題について 6 警察行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十三号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十三号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 二木健治君。 〔二木健治君登壇〕(拍手) 二木健治君 皆様、おはようございます。自由民主党の二木健治です。令和六年九月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事及び警察本部長に質問いたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 昨日発生した石川県能登半島の集中豪雨により、甚大な被害が発生しました。まずもって、お亡くなりになられた方、御遺族に対しまして、謹んで哀悼の意を表しますとともに、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。 何よりも被災地の方々の生活再建、そして一日も早い復旧・復興を心からお祈り申し上げます。 さて、我が自由民主党の新たなリーダーを選出する自民党総裁選が、三日後の九月二十七日に投開票を迎えます。過去最多となる九人もの候補者が立ち上がり、日夜、国の未来に対するビジョンや政策について、真剣な議論を交わしてきました。 今回の総裁選に際し、私ども県議会自民党議員団は、全会一致で林芳正先生の推薦・支援を決議いたしました。 私どもは、政界きっての政策通として知られ、豊かな政治経験と知識に裏打ちされた安定感に秀で、諸外国の首脳とも対等に渡り合える林芳正先生に、ぜひとも、山口県九人目となる総理総裁の道を歩んでいただきたいと強く願っております。 自由民主党のリーダーは、すなわち国政のリーダーでもあります。今日の我が国を取り巻く情勢は、有事さえも視野に入れなければならないほど厳しさを増す安全保障環境、長く低迷してきた経済の再生、人口減少の克服と地方の活性化、そして政治への信頼の回復など、極めて困難な課題に直面しています。 この難局にあっても、国政の課題に真正面から対峙する決意と覚悟を持った人材が数多くいることこそ、我が自由民主党が、戦後一貫して国政をリードしてきた原動力そのものであります。国を思う熱意ある人材が、かんかんがくがくの論戦を行う中で、政策とリーダーを鍛え抜くことにより、歴史と実績を積み上げてきたのです。 このたびの総裁選においては、その原点に立ち返り、党員・党友のみならず、県民・国民の皆様にも、我が党の国政に対する責任と覚悟を改めてしっかりとお伝えし、多くの皆様にいま一度、自由民主党がその重責を担うに足る政党であるとの信頼を持っていただけるよう、自民党山口県連といたしましても、最善の努力を尽くしてまいる所存です。 私どもも、我が国の将来、そして山口県勢の一層の発展のために、これまで以上に一致団結し、国民・県民の皆様の生命財産、暮らしとなりわいを守り抜く、その責任をしっかりと担っていく覚悟であることを改めて申し上げ、通告に従い質問いたします。 初めに、防災・減災対策の推進についてお尋ねいたします。 近年、全国各地で自然災害が頻発化・激甚化し、自然災害への備えはまさに急務となっています。 毎年のように、日本各地で地震や台風、ゲリラ豪雨や線状降水帯などにより大きな被害が発生し、災害への不安が高まっています。 特に、地震災害については、阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震などの大きな震災を何度も経験し、その都度、様々な対策を強化してきたところですが、本年一月に発生した能登半島地震においては、大きな被害に見舞われました。 マグニチュード七・六、最大震度七という規模で、多数の家屋倒壊、土砂災害等による多くの死者、重軽傷者が発生し、電気、ガス、上下水道のライフラインへの被害のほか、道路、鉄道等の交通インフラにも甚大な被害が発生し、住民生活や中小企業、農林漁業や観光業等の経済活動にも大きな支障が生じるなど、改めて災害の恐ろしさと自然の脅威を思い知らされたところであります。 こうした中、本年八月に、日向灘を震源とする地震の発生に伴い、気象庁から南海トラフ地震臨時情報、巨大地震注意が初めて発表されました。巨大地震発生の可能性が高まっているとされ、地震発生から一週間、日頃からの地震への備えの再確認や、揺れを感じたら直ちに避難できる態勢を取るなど、特別な注意を呼びかけ、巨大地震の発生に対する注意喚起が行われました。 