1 郷土愛を育む教育について 2 外部活力の導入による産業振興について 3 ワットビット連携構想による企業誘致について 4 友好都市・姉妹都市の活用と国際交流、地域外交について 5 災害への備えについて 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第二 一般質問 日程第三 議案第一号から第二十号まで 議長(柳居俊学君)日程第二、一般質問を行い、日程第三、議案第一号から第二十号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笹村直也君。 〔笹村直也君登壇〕(拍手) 笹村直也君 おはようございます。自由民主党の笹村直也です。通告に従い一般質問を行います。よろしくお願いいたします。 まず最初に、郷土愛を育む教育についてお尋ねをいたします。 「今日よりぞ幼心を打ち捨てて人と成りにし道を踏めかし」 これは、私の母校で、全国屈指の規模を誇った江戸時代の藩校明倫館の系譜を引く萩市立明倫小学校の一年生が一学期に、朝の会で朗唱する吉田松陰先生の言葉です。 今までは親にすがり甘えていたが、そのような心を振り切って、独り立ちした人間になるために力強く歩んでいかなければならない、という意味で、まさに新しいステージで成長を遂げていく小学一年生にふさわしい言葉だと思います。 明倫小学校では、六年間の計十八学期にわたり毎朝、学期ごとに異なる松陰先生の言葉を朗唱します。 学期の最初には、先生から言葉の意味や歴史などを教わり、それを踏まえて一つ一つの言葉の意味を考え、そしゃくしながら朗唱します。学期や学年を経るごとに、少しずつ長い言葉を朗唱するようになります。 このほかにも、萩市内の小学校では総合的な学習の時間などに、山口県教育会が編集し、一九八○年に初刷りが発行された「松陰読本」が教材として採用され、言わば教科書のようになっています。松陰先生の生い立ちから海外への密航の失敗、安政の大獄で処刑されるまでの人生や、松陰先生の思想が弟子たちにどのような影響を与え、その後の日本の針路にどのように関わったかなどが、百六ページにわたって記載されています。 こうした、私が小学校のときに経験した学びは、今の自分の人格や考え方を形成するに当たり、大きな影響を与えていると感じています。私自身を松陰先生の人生と比較して論じるのは大変おこがましい話ですが、東京で会社を辞めて山口に帰ろうと決意したのは二十九歳のとき、まさに松陰先生が処刑された年齢と同じです。 様々な思いを巡らせ、逡巡したわけですが、松陰先生が命を賭して国のため、長州のために力を尽くされ、自分と同じ年齢で亡くなられたことを考えれば、どう転んでも命を取られるわけではないし、ちっぽけな心配だと考え、踏み出す勇気が湧いてきたのです。 そして、幼少時の学びが、山口県で、そして萩市で生まれ育ったことに対する誇りを自分自身の中に、そしていつか故郷のために働きたい、という自我を芽生えさせたのだと思っています。 自分自身もかつてそうであったように、山口県に生まれ育った若者が東京に憧れ、都会で暮らしたいと思う気持ちは否定されるものではありません。実際、上京して多くの友人ができましたし、どこに行っても遊ぶところがあり、便利であることは確かです。 しかしながら、満員電車に揺られ、通勤・通学に一時間かかるのは当たり前。災害のリスクは常に付きまとい、物価は高い。隣近所との付き合いは希薄で、どこに行っても人混みで何とも言えないせからしい街。全員とは言わないまでも、一定数、都会での生活に飽きを感じている人もいるはずです。 そういう意味でも、幼少時に歴史上の重要用語の詰め込み学習や単純な論述問題の解法の習得に終始するのではなく、山口県が輩出した歴史上の偉人たちが、世界、あるいは日本の中でどう位置づけられるのかといった考察を深めることを通じ、山口県に生まれ育ったことの意味を考えさせるような教育をしっかりと行うこと、このことが、たとえ進学を機に一度は県外へ出たとしても、山口県への愛着を深め、就職あるいは転職、リタイアという人生の節目にUターン、Iターンを検討する、またそこまでには至らなかったとしても、仕事上で何らかの接点を持つなど、そういった一つの動機づけになると考えます。 