委員長報告
───◆─・──◆──── 日程第四 少子化及び人材育成確保の対策に関すること 議長(柳居俊学君)日程第四、少子化及び人材育成確保の対策に関することについて、審査の経過並びに結果に関し、委員長の報告を求めます。 少子化・人材育成確保対策特別委員長 二木健治君。 〔少子化・人材育成確保対策特別委員長 二木健治君登壇〕(拍手) 少子化・人材育成確保対策特別委員長(二木健治君)少子化・人材育成確保対策特別委員会を代表いたしまして、本委員会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。 近年、我が国の人口減少は、深刻度合いを一層深めており、本県においては、コロナ禍を契機とした地方移住への関心の高まりや新しい働き方の普及により、縮小の動きが見られた社会減についても再び東京圏等への流出が拡大するなど、アフターコロナを迎え、地域間競争は一層激しさを増しています。 こうした中で、昨年七月、本特別委員会は設置され、人材なくして本県の成長はないとの強い危機感を持って、少子化対策をはじめ、将来の山口県を担う人材の育成・確保の在り方について調査研究を進めてまいりました。 この間、本特別委員会では、十回にわたって執行部、参考人との意見交換や調査視察を行い、委員間において重点的な対応が必要と認められる事項について、議論を重ね、このたびの報告書を取りまとめました。 それでは、本委員会における審査結果の概要について御報告いたします。 政策提言の柱の第一は、結婚、妊娠・出産、子育て環境の整備です。 なお、この柱の提言については、国や県の動きを踏まえ、今年度の当初予算編成に向けて、今年一月に先行して提言をまとめ、知事に要請をしております。 まず、未婚の要因として、出会いの場や機会の不足が多く挙げられることから、若い世代の出会いの機会の増大につながる取組や結婚応縁センターの周知強化など、結婚の希望をかなえる支援の一層の充実が必要です。 また、妊娠・出産の希望をかなえる支援の充実としては、保険適用下の実態も踏まえた不妊治療に対する支援の拡充や、本県の出産を支える医師や分娩取扱施設の状況にも鑑み、安心して出産できる環境整備などが重要です。 次に、安心して子育てできる環境づくりのさらなる推進では、幼児教育・保育の質の向上をはじめ、在宅で育児を行う世帯を含めた子育て環境の充実、また、多子世帯を中心とした子育て世帯への経済的支援の充実が必要であるほか、多額の財政負担を要する支援については、地域間格差が生じないよう全国一律の制度や従来の考え方にとらわれない大胆な施策の検討について国に求めていくなど、国との連携による子供・子育て支援の推進も重要です。 さらに、仕事と子育ての両立を支援するため、事業者の働き方、休み方改革の一層の推進や男性従業員の育休取得を促進する企業に対するインセンティブ付与など、男性の育休が当たり前になる社会の実現に向けて取組を一層加速させるなど、働き方改革、休み方改革のさらなる推進が必要です。 このほか、子供・子育てを社会全体で応援する機運の醸成や国、県、市町相互の連携を一層強化し、子育て支援施策のさらなる充実を図ることが必要としています。 二つ目の柱は、やまぐちへの人材還流・定着・活躍の促進です。 まず、UJIターンの推進については、県外からの移住者の獲得に関して、地域間競争が激しさを増す中、本県が選ばれるためには、移住の意欲を喚起する効果的な情報発信などが不可欠です。 また、地域住民が移住者を安心して迎え入れることができるよう、移住コーディネーターの確保・育成の強化など、移住者を地域ぐるみで受け入れる体制づくりや移住者の仕事と住まいの両面からのきめ細やかな支援など、希望する人が安心して移住できる支援体制の強化、移住の裾野拡大に向けた取組の強化を図ることが必要です。 次に、魅力ある大学等づくりと若者の夢を応援する県内進学については、将来を担う若者の県外流出に歯止めをかけるためには、県内の高等教育機関が進学先として選択される流れをつくることが重要であり、高大連携の強化や若者や地域企業が求める教育カリキュラムの充実など、魅力ある大学づくりを一層推進することが必要としています。 また、県内進学を希望する学生が経済的な理由で将来を諦めることなく、安心して受験に臨めるよう、高校生段階から申込みを可能とする奨学金返済支援制度等の創設なども必要です。 次に、若者の県内就職・定着の促進については、早い段階から地元企業の情報を提供し、地元で働く具体的なイメージを持ってもらうことが重要であり、多様な職業を知る、理解する、興味を持つ機会の創出・拡大に取り組むことが必要です。 また、若者に魅力ある創業支援の充実や若手社会人の確保・定着支援などにも一層取り組んでいくことが重要です。 次に、女性の活躍を応援する環境整備の推進では、家事・育児の負担が依然として女性に大きく偏っていることから、行動につながる啓発や固定的性別役割分担意識の解消に向けた啓発の一層の強化を図ることが必要なほか、共育てを後押しする企業の取組支援の強化、未就業等の女性への研修の充実や就業機会の創出・拡大など、女性の可能性を引き出す取組の強化も重要としています。 三つ目の柱は、次代を担う人材の育成です。 まず、新たな時代の人づくりの推進については、常にどう生きるかが問われる時代の中で、自身の生き方に悩む若者が増えていることから、多様な生き方やふるさとの価値に気づく若者を育てる取組など、ウエルビーイングの観点に着目した人づくりを一層推進することが必要です。 また、若者の県外流出が続く中、地域への愛着を高め、地域で活躍する人材の確保・育成に向けて、若者の地域での居場所、活躍の場づくりの推進も必要なほか、志願倍率の低下など、大きな課題となっている教員の確保に向けた取組を一層強化していくことも重要です。 次に、地域産業を支える人材の確保・育成については、目下の地域産業が直面している人手不足に対応するためには、多様な人材の就業に向けた支援が不可欠であり、若者や女性、高齢者、外国人などの多様な人材の確保に向けて、試行的就業の促進や外国人材の活用促進に向けた体制の充実などが必要です。 また、中小企業の従業員のリスキリングの推進に当たり、企業の戦略策定や人的資本経営の導入拡大に向けた支援の充実、スマート農業や建設DXなど、業界全体のイメージ向上につながるDXの推進が重要と考えています。 以上が、本委員会の審査の経過及び結果の概要であります。 村岡知事をはじめ、執行部におかれましては、本報告書の趣旨を十分にお酌み取りいただき、積極的に対応されるようお願いをいたします。 最後に、関係の皆様方の格別な御理解、御協力により、調査や取りまとめを行うことができましたことに、委員長として改めてお礼を申し上げ、本委員会の報告といたします。(拍手)