国の地震調査研究推進本部によると、南海トラフにおいては、マグニチュード八から九クラスの地震が今後三十年以内に七○から八○%の確率で発生するとされ、国の被害想定では、津波による死者が最大で二十二万四千人と甚大な被害が生じるものとされており、国民の緊張感は一気に高まりました。 本県においても、津波や建物の損壊などで六百人を超える死者、千四百人を超える負傷者、建物の全壊は六千棟に迫るなど大きな被害が想定されています。 一方で、地震直後の避難や効果的な情報の伝達や避難の呼びかけにより、大幅に被害が軽減できるものとされており、災害に対しては、日頃からの備えや災害が発生したときの対応など、過去の経験や科学的な知見も生かしながら、さらなる防災対策の推進に取り組む必要があると考えています。 県においては、既に、能登半島地震の課題検証や南海トラフ地震等の被害想定の見直しに着手されており、こうした動きは時宜を得た非常に重要な取組であり、着実かつ迅速に今後の防災・減災対策に反映し、本県のさらなる防災対策に生かしていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報の発表を受け、地震・津波に対するさらなる防災・減災対策の推進に取り組むべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、人手不足対策についてお尋ねします。 今、我が国は、投資や賃金を抑制してきたコストカット型経済から、民需主導の成長型経済へ着々と歩みを進めています。一九九一年以来、三十三年ぶりの高い水準となる賃上げなど、人への投資は進展し、コロナ後の活発な経済活動に支えられて、設備投資や企業収益は過去最高水準となりました。そして、こうした民需の押し上げ等により、先日ついに名目GDPが史上初めて六百兆円を突破したところです。 これは、戦後最大の経済を目指した安倍元総理が、二○一五年にアベノミクスの柱として打ち出した目標です。その後、長引くデフレ、コロナ禍、ロシアによるウクライナ侵攻、物価・原油価格の高騰など、我が国は様々な困難に直面してきましたが、安倍政権以降も菅政権、岸田政権が連綿と受け継ぎながら、我が自民党が一貫して経済再生に取り組んできた成果であります。 しかしながら、一方では、賃上げの持続化に向けた中小企業の経営基盤の強化や物価高騰対策の推進など、我が国経済を取り巻く課題は山積しており、成長型経済の実現はいまだ道半ばにあります。 中でも、特に懸念されるのが、歴史的な水準にある人手不足です。従業員の退職や採用難、人件費の高騰などにより、人手不足倒産は過去最多ペースで推移するなど、企業の経営に深刻な影響を与えており、今後の経済成長の大きな制約となりかねません。 そして、それは本県においても同様です。基礎素材や輸送用機械など、本県経済の屋台骨を担う製造業をはじめとして、土木・建設、医療・介護、交通・運輸など、県民の日々の暮らしを支える、欠かすことのできない業種において、特に深刻な状況が続いており、現下の物価高騰と相まって県内企業は厳しい経営環境に置かれています。 少子高齢化の進展により生産年齢人口が減少する中で、人手不足は今後数十年単位の長期的な視座で、戦略的に取り組むべき課題と言っても過言ではありません。人口減少・少子高齢化にあっても高いレベルでの経済成長を実現できるよう、県内就職のさらなる強化や県内外からの幅広い労働力の確保、雇用のミスマッチの解消に加え、デジタルの活用や労働環境の整備など、あらゆる施策を総動員する必要があると思うのであります。 人手不足は国全体で方向性を決すべき難題ではありますが、今後の先行きに県内企業や団体は大きな不安を抱えており、そうした不安を払拭し、本県経済に明るい展望を描けるよう、今こそ知事の力強いリーダーシップが必要であります。 そこでお尋ねいたします。本県経済の持続的な成長を確かなものとし、活力に満ちた山口県を実現するため、県は人手不足の現状や課題をどのように分析し、今後どのような方針でこの難局を乗り越えようとされているのか、知事の御所見をお伺いします。 次に、観光振興についてお尋ねします。 本年三月、初めて三百万人を突破した訪日外国人旅行者数は、その後も好調に推移し、六月には過去最多となる三百十三万人を記録しました。急成長を遂げるインバウンド需要を背景に、国内観光客の旅行消費額も依然高い水準を保ち、観光業界を取り巻く景況は、まさに好調のさなかにあります。 政府は、この勢いを経済成長の原動力とすべく、観光立国の実現の旗印の下、持続可能な観光、消費額拡大、地方誘客促進を掲げ、積極的に施策を展開しています。 さきの六月定例会、我が自民党会派からも、旺盛なインバウンド需要や本県が迎える一連の好機を観光振興につなげていただくよう訴え、村岡知事は、戦略的なプロモーションや受入れ体制の強化など、観光振興に全力で取り組むとの強い決意を示されました。 