そこでお尋ねします。山口県に生まれ育ったことの意義を考えさせるような、郷土愛を育む教育の在り方について、県教委としてどのように位置づけ、取り組む必要があるとお考えか、御所見をお伺いいたします。(「いいな」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。 二点目に、外部活力の導入による産業振興についてお尋ねします。 外部活力の導入イコール企業誘致を想起することが多いと思います。また、一般的に企業誘致といえば大規模な工場や倉庫を誘致し、雇用を創出することを指します。これはこれで、安定的な税収や雇用増が見込めるほか、人員の配置転換による一定数の人口増等が期待され、引き続き、取組を進める必要があると考えます。 一方、今回私が取り上げるのは、県全体を、企業や人材など、外部の活力が新たな商品やサービスを生み出すイノベーション創出基盤として活用を促し、さらなる産業振興につなげることができないか、ということです。 私は、外部活力には、企業誘致のほかに実証事業の誘致、県外の有為な人材によるスタートアップなどが挙げられると考えています。 例えば企業からすれば、様々な実証事業を行い、その有用性などを確かめた上で、商品やサービスを提供する必要があります。 近年は、国においてもドローンや自動運転、ロボットなどの新しい技術を農業や漁業などの産業、人手不足や過疎化などの課題解決に結びつけて社会実装を目指すなど、実証事業の動きがますます活発になっています。 こうした流れに呼応するように、商店街の衰退や中山間地域の過疎・高齢化などの地域課題を逆手に取って、それを創業や新規事業化、商品のテストマーケティングに活用してもらう動きが、全国各地で少しずつではありますが出始めています。今後、自治体が積極的に企業や国、スタートアップ等を志す人材に、その強みや資源をアピールし、活用を促していくことが重要になります。 もっと言えば、県や市町などの自治体が、今後目指すべき産業の方向性を明確に打ち出し、その将来像が国や企業、人材のビジョン、開発しようとする商品やサービス等とリンクすれば、自治体にとっても外部活力を効率的に取り込むことができ、有益であると考えます。 一例を挙げると、群馬県では、今年度から県管理道路や河川、公園などを先端技術の実証事業のフィールドとして整備し、企業や大学の実証事業のプロジェクトを誘致、その際に補助金を交付する事業を始めました。都心部では、土地的な制約が大きいことなどから、国内外の多くの企業が関心を寄せているということです。 本県も、県管理道路をはじめ港湾、工業用水道、河川、公園、各種施設を有しており、災害が少なく、実証事業や企業立地を誘致しやすい環境にあります。 とりわけ、JAXAや防衛省など国の機関や産業技術センター、大学などの研究開発機関、さらには、「やまぐちヘルスラボ」や「Y─BASE」など、オープンイノベーションの拠点が集積するなど、企業や国、人材が新たな試みに挑戦できる環境が整っていると考えます。 実際、今年度は国により、本県をフィールドとして、海の次世代モビリティの利活用に関する実証事業が採択され、有害赤潮の早期発見のために水上無人機を活用する実証事業のほか、東京都の会社が県産業技術センターと連携し、衛星データを活用した杉花粉飛散量の削減に向けた実証事業を行う予定となっています。 本県が、やまぐち産業イノベーション戦略で目指すビジョンに基づき、本県が保有する産業資源や産業インフラ、公共施設を積極的にアピールしていくことは重要であると考えます。その際には併せて、定着企業数や実証事業を行った企業の地域への経済波及効果を数値として可視化することも重要です。 そこでお尋ねします。企業や実証事業の誘致、スタートアップなど、外部活力の導入による産業振興に、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 三点目に、ワットビット連携構想による企業誘致についてお尋ねします。 ワットビット連携とは、電力系統と通信基盤を一体的に整備することをいいます。