1 持続可能な建設産業の構築に向けた取組について 2 地方における人手不足の解消について 3 環境面での広域的なPFASへの対応について 4 医薬品提供体制の充実について 5 工業用水の更なる安定供給体制の強化について 6 廃校の跡地利用について 7 その他
議長(柳居俊学君)山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 皆様、おはようございます。自由民主党の山手康弘です。令和六年十一月定例会一般質問の最終登壇者として、通告に従い、順次質問をさせていただきます。 初めに、持続可能な建設産業の構築に向けた取組についてお伺いいたします。 本県の建設産業は、道路や港湾、河川など私たちの日常生活や経済活動を支える社会インフラの整備、維持管理の担い手であり、また、地域経済や雇用を支える基幹産業となっています。加えて、災害発生時には被災現場での応急対応や、その後の復旧・復興工事を担う、地域の守り手としての役割も担っています。 このように、重要な役割を果たしており、我々が生活を営んでいく上でなくてはならない産業でありますが、近年、どの産業においても、人手不足、人材不足が叫ばれている中、建設産業も例外ではなく、極めて深刻な状況に置かれています。 県においては、担い手確保のために、小・中・高校生を対象とした出前授業や現場見学会、職業体験イベントの実施など、建設産業の魅力発信に取り組んでおられますが、将来を見据えた息の長い取組であり、現状では就業者数の減少傾向を反転させるには至っていません。 こうした中、人手不足を補い、持続可能な建設産業を構築していくためには、生産性の向上が必須であると考えます。現在、県では産学官が連携して建設DXの取組を進められ、建設現場での作業の効率化が図られているところです。 ただ、建設業者の方に話を伺うと、現場作業後に待っている書類作成業務が大きな負担となっており、特に年度末になると、工事量が集中し、技術者の方は、現場での作業に加えて、作業後の書類作成が重なり、発注者の現場の完成確認の立会い日まで間に合わせるために、その作業は深夜遅くまでに及ぶこともあるそうです。 建設産業の生産性をさらに向上させていくためには、こうした点も改善していく必要があると考えます。 また、生産性向上を図る上で、発注者側が工事施工時期を平準化していく取組も欠かせません。施工時期の平準化により、年間を通した工事量が安定することから、建設技能者の処遇改善や人材・資機材の効率的な運用による建設業者の経営の安定化といった効果が期待できます。 施工時期の平準化に向け、県では工事の早期発注や債務負担行為の活用等に取り組まれておりますが、こうした平準化に向けた取組をさらに深化させるとともに、全県的に広げていくべきだと考えます。 人手不足等の深刻な問題を抱える中、それでも地域の建設業者の方々が何とか事業を続けようと頑張っておられるのは、自分の仕事が地域の中で形に残り、やりがいと誇りを持っているからです。 県においては、こうした地域建設業者の思いを受け止め、建設産業で働く人たちが、今後もやりがいと誇りを持って仕事を続けられるよう、取組を進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。本県の基幹産業である建設産業が、将来にわたって多種多様な役割を果たしていけるよう、持続可能な建設産業の構築に、県はどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地方における人手不足の解消についてお伺いいたします。 政府においては、東京への一極集中の是正に向けて、地方への新しい流れをつくろうとされているところです。東京への一極集中は、一九九〇年代には総人口の二五%を超え、二〇一九年には二九・一%と総人口の三割近くが首都圏に暮らすという数字が出ています。 特に、一九九〇年代後半は第二次ベビーブームの世代が多く、大学進学率の上昇とも相まって、地方から首都圏への大学進学、そして、卒業後、そのまま首都圏で就職した人々が多かったこともあり、首都圏への一極集中が加速したと予想できます。 そのことからも、地方への若者のUターンの流れがなくなったため、山口県においても、首都圏に進学、卒業した大学生のUターン就職は二割にも満たないと言われております。 二〇二三年の山口県の合計特殊出生率は、一・四〇と全国平均の一・二〇を上回っていますが、結局のところ、東京の〇・九九の低さですが、子供の大学進学と同時に、地方から人口を吸い上げる形で、首都圏の人口の集中に拍車をかける状態となっています。 