早速、今月には誘客促進への一歩として、山口宇部空港で韓国・仁川国際空港からのチャーター便の運航が実現しましたが、こうした時宜にかなった施策の展開を我が会派としても高く評価すると同時に、今後も宇部市が空の玄関口として、県内経済や観光業界の活性化に貢献することに、地元議員として大いに期待しています。 しかしながら、我が国のインバウンドが高まるにつれ、誘客をめぐる地域間競争が激化する兆しも見え始めます。先日、明らかとなった国の概算要求では、三大都市圏への過度な集中等の新たな課題に対して、地方への周遊の促進を強力に進める方針がうかがえます。 本県においても、こうした動きをいち早く察知し、国内外からの旅の目的地として選ばれるよう、観光地や特産品といった観光資源の認知度や魅力度を一層高めることにより、他地域との差別化を図る必要があるのです。 こうした中、約三百五十万人ものインバウンド客が見込まれる、来年六月の大阪・関西万博には、本県も含め多くの自治体が出展に名のりを上げています。 ニューヨークタイムズ紙への掲載で得た優位性を失うことなく、本県の魅力を多くの方々に知っていただきながら誘客を進めるためにも、万博という好機を生かした海外プロモーションを展開するだけでなく、出展に向けた準備も早期に着手していかなくてはなりません。 もとより、全県的な観光振興を図るには、交通アクセスの充実など本県に直接観光客を取り込む力の強化も欠かせません。先週には村岡知事自らが台湾を訪問され、トップセールスにも力を入れておられますが、アジア市場からの誘客拡大につながる新たな成果も、今求められているのではないでしょうか。 さらに、本県の観光力を高める取組を集中的かつ戦略的に展開し、全国的な注目度の高まりが期待できる、再来年のデスティネーションキャンペーンにも弾みをつけることで、裾野の広い観光関連産業の大きな発展につなげていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。観光需要の高まりを本県へと引き込み、地域経済の活性化を着実に果たすことができるよう、来年の万博や国際線誘致を契機としたインバウンドの推進、また再来年のデスティネーションキャンペーンを見据えた誘客拡大など、本県の観光振興にどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いします。 次に、強い農業の実現についてお尋ねします。 先日、農林水産省は、令和五年度の食料自給率がカロリーベースで三八%であったと公表しました。これは、先進国の中で最低の水準であり、国の二○三○年度までに四五%へ引き上げるという目標達成は困難な状況となっております。 近年、地球温暖化に伴う記録的な猛暑をはじめとする不安定な気象条件が、農作物の生育にも大きな影響を与えており、様々な農作物で生育不良や品質低下が生じたことで供給が不足し、価格が上昇する事態が起こっています。 特に、米については、昨年の夏の高温等が原因となり、米どころの新潟県などで不作となり、その影響が今年に入って供給不足や価格上昇という形で現れています。 加えて、先日の南海トラフ地震臨時情報の発表や台風への備えなどから、一部では米の買いだめが起こり、店頭から米がなくなる事態も発生し、その様子を伝える報道とも相まって国民の米の安定供給に対する不安が急速に高まっていることを実感し、食料の安定供給の確保の重要性を再認識したところです。 言うまでもなく、食料の安定供給の確保は国家の最重要責務であり、国では、本年五月に改正した食料・農業・農村基本法において、食料安全保障の抜本的な強化の実現を目指すことを主要な柱の一つとして、必要な施策を集中的に実施するとしており、地方の農業はそれをしっかりと支えていかなければなりません。 こうした中、本県農業を取り巻く環境は、基幹的農業従事者の高齢化率が全国一であり、担い手の確保や農地の保全が喫緊の課題となっており、また、ロシアのウクライナ侵略等に起因する燃油や肥料価格の高騰が、農業経営に深刻な影響を及ぼしています。 県では、担い手支援日本一の新規就農対策をはじめとして、省力化・効率化に寄与するスマート技術に対応した農業基盤の整備など、持続可能な農業の実現に向けて着実に取り組まれるとともに、昨今の燃油や肥料価格の高騰に対しても、緊急対策として支援を講ずるなど、その時々で現場の声にしっかりと耳を傾け、農家に寄り添った対応を取ってこられたことに対し、我が会派としても高く評価しています。 しかしながら、農業従事者の高齢化が進み、担い手の確保や農地の保全がますます困難となる中、危機的状況にある本県農業を立て直し、将来にわたって維持・発展させていくためには、さらなる取組の加速化が求められています。