政府は、二○五○年のカーボンニュートラルと、今後、グリーントランスフォーメーションを同時に目指す上で、重要施策と位置づけて検討を進める方針で、具体的には、脱炭素電源とデータセンターや半導体、蓄電池工場などの距離が離れていると、送電網を整備するのに費用と時間がかかります。 そこで、光ファイバーケーブルが送電線に比べ費用が大きく抑えられる点に着目し、データセンターなどを脱炭素電源の近くに設置し、光ファイバーケーブルを延ばして、情報を伝送するというものです。 これまで、災害リスク分散の観点などから、データセンターの地方誘致というトピックは注目されており、政府もデジタル化社会のさらなる進展を見据え、地方での拠点整備を推進しています。 私は、本県には今後、一般的なデータセンターはもちろん、ユーザーの近くに設置し、既存のインフラを補完し、幅広い分野での活用が期待されるエッジデータセンター、環境への負荷を最小限に抑えたグリーンデータセンターの誘致にも取り組んでいただきたいと思いますが、今後は一歩進んで、データセンターなどを脱炭素電源、つまり発電設備の近隣に誘致するということが重要になってくると考えます。 近年は再生可能エネルギーの普及拡大により、需要と供給のギャップが生じており、例えば季節では夏と冬、時間では夜間、電力貯蔵だけでは需給運用に限界が生じています。 また、全国での今後十年の電力需要見通しが、初めて増加に転じており、再生可能エネルギーの一層効率的な利用が求められています。 さらに、この構想は本県産業との親和性も高いと考えます。脱炭素電源の近くに需要を誘致すれば、水素を得やすくなり、水電解装置でつくった水素を生産、また運びやすくなります。ガスタービンなどを水素で発電できるようにもなります。 また、熊本県のTSMCに代表されるような半導体関連産業は、大量の電力を必要とします。 本県では、周南市に二○二八年度、日本ゼオンが約七百億円を投資し、半導体容器などに使われる高機能樹脂の新工場を建設する予定となっていますが、今後さらに、本県が半導体関連産業の誘致を目指す上でも、この構想の潮流に乗ることは、戦略的にも重要であると考えます。 もちろん、行政だけで進められる話ではなく、官民の連携が重要になりますが、エネルギーの将来戦略が国力を左右する時代にあって、民間の投資もさらに増えていくと予想されます。 大規模災害が比較的少なく、土地の余剰もある本県の強みを生かし、ワットビット連携構想による、新たな時代の企業誘致を強力に推進していただきたいと思います。 そこでお尋ねします。現在、国においてワットビット連携の検討が進められる中、県としてどのような情報収集や検討をされているか、また、県の産業戦略を推進する上で、ワットビット連携構想による企業誘致にどのような可能性を見いだしておられるか、県の基本的な考え方についての御所見をお伺いいたします。 四点目、友好都市・姉妹都市の活用と国際交流、地域外交についてお尋ねします。 友好・姉妹都市とは、自治体同士が正式に盟約を交わし、産業、観光、教育、スポーツなど、様々な分野で行政・民間レベルの交流を進めていくことをいいます。 山口県のホームページには、県及び県内各市町の友好・姉妹都市提携の一覧が掲載されています。 それによると、県は一九八二年中国・山東省、八七年韓国・慶尚南道、二○○三年スペイン・ナバラ州、二二年アメリカ・ハワイ州の四つの国・自治体。 市町でいえば、例えば私の地元の萩市は韓国・蔚山広域市、ドイツ・ユーリンゲンビルゲンドルフ村、韓国・徳津面。これらを含めて県と十二市町が、欧米・南米など十か国、三十一の自治体と提携を結んでいます。 さきに、友好・姉妹都市の交流例として、産業、観光、教育、スポーツを挙げました。かつては単に教育・文化的な交流や相互往来がメインだったことから、近年は企業誘致や産品の輸出入など、経済の結びつきにシフトしつつあります。あるいは今後は、人口減少、少子高齢化、デジタル化、人手不足など、共通の行政課題に、どのように対応するのかといったノウハウの共有も、重要になってくると考えます。 ただ、県や市町の友好・姉妹都市との交流が、こうした成果には十分結びついていないと思います。 先日、本県の友好都市であるスペイン・ナバラ州における農業の取組について尋ねるため、県の国際課の御協力の下、メールや電話で連絡をしていただきました。