このように、地方における人手不足が深刻化する中で、私は、その解消に向けて、若者、女性、シニアが大事なポイントになると考えています。 まず、若者についてです。最近では、就職か進学かを意識し始める中高生の段階で、地元の企業が出前職場体験などを行い、県内に魅力のある仕事などをアピールする姿を見る機会が多くなりました。非常にいい取組だと感じますし、今後も積極的に活動していただき、地元に就職、もしくは大学を卒業しても地元に戻り就職をする契機づけになっていただきたいと思っております。 次に、女性に目を向けますと、結婚、出産と子育てが一段落した女性が、再び職場復帰する環境や、さらには、リスキリングとリカレント教育が充実した環境の醸成も必要だと考えます。 私は以前、女性の活躍について質問したことがありましたが、先日、ママドラフト会議を見る機会がありました。そこでは女性が生き生きと自身の経験や魅力をアピールし、県内の参加企業が、軒並み札を挙げるという光景でした。 ふだんの生活を送る中で、自分で職場探しをするよりも、多くの企業の方にアピールできる、人材不足、人手不足の地方においては、斬新な手法だと感じました。まだまだ仕事をしたいけど、マッチングがうまくいかない女性の人材の発掘が必要であると感じた瞬間でした。 最後に、シニアの活躍ですが、現在は定年退職が六十歳、六十五歳まで雇用延長から順次、定年六十三歳、そして雇用延長も順次引上げの傾向にあります。人生百年時代と言われる昨今ですが、従前の定年制度は時代遅れになってきたのではないかと感じます。 地元で老人オリンピックを観覧する機会があるのでよく思うのですが、六十五歳から敬老会や老人オリンピックの参加資格とありますが、六十五歳の方が三人いると、そのチームはかなりの強豪になります。今では、六十五歳といえば、まだまだ現役世代とも言える実力があると言えます。もはや老人という言葉が当てはまらなくなっている時代だと感じます。 この社会的経験豊かな世代の方のマンパワーを生かさない手はありません。セカンドライフを悠々自適に送る方もおられるでしょうが、まだまだ社会に出て、一線でなくとも、下支えをしたいという方も多数おられると思います。そういった方々の掘り起こしとニーズに応えていくことが必要だと感じます。 以上、大きく若者、女性、シニアの点で述べましたが、地方のこれからを支えていくには、地元に残ってもらうこと、あるいは進学等で一度県外に出ても、また就職で戻ってきてくれること、潜在している人材を発掘し、登用につなげることが必要不可欠であり、それが山口県の社会経済の維持向上につながると私は考えます。 そこでお尋ねいたします。県では、今後、どのように地方における人材不足の解消に取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、環境面での広域的なPFASへの対応についてお伺いいたします。 PFASとは、一万種類以上の有機フッ素化合物の総称で、熱に強く、化学的に安定しており、水や油をはじくといった性質から、フライパンのコーティングや泡消火剤などに利用されてきました。 一方で、PFASのうち、PFOSとPFOAについては、分解されにくく蓄積されやすいという性質もあり、自然界に排出されると残留することから、人や動植物に影響を及ぼす可能性が指摘されており、国際条約において廃絶の対象とされ、国内でも法律により製造・輸入などが原則禁止されています。 近年、このPFOSとPFOAが、全国の河川や地下水などで検出され、問題となっています。 環境省が取りまとめた令和四年度の地方公共団体による調査では、十六都府県の百十一地点で、国が定めた水質の暫定指針値を超える濃度で検出された、という結果になっています。 こうした状況を受け、国では、PFASに対する総合的な対応策を検討するための専門家会議を令和五年一月に立ち上げ、現在、暫定目標値の取扱いなどの検討を進めているところです。 本県に目を向けてみますと、水道については、先日、国が、全国の水道事業者等が実施した検査結果を取りまとめ公表しましたが、県内では、暫定目標値の超過は見られませんでした。 また、環境中のPFASについては、国が令和元年度に三か所、令和二年度に二か所、県が令和三年度に四か所の河川や地下水、海域で調査を実施しており、いずれも暫定指針値の超過は見られなかったところです。 