今がまさに正念場という強い危機感を持って諸施策を進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。気候変動や世界情勢の不安など、農業を取り巻くリスクが多様化・複雑化し、食料安全保障の強化が喫緊の課題となる中、知事におかれては、強い農業の実現に向けて、本県農業の未来の姿をどのように描き、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、米軍岩国基地問題についてお尋ねいたします。 台湾周辺における中国の軍事活動の活発化や、北朝鮮の核ミサイル開発の進展など、我が国が戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に直面する中、在日米軍は、我が国のみならず、アジア太平洋地域の平和と安定に重要な役割を果たしており、本県に所在する岩国基地もその一翼を担っているものと理解しています。 このような中で、本年七月に、国から、岩国基地の航空機について機種更新等の計画が示され、その内容は、空母艦載機については、空母の交代に伴い、国内初となるF35C及びCMV22オスプレイが配備され、海兵隊については、今後数年をかけてF35Bへの更新を含む戦闘機の態勢の更新を行うというものでした。 老朽化した機種から最新鋭の機種に随時更新されていくことは、日米同盟の抑止力・対処力を維持・強化するために必要な取組の一環であり、技術革新が進む中にあって、至極当然な時代の流れであると考えます。 一方で、地方自治体は、住民の安心・安全を確保する観点から、機種更新等が基地周辺住民に与える影響について把握し、問題があれば毅然とした対応が必要であり、知事が新たな部隊の追加配備ではないとの理解の下、基地周辺の騒音への影響や、昨年、墜落事故を起こしたオスプレイを含む航空機の安全性等について、関係市町と共に国に詳細な照会をされ、検証されたことは、適切な対応であったと考えています。 この検証の結果、基地周辺の騒音状況は現在よりも広がらないこと、また、航空機の安全性については、米国政府や日本政府が確認しており、オスプレイの事故に関しても、事故原因に対応した対策が講じられていることなどから、今回の機種更新等が生活環境に大きな影響を与えるものではないと整理されたことは、妥当なものと認識しています。 その後、地元の岩国市、周防大島町、和木町では、この整理等を踏まえて検討され、全ての市町長が、今回の機種更新等を容認する旨の意向を表明されました。 こうした地元市町長の意向を確認された上で、先月二十九日、最終的に知事が、今回の機種更新等について理解するとの見解を示されたことは適切な判断であり、我が会派としても、知事の判断を支持するものであります。 その一方で、基地の存在は、航空機の運用により生じる騒音や、事故等への不安など、周辺住民の生活環境に影響を及ぼしていることも事実であり、今後も、国や米側に必要な安心・安全対策を求めていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねします。今回の機種更新等について、その判断に至った経緯も含め、住民の安心・安全対策に、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いします。 最後に、警察行政についてお尋ねいたします。 本年七月八日付の人事異動により、第四十代目の山口県警察本部長として熊坂隆警視監が着任されました。新本部長は着任会見において、警察は、県民の安全・安心を確保する存在だと考える。組織運営に当たっては、県民目線を忘れずに仕事を進めていきたいとの力強い抱負を語られました。 私も一人の県民として、この意気込みを大変頼もしく感じると同時に、高知県の本部長をはじめ数々の要職で培われた、その卓越した手腕とリーダーシップによって、真に安心して暮らすことのできる地域社会の実現に向けて、県警察をしっかりと牽引していただきたいと、大きな期待を寄せているところであります。 さて、県内の治安情勢に目を向けますと、本年上半期の全刑法犯の認知件数は、前年同期よりも増加傾向で推移しており、中には、匿名流動型犯罪グループが関与する強盗致傷事件など、目を覆いたくなるような凶悪犯罪も発生しています。 また、交通情勢についても、人身交通事故の発生件数は若干減少したものの、交通事故死者数は前年同期よりも増加しており、全国的にも大きな社会問題となっている高齢者が関与する重大交通事故も絶えず発生するなど、深刻な状況が続いています。 さらに、ゆゆしき事態と受け止めているのが、我が会派がさきの六月議会の代表質問でも触れました、SNS型投資・ロマンス詐欺の急増であります。