しかしながら、一か月以上も返事がなかったということがあり、友好都市としての関係性が形骸化しているのではないか、という思いを持ちました。 市町の話になりますが、先ほど挙げた萩市の姉妹都市の一つであるドイツ・ユーリンゲンビルゲンドルフ村は、一九九二年に旧旭村が結んだものを機械的に引き継いでいるだけで、市によると、合併後実質的な交流はないとのことでした。 村は、ドイツとスイスの国境にある美しい村で、農業や酪農が盛ん、民宿やペンションが点在し、避暑地としてヨーロッパ中から多くの人々が訪れるそうです。様々な資源が互いにあるわけで、これは市にとっても、ひいては県にとっても、もったいないと思うわけです。ぜひとも県には、各市町と連携を取っていただき、こうした既存の友好・姉妹都市の枠組みを活用した国際交流や地域外交を強力に推進し、県全体の利益につなげていただきたいと思います。 私は、今年七月、地元の萩市と関係が深い、中東ヨルダン王国を訪問いたしました。 なぜ関係が深いかというと、ヨルダン王国の首都アンマンから車で一時間ほど走ったところにあるサルト市、かつての首都で古くより交易で栄えた街でありますが、二○二一年にその美しく残る町並みが評価され、世界遺産に登録されました。これに、萩市の職員である学芸員やJICAなどの機関が、観光開発やまちおこしに継続的に協力をした関係があるからです。 実際に現地に行ってみますと、地元住民や市職員はこのことに深く感謝し、萩市に大変な敬意を払っており、遠く離れた中東の地で、自分の故郷を誇らしく感じたところです。山口県とも萩市とも、今後より関係を深めていきたいというお話も伺いました。 ヨルダン王国は、まだまだ観光開発は途上で、所得水準も低く、まさにこれから伸びる余地、可能性がある国だと感じました。日本とは地理的に離れていますし、直行便もまだありませんが、こうした地域へのプロモーションや関係構築も重要であると考えます。 そこで、三点お尋ねいたします。まず一点目は、こうした既存の友好・姉妹都市という枠組みの中での県の国際交流について、現状と課題をどのように分析されていますか。また、行政課題のノウハウ共有など、踏み込んだ交流が今後進められないでしょうか。二点目、市町の友好・姉妹都市交流について、県として現状をどの程度把握されていますか。今後、市町の交流を県として後押し、また活用することが検討できないでしょうか。三点目、先ほど例に挙げた、ヨルダン王国や中東のような新たな国・地域へのアプローチについて、どのように考えられているか、御所見をお伺いいたします。 五点目、災害への備えについてお尋ねします。 私は八月に、自民党青年部・青年局の海外視察研修に参加し、全国の同年代議員たちと共に、今年四月にマグニチュード七・七の大地震が発生した、台湾東部の花蓮県を訪問しました。 花蓮市長らから、被災当時の状況や復旧状況などについて説明を受け、人的、物的に大変な被害が発生したが、観光地としては大半復旧を終えており、ぜひ日本の方にも安全・安心な場所であることをPRしてほしい、とのことでした。実際、ところどころ倒壊した建物の残骸は見られたものの、復旧・復興は相当程度進んでおり、海に面した穏やかな観光地であるとの印象を受けました。 しばしば、災害対応を台湾に学べ、と言われており、花蓮における今回の地震の対応は、本県においても参考になるものと思われます。 建物に関しては、発災直後に建物のトリアージを行い、周囲に危険を及ぼし得る建物について、すぐに専門家を呼び、解体に着手したとのことです。 また、政府、県、市などの災害に関する情報は全てクラウドで共有し、関係機関がふだんから入力や情報共有の訓練をしているとのことでした。これにより、問合せや会議の手間が省け、迅速に必要な対応を取ることができたとのことです。 県が主導した対応としては、住宅を中心とした建物の再建支援が挙げられます。花蓮における地震で被害が拡大した要因として、先住民も多く、被災家屋の相当数が耐震基準を満たしていなかったことが挙げられます。これにより政府の再建支援を得にくい状況で、県が独自支援を検討し、政府にはさらなる再建支援の増額を要請しました。 