しかしながら、全国的に、環境中で高濃度の検出があり、また、私たちの生活に必要不可欠で、切っても切り離せない水に関する問題ですので、自分の住む地域は大丈夫だろうか、といった県民の関心や不安は高まってきているものと考えます。 実際に、岩国市から国と県に対して、環境中のPFASについて、前回の調査から年数が経過していることから、モニタリング調査の実施が依頼され、県においては、先月、調査の必要性を検討する、と回答されたと伺っています。 そこでお尋ねいたします。県民の安全・安心を確保するため、現在、国が進めている総合的な対応策の検討結果を待つことなくして、県として、環境面での広域的なPFASへの対応に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、医薬品提供体制の充実についてお伺いいたします。 私は、さきの六月定例会一般質問において、僻地の医療提供体制の充実について質問を行い、県では、医師確保対策や僻地診療所の医療設備整備への支援、無医地区への巡回診療の経費補助など、医療資源が限られる僻地においても、県民が住み慣れた地域において健康で安心して暮らしていくために、必要な医療が提供できる体制の確保や充実に取り組んでいく、との御答弁を頂きました。 僻地の医療提供体制の充実に向けては、引き続き取組を進めていただきたいと思いますが、医療提供体制と併せて、医薬品の提供体制についても充実させる必要があると考えます。 高齢化の進行により、日常的に薬を服用する高齢者も多く、また、在宅医療の需要も増加しており、医薬品の提供体制はますます重要になっています。 病院や薬局での医薬品提供を主に担っている薬剤師は、本県では、若手薬剤師の割合が少なく、高齢薬剤師の割合が全国的に高いため、約十年後には、本県の薬剤師は大きく不足すると言われています。 山口県保健医療計画においては、私が住んでいる岩国市周東町は薬剤師少数スポットとされていますが、確かに薬局数も少なく、不便を感じている方も多くいるのではないかと感じます。 こうした中、二〇一八年、山口東京理科大学に県内初の薬学部が設置され、今年三月には第一期生が卒業し、薬剤師として就職しています。今後は、県内の大学から毎年百名以上が薬剤師として就職することになりますが、いかにして県内就職や定着を促進し、本県の薬剤師を確保していくことが重要になっています。 また、県内には、特に高齢化が進んでいる僻地において、いわゆる薬局空白地域が存在しています。私も日頃の活動の中でそういった地域を回ることが多いのですが、日常的に薬を服用している高齢者が多く、薬がなくなるたびに遠方の病院や診療所、薬局などに出向いていくのは、本当に負担が大きいといったことも聞きます。 医療資源が限られた僻地において、オンラインによる遠隔医療が有用と言われており、県内でもオンライン診療の実装や実証事業が行われているところがあります。僻地における医薬品提供体制についても、高齢者の利便性を向上させるため、オンラインの活用を広めていく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。今後不足する、薬剤師の確保や薬局空白地域での体制整備など、ますます高齢化が進行する中で喫緊の課題だと考えますが、県は、今後、どのように医薬品提供体制の充実に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、工業用水のさらなる安定供給体制の強化についてお伺いいたします。 産業の血液とも呼ばれる工業用水ですが、山口県においては、非常に水質が良く、給水能力も高い上、急峻な地形を生かした自然流下による送水でコストを抑えることにより、全国でも上位の低廉な価格で供給されています。 山口県では、瀬戸内海沿岸に日本有数の工業地帯が形成され、岩国地域、周南地域、宇部・山陽小野田地域には、石油化学コンビナートをはじめとする大規模な工業群が立ち並んでいます。 本県の経済の屋台骨であるこれらの工業地帯では、生産活動において大量の水を必要とすることから、安定した工業用水の供給が欠かせません。 企業局におかれては、県東部に小瀬川工業用水道事務所、周南工業用水道事務所、県央に佐波川工業用水道事務所、県西部に厚東川工業用水道事務所、西部利水事務所と、それぞれの地域に事務所を設置し、企業の水需要を支えてこられました。 本県産業の振興に不可欠な工業用水ですが、裏を返せば、万が一その給水が止まるような事態となれば、その影響は非常に大きなものとなります。 