その被害額は上半期時点において既に昨年の被害額を上回っており、合計額は数億円規模にも上るなど、県民の不安もこれまでになく高まっています。 こうした状況を踏まえ、本部長は県内におけるSNS型投資・ロマンス詐欺の現状について、極めて深刻な事態であり、組織的な取締りの強化と広報啓発活動や水際対策を推進していくとの強い決意を着任会見で明示され、その撲滅に向けて邁進されておられます。 このほか、先ほど取り上げた災害関連でも、本年七月には、救助に向かう若手警察官が殉職されるという悲報も受けた記録的な大雨災害が山形県と秋田県を襲い、その翌月には南海トラフ地震臨時情報が史上初めて発表されるなど、いつどこでも甚大な被害が起こり得るとの危機感を、改めて痛感する事象が立て続けに生じています。 こうした大規模災害に対しては、県警察も避難、救助や交通規制、治安維持への活動など、あらゆる現場で重責を担いますが、日頃の備えも含めて全ての関係機関と緊密に連携しながら、迅速かつ的確に対応していかなければなりません。 そこでお尋ねいたします。警察を取り巻く治安課題が山積する中、県民が心穏やかに暮らせる地域社会の実現に向けて、今後、どのように警察行政を進めていかれるのか、警察本部長の御所見をお伺いいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)二木議員の代表質問にお答えします。 まず、私からも、昨日の能登半島地域におけます豪雨災害によりまして、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りいたしますとともに、また、被害に遭われた方に心からお見舞いを申し上げたいと思います。 能登半島地震に重ねての被災となるわけでございますけれども、被災地の復旧に向けまして、全国知事会ともよく連携をしながら、しっかり対応していきたいと考えております。 まず、御質問のうち、防災・減災対策の推進についてです。 全国各地で自然災害が頻発化・激甚化する中、地震災害については、今年に入り、能登半島地震や先月の日向灘を震源とする地震などが相次いで発生しており、今後は南海トラフ地震の発生も懸念されています。 私は、こうした大規模地震は、いつでもどこでも起こり得るものであり、県民の皆様の生命と財産を災害から守るためには、これまでの地震災害を教訓とすることにより、本県の防災・減災対策を強化し、地震や津波に対する事前の備えをしっかり進めていくことが重要であると認識しています。 このため、能登半島地震を踏まえて今年度設置した、地震・津波防災対策検討委員会において、能登での課題を検証し、防災・減災対策の見直しを行うとともに、南海トラフをはじめ、日本海や内陸の活断層を震源とする地震・津波の被害想定についても、順次見直しを進めているところです。 まず、課題検証と対策の見直しについては、体制、物流、避難等の分野ごとに検討項目や対策の方向性を議論いただき、委員の皆様には、それぞれ専門の立場から貴重な御意見や御提言を頂きました。 これらを踏まえ、今後は、指摘された課題への対応として、災害発生時の通信環境の確保、孤立集落への支援、災害対応へのデジタル技術の活用、被災者の受入先確保に向けた広域避難体制の整備など、具体的な対策について検討を進め、次回の検討委員会において取りまとめることとしています。 取りまとめ後は、可能なものから速やかに実行に移すとともに、その内容を地域防災計画に反映させ、防災会議等を通じて市町や関係機関と共有することにより、本県の防災・減災対策の一層の充実強化を図ってまいります。 次に、将来の防災対策の基礎となる、地震・津波被害想定の見直しについては、八月に開催した検討委員会において、解析に必要なデータの種類や前提条件等を検討いただいたところです。 今後は、これに基づいてシミュレーションを行い、被害想定の見直しを順次取りまとめることとしており、令和七年度中に南海トラフ地震、令和八年度中に内陸活断層等の地震に係る被害想定を公表し、さらなる防災対策へとつなげてまいります。 また、先月の南海トラフ地震臨時情報の発表を受け、県では、巨大地震の発生に即応するため、地域防災計画に沿って直ちに特別警戒体制を整備するとともに、私自ら県民の皆様に向けて、災害への備えを呼びかけるメッセージを発表したところです。 このたびの臨時情報に係る対応は一週間で終了しましたが、依然として巨大地震は高い確率で発生するとされていることから、引き続き、国からの情報を適時適切に提供していくとともに、事前の備えや災害時に取るべき行動等について、普及啓発に努めてまいります。 私は、県民の暮らしの安心・安全はあらゆることの基本であるとの認識の下、今後起こり得る大規模災害から県民の命と暮らしを守るため、市町や関係機関と緊密に連携し、防災・減災対策の一層の充実に全力で取り組んでまいります。 