また、被災者相談の窓口は、本来、市の役割でしたが、県が主に対応したとのことでした。 また、慈善団体、民間団体、企業の主導ですが、避難所においては、避難者がプライバシーを保護し、できるだけストレスを低減した環境で過ごせるよう、簡単に組み立てられるパーティションを各避難所にあらかじめ用意し、迅速に展開されました。県と市は、平時からこうした団体や企業と連携し、災害に備え検討と訓練を繰り返していたといいます。 我が県を取り巻く状況を見ると、今年八月に宮崎県東部の日向灘を震源とするマグニチュード七・一の地震が発生し、その後、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されたのは記憶に新しいところです。 本県は、比較的地震による被害が少ないとされていますが、過去には大規模地震による被害があったとの記録もあります。実際、本県の南海トラフ地震による被害想定では、最大震度六強、死者六百十四人、負傷者千四百七十七人とされています。 南海トラフ地震は、三十年以内に七○から八○%の確率で発生するとされ、現実問題として発生を抑えることができない以上、発生を前提とした対策を講じる必要があります。一月には能登半島地震も発生し、災害への脅威や備えの必要性を県民誰もが身近な問題として感じる中、行政として災害にどう備え、対応するかについて、三点お尋ねいたします。 一点目は、建築物の耐震化について、本県は、令和四年七月に改定した山口県耐震改修促進計画に基づき、住宅や多数の者が利用する建築物等について、目標を定めて耐震化を促していますが、その状況は全国平均を下回っており、どのように今後耐震化を進めて人命や財産を守っていかれるのでしょうか。 二点目に、発災時の迅速な対応に向けた行政機関の災害に関する円滑な情報共有の在り方について、どう考えられているでしょうか。 三点目、避難所のプライバシー保護をはじめとした生活環境の改善について、県の御所見をお伺いいたします。 最後に一点申し述べさせていただきます。 十月に、こんな封書が事務所に届きました。小学校や地域の施設を活用し、子供たちの安全で安心な放課後の活動場所として重宝されている、放課後子供教室のスタッフの処遇改善に関する要望でした。 こども家庭庁が管轄し、日中、保護者が家にいない児童を対象とする放課後児童クラブのスタッフについては、賃金として扱われ、時給は本県の最低賃金九百七十九円以上に準じる形となっていますが、文部科学省が管轄し、保護者の就労状況にかかわらず、全ての児童を対象とする放課後子供教室のスタッフは、謝金として扱われています。予算は国の予算を活用して県が各市町に交付し、その予算内で各市町が謝金の水準を判断するため、額は市町ごとにまちまちです。 子供たちの見守りを行う協働活動サポーターについては、最も高い上関町で九百七十九円、最も低い下関市、美祢市で五百円、萩市の場合、時給は一律五百八十円で、来年度から六百三十円に五十円引き上げられる予定となっています。 放課後子供教室は、宿題、ものづくり、スポーツ、野外活動など様々な活動を行っており、子供の居場所づくり確保の観点からも重要な役割を果たしていますが、特に旧郡部については、こうした事業を担うスタッフも高齢化しています。 もちろん、スタッフの皆さんは、半ばボランティア精神で、高い謝金を目的にしているわけではありませんし、最終的には各市町の判断とはいえ、そもそも、この課題があまり知られていない実情もあります。 県としても、子供の居場所づくりの観点から、国に対して引き続き働きかけを行っていくよう、要望をさせていただきます。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笹村議員の御質問のうち、私からは、外部活力の導入による産業振興についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進展等により、経済の縮小が懸念される中、本県経済の活性化や雇用の拡大を図っていくためには、外部からの活力を積極的に取り込み、地域産業を活性化していくことが重要であると考えています。 