給水停止のリスク要因の一つに渇水があります。私が議員になった一年目は、光市の上水を工業用水に転用した中山川ダムの水利権を活用して、周南市熊毛、光市を流域とする島田川から取水した水を周南地区に供給するための、島田川工業用水道建設事業のさなかでした。 周南地区には、主に周南市にある菅野ダムから工業用水を供給していますが、渇水期には常態的に水が不足するため、工業用水の安定的な確保を狙っての事業でした。 島田川工業用水道が令和二年七月に完成したことで給水力は強化されたものの、自然相手のことであり、周南地区の慢性的な水不足は引き続き課題となっています。特に昨年度は記録的な少雨によって、受水企業が大幅な自主節水を余儀なくされたことは、記憶に新しいところです。 また、本年二月には、菅野系工業用水の水道管の破損による漏水事故があったように、多くが建設から四十年以上経過し、本格的な更新時期を迎えている工業用水道施設の老朽化の進行や、近年の自然災害の頻発化・激甚化に備えた施設の強靱化対策も喫緊の課題となっています。特に、周南地区には企業の新規立地が決定をしていることもあり、企業局の役割はますます高まるものと考えます。 ここまで、県東部の事例を挙げて述べさせていただきましたが、これらの課題は県下全域に共通するものです。昨年度改定された、山口県企業局第四次経営計画でも重点課題に掲げられていますが、今後も企業の安定操業を支えていくためには、工業用水道の強靱化対策や渇水対策等の課題に、しっかりと対応していくことが必要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。山口県の産業力の強化に資する工業用水のさらなる安定的供給体制の強化に向けて、企業局は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、廃校の跡地利用についてお伺いいたします。 県教委におかれては、急激な生徒数の減少を受けて、これまで高等学校の再編を行ってこられました。その歴史は平成十八年にまで遡り、これまで一貫して、生徒数の減少が顕著であることがうかがえます。 昨年度の中学校卒業者の生徒数は県下で約一万一千人、そのうち約四千人が私立高等学校進学、国立専門学校進学、県外進学で、約七千人が県内の公立高校への進学となりました。 しかしながら、今後十五年で中学校卒業見込み者数が四千人減るという統計も出ており、今後も高等学校の再編整備を計画的に実施していく必要があることが推測できます。 再編計画を実施していく上で課題となってくるのが、学校の統廃合により生じる、廃校の跡地の利活用問題です。 これまで、生徒に安心・安全な学びの場を提供するために、建物の耐震化や設備の更新などの維持補修を行い、その都度手を加えてきたわけですが、それも廃校となると、未利用の財産となってしまいます。 また、高校が廃校になるということは、それ以前の教育課程にある、小学校、中学校も同じ課題を抱えていると言えます。 学校という存在は、地域の子供たちが学ぶための場を提供するだけでなく、地域の集まりや祭り、遊び場としても活用されています。廃校となった学校が長い間活用されず、そのままになっていると、そうした地域の大切な場も失われてしまうことになり、地域の活力がさらに失われていくことにつながってしまいます。 私も廃校の跡地問題には以前から注視をしており、廃校サミットなどの会にも出席したことがありますが、みんなで何とかアイデアを出し合って、校舎の跡地利用を考えようとする会ですが、うまく地域のコミュニティースペースとして再利用できたケースもあれば、宿泊施設として利用できないかと検討したが、新たにスプリンクラーなどの安全施設の整備が高額となるため、断念したケースもあると聞きました。 山口県東部においても、小学校跡地を岩国市のIT企業が買い取り、研究開発の拠点として再活用しているケースなどがありますが、市街地の場合は、比較的跡地利用が容易でも、中山間地については、なかなか活用方法が見つからないというのが現状ではないでしょうか。 しかし、鉄筋コンクリートという頑丈な施設の利を生かして、災害時の避難所や資機材の備蓄スペースなどの活用方法も検討できるかもしれません。 私は、このように施設の特性を生かした再利用も、今後検討していく必要があると思います。 そこでお尋ねいたします。人口減少などにより学校の統廃合がますます進むと考えられる中で、県民の財産である廃校の跡地利用について、県教委におかれましては、どのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問にお答えします。 