次に、人手不足対策についてのお尋ねにお答えします。 現在、我が国は少子高齢化が進み、人口減少に歯止めがかからないことや、東京圏への人口の一極集中が再び強まるという課題に直面しています。 本県においても、予測よりも速いスピードでの人口減少や若者の転出超過の拡大など、国と同様の課題を抱え、県内企業は人材確保に苦慮する中、事業拡大や新事業展開などの企業活動にも影響が生じており、この傾向は長期化するものと考えています。 私は、こうした状況にあっても、本県経済が持続的に成長・発展していくためには、企業等の人材確保と生産性向上の両面から、深刻化する人手不足の解消に向けた施策を強力に推進することが必要と考えています。 まず、人材の確保に向けては、県内在住の若者の県内就職・定着とともに、より多くの若者の県内還流を促進できるよう、企業や若者のニーズを踏まえた取組を進めることが極めて重要です。 このため、厳しい経営状況が続く中にあっても賃上げができるよう、初任給や若年層の賃上げを実施した中小企業等に対し支援をするとともに、若者の経済的負担を軽減できるよう、奨学金返還支援制度を創設した企業等に対して、奨励金を支給しているところです。 こうした取組に加え、若者の希望にかなう就業環境が実現できるよう、デジタル技術の活用等による新しい働き方の導入支援のほか、育休取得を推奨する企業の登録制度や男性育休の取得実績に応じた奨励金の支給など、県内企業の魅力向上を力強く後押ししています。 また、これまで三十万回を超えるアクセスのあるVR企業見学の実施・充実や、大学生が企画運営する企業紹介イベントの開催により、多くの若者の興味を引きつけるとともに、就職先の決定に影響を与える保護者と企業との交流イベントの実施など、企業の魅力情報の発信にも取り組んでいます。 次に、生産性の向上に向けては、生産年齢人口の減少が進む中にあっても、高いレベルでの経済成長を実現できるよう、デジタル技術の活用による業務改善や既存ビジネスの変革を図るなど、企業におけるDXの推進が必要不可欠です。 このため、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」において、企業現場における人手不足の解消や生産性向上に向けたDXコンサルティングを実施するほか、DXを推進するリーダー人材を育成するとともに、DXツールの導入や情報処理システムの構築などの支援に取り組んでいます。 さらに、物流二○二四年問題への対応が急務である運送事業者に対して、デジタル技術を活用した業務効率化に資する設備等の導入を補助するなど、機動的な対策を講じています。 私は、本県経済の持続的な成長を確かなものとし、活力に満ちた山口県を実現するため、現在議論が進められている県議会特別委員会の動向も十分踏まえながら、私自ら先頭に立って、人手不足対策に全力で取り組んでまいります。 次に、観光振興についてのお尋ねにお答えします。 国内外の観光需要が急速に高まる中、裾野の広い観光関連産業の発展により地域経済の活性化を図るためには、三大都市圏に集中するインバウンド需要の獲得をはじめ、本県への誘客拡大に資する観光振興の取組が重要です。 こうした中、地域間競争は激化しており、本県が観光目的地として国内外の方々から選ばれるためには、山口が誇る多彩な観光資源の認知度や魅力度を飛躍的に高めていくとともに、海外からの交通アクセスの充実を図るなど、本県観光の競争力を大幅に強化していかなければなりません。 このため、私は、お示しの本県をめぐる一連の好機をしっかりと生かし、全県を挙げて集中的かつ戦略的な観光振興を進めることとしており、万博や国際線誘致を契機としたインバウンドの推進を図るとともに、デスティネーションキャンペーンを見据えた誘客拡大にも取り組んでいきます。 まず、インバウンドの推進については、万博を契機とした外国人観光客の誘客に向け、世界最大級の旅行サイト「エクスペディア」と連携した情報発信や海外メディアを招いた視察ツアー等により、本県の認知度を高めていくほか、せとうちDMOやJR等と連携した広域周遊を促進していきます。 また、万博については、来年六月、食をテーマとする期間に出展し、海外でも人気の高い日本酒やフグ等の県産品とともに、豊かな自然と歴史など、山口ならではの観光の魅力を広く発信したいと考えており、これに向け、市町とも連携しながら、速やかに出展準備を進めてまいります。 さらに、外国人観光客を直接本県に取り込む国際線の誘致は、インバウンド拡大に向けた重要な取組であることから、空港利用促進振興会や海外に配置している観光プロモーターと連携し、積極的な誘致活動を展開しています。 