このため、雇用創出をはじめ多面的な効果をもたらす企業誘致に向けては、私自らが先頭に立って、優れた立地環境や優遇制度を生かした誘致活動を展開する中、本年は、半導体関連の大型投資の実現等により、設備投資額が二年連続で過去最高となるなど、高い成果につながっています。 また、実証事業の誘致については、艦艇装備研究所、JAXA等の研究関連施設や、「やまぐちヘルスラボ」等のオープンイノベーション拠点など、本県の有する優れた機能や環境を生かして、県内企業はもとより、外部の活力も活用しながら、事業化に向けたプロジェクトを支援しています。 具体的には、お示しの実証事業に加え、水中モビリティーが撮影したインフラ等の画像データを3Dモデル化するセンシング技術や、衛星データを利用して藻場によるCO2の吸収量を算出する手法の開発など、県内外の企業や大学等による先進的な取組が進んでいます。 また、「やまぐちヘルスラボ」においては、二千六百名を超える会員数や実証事業へのきめ細かなサポート体制が、県外の大手企業からも高い評価を得ており、エビデンスに基づくヘルスケア商品の開発に向けた実証フィールドとして、県内企業等とのマッチングも積極的に推進しています。 さらに、スタートアップでは、首都圏からの移住者が、県のアクセラレーションプログラムを受講し、専門家によるビジネスモデルの確立や資金調達に関する支援を受けることで、クラウドを活用した企業の業務効率化を図る事業を立ち上げ、受注実績を積まれるなどの成果も出てきています。 こうした取組をしっかりと外部にアピールしながら、本県が持つ優れた機能や環境を活用した実証事業等の取組を一層推進し、事業化につなげていくことにより、地域産業の活性化を図ってまいります。 私は、産業力のさらなる強化につながるよう、本県の有する資源を有効に活用しながら、外部活力の導入による産業振興に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高林産業労働部長。 〔産業労働部長 高林謙行君登壇〕 産業労働部長(高林謙行君)ワットビット連携構想による企業誘致についてのお尋ねにお答えします。 県では、脱炭素化の流れが国内外で加速する中、カーボンニュートラルへの対応は産業分野においても喫緊の課題であることから、産業分野の脱炭素化の取組を促進するための総合戦略として、やまぐち産業脱炭素化戦略を策定し、その実現に向けた取組を積極的に推進しています。 また、国においては、令和五年二月に閣議決定された、GX実現に向けた基本方針に基づいて展開してきた様々な施策を産業構造、産業立地、エネルギー等の観点から集中的に議論し、新たに、GX二○四○ビジョンを策定するとされ、現在、その検討が進められています。 とりわけ、産業立地では、脱炭素電源の近隣への産業集積の加速、ワットビット連携による全国を俯瞰した電力や通信網の整備に向け、広域単位の産業立地施策等を官民連携で検討するとされており、その動向を注視しているところです。 こうした中、本県においても、新たに立地を検討する企業や県内企業から、脱炭素電源の確保を設備投資の条件として提示される場合もあることから、今後、クリーンエネルギーの確保が企業誘致の重要な要素になると考えています。 また、全国でも先駆的な取組である、アンモニアサプライチェーン構築を目指す周南コンビナートをはじめ、県内企業においても脱炭素化を成長の機会と捉え、新たな設備投資や再生可能エネルギー活用等の動きが活発化しています。 このため、脱炭素化に積極的に取り組む企業に対し、県企業局の水力発電や電力会社等が提供する再生可能エネルギーの電力プランを紹介するとともに、国の支援制度を活用した設備投資の促進や県の補助制度による研究開発・事業化の支援等を行っています。 加えて、本県は地震や台風等の自然災害が少なく、BCPの観点から、ワットビット連携の進展が企業誘致にとって後押しになると考えており、その優位性を生かした誘致活動を積極的に展開していきます。 