まず、持続可能な建設産業の構築に向けた取組についてです。 本県の建設産業は、社会資本の整備・維持管理や、災害発生時の応急対応などを担う中核的な存在であり、また、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 こうした中、就業者数の減少や高齢化の進行により、近い将来、社会資本の整備や災害対応等に支障を来すおそれがあることから、私は、持続可能な建設産業を構築することが重要であると考えています。 このため、やまぐち未来維新プランの重点施策に、持続可能な建設産業の構築を掲げ、担い手確保に向け、若者等へ建設産業の魅力を発信することはもとより、生産性の向上や就労環境の改善などによる働き方改革の推進に、積極的に取り組んでいます。 具体的には、建設現場の生産性や安全性の向上を図るため、建設DX推進計画に基づき、ICT活用工事を推進する観点から、対象工種の拡大や発注者指定型工事の導入を行うとともに、デジタル技術を活用した遠隔臨場などを進めています。 また、工事書類の作成業務に係る現場技術者の負担を軽減するため、これまでも、工事書類のスリム化や、情報共有システムを活用したペーパーレス化を進めてきたところであり、今後も、建設業団体の意見を聞きながら、業務改善に積極的に取り組むこととしています。 加えて、建設業者を対象に、現場技術者に代わって工事書類の作成を行う建設ディレクターの導入に関する研修会等を開催しており、今後、建設産業の担い手確保等に関するポータルサイト「やま建Navi」も活用し、企業の先進事例等を発信するなど、普及啓発に努めてまいります。 さらに、施工時期の平準化は、労働時間の削減や建設業者の経営の安定化につながることから、計画的な工事発注やゼロ県債等の活用、繰越手続などを適切に行うとともに、こうした取組を、県内の発注者で構成する協議会等を通じて、市町に一層働きかけていく考えです。 私は、本県の基幹産業であり、地域の守り手である建設産業が、将来にわたって、その社会的役割を担っていけるよう、引き続き、持続可能な建設産業の構築に積極的に取り組んでまいります。 次に、地方における人手不足の解消についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化の進行と若者を中心とする県外への人口流出により、生産年齢人口の減少が続く中、地域産業が持続的に成長・発展していくためには、これを支える企業における人材の確保・定着を図ることが重要です。 このため、若者をはじめ女性やシニアなどの幅広い人材の県内就職・定着に向けて、山口しごとセンターにおいて一元的に対応する体制を整えるとともに、労働局や県内大学等とも連携して、求職者と県内企業とのマッチングなど総合的な支援を実施してきたところです。 こうした取組により、昨年度、センターのサービス利用者数は、過去最高となる五万五千人を超えるとともに、女性・シニア層への積極的な働きかけや、きめ細かな支援などにより、就職決定者数も、過去五年で最高の実績となっています。 また、お示しのママドラフト会議についても、これまでに多くの女性の就業につながるなど、着実に成果が上がっており、今年度は、過去最多となる女性、企業の参加を頂いたところです。 一方で、予測よりも早いスピードで人口が減少し、コロナ禍が明けて、若者を中心とする東京圏への一極集中が再び加速するなど、県内企業の人手不足は一層深刻化していくことが懸念されています。 この問題は一朝一夕に克服できるものではなく、粘り強い対応が必要であることから、私は、これまで以上に強い危機感を持ち、若者をはじめ女性やシニアなどの幅広い人材の確保・定着に向け、取組を充実強化してまいります。 まず、若者の県内就職促進に向けた支援体制の抜本強化に向け、県内大学等とのさらなる連携強化や県外学生への就職支援体制の充実とともに、就職を意識する学年に限らず、より若い年代から、県内企業と触れ合う機会を新たに創出するなどの取組を進めます。 また、県外進学者・就職者に向けたアプローチを強化するため、今年度、対象地域を拡大した移住就業支援金などに加え、デジタルマーケティングの手法や若者の利用が多いSNSの活用を強化するなど、より訴求力、実効性の高い情報発信に取り組んでまいります。 