こうした中、台湾については、私自ら県議会、地元宇部市と共にトップセールスを行い、来年二月に二往復のチャーター便が運航される見込みとなったほか、韓国についても、この冬のイン・アウト双方での連続チャーター便運航に向けて調整を進めており、今後もさらなる国際線誘致を図ってまいります。 次に、デスティネーションキャンペーンを見据えた誘客拡大に向けては、観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」の下、今後の本県誘客の基盤となる、幸福感あふれる山口の旅のブランドを確立していきます。 具体的には、本キャンペーンの開催に向け、市町や関係団体等からなる推進体制を構築し、幸福をテーマとした観光素材の開発、磨き上げやおもてなし力の向上に、全県を挙げて取り組み、本県観光地の魅力を高めていくこととしています。 また、こうした本県の魅力を効果的に発信するため、首都圏や関西圏において、情報発信会や観光物産イベントを開催するほか、SNS等により観光客のニーズに即したターゲティング広告を配信するなど、全国に向けて本県の認知度向上を図っていきます。 私は、この絶好の機会を逃すことなく、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、地域経済の活性化につながる新たな観光県やまぐちの創造に向け、本県観光の振興に全力で取り組んでまいります。 次に、強い農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 近年、農業を取り巻く環境は、世界的な気候変動をはじめ、国際情勢の不安定化やそれに伴う農業生産資材価格の高騰など大きく変化していることから、国においては、食料の安定確保や供給力の維持に向け、食料・農業・農村基本法の改正が行われたところです。 本県においては、こうした環境変化に加え、全国に比べ農業従事者の減少や高齢化が急速に進んでいることに伴い、農業現場は、労働力の不足や耕作放棄地の増加等、一層厳しい状況に置かれています。 こうした中、県民の皆様に安心・安全な農産物を安定的に供給していくためには、次代を担う若者たちが農業を魅力ある産業と受け止め、将来にわたって農産物の安定生産に取り組み、本県農業を持続的に成長・発展させていくことが重要であると考えています。 このため、私は、食料安全保障の強化を図る国の政策にも呼応しながら、その基盤となる農地の整備をはじめ、食料生産を支える中核経営体の育成や農産物の効率的な生産体制の構築に向けたこれまでの取組を、強力に推し進めることとしています。 まず、農地の整備に向けては、大型機械やスマート農機に対応する水田の大区画化や、麦・大豆等の安定生産に資する地下水位制御システムの整備など、農地の高機能化を図るとともに、主要な園芸作物の一つであるかんきつ等の樹園地の区画整理やかんがい施設の整備を進めます。 次に、中核経営体の育成については、農業就業に意欲のある若者たちが活躍できるよう、農地中間管理機構と連携した農地集積による経営規模の拡大を推進するとともに、民間企業など他業種からの新規参入の取組を加速します。 また、中核経営体の農作業をサポートしている地域の農業者の高齢化が進んでいることから、副業希望者や学生など、様々な人材による収穫や草刈り等の農作業へのスポット的な参画を一層促進します。 さらに、農産物の効率的な生産体制の構築に向けては、農作業の省力化・省人化を可能とするスマート農業技術の活用による生産性の向上を図るとともに、気候変動にも適応できる新品種や技術の導入を進めることで、安定した農業生産につなげることとしています。 とりわけ、本県の基幹作物である米については、作付面積が減少している状況を踏まえ、本年度から、集落営農法人等を中心に作付拡大を推進しているところであり、今後の県内の需要に応えられるよう、県産米の安定生産を図ってまいります。 私は、市町や関係団体等と連携し、県民の皆様に、食料を安定的に確保・供給することができる本県農業の未来を見据え、生産性と持続性を両立した力強い農業の実現に全力で取り組んでまいります。 次に、米軍岩国基地問題についてのお尋ねにお答えします。 私は、岩国基地に関わる諸問題に対して、国の外交・防衛政策を尊重し、これに協力する一方で、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国に対して言うべきことは言うとの姿勢で対処しているところです。 こうした中、お示しのように、本年七月、国から、国内初となるF35C及びCMV22オスプレイの配備を含む、空母艦載機及び海兵隊機の機種更新等の計画が示され、理解と協力を得たいとの説明がありました。 