県としては、市町や関係機関と連携し、国の産業立地施策の検討状況や企業の投資動向を踏まえながら、戦略的な誘致施策を強力に推進し、一社でも多くの優良企業の誘致に向けて取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)道免観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 道免憲司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(道免憲司君)友好都市・姉妹都市の活用と国際交流、地域外交についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、県の国際交流については、これまで、友好・姉妹提携先等と交流を積み重ねてきた結果、強固な信頼関係を築き、人的つながりや相互理解を深めてきたところです。 こうした中、これらの地域との交流関係をさらに発展させるためには、お示しの行政課題の解決やノウハウ共有など、その時々の双方のニーズを踏まえた交流内容の見直しが必要と考えています。 このため、このたび、県議会訪問団の皆様と訪問するベトナム・ビンズン省とは、十周年を迎える覚書を更新し、高齢者福祉など新たな分野の人材交流に取り組むこととしており、今後、その他の友好・姉妹提携先等においても、こうした行政課題を踏まえた交流を進めてまいります。 次に、市町の交流については、毎年、交流内容等を調査、把握するとともに、県の友好・姉妹提携先等とのネットワークを生かしながら、市町の交流を支援しているところです。 具体的には、ハワイ州との交流においては、県との姉妹提携を生かし、県人会の皆様のお力添えを頂きながら、山口市とホノルル市との友好都市提携に向けた後押しをしており、今後とも、県の持つ友好・姉妹提携先とのノウハウや人的つながりを市町へ提供するなど取組を支援してまいります。 最後に、新たな国・地域へのアプローチについては、外国要人の本県への訪問等の機会を契機として、本県との歴史的・文化的つながりや交流ニーズを的確に把握しながら、相互理解を深めていくこととしています。 こうした中、先月、中東を含む十三か国の駐日大使による本県への視察が行われ、文化、産業、自然に対する高い関心が寄せられたところであり、こうした機会を活用して、新たな国・地域との交流につなげてまいります。 県としては、今後とも、様々な国や地域との友好関係の一層の発展に向けた幅広い交流施策を進め、本県に活力をもたらす国際交流の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)大江土木建築部長。 〔土木建築部長 大江真弘君登壇〕 土木建築部長(大江真弘君)災害への備えに関するお尋ねのうち、建築物の耐震化についてお答えします。 県では、地震による建築物の被害及びこれに起因する人命や財産の損失を未然に防止するため、お示しの山口県耐震改修促進計画に基づき、建築物の耐震改修を総合的かつ計画的に進めているところです。 こうした中、熊本地震や能登半島地震では、現行の耐震基準を満足していない多くの家屋が倒壊するなど甚大な被害が発生し、住宅や多数の者が利用する建築物等の耐震化の重要性が一層高まっています。 住宅については、これまで、市町と連携し、所有者に対し耐震化の必要性をはじめ、木造住宅の無料耐震診断や耐震改修などに対する補助制度を周知するとともに、耐震診断等に携わる技術者向けの講習会を実施するなど、耐震化の促進に向けた取組を進めてきたところです。 今後、耐震化をより一層進めるため、さらなる所有者の意識醸成に向けて、様々な広報媒体を活用した普及啓発に取り組んでまいります。 加えて、工事費用が高いことを理由に、耐震改修工事の実施が困難とされる場合が多く、近年注目され始めた比較的安価な工法の普及が耐震化の促進につながることから、改修事例について情報提供するとともに、それを施工する技術者を養成するなどの取組を強化してまいります。 また、多数の者が利用する建築物等のうち、大規模なホテルや病院等の耐震診断義務付け対象建築物については、市町と協調した補助制度を周知するとともに、毎年度、全ての所有者等に対して、耐震化に取り組むよう働きかけてきたところであり、引き続き、個別訪問の実施など直接的なアプローチを行ってまいります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、市町と連携し、住宅や多数の者が利用する建築物等の耐震化の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)佐藤総務部長。 