さらに、潜在している人材の活用に向け、未就業女性と企業が出会う機会の拡大や、より幅広い地域での女性デジタル人材の育成を進めるとともに、シニア世代の学び直しの促進や共育てしやすい職場環境づくりなど、多様な人材の掘り起こしと職域の拡大を進めます。 私は、本県産業の持続的な成長・発展が実現できるよう、県議会の少子化・人材育成確保対策特別委員会の御提言も十分に踏まえながら、人手不足対策に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)近藤環境生活部長。 〔環境生活部長 近藤和彦君登壇〕 環境生活部長(近藤和彦君)環境面での広域的なPFASへの対応についてのお尋ねにお答えします。 PFASのうちPFOSとPFOAの摂取による健康被害の発生事例は国内で確認されていませんが、発がん性などとの関連が指摘されており、人が直接摂取する水道については暫定目標値が、河川や地下水などの環境中の水質については暫定指針値が、ともに五十ナノグラム・パー・リットルと設定されています。 このうち、水道については、先月、全国の水道事業者等が実施したPFOS等の水質検査結果が公表され、最新の結果では、本県を含め、全て暫定目標値を下回っていたところです。 また、環境中の水質については、本県の環境基準点等では、暫定指針値の超過はありませんが、国が公表した資料では、十六都府県で暫定指針値を超える高濃度の値が検出されています。 こうした中、国はPFASの総合的な対策の検討を行っており、まず、水道の暫定目標値について、来春を目途に、対応が法的義務となる水道基準への移行の可否等を議論するとされています。 また、水道の方向性の取りまとめの後、環境中の暫定指針値についても、水質の常時監視が義務づけられる環境基準への移行等を議論するとされています。 PFOS等は、お示しのとおり、一旦、環境中に放出されると、長期に残留し、汚染の影響が広範囲に及ぶことが懸念されることから、県としては、県民の関心や不安が高まってきているものと認識しています。 こうしたことから、県では、PFOS等の前回調査から一定期間経過していることもあり、国の検討結果を待つことなく、来年度、県下全域を対象に、河川、海域、地下水での調査を実施する方向で検討してまいります。 具体的には、来年度予算の編成過程において、国の助言を求めながら、PFOS等の排出源となり得る施設周辺の環境基準点等の選定や測定回数など、調査内容を決定したいと考えています。 県としては、今後とも、県民の安心・安全を確保するため、国等と連携し、環境面での広域的なPFOS等の対応にしっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)國吉健康福祉部長。 〔健康福祉部長 國吉宏和君登壇〕 健康福祉部長(國吉宏和君)医薬品提供体制の充実についてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが生涯を通じて、健康で安心して暮らしていくためには、県内どこにおいても、必要な医薬品を適切に患者に提供できる体制を確保することが重要です。 このため、県では、本年三月に策定した第八次山口県保健医療計画に基づき、医薬品提供に重要な役割を担う薬剤師の確保と、僻地等におけるデジタル技術を活用した服薬指導に取り組むこととしています。 まず、薬剤師の確保については、薬学生と病院・薬局をマッチングするサイトの運営、奨学金の返還補助、働きながらスキルアップできる本県独自の研修プログラムの展開等により、県内定着を図っているところです。 こうした取組の推進に当たっては、薬学生等のニーズを十分に踏まえる必要があることから、山口東京理科大学や県薬剤師会等で構成する、薬剤師確保検討チームを設置しており、引き続き関係者の意見を伺いながら、より実効性のある施策に取り組んでまいります。 次に、僻地等でのデジタル技術を活用した服薬指導については、オンライン診療や在宅医療のニーズの高まりに合わせて、オンライン服薬指導を受けることができるよう、患者が離れた地域の薬剤師とオンラインで対話するための支援システムを、今年度開発することとしています。 今後、このシステムの活用に当たっては、関係者との連携の在り方や医薬品の配送・決済の方法等を盛り込んだマニュアルを作成し、市町への導入を図り、お示しの薬局空白地域等へのオンライン服薬指導の普及に努めてまいります。 県としましては、引き続き市町や関係団体等と連携し、医薬品提供体制の充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田公営企業管理者。 