機種更新そのものは、新たな部隊の追加配備ではなく、現機種の老朽化などに伴い、今後も必要になるものと考えていますが、基地周辺住民の生活環境への影響を確認する必要があることから、地元市町と合同で国に疑問点等を照会し、示された回答等を踏まえて、その影響を整理したところです。 具体的には、まず、航空機騒音については、日々の運用が大きく変わるものではなく、航空機の総機数が十機程度減少し、一日の標準飛行回数が今より増えることは見込まれないことから、基地周辺の騒音状況は現在より広がらないと見込まれることを確認しました。 次に、航空機の安全性に関しては、日米両政府がそれぞれ安全性を確認しており、昨年十一月のオスプレイの事故に関しても、特定された事故原因に対応した安全対策により、同種の不具合による事故を予防、対処することが可能であるなど、機体の安全性について問題はないとの説明がありました。 これらのことから、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと整理したものであり、この結果を基に、地元市町においても検討がなされ、先月二十八日までに、岩国市長、周防大島町長及び和木町長から、今回の機種更新等に理解を示す旨の見解が表明されました。 こうした地元市町の意向を踏まえ、先月二十九日に、私は、今回の機種更新等について、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではなく、理解することを表明し、国に伝えたところです。 一方、基地周辺地域では、空母艦載機の滞在や運用に伴う騒音の増大のほか、昨年十一月のオスプレイの事故等の影響により、住民の方々の間に不安や懸念の声もあると受け止めています。 このため、国に見解を伝えた際、地元の負担軽減に向けた飛行運用に係る騒音軽減措置の実施や、住民の不安解消に向けた安全対策の徹底等を要請したところであり、今後とも強く求めていく考えです。 私は、引き続き、基地周辺地域の実情をしっかりと把握しながら、地元市町や基地議連と一体となって、県民の安全で平穏な生活の確保に向けて、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)熊坂警察本部長。 〔警察本部長 熊坂隆君登壇〕 警察本部長(熊坂隆君)県民が心穏やかに暮らせる地域社会の実現を図るための取組についてお答えいたします。 県内の治安情勢につきましては、議員お示しのとおり、これまで減少傾向にあった刑法犯認知件数や交通事故死者数が増加しており、中でも、匿名・流動型犯罪グループによるSNS型投資・ロマンス詐欺の被害が急増するなど、治安情勢は厳しい状況となっております。 県警察といたしましては、組織一丸となって様々な治安上の諸課題に迅速・的確に対処し、県民が安全・安心を実感できるよう期待に応えていくことが重要であると考えております。 そこで、議員から御指摘のありました、SNS型投資・ロマンス詐欺をはじめとする各種犯罪から県民を守る対策として、制服警察官による巡回連絡やボランティア団体と連携したキャンペーンのほか、被害に遭わないための情報発信をSNS等、あらゆるツールを利用して行ってまいります。 また、日々その手口が変容する特殊詐欺については、犯行グループの徹底検挙と、金融機関やコンビニエンスストアなどと連携した被害防止の水際対策を強力に推進してまいります。 交通事故抑止対策については、交通事故分析を踏まえた総合的な取組が必要不可欠であり、本年の交通事故死者における高齢者の割合が約八割を占めていることから、運転者と歩行者ともに、高齢者の対策を強力に推進してまいります。 大規模災害対策については、この週末にも能登半島で大きな被害が生じたところでありますが、近年、全国各地で線状降水帯による降雨により深刻な被害が発生していることを踏まえ、これらの災害が時間や場所を問わずに発生することを念頭に、関係機関と連携した必要な備えを推進してまいります。 これらの治安対策に加えて、ストーカー、DV、児童虐待等の人身安全関連事案については、認知段階から警察署と警察本部が緊密に連携して、事案の内容を見極めながら、被害者の安全確保を最優先とした迅速・的確な対応に努めてまいります。 また、高度化するサイバー犯罪に対しては、徹底したサイバーパトロールによるサイバー空間の浄化対策を推進するとともに、タイムリーな情報発信等を通じて県民のサイバーセキュリティー意識の向上を図り、官民連携による対策を推進してまいります。 県民が心穏やかに暮らせる地域社会の実現を図るためには、警察は県民の立場に立ち、県民のニーズに応えていくことが重要であります。 警察本部長として、常に県民目線を忘れずに県民の安全・安心の確保に尽力してまいります。