〔総務部長 佐藤茂宗君登壇〕 総務部長(佐藤茂宗君)災害への備えについての二点のお尋ねにお答えします。 まず、災害時における行政機関の円滑な情報共有の在り方についてです。 災害発生時の様々な課題に臨機応変に対応するためには、行政機関の円滑な情報共有が重要であることから、県では、平素から県や市町、関係機関等との連携体制を構築し、防災訓練等を通じてその強化を図っています。 具体的には、県の総合防災情報ネットワークやクラウドを活用し、行政機関のみならず、防災関係機関も含めて、平時には各種計画やマニュアル等を、発災時には被害状況やその対応等の情報を迅速に共有しているところです。 今後は、避難者への支援をより迅速かつ円滑に行うため、県と被災市町とが連携し、各市町の避難者情報を一元的に管理する全市町共通のシステムの導入を検討することとしており、システムのさらなる活用を通じ、市町との情報連携体制を強化してまいります。 次に、避難所における生活環境の改善についてです。 被災者が一定期間滞在する場所である避難所においては、プライバシーも含め、良好な生活環境の確保が重要であることから、県では、避難所運営マニュアル策定のための基本指針の中で、市町に対し、必要な資機材の備蓄等を促しています。 お示しのパーティションなど、避難所環境の改善に必要な資機材の整備を進めるためには、国の財政支援が必要なことから、県議会とも連携し、国に要望を行ったところです。 さらに、国の総合経済対策において、避難所環境の抜本的改善に取り組むこととされたことから、県としてもこれに呼応し、国の支援メニューも活用しながら、市町における避難所の環境整備を促進していくこととしています。 県としては、今後とも、市町や関係機関等と緊密に連携しながら、災害対応力の強化と避難所の良好な生活環境の確保に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)郷土愛を育む教育についてのお尋ねにお答えします。 人口減少・少子高齢化のさらなる加速やグローバル化の進展など、社会状況が急速に変化する中、児童生徒が、山口県に生まれ育ったことを誇りに感じ、郷土への愛着を深め、将来、本県のために活躍したいという思いを育んでいくことが重要です。 このため、県教委では、本県が目指す児童生徒像の一つに、郷土に誇りと愛着を持ち、グローバルな視点で社会に参画する人を掲げており、この方針の下、各学校では、ふるさとの人や自然、伝統、文化等について学習する中で、児童生徒が先人の気高い生き方に触れ、誇りある生き方、夢や希望など喜びのある生き方を見いだすなどの教育活動が行われています。 具体的には、小学校の社会科では、本県ゆかりの人物の業績等について、副読本「きょうど山口」等を活用して学習しており、例えば、金子みすゞの作品や生涯について学び、人々の心を魅了し続ける作品の背景にある、身近な自然や人の営みに対する愛情に触れることで、同郷に生まれ育ったことに対する誇りを育んでいます。 また、中学校の総合的な学習の時間では、地域の伝統文化などを題材とした探求的な学習を行っており、例えば、神楽を継承する大人との交流の中で、神楽舞に込められた思いや、伝統を守り抜こうとする真剣な姿に憧れや尊敬の念を抱き、改めて伝統を引き継ぐことの意味や価値、重要性を見いだしています。 こうした教育活動を充実させるため、今後は、各学校において、ふるさとの人や自然、伝統、文化等に関する学習活動を教育課程に確実に位置づけ、家庭や地域と連携・協働する教育活動を、体系的に整理し見える化した学校・地域連携カリキュラムの下、小中学校の九年間を通して、計画的・継続的に展開することとしています。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関等と連携し、学校が地域と取り組むふるさと学習を充実させることにより、山口県に生まれ育ったことに対する誇りを育み、ふるさと山口の将来を担う志を持った人材の育成に努めてまいります。