〔公営企業管理者 弘田隆彦君登壇〕 公営企業管理者(弘田隆彦君)工業用水のさらなる安定供給体制の強化についてのお尋ねにお答えします。 工業用水道は、企業の生産活動に欠かせない重要な産業インフラであり、本県の産業力の強化を図る上では、工業用水の安定供給を確保することが重要です。 このため、企業局では、第四次経営計画に基づき、工業用水の安定供給に向け、渇水対策や施設の強靱化対策に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しのとおり、近年の少雨による水不足の慢性化や、施設の老朽化の進行、自然災害の頻発化・激甚化に対応できるよう、さらなる対策の強化に取り組むこととしています。 まず、渇水対策については、島田川工業用水道の整備や近隣市工水との応援給水協定の締結などにより、水系を越えた広域的な供給体制を構築するとともに、宇部丸山ダムを活用した貯水システムの運用等により、限られた水資源の有効活用を図っています。 とりわけ、昨年度、深刻な渇水に見舞われた周南地区においては、新たに、渇水対策に資する取組として、ダムの治水容量と利水容量を柔軟に運用するダム運用高度化等の導入の可能性について検討することとしており、今般、プロジェクトチームを設置し、調査・検証を進めてまいります。 次に、施設の強靱化対策については、耐震性能を備えた管路への改修や主要管路のループ化・二条化を推進しているところですが、今後は、こうした取組に加え、複数事業間で工業用水の融通を行う広域化を進めるなど、事故や災害時等におけるバックアップ機能のさらなる強化を図ります。 また、多くの施設が本格的な更新時期を迎えることから、全ての工業用水道事業において、埋設管路の試掘調査を実施し、劣化状況を的確に把握した上で、新たに、AIを活用した健全度診断を行うことにより、更新時期の最適化を図りながら、計画的・重点的な更新整備を進めてまいります。 企業局としては、今後とも、本県産業力の強化にしっかりと貢献できるよう、産業の血液と称される工業用水の安定供給体制の強化に、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)廃校の跡地利用についてのお尋ねにお答えします。 生徒数の減少による県立高校の再編を進める中、学校跡地を、地域のニーズや実情等に応じて、効果的に利活用を図ることが重要であることから、県教委では、閉校となった場合は、まず、県による利用を第一に検討し、次に、地元市町の意向を確認の上、公共施設用地として譲渡することとしています。 こうした方針に基づき、県においては、旧田布施工業高校を田布施総合支援学校として活用しているほか、今後、旧徳山商業高校が、周南警察署の移転先となる予定です。 また、市町の事例では、旧大嶺高校が美祢市消防庁舎として活用されており、旧柳井商業高校については、柳井市が、今年度、跡地に複合図書館をオープンし、今後、敷地全体を防災運動公園として供用開始する予定です。 こうした中、本県では、今後、生徒数のさらなる減少が見込まれており、再編に伴い閉校となる学校については、これまで以上に民間を含めた幅広い主体に利活用を働きかけていく必要があることから、跡地の立地環境に応じた効果的な用途の提案と積極的な情報発信を行っていくこととしています。 まず、用途の提案については、例えば、公共施設のない地域では、お示しのあった避難所等での利活用を、高速道路へのアクセスがよい立地などでは、事業所等での利活用を関係部局と連携して、地元市町や民間事業者等に働きかけてまいります。 次に、積極的な情報発信については、国が開設している学校跡地の利活用推進のためのマッチングサイトを活用して、本県の提案を、全国の事業者等に向けて発信してまいります。 また、跡地利用においては、老朽化した校舎等の処分が全国的な課題となっていることから、国に対し、政府要望等を通じて、解体撤去等に対する支援を求めていきたいと考えています。 県教委といたしましては、生徒数の減少による高校再編を進める中、地域活力の維持向上につながるよう、学校跡地の有効活用に向けて、国や地元市町と連携して積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び議案第一号から第二十号までに対する質疑を終結をいたします。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時三十八分休憩